上記目的を達成するために、この発明の光ディスク装置は、レーザー光を光ディスクに照射することによって情報を記録し再生する。そして、この光ディスク装置は、レーザー光のレーザーパワーを変更することが可能なレーザーパワー変更手段と、光ディスクに設けられた試し記録領域の複数のレーザーパワー記録実施領域の各々に、レーザーパワー変更手段で変更された複数のレーザーパワーで記録を実施する記録手段と、複数のレーザーパワー記録実施領域の再生信号から最適なレーザーパワーを決定する決定手段と、光ディスクのレーザー光が照射される位置の移動方向に沿って連続となるように複数のレーザーパワー記録実施領域を光ディスクに割り当てるとともに、移動方向における割り当てられた複数のレーザーパワー記録実施領域の後端の後方に隣接する位置に、決定手段による最適なレーザーパワーを決定する前にレーザー光によって記録が施され且つ決定手段での最適なレーザーパワーの決定には利用されないダミー記録領域を割り当てる割り当て手段とを備えている。
この発明による光ディスク装置では、上記のように、割り当て手段によって、割り当てられた複数のレーザーパワー記録実施領域の移動方向の後端の後方に隣接する位置に、レーザー光によって記録が施され且つ決定手段での最適なレーザーパワーの決定には利用されないダミー記録領域が設けられることによって、レーザーパワー記録実施領域の再生信号を再生して、最適なレーザーパワーを決定する場合、レーザーパワー記録実施領域の再生信号を再生する前に、ダミー記録領域の再生信号を再生することができる。これにより、再生信号が記録されていない未記録領域から所定のレーザーパワーで記録が施されたレーザーパワー記録実施領域の再生信号を再生する場合と異なり、再生信号が大きく変動するのを抑制することができる。したがって、最適なレーザーパワーを決定する際に、変動していない再生信号を用いて最適なレーザーパワーを評価することができるので、光ディスクに対する最適なレーザーパワーを正確に決定することができる。
この場合、好ましくは、ダミー記録領域に対する一定のレーザーパワーでの記録におけるレーザーパワー情報が、光ディスクの所定の領域に予め記録されている。このように構成すれば、容易に、ダミー記録領域に対するレーザーパワーを決定することができる。
上記光ディスク装置において、好ましくは、記録手段は、複数のレーザーパワー記録実施領域のうちでダミー記録領域に隣接するレーザーパワー記録実施領域のレーザーパワーが最も大きく、ダミー記録領域から離れるに連れてレーザーパワーが小さくなるように記録を実施する。これにより、レーザーパワーが低い場合にレーザーパワー記録実施領域が未記録となることに起因した不具合を未然に防ぐことができる。
上記光ディスク装置において、好ましくは、記録手段は、ダミー記録領域及び複数のレーザーパワー記録実施領域のうちでダミー記録領域のレーザーパワーが最も大きく、ダミー記録領域から離れたレーザーパワー記録実施領域ほどレーザーパワーが小さくなるように記録を実施する。これにより、ダミー記録領域及び複数のレーザーパワー記録実施領域を容易に作成することができる。
そして、この場合に、記録手段は、複数のレーザーパワー記録実施領域から離れるにしたがって大きなレーザーパワーで記録が行われるように、レーザーパワー変更手段で変更された複数のレーザーパワーでダミー記録領域に記録を実施してもよい。これにより、ダミー記録領域及び複数のレーザーパワー記録実施領域をさらに容易に作成することができる。
上記光ディスク装置において、好ましくは、レーザーパワー記録実施領域に複数のレーザーパワーで記録するより前に、ダミー記録領域に所定のレーザーパワーで記録するように記録手段を制御する制御手段をさらに備えている。このように構成すれば、レーザー光が照射される位置の移動方向の順(「ダミー記録領域」→「レーザーパワー記録実施領域」)に記録を実施することができるので、書き込み時間が増大するのを抑制することができる。
上記光ディスク装置において、好ましくは、決定手段は、レーザーパワー記録実施領域の再生信号から得られるビットエラーレートを指標として、最適なレーザーパワーを決定する。このように構成すれば、ビットエラーレートとレーザーパワーとの関係から容易に最適なレーザーパワーを決定することができる。
この発明のプログラムは、レーザー光を光ディスクに照射することによって情報を記録し再生する光ディスク装置の各部を制御するコンピュータを、レーザー光のレーザーパワーを変更することが可能なレーザーパワー変更手段と、光ディスクに設けられた試し記録領域の複数のレーザーパワー記録実施領域の各々に、レーザーパワー変更手段で変更された複数のレーザーパワーで記録を実施する記録手段と、複数のレーザーパワー記録実施領域の信号再生から最適なレーザーパワーを決定する決定手段と、光ディスクのレーザー光が照射される位置の移動方向に沿って連続となるように複数のレーザーパワー記録実施領域を光ディスクに割り当てるとともに、移動方向における割り当てられた複数のレーザーパワー記録実施領域の後端の後方に隣接する位置に、決定手段による最適なレーザーパワーを決定する前にレーザー光によって記録が施され且つ決定手段での最適なレーザーパワーの決定には利用されないダミー記録領域を割り当てる割り当て手段として機能させる。
この発明によるプログラムでは、上記のように、割り当て手段によって、割り当てられた複数のレーザーパワー記録実施領域の移動方向の後端の後方に隣接する位置に、レーザー光によって記録が施され且つ決定手段での最適なレーザーパワーの決定には利用されないダミー記録領域が設けられることによって、レーザーパワー記録実施領域の再生信号を再生して最適なレーザーパワーを決定する場合、レーザーパワー記録実施領域の再生信号を再生する前に、ダミー記録領域の再生信号を再生することができる。これにより、再生信号が記録されていない未記録領域から所定のレーザーパワーで記録が施されたレーザーパワー記録実施領域の再生信号を再生する場合と異なり、再生信号が大きく変動するのを抑制することができる。したがって、最適なレーザーパワーを決定する際に、変動していない再生信号を用いて最適なレーザーパワーを評価することができるので、光ディスクに対する最適なレーザーパワーを正確に決定することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による光ディスク装置のブロック図である。図2は、第1実施形態による光ディスク装置で利用される追記型の光ディスクを示した平面図であり、図3は、第1実施形態による光ディスク装置により割り当てられた試し記録領域を示した図である。図4は、試し記録領域に照射されるレーザー光の振幅及びパルス幅と生成されるマーク及びスペースとの関係を示した図である。図5及び図6は、レーザーパワーとエラーレートとの関係を示したグラフである。まず、図1〜図6を参照して、光ディスク装置1の構成について詳細に説明する。
第1実施形態の光ディスク装置1は、光ピックアップ10から照射されたレーザー光によって光ディスク100へ情報の記録を行うとともに、光ピックアップ10から照射されたレーザー光の光ディスク100からの反射光により情報の再生を行う。そして、この光ディスク装置1は、光ディスク100のユーザデータ領域100a(図2参照)に所望のデータを記録する前に、ユーザデータ領域100aに内周に設けられた試し記録領域100b(図2参照)に様々なレーザーパワーで試し記録を行うことによって、光ディスク装置1−光ディスク100間の最適なレーザーパワーを決定する。なお、本実施形態では、光ディスク100は追記型である。
この光ディスク装置1は、図1に示すように、光ディスク100に対して記録・再生を行う光ピックアップ10と、光ピックアップ10を径方向に移動させる駆動源となるスレッドモータ20と、光ディスク100を回転させる駆動源となるスピンドルモータ30と、スレッドモータ20及びスピンドルモータ30の動作を制御するモータドライバ40と、後述する光ピックアップ10のレーザー光源12の動作を制御するレーザードライバ50と、光ピックアップ10から供給された信号を処理して他のブロック(A/Dコンバータ70及び制御回路80の信号処理回路81)が必要とする信号を生成するRF処理回路60と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ70(Analog Digital Converter)と、光ディスク装置1の各ブロックの動作を統括する制御回路80と、インターフェース90とを備えている。光ディスク装置1は、その内部に設けられたROM(Read Only Memory)に格納されたプログラムにしたがって動作することによって、以下に記載するような各種の動作を行う。
光ピックアップ10には、対物レンズ11およびレーザー光源12が設けられている。そして、レーザー光源12から出射した光は、対物レンズ11で集光され光ディスク100の記録面に照射される。これにより、光ディスク100への情報の記録が行われる。また、光ディスク100からの反射光は、対物レンズ11を介して、図示しない光検出部において電流信号に変換されて、RF処理回路60に出力される。これにより、光ディスク100に記録された情報の再生が行われる。
また、本実施形態では、光ピックアップ10は、試し記録の際に、レーザードライバ50に設定された後述する基準記録レーザー情報に基づいて定められた様々なレーザーパワーで、光ディスク100の試し記録領域100bに設けられた信号品質評価対象ブロックB4〜B15(図3参照)に記録を実施する。この信号品質評価対象ブロックB4〜B15の各々には、図4に示すようなマルチパルスのレーザー光により複数の記録単位(マーク、スペース)が形成される。マークは非結晶質の状態であり反射光が少なく、スペースは結晶質の状態であり反射光が大きい。具体的には、光ピックアップ10は、レーザー光が照射される位置の移動方向(A方向)に沿ってレーザーパワー(図4のハッチングの面積)が低下するように、B4を「+22%」、B5を「+18%」、・・・、B14を「−18%」、B15を「−22%」のレーザーパワーで記録する。なお、上記したレーザーパワーは、基準記録レーザー情報により定められるレーザーパワーを基準(0%)とした値であり、この基準記録レーザー情報は、光ディスク100の図示しない書き換え不可領域に記録されている。
また、本実施形態では、光ピックアップ10は、試し記録の際に、レーザードライバ50に設定された後述する同一レーザーパワー情報に基づいて、ダミー記録領域としての同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3(図3参照)の各々に同一のレーザーパワーで記録を実施する。なお、上記した同一レーザーパワー情報も、光ディスク100の書き換え不可領域に記録されている。
スレッドモータ20は、モータドライバ40からのスレッドモータ駆動信号を受信して駆動するように構成されている。そして、スレッドモータ20の回転駆動力は、図示しない中間伝達部によって直線駆動力に変換されて、光ピックアップ10をディスクの径方向へ往復移動させる。また、スレッドモータ20内には、N極とS極とが交互に磁化されたリング状のマグネットと、ホール素子とが設けられており、その出力がDSP(Digital Signal Processor)により構成されたデジタルサーボ処理回路82に送信される。
スピンドルモータ30は、情報の読み取り時または情報の書き込み時に、光ディスク100を回転させるために設けられている。このスピンドルモータ30は、モータドライバ40からのスピンドルモータ駆動信号を受信して、駆動するように構成されている。
モータドライバ40は、上記したスレッドモータ20及びスピンドルモータ30を駆動させるスレッドモータ駆動信号及びスピンドルモータ駆動信号を送信する機能を有している。
レーザードライバ50は、インターフェース90を介してデータ記録要求が発生した時に、信号処理回路81から送信された後述する記録データを受信して、当該記録データに対応するレーザー光を発生させる記録信号を光ピックアップ10のレーザー光源12に出力する機能を有している。これにより、光ディスク100のユーザデータ領域100aに所望のデータが記録される。また、レーザードライバ50は、インターフェース90を介して試し記録要求が発生した時に、光ディスク100の書き換え不可領域に予め記録された基準記録レーザー情報を受信して、図4に示したマルチパルスのレーザー光を発生させる記録信号を光ピックアップ10のレーザーに出力する。これらにより、レーザー光源12がパルス発光して、その光が対物レンズ11を通して光ディスク100の記録面へと集光されることによって光ディスク100のユーザデータ領域100a及び試し記録領域100bに記録が実施される。また、本実施形態では、レーザードライバ50は、後述する制御用マイコン83に制御され、レーザーの振幅及びパルス幅を可変して、レーザーパワーを変更する機能を有している。これにより、光ディスク100の信号品質評価対象ブロックB4〜B15の各々に、様々なレーザーパワーのレーザー光を照射して、マーク及びスペースを形成することが可能となる。
RF処理回路60は、光ピックアップ10により検出された電流信号を、電圧信号に変換する機能を有している。このRF処理回路60により出力される電圧信号のうち、データを有するRF信号に対応する光検出信号は、位相が正反対の2つの信号からなる。そして、この光検出信号は、RF処理回路60により差動増幅された後、AGC処理が施されて信号処理回路81に送信される。
A/Dコンバータ70は、光ピックアップ10により検出されてRF処理回路60により処理されたトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号などのエラー信号をデジタル信号に変換するために設けられている。このデジタル信号は、制御回路80のデジタルサーボ処理回路82に送信される。
制御回路80は、信号処理回路81、デジタルサーボ処理回路82及び制御用マイコン83を備えている。なお、光ピックアップ10とRF処理回路60、及び、RF処理回路60と制御回路80は、それぞれ、コンデンサ(図示せず)を介してAC接続されている。
そして、信号処理回路81は、光ディスク100の再生時に、RF処理回路60によりAGC処理が施された信号を、NRZI(Non-Return-to-Zero Invert)変換、ビタビ複合、デインターリーブ、エラー訂正などの処理を経て復号化し、インターフェース90を経て外部へと出力する。一方、光ディスク100への記録時には、信号処理回路81は、インターフェース90を経て外部から入力された信号を、パリティーコード付加、インターリーブ、データ変調、NRZI変換などを行い、光ディスク100への記録データとする。そして、この記録データは、レーザードライバ50に出力される。
デジタルサーボ処理回路82は、光ピックアップ10の位置に対応した線速度で回転するように光ディスク100を制御するとともに、レーザー光源12から対物レンズ11を介して照射されたレーザー光を常時光ディスク100の記録面に集光させるフォーカス制御を行う機能を有している。また、デジタルサーボ処理回路82は、光ピックアップ10が光ディスク100に刻まれた案内溝に沿うようにトラッキング制御を行う機能も有している。具体的には、デジタルサーボ処理回路82は、光ピックアップ10での光検出、RF処理回路60による変換処理、A/Dコンバータ70によるデジタル信号変換を経た信号を処理して、光ディスク100の回転誤差信号、フォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号を送信する。そして、デジタルサーボ処理回路82により処理された各信号は、モータドライバ40を介して、スピンドルモータ30、スレッドモータ20、光ピックアップ10内のアクチュエータの駆動信号となり、光ディスク100の回転制御、フォーカス制御、トラッキング制御を行う。
さらに、デジタルサーボ処理回路82は、光ピックアップ10により検出された光ディスク100の案内溝の再生信号を復調して、制御用マイコン83へ送信する。これにより、制御用マイコン83は、光ピックアップ10の位置情報を管理することが可能となる。
制御用マイコン83は、図示しないROMやハードディスクに内蔵されたプログラムに基づき、制御回路80の中心となって光ディスク装置1全体の制御を統括する。また、本実施形態では、制御用マイコン83は、光ピックアップ10のレーザー光源12から照射されるレーザー光の振幅及びパルス幅を変更するようにレーザードライバ50を制御している。さらに、本実施形態では、制御用マイコン83は、信号処理回路81やデジタルサーボ処理回路82とともに、光ディスク100の試し記録領域100bの信号品質評価対象ブロックB4〜B15の再生信号をビットエラーにより評価して、最適なレーザーパワーを決定する機能も有している。このビットエラーは、再生信号のエラーを論理的に訂正する最小領域であるクラスタよりも小さい領域を使用して検出される。
レーザー光のレーザーパワーとビットエラーレートとの関係は、図5に示すように、所定のレーザーパワーでビットエラーレートが最小となり、そのレーザーパワーからずれるに従ってビットエラーレートが悪化する。試し記録は、ビットエラーレートが最小となる最良点付近を検出する目的で行われ、この検出によって光ディスク100−光ディスク装置1間の最適なレーザーパワーが制御用マイコン83によって決定される。なお、本実施形態の追記型の光ディスク100は、図6に示すように、書換型の光ディスクと比較してレーザーパワーの変化に対して感度が高く、レーザーパワーの変化に対してビットエラーレートの変化量が大きい。また、小さいレーザーパワーでは、光ディスク100にマークが急激に形成されにくくなり、未記録とほとんど変わらない状態となる。
また、制御用マイコン83には図示しないメモリが設けられており、光ディスク100の書き換え不可領域に記録されている基準記録レーザー情報を格納する機能を有している。基準記録レーザー情報は、図4に示したマルチパルスのレーザー光を生成するものであり、光ディスク100が対応している記録速度や記録層毎に記載されている。
ここで、第1実施形態では、制御用マイコン83は、光ディスク100のレーザー光が照射される位置の移動方向(図3に示す矢印A方向)に沿って連続となるように複数の信号品質評価対象ブロックB4〜B15を光ディスク100の試し記録領域100bに割り当てる。さらに、制御用マイコン83は、割り当てられた信号品質評価対象ブロックB4に対してB方向に隣接する位置に、同一のレーザーパワーによって記録が施され、且つ、最適なレーザーパワーの決定には利用されない同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3を割り当てる。
また、第1実施形態では、制御用マイコン83は、信号品質評価対象ブロックB4〜B15に様々なレーザーパワーで記録を実施するより前に、同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3に同一のレーザーパワーで記録を実施するように光ピックアップ10を制御する機能も有している。
次に、第1実施形態の光ディスク装置1による試し記録を詳細に説明する。
光ディスク100には、図2に示すように、所望のデータを書き込むことが可能なユーザデータ領域100aとは別個に試し記録で使用する試し記録領域100bが設けられている。この試し記録領域100bは、光ディスク100の内周付近に設けられている。この試し記録領域100bにおいて、図3に示すように、再生信号のエラーを論理的に訂正する最小単位である1クラスタを、さらに16分割した単位であるブロックの各々に記録を実施して、1クラスタの内の信号品質評価対象ブロックB4〜B15によって信号品質評価を行う。本実施形態では、1クラスタを16分割にしているがこれに限定されない。
信号品質評価は、例えば、“特開2003−178537号公報”に記載されているような方法を用いることにより実現することができる。光ディスク装置1においては、信号処理回路81のビタビ復号動作の過程で実施されるSAM(Sequenced Amplitude Margin)値演算に加え、閾値SL1およびSL2より小さい部分の相対度数R1およびR2を測定する機能を有する。制御マイコンが、SL1、SL2の設定とR1、R2の取り出しを行い、制御用マイコン83内のメモリに予め作成しておいたルックアップテーブルを参照することによって、ビットエラーレートを得る。これによって信号品質評価を実施する。
また、試し記録領域100bは、図3に示すように、光ディスク100におけるレーザー光照射位置の移動方向(A方向)とは反対方向(B方向)に向かって使用される。なお、上記したレーザー光の移動方向とは、光ディスク100に対するレーザー光の照射位置の相対的な進行方向とする。すなわち、光ディスク100の記録再生動作はレーザー光の移動方向(A方向)に沿って行なわれるものの、試し記録領域100bは、レーザー光の移動方向とは反対方向(B方向)沿って使用される。したがって、新たに試し記録を行う場合は、前回使用した同一レーザーパワー記録ブロックB0に対してB方向に隣接する領域を使用する。
以下、図7のフローチャートに沿って説明する。図7は、第1実施形態による光ディスク装置による最適なレーザーパワーを決定する手順を示したフローチャートである。
まず、制御用マイコン83は、光ディスク100がセットされると(ステップS1:Yes)、ディスク種別判定や光ディスク100に応じたサーボ調整を実施した後、光ディスク100の書き換え不可領域に記録されている基準記録レーザー情報及び同一レーザーパワー情報を取り出して、制御用マイコン83内に設けられたメモリに格納する(ステップS2)。なお、光ディスク100がセットされない場合(ステップS1:No)には、光ディスク100がセットされるまで、この判断が繰り返される。
そして、インターフェース90を経て外部より試し記録要求が発生すると(ステップS3:Yes)、制御用マイコン83は、メモリに格納した基準記録レーザー情報及び同一レーザーパワー情報を取り出して、レーザードライバ50に設定する(ステップS4)。なお、試し記録要求を受信しない場合(ステップS3:No)には、この試し記録要求が発生するまで、この判断が繰り返される。
次に、光ディスク100の試し記録領域100b内の未記録領域(図3参照)を検索して、信号品質評価に使用する領域(12個の信号品質評価対象ブロックB4〜B15)と、信号品質評価には使用されない領域(4個の同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3)とが制御用マイコン83によって割り当てられる(ステップS5)。未記録領域と記録領域との境界検出は、再生信号の振幅レベルから判断する。例えば、1クラスタを16分割したブロックをさらに4分割し、再生時に閾値を超える振幅が得られた領域が3個を超える場合(すなわち3/4ブロックで信号あり)に記録領域ブロックとするような方法で行うが、これに限定されない。このとき、同一レーザーパワー記録ブロックの数は、同一レーザーパワー記録ブロック再生信号の再生開始からの変動時間(再生信号のトップレベルとボトムレベルとの差が所定値以下になるまでの時間)があらかじめ分かっているのであれば、その変動時間に対応した固定数としてよい。光ディスク100ごとに変動時間が大きく異なることが見込まれる場合は、基準記録レーザーパワーで記録した領域を再生したときの振幅変動最大値(未記録領域から記録領域に入った直後における再生信号のピーク値)をRF処理回路5にて測定した後、振幅変動最大値から変動時間を計算し、計算で求められた変動時間に対応した数としてもよい。あるいは、上記のように測定された振幅変動最大値から、制御用マイコン83内に設けられた(同一パワー記録ブロックの数)対(振幅変動最大値)のルックアップテーブルを利用して求めてもよい。これらの手法は、いずれも、同一レーザーパワー記録ブロックの数、つまりダミー記録領域の大きさを、光ディスク100の再生信号の再生開始からの変動時間に対応した大きさに決定するものである。
続いて、第1実施形態では、同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3に対して、既にレーザードライバ50に設定済みの同一レーザーパワー情報から生成されるレーザーパワーで記録を行う(ステップS6)。このとき、光ディスク100の1回転だけでレーザー光による記録が完了するようにするが、複数回転で記録が完了するようにしてもよい。
次に、同一レーザーパワー記録ブロックB3に続く信号品質評価対象ブロックB4〜B15に対し、様々なレーザーパワーで記録を行う(ステップS7)。第1実施形態では、既にレーザードライバ50に設定済みの基準記録レーザーパワー情報から生成されるレーザーパワーに対し、図4に示したPw、Pe、Pbの3値を変更することによって、「+22%」のパワーから「−22%」の間の複数の条件で記録を行う。第1実施形態では、B4を「+22%」、B5を「+18%」、・・・、B14を「−18%」、B15を「−22%」で記録する。同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3及び信号品質評価対象ブロックB4〜B15への記録は、光ディスク100の1回転だけで完了するようにするが、複数回転で記録が完了するようにしてもよい。
記録におけるレーザーパワーの序列はこれに限定されるものではないが、高パワー領域ほど同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3側へ配置する、つまり、12個の信号品質評価対象ブロックB4〜B15のうちで同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3に隣接する信号品質評価対象ブロックB4のレーザーパワーが最も大きく、同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3から離れた信号品質評価対象ブロックB4〜B15ほどレーザーパワーが小さくなるように記録を実施するのが望ましい。これは、追記型の光ディスク100の場合、低いレーザーパワーで記録を行うと、信号品質評価対象ブロックB4〜B15のマークの形成が急激に損なわれ、未記録と変わらない領域を生成してしまうためである。例えば、未記録の領域がB10の位置に生成されると、その部分で再生信号が図9のように変動してB11〜B15の正しい評価が行われなくなる。B4からB15に向かうに従ってレーザーパワーを低下させておけば、例えばB12で未記録となった場合でも、B13、B14、B15も未記録となることが分かるため、最適なレーザーパワーの決定時に所定の閾値を満たさないビットエラーレートを持った信号品質評価対象ブロックを除外することで、影響を避けることができる。
ステップS7の結果、未記録領域から記録領域へ突入時の再生信号変動対策として同一のレーザーパワーで記録された同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3と、信号品質評価対象として様々なレーザーパワーで記録された信号品質評価対象ブロックB4〜B15とが形成される。本実施形態では、同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3及び信号品質評価対象ブロックB4〜B15を1つのクラスタ内で構成する例を示したが、複数のクラスタにまたがってもよいし、1クラスタに満たなくてもよい。
同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3及び信号品質評価対象ブロックB4〜B15が形成された後、測定を行うための再生動作制御を行う(ステップS8)。制御用マイコン83は、光ピックアップ10を同一レーザーパワー記録ブロックB0の前方の位置で安定再生動作させるよう制御する。さらに、同一レーザーパワー記録ブロックB0に到達する前にRF処理回路60のAGC機能を固定ゲインに変更する。これはAGCの動作でゲインが自動更新されることにより、未記録領域から記録領域への突入時の応答特性が変化し、信号処理回路81でのビタビ復号やSAM値に影響が出るのを避けることを目的としている。ただし、ビタビ復号やSAM値への影響を考慮しない場合には、固定ゲインに変更しなくてもよい。
再生信号の測定は、同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3から先頭の信号品質評価対象ブロックB4へ光ピックアップ10が移動した時点から開始する。つまり、各ブロックB0〜B15の再生信号の内、信号品質評価対象ブロックB4〜B15の再生信号を用いてビットエラーを得る。具体的には、信号処理回路81において、ビタビ復号動作が開始され、予め制御用マイコン83によって設定されたSL1およびSL2よりも小さいSAM値となった個数を、それぞれR1およびR2としてB4からB15のそれぞれのブロック単位でカウントする。制御用マイコン83は、測定が終了した時点でR1およびR2を取り出し、制御用マイコン83内にあらかじめ設けられたルックアップテーブルを参照することによって、ビットエラーを得る。
この測定によって、図5に示すようなビットエラーレートとレーザーパワーとの関係が得られて、最適なレーザーパワーを検出することができた場合(ステップS9:Yes)は、当該最適なレーザーパワーをレーザードライバ50に設定する(ステップS10)。この際、所定の閾値を満たさない信号品質評価対象ブロックのレーザーパワーは除外することにより、最適な記録レーザーパワーを求める。実際には、測定時のバラつきや光ディスク100内のバラつき等の要因が含まれるため、測定を複数回数実施してその平均値を使用したり、図4におけるクラスタNの記録をクラスタN−1にも実施して、2つのクラスタの測定結果を使用したりしてもよい。また、得られたビットエラーレートとレーザーパワーとの関係を2次曲線に近似し、その微分係数が0となるレーザーパワーを最適なレーザーパワーとしても良い。また、最適なレーザーパワーを検出することができない場合(ステップS9:No)は、エラーとする。
本実施形態では、上記のように、信号品質評価対象ブロックB4に対してB方向に隣接する位置に、同一のレーザーパワーによる記録が施され且つ最適なレーザーパワーの決定には利用されない同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3を設けることによって、信号品質評価対象ブロックB4〜B15の再生信号を再生して最適なレーザーパワーを決定する場合、信号品質評価対象ブロックB4〜B15の再生信号を再生する前に、同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3の再生信号を再生することができる。これにより、再生信号が記録されていない未記録領域から所定のレーザーパワーで記録が施された信号品質評価対象ブロックを再生して最適なレーザーパワーを決定する場合と異なり、図9に示したように再生信号が大きく変動するのを抑制することができる。したがって、最適なレーザーパワーを決定する際に、変動していない再生信号を用いて最適なレーザーパワーを評価することができるので、光ディスク100に対する最適なレーザーパワーを正確に決定することができる。
また、本実施形態では、レーザー光の相対的な移動方向(A方向)の順(「同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3」→「信号品質評価対象ブロックB4〜B15」)に従って記録を実施することで、書き込み時間が増加するのを抑制することができる。
(第2実施形態)
この第2実施形態では、第1実施形態と異なり、信号品質評価対象ブロックの前方の領域に、信号品質評価対象ブロックと同様に様々なレーザーパワーで記録を実施するダミー記録領域を設ける例について説明する。なお、第2実施形態では、試し記録領域のダミー記録領域以外は、上記した第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。図8は、第2実施形態による光ディスク装置により割り当てられた試し記録領域を示した図である。
第2実施形態では、光ピックアップ10は、試し記録の際に、レーザードライバ50に設定された後述する基準記録レーザー情報に基づいて定められた様々なレーザーパワーで、光ディスク100の試し記録領域100bに設けられたダミー記録ブロックB0〜B3及び信号品質評価対象ブロックB4〜B15(図8参照)に記録を実施する。このダミー記録ブロックB0〜B3及び信号品質評価対象ブロックB4〜B15の各々には、図4に示すようなマルチパルスのレーザー光により複数の記録単位(マーク、スペース)が形成される。具体的には、光ピックアップ10は、レーザー光の移動方向(A方向)に沿ってレーザーパワーが低下するように、B0を「+38%」、B1を「+34%」、B2を「+30%」・・・、B14を「−18%」、B15を「−22%」のレーザーパワーで記録する。なお、上記したレーザーパワーは、基準記録レーザー情報により定められるレーザーパワーを基準(0%)とした値であり、この基準記録レーザー情報は、光ディスク100の図示しない書き換え不可領域に記録されている。
ここで、第2実施形態では、制御用マイコン83は、光ディスク100のレーザー光が照射される位置の移動方向に沿って連続となるように複数の信号品質評価対象ブロックB4〜B15(図8参照)を光ディスク100の試し記録領域100bに割り当てる。さらに、制御用マイコン83は、割り当てられた信号品質評価対象ブロックB4(図8参照)に対してB方向に隣接する位置に、最適なレーザーパワーの決定には利用されないダミー記録ブロックB0〜B3(図8参照)を割り当てる。つまり、4つのダミー記録ブロックB0〜B3と12個の信号品質評価対象ブロックB4〜B15とを比較すると、4つのダミー記録ブロックB0〜B3のほうがレーザーパワーが大きく、4つのダミー記録ブロックB0〜B3から離れた信号品質評価対象ブロックB4〜B15ほどレーザパワーが小さく、4つのダミー記録ブロックB0〜B3のなかでは信号品質評価対象ブロックB4〜B15から離れるにしたがって大きなレーザパワーで記録が行われる。
また、第2実施形態では、制御用マイコン83は、信号品質評価対象ブロックB4〜B15(図8参照)に様々なレーザーパワーで記録を実施するより前に、ダミー記録ブロックB0〜B3(図8参照)に上記したレーザーパワーで記録を実施するように光ピックアップ10を制御する機能も有している。
第2実施形態では、上記のように、第1実施形態と異なり、クラスタNの先頭ブロックから順にレーザーパワーを低下させて記録していくだけで、容易に、ダミー記録ブロックB0〜B3及び信号品質評価対象ブロックB4〜B15を作成することができる。つまり、第1実施形態に比べて、第2実施形態の方が処理的に単純となるため、試し記録による最適なレーザーパワーを決定するまでの時間を短縮することができるとともに、プログラムの縮小化に繋げることができる。特に、リアルタイムに記録するような用途の場合には、最適なレーザーパワーを決定するまでの時間に比例したバッファを持つ必要があるため、コストに与える影響が大きいが、第2実施形態では、バッファに費やされるコストが増大するのを抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
一例として、試し記録領域とクラスタとは無関係であってよく、試し記録領域が複数のクラスタに跨ってもよい。また、信号品質評価対象ブロックB4〜B15内でのレーザーパワーの大小は、同一レーザーパワー記録ブロックB0〜B3又はダミー記録ブロックB0〜B3に近いほど大きくなるようになっていなくてもよく、ランダムであってもよい。同様に、ダミー記録ブロックB0〜B3内でのレーザーパワーの大小もランダムであってもよい。