JP4576766B2 - 車両用液圧ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用液圧ブレーキ装置に関し、特に、ブレーキ操作力に応じて液圧発生源の出力液圧を調圧して出力し、第1及び第2のマスタシリンダを介して夫々第1及び第2のホイールシリンダにブレーキ液圧を付与する車両用液圧ブレーキ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
車両用液圧ブレーキ装置については種々の装置が知られているが、特に、ブレーキ操作力に応じて液圧発生源の出力液圧を調圧して出力し、第1及び第2のマスタシリンダを介して夫々第1及び第2のホイールシリンダにブレーキ液圧を付与する車両用液圧ブレーキ装置に関しては、例えば、特開昭59−84652号公報に開示されている。
【0003】
上記公報に記載の液圧式ブレーキ発生装置においては、タンデム形マスタブレーキシリンダのピストン(7,8)の前方に位置する両方の圧力室(9,10)に閉じられたブレーキ回路(11,12)が接続されており、さらに一次圧が操作ロッド(2)の他に、マスタブレーキシリンダの第1のピストン(7)に作用するようになっており、かつ制御弁装置(3)がタンデム形マスタブレーキシリンダに対して並列に配置されていることを特徴とする旨記載されている。そして、同公報には、ペダル操作されるロッド(2)並びに少くとも一方のピストン(7又は8)に、該ロッド又はピストンの変位の寸法を監視するシグナル発生装置(2b,7a,8a)が配置されており、さらに監視装置が設けられた構成についても記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、前掲の公報に記載の装置においては、マスタシリンダのピストンの変位(ストローク)を検出する手段の具体的態様は、図1に示されているように、マスタシリンダに直接設けられるもので、構造も複雑であるので、高価なものとなり、また、車両への搭載時にスペース上の制約を受けることにもなる。このピストンの変位検出手段に代えて、マスタシリンダの出力液圧を検出する圧力センサを設けることとすると、タンデム形マスタブレーキシリンダに接続される2系統の液圧系の両方に圧力センサを必要とし、やはり高価なものとなる。更に、ペダル操作されるロッドの操作量を検出する手段として圧力センサを用いることができるが、そうすると、計3個の圧力センサを必要とすることになる。
【0005】
そこで、本発明は、ブレーキ操作力に応じて液圧発生源の出力液圧を調圧して出力し、第1及び第2のマスタシリンダを介して夫々第1及び第2のホイールシリンダにブレーキ液圧を付与する第1及び第2の液圧系を備えた車両用液圧ブレーキ装置において、簡単且つ安価な構成で第1及び第2の液圧系の液圧状態を判定し得る車両用液圧ブレーキ装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の車両用液圧ブレーキ装置は、請求項1に記載のように、ブレーキ操作部材に対するブレーキ操作とは無関係に所定の液圧を発生し出力する液圧発生源と、該液圧発生源の出力液圧を前記ブレーキ操作部材に対するブレーキ操作力に応じて調圧し出力する調圧弁と、該調圧弁の出力液圧に応じて作動する第1のマスタピストンによって第1の圧力室からブレーキ液圧を出力する第1のマスタシリンダと、該第1のマスタシリンダの出力液圧に応じて作動する第2のマスタピストンによって第2の圧力室からブレーキ液圧を出力する第2のマスタシリンダと、前記第1の圧力室の出力液圧を第1のホイールシリンダに付与する第1の液圧系と、前記第2の圧力室の出力液圧を第2のホイールシリンダに付与する第2の液圧系とを備えた車両用液圧ブレーキ装置において、前記第1のマスタピストンの出力径と前記第2のマスタピストンの出力径が異なるように構成し、前記第2の圧力室に接続し前記第2の圧力室から出力されるブレーキ液圧を検出する圧力検出手段と、前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、該ブレーキ操作量検出手段の検出操作量に対する前記圧力検出手段の検出液圧に基づき前記第1及び第2の液圧系の液圧状態を判定する判定手段とを備えることとしたものである。
【0007】
前記請求項1に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、請求項2に記載のように、前記ブレーキ操作部材と前記調圧弁との間に介装し、前記ブレーキ操作部材に対するブレーキ操作力に応じたストロークを前記ブレーキ操作部材に付与するストロークシミュレータを備えることとしてもよい。
【0008】
前記ブレーキ操作量検出手段は、請求項3に記載のように、前記調圧弁の出力液圧を検出する圧力センサを備えたものとし、該圧力センサの検出圧力に基づき前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するように構成することができる。また、請求項4に記載のように、前記ブレーキ操作部材に付与された荷重を検出する荷重検出手段を備えたものとし、該荷重検出手段の検出荷重に基づき前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するように構成してもよい。あるいは、請求項5に記載のように、前記ブレーキ操作部材のストロークを検出するストローク検出手段を備えたものとし、該ストローク検出手段の検出ストロークに基づき前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するように構成してもよい。
【0009】
前記請求項1又は2に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、請求項6に記載のように、前記第1のマスタピストンの出力径を前記第2のマスタピストンの出力径より小さく形成し、前記第1のマスタピストンの一部が前記第2のマスタピストン内に進入し得るように構成するとよい。あるいは、請求項7に記載のように、前記第2のマスタピストンの出力径を前記第1のマスタピストンの出力径より小さく形成し、前記第2のマスタピストンの一部が前記第1のマスタピストン内に進入し得るように構成してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態の車両用液圧ブレーキ装置を示すもので、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル2に対するブレーキ操作とは無関係に所定の液圧を発生し出力する液圧発生源4を備えている。本実施形態の液圧発生源4は、電子制御装置CPUによって制御される電動モータ41と、この電動モータ41によって駆動される液圧ポンプ42を備え、その入力側がリザーバ40に連通接続され、出力側がアキュムレータ43に連通接続されている。本実施形態では出力側に圧力センサPが接続されており、電子制御装置CPUによって圧力センサPの検出圧力が監視される。この監視結果に基づき、アキュムレータ43の液圧が所定の上限値と下限値の間の圧力に維持されるように、電子制御装置CPUにより電動モータ41が制御される。
【0011】
一方、上記の液圧発生源4が接続されるシリンダ100内には、ブレーキペダル2に連動する入力部材3が収容され、この入力部材3に加えられるブレーキ操作力を伝達すると共にブレーキ操作力に応じたストロークを入力部材3に付与するコイルスプリング5が収容されると共に、後述する分配装置50が収容されており、これらによってストロークシミュレータSSが構成されている。尚、コイルスプリング5に代えて、ゴム、空気ばね等の弾性部材を用いることとしてもよい。
【0012】
また、シリンダ100内には、コイルスプリング5及び分配装置50を介して伝達されるブレーキ操作力に応じて液圧発生源4の出力液圧を調圧し出力する調圧弁6が収容され、入力部材3及び分配装置50と同軸に配置されている。換言すれば、調圧弁6と入力部材3との間に分配装置50を介してコイルスプリング5が張架されている。
【0013】
更に、シリンダ100には、調圧弁6を介して補助液圧室CO1に連通する入力ポート111、ドレイン室CDに連通するドレインポート112、マスタ液圧室CM1及びCM2に連通する出力ポート113及び114、低圧室CLに連通する低圧ポート115、並びに初期位置のマスタピストン8及び10を介して夫々マスタ液圧室CM1及びCM2に連通する低圧ポート116及び117が形成されている。そして、液圧発生源4の出力側はシリンダ100の入力ポート111に連通接続され、液圧発生源4の入力側はリザーバ40に連通接続されると共に、シリンダ100のドレインポート112に連通接続されている。また、リザーバ40は低圧ポート115、116及び117にも連通接続されている。
【0014】
そして、シリンダ100内には、調圧弁6のハウジングを構成する筒体のシリンダ600が摺動可能に収容されている。このシリンダ600内の前方に、調圧弁6を初期位置に戻す方向に付勢するコイルスプリング7が収容されている。シリンダ100の内周面とシリンダ600の外周面との間には入力液圧室CI及び低圧室CLが形成されており、シリンダ600内には補助液圧室CO1が形成されている。また、入力液圧室CIに連通する連通孔611が形成されており、この連通孔611は入力液圧室CIを介して入力ポート111に連通している。シリンダ600内の補助液圧室CO1は連通孔612を介してシリンダ100内の補助液圧室CO2に連通接続されている。更に、調圧弁6を介して補助液圧室CO1とドレイン室CDを連通する連通孔614が形成されている。
【0015】
以上のように、調圧弁6の前後には補助液圧室CO1とドレイン室CDが形成されており、ドレイン室CD内に入力部材3、コイルスプリング5及び分配装置50が収容され、補助液圧室CO1内にコイルスプリング7が収容されている。
そして、液圧発生源4が正常であれば、その出力液圧が入力液圧室CIに供給されるので、シリンダ600は図1に示す初期位置に保持される。液圧発生源4が失陥し、その出力液圧が消失すると、シリンダ600の保持が解除され、前方に摺動し得る状態となる。尚、図1は構成部品を模式的に示すもので、例えばシリンダ100及び600は、実際には、組付け等を考慮して多数の部品に分割する等の対応が必要となるが、設計的事項であるので説明の便宜上一部品としている。
【0016】
本実施形態の調圧弁6はスプールバルブで構成されており、スプール60の外周面には環状溝61が形成されると共に、前方で開口する軸方向の穴62が形成され、径方向の連通孔63を介して環状溝61に連通している。スプール60の前端部は拡径されており、この前端部が補助液圧室CO1内を移動可能に支持され、補助液圧室CO1の後端の段部に係止されて後方への移動が規制されるように構成されている。従って、調圧弁6はコイルスプリング7によって後方に付勢されているが、非作動時には図1に示すように、スプール60の前端部が補助液圧室CO1の後端の段部に押接された状態にある。この状態では、スプール60の環状溝61が連通孔614と対向しており、補助液圧室CO1は穴62、連通孔63、環状溝61及び連通孔614を介してドレイン室CDに連通しているので、出力減少状態にある。尚、このとき入力ポート611はスプール60によって遮断されている。
【0017】
スプール60が前進し、環状溝61が連通孔614と入力ポート611の何れとも連通しない位置となると、補助液圧室CO1はドレイン室CDとの連通が遮断され、入力ポート611と連通することもないので、補助液圧室CO1(及びCO2)内の液圧が保持され、出力保持状態となる。更に、スプール60が前進し、環状溝61が入力ポート611と連通すると(このとき、連通孔614とは連通しない)、補助液圧室CO1は穴62、連通孔63、環状溝61、入力ポート611、入力液圧室CI及び入力ポート111を介して液圧発生源4と連通するので、液圧発生源4の出力液圧が補助液圧室CO1(及びCO2)に供給され、出力増加状態となる。
【0018】
次に、分配装置50は、ブレーキペダル2に対するブレーキ操作力と調圧弁6の出力液圧との相関を調整するもので、シリンダ600に当接する筒状部材51と、これを摺動自在に収容する有底筒体の可動部材52と、これらの間に介装されるゴム部材53、伝達部材54、鋼球55、及び樹脂製の環状板56から成る。この分配装置50によれば、スプール60に対して入力部材3、コイルスプリング5、可動部材52、ゴム部材53、伝達部材54及び鋼球55を介してブレーキ操作力が伝達されるのに対し、シリンダ600に対しては、入力部材3、コイルスプリング5、可動部材52、加圧されて圧縮変形した後のゴム部材53、環状板56及び筒状部材51を介してブレーキ操作力が伝達されるので、筒状部材51の内径と、伝達部材54の外径を変更することにより、伝達されるブレーキ操作力の分配比率を変更することができる。また、伝達部材54の長さを変更することにより、ブレーキ操作力に対する調圧弁6の出力液圧の値を変更することができる。
【0019】
尚、コイルスプリング7の取付荷重はコイルスプリング5の取付荷重より大に設定され、ブレーキペダル2が操作されていないときには、図1に示す状態が維持されるようになっている。
【0020】
一方、シリンダ100の前方部分には、調圧弁6の出力液圧によって作動するタンデムマスタシリンダTMCが構成されている。そして、ホイールシリンダW1及びW2に接続される一方の液圧系(本発明の第1の液圧系に対応)がマスタ液圧室CM1に接続され、ホイールシリンダW3及びW4に接続される他方の液圧系(本発明の第2の液圧系に対応)がマスタ液圧室CM2に接続されている。
【0021】
本実施形態のタンデムマスタシリンダTMCは、シリンダ100に、本発明の第1のマスタピストンたるマスタピストン8、及び第2のマスタピストンたるマスタピストン10が摺動自在に収容され、コイルスプリング9及び11によってマスタピストン8の後端がシリンダ600の前端に当接するように配置されている。これらのマスタピストン8及び10の前方に、夫々マスタ液圧室CM1及びCM2が形成されている。而して、マスタピストン8の摺動に応じて、そのスカート部によってマスタ液圧室CM1が低圧ポート116と連通又は遮断され、マスタピストン10の摺動に応じて、そのスカート部によってマスタ液圧室CM2が低圧ポート117と連通又は遮断されるように構成されている。
【0022】
そして、図1に示すように、マスタピストン8の出力径がマスタピストン10の出力径より小さく形成されており、マスタピストン8の一部がマスタピストン10内に進入し得るように構成されている。即ち、マスタピストン8が駆動され、所定距離以上前進すると、その前端部がマスタピストン10内に進入するように構成されているので、タンデムマスタシリンダTMC部分の軸方向長さを、従来に比べて短く構成することができる。また、マスタピストン8の出力径とマスタピストン10の出力径が異なる径であることから、電子制御装置CPUにて第1及び第2の液圧系の液圧状態を判定することができるが、これについては後述する。
【0023】
本実施形態においては、第1の液圧系又は第2の液圧系の漏洩判定に供するため、本発明のブレーキ操作量検出手段として、補助液圧室CO2に連通するポート118に圧力センサS1が接続されており、その検出信号が電子制御装置CPUに供給され、圧力センサS1によって検出された補助液圧室CO2内の液圧に基づき、ブレーキペダル2のブレーキ操作量が検出されるように構成されている。尚、ブレーキ操作量検出手段としては、このほか、ブレーキペダル2に対する荷重を検出する荷重検出手段(図示せず)の検出荷重に基づきブレーキペダル2の操作量を検出するように構成してもよい。あるいは、ブレーキペダル2のストロークを検出するストローク検出手段(図示せず)を設け、その検出ストロークに基づきブレーキペダル2の操作量を検出するように構成してもよい。
【0024】
更に、本発明の第2の圧力室たるマスタ液圧室CM2に、本発明の圧力検出手段たる圧力センサS2が接続されており、その検出信号が電子制御装置CPUに供給され、圧力センサS2によって検出されたマスタ液圧室CM2の出力液圧、及び圧力センサS1によって検出された補助液圧室CO2内の液圧(即ちブレーキ操作量)に基づき、後述するように第1及び第2の液圧系の液圧状態が判定される。即ち、本発明の判定手段は電子制御装置CPU内に構成されている。
【0025】
次に、上記の構成になる液圧ブレーキ装置の作動を説明する。先ず、ブレーキペダル2が非操作状態にあるときには、入力部材3及び調圧弁6は図1に示す状態にある。即ち、コイルスプリング7の付勢力によってスプール60の前端部が補助液圧室CO1の後端の段部に係合している。図1の状態では、スプール60の外周壁によって入力ポート611が遮断されている。これに対し、スプール60の環状溝61は連通孔614と対向しており、補助液圧室CO1が穴62、連通孔63、環状溝61及び連通孔614を介してドレイン室CDに連通している(出力減少状態)。而して、補助液圧室CO1及びドレイン室CDはリザーバ40に連通し略大気圧とされており、液圧発生源4の出力液圧は補助液圧室CO1には供給されないので、図1に示す初期位置に維持される。
【0026】
ブレーキペダル2に踏力が付与されると、入力部材3、コイルスプリング5、分配装置50及び調圧弁6を介してブレーキ操作力が伝達され、先ずコイルスプリング7が圧縮されつつ調圧弁6のスプール60が駆動されて前進する。このとき、コイルスプリング5が圧縮され、ストロークシミュレータとして機能する。
更にコイルスプリング7の付勢力に抗してブレーキペダル2に踏力が付与され、スプール60が前進駆動されて環状溝61が連通孔614及び入力ポート611の何れとも連通しない位置となると、出力保持状態となる。
【0027】
更にブレーキペダル2に踏力が付与されてスプール60が前進すると、連通孔614が遮断されると共に環状溝61が入力ポート611と連通し、調圧弁6が開弁する。このようにして調圧弁6が開弁すると、前述のように液圧発生源4の出力液圧が補助液圧室CO1(及びCO2)に供給され、出力増加状態となる。
【0028】
而して、図1に示す出力減少状態から、ブレーキペダル2が操作されると、液圧発生源4の出力液圧が、調圧弁6によって、入力部材3からコイルスプリング5及び分配装置50を介してスプール60に伝達される力に応じた液圧に減圧調整されて、補助液圧室CO2の液圧とされ、この液圧によってマスタピストン8及び10が駆動される。これにより、マスタ液圧室CM1及びCM2からブレーキ操作力に応じた液圧が出力されると共に、コイルスプリング5が圧縮され、入力部材3ひいてはブレーキペダル2に対しブレーキ操作力に応じたストロークが与えられ、ストロークシミュレータとして機能する。
【0029】
上記の作動中、電子制御装置CPUにて圧力センサS1及び圧力センサS2の検出信号が監視されており、仮に第1の液圧系に漏れが生じた場合には、マスタ液圧室CM1からホイールシリンダW1及びW2に至る液圧路のブレーキ液圧が消失するので、マスタピストン8はマスタピストン10に当接し、これらが一体となって前進する。この結果、(本実施形態ではマスタピストン8の出力径がマスタピストン10の出力径より小さく形成されているので)圧力センサS2によって検出される液圧は、第1の液圧系が正常時のマスタ液圧室CM2内の液圧(マスタ液圧室CM1内の液圧と略等しい)より低い値となる。これにより、第1の液圧系に漏れが生じていると判定することができる。また、第2の液圧系に漏れが生じた場合には、マスタ液圧室CM2内の液圧が上昇しないので、圧力センサS1によってブレーキ操作が検出されても圧力センサS2で検出される液圧が上昇しなければ、第2の液圧系に漏れが生じていると判定することができる。
【0030】
尚、本実施形態において、液圧発生源4が万一失陥した場合には、液圧発生源4の出力液圧が補助液圧室CO1及びCO2に供給されない。従って、ブレーキペダル2の操作に応じて入力部材3が前進駆動されると、スプール60がコイルスプリング7の付勢力に抗して前進すると共に、入力部材3がコイルスプリング5の付勢力に抗して前進し、ブレーキペダル2の操作力が分配装置50を介してシリンダ600及びマスタピストン8及び10に伝達され、その結果、マスタ液圧室CM1からホイールシリンダW1及びW2にブレーキ液圧が出力されると共に、マスタ液圧室CM2からホイールシリンダW3及びW4にブレーキ液圧が出力される。
【0031】
次に、図2は本発明の他の実施形態を示すもので、この実施形態においては、本発明の第1及び第2のマスタピストンの径の関係が前述の図1の実施形態と逆になっている。即ち、本発明の第2のマスタピストンたるマスタピストン10xの出力径が第1のマスタピストンたるマスタピストン8xの出力径より小さく形成されており、マスタピストン10xの一部がマスタピストン8x内に進入し得るように構成されている。そして、これらの関係に応じてコイルスプリング9x及び11xの特性が調整されている。その他の構成は図1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して説明は省略する。而して、本実施形態においても、マスタピストン8xが駆動され、所定距離以上前進すると、マスタピストン10xがマスタピストン8x内に進入するように構成されているので、タンデムマスタシリンダTMC部分の軸方向長さを、従来に比べて短くすることができる。
【0032】
また、本実施形態においても、液圧ブレーキ装置の作動中、電子制御装置CPUにて圧力センサS1及び圧力センサS2の検出信号が監視されており、仮に第1の液圧系に漏れが生じた場合には、マスタ液圧室CM1からホイールシリンダW1及びW2に至る液圧路のブレーキ液圧が消失するので、マスタピストン8xはマスタピストン10xに当接し、これらが一体となって前進する。この結果、(本実施形態ではマスタピストン10xの出力径がマスタピストン8xの出力径より小さく形成されているので)圧力センサS2によって検出される液圧は、第1の液圧系が正常時のマスタ液圧室CM2内の液圧より高い値となる。これにより、第1の液圧系に漏れが生じていると判定することができる。また、第2の液圧系に漏れが生じた場合には、マスタ液圧室CM2内の液圧が上昇しないので、圧力センサS1によってブレーキ操作が検出されても圧力センサS2で検出される液圧が上昇しない場合には、第2の液圧系に漏れが生じていると判定することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は前述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のように構成した車両用液圧ブレーキ装置によれば、簡単且つ安価な構成で第1及び第2の液圧系の液圧状態を判定することができ、万一何れかの液圧系に漏れが生じた場合でも、容易にこれを検出することができる。しかも、同装置を小型に形成することができ、車両搭載時のスペース上の自由度が大きい。
【0034】
また、請求項2に記載のように構成することにより、ストロークシミュレータ機能を備えた車両用液圧ブレーキ装置に対しても、第1及び第2の液圧系の何れかに万一漏れが生じた場合でも、容易にこれを検出することができる。
【0035】
前記ブレーキ操作量検出手段としては、請求項3乃至5に記載のように、種々の構成のものを用いることができるので、他の装置に用いられる検出手段の出力を利用することができる。
【0036】
前記第1のマスタピストン及び前記第2のマスタピストンを、請求項6又は7に記載のように構成すれば、第1及び第2の液圧系の液圧状態を判定し得るだけでなく、装置全体の小型化が可能となり、車両搭載時のスペース上の自由度が一層大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置の断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る液圧ブレーキ装置の断面図である。
【符号の説明】
2 ブレーキペダル, 3 入力部材, 4 液圧発生源,
5,7,9,11,9x,11x コイルスプリング,
8,10,8x,10x マスタピストン, 40 リザーバ,
60 スプール, 100,600 シリンダ, CO 補助液圧室,
CD ドレイン室, SS ストロークシミュレータ,
TMC タンデムマスタシリンダ, CPU 電子制御装置
Claims (7)
- ブレーキ操作部材に対するブレーキ操作とは無関係に所定の液圧を発生し出力する液圧発生源と、該液圧発生源の出力液圧を前記ブレーキ操作部材に対するブレーキ操作力に応じて調圧し出力する調圧弁と、該調圧弁の出力液圧に応じて作動する第1のマスタピストンによって第1の圧力室からブレーキ液圧を出力する第1のマスタシリンダと、該第1のマスタシリンダの出力液圧に応じて作動する第2のマスタピストンによって第2の圧力室からブレーキ液圧を出力する第2のマスタシリンダと、前記第1の圧力室の出力液圧を第1のホイールシリンダに付与する第1の液圧系と、前記第2の圧力室の出力液圧を第2のホイールシリンダに付与する第2の液圧系とを備えた車両用液圧ブレーキ装置において、前記第1のマスタピストンの出力径と前記第2のマスタピストンの出力径が異なるように構成し、前記第2の圧力室に接続し前記第2の圧力室から出力されるブレーキ液圧を検出する圧力検出手段と、前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、該ブレーキ操作量検出手段の検出操作量に対する前記圧力検出手段の検出液圧に基づき前記第1及び第2の液圧系の液圧状態を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記ブレーキ操作部材と前記調圧弁との間に介装し、前記ブレーキ操作部材に対するブレーキ操作力に応じたストロークを前記ブレーキ操作部材に付与するストロークシミュレータを備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記ブレーキ操作量検出手段が、前記調圧弁の出力液圧を検出する圧力センサを備え、該圧力センサの検出圧力に基づき前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記ブレーキ操作量検出手段が、前記ブレーキ操作部材に付与された荷重を検出する荷重検出手段を備え、該荷重検出手段の検出荷重に基づき前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記ブレーキ操作量検出手段が、前記ブレーキ操作部材のストロークを検出するストローク検出手段を備え、該ストローク検出手段の検出ストロークに基づき前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記第1のマスタピストンの出力径を前記第2のマスタピストンの出力径より小さく形成し、前記第1のマスタピストンの一部が前記第2のマスタピストン内に進入し得るように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記第2のマスタピストンの出力径を前記第1のマスタピストンの出力径より小さく形成し、前記第2のマスタピストンの一部が前記第1のマスタピストン内に進入し得るように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用液圧ブレーキ装置。
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