以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、下部ケース20に対して揺動式に開閉可能でかつ着脱自在な上部ケース21を重ね合わせて箱状のケース部を構成し、このケース部の内部に被覆処理ユニットを収容して被覆装置が構成されている。この被覆装置はケース部の一方の端部に供給トレイ1を備え、他方の端部に排出トレイ4を備えており、本発明における「記録媒体」としての記録紙Aを、その記録面を上向きにして供給トレイ1にセットし、供給ガイド2に沿って水平方向にケース部の内部に供給することによって、記録紙Aを水平方向に搬送しながら、その記録面に透明な被覆層を形成した後に、排出トレイ4に排出するよう構成されている。
前記上部ケース21の上面には透明な樹脂製のパネル22を備え、このパネル22に多数の通気孔22aを穿設してあり、また、このパネル22に隣接する位置の上部ケース21の上面にも通気孔21aを穿設している。
この被覆装置の搬送系は、被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構6と、補助シートEを搬送する補助シート搬送機構7と、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧する加熱圧着機構8と、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの搬送経路とを分岐させる第1分岐ガイド9と、被覆シートBの基材Cが分離されて被覆層F(図5、図6、図7を参照)が形成された後の記録紙Aと補助シートEとを両面から更に加圧する補助加熱加圧機構10と、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させる第2分岐ガイド11と、補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出する排出機構3と、から構成されている。そして、これらの各構成要素は、本体フレーム12により一体的に支持されている。以下、これらの構成について詳細に説明する。
本実施形態に係る被覆装置において用いられる被覆シートBは、図4に示すように、基材Cと、片側の面に剥離可能な転写層Dとを備えている。この転写層Dは、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Fを形成する部分であり、基材C上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層D1と、この保護層D1の外側に設けられ、保護層D1を記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層D2とを有して構成されている。また、ここでは、これらの保護層D1と接着層D2との結合状態を保つために、これらの間にアンカー層D3を設けている。
前記被覆シートBの転写層Dは、記録紙Aの記録面を保護する被覆層Fとなるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。また、後述するように、記録紙Aの記録面及びその記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写されて被覆層Fを形成した後、記録紙Aと補助シートEとが分離する際に記録紙Aの記録面に形成された部分と、記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された部分とが記録紙Aの端縁付近に沿って切り離し可能な材質及び厚みで構成すると好適である。そのため、保護層D1には、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。
また、ここでは、後述するように加熱圧着機構8において記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧するとともに加熱する構成としているので、接着層D2には、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えばポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材Cは、後述する加熱圧着機構8における加圧及び加熱条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層Dからの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材Cには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。
また、被覆シートBとしては、記録紙Aの幅(複数種類の幅の記録紙Aを対象とする場合にはその中の最大幅の記録紙Aの幅)よりも大きい幅を有する、一定幅の長尺のシートが用いられる。そして、本実施形態においては、被覆シートBとしては、基材Cを外側、転写層Dを内側としてロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBは、被覆シート搬送機構6により、その転写層Dが補助シートEと対向する向きに搬送されることになる。
図1〜図3に示すように、被覆シート搬送機構6は、ロール状に巻き取られた被覆シートBを供給可能に保持する供給保持部6aと、第1分岐ガイド9により記録紙Aから剥離された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収する基材回収部6bとを有している。供給保持部6aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた被覆シートBを回転可能に保持する保持軸6cと、この保持軸6cの回転を制限するための回転制限機構6dとを有している。この回転制限機構6dとしては、例えば本体フレーム12と保持軸6cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、被覆シートBは、後述する加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構6dにより保持軸6cの回転が制限されるので、供給保持部6aから加熱圧着機構8の加圧ローラ8bまでの間の被覆シートBの張りを保つことができる。尚、前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとで前記加熱圧着機構8が構成されている。
また、供給保持部6aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ6eが回転自在に設けられている。このフリーローラ6eは、その外周に所定の角度範囲で被覆シートBが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の被覆シートBの搬送経路の侵入角度を調整している。そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の被覆シートBの搬送経路は、第1分岐ガイド9による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。
また、基材回収部6bは、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸6fと、この巻取軸6fを駆動する巻取軸駆動機構6gと、この巻取軸駆動機構6gから巻取軸6fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構6hとを有している。図2に示すように、この被覆装置の各部の駆動は単一のモータ13からの駆動力が複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により伝達されることにより行われている。したがって、巻取軸駆動機構6gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸6fまで伝達する伝達機構により構成されている。
また、駆動制限機構6hとしては、例えば巻取軸駆動機構6gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸6fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構6hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構6gにより駆動される巻取軸6fの回転速度は、巻取軸6fの周囲に基材Cが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速が加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。具体的には、巻取軸6fの周囲に基材Cがほとんど巻き取られておらず、基材Cの外周の周速が最も遅い状態での周速が、加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、被覆シートBの基材Cの搬送速度V1は加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速との速度差により基材Cの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構6hにより巻取軸6fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
前記補助シートEは、記録紙Aの記録面に被覆シートBの転写層Dを転写して被覆層Fを形成する際に、記録紙Aの幅方向外側や複数枚の記録紙Aの間の記録紙Aの存在しない部分において、対向して搬送されている被覆シートBの転写層Dが転写されるシートである。したがって、補助シートEの材質としては、被覆シートBの転写層Dの表面に設けられている接着層D2が接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。
また、補助シートEは、被覆シートBの転写層Dを転写する際に、補助シートEの側端縁から外側に転写層Dがはみ出すことを防止するため、被覆シートBの幅と同じかそれ以上の幅を有するものとする。補助シートEとしては、被覆シートBの幅よりもやや広い一定幅を有する長尺のシートであって、ロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBの下面(転写面)の全体が補助シートEの上面に対向することになるので、被覆シートBの転写層Dが加熱圧着機構8の駆動ローラ8aに転写されることを防止することができる。
前記補助シート搬送機構7は、ロール状に巻き取られた補助シートEを供給可能に保持する供給保持部7aと、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するシート回収部7bとを有している。供給保持部7aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた補助シートEを回転可能に保持する保持軸7cと、この保持軸7cの回転を制限するための回転制限機構7dとを有している。この回転制限機構7dとしては、例えば本体フレーム12と保持軸7cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、補助シートEは、後述する加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構7dにより保持軸7cの回転が制限されるので、供給保持部7aから加熱圧着機構8の駆動ローラ8aまでの間の補助シートEの張りを保つことができる。
また、供給保持部7aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ7eが回転自在に設けられている。このフリーローラ7eは、その外周に所定の角度範囲で補助シートEが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の補助シートEの搬送経路の侵入角度を調整している。そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の補助シートEの搬送経路は、補助加熱圧着機構10の下流側にある第2分岐ガイド11による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。この際、補助シートEは、第1分岐ガイド9による被覆シートBの搬送経路の分岐位置までは、被覆シートBとの間に記録紙Aを挟んだ状態で被覆シートBに対向して搬送される。
前記シート回収部7bは、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸7fと、この巻取軸7fを駆動する巻取軸駆動機構7gと、この巻取軸駆動機構7gから巻取軸7fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構7hとを有している。図2に示すように、巻取軸駆動機構7gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸7fまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。
前記駆動制限機構7hとしては、例えば巻取軸駆動機構7gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸7fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構7hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構7gにより駆動される巻取軸7fの回転速度は、巻取軸7fの周囲に補助シートEが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速が補助加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速よりも速くなるように、設定されている。
具体的には、巻取軸7fの周囲に補助シートEがほとんど巻き取られておらず、補助シートEの外周の周速が最も遅い状態での周速が、補助加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、補助シートEの搬送速度V1は、補助加熱圧着機構10の駆動ローラ10a及びそれと同じ速度で回転する加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速との速度差により補助シートEの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構7hにより巻取軸7fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
以上のような被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7により、互いに対向して搬送される被覆シートBと補助シートEとの間に、供給トレイ1及び供給ガイド2を介して記録紙Aが供給され、この記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとは、積層された状態で加熱圧着機構8において両面から加圧される。
図2と図3から明らかなように、加熱圧着機構8は、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ8aと、この駆動ローラ8aを回転駆動するローラ駆動機構8cと、駆動ローラ8aに対向して設けられ、駆動ローラ8aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ8aの回転に従動して回転する加圧ローラ8bと、この加圧ローラ8bを駆動ローラ8a側に加圧する加圧機構8dとを有している。駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材により覆った構成としている。この金属ローラの表面を覆う弾性部材の厚さは、後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータ(本発明の発熱ユニットの一例)からの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間を搬送される記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
ローラ駆動機構8cは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ8aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。また、加圧機構8dは、図3に示すように、加圧ローラ8bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材8eと、この保持部材8eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材8fとを有して構成されている。この加圧機構8dによる加圧力は、本実施形態においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとのニップ部における圧力が8〜12kg/平方cm程度となるように設定している。
また、この加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bの内部には、それぞれ発熱ユニットとしてのヒータ8gが設けられており、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。本実施形態においては、このヒータ8gとしてのハロゲンランプを駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bのそれぞれの軸心部に配設している。このヒータ8gによる加熱温度は、本実施形態においては、各ローラの表面温度で、加圧ローラ8bでは90〜110℃程度、駆動ローラ8aでは50〜70℃程度となるように設定している。
したがって、加熱圧着機構8においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間で、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを積層状態で搬送しながら両面から加圧するとともに加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、被覆シートBと補助シートEとの間に挟まれた記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆シートBの転写層Dが接着される。すなわち、加熱されることにより被覆シートBの転写層Dを構成する接着層D2が活性化された状態となり、更に加熱圧着機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの加圧によって圧着されることにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが接着される。そして、後述する第1分岐ガイド9において記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの搬送経路とが分岐されることにより、記録紙A及び補助シートEから被覆シートBの基材Cが剥離され、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが転写される。この転写層Dが被覆層Fを形成する。
第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路Lにおける加熱圧着機構8と補助加熱圧着機構10との間に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの基材Cの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。図2、図5に示すように、第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面9aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面9aに対して鋭角をなして上方に延びるように設けられた第2ガイド面9bが形成されている。そして、この第1ガイド面9aと第2ガイド面9bとが接する端縁9cにおいて被覆シートBの基材Cが記録紙A及び補助シートEから剥離され、剥離された基材Cは、第2ガイド面9bに沿って搬送されて基材回収部6bに巻き取り回収される。これにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fが形成される。この第1分岐ガイド9は、加熱圧着機構8による加熱により活性化した被覆シートBの接着層D2が冷却されて十分な接着力を発揮するようになる程度の距離を加熱圧着機構8に対して有するように配置すると好適である。
補助加熱圧着機構10は、記録紙Aと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ10aと、この駆動ローラ10aを回転駆動するローラ駆動機構10cと、駆動ローラ10aに対向して設けられ、駆動ローラ10aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ10aの回転に従動して回転する加圧ローラ10bと、この加圧ローラ10bを駆動ローラ10a側に加圧する加圧機構10dとを有している。駆動ローラ10a及び加圧ローラ10bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材により覆った構成としている。この金属ローラの表面を覆う弾性部材の厚さは、後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータからの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとの間を搬送される被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
ローラ駆動機構10cは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ10aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。ここで、伝達機構は、補助加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速と、補助加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速とがほぼ同じになるように設定されている。また、加圧機構10dは、図2に示すように、加圧ローラ10bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材10eと、この保持部材10eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材10fとを有して構成されている。この加圧機構10dによる加圧力は、本実施形態においては、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとのニップ部における圧力が3〜7kg/平方cm程度となるように設定している。
また、この補助加熱圧着機構10の加圧ローラ10bの内部にはヒータ10gが設けられており、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。このヒータ10gとして、ハロゲンランプを加圧ローラ10bの軸心部に配設している。このヒータ10gによる加熱温度は、本実施形態においては、加圧ローラ10bの表面温度で80〜100℃程度となるように設定している。
したがって、補助加熱圧着機構10においては、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを搬送しながら両面から加圧するとともに被覆層F側の面から加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fが隙間無く圧着されて強固に接着される。
前記第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路Lにおける補助加熱圧着機構10の下流側に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。図2と図6と図7に示すように、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面11aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面11aに対して鋭角をなして下方に延びるように設けられた第2ガイド面11bが形成されている。そして、図6と図7に示すように、この第1ガイド面11aと第2ガイド面11bとが接する端縁11cにおいて補助シートEが記録紙Aから剥離され、剥離された補助シートEは、第2ガイド面11bに沿って搬送されてシート回収部7bに巻き取り回収される。この際、記録紙Aはその搬送経路Lに沿って水平方向に直進するのに対して、補助シートEは第2分岐ガイド11の第2ガイド面11bに沿って下方に折り曲げられて搬送されることから、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとは互いに離間することとなり、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとが記録紙Aの端縁付近に沿って切断されて分離される。
前記排出機構3は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2分岐ガイド11の下流側に設けられ、第2分岐ガイド11において補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出するための記録紙Aの搬送機構である。ここでは、記録紙Aの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ3aと、この駆動ローラ3aを回転駆動するローラ駆動機構3cと、駆動ローラ3aに対向して設けられ、駆動ローラ3aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ3aの回転に従動して回転する加圧ローラ3bと、この加圧ローラ3bを駆動ローラ3a側に加圧するつるまきバネ3dとを有している。
ローラ駆動機構3cは、この被覆装置の全体の駆動を行う前記モータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ3aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。ここで、伝達機構は、この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速が、補助加熱圧着機構10の駆動ローラ10a及び加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速は、具体的には、補助加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速に対して、0.2〜30%程度、より好ましくは0.5〜20%程度、更に好ましくは1〜10%程度速い速度となるように設定すると好適であり、本実施形態においては5%程度速い速度となるように設定している。これにより、補助シートEと分離後の記録紙Aの部分に対して補助シートEの搬送速度V1よりも速い搬送速度V2で搬送しようとする力を付与することになり、記録紙Aの後端付近と補助シートEとが分離する際に記録紙Aを排出機構3の搬送力で補助シートEから引き離すことになるので、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その被覆層Fに連続して記録紙Aの搬送方向後方の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとを排出機構3の搬送力で分離させることができる。したがって、記録紙Aを補助シートEから分離した後で記録紙Aの後方に余分な被覆層Fが残った状態となることを防止できる。
また、つるまきバネ3dによる加圧力は、記録紙Aの後端付近が補助シートEと分離するまでは、駆動ローラ3aが記録紙Aの裏面に対して滑っている状態となり、記録紙Aの後端付近が補助シートEから分離した後は駆動ローラ3aと記録紙Aとが滑ることなく搬送されるような圧力とすると好適である。すなわち、このつるまきバネ3dによる加圧力の調整により、記録紙Aに対して与える搬送方向の力を制限可能な構成としている。そのため、つるまきバネ3dの取付構造は、つるまきバネ3dの取り付け位置を調節可能とする等によりその加圧力を微調整可能とすることが望ましい。これにより、記録紙Aと補助シートEとが分離する位置が、第2分岐ガイド11による記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路との分岐位置に対して上流側になり過ぎることにより被覆層Fに無理な力が作用して被覆後の記録紙Aの品質が低下することを防止できる。
図3に示すように、前記駆動ローラ8aと、加圧ローラ8bとの外周面のうち、前記補助シートE、及び、被覆シートBが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサSa、Sbを備えており、また、これと同様に加圧ローラ10bの外周面のうち、補助シートEが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサScを備え、更に、前記前記下部ケース20に対して外気温を計測するサーミスタ型の環境温度センサSeを備えている。
また、前記加熱圧着機構8を基準にして被覆シートBの搬送方向での下流部分の放熱領域Lcの上方にはファン式冷却機構25を、また、補助加熱圧着機構10の上方にはファン式冷却機構26を備えている。ファン式冷却機構25を構成する2つのファンは前記パネル22に穿設した多数の通気孔22aに対向しており、ファン式冷却機構26を構成するファンは前記上部ケース21に穿設した通気孔21aに対向している。それぞれのファン式冷却機構25と26は、そのファンを正逆転駆動することで、選択的に、対向する通気口22a又は21aから空気流を排出したり、吸引したりすることができる。
図3と図8から明らかなように、加熱圧着機構8の加圧ローラ8b側領域と補助加熱圧着機構10の加圧ローラ10b領域は保護カバーユニット100によって覆われている。保護カバーユニット100は記録紙Aの搬送経路Lに対向する面を開放した薄板ダクト110から構成されており、加圧ローラ8b又は10bの全体を上方から覆っている。
図9からよく理解できるように、薄板ダクト110の上面にはほぼ全長にわたって開口111が設けられており、この開口111を流通する空気流は、空気流調整器120によって閉鎖又は開放される。この空気流調整器120は、この実施形態では、ばね付勢された揺動開閉板121として形成されている。開閉板121は、開口111の一方の開口縁113に設けられたブラケット122に取り付けられた揺動軸123によって揺動可能に支持されており、揺動軸123に装着されたつるまきバネ124によってその先端が開口111の他方の開口縁112に接当する閉鎖姿勢に付勢されている。
加熱圧着機構8側の保護カバーユニット100の上方に位置しているファン式冷却機構(以後単にファン25と略称する)25と補助加熱圧着機構10側の保護カバーユニット100の上方に位置しているファン式冷却機構(以後単にファン26と略称する)の駆動モード(正転又は逆転)によってこの被覆装置内に、図3と図8で比較図示されている2つの冷却空気流が作り出される。
まず、図3で示されている冷却空気流は、ファン25と26を内部空気を外に排出するように正転駆動することにより作り出され、記録紙Aの搬送経路Lに沿って入り込んできた空気流は主に加熱圧着機構8の搬送方向下流側に位置する被覆シートBの表面を冷却しながら流れた後上方に向かい、ファン25と26によって吸い出され、通気孔21a、22aから排出される。この冷却空気流の流れはここでは正冷却空気流と呼ばれており、記録紙Aに対する転写被覆動作時に適用される。この正冷却空気流が流れている時には、薄板ダクト110の開閉板121はつるまきバネ124によって、さらにファン吸引力によっても補助されて、その先端が開口111の他方の開口縁112に接当する閉鎖姿勢に保持される。このため薄板ダクト110(保護カバーユニット100)の内部には冷却空気流がほとんど流れ込まず、主に加熱圧着機構8の搬送方向下流側に位置する被覆シートBの表面は冷却されるにもかかわらず、保護カバーユニット100に覆われている加熱圧着機構8や補助加熱圧着機構10はほとんど冷却されないので、加熱圧着機構8や補助加熱圧着機構10の温度維持が容易となる。
これに対して、図8で示されている冷却空気流は、ファン25と26を外部空気を内に取り入れるように逆転駆動することにより作り出されるもので、ここでは逆冷却空気流と呼ばれており、搬送詰まりの修復や異物除去などのために内部点検保守を必要とする時に適用される。この逆冷却空気流が流れている時には、ファン25と26からの吹き出される空気流が薄板ダクト110の開閉板121に直接衝突することで、開閉板121がつるまきバネ124の付勢力に抗して下方に揺動し、ファン25と26からの冷却空気流が薄板ダクト110(保護カバーユニット100)の内部に進入する。これにより、薄板ダクト110及びこの薄板ダクト110に覆われている加熱圧着機構8や補助加熱圧着機構10は、それぞれのヒータ8gやヒータ10gもオフされることも相まって急速に冷却される。
この被覆装置は図10に示すようにマイクロプロセッサ(CPU)を内蔵した制御ユニット30を備えている。この制御ユニット30は、入出力インタフェース31を備え、この入出力インタフェース31に対して前記ローラ温度センサSa、Sb、Sc、及び、環境温度センサSe夫々からの計測温度がA/D変換器32でデジタル信号化されて入力し、また、前記3つのヒータ8g、8g、10gに供給する電力を制御するPWM回路33夫々に対して制御信号を出力し、前記ファン25と26、前記モータ13の回転速度を制御する回転制御回路34に対して制御信号を出力し、かつ前記下部ケース20に対する上部ケース21の開放を禁止するロック機構Rへの動作信号をD/A変換器35を介して出力する信号系を備えている。
前記マイクロプロセッサ(CPU)は、半導体メモリ(RAM/ROM)、搬送制御手段36、ローラ温度制御手段37、ファン制御手段38、ロック制御手段39夫々に対してデータバスを介して信号のアクセスを行えるように構成されている。尚、これら搬送制御手段36、ローラ温度制御手段37、ファン制御手段38、ロック制御手段39はソフトウエアで構成したものを想定しているが、ロジック等のハードウエアで構成して良く、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成してもよい。
ちなみに、この制御ユニット30では制御を実現するためにデータバスの他にコントロールバスやアドレスバス等を必要とするものであるが、複雑化を避ける目的から図面にはコントロールバスやアドレスバス、あるいは、インタフェース類を示していない。
ファン25と26の駆動制御は、ファン制御手段38によって行われるが、この被覆装置の通常運転時にはファン25と26は正冷却空気流を作り出すべく正転駆動される。運転途中での被覆シートBのシート切れ発生に伴う被覆シート交換作業や、搬送詰まりのリカバリー作業のために下部ケース20に対して上部ケース21を開放する必要がある場合、下部ケース20に対して上部ケース21を開放しての保守点検作業のためのスイッチ動作やレバー動作などを通じて、制御ユニット30が上部ケース21の開放を認識すると、ファン制御手段38が回転制御回路34に制御信号を送り、その結果ファン25と26は逆冷却空気流を作り出すべく逆転駆動される。この逆冷却空気流による加熱圧着機構8と補助加熱圧着機構10の冷却は、ローラ温度センサScによって評価される各加熱圧着機構のローラ表面温度が所定値(例えば60℃程度)に下がるまで続けられる。なお、ローラ表面温度が所定値に下がることで初めて、ここでは模式的にしか図示されていないロック機構Rがロック制御手段39によって解除され、下部ケース20に対する上部ケース21の揺動開放を許可して、内部点検保守を可能にしている。
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成してもよい。
(イ)空気流調整器120として、開閉板121を冷却空気流の流れ方向によって自動的にその開閉姿勢を変更する構成に代えて、より正確で確実な開閉設定が可能なように、開閉板の開閉制御を、電気式また電磁式で実現してもよい。また、開閉板方式に代えて、弁方式の流れ調整器を用いてもよい。
(ロ)加熱圧着機構として、ローラを用いずに被覆シートと記録紙(記録媒体)とを挟み込み位置に配置された一対の加熱プレートを用いることや、一方にプレート状の加熱体を用い、他方にローラ状の加熱体を用いることが可能である。
(ハ)放熱領域に送られる被覆シートBからの輻射熱から、被覆シートBの表面温度を計測する温度センサを備え、この温度センサの計測結果に基づいて冷却ファンの回転速度を設定する制御系を備えてもよい。