JP4559618B2 - ガドリニウム同位体分離方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽水型原子炉用の燃料集合体を構成する燃料棒の一部に可燃性毒物として含有されるガドリニウム元素の特定の同位体を、原子レーザー法を用いて分離する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軽水型原子炉用の燃料集合体を構成する燃料棒の一部には、原子炉の初期反応度を制御するために、可燃性毒物としてのガドリニア(ガドリニウムの酸化物)がウランの酸化物に混合されて使用されているが、このようなガドリニアとして天然の同位体組成のガドリニウムが用いられている。
【0003】
天然のガドリニウムには、図5に示したように7種類の同位体が含まれており、このうち熱中性子吸収断面積の大きい155Gdと157Gdが中性子吸収材として反応度制御の役割を果たしている。
【0004】
この反応度制御の特性を向上させるためには、熱中性子吸収断面積の特に大きな157Gd若しくは157Gdおよび155Gdの同位体の組成比を高めた濃縮ガドリニウムを用いたり、あるいは熱中性子吸収断面積の小さな156Gd等の同位体の組成比を減少させることにより157Gd等の組成比を相対的に高めたガドリニウムを用いたりすることが考えられ、原子レーザー法によりこれらの同位体を分離する試みがなされている。
【0005】
原子レーザー法による同位体分離プロセスは、同位体分離用の金属原料を供給する金属原料供給工程と、供給された金属原料を加熱し溶解して金属蒸気を生じさせる金属蒸気発生工程と、この金属蒸気にレーザーを照射して特定の同位体を選択的に励起させる選択励起工程と、選択励起された特定同位体の金属原子をレーザー照射により光電離(イオン化)させてイオン化同位体を回収する分離回収工程とを有している。
【0006】
また、同位体分離の対象となる金属原子をレーザーにより多段階励起させる際には、この励起波長が同位体により微少に異なる同位体シフトがあることを利用し、注目する特定の同位体の励起波長に同調した選択励起用レーザー光を照射してその特定の同位体原子だけを励起させるとともに、この選択励起用レーザー光とは別の電離用レーザー光を照射して励起された特定の同位体原子のエネルギー準位をさらに高め、その同位体のみを電離してイオン化させている。
【0007】
そして、電離された特定の同位体イオンは、高電圧を印加したイオン回収電極の負電極板に捕集される。このイオン回収電極板には、電離されない中性の金属原子も一部付着するが、特定の同位体が濃縮されたガドリニウムが付着する。
この特定の同位体が濃縮されたガドリニウムは、イオン回収電極板の温度を濃縮されたガドリニウムの融点以上に加熱することにより溶融し、液状となって環流して製品回収容器に回収される。
【0008】
また、レーザー照射により電離されない多くのガドリニウム蒸気原子は、イオン回収電極板の間を素通りし、上方に設置された廃品回収板に、特定の同位体が減損した劣化ガドリニウムとして付着し回収される。この廃品ガドリニウムもまた、廃品回収板の温度を廃品ガドリニウムの融点以上に加熱することにより溶融し、液状となって流動し廃品回収容器に回収される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、単体のガドリニウムの融点は1313℃と非常に高いため、製品および廃品のガドリニウムを液状として環流させて回収するには、製品回収電極(製品回収板)および廃品回収板を約1400℃以上の温度にまで加熱する必要がある。
加熱方法としては抵抗通電加熱等が考えられるが、多量のガドリニウムの同位体分離を行う実用機では回収板の面積も広いため、加熱のために多大の電力を必要とし経済的に望ましくない。また、高温下では材料の腐食性が高くなり、装置の寿命低下につながる。
【0010】
そこで、本願の出願人はこの課題を解決するために、原子レーザー法によるガドリニウム同位体分離方法において、ガドリニウム(Gd)とニッケル(Ni)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、タリウム(Tl)のいずれかの金属との合金を原料金属に用いるとともに、るつぼ上で加熱されて蒸発した金属蒸気原子に複数波長のレーザー光を照射して特定のガドリニウム同位体を励起して電離させ、電場を印加するとともに加熱した製品回収電極板により電離イオンおよび一部中性原子を回収し、得られた濃縮ガドリニウムと当該金属との合金を液状で回収した後、化学分離により合金成分を除去して濃縮ガドリニウムを製品として分離回収することを特徴とする分離方法を先に提案している(特開平8−276117号公報参照)。
【0011】
しかしながら、ガドリニウム(Gd)とニッケル(Ni)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、タリウム(Tl)との合金のうち、融点の観点からはGd−Ni(15重量%)が635℃、Gd−Mg(62重量%)が548℃と特に低く適しているが、マグネシウムMgは化学的活性度が大きくて空気中で取り扱いにくく、かつ合金のGdの割合が少ないという欠点がある。
【0012】
また、ニッケル(Ni)は、同位体分離装置中の製品回収板および廃品回収板の候補として有望な材料であるタングステン(W)やタンタル(Ta)を、液化回収のための高温において腐食させる難点がある。
【0013】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、原子レーザー法を用いながら、濃縮ガドリニウム製品および廃品ガドリニウムを低消費電力で長時間にわたって安定的に回収できる、経済性に優れたガドリニウム同位体分離方法および装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載のガドリニウム同位体分離方法は、
ガドリニウムと銅との合金を加熱し蒸発させて得た金属蒸気原子に複数波長のレーザー光を照射して特定のガドリニウム同位体を励起して電離させ、
電場を印加するとともに加熱した製品回収電極により電離イオンを回収し、
電離イオンを回収して得た濃縮ガドリニウムと銅との合金を液状で回収し、
前記濃縮ガドリニウムを化学分離により銅を除去して分離回収することを特徴とする。
【0015】
すなわち、ガドリニウムと銅との合金の融点は、単体のガドリニウムの融点である1313℃より大幅に低い。
特に、重量比でガドリニウム85%、銅15%の合金の融点は675℃であるから、ガドリニウム単体の融点1313℃に対して約640℃も低い。
これにより、濃縮ガドリニウム製品および廃品ガドリニウムを液状として環流させて回収するために製品回収電極(製品回収板)および廃品回収板を加熱する温度を低くすることができるから、濃縮ガドリニウム製品および廃品ガドリニウムを低消費電力で長時間にわたって安定的に回収できる、経済性に優れたガドリニウム同位体分離方法および装置を提供することができる。
【0016】
また、請求項2に記載のガドリニウム同位体分離方法は、ガドリニウムに銅を蒸発組成における銅の比率が10〜60重量%の範囲となるように混入した合金を用いるとともに、銅を10〜60重量%の範囲で混入した濃縮ガドリニウムを前記製品回収電極において回収することを特徴とする。
すなわち、ガドリニウムに銅を10〜60重量%の範囲で混入した合金を原料金属とすれば、製品回収電極を900℃程度の比較的低い温度に加熱することにより、製品ガドリニウムと銅の合金を液化し流動させて製品回収容器に集めることができる。
【0017】
また、請求項3に記載のガドリニウム同位体分離方法は、ガドリニウムと銅とを個別にるつぼに供給しながら前記るつぼ内で加熱して蒸発させることを特徴とする。
これにより、ガドリニウムおよび銅を、るつぼに供給する前に予め加熱し溶融して合金化しておくことなく、直接るつぼ内で加熱して合金化することができる。
また、それぞれの供給速度を調整することにより、金属蒸気中の混入割合および製品ガドリニウムと銅の混入割合を調整することができ、かつ低温度での加熱による製品の液化回収が可能になる。
【0018】
また、請求項4に記載のガドリニウム同位体分離装置は、
ガドリニウムと銅との合金を加熱し蒸発させて得た金属蒸気原子に複数波長のレーザー光を照射して特定のガドリニウム同位体を励起して電離させ、
電場を印加するとともに加熱した製品回収電極により電離イオンを回収し、
電離イオンを回収して得た濃縮ガドリニウムと銅との合金を液状で回収し、
前記濃縮ガドリニウムを化学分離により銅を除去して分離回収するガドリニウムの同位体分離装置であって、
前記製品回収電極に、タングステン材料、タンタル材料、モリブデン材料、ステンレスまたはカーボンの基板材に炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、タングステンのいずれか若しくはこれを組み合わせたものいずれかをコーティングした材料、を用いることを特徴とする。
すなわち、製品回収電極をこのような構成とすると、ガドリニウムによる高温における腐食が少なく、かつ電極としての機能も有するから、長期間にわたって安定的にガドリニウム同位体を分離することが可能となる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明のガドリニウム同位体分離装置は、
ガドリニウムと銅との合金を加熱し蒸発させて得た金属蒸気原子に複数波長のレーザー光を照射して特定のガドリニウム同位体を励起して電離させ、
電場を印加するとともに加熱した製品回収電極により電離イオンを回収し、
電離イオンを回収して得た濃縮ガドリニウムと銅との合金を液状で回収し、
前記濃縮ガドリニウムを化学分離により銅を除去して分離回収するガドリニウムの同位体分離装置であって、
前記ガドリニウムから前記濃縮ガドリニウムを分離して得られる廃品ガドリニウムを分離回収する廃品回収器、および前記金属蒸気を封入する蒸気封入器の材料として、
タングステン、タンタル、モリブデン、酸化カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化イットリウムのいずれか若しくはこれを組み合わせた材料、
またはステンレスの基板材あるいはグラファイト若しくはカーボンコンポジットの基板材に炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、タングステンのいずれか若しくはこれを組み合わせたもののいずれかをコーティングした材料、
を用いることを特徴とする。
すなわち、廃品回収器および蒸気封入器の材料をこのような構成とすると、ガドリニウムによる高温における腐食が少ないから、長期間にわたって安定的にガドリニウム同位体を分離することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガドリニウム同位体分離方法および装置の一実施形態を、図1乃至図4を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図2に示したフローチャート図の各ステップに対応する部分にはS1,S2等の符号を記載する。
【0021】
まず最初に図1を参照して本実施形態のガドリニウム同位体分離装置100について説明すると、分離セル(真空容器)1の内部は、油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ若しくは油回転ポンプ等からなる真空排気装置2により、10−4パスカル程度の高真空度に保たれている。
【0022】
真空容器1内に配設された金属蒸気発生装置3は、るつぼ4と、このるつぼ4内に装架した原料金属5の表面に高速の電子ビーム6を照射して原料金属5を加熱し溶融させ蒸発させる電子銃7とを有している。
るつぼ4は水冷される銅製の容器で、イットリア、タングステン合金等から製造した断熱性のハースライナを有している。
【0023】
るつぼ4内で溶融した原料金属5の液位は、原料金属5の蒸発に伴って低下するので、原料供給装置8は、ガドリニウム9(S1)および銅10(S2)を予め加熱し溶融させて得た液状合金(S3)を、加熱された原料導入管8aを介して連続的若しくは断続的にるつぼ4内に供給し(S4)、原料金属5の液位をほぼ一定に保つ。
【0024】
原料金属5は、ガドリニウムに10〜60重量%の範囲の比率で銅を混入した合金である。
このとき、図3に示したように10〜60重量%の範囲の比率で銅を混入したガドリニウムGd−銅Cu合金の融点は675℃〜約900℃であり、ガドリニウム単体の融点である1313℃に対して400℃以上も低い。
これにより、原料金属5は、電子銃7が発射する電子ビーム6による加熱によって容易に溶融させることができるとともに、2000℃程度の温度にまで加熱することにより所要の蒸気密度のガドリニウムおよび銅の原子蒸気ビーム11を得ることができる(S5)。
【0025】
蒸発したガドリニウムおよび銅の原子蒸気ビーム11は、蒸気整流器12を通過した後、その上方のイオン捕集電極板13で挟まれた光反応部14に導かれる。
【0026】
光反応部14に色素レーザー光15を照射するレーザーシステム16は、銅蒸気レーザー17、色素レーザー18および光合成器19等から構成されている。
色素レーザー光15は、ガドリニウム蒸気原子を3段階励起法により電離させるのに必要な波長、強度、波長幅等を有している。
分離セル1内の光反応部14においては、色素レーザー光15によって、天然ガドリニウムの蒸気原子に約15%含まれる157Gd同位体のうち、熱励起されていない基底レベルの原子のみが3段階励起法によって励起され電離される(S6)。
【0027】
光電離した157Gdイオンは、高電場を印加したイオン捕集電極板13うちの負のイオン捕集電極板13aに捕集される(S7)。
レーザーにより電離されない残りの157Gd原子、他のGd同位体原子および銅原子の一部は、中性原子のままイオン捕集電極板13に付着して捕集されるが、他の大部分の原子はイオン捕集電極板13の間を素通りし、さらに上方に設置された廃品回収板20に付着して回収される(S8)。
また、イオン捕集電極板13および蒸気整流器12に到達しないガドリニウムおよび銅の蒸気原子は、蒸気封入容器21によって捕獲される(S9)。
【0028】
このとき、蒸発させる原料金属5の合金元素の混合比およびイオン捕集電極板13に付着する合金元素の付着率等を予め調整し、イオン捕集電極板13に捕集されるガドリニウムと銅との合金における銅の重量比が約15%となるようにしておく。
【0029】
また、イオン捕集電極板13(製品回収電極)に、タングステン材料、タンタル材料、モリブデン材料、ステンレスまたはカーボンの基板材に炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、タングステンのいずれか若しくはこれを組み合わせたものいずれかをコーティングした材料を用いることにより、ガドリニウムによる高温における腐食が少なく、かつ電極としての機能も有し、長期間にわたって安定的にガドリニウム同位体を分離することが可能となる。
【0030】
負のイオン捕集電極板13aに捕集された、157Gd同位体が60%以上に濃縮されたガドリニウムと銅との合金は、負のイオン捕集電極板13aをこの合金の融点675℃より200℃余り高い900℃程度に加熱することにより液状となり、製品回収流路22に沿って下方に流動し、分離セル1の外部に設置された製品回収容器23に集められる(S10)。
【0031】
中性原子のまま廃品回収板20に付着した157Gd同位体の組成が劣化したガドリニウムと銅との合金は、廃品回収板20を約900℃に加熱することにより液状となり、流路24に沿って下方に流動し、分離セル1の外部に設置された廃品回収容器25に回収される(S11)。
このとき、廃品回収容器25の材料として、タングステン、タンタル、モリブデン、酸化カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化イットリウムのいずれか若しくはこれを組み合わせ材料、またはステンレスの基板材あるいはグラファイト若しくはカーボンコンポジットの基板材に炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、タングステンのいずれか若しくはこれを組み合わせたもののいずれかをコーティングした材料を用いると、ガドリニウムによる高温における腐食が少なく、長期間にわたって安定的にガドリニウム同位体を分離することが可能となる。
【0032】
蒸気封入容器21に付着したガドリニウムと銅との合金も、合金の融点以上に加熱されることにより液状となって流動し、下方のるつぼ4に還流する(S12)。
このとき、蒸気封入容器21の材料として、タングステン、タンタル、モリブデン、酸化カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化イットリウムのいずれか若しくはこれを組み合わせ材料、またはステンレスの基板材あるいはグラファイト若しくはカーボンコンポジットの基板材に炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、タングステンのいずれか若しくはこれを組み合わせたもののいずれかをコーティングした材料を用いると、ガドリニウムによる高温における腐食が少なく、長期間にわたって安定的にガドリニウム同位体を分離することが可能となる。
【0033】
なお、図4に示したように、ガドリニウムGd−銅Cu合金を液化させて回収できる融点(約675℃)より200℃あまり高い温度(約900℃)の近傍では、ガドリニウムへのタングステンの飽和溶解度は約2×10−4重量%である。 これにより、ガドリニウムGd−銅Cu合金にはタングステンWが殆ど溶解しないから、イオン捕集電極板13や廃品回収板20および蒸気封入容器21の材料としてタングステンWを好適に用い得ることがわかる。
【0034】
イオン捕集電極板13a、廃品回収板20および蒸気封入容器21の加熱は、主に原料金属5を蒸発させる電子ビーム6による加熱の輻射熱により行うことが出来るが、製品回収容器23および廃品回収容器25までの流路22,24の加熱を含め、補助の抵抗通電加熱装置を併用して加熱する。
【0035】
製品回収容器23および廃品回収容器25に回収されたガドリニウムと銅との合金は、冷却水によって冷却されて固化し、固体金属合金として一時保管された後に分離セル1の外部に取り出される。
【0036】
製品回収容器23に回収された濃縮ガドリニウムと銅との合金は、容器から取り出された後、化学分離法により溶融分離され(S13)、製品の濃縮ガドリニウムと銅化合物とに分離される(S14,S15)。
なお、ガドリニウムと銅との分離は沈殿法、イオン交換法または溶媒抽出法により容易に行うことができる。例えば、ガドリニウムと銅との塩酸溶液に蓚酸を加えるとガドリニウムと反応して沈殿をつくるため、沈殿しない銅を濾過して分離することができる。
【0037】
すなわち、本実施形態のガドリニウム同位体分離方法および装置においては、ガドリニウム単体に代えてガドリニウムと銅との合金を原料金属として用いるので、その融点を大幅に低下させることができる。
これにより、るつぼ4に供給した原料金属5を電子ビーム6の照射によって容易に溶融させることができるばかりでなく、蒸発面を安定化することができる。
【0038】
また、蒸発させる原料金属5の合金元素の混合比およびイオン捕集電極板13に付着する合金元素の付着率等を予め調整するので、イオン捕集電極板13に捕集される濃縮ガドリニウムと銅との合金における銅の重量比を約15%とし、イオン捕集電極板13に捕集した濃縮ガドリニウムと銅との合金の融点を675℃に低下させることができる。
【0039】
これにより、イオン捕集電極板13や廃品回収板20および蒸気封入容器21に付着したガドリウムGd−銅Cu合金を加熱して液化し流動化させて回収する際には、イオン捕集電極板13や廃品回収板20および蒸気封入容器21を加熱する温度を大幅に低下させることができるから、加熱に要する消費電力を減少させて経済性を向上させることができるばかりでなく、ガドリウムGd−銅Cu合金を容易に流動化させて還流させ回収することができ、さらには高温時における耐食性の問題をも解消することができる。
【0040】
以上、本発明に係るガドリニウム同位体分離方法および装置の一実施形態について詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、金属蒸気発生装置3のるつぼ4内へ原料金属5を供給する際、原料供給装置8においてガドリニウム9および銅10を加熱し溶融させ予め合金化してから供給しているが、ガドリニウム9および銅10を個別にるつぼ4に供給した後に加熱して合金化することもできる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るガドリニウム同位体分離方法および装置においては、ガドリニウムと銅とを特定の比率で混合した合金を原料金属として用いることにより、その融点を大幅に低下させるので、原料の供給、製品および廃品の回収を容易に行うことが可能となり、原子レーザー法によるガドリニウムの特定の同位体、例えば157Gdの組成を高めた濃縮ガドリニウムの生産を経済的かつ安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態のガドリニウム同位体分離装置を模式的に示すシステム構成図。
【図2】本発明に係る一実施形態のガドリニウム同位体分離方法のプロセスを模式的に示すフローチャート図。
【図3】ガドリニウムと銅との二元合金のフェーズダイアグラム図。
【図4】ガドリニウムに対するタングステンの飽和溶解度と温度との関係を示すグラフ図。
【図5】天然ガドリニウムの組成を示す表図。
【符号の説明】
1 分離セル
2 真空排気装置
3 金属蒸気発生装置
4 るつぼ
5 原料金属
6 電子ビーム
7 電子銃
8 原料供給装置
11 原子蒸気ビーム
12 蒸気整流装置
13 イオン捕集電極板
14 光反応部
15 色素レーザー光
16 レーザーシステム
17 銅蒸気レーザー
18 色素レーザー
19 光合成器
20 廃品回収板
21 蒸気封入容器
22 製品回収流路
23 製品回収容器
24 廃品回収流路
25 廃品回収容器
100 本発明に係る一実施形態のガドリニウム同位体分離装置
Claims (5)
- ガドリニウムと銅との合金を加熱し蒸発させて得た金属蒸気原子に複数波長のレーザー光を照射して特定のガドリニウム同位体を励起して電離させ、
電場を印加するとともに加熱した製品回収電極により電離イオンを回収し、
電離イオンを回収して得た濃縮ガドリニウムと銅との合金を液状で回収し、
前記濃縮ガドリニウムを化学分離により銅を除去して分離回収する、
ことを特徴とするガドリニウムの同位体分離方法。 - 前記ガドリニウムに前記銅を蒸発組成における銅の比率が10〜60重量%の範囲で混入した合金を用いるとともに、
前記銅が10〜60重量%の範囲となるように混入した濃縮ガドリニウムを前記製品回収電極において回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載のガドリニウム同位体分離方法。 - 前記ガドリニウムと前記銅とを個別に供給しながら前記るつぼ内で加熱して蒸発させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のガドリニウム同位体分離方法。
- ガドリニウムと銅との合金を加熱し蒸発させて得た金属蒸気原子に複数波長のレーザー光を照射して特定のガドリニウム同位体を励起して電離させ、
電場を印加するとともに加熱した製品回収電極により電離イオンを回収し、
電離イオンを回収して得た濃縮ガドリニウムと銅との合金を液状で回収し、
前記濃縮ガドリニウムを化学分離により分離回収するガドリニウムの同位体分離装置であって、
前記製品回収電極に、タングステン材料、タンタル材料、モリブデン材料、ステンレスまたはカーボンの基板材に炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、タングステンのいずれか若しくはこれを組み合わせたものいずれかをコーティングした材料、を用いることを特徴とするガドリニウム同位体分離装置。 - ガドリニウムと銅との合金を加熱し蒸発させて得た金属蒸気原子に複数波長のレーザー光を照射して特定のガドリニウム同位体を励起して電離させ、
電場を印加するとともに加熱した製品回収電極により電離イオンを回収し、
電離イオンを回収して得た濃縮ガドリニウムと銅との合金を液状で回収し、
前記濃縮ガドリニウムを化学分離により銅を除去して分離回収するガドリニウムの同位体分離装置であって、
前記ガドリニウムから前記濃縮ガドリニウムを分離して得られる廃品ガドリニウムを分離回収する廃品回収器、および前記金属蒸気を封入する蒸気封入器の材料として、
タングステン、タンタル、モリブデン、酸化カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化イットリウムのいずれか若しくはこれを組み合わせた材料、
またはステンレスの基板材あるいはグラファイト若しくはカーボンコンポジットの基板材に炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、タングステンのいずれか若しくはこれを組み合わせたもののいずれかをコーティングした材料、
を用いることを特徴とするガドリニウム同位体分離装置。
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2000
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