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JP4560966B2 - 電子材料の洗浄方法 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子材料の洗浄方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、低濃度のオゾン含有水を用いて高い洗浄効果を得ることができる電子材料の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板、フォトマスク用石英基板などに付着した有機物は、従来はSPMと呼ばれる硫酸と過酸化水素水の濃厚な混合薬液や、50mg/L以上の高濃度のオゾン含有水を用いる洗浄により清浄化されていた。SPM洗浄は、半導体表面のレジストなどの強固に付着した有機物や金属を除去するためには有効な方法であるが、高濃度の酸と過酸化水素を多量に使用するために、廃液中にこれらの薬剤が排出され、廃液処理において中和や沈殿処理などに多大な負担がかかるとともに、多量の汚泥が発生する。すなわち、半導体基板などの表面の清浄度を確保するために、薬品及び廃液処理に多大な費用を必要としてきた。また、近年、濃厚な薬液を使用しない、オゾン含有水による洗浄も普及し始めたが、強固に付着した有機物を除去するためには、50〜100mg/Lという高濃度のオゾン含有水を必要とする。高濃度のオゾン含有水を調製するためには、高濃度のオゾン含有ガスを大量に製造する必要がある。そのためには、高価なオゾン発生器が必要であり、製造費が嵩み、洗浄機、配管などの材質を傷めることになるので、頻繁にメンテナンスする必要があり、高濃度のオゾン含有ガスは人体に有害で、取り扱いに注意しなければならないなどの問題点がある。以上の点から、近年様々な新しい洗浄方法が試みられようとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低濃度のオゾン含有水を用いて高い洗浄効果を得ることができる電子材料の洗浄方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電子材料の洗浄に用いる低濃度のオゾン含有水を常温以上に僅かに加温することにより、その洗浄効果を飛躍的に高め、低濃度のオゾン含有水を用いて高濃度のオゾン水に匹敵する有機物除去効果が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)オゾン濃度15〜50mg/Lの温度20℃以上のオゾン含有水を用いて電子材料の表面に付着した有機物を洗浄によって除去する方法であって、オゾン含有水のオゾン濃度cmg/L、温度t℃としたとき、100≧c+t>45を満たす条件で洗浄することにより、下記の指紋除去率測定試験における指紋除去率に換算して80%以上の指紋除去率に相当する付着有機物の除去を行うことを特徴とする電子材料の洗浄方法、
指紋除去率測定試験:
1.直径6インチのシリコンウェーハに指を押しつけることにより、表面を指紋の有機物で汚染したシリコンウェーハを調製した。
2.別に、エジェクターに純水2L/分を送り込み、無声放電によるオゾン発生器で発生させたオゾン濃度200g/Nm 3 のオゾン含有ガス1NL/分を吸い込ませ、オゾン含有水を調製した。得られたオゾン含有水を純水で希釈して、オゾン濃度cmg/Lの洗浄水を調製した。
3.表面を指紋の有機物で汚染したシリコンウェーハの指紋の付着面積を顕微鏡観察により測定したのち、温度t℃の洗浄水に10分間浸漬して洗浄を行い、洗浄後の指紋の付着面積を測定し、洗浄前後の指紋の付着面積から、指紋の除去率を算出した。
(2)オゾン含有水が、純水にオゾンを溶解したのち加温して調製したものである第1項記載の電子材料の洗浄方法、
(3)薬剤を添加して酸化性を向上させたオゾン含有水を用いる第1項又は第2項記載の電子材料の洗浄方法、及び、
(4)周波数20kHz〜3MHzの超音波を照射しつつ洗浄する第1〜3項のいずれかに記載の電子材料の洗浄方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(5)薬剤が、酸又は過酸化水素である第項記載の電子材料の洗浄方法、
(6)電子材料が、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板又はフォトマスク用石英基板である第1項記載の電子材料の洗浄方法、
(7)オゾン含有水が、純水を加温して調製したのちオゾンを溶解したものである第1項記載の電子材料の洗浄方法、及び、
(8)オゾン含有水が、純水に高温のオゾン含有ガスを溶解したものである第1項記載の電子材料の洗浄方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の電子材料の洗浄方法は、オゾン濃度5〜50mg/Lのオゾン含有水を用いて電子材料を洗浄する方法であって、オゾン含有水のオゾン濃度cmg/L、温度t℃としたとき、c+t≧45を満たす条件で洗浄する。本発明方法においては、オゾン含有水が、純水にオゾンを溶解したのち加温して調製したものであることが好ましい。本発明方法により、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板、フォトマスク用石英基板などの表面に付着した有機物を効果的に除去することができる。
本発明方法に用いるオゾン含有水のオゾン濃度は、5〜50mg/Lであり、より好ましくは15〜40mg/Lである。オゾン含有水のオゾン濃度が5mg/L未満であると、オゾン含有水の温度を高めても十分な洗浄効果が得られないおそれがある。オゾン含有水のオゾン濃度は50mg/L以下で十分な洗浄効果が得られ、50mg/Lを超えるオゾン濃度のオゾン含有水を用いると、経済性が損なわれるおそれがある。
本発明方法においては、オゾン含有水のオゾン濃度cmg/L、温度t℃としたとき、c+t≧45、より好ましくはc+t≧50、さらに好ましくはc+t≧55を満たす条件で洗浄する。すなわち、オゾン含有水のオゾン濃度が5mg/Lのときは、温度40℃以上、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上で洗浄し、オゾン含有水のオゾン濃度が40mg/Lのときは、温度5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上で洗浄する。c+t<45であると、洗浄効果が不十分となるおそれがある。
【0006】
本発明方法において、オゾン含有ガスの製造方法に特に制限はなく、例えば、無声放電によるオゾン製造、水の電気分解によるオゾン製造などを挙げることができる。オゾン含有水の製造方法にも特に制限はなく、例えば、エジェクター、吸引型のガス溶解ポンプ、バブリング装置、気体透過膜装置などを用いてオゾン含有ガスを純水に溶解することにより製造することができる。これらの中で、エジェクターと吸引型のガス溶解ポンプは、オゾン含有ガスを加圧して供給する必要がないので好適に用いることができ、エジェクターは、耐オゾン性に優れた部材による簡単な装置構成が可能なので、特に好適に用いることができる。
本発明方法において、オゾン含有水の製造装置や供給配管などの部材は、酸化性の強いオゾン含有ガスやオゾン含有水と接触するので、十分な耐オゾン性を有する材料で構成することが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、表面を不動態化した金属、石英などの不活性材料で表面をコートした材料などを挙げることができる。
本発明方法においては、周波数20kHz〜3MHz、より好ましくは周波数400kHz〜3MHzの超音波を照射しつつ洗浄することができる。超音波を照射する方法に特に制限はなく、例えば、バッチ洗浄においては、オゾン含有水を貯留した槽に超音波の振動を伝達することができ、また、枚葉式スピン洗浄においては、電子材料に注ぎかけるオゾン含有水に、ノズル部において超音波の振動を伝達することができる。オゾン含有水に超音波を照射することにより、電子材料の表面に損傷を与えることなく、洗浄効果を高めることができる。超音波の周波数が20kHz未満であると、洗浄効果の向上が不十分となるおそれがある。超音波の周波数が3MHzを超えると、周波数の増大に見合う洗浄効果の向上は期待できない。
【0007】
本発明方法においては、オゾン含有水に薬剤を添加して酸化性を向上させることができる。添加する薬剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸などの酸や、過酸化水素などを挙げることができる。オゾン含有水に薬剤を添加して酸化性を向上させることにより、オゾン含有水の有機物除去効果をさらに高めることができる。
本発明方法において、加温されたオゾン含有水を調製する方法に特に制限はなく、例えば、純水にオゾン含有ガスを溶解してオゾン含有水としたのち加温することができ、純水を加温したのちオゾン含有ガスを溶解することもでき、あるいは、純水に加温されたオゾン含有ガスを溶解することもできる。図1は、加温されたオゾン含有水を調製する三態様の説明図である。図1(a)に示す態様においては、オゾン発生器1において発生したオゾン含有ガスが、オゾン溶解部2において純水に溶解されたのち、加温部3において加温され、加温されたオゾン含有水の温度は温度計4により管理される。図1(b)に示す態様においては、純水が加温部3において加温されたのち、オゾン発生器1において発生したオゾン含有ガスがオゾン溶解部2において溶解され、加温されたオゾン含有水の温度は温度計4により管理される。図1(c)に示す態様においては、オゾン発生器1において発生したオゾン含有ガスが加温部3において加温されたのち、オゾン溶解部2において純水に溶解されて加温されたオゾン含有水となり、その温度は温度計4により管理される。加温部の構造に特に制限はなく、例えば、熱交換器、ヒーターなどを用いることができる。
【0008】
これらの中で、図1(a)に示す態様は、オゾン溶解部から洗浄装置までの距離が長い場合であっても、洗浄装置の近傍に加温部を設置することができ、配管全体を保温処理する必要がないので、好適に用いることができる。また、加温されたオゾン含有水で有機物を除去する洗浄工程と、加温されていないオゾン含有水を使用する酸化工程などがあっても、オゾン溶解部1台で複数の工程にオゾン含有水を供給することができる。さらに、洗浄装置に近い位置で加温することにより、図1(b)及び図1(c)に示す態様に比べ、低い温度の加温で洗浄装置に同じ温度のオゾン含有水を供給することができる。
本発明方法においては、加温されたオゾン含有水による洗浄効果を高めるために、必要に応じて、オゾン含有水に高純度の試薬を添加することができる。添加する高純度の試薬としては、例えば、塩酸や界面活性剤などを挙げることができる。オゾン含有水に高純度の試薬を添加する位置に特に制限はなく、オゾン含有ガスの溶解前又は溶解後のいずれでもよく、また、水の加温前又は加温後のいずれでもよい。
本発明の電子材料の洗浄方法によれば、簡単な加温装置を設けて、オゾン含有水の温度を僅かに上げることにより、オゾン含有水の洗浄効果を顕著に高めることができる。これにより、使用するオゾン含有水のオゾン濃度を低減することができ、高濃度のオゾン含有ガスを発生させるための高価なオゾン発生器の使用効率を高め、また、発生する廃液を容易に処理することができる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
直径6インチのシリコンウェーハに指を押しつけることにより、表面を指紋の有機物で汚染したシリコンウェーハを調製し、バッチ洗浄試験を行った。
エジェクターに純水2L/分を送り込み、無声放電によるオゾン発生器で発生させたオゾン濃度200g/Nm3のオゾン含有ガス1NL/分を吸い込ませ、オゾン含有水を調製した。得られたオゾン含有水を純水で希釈して、オゾン濃度1、5、15、20、40、50mg/Lとしたオゾン含有水を調製し、純水とともに洗浄水として用いた。
汚染シリコンウェーハの指紋の付着面積を顕微鏡観察により測定したのち、温度20、25、30、35、40、50℃の洗浄水に10分間浸漬して洗浄を行い、洗浄後の指紋の付着面積を測定し、洗浄前後の指紋の付着面積から、指紋の除去率を算出した。結果を、第1表に示す。
【0010】
【表1】
Figure 0004560966
【0011】
【表2】
Figure 0004560966
【0012】
第1表に見られるように、洗浄水のオゾン濃度が1mg/Lの場合は、c+tが45以上であっても、指紋除去率は50%に達しない。洗浄水のオゾン濃度が5〜50mg/Lの場合は、c+tが45以上であると、指紋除去率は80%以上となり、良好な洗浄効果が発現する。
実施例2及び比較例2
実施例1と同様にして、指紋の有機物で汚染したシリコンウェーハを作製し、枚葉式スピン洗浄試験を行った。
オゾン濃度15mg/Lのオゾン含有水を洗浄水とし、温度25、30、35、40℃で、枚葉式スピン洗浄装置を用いて洗浄した。メガソニックノズル[本多電子(株)、パルスジェット]より周波数1MHzの超音波を照射しつつ、ウェーハを500rpmで回転させながら、洗浄液ノズルをウェーハ中央からエッジの間1往復10秒でスイングさせ、洗浄水を25mL/秒の流量で注ぎかけ、60秒間洗浄を行った。
実施例1と同様にして、洗浄前後の指紋の付着面積を測定し、指紋の除去率を算出した。結果を、第2表に示す。
【0013】
【表3】
Figure 0004560966
【0014】
第2表に見られるように、オゾン濃度15mg/Lのオゾン含有水を用いて枚葉式スピン洗浄を行ったとき、c+tが45未満であると、指紋除去率は80%に達しないが、c+tが45以上であると、指紋除去率は80%以上となり、良好な洗浄効果が発現する。
実施例3
シリコンウェーハの代わりにガラス製レンズを用い、実施例1と同様にして、指を押しつけることにより表面を指紋の有機物で汚染し、オゾン濃度15mg/Lのオゾン含有水に25、40℃で、オゾン濃度20mg/Lのオゾン含有水に20、30℃で、それぞれ10分間浸漬して洗浄し、洗浄前後の指紋の付着面積から、指紋の除去率を算出した。結果を、第3表に示す。
【0015】
【表4】
Figure 0004560966
【0016】
第3表に見られるように、シリコンウェーハ以外の材料に対しても、オゾン含有水を室温でそのまま洗浄水として用いた場合より、水温を僅かに高めた方が低いオゾン濃度で同等の洗浄効果を示すことが分かる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の電子材料の洗浄方法によれば、簡単な加温装置を設けて、オゾン含有水の温度を僅かに上げることにより、オゾン含有水の洗浄効果を顕著に高めることができる。これにより、使用するオゾン含有水のオゾン濃度を低減することができ、高濃度のオゾン含有ガスを発生させるための高価なオゾン発生器の使用効率を高め、また、発生する廃液を容易に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、加温されたオゾン含有水を調製する三態様の説明図である。
【符号の説明】
1 オゾン発生器
2 オゾン溶解部
3 加温部
4 温度計

Claims (4)

  1. オゾン濃度15〜50mg/Lの温度20℃以上のオゾン含有水を用いて電子材料の表面に付着した有機物を洗浄によって除去する方法であって、オゾン含有水のオゾン濃度cmg/L、温度t℃としたとき、100≧c+t>45を満たす条件で洗浄することにより、下記の指紋除去率測定試験における指紋除去率に換算して80%以上の指紋除去率に相当する付着有機物の除去を行うことを特徴とする電子材料の洗浄方法。
    指紋除去率測定試験:
    1.直径6インチのシリコンウェーハに指を押しつけることにより、表面を指紋の有機物で汚染したシリコンウェーハを調製した。
    2.別に、エジェクターに純水2L/分を送り込み、無声放電によるオゾン発生器で発生させたオゾン濃度200g/Nm 3 のオゾン含有ガス1NL/分を吸い込ませ、オゾン含有水を調製した。得られたオゾン含有水を純水で希釈して、オゾン濃度cmg/Lの洗浄水を調製した。
    3.表面を指紋の有機物で汚染したシリコンウェーハの指紋の付着面積を顕微鏡観察により測定したのち、温度t℃の洗浄水に10分間浸漬して洗浄を行い、洗浄後の指紋の付着面積を測定し、洗浄前後の指紋の付着面積から、指紋の除去率を算出した。
  2. オゾン含有水が、純水にオゾンを溶解したのち加温して調製したものである請求項1記載の電子材料の洗浄方法。
  3. 薬剤を添加して酸化性を向上させたオゾン含有水を用いる請求項1又は2記載の電子材料の洗浄方法。
  4. 周波数20kHz〜3MHzの超音波を照射しつつ洗浄する請求項1〜3のいずれかに記載の電子材料の洗浄方法。
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