以下、この発明の実施の一形態について説明する。この発明では、構成可能なスピーカ配置をパターン化し、簡易な名称と対応付けて予めAV音響機器に登録しておく。ユーザは、登録されたパターンの中から実際の配置に対応する構成を選択するだけで、AV音響機器におけるスピーカ設定を行うことができる。
図1は、AV音響機器100の一例の接続を示す。ここでは、AV音響機器100は、5.1chシステムに対応しているものとする。AV音響機器100は、フロントパネルに対して、ボリューム操作や入力切換などを操作する操作部110が設けられると共に、AV音響機器100の各種設定内容などの表示を行う表示部111と、諸設定を行うための設定操作部112が設けられる。表示部111は、例えば数文字乃至十数文字が表示可能な行が1乃至数行で構成される。
AV音響機器100は、5.1chシステムに対応し、6台のスピーカFL、FR、C、SL、SR、SWが接続可能とされる。スピーカFLおよびFRは、左右のフロントスピーカである。スピーカCは、センタスピーカである。スピーカSLおよびSRは、左右のサラウンドスピーカである。スピーカSWは、サブウーファスピーカである。
AV音響機器100に、AV再生機器として例えばDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ102が接続される。また、AV音響機器100に、映像モニタ装置101が接続される。DVDプレーヤ102で再生された映像信号は、AV音響機器100を介して映像モニタ装置101に供給され、画面に映出される。DVDプレーヤ102で再生された音声信号は、AV音響機器100に供給され、所定に信号処理されて、接続された各スピーカFL、FR、C、SL、SR、SWに供給され、音声が出力される。ユーザは、各スピーカFL、FR、C、SL、SR、SWを適切に配置することで、サラウンド音響を楽しむことができる。
このようなシステムにおいて、ユーザがサラウンド音響を快適に楽しむためには、AV音響機器100に対し、スピーカFL、FR、C、SL、SR、SWの構成(配置、接続形態など)に応じてスピーカ設定を行う必要がある。この実施の一形態によるAV音響機器100は、内部にメモリを有し、構成可能なスピーカの組み合わせパターンに応じたスピーカ設定が予め記憶されている。AV音響機器100に対してスピーカ設定を行うのに先立って、ユーザは、自身のシステムのスピーカ構成がAV音響機器100に予め登録されているどのパターンと一致するか、あるいは近い構成であるかを知る必要がある。表示部111の表示に基づき設定操作部112を操作することで、メモリに記憶されたパターンから自身のシステムのスピーカ構成に一致する、あるいは近い構成を選択し、スピーカ設定を行うことができる。
ここで、AV音響機器において構成可能なパターンの種類について、5.1chシステムを例にとって考える。5.1chシステムでは、左右のフロントスピーカFL、FR、センタスピーカC、左右のサラウンドスピーカSL、SRおよびサブウーファSWが接続可能である。これら全てのスピーカを接続することで、5.1chシステムが構築される。また、全てのスピーカを接続しないで用いることもできる。この場合には、接続されていないスピーカが対応するチャンネルの信号を無視したり、AV音響機器1内部の音響処理により、接続されていないスピーカの音響を接続されているスピーカを用いて補ったりする。
また、各スピーカについて、再生される帯域に関連してサイズが定義される。例えば、全帯域再生用のスピーカは、大きい(Large)スピーカとされ、中高帯域再生用のスピーカは、小さい(Small)スピーカとされる。
システム構成の際に、より実際的な使用を鑑み、以下のような2つの制限を設ける。
1.左右のフロントスピーカFL、FR無しの構成は選択不可。
2.フロントスピーカFL、FRが小さいスピーカのとき、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRについて、大きいスピーカは選択不可。
この2つの条件を加味した場合、先ず、フロントスピーカFL、FR、センタスピーカC、サラウンドスピーカSL、SRおよびサブウーファSWの有無によるスピーカ構成のパターンは、図2に示されるように、8パターン存在する。
さらに、フロントスピーカFL、FRの大小、ならびに、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRの有無および大小によるスピーカ構成のパターンが図3に示されるように、26パターン存在する。なお、図3において、上述の2つの条件から外れるすなわち選択不可のものは、斜線を付して示す。
このパターンのそれぞれに、互いを識別するための識別符号を付与する。この識別符号は、互いを識別可能であればパターンそれぞれ独自の名称でもよいし、「1」、「2」、「3」、・・・や「A」、「B」、「C」、・・・といった番号や記号でもよい。この、パターンのそれぞれに付与された識別符号を、以下では、パターン番号と称する。AV音響機器1の表示部に表示可能な文字数が数文字程度に制限されている場合は、パターン番号を記号や番号で表示するのが表示部を有効に利用でき、好ましい。
これに限らず、それぞれのパターンに対応するスピーカ数を表すように、例えばサブウーファSW以外のスピーカ数と、サブウーファSWの有無とでパターン番号を構成してもよい。この場合、一例として、パターン番号を3桁で構成し、3桁の文字のうち最初の桁をサブウーファSW以外のスピーカ数とし、2桁目を例えば「−(ハイフン)」などの区切り記号、3桁目をサブウーファSWの有無を「0」または「1」で表すことが考えられる。すなわち、図2および図3の最下段に示されるように、例えば「フロントスピーカFL、FR有り、センタスピーカC有り、サラウンドスピーカSL、SR有り、サブウーファSW無し」の場合、「5−0」と表される。以下では、パターン番号としてこの3桁の表示を用いるものとする。
上述したように、AV音響機器100において、内部に設けられるメモリに、これらパターン番号と、パターン番号に対応したスピーカ設定を行うためのAV音響機器100内部の各種パラメータなどが関連付けられて記憶される。パターン番号を指定することで、パターン番号に対応付けられた各種パラメータなどがメモリから呼び出され、AV音響機器100の各部が所定に設定される。
なお、スピーカの配置位置(横/中間/後方、上方/下方など)の情報も加味すると、構成可能なパターン数は、さらに多くなることはいうまでもない。参考までに、7.1chシステムの場合のパターンの例を図4〜図7に示す。図4〜図7に示されるように、196パターンが構成可能とされる。なお、図4、図5および図6は、それぞれ、センタスピーカCとして大きいスピーカ、小さいスピーカおよび無しを選択した例、図7は、フロントスピーカFL、FRとして小さいスピーカを選択した例である。これらの例において、サラウンドスピーカSL、SRについては配置位置を横/中間/後方から選択可能とし、サラウンドバックスピーカSBL、SRLについては配置位置が後方に固定的とされている。
このような多数のパターンの中からユーザに適切なパターンを選択させるための方法について、概略的に説明する。第1の方法としては、図8に一例が示されるように、例えばAV音響機器100の取扱説明書などに、代表的なスピーカ構成をパターンで示したテーブルを記載する方法が考えられる。テーブルは、各スピーカの有無や大小などによるスピーカ構成と、スピーカ構成のそれぞれに割り当てられたパターン番号が記述される。ユーザは、テーブルを参照することで、自身のシステムに対応するパターン番号を知ることができる。
第2の方法としては、図9に一例が示されるように、例えばAV音響機器100の取扱説明書などに、質問に順次答えていくことでパターン番号に到達できるようなチャートを記載する方法が考えられる。ユーザは、自身のスピーカ構成に基づき順を追ってチャートに回答していくことで、自身のスピーカ構成に対応するパターン番号を知ることができる。
このようにして得られたパターン番号は、ユーザによりAV音響機器100に入力され、AV音響機器100に対するスピーカ設定がなされる。例えば、設定操作部112を所定に操作し、表示部111に図10Aに一例が示されるようにスピーカ設定メニューを表示させる。そして設定操作部112に対する操作によりスピーカ設定を行うことが選択されると、次に図10Bに一例が示されるように簡略的な設定を行うか否かが表示部111に表示される。この表示に基づき設定操作部112が操作され、簡略的な設定を行うことが選択されると、図10Cに一例が示されるような、上述の図8や図9の方法で得られたパターン番号を入力する旨が表示部111に表示される。この図10Cの例では、パターン番号が表示される位置が点滅表示により強調されている。例えば設定操作部112に対する所定の操作によりパターン番号表示部分にパターン番号が順送りで表示されるので、ユーザは、自身のシステムに対応するパターン番号を選択し、選択を決定する。選択が決定されると、決定されたパターン番号に対応する各種パラメータなどがメモリから読み出され、AV音響機器100において所定にスピーカ設定がなされる。
次に、この発明の実施の一形態によるスピーカ設定について、より具体的に説明する。図11は、この発明の実施の一形態に適用可能なAV音響機器1の一例のリアパネルを示す。このように、AV音響機器1のリアパネルには、ディジタル、アナログのオーディオ信号をそれぞれ入力するための複数の入力端子、マルチチャンネル再生のための複数のスピーカ端子、ビデオ信号やコントロール信号などの入出力のための端子など、多数の端子が配置される。
より具体的に説明すると、このAV音響機器1は、7.1chサラウンドシステムに対応し、サラウンドバックスピーカSBL、SBRそれぞれの端子が設けられるスピーカ端子部10A、サラウンドスピーカSL、SRそれぞれの端子が設けられるスピーカ端子10B、センタスピーカCの端子が設けられるスピーカ端子部10C、フロントスピーカFL、FRそれぞれの端子が設けられるスピーカ端子10DおよびサブウーファSWの端子が設けられるスピーカ端子部10Eが配される。なお、スピーカ端子部10Fは、他のフロントスピーカFL、FRが接続されるためのものである。
ユーザは、リスニングルームの状況や実現したい音場環境などに合わせて、スピーカ部端子10A〜10Eならびにスピーカ端子部10Fから適宜選択してスピーカを接続する。
アナログオーディオ入出力端子部11は、アナログオーディオ信号について、入力端子と録音用の出力端子とが設けられる。アナログオーディオ信号の場合、サラウンドのそれぞれのチャンネルに対して独立的に入力端子が設けられる。アナログビデオ入力端子部12は、アナログAV信号について、入力端子と出力端子とが設けられる。
ディジタルビデオ入力端子部13は、ディジタルビデオ信号の入力端子が設けられる。
モニタ出力端子部14は、例えばテレビジョン受像機20であるビデオモニタ装置に対するビデオ信号出力を行う端子が設けられる。この図11の例では、コンポジットビデオ信号、Sビデオ信号およびディジタルビデオ信号に対応したビデオ信号出力端子がそれぞれ設けられる。なお、Sビデオ信号は、コンポジットビデオ信号に対し、輝度信号および色信号が分離されたアナログビデオ信号である。コンポーネントビデオ入出力端子部15は、コンポーネントビデオ信号の入力端子および出力端子が設けられる。
ディジタル入出力端子部16は、光ケーブルによる光ディジタルオーディオ信号の入出力端子や同軸ケーブルによるディジタルオーディオ信号の入力端子、外部からのコントロール信号の入出力を行う外部コントロール端子が設けられる。ディジタルオーディオ信号の場合、サラウンドの各チャンネルのオーディオ信号は、1本のシリアルディジタル信号に多重化されて供給される。
図12は、このAV音響機器1の一例の構成を示す。AV音響機器1は、概略的には、ディジタル信号処理部50、アナログ信号処理部55、操作入力部80、表示器85およびデータ記憶媒体86からなり、全体がマイクロコンピュータ(以下、マイコン)60により制御される。なお、図示は省略するが、マイコン60は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを有し、ROMに予め記憶されたプログラムに基づき、RAMをワークメモリとして用いてAV音響機器1の制御を行う。上述したパターン番号や、パターン番号に対応したスピーカ設定を行うためのAV音響機器1内部の各種パラメータなどが関連付けられたスピーカ設定のテーブルは、例えばこのROMに予め記憶される。
操作入力部80は、ユーザがこのAV音響機器1を操作するための各種の操作手段として、各種キー81、各種ロータリエンコーダ82、リモートコントロールコマンダ(図示しない)から送信される赤外線信号の受信部83などが設けられる。ロータリエンコーダ82は、音量を調節するためのボリュームノブや、データ入力を行うためのデータノブである。各種キー81、各種ロータリエンコーダ82は、操作に対応する制御信号を出力し、この制御信号がマイコン70に供給される。リモートコントロールコマンダは、これら各種キー81やロータリエンコーダ82を用いた操作と略同様の操作が行えるようにされ、操作に対応した制御信号を赤外線信号に変調して送信する。この赤外線信号が受信部83で受信され、受信信号が復調されて制御信号とされ、マイコン60に供給される。
表示器85は、例えばFL管(冷陰極管)などで構成され、マイコン60から供給される表示制御信号に応じた表示を行う。すなわち、マイコン60から出力された表示制御信号が図示されないドライバ回路に供給され、FL管を駆動する信号に変換される。このFL管駆動信号によりFL管において所定の表示がなされる。勿論、表示器85は、FL管に限らず、LCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)など他の表示素子を用いてもよい。
データ記憶媒体86は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Read Only Memory)のような不揮発性の書き換え可能な記憶媒体からなり、マイコン60からの命令でデータの読み出しおよび書き込みなどが行われる。例えばスピーカ設定のテーブルや、このAV音響機器1の諸設定値がバックアップデータとしてデータ記憶媒体86に記憶される。
ディジタル信号処理部50は、DIR(Digital Interface Reciever)51、デコーダ/DSP(Digital Signal Processor)52、ならびに、DAC(Digital/Analog Converter)53からなる。DIR51は、ディジタル入出力端子部16から入力された光ディジタルオーディオ信号を電気信号によるディジタルオーディオ信号に変換する。DIR51から出力されたディジタルオーディオ信号は、デコーダ/DSP52に供給される。
デコーダ/DSP52は、供給されたディジタルオーディオ信号に対するデコード処理を行うデコーダ部と、デコードされたディジタルオーディオ信号に対して信号処理を行うDSP部とからなる。
デコーダ/DSP52において、デコーダ部で、供給されたディジタルオーディオ信号が圧縮符号化された信号であれば復号化されてベースバンドのディジタルオーディオ信号とされる。また、復号されたディジタルオーディオ信号が5.1chシステムなどのマルチチャンネルの信号がシリアルディジタル信号に多重化された信号であれば、チャンネル毎のディジタルオーディオ信号に分離される。
そして、DSP部で、分離された複数チャンネルのディジタルオーディオ信号それぞれに対して所定の信号処理がなされる。例えば、データ記憶媒体86に記憶されたスピーカ設定がマイコン60に読み出され、この設定情報に基づき複数チャンネルのディジタルオーディオ信号のそれぞれに対して所定の信号処理がなされる。また、接続されるスピーカ数がチャンネルに満たない場合などは、チャンネル間で所定に信号をミックスしてチャンネル数を減らすダウンミックス処理が行われる。逆に、供給される信号のチャンネル数よりも接続されるスピーカ数が多い場合などに、チャンネル数を擬似的に増やすような処理を行うことができる。
デコーダ/DSP52から出力されたディジタルオーディオ信号は、DAC53に供給され、チャンネル毎にアナログオーディオ信号に変換され、アナログ信号処理部55に供給される。アナログ信号処理部55は、ボリューム部56、アンプ57およびリレー58を有する。ボリューム部56は、操作入力部80のボリュームエンコーダに対する操作に応じたマイコン60の制御に基づき、供給されたアナログオーディオ信号のレベルをチャンネル毎に調整する。ボリューム部56でレベル調整されたアナログオーディオ信号は、アンプ57でスピーカを駆動できるように増幅され、リレー58を介してそれぞれスピーカ端子10A〜10Fに導出される。なお、リレー58は、マイコン60の制御によりスピーカ出力を遮断するためのものである。例えば、スピーカ設定の内容に応じて、使用しないスピーカへの出力を遮断する。
なお、図12では1チャンネル分のみが示されているが、実際には、図13に一例が示されるように、対応するチャンネル数分の回路が設けられる。
ビデオ信号処理部70は、ディジタルビデオ入力端子部13、アナログビデオ入力端子部12およびコンポーネントビデオ入出力端子部15から入力されたビデオ信号に対して所定の信号処理を施し、モニタ出力端子部14に導出する。この例では、アナログビデオ信号は、ビデオ信号処理部70においてディジタルビデオ信号に変換され、ディジタル処理される。出力側でも、アナログビデオ信号出力端に導出される信号は、D/A変換されて出力される。勿論、ビデオ信号処理部70におけるビデオ信号処理は、この例に限られるわけではない。
ビデオ信号処理部70は、OSD部71を有し、マイコン60の命令に従い、OSD(On Screen Displey)用のビデオ信号(以下、OSD信号)を生成することができる。OSD信号は、他のビデオ信号と同様に、モニタ出力端子部14に導出される。OSD信号は、入力されたビデオ信号と合成することができる。OSD信号を入力ビデオ信号と切り換えて出力するようにしてもよい。
このような構成において、ユーザは、リスニングルームに適宜配置されたスピーカをスピーカ出力端子部10A〜10Fに所定に接続し後述するスピーカ設定を行う。そして、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ21のディジタルオーディオ信号出力をディジタル入出力端子部16に所定に接続すると共に、ビデオ信号出力をアナログビデオ入力端子部12に所定に接続し、また、モニタ出力端子部14をモニタ装置(テレビジョン受像機20)のビデオ入力端子に接続することで、DVDプレーヤ21の再生出力による映像および音声を楽しむことができる。
図12に示される各構成と特許請求の範囲の請求項1における各手段との一例の対応関係を示すと、出力制御手段は、マイコン60であって、マイコン60の制御によりアナログ信号処理部55の一部または全体、ならびに、ディジタル信号処理部50の一部または全体が制御されることにより、チャンネル毎の出力制御がなされる。また、テーブルは、データ記憶媒体86に記憶される。操作手段は、操作入力部80に対応付けられ、特に、設定入力部が対応される。図示されないリモートコントロールコマンダも、操作手段に対応付けることができる。表示手段は、表示器85が対応付けられる。表示手段は、請求項6においては、さらにOSD部71にも対応付けられる。なお、この対応関係は一例であって、これに限定されるものではない。
次に、上述の図8のスピーカ設定パターンのテーブルや、図9のチャートについて、より具体的に説明する。図14は、実際のリスニングルームにおけるスピーカの配置を絵で示し、各パターンを視覚的に表現したものであって、上述した図8のスピーカ設定パターンのテーブルに対応する。ユーザは、この絵を見て、自身の環境により近いものを選択する。各絵には、対応するパターン番号(「7−1」、「4−0」、「6−1」など)が記述されているので、ユーザは、自分の環境に合致したパターン番号を容易に知ることができる。この場合、絵による表示は、万国共通で理解可能であるという利点がある。
図15は、パターン番号を選択するための一例のチャートをより具体的に示す。この図15は、上述した図9に対応するものである。この図15のチャートは、上述の図9のチャートと同様、ユーザが接続したスピーカの有無をチャートに沿って順に回答していくと、最終的にパターン番号を知ることができるように構成されている。例えば、センタスピーカC有り、サラウンドスピーカSL、SR無し、サブウーファSW有りで、パターン番号「3−1」が得られる。
この図15の例では、最初にセンタスピーカCの有無を答え、次にサラウンドスピーカSL、SRやサラウンドバックスピーカSBL、SBRの有無を答え、最後にサブウーファSWの有無を答える順となっている。勿論、チャートの順番はこの例に限定されず、例えばサブウーファSWの有無を先に回答させるようになっていてもよい。
なお、チャート中に記される「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」の符号は、上述した図11中に示される符号と対応するものである。すなわち、上述の図11とこの図15のチャートとを共にユーザに提供したときに、ユーザは、AV音響機器1に接続したスピーカと図15のチャート中のスピーカとを直接的に対応付けて有無を判断することができる。
ここでは、図14の絵および図15のチャートが印刷物としてユーザに提供されるように説明したが、これはこの例に限られない。すなわち、図14の図面による選択や、図15のチャートによる選択方法を、ソフトウェア的に実現することは容易である。例えば、AV音響機器1のフロントパネルにAV音響機器1の状態などを表示するための表示部を設け、この表示部に各スピーカの部屋への配置状態を表示したり、チャートの質問を順に表示するようにできる。特に、図15に示されるチャートは、少なくとも「C」、「SL」、「SR」、「SBL」、「SBR」、「SW」といったスピーカ名と、「YES/NO」といったスピーカの有無を示す表示が表示可能であればよく、また、操作も、「YES」か「NO」かを入力できればよいので、実現は極めて容易である。図14の表示も、スピーカを表すアイコン表示などを用いれば、限られた領域で有効な表現が可能である。
次に、この発明の実施の一形態によるスピーカ設定方法について、より具体的に説明する。スピーカ設定を行うのに先立って、ユーザにより操作入力部80のキー81およびエンコーダ82が所定に操作され、スピーカ設定を行う旨がAV音響機器1に対して指示され、この指示に応じて、スピーカ設定を簡易設定で行うか否かを選択するように、表示器85に対して表示がなされる。
図16は、操作入力部80の中の、スピーカ設定などAV音響機器1に対する各種設定を行う設定入力部の構成の例を示す。図16Aは、3個のロータリエンコーダ82A、82Bおよび82Cが用いられている例である。この例では、ロータリエンコーダ82Aがメインメニューの選択用、ロータリエンコーダ82Bがメニュー内での項目選択用、ロータリエンコーダ82Cが各項目における値の選択用とされる。キー81Aは、エンターキーであって、このキー81Aを操作することで、ロータリエンコーダ82A、82Bおよび82Cを用いて設定された値を確定するようにできる。確定後は、次の選択画面の表示、設定された値のデータ記憶媒体86への記憶などの処理が、現在の操作内容に応じて適宜、行われる。
図16Bは、2個のロータリエンコーダ82Bおよび82Cと、2個のキー81Aおよび81Bとが用いられている例である。キー81Bは、図16Aのロータリエンコーダ82Aに対応し、操作する毎にメインメニューが切り換えられる。上段右側に配置されたキー81Aは、エンターキーである。また、ロータリエンコーダ82Bは、メニュー内での項目選択用、ロータリエンコーダ82Cは、各項目における値の選択用である。
図16Cは、ロータリエンコーダ82を用いずに、全てをキー81で構成した例である。上段にメインメニュー呼び出しキー81Bと、エンターキー81Aとが配置される。下段左側に配置される2個一組のキー81Cは、図16Aのロータリエンコーダ82Bに対応し、メニュー内での項目選択用のキーであって、「>」キーで項目が一つずつ送られ、「<」キーで項目が一つずつ戻される。また、下段右側の2個一組のキー81Dは、図16Aのロータリエンコーダ82Cに対応し、値選択用のキーであって、「+」キーで値が1ずつ進められ、「−」キーで値が1ずつ戻される。
図17は、表示器85の構成の例を示す。図17Aは、表示器85がスピーカ配置を表示するための表示部85Aと、1行20文字で2行分の文字表示が可能な表示部85Bとで構成される例である。図17Bは、15文字の表示が可能とされた表示器85の例である。また、図17Cは、8文字の表示が可能とされた表示器85の例である。この図17Cの例では、表示器85は、8文字が表示可能な表示部85B’と2文字が表示可能な表示部85Cとから構成されている。表示部85Cは、例えば表示部85B’の表示に対する補助的な表示を行う。なお、表示器85において、図17Bおよび図17Cの構成にスピーカ配置を表示する表示部85Bを組み合わせてもよい。
図18は、上述した図14の絵や図15のチャートを用いて得たパターン番号に基づきAV音響機器1に対してスピーカ設定を行う際の一例の処理を示すフローチャートである。なお、以下では、特に記載がない場合、設定入力部の構成が上述の図16Aによるものであるとし、表示器85が上述の図17Aの構成であるものとする。このフローチャートの処理に先立って、ユーザにより設定入力部のロータリエンコーダ82Aが操作され、メインメニューからスピーカセットアップメニューが選択される。そして、ロータリエンコーダ82Bが操作され、スピーカセットアップを簡易的に行うか否かを選択する表示がなされる。
なお、以下では、スピーカセットアップを簡易的に行うモードを、イージーセットアップと称する。詳細は後述するが、イージーセットアップでは、AV音響機器1に接続された複数のスピーカに対する設定を一括的に行うことができる。一方、接続された複数のスピーカに対する設定を、複数のスピーカのそれぞれに対して個別に行うモードを、ノーマルセットアップと称する。
図19は、イージーセットアップを行うか否かを選択する際の表示例を示す。AV音響機器1の表示部85Bに対して、図19Bに一例が示されるように、イージーセットアップを行うか否かの入力を促す表示がなされる。例えばロータリエンコーダ82Cを操作することで、括弧[]内に「YES」または「NO」が交互に表示される。「YES」に操作すると、イージーセットアップが選択される。この図19Bの表示時に、表示部85Aは、図19Cに一例が示されるような表示がなされる。また、モニタ装置に対して図19Aに一例が示されるようなOSD表示がなされる。この図19の例では、表示部85AおよびOSDにデフォルトの表示がなされているが、これはこの例に限らず、現在の設定を表示してもよい。
ロータリエンコーダ82Bの操作でイージーセットアップが選択されると、最初のステップS10で、マイコン60によりデータ記憶媒体86からバックアップデータがロードされ、図20に示されるように、マイコン60が有するRAMに一時的に記憶される。そして、RAMに記憶されたバックアップデータから、スピーカ設定のパターン番号が取得される。すなわち、取得されたパターン番号は、現在AV音響機器1に対して設定されているスピーカ設定に対応するものである。これはこの例に限らず、例えばデフォルトのスピーカ設定を常にデータ記憶媒体86に記憶させておき、これをロードするようにしてもよい。
次のステップS11で、表示器85の表示部85Bに対して取得されたパターン番号が表示される。パターン番号は、例えば図21Bに一例が示されるように、表示部85Bの下段の括弧[]内に3桁の表示(x−x)により表示される。この図21Bの例では、括弧[]内の3桁の表示のうち1桁目が接続されるスピーカ数を示し、3桁目がサブウーファSWの有無を示す。また、図21Cに一例が示されるように、表示部85Aに対して、パターン番号に対応するスピーカ配置を視覚的に示す表示がなされると共に、図21Aに一例が示されるように、パターン番号に対応するスピーカ配置を視覚的に示すOSD表示がなされる。OSD表示においては、スピーカ配置が立体的に表現されており、ユーザは、パターン番号に対応するスピーカ配置を、より直感的に把握することができる。
なお、OSD表示は、例えば、マイコン60からビデオ信号処理部70内のOSD部71に、パターン番号に対応するスピーカ配置を視覚的に示すようなOSD表示を行うOSD信号を生成するように指示が出される。この指示に基づき生成されたOSD信号がモニタ出力端子部14に導出される。これにより、モニタ装置に所定のOSD表示がなされる。
なお、この図21は、スピーカ設定のパターン番号が[7−1]の場合の例である。パターン番号[7−1]では、スピーカFL、FR、SL、SR、SBL、SBRおよびサブウーファSWの、計7台のスピーカが用いられる。
この表示器85の表示や、モニタ装置におけるOSD表示に基づき、ユーザにより設定操作部が所定に操作され、パターン番号が選択される(ステップS12)。例えば、設定操作部が図16Aまたは図16Bの構成ならば、ロータリエンコーダ82Cを所定角度回転させる(ジョグ操作)ことで、また、設定操作部が図16Cの構成ならば、キー81Dの「+」または「−」キーを1回操作することで、次のパターン番号が選択される。ステップS12のパターン番号選択の操作に合わせて、表示器85およびOSD表示が変更される(ステップS13)。なお、パターン番号は、例えば上述したステップS10の処理においてロードされたバックアップデータに含まれる。
ステップS14では、ステップS12で選択されたパターン番号が決定されたか否かが判断される。例えば、エンターキー81Aが操作されると、選択されたパターン番号が決定されたものとされる。若し、エンターキー81Aが操作されなければ、処理はステップS12に戻され、次のパターン番号が選択される。
すなわち、ロータリエンコーダ82Cを回転し続けることで、次々とパターン番号が選択されることになる。例えば、上述の図21および図22〜図26に例示されるように、ロータリエンコーダ82Cの所定角度の回転毎にパターン番号が次々と選択され、表示器85の表示およびOSD表示が選択されたパターン番号に合わせて次々と変更される。また、選択中は、表示部85Bにおいて、パターン番号が表示される部分(図21B〜図26Bの例では、下段左端側の括弧表示[]内)を点滅させるなど強調表示すると、選択中の項目内容を容易に把握でき、好ましい。
なお、上述した図21〜図26の各パターン番号に対応した表示器85およびOSDの表示は、抜粋であって、実際にはさらに多数のパターン番号および対応する表示が存在する。図27は、各パターン番号および対応するOSD表示の例を示す(繁雑さを避けるために表示器85の表示を省略する)。ロータリエンコーダ82Cを所定角度回転させる毎に、図21〜図26および図27などの各表示が所定の順番で順次、表示される。
図18のフローチャートに戻り、ステップS14でエンターキー81Aが操作され選択されたパターン番号が決定されたと判断されれば、処理はステップS15に移行し、決定されたパターン番号が保存されると共に、バックアップデータがデータ記憶媒体86にセーブされる。例えば、マイコン60のRAMに記憶されているバックアップデータのパターン番号が決定されたパターン番号で上書きされる。そして、図28に一例が示されるように、このパターン番号が上書きされたバックアップデータがデータ記憶媒体86に書き戻される。なお、バックアップデータがセーブされても、決定されたパターン番号は、マイコン60が有するRAMに保持されている。
次のステップS16では、マイコン60のROMに予め記憶されているスピーカ設定のテーブルから、決定されたパターン番号に対応するデータがロードされる。図29は、パターン番号とスピーカの組み合わせとの対応例を示す。フロントスピーカFL、FR、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRのそれぞれについて、大(L:Large)/小(S:Small)が選択可能とされている。さらに、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRについては、用いるか否か(Yes/No)が選択可能とされる。サラウンドバックスピーカについては、2台用いる設定(D:Dual)と、1台用いる設定(Sg:Single)と、用いない設定(No)とが選択可能とされている。サブウーファSWについては、用いるか否か(Yes/No)が選択可能とされている。
上述の選択可能なスピーカの組み合わせのそれぞれに対して、パターン番号が割り当てられる。この例では、パターン番号は、数字、記号および英字からなる3桁で表現され、左端の1桁がスピーカ数、右端の1桁がサブウーファSWの有無を示している。中央の1桁は、値が「C」であるときに、センタスピーカCが無しの場合に、フロントスピーカFL、FRを用いて擬似的にセンタスピーカCを構成することを示す。また、パターン番号が重複しているものは、スピーカの組み合わせは異なるが、内部的には同一の処理を行うものである。
スピーカ設定テーブルは、各パターン番号毎に、そのパターン番号が関連付けられたスピーカ組み合わせに対応するシステム設定データが格納される。このシステム設定データは、例えば、各スピーカ出力に対応するオーディオ信号に対し、それぞれ所定の信号処理を施すためのデコーダ/DSP52におけるDSPパラメータ、オーディオ信号のチャンネル数をより少なくミックスする際のダウンミックスデータ、ボリューム部56に対するボリューム設定データ、ミュート設定データ、リレー58のON/OFFを設定するためのデータなどからなる。
次のステップS17では、ステップS16でロードされたデータがAV音響機器1の各部に反映される。すなわち、ステップS16でロードされたデータに基づき、マイコン60により、ディジタル信号処理部50およびアナログ信号処理部55内の各デバイスに対する制御処理が行われる。
例えば、パターン番号[3−0]が選択決定された場合、スピーカは、フロントスピーカFL、FRおよびセンタスピーカCしか用いられない。そこで、用いられないスピーカ出力の信号経路において、挿入されたリレー58が遮断状態に設定され、アンプ57への入力がミュートされる。また、5.1chシステムのマルチチャンネルのディジタルオーディオ信号を左右のフロントとセンタの3チャンネルにダウンミックスするように、デコーダ/DSP52に対してDSPパラメータが設定される。また、ボリューム部56に対して、各スピーカ出力に対する音量バランスが設定される。必要ならば、デコーダ/DSP52に対して、用いられる各チャンネルの遅延や位相、残響などをそれぞれ設定してもよい。
パターン番号に応じたマイコン60による設定は、上述に限らず、さらに他の項目について行ってもよいし、必ずしも上述の全ての項目について行わなくてもよい。
なお、上述では、表示器85の表示がスピーカ配置を表示するための表示部85Aと、1行20文字で2行分の文字表示が可能な表示部85Bとで構成されるように説明したが、より簡略的な表示を用いてイージーセットアップによるスピーカ設定を行うことも可能である。なお、ここでは説明のため、設定操作部は、2個のロータリエンコーダ82Bおよび82Cと、2個のキー81Aおよび81Bとからなる上述した図16Bの構成であるものとする。
図30は、上述した図17Bの、15文字表示が可能とされた表示器85による一例の設定表示を示し、この場合の一例の設定操作について概略的に説明する。先ず、キー81Bでメインメニューからスピーカセットアップメニューを選択し(図30A)、その後、ロータリエンコーダ82Bの操作によりイージーセットアップを選択する(図30B)。ここで、ロータリエンコーダ82Cでイージーセットアップ「YES」を選択し、ロータリエンコーダ82Bの操作で、現在設定されているパターン番号が表示される(図30C)。この状態でロータリエンコーダ82Cを操作すると、パターン番号が順次、選択され、図30Dに示されるように、パターン番号表示部分(図中の斜線の部分)が点滅される。希望のパターン番号が表示されたら、エンターキー81Aを操作して、パターン番号を確定させる。
図31は、上述した図17Cの、8文字表示が可能とされた表示器85による一例の設定表示を示し、この場合の一例の設定操作について概略的に説明する。先ず、キー81Bでメインメニューからスピーカセットアップメニューを選択し(図31A)、ロータリエンコーダ82Bの操作によりイージーセットアップを選択する(図31B)。ここで、例えばロータリーエンコーダ82Cを操作することで、図31Cに示されるノーマルセットアップとイージーセットアップとを選択することができる。イージーセットアップを選択してロータリエンコーダ82Bを操作すると、図31Dに一例が示されるように、現在設定されているパターン番号が表示部85B’および表示部85Cを用いて表示される。この状態でロータリエンコーダ82Cを操作すると、パターン番号が順次、選択され、図31Eに示されるように、パターン番号表示部分(図中の斜線の部分)が点滅される。希望のパターン番号が表示されたら、エンターキー81Aを操作して、パターン番号を確定させる。
次に、ノーマルセットアップについて概略的に説明する。上述したように、ノーマルセットアップは、接続された複数のスピーカに対する設定を、複数のスピーカのそれぞれに対して個別に行うセットアップモードである。この実施の一形態では、ノーマルセットアップにおいて、実際の使用環境を鑑み、ユーザが設定可能なパターンに所定に制限を設けている。例えば、以下のような制限が設けられる。
1.サブウーファSWを使用する設定の場合、フロントスピーカFL、FRに小さいスピーカを選択できない。
2.サラウンドバックスピーカSBL、SRLのサイズ設定は、サラウンドスピーカSL、SRの設定と共通とする。
3.上述の「2」の制限に伴い、サラウンドバックスピーカSBL、SRLの設定メニューは、「無し」、「1本」および「2本」の選択のみとする。
また、あるスピーカの設定に応じて、他のスピーカの設定を強制的に決定するパターンが設けられる。例えば、以下のような場合である。
1.サブウーファSWを使用しない設定の場合、フロントスピーカFL、FRのサイズを強制的に「大きい」に設定する。すなわち、この場合、フロントスピーカFL、FRのサイズ設定が「大きい」に固定的とされる。
2.フロントスピーカFL、FRのサイズ設定が「小さい」の場合、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRのサイズ設定を、強制的に「小さい」に設定する。すなわち、この場合、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRのサイズは、「大きい」が設定不可とされる。
3.サラウンドスピーカSL、SRを使用しない設定の場合、サラウンドバックスピーカSBL、SRLを強制的に使用しない設定とする。
これらをまとめると、図32のようになる。図32において、矢印は、設定を変更することによって影響を与えるスピーカ設定を示す。サブウーファSWを使用するか否かの設定は、フロントスピーカFL、FRのサイズ設定、ならびに、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRの、使用するか否かの設定とサイズ設定とに影響する。また、フロントスピーカFL、FRのサイズ設定は、センタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SRの、使用するか否かの設定とサイズ設定とに影響すると共に、サラウンドバックスピーカSBL、SRLの本数設定(使用するか否かを含む)に影響する。
図33〜図35は、7.1chシステムまで対応可能な場合の、スピーカ設定のパターンを一覧して示す。なお、図中、「L」および「S」は、それぞれスピーカのサイズ「大きい」および「小さい」を示す。また、センタスピーカCの「M」は、フロントスピーカFL、FRで擬似的にセンタスピーカCを構成することを示す。
図33〜図35において、取消線が記入された行は、上述した各制限等を加味して設定不可とされたスピーカ設定パターンである。この例では、各制限を加味しない状態では、設定可能なパターンが112通り存在するが、制限等を加味することで、設定可能なパターンが68通りまで減少される。これにより、スピーカ設定パターンを記憶するためのメモリ容量が節約できると共に、無駄な選択肢が省かれるため、ユーザは、より迅速にスピーカ設定を行うことができる。
ノーマルセットアップの設定手順について説明する。図36は、ノーマルセットアップ時の表示器85の一例の表示を示す。この図36は、上述の図17Aによる表示器85Bの、下段の20桁のみを示す。ノーマルセットアップでは、スピーカ毎に使用するか否か、および、サイズ設定が設定されるため、例えばロータリエンコーダ82Bにより設定すべきスピーカを切り換え、ロータリエンコーダ82Cにより使用するか否か、および、サイズを設定する。
図36AはサブウーファSW設定の例であり、使用するか否かが設定できる。、図36BはフロントスピーカFL、FRの設定の例であり、サイズのみが設定できる。図36Cおよび図36DはそれぞれセンタスピーカCおよびサラウンドスピーカSL、SR設定の例であり、使用するか否かと、サイズとが設定できる。図36EはサラウンドバックスピーカSBL、SRL設定の例であり、使用しない場合も含めた本数が設定できる。
各表示において、他のスピーカの設定により強制的に切り換わった設定は、例えば文字表示の輝度を下げる(以下、ダークアウト)などとして、ユーザに認識できるようにすると好ましい。この場合、強制的に設定される前の設定値を、マイコン60が有するRAMなどバッファリングし、強制設定が解除された場合に記憶された設定値を呼び出すようにする。
例えば、図37に一例が示されるように、フロントスピーカFL、FRを「小さい(Small)」に設定した状態で、サブウーファSWを「使用しない(NO)」に設定したとする(ステップS100)。この場合、上述の制限に基づき、フロントスピーカFL、FRが強制的に「大きい(Large)」に設定される。ユーザが設定したフロントスピーカFL、FRの「小さい」の設定は、バッファリングされる(ステップS101)。その後、サブウーファSWの設定を「使用する(YES)」に戻すと、フロントスピーカFL、FRの設定がバッファから呼び出され、「小さい」に戻される(ステップS102)。
また、強制設定されてダークアウト表示とされている項目に対して、ロータリエンコーダ82Cの操作などにより設定値を変更するような操作が行われた場合は、ユーザ操作と見なし、ダークアウト表示を解除して通常の表示とし、バッファリングした設定値をクリアする。
例えば、図38に一例が示されるように、フロントスピーカFL、FRを「小さい」に設定した状態で、サブウーファSWを「使用しない」に設定したとする(ステップS110)。この場合、上述の制限に基づき、フロントスピーカFL、FRが強制的に「大きい」に設定され、ユーザが設定したフロントスピーカFL、FRの「小さい」の設定は、バッファリングされる(ステップS111)。ここで、ユーザによりフロントスピーカFL、FRを設定するメニューにおいてロータリエンコーダ82Cなどのジョグ操作により設定値が変更されるような操作が行われると、結果的に設定値が変更されたか否かに関わらず、バッファに記憶されたフロントスピーカFL、FRの設定がクリアされ、ダークアウト表示が解除される(ステップS112)。この状態で、サブウーファSWの設定を「使用する」に戻しても、フロントスピーカFL、FRの設定は、「大きい」のままとされる。
このノーマルセットアップにおいても、より簡略的な表示を用いてスピーカ設定を行うことが可能である。なお、ここでは説明のため、設定操作部は、2個のロータリエンコーダ82Bおよび82Cと、2個のキー81Aおよび81Bとからなる上述した図16Bの構成であるものとする。
図39は、上述した図17Bの、15文字表示が可能とされた表示器85を用いてノーマルセットアップを行う例である。図39AはサブウーファSW、図39BはフロントスピーカFL、FR、図39CはセンタスピーカC、図39DはサラウンドスピーカSL、SR、図39EはサラウンドバックスピーカSBL、SRLの設定を行う際の表示の例である。図中の[xxx]が設定値である。このように、設定内容やスピーカ名の長さなどに応じて、スピーカ名が適宜、短縮されて表示される。
図40は、上述した図17Cの、8文字表示が可能とされた表示器85を用いてノーマルセットアップを行う例である。図40AはサブウーファSW、図40BはフロントスピーカFL、FR、図40CはセンタスピーカC、図40DはサラウンドスピーカSL、SR、図40EはサラウンドバックスピーカSBL、SRLの設定を行う際の表示の例である。この図40の例では、表示可能な文字数が少ないので、各スピーカ共、設定内容だけが表示されている。ユーザがどのスピーカの設定を行っているかを明確に把握できるように、別途、スピーカ名を表示するのが好ましい。この例では、各スピーカの略称(FL、FR、C、SL、SR、SW)と、当該略称の文字が点灯し文字の枠が点滅されるようになっている。
図39および図40の例でも、例えば、ロータリエンコーダ82Bを操作することで、設定するスピーカが順次切り換えられ、ロータリエンコーダ82Cを操作することで、設定値が選択される。選択された設定値は、その場で確定される。
なお、イージーセットアップとノーマルセットアップとでは、設定項目が異なるため、それぞれのセットアップモードにおいて、用いられない設定項目をダークアウト表示するか、若しくは、用いられない設定項目の表示をスキップすると、ユーザが設定すべき項目を容易に判別でき、好ましい。図41は、イージーセットアップおよびノーマルセットアップにおいて、カスタマイズメニューでスピーカ設定を選択した際に、ロータリエンコーダ82Bを操作して順次表示される項目の例を示す。
図41Aの例では、イージーセットアップが選択されている場合には、スピーカ設定パターンの項目が通常表示とされ、サブウーファSW、フロントスピーカFL、FR、センタスピーカC、サラウンドスピーカSL、SRおよびサラウンドバックスピーカSBL、SRLの設定項目は、ダークアウト表示とされる。一方、ノーマルセットアップが選択されている場合(イージーセットアップが「NO」)には、スピーカ設定パターンの項目がダークアウト表示とされ、各スピーカの設定項目が通常表示とされる。
図41Bの例では、イージーセットアップが選択されている場合には、スピーカ設定パターンの項目は表示されるが、各スピーカの設定項目はスキップされ、表示されない。一方、ノーマルセットアップが選択されている場合(イージーセットアップが「NO」)には、スピーカ設定パターンの項目がスキップされ、各スピーカの設定項目が順次表示される。
なお、図41Aおよび図41Bにおいて、イージーセットアップを選択するか否かの項目と、フロントディスタンスの項目は、イージーセットアップおよびノーマルセットアップに共通なので、共に通常表示とされる。
イージーセットアップおよびノーマルセットアップは、共通のスピーカ設定を扱うので、イージーセットアップおよびノーマルセットアップは、常に対応関係にある。つまり、イージーセットアップで設定後、ノーマルセットアップを選択すると、ノーマルセットアップにおける各スピーカの設定値には、イージーセットアップで設定された各スピーカの設定値が反映されている。同様にして、ノーマルセットアップで設定後にイージーセットアップを選択すると、ノーマルセットアップで設定された各スピーカの設定値がイージーセットアップに反映される。この場合には、ノーマルセットアップの設定結果がイージーセットアップにおけるパターン番号に反映されることになる。
このように、イージーセットアップによる設定結果とノーマルセットアップによる設定結果とを共有することで、ユーザのスピーカ設定に対する知識に応じて設定方法を選択することができる。また、各スピーカそれぞれについて設定を行いたい場合でも、ノーマルセットアップで全項目に対して一々設定するより、イージーセットアップで概略的に設定後、ノーマルセットアップで詳細に設定すると、操作が少なくなり、スピーカ設定が容易になる。
なお、上述では、全ての設定を、AV音響機器1のフロントパネルに設けられた設定入力部の各キー81A、81B(81C、81D)、ならびに、ロータリエンコーダ82A、82B、82Cを用いて行うとして説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、このAV音響機器1に対応したリモートコントロールコマンダにスピーカ設定の操作が可能な操作手段を設け、このリモートコントロールコマンダを用いてスピーカ設定を行うようにもできる。リモートコントロールコマンダでは、操作に応じた制御信号を赤外線信号に変調して送信する。この赤外線信号は、操作入力部80の受信部83に受信され、元の制御信号に復調されてマイコン60に供給され、スピーカ設定がなされる。
また、上述では、パターン番号の入力をロータリエンコーダ82Cなどを用いて順次、切り換えながら選択し入力するように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、数字キーなどを用いて直接的に入力するようにしてもよい。
以上説明したように、この発明では、サラウンド音響を再生可能なAV音響機器において設定可能なスピーカ設定をパターン番号に関連付けて予めメモリに記憶させている。そのため、ユーザは、所定の方法でパターン番号を入力するだけで、複数のスピーカに対する設定を一度に行うことができる。
スピーカのチャンネル数が増えれば増えるほど(5.1ch<6.1ch<7.1ch<9.1ch以上)設定項目数が増えるので、よりチャンネル数が多いものほど大きい効果が得られる。また、チャンネル数が増えてもスピーカー設定パターン数が増加するだけで、設定すべき項目は常に常に1項目なので、スピーカ設定を行った後に、スピーカ数が増減しても設定の変更が容易である。
この発明の実施の一形態は、コストをかけられない低価格商品、ベーシックモデル、簡単操作を望む初級者向け商品群に適用した場合に効果が大きい。勿論、ハイエンドモデルや上級者向け商品に適用した場合でも、簡単操作という点で極めて有用である。
また、この発明によれば、スピーカ設定がパターン番号または記号の一つで表現できるので、品質管理面やメンテナンス面などでも有用な効果が得られる。さらに、このパターン番号または記号のみから情報を展開可能なので、スピーカ設定を記憶するデータ記憶媒体の容量削減が可能である。
さらにまた、この発明を適用することで、リモートコントロールコマンダなどの外部機器から本体のAV音響機器に対してスピーカ設定を行う際についても、パターン番号のみをリモートコントロールコマンダから本体に送信すればよく、多数の設定項目を本体に送信する必要が無いため、データ送信の時間が短縮でき、データ送受信用のコードを削減できる。特に、リモートコントロールコマンダでの操作において、パターン番号のみを入力すれば済み、各スピーカ設定の階層を追ってデータ入力を行う必要が無いので、リモートコントロールコマンダに対してスピーカ設定を行う専用キーを一つだけ設ければよいという効果がある。またそれにより、リスニングしながらのスピーカ設定を行うのが容易になる。