ところで、インクジェット式記録装置において印刷の画質を高めたり、或いは印刷速度を高めるためには、記録ヘッドのノズルピッチを小さくしてノズル密度を高めることが望ましい。
しかしながら、従来の圧電アクチュエータユニットを使用する図18に示した記録ヘッドにおいては、そのノズルピッチを小さくしてノズル密度を現行よりも高めることは、製造上の制約があるために極めて困難である。
記録ヘッドにおいてそのノズルピッチを小さくすることは、同時に圧力室同士のピッチを小さくすることになり、このように圧力室同士のピッチが小さくなると、圧力室の上方に形成された島状の厚肉部と圧力室隔壁との間隔が狭くなる。これは、圧電振動子を駆動した際の反力の増大を招き、印刷時のクロストークの悪化や、記録ヘッドを構成する部材の接着剥がれ等が引き起こされることになる。
前記の如くノズル密度の向上(ノズルピッチの短縮)には限界があるため、1列あたりのノズル数を増やすのではなく、ノズル列の数を増やすことにより1つの記録ヘッドに形成されるノズル開口の総数を増やす方法がある。
ところが、従来の記録ヘッドの構造では、ノズル列数の増加に応じて圧電アクチュエータユニットの数を増やさなければならなかった。一般に、1つの圧電アクチュエータユニットは、圧電材料層と電極層とを積層して構成された1つの積層体バルクから製造される。従って、製造すべき圧電アクチュエータユニットの数だけ積層体バルクが必要となり、これによって製造コストの増加をもたらされる。また、一般に、記録ヘッドを組み立てる際には圧電アクチュエータユニットごとに配線(テープキャリアパッケージ等)が必要とされるので、圧電アクチュエータユニット数の増加によって配線の必要数も増加し、製造工程の複雑化や記録ヘッド周りの煩雑化がもたらされてしまう。
なお、1つの積層体バルクから2つの圧電振動子列を形成する技術も提案されている(特開平8−11304号)。しかしながら、この技術は、圧電振動子列同士を切り分けるために積層体バルクの中央に溝を形成するものであるため、例えば配線の引き回しに関しては、結局、別体の2つの圧電アクチュエータユニットを設けた構成と同等であって、配線の煩雑化は避けられない。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたのであって、その目的とするところは、主として、クロストークの増加や接着剤剥がれ等が引き起こされることなく、しかも、製造コストの過大な増加や配線の煩雑化がもたらされることもなしにノズル数を増加させることができる液体噴射ヘッドを提供可能とする圧電アクチュエータユニットを提供し、また、それを用いた液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置を提供することにある。
本発明の一参考例は、電極層と圧電材料層とが交互に積層され、両層の積層方向に振動する複数の圧電振動子を備えた圧電アクチュエータユニットであって、前記複数の圧電振動子は、前記積層方向に直交する振動子配列方向に沿って一列に並設されており、各圧電振動子は、前記積層方向及び前記振動子配列方向の両方に直交する振動子幅方向の一側の領域と他側の領域とを含み、前記一側の領域と前記他側の領域のいずれか一方が圧電変形可能な活性部を形成すると共にいずれか他方が圧電変形不能な非活性部を形成しており、隣り合う圧電振動子同士では前記活性部及び前記非活性部の配置が逆であり、各圧電振動子は駆動電圧入力側の個別電極層を有し、前記複数の圧電振動子のすべての前記個別電極層が前記振動子幅方向における前記圧電アクチュエータユニットの一側の側面に露出していることを特徴とする。
また、好ましくは、前記複数の圧電振動子のそれぞれは、さらに、基準電位側の共通電極層を有し、前記複数の圧電振動子のすべての前記共通電極層が、前記振動子幅方向における前記圧電アクチュエータユニットの他側の側面に露出している。
また、好ましくは、前記複数の圧電振動子を駆動するための外部駆動手段をさらに備え、前記複数の圧電振動子のすべての前記個別電極層が、前記圧電アクチュエータユニットの一つの面にて前記外部駆動手段と電気的に接続されている。
また、好ましくは、前記圧電アクチュエータユニットの一側の側面に露出した、前記複数の圧電振動子のそれぞれの前記個別電極層に電気的に接続された複数の個別外部電極と、前記圧電アクチュエータユニットの他側の側面に露出した、前記複数の圧電振動子のすべての前記共通電極層に対して電気的に接続された共通外部電極と、をさらに備え、前記共通外部電極は、前記個別外部電極と同じ側に引き出されている。
また、好ましくは、前記圧電振動子同士の間に前記振動子幅方向の全体にわたって延在する圧電変形不能の非活性壁部分を介して、前記複数の圧電振動子が互いに分離されることなく一体に形成されている。
また、好ましくは、前記複数の圧電振動子はそれぞれが独立に形成されており、前記アクチュエータユニットの前記積層方向の一側に配置された固定基板によって前記複数の圧電振動子が一体に固定されている。
また、好ましくは、前記固定基板は快削性セラミクスによって形成されている。
また、好ましくは、前記固定基板を保持する圧電アクチュエータユニット基板をさらに備える。
また、好ましくは、前記複数の圧電振動子の電極層に電気的に接続されたテープキャリアパッケージをさらに備え、前記テープキャリアパッケージは前記複数の圧電振動子を駆動するための集積回路を含み、前記集積回路の裏面は前記圧電アクチュエータユニット基板に少なくとも部分的に固定されている。
本発明による液体噴射装置は、液滴が噴射される複数のノズル開口が所定のピッチで列状に形成されたノズル形成面を有する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置であって、前記液体噴射ヘッドは、前記複数のノズル開口のそれぞれに連通する複数の圧力室と、前記複数の圧力室のそれぞれの一面を形成する複数の弾性壁と、前記弾性壁を変形させて前記圧力室の容積を変化させる圧電アクチュエータユニットと、を有し、前記複数のノズル開口及び前記複数の圧力室は、互いに平行な第1列及び第2列をなして配置されると共に、前記第1列に属する前記ノズル開口及び前記圧力室と前記第2列に属する前記ノズル開口及び前記圧力室とが前記所定のピッチの半分のピッチで互いにずれており、前記圧電アクチュエータユニットは、前記複数の圧力室に対応させて前記所定のピッチの半分のピッチで1列に配置された複数の圧電振動子を有し、前記複数の圧電振動子のそれぞれが、前記第1列又は前記第2列に属する前記圧力室に対応する圧電変形可能な活性部と、前記第2列又は前記第1列に属する前記圧力室同士を隔離する隔壁に対応する圧電変形不能な非活性部と、を含み、隣り合う前記圧電振動子同士では前記活性部及び前記非活性部の配置が逆であり、各圧電振動子は駆動電圧入力側の個別電極層を有し、前記複数の圧電振動子のすべての前記個別電極層が前記振動子幅方向における前記圧電アクチュエータユニットの一側の側面に露出しており、前記複数の弾性壁は、前記複数の圧力室の全体を覆う弾性板の一部から成り、前記弾性板の前記圧電アクチュエータユニット側の面は、前記複数の弾性壁のそれぞれの周囲においては前記圧電アクチュエータユニットのみに接合されており、前記複数の圧力室のそれぞれに対応して形成され、前記複数の圧電振動子のそれぞれの前記活性部が接合された複数の島状の可動厚肉部と、前記複数の圧力室同士を隔離する前記隔壁に対応して形成され、前記複数の圧電振動子のそれぞれの前記非活性部が接合された複数の半島状の固定厚肉部と、前記第1列に対応する前記半島状の固定厚肉部同士を連結する第1厚肉基部と、前記第2列に対応する前記半島状の固定厚肉部同士を連結する第2厚肉基部とが、前記弾性板の前記圧電アクチュエータユニット側の面に設けられていることを特徴とする。
また、好ましくは、前記複数の圧電振動子のそれぞれは、さらに、基準電位側の共通電極層を有し、前記複数の圧電振動子のすべての前記共通電極層が、前記振動子幅方向における前記圧電アクチュエータユニットの他側の側面に露出している。
また、好ましくは、前記圧電振動子は圧電材料層と電極層とを前記ノズル形成面に垂直な方向に沿って積層して形成されており、前記圧電振動子は前記圧電材料層及び前記電極層の積層方向に振動する。
また、好ましくは、前記複数の圧電振動子のすべてと外部駆動源とが前記圧電アクチュエータユニットの一側面にて電気的に接続されている。
また、好ましくは、前記圧電アクチュエータユニットを複数備え、前記複数のノズル開口及び前記複数の圧力室で構成される前記第1列及び前記第2列から成る組を複数備え、前記第1列及び前記第2列から成る各組毎に前記圧電アクチュエータユニットを配置する。
また、好ましくは、前記第1厚肉基部及び前記第2厚肉基部は、前記圧力室に関して、前記ノズル開口が形成された側とは反対側に配置されている。
また、好ましくは、前記隔壁に対応して形成された前記島状の固定厚肉部又は前記半島状の固定厚肉部の長さは、前記圧力室に対応して形成された前記島状の可動厚肉部の長さよりも長い。
また、好ましくは、前記弾性壁は、前記島状の可動厚肉部に対応する部分と、前記島状の可動厚肉部の周囲に形成されたコンプライアンス部と、を有し、前記コンプライアンス部の外側輪郭は、前記複数のノズル開口の配列方向においては、前記隔壁に対応して形成された前記島状の固定厚肉部又は前記半島状の固定厚肉部によって規定され、前記複数のノズル開口の配列方向に直行する方向においては、前記圧力室を形成する側壁面の一部及び前記圧力室のインク供給口によって規定される。
また、好ましくは、前記圧電振動子は圧電材料層と電極層とを前記ノズル形成面に垂直な方向に沿って積層して形成されており、前記圧電振動子は前記圧電材料層及び前記電極層の積層方向に振動し、前記圧電振動子同士の間に前記振動子幅方向の全体にわたって延在する圧電変形不能の非活性壁部分を介して、前記複数の圧電振動子が互いに分離されることなく一体に形成されている。
本発明の一参考例は、電極層と圧電材料層とが交互に積層され両層の積層方向に振動する複数の圧電振動子を、前記積層方向に直交する振動子配列方向に沿って一列に並べて構成された圧電アクチュエータユニットを製造する方法であって、前記複数の圧電振動子の基準電位側の共通電極層を形成するための第1導電材料層と、前記複数の圧電振動子の駆動電圧入力側の個別電極層を形成するための第2導電材料層とを、圧電材料層を間に挟んで交互に積層して積層体を形成する積層工程を備え、前記第1導電材料層には、前記振動子配列方向に沿って第1窓列をなして所定のピッチで配置された複数の第1窓部が形成されており、前記第2導電材料層には、前記第1窓列に平行な第2窓列をなして前記所定のピッチで配置された複数の第2窓部が形成されており、前記第1窓部と前記第2窓部とが前記所定のピッチの半分のピッチで前記振動子配列方向に互いにずれていることを特徴とする。
また、好ましくは、前記積層方向における前記積層体の一方の面に固定基板を接合する工程をさらに備える。
また、好ましくは、前記積層方向及び前記振動子配列方向の両方に直交する振動子幅方向における前記積層体の一方の面に、前記第2導電材料層に接続される第2外部導電材料層を形成する工程と、前記振動子幅方向における前記積層体の他方の面に前記第1導電材料層に接続される第1外部導電材料層を形成し、前記第1外部導電材料層を、前記固定基板の、前記積層体が接合された面と反対側の面を通って、前記第2外部導電材料層が形成された前記積層体の一方の面まで引き出すようにして延設する工程と、をさらに備える。
また、好ましくは、前記積層方向に沿って前記積層体に複数の切り込みを形成して前記複数の圧電振動子を形成する工程であって、前記複数の切り込みのそれぞれが、前記振動子配列方向における前記第1窓部の端部及び前記第2窓部の端部の両方にかかる位置にて形成される工程をさらに備える。
また、好ましくは、前記第1導電材料層又は前記第2導電材料層が、前記複数の圧電振動子の先端に相当する前記積層体の端面にも形成される。
また、好ましくは、前記複数の圧電振動子を駆動するための外部駆動手段を、前記積層体の一つの面にて、前記複数の圧電振動子のすべての前記個別電極層に電気的に接続する工程をさらに備える。
本発明の一参考例は、電極層と圧電材料層とが交互に積層され両層の積層方向に振動する複数の圧電振動子を、前記積層方向に直交する振動子配列方向に沿って一列に並べて構成された圧電アクチュエータユニットを製造するために使用される圧電構造体であって、前記複数の圧電振動子の基準電位側の共通電極層を形成するための第1導電材料層と、前記複数の圧電振動子の駆動電圧入力側の個別電極層を形成するための第2導電材料層とを、圧電材料層を間に挟んで交互に積層して形成された積層体を備え、前記第1導電材料層には、前記振動子配列方向に沿って第1窓列をなして所定のピッチで配置された複数の第1窓部が形成されており、前記第2導電材料層には、前記第1窓列に平行な第2窓列をなして前記所定のピッチで配置された複数の第2窓部が形成されており、前記第1窓部と前記第2窓部とが前記所定のピッチの半分のピッチで前記振動子配列方向に互いにずれている、ことを特徴とする。
また、好ましくは、前記積層方向における前記積層体の一方の面に接合された固定基板をさらに備える。
また、好ましくは、前記積層方向及び前記振動子配列方向の両方に直交する振動子幅方向における前記積層体の一方の面に形成され、前記第2導電材料層に接続された第2外部導電材料層と、前記振動子幅方向における前記積層体の他方の面に形成され、前記第1導電材料層に接続された第1外部導電材料層であって、前記固定基板の、前記積層体が接合された面と反対側の面を通って、前記第2外部導電材料層が形成された前記積層体の一方の面まで引き出すようにして延設された第1外部導電材料層と、をさらに備える。
また、好ましくは、前記積層方向に沿って前記積層体に形成された複数の切り込みによって前記複数の圧電振動子が形成され、前記複数の切り込みのそれぞれが、前記振動子配列方向における前記第1窓部の端部及び前記第2窓部の端部の両方にかかる位置にて形成されている。
また、好ましくは、前記第1導電材料層又は前記第2導電材料層が、前記複数の圧電振動子の先端に相当する前記積層体の端面にも形成されている。
また、好ましくは、前記積層体の一つの面にて前記複数の圧電振動子のすべての前記個別電極層に接続された、前記複数の圧電振動子を駆動するための外部駆動手段をさらに備える。
以上述べたように本発明によれば、クロストークの増加や接着剤剥がれ等が引き起こされることなく、しかも、製造コストの過大な増加や配線の煩雑化がもたらされることもなしに液体噴射ヘッドのノズル数を増加させることが可能となる。
また、本発明によれば、圧電アクチュエータユニットの一つの側面から複数の圧電振動子のすべてに駆動信号を供給することができるので、ノズル数の増加に起因する配線の煩雑化を避けることができる。
以下、本発明の参考例の一実施形態による圧電アクチュエータユニットを備えた液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による圧電アクチュエータユニットを用いたインクジェット式記録装置の概略構成を示した斜視図である。図1中符号1はキャリッジであり、このキャリッジ1はキャリッジモータ2により駆動されるタイミングベルト3を介して、ガイド部材4に案内されてプラテン5の軸方向に往復移動されるように構成されている。プラテン5は、記録紙6(記録媒体の一種)をその裏面から支持してインクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)12に対する記録紙6の位置を規定する。
キャリッジ1、キャリッジモータ2、タイミングベルト3、及びガイド部材4は、記録ヘッド12をキャリッジ1と共にヘッド走査方向に走査させるキャリッジ機構を構成している。
記録ヘッド12は、キャリッジ1の記録紙6に対向する側に搭載されている。キャリッジ1には、記録ヘッド12にインクを供給するインクカートリッジ7が着脱可能に装着されている。
インクジェット式記録装置の非印刷領域であるホームポジション(図1中、右側)にはキャップ部材13が配置されており、このキャップ部材13はキャリッジ1に搭載された記録ヘッド12がホームポジションに移動した時に、記録ヘッド12のノズル形成面に押し当てられてノズル形成面との間に密閉空間を形成するように構成されている。そして、キャップ部材13の下方には、キャップ部材13により形成された密閉空間に負圧を与えるための吸引ポンプ10が配置されている。
キャップ部材13の印刷領域側の近傍には、ゴムなどの弾性板(弾性ブレード)から成るワイピング部材11が記録ヘッド12の移動軌跡に対して例えば水平方向に進退できるように配置されていて、キャリッジ1がキャップ部材13側から印刷領域側に移動するに際して、必要に応じて記録ヘッド12のノズル形成面を払拭することができるように構成されている。
このインクジェット式記録装置は、さらに、記録ヘッド12により印刷(記録)が行われる記録紙6をヘッド走査方向に対して直交する媒体送り方向に間欠的に搬送する媒体送り機構を備えている。
次に、図2乃至図8を参照して本実施形態による圧電アクチュエータユニットを用いたインクジェット式記記録ヘッド(液体噴射ヘッド)12について詳述する。
図2及びそのA−A断面図である図3に示したようにこの記録ヘッド12は、合成樹脂製のケース20と、このケース20の底面に貼着された流路ユニット21とを備えている。流路ユニット21は、多数のノズル開口23A、23B(図2及び図3には23Aのみを示す。)が穿設されたノズルプレート24と、流路形成板25と、弾性板26と、振動板27とを積層し、接着等により一体化して形成されている。ノズルプレート24は、副走査方向に沿って多数のノズル開口23A、23Bが穿設された薄い板状部材であり、ノズルプレート24の下面はノズル形成面22を形成している。
ケース20は、上面と底面で開放する収容空間28が設けられたブロック状部材である。この収容空間28には、本発明の一実施形態である圧電アクチュエータユニット29とその上面に取り付けられた圧電アクチュエータユニット基板30が収容されている。
圧電アクチュエータユニット29には、駆動集積回路31を持つテープキャリアパッケージ32が電気的に接続されている。駆動集積回路31の一面は圧電アクチュエータユニット基板30に接着されており、これにより、駆動集積回路31の冷却効果が得られる。
圧電アクチュエータユニット29は一列に配置された複数の圧電振動子33を有している。この圧電振動子33は、電極層と圧電材料層とがノズル形成面22に垂直な方向に沿って交互に積層されて構成され、両層の積層方向に振動するものであり、圧電歪定数d33を持っている。圧電振動子33は、圧電変形可能な活性部33aと、圧電変形不能な非活性部33bとを有している。
流路形成板25には、複数の圧力室34A、34B(図2及び図3には34Aのみを示す。)、インク種毎に形成された共通インク室35、及び、圧力室34A,34Bと共通インク室35とを圧力室34A,34B毎に連通するインク供給口36が形成されている。圧力室34A(34B)同士の間は隔壁37で隔離されている。各圧力室34A,34Bの上面開口は、単一の弾性板26の一部から成る各弾性壁26aによって封止されている。弾性壁26aは、圧電アクチュエータユニット29の圧電振動子33の変形に応じて変形し、これにより圧力室34A,34Bの容積を変化させることができる。
圧電振動子33の活性部33a(図4,図5)の先端が接合された島状の可動厚肉部38と、この可動厚肉部38の周囲を囲うように設けられ、弾性を有する薄肉部(コンプライアンス部)39と、隔壁37に対応して形成され、圧電振動子33の非活性部33b(図4,図5)の先端が接合された島状の固定厚肉部40とが、弾性板26及び振動板27によって形成されている。
ケース20には共通インク室35にインクを供給するためのインク供給路41がインク種毎に形成されている。このインク供給路41は弾性板26及び振動板27を貫通して共通インク室35に連通している。
本実施形態による圧電アクチュエータユニットを用いたインクジェット式記録ヘッドは、所定のピッチで配設された多数のノズル開口23A、23Bから成る互いに平行な2列のノズル列を備えている。図4は第1列のノズル開口23Aを含む縦断面図であり、図5は第2列のノズル開口23Bを含む縦断面図である。また、図6は、ノズル開口23A、23B、圧力室34A,34B、及びインク流路の配置構成を示した図であり、図7は、可動厚肉部38及び固定厚肉部40の配置構成を示した図であり、図8は、圧電振動子33の配置構成を示した図である。なお、図4は図6のA−A断面図であり、図5は図6のB−B断面図である。
図6から分かるように、第1列に属するノズル開口23A及び圧力室34Aと、第2列に属するノズル開口23B及び圧力室34Bとが、ノズル開口23A(又は23B)同士の所定のピッチの半分のピッチで互いにずれている。
また、図3及び図8から分かるように、圧電アクチュエータユニット29は、複数の圧力室34A、34Bに対応させてノズル開口23A(又は23B)同士の所定のピッチ(ノズルピッチ)の半分のピッチで一列に配置された複数の圧電振動子33を有している。
そして、図4及び図5に示したように、電極層43,44及び圧電材料層49の積層方向に直行する振動子配列方向(図4,図5の紙面に垂直な方向)に一列に並設された複数の圧電振動子33のそれぞれが、積層方向及び振動子配列方向の両方に直交する振動子幅方向(図4,図5の左右方向)の一側の半部と他側の半部とを含み、一側及び他側のいずれか一方の半部が第1列又は第2列に属する圧力室34A又は34Bに対応する圧電変形可能な活性部33aを形成し、いずれか他方の半部が第2列又は第1列に属する圧力室同士34B又は34Aを隔離する隔壁37に対応する圧電変形不能な非活性部33bを形成する。つまり、複数の圧電振動子33の配列方向に沿って、活性部33a及び非活性部33bの配置が左右に交互に入れ替わっており、隣り合う圧電振動子33同士では活性部33a及び非活性部33bの配置が逆になっている。
図4及び図5中、符号43は電極層によって形成された駆動電圧入力側の個別電極層を示し、符号44は電極層によって形成された基準電位側の共通電極層を示している。個別電極層43と共通電極層44との間には圧電材料層49が介在している。各個別電極層43は各圧電振動子33の一方の側面(図4、図5における右側の側面)に露出しており、各個別電極層43の露出部には各個別外部電極45が電気的に接続されている。また、各圧電振動子33の共通電極層44は各圧電振動子33の他方の側面(図4、図5における左側の側面)に露出しており、各共通電極層44の露出部には共通外部電極46が電気的に接続されている。共通外部電極46は複数の圧電振動子33のすべての共通電極層44に対して電気的に共通に接続されている。
図4から分かるように、第1列のノズル開口23A及び圧力室34Aに対応する活性部33aは、圧電アクチュエータユニット29の一方の側面(図4中の右側の側面)から圧電振動子33の幅方向(図4中左右方向)の内側に延びる短い個別電極層43と、圧電アクチュエータユニット29の他方の側面(図4中の左側の側面)から圧電振動子33の幅方向の内側に延びる長い共通電極層44とを含んでいる。
一方、図5から分かるように、第2列のノズル開口23B及び圧力室34Bに対応する活性部33aは、圧電アクチュエータユニット29の一方の側面(図5中の右側の側面)から圧電振動子33の幅方向(図5中の左右方向)の内側に延びる長い個別電極層43と、圧電アクチュエータユニット29の他方の側面(図5中の左側の側面)から圧電振動子33の幅方向の内側に延びる短い共通電極層44とを含んでいる。
複数の圧電振動子33の上部には固定基板47が設けられており、切り離されて互いに独立に形成された複数の圧電振動子33が、固定基板47によって一体に固定されている。固定基板47は、快削性セラミクスによって形成されている。
なお、図2に示したように固定基板47は、圧電アクチュエータユニット基板30を介してケース20の内面に接続されている。但し、後述するように本実施形態においては圧電振動子33の駆動時の反力をケース20で受ける必要がないので、圧電アクチュエータユニット基板30のケース20への固定は堅固である必要はない。
図4及び図5に示したように共通外部電極46は、固定基板47の上面を通って個別外部電極45と同じ側に引き出されている。従って、複数の圧電振動子33の個別外部電極45及び共通外部電極46のすべてを、圧電アクチュエータユニット29の一側面(図4,図5中の右側側面)にてテープキャリアパッケージ(外部駆動手段の一種)32に電気的に接続することができる。これにより、ノズル数の増加に起因する配線の煩雑化を避けることができる。
本実施形態における記録ヘッド12では、弾性板26の圧電アクチュエータユニット29側の面は、複数の弾性壁26aのそれぞれの周囲においては、ケース20に接合されることなく圧電アクチュエータユニット29のみに接合されている。このため、圧電振動子33を駆動した際に発生する力はケース20を経由することなくループを形成する。つまり、圧電振動子33の駆動時の反力をケース20で受ける必要がない。従って、ケース20に対して要求される構造強度を低く抑えることが可能であり、ケース20の材料や構造の選択の自由度が高くなる。
図7から分かるように、隔壁37に対応して形成された島状の固定厚肉部40の長さは、圧力室34A,34Bに対応して形成された島状の可動厚肉部38の長さよりも長い。また、図3から分かるように弾性壁26aは、島状の可動厚肉部38に対応する部分と、この可動厚肉部38の周囲に形成された薄肉部(コンプライアンス部)39と、を含む。薄肉部(コンプライアンス部)39の外側輪郭は、複数のノズル開口23A(又は23B)の配列方向においては、隔壁37に対応して形成された島状の固定厚肉部40によって規定され、複数のノズル開口23A(又は23B)の配列方向に直行する方向においては、図2から分かるように圧力室34A(34B)の側壁面の一部34’及びインク供給口36で規定される。
図8から分かるように本実施形態の記録ヘッド12においては、1列の圧電振動子33が2列のノズル開口23A、23B(及び圧力室34A,34B)に対応しており、各ノズル列毎に各圧電振動子列が配置される従来の記録ヘッドとは構成が異なる。
なお、固定厚肉部40の構成の一変形例(本発明の一実施形態)としては、図9に示したように、複数の圧力室34A,34B同士を隔離する隔壁37に対応して、複数の圧電振動子33のそれぞれの非活性部33bが接続される複数の半島状の固定厚肉部40A、40Bを形成し、第1列に対応する半島状の固定厚肉部40A同士を第1厚肉基部48Aで連結し、第2列に対応する半島状の固定厚肉部40B同士を第2厚肉基部48Bで連結する。第1厚肉基部48A及び第2厚肉基部48Bは、圧力室34A,34Bに関して、ノズル開口23A、23Bが形成された側とは反対側に形成されている。
この図9に示した例においては、第1厚肉基部48A及び第2厚肉基部48Bによって弾性板26がその上方から支持されるので、流路形成板25に対する弾性板26のシールをより一層確実にすることができる。また、第1厚肉基部48A及び第2厚肉基部48Bが、弾性板26を流路形成板25に接着する際に使用されるジグの当接部として機能するので、接着時に均一且つ十分な押圧力を確保することが可能となる。
次に、本実施形態による圧電アクチュエータユニット29の製造方法について図10乃至図15を参照して説明する。
まず初めに、複数の圧電振動子33の共通電極層44を形成するための第1導電材料層50(図10(a))と、複数の圧電振動子33の個別電極層43を形成するための第2導電材料層51(図10(b))とを、複数の圧電振動子33の圧電材料層49を形成するための圧電材料層52を間に挟んで交互に積層し(図11(a))、焼成することにより積層体55(図11(b))を形成する。
図10(a)に示したように、第1導電材料層50には、複数の圧電振動子33の配列方向に沿って第1窓列をなして所定のピッチで配置された複数の第1窓部53が形成されている。また、図10(b)に示したように、第2導電材料層51には、第1窓列に平行な第2窓列をなして、第1窓部53と同じ所定のピッチで配置された複数の第2窓部54が形成されている。第1窓部53と第2窓部54とは、複数の圧電振動子33の配列方向に、前記所定のピッチの半分の距離だけ互いにずれている。
次に、図12に示したように、第1導電材料層50、第2導電材料層51及び圧電材料層52の積層方向における積層体55の一方の面(図12中の上側の面)に固定基板47を接合する。すでに述べたようにこの固定基板47は快削性セラミクスで形成されている。このように圧電アクチュエータユニット29の一部を積層体55とは別の部材で形成することにより、高価な圧電材料及び電極材料の費用を節減することができる。
次に、図13に示したように、積層体55の積層方向及び複数の圧電振動子33の配列方向の両方に直交する振動子幅方向における積層体55の一方の面に、第2導電材料層51に接続される第2外部導電材料層57を形成する。一方、振動子幅方向における積層体55の他方の面に、第1導電材料層50に接続される第1外部導電材料層56を形成し、この第1外部導電材料層56を、固定基板47の上面を通って、第2外部導電材料層57が形成された積層体55の一方の面まで引き出すようにして延設する。これにより、上述した圧電アクチュエータユニット29を製造するための母部材構造である圧電構造体60が形成される。
次に、図14に示したように、積層方向に沿って第1及び第2外部導電材料層57と共に積層体55に複数の切り込みを形成し、これにより複数の圧電振動子33を形成する。このときの切り込みの深さは、固定基板47がその途中まで切り込まれる程度である。すなわち、第1及び第2導電材料層50,51及び圧電材料層52からなる積層体55はその上下に貫通して切り込まれ、これにより圧電振動子33同士が互いに独立した構造となる。
また、この切り込み工程においては、図15(a)、(b)に示したように、複数の切り込みのそれぞれが、複数の圧電振動子33の配列方向における第1窓部53の端部及び該配列方向における第2窓部54の端部の両方にかかる位置にて形成される。これにより、切り込みの形成と同時に所定長さの共通電極層44及び個別電極層45(図4,図5参照)が形成される。なお、図4及び図5においては、圧電振動子33の駆動に寄与しない部分の電極層は記載が省略されている。
また、切り込み時の位置合わせの便宜のために、第1導電材料層50又は第2導電材料層51を、複数の圧電振動子33の先端に相当する積層体55の端面(積層体55の底面)にも形成し、これを積層体55に切り込みを入れる際の位置合わせの指標とすることができる。特に、積層体55の寸法が焼成時に変化するような場合には有効である。
最後に、複数の圧電振動子33を駆動するための外部駆動手段であるテープキャリアパッケージ32を、積層体55の一つの面にて、複数の圧電振動子33のすべての個別外部電極45及び共通外部電極46に接続する。このように積層体55の一面にてテープキャリアパッケージ32を接続できるので、配線作業が容易であると共に記録ヘッド12の配線が簡素化される。
以上述べたように本実施形態によれば、圧電材料層52と電極層50,51とを積層して構成された1バルクの積層体55から圧電アクチュエータユニット29を形成し、この圧電アクチュエータユニット29に形成された1列の圧電振動子33を2列のノズル列(及び圧力室列)に対応させることができるので、製造コストの過大な増加や配線の複雑化をもたらすことなく記録ヘッド12のノズル数を増加させることができる。なお、従来の圧電アクチュエータユニットを用いてインクジェット式記録装置を製造する場合には、ノズル列(圧力室列)の数だけ圧電アクチュエータユニットが必要であり、或いはまた、ノズル列(圧力室列)の数だけテープキャリアパッケージ(駆動集積回路)が必要であった。
また、本実施形態においては、圧電振動子33の配列方向において隣り合う圧力室34A,34B同士の間の隔壁37の上方に圧電振動子33の非活性部33bが接合されているので、圧電振動子33を駆動してその活性部33aを変形させた際に、駆動された圧電振動子33の両隣に位置する圧電振動子33の非活性部33bが流路ユニット21の変形を防止する。このように圧電アクチュエータユニット29自身が流路ユニット21の変形を防止する強度部材として機能するので、印刷時のクロストーク、特に第1列(又は第2列)の圧電振動子33のすべてを同時に駆動するような場合のクロストークを効果的に防止できると共に、ケース20の剛性で流路ユニット21の変形を防止する必要性が少なくなり、ケース20の材料や構造の選択の自由度が高くなる。
なお、上述した実施形態では、1つの圧電アクチュエータユニット29を2列のノズル列に対応させて配置する構成を説明したが、一変形例としては、複数の圧電アクチュエータユニット29を設けて、複数のノズル開口23A、23B及び複数の圧力室34A,34Bで形成される第1列及び第2列から成る組を、各圧電アクチュエータユニット29に対応させて複数組設けることもできる。
図2に示したようにテープキャリアパッケージ32が垂直方向に引き出されているので、前記の如く圧電アクチュエータユニット29の設置数を増やした場合でも配線の引き回しが容易である。この変形例の場合でも1つの圧電アクチュエータユニット29で2列のノズル列に対応することができるので、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、上述した実施形態の一変形例について図16及び図17を参照して説明する。
上述した実施形態においては、図14に示したように積層方向に沿って積層体55に切り込みを形成し、圧電振動子33同士を互いに物理的に分離している。これに対して本変形例においては、図17に示したように圧電振動子33同士が互いに分離されていない。
本変形例においては、複数の圧電振動子33のそれぞれは、図16(a)に示した第1導電材料層50により構成される基準電位側の共通電極層44と、図16(b)に示した第2導電材料層51により構成される駆動電圧入力側の個別電極層43との、積層方向における重なり部分によって個別化されて形成されている。
つまり、圧電振動子33同士を切り込みによって物理的に切り離すのではなく、圧電振動子33同士の間に圧電変形不能の非活性壁部分を介在させることにより、圧電振動子33同士を物性的に分離している。換言すれば、圧電振動子33同士の間に存在する圧電変形不能の非活性壁部分を介して、複数の圧電振動子33が互いに分離されることなく一体に形成されている。
なお、以上は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド12を例に挙げて説明したが、本発明は、液晶噴射ヘッドや色材噴射ヘッド等といった他の液体噴射ヘッド、或いは、これらの液体噴射ヘッドに用いられる圧電アクチュエータユニットにも適用できる。また、マイクロポンプ等の各種装置に用いられる圧電アクチュエータユニットにも適用することができる。
また、上記実施形態では液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置を例に挙げて説明したが、本発明は、液晶噴射ヘッドや色材噴射ヘッド等といった他の液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。