JP4570968B2 - 温度管理媒体 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、脂溶性色素を溶解した炭素数7〜15の高級アルコールの1種または2種以上が、非イオン系界面活性剤および水に分散されてなる乳化液(エマルション)を、密封容器に充填してなる保存温度管理用インジケータが開示されている。この保存温度管理用インジケータは、通常の温度条件下では、外観上は、乳化液の色素の色調が抑えられ、不透明な乳濁色を呈している。一方、この保存温度管理用インジケータが、乳化液が氷結する温度以下に曝されると、一旦、乳化液の全成分が凝固するが、乳化液が再び融解するとき、粗大化した乳化粒子は浮上し、色素の濃い色調を有した油滴または油層が上層へ浮上し、水層と、油滴または油層とに分離する。よって、このような変化が認められた保存温度管理用インジケータを含む包装内の物品は劣化している恐れがあるとして使用時に注意を促すことができる。
1つには、環境ホルモンであることが知られている非イオン性界面活性剤を使用することから、上記の保存温度管理用インジケータを食品や医薬品などに貼付して用いる場合、その安全性を確保することが難しい。例えば、意識せずに上記のような乳化液が充填されている密封容器を破損すると、乳化液が皮膚、食品、薬品などに付着するおそれがある。乳化液が皮膚に付着すると、その非イオン性界面活性剤が皮膚から体内に吸収されて健康を害するおそれがある。また、乳化液が食品や薬品に付着すると、その食品や薬品を誤って飲み込んだ結果、非イオン性界面活性剤が体内に吸収されて健康を害するおそれがある。
また、示温インキは、所定温度で色調が可逆的に変化するインキであり、たとえば、常温時は無色であり、所定温度に達することで青色など目視可能に発色するものの他、常温時は青色など有色であり、所定温度に達することで目視不可能に消色するものをいう。さらに、温度に応じて2段階以上にその色調が変化するものであっても良い。
また、乳化液は、所定温度以下にて凝固し、再び所定温度を超える温度に昇温することにより融解し、相分離して、一旦、相分離したら二度と元の乳化液には戻らないから、この相分離した状態を、光学的に識別することで、この乳化液を用いた温度管理媒体が具備された荷物が、設定した以上の高温に曝されたか否かを判別できる。また、温度管理媒体の乳化液は、1年以上室温保存しても、相分離することなく、安定に分散状態(エマルションの形態)を保つことができる。また、人体に悪影響を及ぼすことのない、水、油脂およびリン脂質を含む脂質混合物から構成されているから、意識せずに乳化液が皮膚、食品、薬品に付着し、その結果、乳化液が体内に入っても、健康を害することはない。
また、前記油脂はトリアシルグリセロールを主成分とし、前記所定温度前後で凝固する食用油脂であることが好ましい。かかる構成によれば、乳化液が所定温度以下にて凝固し、乳化液が再び所定温度を超える温度に昇温することにより融解し、相分離して、一旦、相分離したら二度と元の乳化液には戻らない。
したがって、本発明の温度管理媒体は、温度管理媒体を起動させる確実さを高めることができる。また、温度管理を要する物品を収納する箱体の外部に設置することで利用できる。さらに、温度管理媒体を箱体の外部に設置できることによって、箱体を開封することなく容易に箱体内の物品の温度履歴を確認でき、製品形態を崩すことなく、物品に対する信頼性を維持させることができる。しかも、内包材は少なくともその一部が透明性を有するものであるから、被温度測定物の温度履歴を示す乳化液の状態を箱体の外部からでも容易に確認することができる。
したがって、本発明の温度管理媒体によれば、宅配便などで配送される荷物の温度管理を簡易に行うことができる。
図1は、本発明に係る温度管理媒体の一実施形態を示す概略断面図であり、乳化液を収容した内包材の一方の面に、所定温度で可視化する示温インキが重ねて設けられた領域を備えた状態を表している。
図1中、符号1は温度管理媒体、2は内包材、3は乳化液、4は示温インキ、Aは示温インキが設けられた領域、Bは示温インキを設けない領域をそれぞれ示している。
内包材2は、たとえばシート体を用いることより構成され、一枚のシート体を折り曲げたり、二枚のシート体を重ね合わせたりして、その周囲を密閉することにより袋状に構成される。また、内包材2は、少なくともその一部が透明性を有し、内部に充填された前記乳化液3の状態が外部より目視可能となっている。
このシート体は、たとえばナイロンやポリエチレンなどの合成樹脂よりなり、熱溶着可能なものが望ましい。具体的には、凸版印刷社製の透明蒸着バリアフィルムであるGLフィルムを用いることができる。また、シート体は、複数のフィルムを積層して構成しても良い。本実施形態でのシート体は、ナイロン樹脂よりなるフィルムの内側となる面に、熱溶着のためのポリエチレン樹脂よりなるフィルムをラミネートした二重構造となっている。
示温インキ4は、本実施形態では、常温で無色であり、所定温度で目視可能に発色することで可視化するものである。この際の所定温度は、乳化液3の凝固が開始される温度と同じ温度をいう。
この箱体は、たとえば、ダンボールや発泡スチロール等の運搬可能な容器をいう。したがって、本実施形態では、内包材2の外面に設けられた粘着部を介して箱体の外部に貼りつけ固定する構成となっている。これにより、箱体を開封することなく、起動温度の状態と乳化液3の状態が外側より簡便に確認できることとなる。そして、被温度測定物は、このような構成とした箱体の内部に収容され、冷凍あるいは冷蔵した状態で配送または保存される。
乳化液3は、水、油脂およびリン脂質を含む脂質混合物から構成されるエマルションである。この乳化液3は、水または油脂のいずれか一方が分散媒(連続相)をなし、他方が分散相(不連続相)をなしており、リン脂質を含む脂質混合物が界面活性剤として機能し、水または油脂のいずれか一方が他方に微粒子状に分散している。また、乳化液3は、分散媒(連続相)が水で、分散相(不連続相)が油脂の場合、水中油滴型(Oil in Water型:O/W型)エマルションをなし、一方、分散媒(連続相)が油脂で、分散相(不連続相)が水の場合、油中水滴型(Water in Oil型:W/O型)エマルションをなす。
なお、本発明では、所定温度とは、−60℃以上、+20℃以下の範囲の温度をいう。
例えば、Bが下記の式(2)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルコリン、Bが下記の式(3)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルエタノールアミン、Bが下記の式(4)で表される塩基である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジルイノシトール、Bが水素原子である場合、上記の一般式(1)で表される大豆レシチンはホスファチジン酸である。
また、乳化液3を35〜40℃の雰囲気下に3ヶ月曝し、熱加速試験を行っても、変化は見られない。また、乳化液3は、約23℃の雰囲気下に6ヶ月曝しても、変化することなく安定である。
まず、水にリゾレシチンを溶解して、リゾレシチンの水溶液を調製する。
次いで、油脂にレシチンを溶解して、油脂混合液を調整する。なお、油脂を2種以上用いる場合、予めこれらを混合した後、この油脂の混合物にレシチンを溶解する。
次いで、攪拌しながら、リゾレシチンの水溶液に油脂混合液を少しずつ加えて、水または油脂のいずれか一方を他方に微粒子状に分散させて、乳化液3を得る。
そして、内包材2内に乳化液3を充填した後、内包材2を密封し、この内包材2の少なくとも一方の面の一部に、所定温度で可視化する示温インキ4が重ねて設けられた領域Aを設けることで温度管理媒体1を得る。なお、この際、内包材2の乳化液3で満たされていない部分に、空気などの気体を封入してもよい。
まず、シートロール21よりシート体20を引き出す(図3(a)参照)。次いで、このシート体20の側縁部20a同士が合わさるように折り曲げ二重にする(図3(b)参照)。次に、重ね合ったシート体20の側縁部20a同士を熱溶着し、側方合わせ部21Aを形成してシート体20を筒状体(以下、「筒状シート体20」という。)とする(図3(c)参照)。その後、筒状シート体20の下端部を熱溶着して底部(図示せず)を形成した後、この筒状シート体20内に乳化液3を充填し、さらに、一定間隔毎に区分けするように筒状シート体20の胴部を側方合わせ部21Aと直交する方向に熱溶着して区分け合わせ部21Bを形成する(図3(d)参照)。そして、筒状シート体20を区分け合わせ部21Bで切断して内包材2とする(図3(e)参照)。
また、上記実施形態においては、起動温度で目視可能に発色するものとしたため、起動温度時に乳化液の状態を簡便に確認することを目的に、領域A内に、示温インキを設けず、内包材2を通して乳化液が目視可能な領域Bを備えるものとしたが、常温時は青色など有色であり、所定温度に達することで目視不可能に消色するものとし、起動温度時に乳化液の状態を簡便に確認することができる場合は、領域A内に示温インキを設けない領域Bを備えなくとも良い。もちろん、常温時は無色であり、所定温度に達することで青色など目視可能に発色するものであっても、起動温度時に乳化液の状態を何らかの手段より確認することができるのであれば、必ずしも領域A内に示温インキを設けない領域Bを備える構成としなくとも良い。
まず、ポリエチレンとナイロンの透明フィルムを重ねてラミネートした二層シート体よりなる袋状軟質包装材内に、凝固が開始される温度を4℃に設定した4℃起動型乳化液を充填し、インパルスシーラーを用いてその周囲を封止することにより、20mm×20mmで厚さ2mmの内包材を作製した。次いで、この内包材の片面であって、内部に充填した乳化液の確認に邪魔にならない位置に、常温で無色であり、4℃で目視可能に発色する示温インキを塗布することにより温度管理媒体Aを作製した。
そして、この温度管理媒体Aを4℃に設定した冷蔵庫内に入れ、乳化液の凝固が開始される予め設定された温度である起動温度まで到達したことを確認した。この結果を表1に示す。また、この温度管理媒体Aをそのまま冷蔵庫内に1日静置した後取り出し、22℃の常温に戻したときの温度管理の異常確認と、さらに、再度冷蔵庫内に入れ4℃に冷却したときの不正再冷却確認をそれぞれ行った。その結果を併せて表1に示す。
また、比較例1として、実施例1と同様の4℃起動型乳化液を、ポリエチレンとナイロンの透明フィルムを重ねてラミネートした二層シート体よりなる袋状軟質包装材内に充填し、その周囲をインパルスシーラーを用いて封止することにより、20mm×20mmで厚さ2mmの温度管理媒体Bを作製した。
そして、実施例1と同様に、この温度管理媒体Bを4℃に設定した冷蔵庫内に入れ、予め設定された起動温度まで到達したことを確認した。この結果を表1に示す。
また、比較例2として、実施例1と同様の4℃起動型乳化液を、塩化ビニルとポリエチレンの透明フィルムを重ねてラミネートした二層シート体よりなる硬質容器内に充填し、その口部を封止することにより、20mm×20mm×2mmの温度管理媒体Cを作製した。
そして、実施例1と同様に、この温度管理媒体Cを4℃に設定した冷蔵庫内に入れ、予め設定された起動温度まで到達したことを確認した。この結果を表1に示す。
また、比較例3として、ポリエチレンとナイロンの透明フィルムを重ねてラミネートした二層シート体よりなる袋状軟質包装材内に、何もいれずにその周囲をインパルスシーラーを用いて封止することにより、20mm×20mmで厚さ2mmの温度管理媒体Dを作製した。
そして、実施例1と同様に、この温度管理媒体Dを4℃に設定した冷蔵庫内に入れ、予め設定された起動温度まで到達したことを確認した。この結果を表1に示す。また、この温度管理媒体Dをそのまま冷蔵庫内に1日静置した後取り出し、22℃の常温に戻したときの温度管理の異常確認と、さらに、再度冷蔵庫内に入れ4℃に冷却したときの不正再冷却確認をそれぞれ行った。その結果を併せて表1に示す。
Claims (2)
- 常温で液体で、かつ、所定温度まで冷却すると凝固する乳化液と、
前記乳化液を封入し周囲を密閉したシート体からなる内包材と、
を少なくとも備えてなる温度管理媒体であって、
前記内包材の少なくとも一方の面の一部に、前記所定温度で色調が可逆的に変化する示温インキが重ねて設けられた領域Aを備えていることを特徴とする温度管理媒体。 - 前記領域A内に、示温インキを設けず、前記内包材を通して前記乳化液が目視可能な領域Bを備えていることを特徴とする請求項1に記載の温度管理媒体。
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