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JP4574264B2 - ガーゼおよびその製造方法 - Google Patents
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本発明は、医療用等で使用するガーゼに関するものである。
従来の医療用等で使用するガーゼとしては、多数の経糸と、該縦糸と略直交する緯糸とからなる、いわゆる局方ガーゼである綿ガーゼが多く用いられている。手術の際は、ガーゼを適宜の大きさに切り出して使用しているが、該綿ガーゼは、糸屑の発生が多いという問題があり、さらにその発生した糸屑が体内へ残る恐れがあるという問題がある。
また、手術で使用したガーゼを、手術後、患者の体内への置き忘れを防ぐために、X線造影糸を織り込んだ手術用のガーゼが使用されている。X線造影糸がガーゼに織り込まれることにより、手術後、X線撮影によって患者の体内に取り残しのガーゼの有無、位置等を確認し、ガーゼの除去作業を行っている。しかし、綿ガーゼは、粗目の織物であることから形態安定性に劣るため、ガーゼより織り込まれたX線造影糸が、医療行為中に抜け落ちてしまうという恐れがあった。
このような問題を解決するものとして、特許文献1には、X線造影糸が織り込まれた付近に、綿糸が密に織り込むことにより、X線造影糸の脱落を防ごうとしたものが開示されている。しかし、X線造影糸が織り込まれた部分以外の部分では、経糸と緯糸とからなる粗い織物である綿ガーゼを使用していることから、糸屑の発生が多いという問題は解決できていない。
一方、糸屑の発生を低減させるものとして、不織布と不織布との間にX線造影糸を挟み込んでなるガーゼが特許文献2に開示されている。
特開2003−325573号公報 特開2002−238943号公報
本発明は、手術の際にも使用できるガーゼであって、切り出しの際や使用の際に糸屑の発生等が少なく、また、使用時の摩擦や吸液状態での摩擦等による形態変化が少ない形態保持性に優れた、取扱い性の良好なガーゼを提供することにある。
本発明者等は、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、溶剤紡糸セルロース繊維のみにより構成された繊維シート(ただし、不織布からなるシートと織編物が実質的に積層され、不織布を構成する繊維同士および/または不織布を構成する繊維と織編物を構成する繊維とが実質上交絡されて一体化した織編物複合不織布シートを除く。)からなるガーゼであって、該繊維シートは、溶剤紡糸セルロース繊維相互が交絡することのみにより全体として一体化しており、繊維シート中にはX線造影糸が存在し、該X線造影糸は、繊維シートを構成する溶剤紡糸セルロース繊維が絡み付くことにより、繊維シート中に固定されていることを特徴とするガーゼを要旨とするものである。
また、本発明は、剤紡糸セルロース繊維のみが堆積してなる繊維ウェブ上に、X線造影糸を適宜の間隔で配列させ、さらにその上に剤紡糸セルロース繊維のみが堆積してなる繊維ウェブを堆積させた積層物(ただし、不織布と織編物とを積層したものを除く。)に、水流交絡処理を施すことを特徴とするガーゼの製造方法を要旨とするものである。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明における繊維シートは、剤紡糸セルロース繊維のみにより構成されている。溶剤紡糸セルロース繊維とは、従来のビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨン(キュプラレーヨン)とは、基本的にその製造方法が異なり、得られる繊維の性能も異なるものである。すなわち、ビスコースレーヨン等は、セルロース原料を化学的に変化させて、それを分散溶解させた原液を紡糸して得られるものであるのに対し、溶剤紡糸セルロース繊維は、セルロース原料を化学的に変化させずに、特殊な有機溶媒に溶解させた原液或いはこの原液を乾燥させたチップを紡糸して得られるものである。これは、溶剤法によるセルロース繊維とも呼ばれ、高結晶性で高配向性であり、湿潤時における初期ヤング率、強度の高いものである。例えば、レンチング社(Lenzing AG;オーストリア)から「レンチング・リヨセル(Lenzing・Lyocell)」なる商標で販売されている。本発明においては、繊維シートを構成する繊維のすべてが溶剤防止セルロース繊維からなる
本発明における繊維シートを構成する繊維の単糸繊度は、0.9〜3.3デシテックスの範囲が好ましく、より好ましくは、1.3〜2.2デシテックスである。0.9デシテックス未満であると、繊維ウェブを作成するカード工程において、カード通過性に劣る傾向となり、一方、3.3デシテックスを超えると、繊維同士の交絡が強固なものとなりにくく、交絡点における交絡度合いが低下する傾向となる。
繊維の繊維長は、25〜80mmの範囲である短繊維であることが好ましく、より好ましくは、30〜60mmである。25mm未満あるいは80mmを超えると、繊維ウェブを作成するカード工程において、カード通過性に劣る傾向となる。
本発明における繊維シートは、繊維シートの構成繊維である溶剤紡糸セルロース繊維相互が交絡することのみにより全体として一体化している。また、繊維シート中にはX線造影糸が存在しており、該X線造影糸は、繊維シートを構成する溶剤紡糸セルロース繊維が絡み付くことにより、繊維シート中に固定されている。
本発明のガーゼにおいては、X線造影糸が上記繊維シート中に存在している。本発明のガーゼを手術で使用後、回収忘れが発生した場合にX線で探知できるようにするためである。用いるX線造影糸としては、X線にて探知可能なものであれば用いることができ、例えば、アコーディス スペシャリティ ファイバーズ社製(Acordis Speciality Fibres Ltd)の「マイクロペイク(Micropake)」なる商標のものを市場にて入手することができる。また、特開2002−266157号公報記載のX線感応繊維からなる糸条を用いることもできる。
本発明のガーゼは、手術中等の使用において、適宜の大きさに切断して使用してもよい。その際、切断したガーゼの一部にX線造影糸が存在すれば、X線で探知することができる。したがって、上の目的を達成することができれば、繊維シート中のX線造影糸の存在状態は特に限定されるものではない。
本発明のガーゼの目付としては、30〜120g/m2程度が好ましい。目付が30g/m2未満であると、吸液性に劣る傾向となり、また、形態保持性にも劣る傾向となる。一方、120g/m2を超えると、吸液性は向上するもののコスト的に不利である。
次に本発明のガーゼの好ましい製造方法について説明する。
まず、剤紡糸セルロース繊維が堆積してなる繊維ウェブを準備する。繊維ウェブは、例えば、溶剤紡糸セルロース繊維をカード機に供給することにより得られるカードウェブを用いる。次いで、該繊維ウェブをメッシュ状等の多孔性支持体に担持する。繊維シートに開孔を付与する場合は、所定の目開きを持った粗目織物からなるメッシュ状支持体を用いるとよい。次いで、該繊維ウェブ上に、X線造影糸を適宜の間隔で配列され、さらにその上に主として溶剤紡糸セルロース繊維が堆積してなる繊維ウェブを堆積させて積層物とする。
X線造影糸を間にして、上下に位置させる繊維ウェブとしては、溶剤紡糸セルロース繊維のみからなる繊維ウェブであれば、同一のものであっても、目付等が異なるようなものであってもよい。
上下に位置させる繊維ウェブの目付としては、最終的に得られるガーゼの目付を考慮して適宜選択すればよいが、各々10〜100g/m2程度であることが好ましい。また、上下の繊維ウェブの目付は、同一のものであっても異なっていてもよい。
繊維ウェブ上に配列させるX線造影糸は、製造における流れ方向(縦方向)に適宜の間隔で配列していることが好ましい。適宜の間隔としては、例えば、10〜300mm程度がよい。また、配列の際は、直線状でなくとも、波状に蛇行して配列させてもよい。
次いで、繊維ウェブ/X線造影糸/繊維ウェブが積層してなる積層物に、高圧水流を施して、水流交絡処理を行う。高圧液体流を施すことにより、溶剤紡糸セルロース繊維相互が交絡することにより全体として一体化させて繊維シートとし、かつ、X線造影糸に溶剤紡糸セルロース繊維が絡み付くことにより、繊維シート中にX線造影糸を固定させることができる。
この高圧水流は、孔径0.05〜2.0mmの噴射孔が、噴射孔間隔0.05〜10mmで、製造における流れ方向と直行方向(横方向)に一列又は複数列配置されている噴射装置を用い、水を噴射孔から1.5〜40MPaの圧力で噴射して得られるものである。そうすると、高圧水流は繊維ウェブに衝突して、構成繊維に運動エネルギーを与える。この運動エネルギーにより、構成繊維は、相互に交絡する。また、粗目織物からなるメッシュ状支持体を用いた場合は、構成繊維が交絡しながら、メッシュ状支持体の開孔部分へ移動し、支持体のナックル部に対応した箇所には繊維が存在せず開孔が形成され、開孔を有する繊維シートからなるガーゼを得ることができる。
メッシュ状支持体の目開きは、得ようとする繊維シートからなるガーゼの表面形態、開孔の有無に基づいて決定することができる。例えば、16〜25メッシュ程度の織物であると、得られるガーゼの表面が平滑でありながら、開孔が付与されてなるガーゼを得ることができる。また、25メッシュを超える織物であると、開孔が付与されにくく、特に40メッシュを超える織物であると、表面が極めて平滑でドレープ性に優れるガーゼを得ることができる。ガーゼとしての要求性能等に応じて、適宜選択すればよい。なお、メッシュとは、1インチ当たりの線の数を指し、例えば25メッシュの粗目織物は、1インチ当たり25本の線が存在するものを指す。
水流交絡処理により得られたX線造影糸が存在してなる繊維シートを適宜の大きさに裁断することにより、本発明のガーゼを得ることができる。また、手術等の使用の際に、本発明のガーゼを適宜の大きさに裁断して使用してもよい。
本発明のガーゼは、剤紡糸セルロース繊維同士が交絡することのみにより、一体化してなる繊維シートからなるものであり、溶剤紡糸セルロース繊維は、湿潤時(吸液時)に繊維が膨張し、繊維の交絡度合いがより強固となる。したがって、本発明のガーゼは、手術中に体液や血液を吸液した際の湿潤状態において、繊維シートの形態保持性に優れており、従来の織物の綿ガーゼのように吸液時にその形態を維持することが難しく、取扱いにくいということはない。
そして、本発明のガーゼは、ガーゼ内に存在するX線造影糸もまた、溶剤紡糸セルロース繊維が絡みつくことにより固定されているため、切り出した際や使用時における摩擦等によって容易に脱落することはなく、良好にその役目を果たすことができる。
また、構成繊維が交絡することによって、繊維シートが形態保持しているため、適宜の大きさに切り出した際、糸屑の発生を低減することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。下記の実施例および比較例において、各物性値は以下により求めた。
(1)目付:JIS L 1906の記載に準じて測定した。
(2)吸水性:JIS−L−1907 バイレック法に準じて測定した。なお、試料は、長さ25cm、幅2.5cmのものを用いた。
(3)湿潤状態での形態保持性(耐洗濯性試験):遠心式脱水装置付きの家庭用電気洗濯機を用いて試験を行った。すなわち、試験装置の水槽の標準水量を示す水位線まで温度40℃の水を入れて洗濯液とした。この洗濯液に浴比が1:30になるように試料を投入して運転を開始した。5分間処理した後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯液を30℃以下の新しい水に替えて、同一の浴比で2分間すすぎ洗いを行った。2分間のすすぎ洗いの後、運転を止め、試料と負荷布を脱水し、再び2分間のすすぎを行い脱水し、直射日光の影響を受けない状態でつり干しを行った。これを1洗とし、10洗の繰り返しを行い、形態について観察した。
実施例1
溶剤紡糸セルロース繊維(単糸繊度1.7デシテックス 繊維長38mm、レンチング社製 登録商標「レンチング・リヨセル」)をランダムカードにて開繊し、約15g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブの上にX線造影糸(アコーディス スペシャリティ ファイバーズ社製「マイクロペイク(Micropake)」 2750デニール/50フィラメント)を100mm間隔で直線状に配列するように流れ方向(縦方向)に配置させ、その上に上記で得たのと同様の約15g/m2の繊維ウェブを堆積して積層物を得た。
得られた積層物を100メッシュのメッシュ状支持体上に載置し、ノズル孔径0.1mmの噴射孔が孔間隔0.6mmで横方向に一列に配置された噴射装置を用い、噴射圧力6.9MPaで2回処理し、次に反転させて反対面より噴射圧力9.8MPaで2回処理し、さらに反転して25メッシュのメッシュ状支持体に載置して、噴射圧力9.8MPaで2回処理し、本発明の繊維シートからなるガーゼを得た。
得られたガーゼは、表面平滑であり開孔を有するものであった。また、ガーゼの目付は33g/m2、吸水性は98mm/10分であった。湿潤時の形態保持性を評価したところ、10洗後であっても、評価する前(1洗を行う前)と比較して、構成繊維の脱落や繊維の移動等がほとんどなく、目視による形態変化はほとんどなかった。したがって、湿潤状態での形態保持性に極めて優れるものであった。
実施例2
実施例1において、X線造影糸として、平均粒径0.7μmの硫酸バリウム微粒子を70質量部と相対粘度(98%硫酸を溶媒として濃度1g/dl、温度25℃で測定)2.5のナイロン6を30質量部とを混合して溶融紡糸、延伸を行うことにより得たポリアミド繊維からなる4000デシテックス/40フィラメントの糸条を使用したこと、150mm間隔で配置させたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の繊維シートからなるガーゼを得た。
得られたガーゼは、表面平滑であり開孔を有するものであった。また、ガーゼの目付は33g/m2、吸水性は95mm/10分であった。湿潤時の形態保持性を評価したところ、10洗後であっても、評価する前(1洗を行う前)と比較して、構成繊維の脱落や繊維の移動等がほとんどなく、目視による形態変化はほとんどなかった。したがって、湿潤状態での形態保持性に極めて優れるものであった。
比較例
比較例として、市販の銅アンモニアレーヨン繊維からなるスパンレース不織布(目付25g/m2)を用いて、評価を行った。比較例の不織布の吸水性は、90mm/10分であった。湿潤時の形態保持性を評価したところ、1洗後の形態において、一部の構成繊維の交絡部が解けて、構成繊維の一部脱落が見られた。したがって、湿潤状態での形態変化が大きく、本発明と比較して形態保持性に劣るものであった。

Claims (2)

  1. 溶剤紡糸セルロース繊維のみにより構成された繊維シート(ただし、不織布からなるシートと織編物が実質的に積層され、不織布を構成する繊維同士および/または不織布を構成する繊維と織編物を構成する繊維とが実質上交絡されて一体化した織編物複合不織布シートを除く。)からなるガーゼであって、該繊維シートは、溶剤紡糸セルロース繊維相互が交絡することのみにより全体として一体化しており、繊維シート中にはX線造影糸が存在し、該X線造影糸は、繊維シートを構成する溶剤紡糸セルロース繊維が絡み付くことにより、繊維シート中に固定されていることを特徴とするガーゼ。
  2. 剤紡糸セルロース繊維のみが堆積してなる繊維ウェブ上に、X線造影糸を適宜の間隔で配列させ、さらにその上に剤紡糸セルロース繊維のみが堆積してなる繊維ウェブを堆積させた積層物(ただし、不織布と織編物とを積層したものを除く。)に、水流交絡処理を施すことを特徴とするガーゼの製造方法。
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