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JP4569236B2 - タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法、及びタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法 - Google Patents
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タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法、及びタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法 Download PDF

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Description

本発明は、質量分析装置において、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する分野に関する。
従来から、タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法として、スルホン酸やスルホニル基を有する化合物を直接タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることが行われている。しかし、このような方法では、反応種が強酸性基を有するために、タンパク質又はペプチドのN末端への反応効率に問題があった。
また、Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol 96, PP7131-7136, June 1999には、2−スルホ安息香酸環状酸無水物やクロロスルホニルアセチルクロリドなどの試薬を用いてペプチドのN末端にスルホン酸基を導入する方法が記載されている。
一方、Rapid Commun. Mass Spectrom. 12, 603-608(1998)には、Br原子を含む化合物をペプチドのN末端に修飾させることによって、MSデータから、Br原子の特徴的な2マスユニット差のダブレットピークに基づいて目的物を特定する方法が知られている。
プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proceeding of the National Academy of Science of the United States of America)、第96巻、1999年6月、p.7131−7136 ラピッド・コミュニケーションズ・イン・マス・スペクトロメトリー(Rapid Communications in Mass Spectrometry)、第12巻、1998年、p.603−608
しかし、Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol 96, PP7131-7136, June 1999に記載の方法では、酵素消化により生じたペプチドフラグメントに対して上記試薬を作用させているため、N末端ペプチドフラグメントを選択的に回収することができず、N末端ペプチドフラグメントのみをスルホン酸誘導体化することはできない。また、Rapid Commun. Mass Spectrom. 12, 603-608(1998)に記載の方法でも、N末端ペプチドフラグメントを選択的に回収することができない。
そこで本発明の第1の目的は、タンパク質又はペプチドのN末端に効率よくスルホン酸基を導入することによりスルホン酸誘導体化する方法を提供することにある。この目的においては、タンパク質又はペプチドのN末端フラグメントを選択的に回収しつつスルホン酸誘導体化することができ且つ質量分析する場合に有用な方法を提供する。
本発明の第2の目的は、タンパク質又はペプチドを質量分析によって簡便且つ効率的に解析することができる方法を提供することにある。この目的においては、タンパク質又はペプチドのN末端ペプチドフラグメントを選択的に回収し、マススペクトルにおいて回収されたN末端ペプチドフラグメントを他の夾雑物と簡単に区別することにより、効率的に解析することができる方法を提供する。
本発明の第3の目的は、タンパク質又はペプチドのN末端修飾に用いることができる化合物を提供することにある。この目的においては、タンパク質又はペプチドのN末端を効率よくスルホン酸誘導体化し、N末端ペプチドフラグメントの選択的回収及び質量分析を行うために有用な化合物を提供する。
本発明の第4の目的は、効率よくタンパク質又はペプチドのN末端をスルホン酸誘導体化するための中間体を提供することにある。この目的においては、N末端ペプチドフラグメントの選択的回収及び質量分析を行うために有用な中間体を提供する。
1.以下の(1)〜(12)の発明は、タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法に関する。
下記(1)は、化合物Aを用いた修飾工程と、開裂工程とを行い、修飾工程の後、開裂工程の前に、断片化工程及び分離工程を行う形態を示す。
(1)質量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基とを含む化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記N末端が前記化合物Aにより修飾されたタンパク質又はペプチドを得る修飾工程と、
前記修飾されたタンパク質又はペプチドにおいて、前記ジスルフィド基のジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、前記修飾されたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する開裂工程とを含み、
前記修飾工程の後、前記開裂工程の前に、
前記化合物Aによって修飾されたタンパク質又はペプチドを断片化することにより、前記タンパク質又はペプチドのN末端に由来し且つ前記化合物Aによって修飾された1種のN末端ペプチドフラグメントと、前記N末端ペプチドフラグメント以外の1種又は複数種のその他のペプチドフラグメントとを得る断片化工程と、
前記N末端ペプチドフラグメントを前記その他のペプチドフラグメントから分離することにより選択的に回収する分離工程とをさらに含み、
前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメント中の前記化合物Aに由来するジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
下記(2)〜(4)は、(1)における化合物Aの構造について示す。
(2)前記化合物Aが、前記タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基を有する、(1)に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(3)前記タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基が、カルボキシル基、イソチオシアネート基、スクシンイミジルオキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基、及びテトラフルオロスルホフェノキシカルボニル基からなる群から選ばれる、(2)に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(4)前記同位体組成を有する原子がBr、Cl又はBである、(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
下記(5)及び(6)は、(1)における開裂工程について示す。
(5)前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を酸化的に開裂することによって行う、(1)〜(4)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(6)前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を還元的に開裂し、その後、酸化反応することによって行う、(1)〜(4)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
下記(7)及び(8)は、(1)において、修飾工程の前に保護工程を行う形態を示す。
(7)前記修飾工程の前に、タンパク質又はペプチドの側鎖アミノ基を保護する保護工程をさらに含む、(1)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(8)前記保護工程において、前記側鎖アミノ基をグアニジノ化することによって保護する、(7)に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
下記()及び(10)は、固定化型化合物Aを用いる形態を示す。
)前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、(1)〜()のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
10)前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
前記断片化工程において、前記固定化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
前記分離工程において、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより前記N末端ペプチドを選択的に回収し、
前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、(1)〜のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
下記(11)及び(12)は、ビオチニル化型化合物Aを用いる形態を示す。
11)前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、(1)〜()のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
12)前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
前記断片化工程において、前記ビオチニル化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
前記分離工程において、前記N末端ペプチドフラグメントをアビジンが固定化された固相支持体に吸着させて、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより、前記支持体に吸着したN末端ペプチドフラグメントを選択的に回収し、
前記開裂工程において、前記吸着したN末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、(1)〜のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
2.以下の(13)の発明は、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法に関する。
13)(1)〜(12)のいずれかに記載の方法を用いて得られたタンパク質又はペプチドのスルホン酸誘導体を、質量分析にて前記同位体組成に基づく特異的なピークを検出することによって前記タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法。
3.以下の発明は、化合物Aに関する。
量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基と、タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基とを有する化合物A。
ンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化するために、或いは質量分析によって前記タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定するために用いられる、前記の化合物A。
相支持体がさらに結合している、前記の化合物A。
オチニル基がさらに結合している、前記の化合物A。
4.以下の発明は、修飾されたタンパク質又はペプチドに関する。
量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基とを有する基で修飾されたタンパク質又はペプチド。
記同位体組成を有する原子と、ジスルフィド基とを有する基に、さらに固相支持体が結合している、前記のタンパク質又はペプチド。
記同位体組成を有する原子と、ジスルフィド基とを有する基に、さらにビオチニル基が結合している、前記のタンパク質又はペプチド。
本発明によると、タンパク質又はペプチドのN末端に効率よくスルホン酸基を導入することによりスルホン酸誘導体化する方法を提供することができる。また、タンパク質又はペプチドのN末端ペプチドフラグメントを選択的に回収しつつスルホン酸誘導体化することができ、且つスルホン酸誘導体化されたタンパク質又はペプチドを質量分析する場合に有用な方法を提供することができる。
本発明によると、タンパク質又はペプチドを質量分析によって簡便且つ効率的に解析することができる方法を提供することができる。また、タンパク質又はペプチドのN末端ペプチドフラグメントを選択的に回収し、マススペクトルにおいて回収されたN末端ペプチドフラグメントを他の夾雑物と簡単に区別することにより、効率的に解析することができる方法を提供することができる。
本発明によると、タンパク質又はペプチドのN末端修飾に用いることができる化合物を提供することができる。また、タンパク質又はペプチドを効率よくスルホン酸誘導体化し、N末端ペプチドフラグメントの選択的回収及び質量分析を行うために有用な化合物を提供することができる。
本発明によると、効率よくタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化するための中間体を提供することができる。また、N末端ペプチドフラグメントの選択的回収及び質量分析を行うために有用な中間体を提供することができる。
第1に、本発明は、タンパク質又はペプチドのN末端にスルホン酸基を導入することによりスルホン酸誘導体化する方法である。本発明の方法においては、タンパク質又はペプチドのN末端をジスルフィド基含有化合物(化合物Aとして後述する。)によって修飾する修飾工程と、ジスルフィド基を開裂してスルホン酸基に変換する開裂工程とを含み、場合により、修飾工程の前に保護工程を、修飾工程と開裂工程との間に断片化工程及び分離工程を含む。
[保護工程]
本発明の方法においては、通常、修飾工程に先立ち、スルホン酸誘導体化すべきタンパク質又はペプチドの、側鎖アミノ基を有するアミノ酸残基の側鎖アミノ基を保護するための保護工程を行うことができる。側鎖アミノ基を有するアミノ酸残基としては、ε−アミノ基を有するリジン残基やδ−アミノ基を有するオルニチン残基などが挙げられる。保護工程においては、側鎖アミノ基だけに選択的に反応し、タンパク質又はペプチドのN末端アミノ基には反応しない方法を、特に限定することなく用いることができる。例えば、グアニジノ化反応によってアミノ基をグアニジノ基で保護する方法を行うことが好ましい。グアニジノ化反応は、例えばリジン残基をホモアルギニン残基へ、オルニチン残基をアルギニン残基へ変換する。このことによって、側鎖アミノ基が保護されたタンパク質又はペプチドを得る。
側鎖アミノ基を有するアミノ酸残基としてリジンのみを含むペプチドのモデルをグアニジノ化によって保護する例を挙げ、本工程を下記式に示す。式中、a〜lは、側鎖アミノ基を有しないアミノ酸残基を表し、Lysはリジン残基を表し、Horはホモアルギニン残基を表す。
Figure 0004569236
グアニジノ化反応は上記式示すように、側鎖アミノ基(−NH)を、グアニジノ基(−NHC(=NH)NH)に変換する。グアニジノ化試薬としては、O−メチルウレア、S−メチルイソチオウレア、1−グアニルー3,5−ジメチルピラゾール等を用いるとよい。実際には、例えば、アンモニア水等の塩基性溶液に解析すべきタンパク質及びグアニジノ化試薬を混合して反応を行う。このようにして、側鎖アミノ基がグアニジノ基で保護されたタンパク質又はペプチドが得られる。
上記保護工程においては、側鎖アミノ基だけが選択的に保護され、タンパク質又はペプチドのN末端アミノ基は保護されないため、修飾工程において選択的に前記N末端アミノ基を修飾することができる。
[修飾工程]
修飾工程においては、スルホン酸誘導体化すべきタンパク質又はペプチド、若しくは、上記保護工程によって得られた保護されたタンパク質又はペプチド(以下、単にタンパク質又はペプチドと表記する。)のN末端を、ジスルフィド基含有化合物(化合物Aと表記する。)によって修飾する。
本発明の方法における化合物Aは、質量分析において特徴のある同位体組成を有する原子と、タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基と、ジスルフィド基とを有する化合物である。化合物Aの模式的な構造を以下に示す。ここでは、a及びbは有機基を表し、Xは、質量分析において特徴のある同位体組成を有する原子を表し、Yは、タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基を表す。
Figure 0004569236
さらに、化合物Aの具体例を以下に示す。ここでは、固定化型化合物A及びビオチニル化型化合物Aを挙げるが、これらの詳細については後述する。以下に示す固定化型化合物Aにおいて、丸印は固相支持体を表す。
Figure 0004569236
本発明において、質量分析において特徴のある同位体組成比を有する原子とは、同位体を有し、且つ、同位体のうち少なくとも2種が、質量分析においてその質量差に相当する幅を持つ特徴的なペアピーク或いは多重ピークとして確認することができる程度のイオン強度で検出されるような量で存在するような原子である。このような原子の例として、Br、Cl、Bが挙げられる。特に、Br原子は、同位体として79Brと81Brとを有し、天然存在比としては、存在比の高い79Brの存在比を100とすると81Brの存在比は97.2776(すなわち79Br:81Br=50.69% : 49.31%)である。従って、例えばBr原子を1原子含む化合物Aを用いることによって修飾されたタンパク質又はペプチドの場合、マススペクトル上で2Daの差を有するほぼ同じ強度の二本のピークが特徴的なペアピークとして検出される。この観点から、本発明においては特にBr原子を含む化合物Aを用いることが好ましい。
本発明においては、化合物Aが特徴のある同位体組成比を有する原子を含んでいるため、質量分析によるアミノ酸配列決定に利用される場合に特に有用である。すなわち、本方法によって得られるタンパク質又はペプチドのスルホン酸誘導体が質量分析による解析に供されたとき、マススペクトル上において、その特徴的なスペクトルピークに基づいて、スルホン酸誘導体以外に試料中に含まれ得る夾雑物を区別しながら特定することができるという利点がある。
タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基としては、通常カルボキシル基が選択される。この他に、イソチオシアネート基などの活性基、スクシンイミジルオキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基、及びテトラフルオロスルホフェノキシカルボニル基などの活性エステル基であっても良い。化合物Aは、さらにスルホン酸基を有していても良い。スルホン酸基は、上記N末端と反応することができる官能基に結合していても良い。またジスルフィド基は、化合物Aの主鎖の一部を構成する。
化合物Aは、例えば次の方法によって得ることができる。すなわち、アミノ酸又はアミノ酸誘導体のアミノ基と反応することができる官能基と、ジスルフィド基とを有する化合物を化合物Aの前駆体として用意し、これに、前記原子を含むアミノ酸又はアミノ酸誘導体を結合させることによって得ることができる。化合物Aの前駆体としては、例えば、AEDP(3−([2−アミノエチル]ジチオ)プロピオン酸塩酸塩)、シスチン誘導体などが挙げられる。また、アミノ酸には、α−、β−、γ−、δ−アミノ酸が含まれる。さらに、アミノ酸誘導体としてはペプチド又はタンパク質も含まれる(ただしここでいうアミノ酸誘導体としてのペプチド又はタンパク質は、本発明において解析すべき或いはスルフェニル化すべきタンパク質又はペプチドとは別に用意されるものである)。
化合物Aは、このようなアミノ酸又はアミノ酸誘導体と上記前駆体とを、塩基の存在下、縮合剤を用いて反応させることができる。縮合剤としては、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドなどが挙げられる。縮合剤の量は、例えばアミノ酸又はアミノ酸誘導体に対して1〜50当量用いることができる。塩基としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソピロピルエチルアミン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。塩基の量は、例えば、アミノ酸又はアミノ酸誘導体に対して1〜50当量用いることができる。上記試薬は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
またこの反応で用いられる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、蒸留水、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。有機溶媒は、任意の濃度で用いることができる。また反応条件としては、例えば0〜70℃で0.1〜24時間で反応させることができる。これらの条件は、当業者が適宜決定することができる。
本工程においては、タンパク質又はペプチドと上記化合物Aとを、塩基の存在下、縮合剤を用いて反応させることができる。縮合剤としては、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドなどが挙げられる。縮合剤の量は、例えばタンパク質又はペプチドに対して1〜50当量用いることができる。塩基としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソピロピルエチルアミン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。塩基の量は、例えば、タンパク質又はペプチドに対して1〜50当量用いることができる。上記試薬は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
またこの反応で用いられる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、蒸留水、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。有機溶媒は、任意の濃度で用いることができる。また反応条件としては、例えば0〜70℃で0.1〜24時間で反応させることができる。これらの条件は、当業者が適宜決定することができる。
化合物Aが、タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基として前述したような活性基を有する場合は、縮合剤を用いずに、pH 6.5〜8.0のリン酸緩衝液などの水系緩衝液中で、0〜70℃、0.1〜24時間で反応させることができる。
本発明の方法においては、固相支持体がさらに化合物Aに結合したもの(固定化型化合物Aとする。)を用いても良い。このような固相支持体としては、上記化合物Aの主鎖における、タンパク質又はペプチドのN末端との反応点以外の部分と結合可能な官能基を有する固相支持体を特に限定することなく用いることができる。例えば、上記官能基を有する樹脂などを用いることができる。化合物AとしてAEDPを用いた場合は、イソチオシアネートガラスビーズなどを用いることができる。このとき、イソチオシアネートガラスビーズとAEDPとを、塩基性条件下で反応させることによって固定化を行うことができる。なお固定化型化合物Aにおいては、ジスルフィド基は主鎖の一部を構成している。
AEDPをイソチオシアネートガラスビーズに固定化させ、さらに4−ブロモフェニルアラニンによってBrが導入された化合物Aを用いてペプチドのN末端を修飾する例を挙げ、本工程を下記式に示す。下記式においては、修飾されるペプチドはあらかじめグアニジノ化により保護されている。下記式が示すように、修飾されたペプチドは、そのN末端において、4−ブロモフェニルアラニン及びAEDPをリンカーとして固相支持体に結合している。
Figure 0004569236
また一方、固相支持体に特異的に結合することができる基がさらに化合物Aに結合したものを用いても良い。このような基としては、上記ジスルフィド基含有化合物の主鎖における、タンパク質又はペプチドのN末端との反応点以外の部分と結合することができる官能基と、固定支持体に特異的に結合することができる官能基との両方を有するものを特に限定することなく用いることができる。例えば、アビジンを固定化させた支持体に特異的に結合することができるビオチニル基などが挙げられる。このようにビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したもの(ビオチニル化型化合物A)は、上記化合物Aとビオチン酸誘導体とを反応させることによって調製すると良い。なおビオチニル化型化合物Aにおいては、ジスルフィド基は主鎖の一部を構成している。
ビオチニル化型化合物Aを合成する一例を下記式に示す。下記式においては、化合物Aの前駆体としてジスルフィド結合を有する化合物(スルホスクシンイミジル−2−(ビオチンアミド)エチル−1,3´−ジチオプロピオネート(sulfosuccinimidyl-2-(biotinamido)ethyl-1,3’-dithiopropionate);ピアス社よりSulfo-NHS-SS-Biotinとして入手可能)に、Br原子を有するアミノ酸(4−ブロモフェニルアラニン(4-bromophenylalanine))を結合させ、ビオチニル型化合物A(10-biotinamido-2-(4-bromobenzyl)-3-aza-4-oxo-7,8-dithiadecanoic acid)を得ている。
Figure 0004569236
上記式が示すように、得られた化合物Aにおいては、タンパク質又はペプチドと反応することができる官能基は、前記アミノ酸又はアミノ酸誘導体に由来する。
ビオチニル基化型化合物AによってペプチドのN末端を修飾する例を挙げ、本工程を下記式に示す。下記式においては、修飾されるペプチドはあらかじめグアニジノ化により保護されている。
Figure 0004569236
以上のようにして、N末端が化合物Aによって修飾されたタンパク質又はペプチドを得ることができる。本発明の方法は、従来法のようにタンパク質又はペプチドのN末端に直接スルホン酸誘導体を導入しないため、N末端への反応効率という点においてより優れている。
[断片化工程及び分離工程]
本発明の方法においては、前述の修飾工程の後、後述の開裂工程の前に、タンパク質又はペプチドを断片化する(断片化工程)。断片化工程においては、断片化により、N末端が化合物Aによって修飾された1種のN末端ペプチドフラグメントと、1種又は複数種のその他のペプチドフラグメントに分解される。N末端ペプチドフラグメントのN末端は、前述の修飾工程における化合物Aに由来するジスルフィド結合を有している。
断片化の方法としては化学的断片化や酵素による消化などを行うと良い。化学的断片化を行う場合、BrCN等を用いると良い。酵素による消化を行う場合、例えばグアニジノ化されたタンパク質又はペプチドはリジン残基を有しないため、酵素としてはLys−C以外のエンドプロテアーゼを用いることができる。本発明の方法においては、解析すべきタンパク質に応じて、質量分析装置などで分析が容易な長さのN末端ペプチドフラグメントを生成する酵素を選択することが可能である。例えば、トリプシン、キモトリプシン、Glu−C等が用いられる。この酵素消化は、通常の方法を用いて行う。
前述の断片化工程を行った後は、N末端ペプチドフラグメントとその他のペプチドフラグメントとを分離する(分離工程)。分離工程においては、N末端ペプチドフラグメントを選択的に回収すると良い。このとき、N末端ペプチドフラグメントの修飾基の性質に応じて、当業者が適宜分離手段を決定することができる。
例えば、上記修飾工程において固定化型化合物Aを用いた場合の断片化工程及び分離工程を下記式に示す。
Figure 0004569236
上記式においては、断片化工程においてe残基のC末端とh残基のC末端を分解するエンドプロテアーゼを用いた例を示している。断片化が行われると、固相支持体に結合したN末端ペプチドフラグメントと、固相支持体に結合していないその他のペプチドフラグメントとが得られる。そして、分離工程において支持体を洗浄すると、その他のペプチドフラグメントが溶出し、N末端ペプチドフラグメントを支持体に結合した形で回収することができる。
また例えば、上記修飾工程においてビオチニル化型化合物Aを用いた場合の断片化工程及び分離工程を下記式に示す。
Figure 0004569236
上記式においては、e残基のC末端とh残基のC末端を分解するエンドプロテアーゼを用いた例を示している。断片化が行われると、ビオチンを有するN末端ペプチドフラグメントと、ビオチンを有しないその他のペプチドフラグメントとが得られる。そして、分離工程においてこの混合物を、アビジンが結合した固相支持体を充填したアビジンカラムに吸着させると、N末端ペプチドフラグメントがアビジンカラムに吸着し、その他のペプチドフラグメントはカラムに吸着しない。さらにアビジンカラムをリン酸緩衝液などで洗浄すると、その他のペプチドフラグメントはカラムから溶出し、N末端ペプチドフラグメントをアビジンカラムに吸着した形で回収することができる。
このようにして、上記工程によってN末端ペプチドフラグメントのみを回収することができる。回収されたN末端ペプチドフラグメントは前述の修飾工程に用いた化合物Aに由来する修飾基が結合している。
[開裂工程]
記分離工程によって得られた、N末端が化合物Aに由来する修飾基が結合したタンパク質又はペプチドは、以下に述べる開裂工程に供する。本工程においては、ジスルフィド結合を開裂することによってジスルフィド基をスルホン酸基に変換する。
ジスルフィド結合の開裂は酸化的又は還元的に行うことができる。酸化的開裂は、過ギ酸酸化法などの通常の方法によって行うことができる。これにより、スルフィド基がスルホン酸基に変換される。一方、還元的開裂においては、ジチオスレイトールなどを用いる通常の方法によって還元を行うことによりスルフィド基をチオール基に変換し、さらに過ギ酸などを用いて酸化を行うことによりチオール基をスルホン酸基に変換することができる。
例えば、上記修飾工程において固定化型化合物Aを用いた場合の本工程を下記式に示す。下記式が示すように、ジスルフィド結合の開裂によってスルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントが得られる。
Figure 0004569236
また例えば、上記修飾工程においてビオチニル化型化合物Aを用いた場合の本工程を下記式に示す。下記式が示すように、ジスルフィド結合の開裂によってスルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントが得られる。
Figure 0004569236
以上のようにして、N末端にスルホン酸基が導入された誘導体が得られる。N末端ペプチドフラグメントの回収率の観点からは、本発明の方法はジスルフィド結合を開裂させることによりN末端ペプチドフラグメントを回収するため、例えばアビジン−ビオチン結合を解離させることによって回収するよりも、N末端ペプチドフラグメントの回収率が高い。また、本発明の方法によって得られたN末端ペプチドフラグメントのスルホン酸誘導体は、質量分析装置による解析に供することができる。このとき、N末端のスルホン酸基の存在により、PSD解析においてyイオン系列が検出されることによって、アミノ酸配列の決定が可能となる。
第2に、本発明は、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定法である。この方法は、すでに述べたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法を用いて得られたN末端ペプチドのスルホン酸誘導体を質量分析の試料として用い、これを質量分析することによって行う。このとき、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドは、そのスルホン酸基の存在によって、PSD解析においてyイオン系列が検出される。従ってアミノ酸配列決定が効率的且つ容易になる。
さらに、質量分析するN末端ペプチドのスルホン酸誘導体は、特徴のある同位体組成比を有する原子の存在によって、N末端ペプチドは特徴的なピークとして検出される。このため、試料中に存在し得るN末端ペプチド以外の夾雑物から、解析したいN末端ペプチドを特徴的なピークに基づいて区別して特定することができるという点で大変有用である。
第3に本発明は、特徴のある同位体組成を有する原子と、ジスルフィド基と、タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基とを有する化合物Aである。すなわち本発明の化合物Aは、タンパク質又はペプチドのN末端を修飾することができる化合物である。化合物Aの模式的な構造を以下に示す。ここでは、a及びbは有機基を表し、Xは、質量分析において特徴のある同位体組成を有する原子を表し、Yは、タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基を表す。特徴のある同位体組成を有する原子は、すでに述べたとおりである。またジスルフィド基は、本発明の化合物の主鎖の一部を構成する。
Figure 0004569236
本発明の化合物Aとしては、固相支持体にさらに結合したもの(固定化型化合物A)や、固相支持体に特異的に結合することができる基がさらに結合したもの(一例としてビオチニル化型化合物A)などが挙げられる。本発明の化合物Aの例を下記構造式に示す。式中、丸印は固相支持体を表す。
Figure 0004569236
特に本発明の化合物Aは、タンパク質又はペプチドのN末端にスルホン酸基が導入されたスルホン酸誘導体を得るために、或いは質量分析によってタンパク質又はペプチドの解析を行うために有用に用いられる、すなわち、すでに述べたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法や、タンパク質又はペプチドを質量分析によってアミノ酸配列決定する方法において好ましく用いられる。本発明の化合物Aに関する詳細及び化合物Aによってもたらされる効果は、これらの方法に関する発明の説明で述べたとおりである。
第4に本発明は、N末端アミノ基が特徴のある同位体組成を有する原子とジスルフィド基とを有する基で修飾されたタンパク質又はペプチドである。特徴のある同位体組成とは、上述のとおりである。ジスルフィド基は、本発明の化合物の主鎖の一部を構成する。この化合物は、すでに述べたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法における修飾工程に記載された方法によって得ることができる。従って、上記修飾工程に記載の方法により得られる本発明の化合物においては、特徴のある同位体組成を有する原子とジスルフィド基とを有する基として、さらに固相支持体に結合したものや、ビオチニル基に結合したものなどが挙げられる。
本発明の化合物の一例として固相支持体に結合したものを下記構造式に示す。式中、a〜lは、側鎖アミノ基を有しないアミノ酸残基を表し、Horはホモアルギニン残基を表し、丸印は固相支持体を表す。
Figure 0004569236
また、本発明の化合物の他の一例としてビオチニル基に結合したものを下記構造式に示す。式中、a〜lは、側鎖アミノ基を有しないアミノ酸残基を表し、Horはホモアルギニン残基を表す。
Figure 0004569236

本発明の化合物は、タンパク質又はペプチドのN末端にスルホン酸基が導入されたスルホン酸誘導体を得るための中間体として、或いは質量分析によってタンパク質又はペプチドの解析を行うための中間体として好ましく用いられる。すなわち、すでに述べたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法や、タンパク質又はペプチドを質量分析によってアミノ酸配列決定する方法における中間体として有用に用いられる。本発明の中間体に関する詳細及び本発明の中間体によってもたらされる効果は、これらの方法に関する発明の説明で述べたとおりである。
<実施例1>
[1.スルホスクシンイミジル−2−(ビオチンアミド)エチル−1,3´−ジチオプロピオネート(sulfosuccinimidyl-2-(biotinamido)ethyl-1,3’-dithiopropionate;ピアス社製Sulfo-NHS-SS-Biotin)と4−ブロモフェニルアラニン(4-bromophenylalanine)との縮合]
Sulfo-NHS-SS-Biotin(ピアス社製) 6.1mgと、4−ブロモフェニルアラニン(アルドリッチ社製)12mgとを、0.2Mリン酸緩衝液(pH 7.6)0.2mlに溶解させ、37℃で1時間反応させた。生成物Aを液体クロマトグラフィで単離し、減圧乾固させた。
[2.化合物AとペプチドN末端アミノ基とのカップリング]
モデルペプチドとしてラミニンペンタペプチド((株)ペプチド研究所社製)を使用した。ラミニンペンタペプチドは、ラミニンの癌抑制部位の配列を有するペプチドがアミド化されたもので、Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg-NH2のアミノ酸配列を有する。前記配列においては、C末端のカルボキシル基がアミド化されており、アミド化されたC末端を-NH2を付して表記している。このペプチド1nmolと、上記1.で得られた化合物Aの全量を100μlのDMSOに溶解させた溶液1μlと、EDC 500nmolとを、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.6)10μl内で混合し、室温で30分間反応を行った。
[3.アビジンビーズを用いたアフィニティー精製、過ギ酸酸化反応によるジスルフィド結合の酸化的開裂、及びN末端のスルホン酸誘導体化]
アビジン担体(プロメガ社製)5μlを0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.2)20μlに懸濁させた懸濁液に、上記2.で得られた反応溶液の全量を加え、室温で15分間撹拌させた。その後、アビジン担体を0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.2)で洗浄した。次に、あらかじめ調製しておいた過ギ酸(ギ酸0.95mlと30重量%の過酸化水素水0.05mlとを混合して室温で2時間放置しておいたもの)10μlを添加し、4℃で1時間反応させた。反応液の上清を回収し、蒸留水を添加して直ちに凍結乾燥させることにより、過ギ酸を完全に除去した。
[4.MSでの測定]
凍結乾燥させたものを0.1体積%トリフルオロ酢酸20μlに再溶解し、ZipTip(ウォーターズ社製)を用いて脱塩し、質量分析計Axima CFR plus(島津製作所製)によってMS測定を行った。このとき得られたスペクトルを図1に示す。図1中、矢印で指し示されたピークは、2Daの差を有するほぼ同じ強度の二本のピークが特徴的なペアピークとして検出されたものであり、すなわち、N末端ペプチドフラグメントのピークである。さらにこのピークに対してさらにPSD解析を行い、アミノ酸配列を決定した。このとき得られた結果を図2に示す。
本実施例で得られたMALDI−TOF MSスペクトルである。 本実施例で得られたPSDスペクトルである。
配列番号1は、ラミニンの癌抑制部位の配列を有するペプチドがアミド化されたものである。

Claims (13)

  1. 質量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基とを含む化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記N末端が前記化合物Aにより修飾されたタンパク質又はペプチドを得る修飾工程と、
    前記修飾されたタンパク質又はペプチドにおいて、前記ジスルフィド基のジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、前記修飾されたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する開裂工程とを含み、
    前記修飾工程の後、前記開裂工程の前に、
    前記化合物Aによって修飾されたタンパク質又はペプチドを断片化することにより、前記タンパク質又はペプチドのN末端に由来し且つ前記化合物Aによって修飾された1種のN末端ペプチドフラグメントと、前記N末端ペプチドフラグメント以外の1種又は複数種のその他のペプチドフラグメントとを得る断片化工程と、
    前記N末端ペプチドフラグメントを前記その他のペプチドフラグメントから分離することにより選択的に回収する分離工程とを含み、
    前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメント中の前記化合物Aに由来するジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  2. 前記化合物Aが、前記タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基を有する、請求項1に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  3. 前記タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基が、カルボキシル基、イソチオシアネート基、スクシンイミジルオキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基、及びテトラフルオロスルホフェノキシカルボニル基からなる群から選ばれる、請求項2に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  4. 前記同位体組成を有する原子がBr、Cl又はBである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  5. 前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を酸化的に開裂することによって行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  6. 前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を還元的に開裂し、その後、酸化反応することによって行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  7. 前記修飾工程の前に、タンパク質又はペプチドの側鎖アミノ基を保護する保護工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  8. 前記保護工程において、前記側鎖アミノ基をグアニジノ化することによって保護する、請求項7に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  9. 前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  10. 前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
    前記断片化工程において、前記固定化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
    前記分離工程において、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより前記N末端ペプチドを選択的に回収し、
    前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  11. 前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  12. 前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
    前記断片化工程において、前記ビオチニル化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
    前記分離工程において、前記N末端ペプチドフラグメントをアビジンが固定化された固相支持体に吸着させて、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより、前記支持体に吸着したN末端ペプチドフラグメントを選択的に回収し、
    前記開裂工程において、前記吸着したN末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて得られたタンパク質又はペプチドのスルホン酸誘導体を、質量分析にて前記同位体組成に基づく特異的なピークを検出することによって前記タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を解析する方法。
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