JP4565475B2 - 電解コンデンサ用電極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エッチング時に均一溶解しやすいアルミニウム箔を用いた電解コンデンサ用電極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム箔は種々の用途に用いられており、特に、エッチング処理する用途に好適に用いられている。具体的には、電解コンデンサ電極用やプリント配線板の回路形成用に好適に用いられている。電解コンデンサ電極用に適用する場合には、アルミニウム箔に直流又は交流エッチングを施すことにより、アルミニウム箔表面に多数のエッチングピットを形成し、アルミニウム箔の表面積を拡大して、静電容量の高い電極箔を得るのである。また、プリント配線板の回路形成用に適用する場合には、基板1上にアルミニウム箔2を貼合し、アルミニウム箔2表面に所定形状のマスキング3を施した後、エッチング処理し、非マスキング部4において露出しているアルミニウム箔2を溶解除去して、マスキング3の形状に合致した回路を持つプリント配線板を得るのである。
【0003】
以上の如き、エッチング処理する用途においては、当然に均一にエッチングしうることが重要である。例えば、電解コンデンサ用電極において、不均一にエッチングされた箇所では、静電容量が不十分となる。また、プリント配線板の場合には、溶解除去すべき箇所で、十分にアルミニウム箔が溶解除去されず、回路が短絡する恐れがある。
【0004】
このため、従来より、均一にエッチング処理しうるアルミニウム箔が、種々開発されている。例えば、アルミニウム箔の元素組成を工夫したり、アルミニウム箔の製造工程における圧延方法や焼鈍方法等を工夫することが行われている。このような工夫によって、概ね、均一にエッチング処理しうるアルミニウム箔が得られている。しかしながら、全く突然に或いは偶発的に、エッチング処理が殆どされない箇所(未エッチ部)を持つアルミニウム箔が得られてしまうということがあった。例えば、全く同一の方法でアルミニウム箔を得ても、一つのロットでは全く未エッチ部は無いのに、他のロットでは、未エッチ部が発見されるというようなことがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、このような未エッチ部が何故発生するのかについて、研究を行った。しかるに、このような未エッチ部は、図1に示す如き状態で発生し、以下のような特徴を有していることが判明した。(i)一個一個の未エッチ部5、即ち、一個一個の未エッチ部5の大きさは、様々であるが、殆どは直径50μm〜1mmの範囲である。(ii)殆どの未エッチ部5は、それに対応する裏面にも、ほぼ同じ大きさの未エッチ部5がある。(iii )未エッチ部5は、周期的に一定の間隔を置いて発生する。(iv)未エッチ部は、目視によって確認しうるもので、光沢がある(エッチングされていないため、当初の艶がある。)。しかしながら、上記のように特徴点はある程度判明しているのであるが、その原因は全く解明できなかった。
【0006】
ところが、本発明者等が、この未エッチ部の元素組成を分析したところ、アルミニウム以外の元素(例えば、銅或いは鉄)が大量に存在することが判明した。
従って、未エッチ部は、アルミニウム箔中に銅或いは鉄が混入していることが原因となって、生じるものであることが判明した。しかし、銅や鉄といった元素は、アルミニウム箔の製造環境中に存在しており、その混入を完全に防止することは、現実的には困難である。例えば、アルミニウム箔の圧延工程では、スチールロール等が用いられ、このロールの磨耗による鉄粉がアルミニウム箔表面に付着するし、また、洗浄工程では液中に銅や鉄が存在しており、これがアルミニウム箔表面に付着する。更には、作業者に付着している銅や鉄が、アルミニウム箔表面に付着するということもある。
【0007】
そこで、本発明者等は、更に検討を進めた結果、未エッチ部となるのは、一定の大きさ以上の銅粉や鉄粉がアルミニウム箔表面に付着した場合に限られることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、洗浄及び温度500℃以上で最終焼鈍を施してアルミニウム箔を製造するに際し、前記最終冷間圧延時に適用される圧延油は5μm以上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものであり、かつ、前記洗浄時に適用される洗浄液は5μm以上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものであることを特徴とする、その表面に直径5μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しない均質エッチング性を有するアルミニウム箔に、エッチング処理を施す電解コンデンサ用電極の製造方法に関するものである。
【0009】
本発明で用いるアルミニウム箔は、アルミニウム純度が99.9重量%以上の高純度アルミニウム箔であるのが一般的である。アルミニウム純度が99.9重量%未満であると、不純物の量が多くなりすぎて、電解コンデンサ用電極箔を得る際、エッチング時に過溶解を生じやすくなり、アルミニウム箔表面積の拡大が図られないため、好ましくない。
【0010】
また、本発明に係る電解コンデンサ用電極の製造方法で用いるアルミニウム箔は、その製造の最終段階で500℃以上の温度で最終焼鈍される。500℃未満の温度で最終焼鈍した場合は、アルミニウム箔表面に銅粉又は鉄粉が付着していたとしても、銅粉又は鉄粉の元素がアルミニウム箔中に拡散しにくく、銅粉又は鉄粉がアルミニウム箔表面に乗っているだけであり、エッチング時にアルミニウム箔表面から脱離するため、未エッチ部が生じない。即ち、500℃以上の温度で最終焼鈍すると、アルミニウム箔表面に付着していた銅粉又は鉄粉の元素が、アルミニウム箔中に拡散して合金化され、エッチング時にもそのまま残留し、未エッチ部が形成されるのである。なお、最終焼鈍の温度は、一般的には、500〜580℃である。
【0011】
本発明に係る方法は、採用されるアルミニウム箔表面に、その大きさが直径5μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しない点に最大の特徴を有する。直径が5μm未満の銅粉又は鉄粉が付着していても、電解コンデンサ用電極箔を得る際のエッチング条件で、溶解しやすく、未エッチ部が生じない。また、仮に、上記(i)〜(iv)の未エッチ部に該当しないようなエッチング不良箇所が生じたとしても、外観上は光沢が確認できず、且つその範囲も狭いため、許容しうるものである。なお、本発明において、直径5μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しないという意味は、アルミニウム箔コイル(巻長は数m〜数千m)中に、一個も存在しないという意味である。
【0012】
なお、本発明において、銅粉又は鉄粉の直径とは、任意の形態の銅粉又は鉄粉の周長を測定し、それを円周率(π)で除したものである。
【0013】
また、本発明において、銅粉又は鉄粉に限定したのは、銅又は鉄が未エッチ部を生じさせる原因となる元素だからである。銅及び鉄以外の元素は、アルミニウム箔表面に付着していても、未エッチ部を生じさせにくい。
【0014】
本発明に係る電解コンデンサ用電極の製造方法は、アルミニウム箔の最終焼鈍前において、アルミニウム箔表面に所定の大きさ以上の銅粉又は鉄粉が付着しないようにすることである。最終焼鈍後において、銅粉又は鉄粉が付着しても、これらはアルミニウム箔表面に強固に付着しないため、エッチング時に容易に脱離する。しかし、最終焼鈍前において、所定の大きさ以上の銅粉又は鉄粉が付着していると、最終焼鈍によって、アルミニウム箔表面に強固に付着し、エッチング時にも脱離しなくなるのである。
【0015】
最終焼鈍前において、アルミニウム箔表面に、所定の大きさ以上の銅粉又は鉄粉が付着しないようにするためには、主として、以下の工程で特定の手段を採用するのが好ましい。即ち、最終焼鈍工程前のスリット工程、洗浄工程、圧延工程において、特定の手段を採用する。特定の手段としては、圧延工程で用いる圧延油の濾過、洗浄工程で用いる洗浄液の濾過、スリット工程で用いるスリット刃の清掃、及び各工程で用いるロールの清掃等が挙げられる。この中でも、圧延油は直接アルミニウム箔表面に適用されるので、その濾過は必須である。具体的には、5μm以上の異物を除去しうるフィルターを用いて、圧延油を濾過することが必須である。特に、25μm以上の異物を除去しうるフィルターを備えた濾過器に圧延油を通して、大きな異物を除去した後、更に、5μm以上の異物を除去しうるフィルターを備えた濾過器に圧延油を通し、その後、この圧延油をアルミニウム箔表面に適用するのが良い。
【0016】
また、洗浄液も、アルミニウム箔表面に浸漬又はスプレー等の手段で直接適用されるため、この濾過も必須である。この濾過も、圧延油の場合と同様の要領で行えば良い。更に、洗浄工程も、なるべく、5μm以上の銅粉又は鉄粉が除去されるように、洗浄液の組成を工夫したり、或いはアルミニウム箔表面のブラッシング等を併用するのが好ましい。スリット刃やロールの清掃は、従来より、行われていたことであるが、その清掃基準をより厳しくしたり、或いは自動的に常に清掃されるような付属装置を設けるのが良い。
【0017】
以上のようにして得られたアルミニウム箔は、エッチング処理によってアルミニウム箔表面の表面積を拡大し、静電容量を向上させた電解コンデンサ用電極として用いられる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、5μm以上の銅粉又は鉄粉が、500℃以上でなされる最終焼鈍前のアルミニウム箔表面に付着していると、外観上未エッチ部が発生するとの知見に基づき、特別な手段を採用して、かかる銅粉又は鉄粉が付着しないようにした点に特徴を有するものであるとして、解釈されるべきである。
【0019】
実施例1
アルミニウム純度99.99%のアルミニウム鋳塊を準備した。この鋳塊に、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延及び中間焼鈍を施して、厚さ0.5mmのアルミニウム板を得た。その後、最終冷間圧延を施して、厚さ0.1mmのアルミニウム箔を得た。最終冷間圧延工程においては、アルミニウム板に適用される圧延油は、5μm以上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものを用いた。そして、3%水酸化ナトリウム水溶液の洗浄液をアルミニウム箔表面にスプレーした後、その表面をブラッシングしながら、洗浄した。この際、洗浄液は、5μm以上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものを用いた。この後、アルミニウム箔を巻き取ってコイルとし、アルゴンガス雰囲気下において、温度550℃保持時間7時間で、最終焼鈍を行った。以上のようにして、均質エッチング性を有するアルミニウム箔を得た。
【0020】
実施例2
洗浄液として、3%水酸化ナトリウム水溶液に代えて、メタクレンを使用した他は、実施例1と同様にして、均質エッチング性を有するアルミニウム箔を得た。
【0021】
比較例1
洗浄工程を経ない他は、実施例1と同様にして、アルミニウム箔を得た。
【0022】
比較例2
ブラッシングを併用しない他は、実施例2と同様にして、アルミニウム箔を得た。
【0023】
実施例1、2及び比較例1、2で得られた各アルミニウム箔に、以下の条件でエッチング処理を施した。まず、40℃の0.1%NaOH水溶液中に、各アルミニウム箔を、30秒間浸漬して前処理した。その後、85℃の4.4モル濃度HCl+0.76モル濃度H2SO4+0.28モル濃度AlCl3・6H2O(+0.1ミリモル濃度Cu2+)水溶液中に、アルミニウム箔を浸漬して、1分間、初期ピット形成処理を行った。次いで、75℃の1モル濃度HCl+3モル濃度H2SO4水溶液中に、10秒間浸漬した後、電流密度0.2A/cm2で1分間電解エッチングして、エッチング処理を終えた。なお、水溶液中におけるモル濃度は、mol/lのことを意味している。
【0024】
この結果、実施例1及び2で得られた均質エッチング性を有するアルミニウム箔については、未エッチ部は全く発生しなかった。これに対して、比較例1及び2で得られたアルミニウム箔は、アルミニウム箔の長手方向において、2m当たり1個の割合で未エッチ部が発生した。
【0025】
【作用及び発明の効果】
本発明で用いる均質エッチング性を有するアルミニウム箔は、その表面に直径5μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しないため、エッチング処理したとき、未エッチ部が発生しない。従って、この均質エッチング性を有するアルミニウム箔をエッチング処理して得られた電解コンデンサ用電極は、光沢を持つ未エッチ部が無いため、均質にエッチングされていることが、外観上容易に確認でき、安心して使用しうるという格別顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム箔に未エッチ部が生じている一例を示した概略斜視図である。
【図2】アルミニウム箔を用いてプリント配線板を作成する際、マスキングが施された状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 アルミニウム箔
3 マスキング
4 非マスキング部
5 未エッチ部
Claims (1)
- 均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、洗浄及び温度500℃以上で最終焼鈍を施してアルミニウム箔を製造するに際し、前記最終冷間圧延時に適用される圧延油は5μm以上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものであり、かつ、前記洗浄時に適用される洗浄液は5μm以上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものであることを特徴とする、その表面に直径5μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しない均質エッチング性を有するアルミニウム箔に、エッチング処理を施す電解コンデンサ用電極の製造方法。
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| JP21392399A JP4565475B2 (ja) | 1999-07-28 | 1999-07-28 | 電解コンデンサ用電極の製造方法 |
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