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JP4574875B2 - 加水分解性基を有するケイ素化合物の製造における溶媒回収再生方法。 - Google Patents
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加水分解性基を有するケイ素化合物の製造における溶媒回収再生方法。 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シランカップリング剤として有用な3−メルカプトプロピルアルコキシシラン等のメルカプト基、加水分解性基を有するケイ素化合物の製造に用いられる有機溶媒の回収再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内にメルカプト基、加水分解性基を有するケイ素化合物の製造方法としては、例えば、特開平8−291185号公報に、アルカリ金属硫化水素化物と一般式 X(CH23Si(OR)a3-a (XはClまたはBrを表し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。aは1、2、3の整数を表す。)で表される3−ハロプロピルアルコキシシランとを密閉、加圧下、過剰の硫化水素存在下で反応せしめることにより、穏和な条件下でかつスルフィド化合物の副生を抑制するメルカプトアルコキシシランを高収率で得る製造方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この製造方法では、精製工程で回収した溶媒中に、様々な不純物等が混入してくるため、そのまま再利用することは困難であり、燃焼処理するとバーナーのノズルが閉塞したり燃焼炉の損傷を速めるといった問題点があった。
【0004】
工業的に大量の生産を行うには、回収した溶媒の処理方法を確立し、後処理にかかる負荷を軽減する必要がある。好ましくは、回収した溶媒を再利用し、製造コストの削減を図ると共に、環境への負荷に配慮する必要がある。
本発明は、3−メルカプトプロピルアルコキシシラン等のメルカプト基、加水分解性基を有するケイ素化合物の製造から精製時に回収される溶媒を再利用することで製造コストの削減を図ることのできる溶媒回収再生方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、回収溶媒中に含まれる成分は、反応に用いた各反応試剤およびそれらの分解生成物であること、及び、各反応試剤はアルカリ性で加水分解されてシロキサン類を生成すること、溶媒を留去するとシロキサン類は蒸留残渣として残ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(1)メタノール中、加水分解性基を少なくとも1つ含むケイ素化合物を製造し、蒸留により精製する際回収されるメタノールを、水および塩基で処理した後、蒸留することを特徴とする溶媒回収再生方法、(2)加水分解性基を少なくとも1つ含むケイ素化合物、式(I)
【化4】
(式中、X1〜X3は、それぞれ同一または相異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、アセトキシ基、プチロイルオキシ基又はカルボキシル基であって、少なくとも一つは加水分解性基を表し、R1は単結合、もしくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基を表す。)で表されるケイ素化合物であることを特徴とする(1)に記載の溶媒回収再生方法、()式(I)で表される化合物の製造を、アルカリ金属硫化水素化物と式(II)
【化5】
(式中、X1〜X3、及びR1は前記と同じ意味を表し、Yはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を反応させて行うことを特徴とする()に記載の溶媒回収再生方法、()アルカリ金属硫化水素化物がアルカリ金属アルコキシドと硫化水素を反応させて得られるものであることを特徴とする()に記載の溶媒回収再生方法、()式(I)で表される化合物の製造を、無水アルカリ金属硫化物と硫化水素を反応させた後、式(II)
【化6】
(式中、X1〜X3 1 前記と同じ意味を表し、Yはハロゲン原子を表わすで表される化合物を反応させて行うことを特徴とする()に記載の溶媒回収再生方法、()塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の溶媒回収再生方法、に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
本発明の製造方法が適用される加水分解性基を少なくとも1つ有する化合物として、具体的には、式(I)で表される化合物を例示することができる。式(I)で表される化合物中、X1〜X3は、それぞれ同一または相異なっていてもよく、水素または一価の基であって、少なくとも一つは加水分解性基を表す。
【0008】
加水分解性基としては、無触媒ないし、塩酸、硫酸、硝酸、アルコキシジルコニア、アルコキシチタニアなどの酸性触媒あるいは、水酸化ナトリウム、アンモニア、テトラヒドロアンモニウムハイドロキサイド等の塩基性触媒を使用し、水の共存下、室温(25℃)〜100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基であれば特に制限されない。具体的には、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基およびカルボキシル基等が挙げられる。
【0009】
より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基、グリシジロキシ基、エポキシ化シクロヘキシルエトキシ基、メチルオキセタンメトキシ基、エチルオキセタンメトキシ基、オキサシクロヘキシロキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、アセトキシ基、プチロイルオキシ基等を挙げることができる。また、加水分解性基として特に加水分解性が優れていることから、炭素数1〜12のアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、およびブトキシ基であることがより好ましい。
【0010】
また、官能基X1〜X3に非加水分解性基が含まれる場合、その非加水分解性基としては、置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられる。
また、式(I)中、R1は、単結合またはニ価の有機基を表す。具体的には、置換または非置換のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を例示することができる。これらのうち、嵩高くなく、加水分解性基の加水分解をより阻害しないことから、メチル基、エチル基、およびプロピル基であることがより好ましい。
【0011】
式(I)で表される化合物として具体的には、下記式で表される化合物を例示することができる。
【0012】
【化7】
【0013】
シランカップリング剤としては、ジアルコキシシラン又はトリアルコキシシランが好ましく、特に、トリアルコキシシランが好ましい。非加水分解性基としてはは、反応性、原料の入手のし易さから、メチル基又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0014】
本発明の製造に使用される式(II)で表され化合物中、X1〜X3、及びR1は前記と同じ意味を表し、同様の具体例を例示することができる。Yはハロゲン原子を表す。式(II)で表される化合物として、具体的には、式(I)で表される化合物の具体例において、メルカプト基(SH基)をハロゲン原子に置換した具体例を例示することができる。ハロゲン原子の中でも特にクロル原子、ブロム原子を好ましく用いることができる。
【0015】
本反応に使用されるアルカリ金属硫化水素化物としては、水硫化ナトリウム、水硫化カリウムが挙げられ、工業的には水硫化ナトリウムが好ましい。
水硫化ナトリウムは系外で製造されたものや無水硫化ナトリウムと硫化水素とを系内で反応させて製造したものを使用してもよいが、通常は系内のナトリウムアルコラートアルコール溶液に硫化水素を注入することで容易に水硫化ナトリウムを製造することができる。
【0016】
アルカリ金属水硫化物は、式(II)で表される化合物に1モルに対して1モル以上使用するのが好ましく、さらに1.03〜1.25モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0017】
式(I)で表される化合物の製造は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。使用可能な溶媒としては、メタノール等のアルコール系溶媒の他、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ベンゼン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒等を例示することができ、これらを1種単独でまたは2種以上混合して用いることができるが、特にこれらの溶媒に限定されるものではない。
【0018】
式(I)で表される化合物を得る反応方法として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの製造の例をとって具体的に説明する。
水硫化ナトリウムの溶液が入った耐圧反応容器に、系内に本来の反応には必要ないと思われる硫化水素を存在させる。具体的には、反応容器内を硫化水素により1.0〜4.0kg/cm2、好ましくは2.0〜4.0kg/cm2に保つようにする。この操作は、従来は5〜10%程度の生成が不可避とされていたスルフィド体の生成を1%程度にまで抑制する効果がある。また、密閉下で反応を行うために、雰囲気から進入してくる水分で加水分解を生じて重合物を生じることもなく、高収率となる。
【0019】
次いで、上記反応容器中に、3−クロロプロピルトリアルコキシシランを1時間以上、好ましくは1〜3時間かけて徐々に滴下する。3−クロロプロピルトリアルコキシシランを水硫化ナトリウム中に滴下することは、副生成物であるスルフィド体の生成を抑制する上で有利に働く。又、滴下時間を1時間以上にすると、同様に副生するスルフィド体の生成が抑制できる。但し、3時間以上では3時間での滴下に比べて余り改善されない。
【0020】
3−クロロプロピルトリアルコキシシラン滴下終了後、70℃以上、好ましくは90℃以上120℃以下で反応を完結させる。70℃以下の場合は反応完結に5時間以上を必要とし、逆に120℃以上の場合は装置の耐圧性に大きな負荷がかかる。
【0021】
反応完結後、蒸留精製して目的物であるケイ素化合物の単離操作を行う。
蒸留により回収された溶媒中には、過剰に加えた硫化水素の他に、少量の各反応試および目的物、それらの分解生成物が含まれる。
【0022】
例えば、シランカップリング剤として特に有用なHS(CH23Si(OMe)3を製造する場合、原料の3−ハロプロピルアルコキシシランとしてCl(CH2)3Si(OMe)3 またはBr(CH23Si(OMe)3が使用されるが、この場合、反応終了後、留去した溶媒中には、HS(CH23Si(OMe)3、Cl(CH23Si(OMe)3 またはBr(CH23Si(OMe)3の他、HS(CH23Si(OMe)3の分解物である(MeO)3Si(CH23SCH3、(MeO)3Si(CH23S(CH23Si(OMe)3、(MeO)3Si(CH23SS(CH23Si(OMe)3や、Cl(CH23Si(OMe)3 またはBr(CH23Si(OMe)3中の不純物である(MeO)4Si、(MeO)3Si(CH22CH3等が混入してくる。
【0023】
これら硫化水素及びアルコキシシラン類を含む溶媒に、溶媒に含まれる硫化水素及びアルコキシシラン類に対し、塩基を1当量以上、好ましくは2〜4当量、及び水を2当量以上、好ましくは10当量以上添加した後、好ましくは30分以上混合・攪拌することで、硫化水素を硫化物の塩とし、アルコキシシラン類をシロキサン類とする。次いで、溶媒を蒸留することで、硫化水素及びアルコキシシラン類を含まない溶媒を得ることができる。
【0024】
使用する塩基としては、無機塩基、有機塩基いずれも使用することができるが、中でも、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩が好ましく、特にNaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3を好ましく用いることができる。
【0025】
以下に実施例をもって本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0026】
【実施例】
実施例1
攪拌機、還流器、温度計、ガス吹き込み管を備えた1リットル四つ口フラスコに、24%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液540.2g(2.4mol)を入れ、ガス吹き込み管より硫化水素88.5g(2.6mol)を4時間かけて、30〜40℃の温度で吹き込んだ。次に、反応溶液を1リットルオートクレーブに入れ、内温が70℃になるまで加熱した。この時の内圧は、1.5kg/cm2となった。ここに、3−クロロプロピルトリメトキシシラン397.4g(2.0mol)を1時間かけて圧入し、70〜80℃で反応させた。3−クロロプロピルトリメトキシシラン圧入後、温度を70〜80℃に保って3時間熟成した。この反応溶液を冷却後大気圧に戻し、メタノールを留去した。留出したメタノールは、532.8gであり、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、混入した硫化水素及びアルコキシシラン類の含量は以下に示す通りであった。又、留出したメタノールをJIS K 0101(1998年) 項目44.3 全シリカ 44.3.1 (炭酸ナトリウムによる融解) に従って定量したところ、メタノール中のSi濃度は2,700ppmであった。
成 分 含 量
硫化水素 1,000ppm
HS(CH23Si(OMe)3 17,400ppm
(MeO)3Si(CH23SCH3 210ppm
(MeO)4Si 1,550ppm
(MeO)3Si(CH22CH3 530ppm
【0027】
このメタノールに、49%NaOH水溶液11.5gと水11.5gを加え、30分間攪拌した後、常圧蒸留してメタノールを502.6g得た。処理前と同様に分析したところ、Si濃度は0.5ppm以下(検出下限以下)であり、硫化水素及びアルコキシシラン類は検出されなかった。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法を用いれば、3−メルカプトプロピルアルコキシシラン等のメルカプト基、加水分解性基を有するケイ素化合物の製造時に回収される溶媒を再利用することができ、製造コストの削減を図ると共に、環境への負荷を低減することができる。

Claims (6)

  1. メタノール中、加水分解性基を少なくとも1つ含むケイ素化合物を製造し、蒸留により精製する際回収されるメタノールを、水および塩基で処理した後、蒸留することを特徴とする溶媒回収再生方法。
  2. 加水分解性基を少なくとも1つ含むケイ素化合物が、式(I)
    (式中、X1〜X3は、それぞれ同一または相異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、アセトキシ基、プチロイルオキシ基又はカルボキシル基であって、少なくとも一つは加水分解性基を表し、R1は単結合、もしくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基を表す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の溶媒回収再生方法。
  3. 式(I)で表される化合物の製造を、アルカリ金属硫化水素化物と式(II)
    (式中、X1〜X3、及びR1は前記と同じ意味を表し、Yはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を反応させて行うことを特徴とする請求項に記載の溶媒回収再生方法。
  4. アルカリ金属硫化水素化物がアルカリ金属アルコキシドと硫化水素を反応させて得られるものであることを特徴とする請求項に記載の溶媒回収再生方法。
  5. 式(I)で表される化合物の製造を、無水アルカリ金属硫化物と硫化水素を反応させた後、式(II)
    (式中、X1〜X3 1 前記と同じ意味を表し、Yはハロゲン原子を表すで表される化合物を反応させて行うことを特徴とする請求項に記載の溶媒回収再生方法。
  6. 塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の溶媒回収再生方法。
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