JP4569236B2 - タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法、及びタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法 - Google Patents
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(1)質量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基とを含む化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記N末端が前記化合物Aにより修飾されたタンパク質又はペプチドを得る修飾工程と、
前記修飾されたタンパク質又はペプチドにおいて、前記ジスルフィド基のジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、前記修飾されたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する開裂工程とを含み、
前記修飾工程の後、前記開裂工程の前に、
前記化合物Aによって修飾されたタンパク質又はペプチドを断片化することにより、前記タンパク質又はペプチドのN末端に由来し且つ前記化合物Aによって修飾された1種のN末端ペプチドフラグメントと、前記N末端ペプチドフラグメント以外の1種又は複数種のその他のペプチドフラグメントとを得る断片化工程と、
前記N末端ペプチドフラグメントを前記その他のペプチドフラグメントから分離することにより選択的に回収する分離工程とをさらに含み、
前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメント中の前記化合物Aに由来するジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(3)前記タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基が、カルボキシル基、イソチオシアネート基、スクシンイミジルオキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基、及びテトラフルオロスルホフェノキシカルボニル基からなる群から選ばれる、(2)に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(4)前記同位体組成を有する原子がBr、Cl又はBである、(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(5)前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を酸化的に開裂することによって行う、(1)〜(4)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(6)前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を還元的に開裂し、その後、酸化反応することによって行う、(1)〜(4)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(7)前記修飾工程の前に、タンパク質又はペプチドの側鎖アミノ基を保護する保護工程をさらに含む、(1)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(8)前記保護工程において、前記側鎖アミノ基をグアニジノ化することによって保護する、(7)に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(9)前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、(1)〜(8)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(10)前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
前記断片化工程において、前記固定化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
前記分離工程において、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより前記N末端ペプチドを選択的に回収し、
前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、(1)〜(8)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(11)前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、(1)〜(8)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(12)前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
前記断片化工程において、前記ビオチニル化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
前記分離工程において、前記N末端ペプチドフラグメントをアビジンが固定化された固相支持体に吸着させて、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより、前記支持体に吸着したN末端ペプチドフラグメントを選択的に回収し、
前記開裂工程において、前記吸着したN末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、(1)〜(8)のいずれかに記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の方法を用いて得られたタンパク質又はペプチドのスルホン酸誘導体を、質量分析にて前記同位体組成に基づく特異的なピークを検出することによって前記タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法。
質量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基と、タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基とを有する化合物A。
タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化するために、或いは質量分析によって前記タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定するために用いられる、前記の化合物A。
固相支持体がさらに結合している、前記の化合物A。
ビオチニル基がさらに結合している、前記の化合物A。
質量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基とを有する基で修飾されたタンパク質又はペプチド。
前記同位体組成を有する原子と、ジスルフィド基とを有する基に、さらに固相支持体が結合している、前記のタンパク質又はペプチド。
前記同位体組成を有する原子と、ジスルフィド基とを有する基に、さらにビオチニル基が結合している、前記のタンパク質又はペプチド。
本発明の方法においては、通常、修飾工程に先立ち、スルホン酸誘導体化すべきタンパク質又はペプチドの、側鎖アミノ基を有するアミノ酸残基の側鎖アミノ基を保護するための保護工程を行うことができる。側鎖アミノ基を有するアミノ酸残基としては、ε−アミノ基を有するリジン残基やδ−アミノ基を有するオルニチン残基などが挙げられる。保護工程においては、側鎖アミノ基だけに選択的に反応し、タンパク質又はペプチドのN末端アミノ基には反応しない方法を、特に限定することなく用いることができる。例えば、グアニジノ化反応によってアミノ基をグアニジノ基で保護する方法を行うことが好ましい。グアニジノ化反応は、例えばリジン残基をホモアルギニン残基へ、オルニチン残基をアルギニン残基へ変換する。このことによって、側鎖アミノ基が保護されたタンパク質又はペプチドを得る。
修飾工程においては、スルホン酸誘導体化すべきタンパク質又はペプチド、若しくは、上記保護工程によって得られた保護されたタンパク質又はペプチド(以下、単にタンパク質又はペプチドと表記する。)のN末端を、ジスルフィド基含有化合物(化合物Aと表記する。)によって修飾する。
本発明の方法においては、前述の修飾工程の後、後述の開裂工程の前に、タンパク質又はペプチドを断片化する(断片化工程)。断片化工程においては、断片化により、N末端が化合物Aによって修飾された1種のN末端ペプチドフラグメントと、1種又は複数種のその他のペプチドフラグメントに分解される。N末端ペプチドフラグメントのN末端は、前述の修飾工程における化合物Aに由来するジスルフィド結合を有している。
上記分離工程によって得られた、N末端が化合物Aに由来する修飾基が結合したタンパク質又はペプチドは、以下に述べる開裂工程に供する。本工程においては、ジスルフィド結合を開裂することによってジスルフィド基をスルホン酸基に変換する。
本発明の化合物は、タンパク質又はペプチドのN末端にスルホン酸基が導入されたスルホン酸誘導体を得るための中間体として、或いは質量分析によってタンパク質又はペプチドの解析を行うための中間体として好ましく用いられる。すなわち、すでに述べたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法や、タンパク質又はペプチドを質量分析によってアミノ酸配列決定する方法における中間体として有用に用いられる。本発明の中間体に関する詳細及び本発明の中間体によってもたらされる効果は、これらの方法に関する発明の説明で述べたとおりである。
[1.スルホスクシンイミジル−2−(ビオチンアミド)エチル−1,3´−ジチオプロピオネート(sulfosuccinimidyl-2-(biotinamido)ethyl-1,3’-dithiopropionate;ピアス社製Sulfo-NHS-SS-Biotin)と4−ブロモフェニルアラニン(4-bromophenylalanine)との縮合]
Sulfo-NHS-SS-Biotin(ピアス社製) 6.1mgと、4−ブロモフェニルアラニン(アルドリッチ社製)12mgとを、0.2Mリン酸緩衝液(pH 7.6)0.2mlに溶解させ、37℃で1時間反応させた。生成物Aを液体クロマトグラフィで単離し、減圧乾固させた。
モデルペプチドとしてラミニンペンタペプチド((株)ペプチド研究所社製)を使用した。ラミニンペンタペプチドは、ラミニンの癌抑制部位の配列を有するペプチドがアミド化されたもので、Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg-NH2のアミノ酸配列を有する。前記配列においては、C末端のカルボキシル基がアミド化されており、アミド化されたC末端を-NH2を付して表記している。このペプチド1nmolと、上記1.で得られた化合物Aの全量を100μlのDMSOに溶解させた溶液1μlと、EDC 500nmolとを、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.6)10μl内で混合し、室温で30分間反応を行った。
アビジン担体(プロメガ社製)5μlを0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.2)20μlに懸濁させた懸濁液に、上記2.で得られた反応溶液の全量を加え、室温で15分間撹拌させた。その後、アビジン担体を0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.2)で洗浄した。次に、あらかじめ調製しておいた過ギ酸(ギ酸0.95mlと30重量%の過酸化水素水0.05mlとを混合して室温で2時間放置しておいたもの)10μlを添加し、4℃で1時間反応させた。反応液の上清を回収し、蒸留水を添加して直ちに凍結乾燥させることにより、過ギ酸を完全に除去した。
凍結乾燥させたものを0.1体積%トリフルオロ酢酸20μlに再溶解し、ZipTip(ウォーターズ社製)を用いて脱塩し、質量分析計Axima CFR plus(島津製作所製)によってMS測定を行った。このとき得られたスペクトルを図1に示す。図1中、矢印で指し示されたピークは、2Daの差を有するほぼ同じ強度の二本のピークが特徴的なペアピークとして検出されたものであり、すなわち、N末端ペプチドフラグメントのピークである。さらにこのピークに対してさらにPSD解析を行い、アミノ酸配列を決定した。このとき得られた結果を図2に示す。
Claims (13)
- 質量分析において特徴的な同位体組成を示す原子と、ジスルフィド基とを含む化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記N末端が前記化合物Aにより修飾されたタンパク質又はペプチドを得る修飾工程と、
前記修飾されたタンパク質又はペプチドにおいて、前記ジスルフィド基のジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、前記修飾されたタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する開裂工程とを含み、
前記修飾工程の後、前記開裂工程の前に、
前記化合物Aによって修飾されたタンパク質又はペプチドを断片化することにより、前記タンパク質又はペプチドのN末端に由来し且つ前記化合物Aによって修飾された1種のN末端ペプチドフラグメントと、前記N末端ペプチドフラグメント以外の1種又は複数種のその他のペプチドフラグメントとを得る断片化工程と、
前記N末端ペプチドフラグメントを前記その他のペプチドフラグメントから分離することにより選択的に回収する分離工程とを含み、
前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメント中の前記化合物Aに由来するジスルフィド結合を開裂させてスルホン酸基に変換することにより、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、タンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。 - 前記化合物Aが、前記タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基を有する、請求項1に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記タンパク質又はペプチドのN末端と反応することができる官能基が、カルボキシル基、イソチオシアネート基、スクシンイミジルオキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基、及びテトラフルオロスルホフェノキシカルボニル基からなる群から選ばれる、請求項2に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記同位体組成を有する原子がBr、Cl又はBである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を酸化的に開裂することによって行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記開裂工程におけるスルホン酸基への変換を、前記ジスルフィド結合を還元的に開裂し、その後、酸化反応することによって行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記修飾工程の前に、タンパク質又はペプチドの側鎖アミノ基を保護する保護工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記保護工程において、前記側鎖アミノ基をグアニジノ化することによって保護する、請求項7に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記修飾工程において、まず、固相支持体がさらに前記化合物Aに結合した固定化型化合物Aを用意し、次に、前記固定化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記固定化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
前記断片化工程において、前記固定化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
前記分離工程において、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより前記N末端ペプチドを選択的に回収し、
前記開裂工程において、前記N末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。 - 前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得る、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。
- 前記修飾工程において、まず、ビオチニル基がさらに前記化合物Aに結合したビオチニル化型化合物Aを用意し、次に、前記ビオチニル化型化合物Aを、タンパク質又はペプチドのN末端に反応させることにより、前記ビオチニル化型化合物Aによって前記N末端が修飾されたタンパク質又はペプチドを得て、
前記断片化工程において、前記ビオチニル化型化合物Aによって修飾されたN末端ペプチドフラグメントと前記その他のペプチドフラグメントを得て、
前記分離工程において、前記N末端ペプチドフラグメントをアビジンが固定化された固相支持体に吸着させて、前記その他のペプチドフラグメントを溶出させることにより、前記支持体に吸着したN末端ペプチドフラグメントを選択的に回収し、
前記開裂工程において、前記吸着したN末端ペプチドフラグメントのジスルフィド結合を開裂させることによって、スルホン酸誘導体化されたN末端ペプチドフラグメントを得る、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質又はペプチドをスルホン酸誘導体化する方法。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて得られたタンパク質又はペプチドのスルホン酸誘導体を、質量分析にて前記同位体組成に基づく特異的なピークを検出することによって前記タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を解析する方法。
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