JP4558297B2 - 発現微量タンパク質/ペプチドの検出・分離・同定法 - Google Patents
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Description
本発明は、ポストゲノム時代において重要な役割を果たすことが期待される、発現タンパク質及び/又はペプチドを網羅的に解析するプロテオーム技術における新しい検出・分離・同定手法を提供するものとして有用である。
また、本発明は、上記微量検出・分離・同定方法に使用する微量の発現タンパク質及び/又はペプチドを、高感度で検出・分離・同定するための発現タンパク質及び/又はペプチド同定システムを提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、従来法では検出することができなかった、遺伝子を介して発現する微量の発現タンパク質及び/又はペプチドを超高感度で検出・分離・同定することを可能とする新しい分析方法及び手段を提供することを目的とする。
(1)被験試料中の発現微量タンパク質及び/又はペプチドを高感度に検出・分離・同定する方法であって、(a)被験試料中のタンパク質及び/又はペプチドを該タンパク質及び/又はペプチドとの反応で蛍光を発する親水性の蛍光試薬で標識する、(b)それを1次元又は2次元のHPLC/蛍光検出により、その蛍光分画を捕集する、(c)上記蛍光分画を酵素水解に付する、(d)それを第二段階のHPLC/蛍光検出により、その蛍光クロマトグラムを得ると共に、その画分を質量分析又はMS/MS分析に付し、データベース照合、構造解析に供して発現タンパク質及び/又はペプチドの同定を行うことを特徴とする上記発現タンパク質及び/又はペプチドの検出・分離・同定方法。
(2)タンパク質及び/又はペプチド試料の水溶液に、官能基特異的蛍光試薬を加え、場合により、界面活性剤及び/又はタンパク変性剤を加えあるいは加えることなく、タンパク質及び/又はペプチドを蛍光標識する、前記(1)に記載の方法。
(3)蛍光標識したタンパク質及び/又はペプチド試料を蛍光検出器付きイオン交換カラムHPLC、逆相分配HPLC、ゲル濾過HPLC、又は電気泳動による分離手段に付し、蛍光をモニターしながらそのピーク分画を捕集する、前記(1)に記載の方法。
(4)蛍光分画を、ペプチダーゼ、トリプシン、又はキモトリプシンのタンパク質分解酵素を用いて酵素水解する、前記(1)に記載の方法。
(5)酵素水解物を蛍光検出器付き逆相HPLCに付し、蛍光ピークを検出すると共に、蛍光標識フラグメント及び蛍光非標識フラグメントの質量分析又はMS/MS分析を行う、前記(1)に記載の方法。
(6)質量分析又はMS/MS分析に付して得られた各フラグメントのイオン分子量情報を、コンピューターによるタンパク質及び/又はペブチドフラグメントデータベースと照合し、構造解析して、酵素水解以前のタンパク質及び/又はペプチドの同定を行う、前記(1)に記載の方法。
(7)被験試料が、生体試料から採取したタンパク質及び/又はペプチド試料である、前記(1)に記載の方法。
(8)タンパク質及び/又はペプチドフラグメント情報、及び蛍光試薬で標識したアミノ酸の情報を含んだデータベースを用いてデータベース照合する、前記(1)に記載の方法。
(9)前記(1)から(8)のいずれかに記載の方法に使用する発現微量タンパク質及び/又はペプチド検出・分離・同定システムであって、被験試料のタンパク質及び/又はペプチドを蛍光試薬で標識するための第一反応器、蛍光試薬で標識した蛍光誘導体を蛍光分画するための1次元又は2次元の蛍光検出器付きHPLC、蛍光分画を酵素水解するための第二反応器、酵素水解物の蛍光標識フラグメントを蛍光検出するための第二段階の蛍光検出器付きHPLC、これに接続する質量分析装置、及び蛍光試薬で標識したアミノ酸の情報を含んだデータベースを搭載した構造解析装置を構成要素として含むことを特徴とする上記検出・分離・同定システム。
(10)上記第一反応器、1次元又は2次元の蛍光検出器付きHPLC、第二反応器、第二段階の蛍光検出器付きHPLCを直列に配置してなる、前記(9)に記載のシステム。
本発明は、上記従来法の難点を克服するためになされたものであり、1)微量の発現タンパク質/ペプチドを蛍光試薬で標識し、2)それをHPLC/蛍光検出にて第一段の分離・蛍光検出を行い、3)その蛍光分画(コントロール試料と比べて、被験試料に特異的に増減する蛍光画分)のみを捕集後、酵素水解し、それを第二段のHPLC/蛍光検出にて分離し、蛍光ピークの確認を行った後、HPLC/MSに付し、蛍光標識タンパク質/ペプチドフラグメントの同定を行い、当該微量タンパク質/ペプチドの特定を行う方法に関するものである。尚、タンパク質/ペプチド試料が純度の高い場合には、第一段のHPLC/蛍光検出による分離を省くことができる。本発明の方法は、従来法と異なり、蛍光標識可能なタンパク質/ペプチドのみを特異的に抽出し、検出・同定することができるという特徴を有し、微量の発現タンパク質/ペプチドを特定するために尤も相応しい方法である。
(1)DAABD−Cl[4-(dimethylaminoethyl aminosulfonyl)-7-chloro-2,
1, 3-benzoxadiazole]
(2)TAABD−Cl(7-chloro-2,
1, 3-benzoxadiazole-4-sulfonylaminoethyl rimethylammonium
chloride)
(3)DAABD−F[4-(dimethylaminoethyl aminosulfonyl)-7-fluoro-2,
1, 3-benzoxadiazole]
(4)TAABD−F(7-fluoro-2,
1, 3-benzoxadiazole-4-sulfonylaminoethyl trimethylammonium
chloride)
(5)DAABSeD−Cl[4-(dimethylaminoethyl aminosulfonyl)-7-chloro-2,
1, 3-benzoselenadiazole]
(6)TAABSeD−Cl(7-chloro-2,
1, 3-benzoselenadiazole-4-sulfonylaminoethyl trimethylammonium
chloride)
(7)DAABSeD−F[4-(dimethylaminoethyl aminosulfonyl)-7-fluoro-2,
1, 3- benzoselenadiazole]
(8)TAABSeD−F(7-fluoro-2,
1, 3-benzoselenadiazole-4-sulfonylaminoethyl trimethylammonium
chloride)
(9)DAABThD−Cl[4-(dimethylaminoethyl aminosulfonyl)-7-chloro-2,
1, 3-benzothiadiazole]
(10)TAABThD−Cl(7-chloro-2,
1, 3-benzothiadiazole-4-sulfonylaminoethyl trimethylammonium
chloride)
(11)DAABThD−F[4-(dimethylaminoethyl aminosulfonyl)-7-fluoro-2,
1, 3-benzothiadiazole]
(12)TAABThD−F(7-fluoro-2,
1, 3-benzothiadiazole-4-sulfonylaminoethyl trimethylammonium
chloride)
ラ島に0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)に溶解した6M塩酸グアニジン溶液50μlを加えて可溶化した。これに6M塩酸グアニジン溶液に溶解した17.5mMTCEP、17.5mMSBD−F、10mMEDTA及び50mMCHAPSをそれぞれ50μlずつ加え、混合した。この溶液を40℃にて3時間反応させることにより蛍光誘導体化を行った。
(2)イオン交換HPLCによる1次分離
上記の反応溶液をイオン交換カラムに付し、NaClのグラジエント(0、0.04、0.08、0.12及び0.3M)により蛍光タンパク質/ペプチドを溶出させ、5つのフラクションに分離した。なお、蛍光タンパク質/ペプチドの検出はSBD骨格の蛍光により行った。HPLC条件を以下に示す。
カラム:TSKgel DEAE−5PW 7.5×75mm(東ソー(株))
ガードカラム:C8−300−S 54.0×10mm(YMC(株))
移動相:段階溶離〔0−5分:C100%、5−15分:A100%、15−25分:A87%B13%、25−35分A73%B27%、35−45分:A60%B40%、45−55分:B100%〕
A:5mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)/アセトニトリル(50:50)
B:5mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)/アセトニトリル(50:50) (0.3MNaCl含有)
C:5mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
カラム温度:室温(約25℃))
流速:0.5ml/min
検出:Ex380nm、 Em505nm
注入量:200μl
上記の各画分を濃縮し、アセトニトリルを蒸発させた後、逆相カラムに付し、アセトニトリルの勾配溶離によりタンパク質/ペプチドをカラムから溶出させた。なお、タンパク質/ペプチドの検出はSBD骨格の蛍光によりモニターした。HPLC条件を以下に示す。
カラム:カプセルパックC8 SG300 2.0×100mm((株)資生堂)
移動相:勾配溶離(0→60分:B40%→100%)
A:0.05%トリフルオロ酢酸
B:0.05%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル(40:60)
カラム温度:室温(約25℃)
流速:0.2ml/min
検出:Ex380nm、 Em505nm
注入量:50μl
採取した画分をそれぞれのチューブに0.5M炭酸水素アンモニウム溶液5μlを加えてトリフルオロ酢酸を中和後、濃縮してアセトニトリルを蒸発させた。残渣(約80μl)に20μg/mlトリプシン(プロメガ)及び10mM塩化カルシウムをそれぞれ10μlずつ添加した。これを37℃で2時間インキュベートし、MS/MS測定用の試料とした。
上記の試料を逆相カラムHPLCに付し、エレクトロスプレー法によるMS/MS測定を行った。HPLC条件を以下に示す。なお、タンパク質/ペプチドの同定はデータベースにNCBI、サーチエンジンにMASCOTを使用した。
カラム:Cadenza TC−C18 2.0 ×100mm(Imtact(株))
移動相:勾配溶離(0→30分:B20%→100%)
A:0.1%ギ酸
B:0.1%ギ酸/アセトニトリル(50:50)
カラム温度:室温(約25℃)
流速:0.2ml/min
測定モード:positive
測定範囲:500−3000m/z
注入量:50μl
そのうち、約50のタンパク質/ペプチドが同定できた(表2、図6参照)。
び35のシステイン非含有ペプチドが生成されるが、本実施例では、27以上の蛍光ペプチドが蛍光検出され、定量的に誘導体化が行われた(図4、A)。
全てのペプチドフラグメントのCIDスペクトルにより、確率的プロテイン同定法に基づくMASCOTによるデータベース照合を行い、予測通り、完全にBSAとしてタンパク質を同定した(スコア:39)。
Dexは、肝臓のグルコース産生の増加とインシュリン耐性の誘導により主なヒト糖尿病であるタイプ2の糖尿病を誘発する。実際に、Dex処理の24時間後に、血中グルコースレベルは209.8mg/dLに達し、処理前の値の118.3mg/dLより著しく高い(p<0.05)。本実施例では、2日間Dexで処理又は未処理のラット膵臓からランゲルハンス島(60島)を採取し、S
BD−Fで誘導体化した。本発明の方法を生物試料に適用するための重要な態様は、タンパク質混合物からHPLCで発現タンパク質を分離することである。本実施例では、蛍光タンパク質は、まず、SBD−Fにより生成した多くのマイナス電荷と酸性アミノ酸部分に基づいてイオン交換クロマトグラフィー(IEC)で分離された。
4-chlorosulfonyl-7-chloro-2,1,3-benzoxadiazole(CBD-Cl)(126.53 mg)をCH3CN に溶解し、N,N-dimethylethylenediamineを滴下し、triethylamineを加えた。室温で約10分間攪拌後、反応液を減圧乾固した後、シリカゲルカラム(CH2Cl2)で精製し、4-(dimethylaminoethy laminosulfonyl)-7-chloro-2,1,3-benzoxadiazole(DAABD-Cl) (20.2 mg, 87.4
%)を得た。
得られた化合物の確認データを以下に示す。
1H-NMR (CD3OD) : 7.94 (1H, d,
J=7.5), 7.65 (1H, d, J=7.5), 3.06 (2H, t, J=6.7), 2.30 (2H, t, J=6.7), 2.02
(6H, s)。ESI-MS : m/z 305 (M+H)+
4−chlorosulfonyl−7−chloro−2,1,3−benzoxadiazole(CBD−Cl)(126.53mg)をCH3CNに溶解し、H2Oに溶かしたaminoethyl trimethylammonium chlorideを滴下し、triethylamineを加えた。室温で約20分間攪拌後、反応液を減圧乾固した後、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)に溶かし、ODSカラムを用いて分取し、画分には、SBD−Cl(化2)が不純物として入っていたため、陰イオン交換カラムを用いて分取し、減圧乾固して、7−chloro−2,1,3−benzoxadiazole−4−sulfoneaminoethyl trimethylammonium chloride(TAABD−Cl)(127.2mg,58.8%)を得た。
得られた化合物の確認データを以下に示す。
1H−NMR(CD3OD):8.01(1H,d,J=7.3),7.69(1H,d,J=7.3),3.46−3.48(4H,m),3.12(9H,s)。ESI−MS :m/z 319(M)+
DAABD-C、TAABDD-ClのSBD-Fとの比較
10μM還元型グルタチオン、システイン、ホモシステイン混合液100μLとDAABD-Cl又はTAABD-Cl 100 μLを混合し、pH 9、40℃、10〜120分間反応させた。尚、各試薬は5 mM EDTA含む0.10 M ホウ酸緩衝液 (pH 9) に溶解した。0.1 % ぎ酸で反応停止後、生成物をHPLCを用いて測定した。
SBD−F(化3)の場合、40℃で誘導体化を行うと120分間の反応時間が必要であったが、DAABD−Clは10〜20分、TAABD−Clは20〜30分で反応が終了することがわかった。
したがって、反応時間はDAABD−Clの場合は20分、TAABD−Clの場合は30分が好適である。
上記(1)で作成したサンプルをLC-MSにより検出し、蛍光誘導体化試薬でラベル化していないもの及びSBD-Fで誘導体化したものと、相対強度を比較した。
10μMの以下に示した4種類のペプチド標品、17.5 mM TAABD-Cl、10 mM EDTA、50 mM CHAPS(界面活性剤)、2.5 mM TCEP(還元剤)それぞれ50μLを混合し、pH 9、40℃で、30, 60, 90, 120 分間反応させた。尚、各試薬は6.0
M 塩酸グアニジン(タンパク変性剤)を含む0.10
M ホウ酸緩衝液 (pH9) に溶解した。生成したTAABD化ペプチドをHPLCを用いて測定した。
1. vasopressin
2. oxytocin
3. somatostatin
4. amylin (rat)
図8に TAABD-Clとの反応時間と蛍光強度との関係を示す。
図8より、反応時間が60分までは生成量が増加した。反応停止後は氷冷下で保存し、-20℃にて保存すると、48時間はほとんど分解しなかった。
表4に示した10種類のペプチド・タンパク標品10
μM混合液、2.5 mM TCEP、17.5 mM DAABD-Cl、10 mM EDTA、50 mM CHAPSそれぞれ50μLを混合し、pH 9、40℃で、30分間反応させた。尚、各試薬は6.0
M 塩酸グアニジンを含む0.10 M ホウ酸緩衝液 (pH9) に溶解した。生成したDAABD化ペプチド・タンパクはHPLCを用いて測定し、蛍光検出の検出限界をSBD-Fと比較した。
上記(2)で誘導体化した物質のうち、vasopressin、oxytocin、somatostatin、calcitonin、amylinはLC-MSにより同定できた。それらの分子量を以下に示す。
m/z
541.8 (M+3H)3+ [DAABD-vasopressin]
516.0 (M+3H)3+
[DAABD-oxytocin]
726.6 (M+3H)3+
[DAABD-somatostatin]
989.9 (M+4H)4+
[DAABD-calcitonin]
892.8 (M+5H)5+
[DAABD-amylin]
また、タンパク質の場合は酵素によってペプチドに分解する必要があるため、酵素トリプシンで消化し、LC-MS/MS検出及びMASCOTによるデータベース検索を行って同定を試みた結果、システインを含まないペプチドのアミノ酸配列を同定し、タンパク質を同定することができた。
2-fluoroacetanilideを硝酸で処理して、1-acetylamino-2-nitro-6-fluorobenzeneとし、これを脱アルミ化して、2-fluoro-6-nitroanillineとし、次いで、パラジウム担持炭素触媒を用いて水素化して、3-fluoro-o-phenylenediamineを得た。
Selenium dioxideエタノール加熱溶液を、3-fluoro-o-phenylenediamine (60 mg,
0.48 mmol)のエタノール加熱溶液に加え、混合物を30分加熱した。これを、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに供し、溶離液のジクロロメタンで溶出し、4-fluoro-2, 1, 3-benzoselenadiazoleを白色粉末(88mg)として得た。得られた化合物の確認データを以下に示す。
mp. 129℃、NMR (methanol-d4): δH7.55(1H, d, J=9.2)、7.41(1H, m)、7.06(1H, m)、ESI−MS:m/z202.8[(M+H)]。
3-benzoselenadiazoleをfuming sulfuric
acid (60%)に溶かし、130℃で3時間還流した。この溶液を冷却し、冷水(30ml)に注ぎ、28% ammonium hydroxideで中和した。この中性溶液にエタノール100mlを加え、濾過物を減圧乾固させた。残渣を水(1.0ml)に溶解し、更に、以下のHPLCで精製した。即ち、残渣の100μlをHPLC分離に供した。SBSeD−Fに相当するフラクションを集め、減圧して白色粉末(50mg)を得た。得られた化合物の確認データを以下に示す。
m.P. > 300℃、NMR (methanol-d4): δH7.97(1H, d d, J=7.6, J=5.4)、7.11(1H, d d,J=7.6, J=10.1)、ESI−MS:m/z280.8[(M−H)]。
N−thionylaniline (0.49 g, 3.5 mmol)を3-fluoro-o-phenylenediamine(200mg, 1.6mmol)トルエン(2 ml)溶液に加えた。反応混合物を100−120℃で4時間加熱し、溶媒を濾別した後、残渣をジクロロメタンに溶かし、溶液を10%HCl溶液及び水で各々洗浄した。有機相を乾燥し、減圧乾固させた。これをシリカゲルによるクロマトグラフィーに供し、溶離液のクロロホルムで溶出し、4-fluoro-2, 1, 3-benzothiadiazoleを淡黄色油として得た。得られた化合物の確認データを以下に示す。
NMR(methanol-d4): δH7.69(1H, d, J=8.9)、7.50(1H, m)、7.20(1H,m)、ESI−MS:m/z154.9[(M+H)]。
decomp.265℃、NMR(methanol−d4):δH8.06(1H,d d,J=7.9,J=4.9)、7.11(1H,d d,J=7.9,J=9.8)、ESI−MS:m/z232.8[(M−H)]。
上記方法により合成したSBSeD−F及びSBThD−Fを下記の化4に示す。
1mMEDTAを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)による上記SBSeD−F、SBThD−F又はSBD−Fの各蛍光試薬溶液(4mM)の500μl部分を、0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0)によるシステイン(0.4mM)溶液の同量と混合した。この混合物を60℃で8時間放置した。反応の後、反応混合物をHPLC分離し、各システイン誘導体に相当するフラクションを集め、それらの蛍光スペクトルを測定した。
4mMの各試薬、SBSeD−F、SBThD−F又はSBD−F及び1mM EDTAを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0又はpH10)の500μl部分を、0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.0又はpH10)によるシステイン溶液(0.4mM)の同量と混合した。反応混合物をHPLC分離し、60℃での反応をモニターした。
SBD−Fのような水溶性試薬は、そのsulfonic acid残渣により水溶体中での誘導体の可溶性を増加させ、結果として、誘導体の吸収又は沈殿が減少する。したがって、インシュリンのような比較的疎水性ペプチドのSBD−Fによる誘導体は、逆相カラムで溶出され、高感度に検出されたが、本実施例では、更に、benzoselenadiazole又はbenzothiadiazole骨格をもつ蛍光試薬としてSBSeD−F及びSBThD−Fを合成し、それらのシステインに対する反応性及びその誘導体の蛍光特性を調べた。
このように、水溶性の蛍光試薬SBSeD−F及びSBThD−Fは、SBD−Fと比べて蛍光特性及び疎水性の点で異なっており、プロテオーム解析のための新規蛍光誘導体化試薬として有用である。
(1)方法
C.elegans(Bristol N2株)を、E.coliのOP50株を栄養源として20℃で、NGM寒天上に培養し、M9バッファーにより浮遊させてバクテリアから分離した。上記線虫をM9バッファーで2回洗った後、−80℃で保管して用いた。この線虫を等量の10mM CHAPSに懸濁し、超音波で溶解した。可溶性のフラクションを4℃で10,000rpm、5分の遠心分離により集めた。上澄を可溶性フラクションとして−20℃で保管した。このフラクションのタンパク質濃度をBSAを標準に用いるBradford methodで決定した。上澄の約20μL(100μgタンパク質)を同容量の2.5mM TCEP,17.5mM DAABD−Cl、10mM Na2 EDTA及び50mM CHAPSを6.0Mグアニジンを含む100mMホウ酸塩バッファー(pH9.0)中で混合した。反応混合物を40℃で30分インキュベートした後、反応を200μLの0.1%ギ酸で停止し、次いで、反応混合物(10μgタンパク質)の30μLをHPLCシステムに注入した。
図11は、DAABD−Clで誘導体化した、C.elegansの可溶性フラクションから得られたタンパク質(約10μg)のクロマトグラムを示す。本実施例では、タンパク質の分離、トリプシンによる加水分解及び任意に選択されたピークフラクションのLC−MS/MS同定により、10種類のタンパク質が同定された。
図中、1はリボゾームタンパク質S3a(MW=28942)、2はカルレティキュリン(calreticulin)前駆体(MW=45588)、3はリボゾームタンパク質L1(MW=38635)、4は伸長因子(elongation factor)1−アルファ(MW=50636)、5はリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MW=35098)、6は40Sリボゾームタンパク質(MW=22044)、7はビテロゲニン(vitellogenin)(MW=193098)、8はアルギニンキナーゼ(MW=41969)、9はHSP−1熱ショック(heat shock)70kdタンパク質A(MW=69680)及び10はリボゾームタンパク質L7Ae(MW=13992)を示す。本実施例では、任意に選択された10種類のタンパク質が同定されたが、本発明では、同様にして、他のタンパク質の同定をすることが可能である。
Claims (10)
- 被験試料中の発現微量タンパク質及び/又はペプチドを高感度に検出・分離・同定する方法であって、(1)被験試料中のタンパク質及び/又はペプチドを該タンパク質及び/又はペプチドとの反応で蛍光を発する親水性の蛍光試薬で標識する、(2)それを1次元又は2次元のHPLC/蛍光検出により、その蛍光分画を捕集する、(3)上記蛍光分画を酵素水解に付する、(4)それを第二段階のHPLC/蛍光検出により、その蛍光クロマトグラムを得ると共に、その画分を質量分析又はMS/MS分析に付し、データベース照合、構造解析に供して発現タンパク質及び/又はペプチドの同定を行うことを特徴とする上記発現タンパク質及び/又はペプチドの検出・分離・同定方法。
- タンパク質及び/又はペプチド試料の水溶液に、官能基特異的蛍光試薬を加え、場合により、界面活性剤及び/又はタンパク変性剤を加えあるいは加えることなく、タンパク質及び/又はペプチドを蛍光標識する、請求項1に記載の方法。
- 蛍光標識したタンパク質及び/又はペプチド試料を蛍光検出器付きイオン交換カラムHPLC、逆相分配HPLC、ゲル濾過HPLC、又は電気泳動による分離手段に付し、蛍光をモニターしながらそのピーク分画を捕集する、請求項1に記載の方法。
- 蛍光分画を、ペプチダーゼ、トリプシン、又はキモトリプシンのタンパク質分解酵素を用いて酵素水解する、請求項1に記載の方法。
- 酵素水解物を蛍光検出器付き逆相HPLCに付し、蛍光ピークを検出すると共に、蛍光標識フラグメント及び蛍光非標識フラグメントの質量分析又はMS/MS分析を行う、請求項1に記載の方法。
- 質量分析又はMS/MS分析に付して得られた各フラグメントのイオン分子量情報を、コンピューターによるタンパク質及び/又はペブチドフラグメントデータベースと照合し、構造解析して、酵素水解以前のタンパク質及び/又はペプチドの同定を行う、請求項1に記載の方法。
- 被験試料が、生体試料から採取したタンパク質及び/又はペプチド試料である、請求項1に記載の方法。
- タンパク質及び/又はペプチドフラグメント情報、及び蛍光試薬で標識したアミノ酸の情報を含んだデータベースを用いてデータベース照合する、請求項1に記載の方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載の方法に使用する発現微量タンパク質及び/又はペプチド検出・分離・同定システムであって、被験試料のタンパク質及び/又はペプチドを蛍光試薬で標識するための第一反応器、蛍光試薬で標識した蛍光誘導体を蛍光分画するための1次元又は2次元の蛍光検出器付きHPLC、蛍光分画を酵素水解するための第二反応器、酵素水解物の蛍光標識フラグメントを蛍光検出するための第二段階の蛍光検出器付きHPLC、これに接続する質量分析装置、及び蛍光試薬で標識したアミノ酸の情報を含んだデータベースを搭載した構造解析装置を構成要素として含むことを特徴とする上記検出・分離・同定システム。
- 上記第一反応器、1次元又は2次元の蛍光検出器付きHPLC、第二反応器、第二段階の蛍光検出器付きHPLCを直列に配置してなる、請求項9に記載のシステム。
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