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JP4579305B2 - 板状ガラスの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、光学ガラス、電子部品の原料ガラス等として使用される比較的小形の板状ガラスを製造する方法に関する。
従来、光学ガラス、電子部品の原料ガラス等として使用される、付加価値の高い比較的小型の板状ガラスの製造は、例えば、下記特許文献に示されるように、樋状の型に流し込んだ溶融ガラスをローラやコンベアで引き出して成形する方法で行われていた。
特開昭61−21928号公報 特開平10−25120号公報
上記従来の板状ガラスの製造方法は、結晶化しにくいガラスの製造は可能であるが、例えばV系のガラスのように、結晶化しやすいガラスを製造することはできなかった。これらの方法では、溶融ガラスを結晶化を避けて急速に均一に冷却することができないため、ガラス中に結晶が混在してしまい、ガラスと結晶の熱収縮率の違いによりクラックが生じたり、非常に割れやすいものとなってしまうからである。本発明は、結晶化しやすいガラスであっても、結晶の混じらない、高品質の板状ガラスを製造できるようにすることを課題としてなされたものである。
〔請求項1〕
本発明は、所定間隔で対向する2枚の面板と、該面板の左右両側を閉塞する端板と、該面板の下部を閉塞する底板で囲まれた板状のキャビティーを有し、上部の少なくとも湯口位置が開口したスリット状箱型内に、その前記面板が傾斜するように前記箱型を傾けた状態で溶融ガラスをキャストして板状ガラスを成形するステップと、前記箱型内のガラスを徐冷するステップと、成形した板状ガラスを前記箱型から取り出すステップとを有し、溶融ガラスを前記箱形内にキャストする湯口位置が、前記箱型の長さ方向の端部であることを特徴とする板状ガラスの製造方法である。
溶融ガラスがスリット状箱型内にキャストされる(流し込まれる)と、溶融ガラスは両側の面板から急速に冷やされ、結晶化することなくガラス化し、結晶の混じらない高品質の板状ガラスを得ることができる。
また、箱型を傾けた状態で溶融ガラスをキャストすると、溶融ガラスが箱型内に流れ込むときの巻き込み泡の発生が抑制され、泡のない板状ガラスを高歩留まりで製造することができる。
湯口位置には結晶化したガラスが混じるおそれがあるので、湯口を箱型の長さ方向の端部(少なくともキャビティーの長さの1/4よりも端)とすることで、比較的大きな板状ガラスを効率よく成形することができる。
〔請求項2〕
また本発明は、請求項1の製造方法において、前記箱形を傾ける角度が水平面に対して15°〜60°である板状ガラスの製造方法である。
箱形を傾ける角度が水平面に対して15°未満であると、箱型内にキャストされた溶融ガラスが上側の面板に接する時間が遅れ、結晶化してしまうおそれがある。60°を越えると、巻き込み泡を防ぐ効果が減少する。箱形を傾けるさらに好ましい角度は、水平面に対して20〜40°である。
〔請求項3〕
また本発明は、請求項1又は2の製造方法において、成形した板状ガラスを前記箱型から取り出すステップの後、取り出した板状ガラスの不要部分を切り落として整形するステップを有することを特徴とする板状ガラスの製造方法である。
溶融ガラスをスリット状箱型にキャストした場合、溶融ガラスを注ぎ込む湯口付近は溶融ガラスの保有熱が継続して供給され温度が下がりにくいので、結晶が生じることがある。また、成形時の板状ガラスの上部が平らになりにくいので、湯口付近及び成形時の上部付近の不要部分を切り落として、所望の形状に成形することが望ましい。
〔請求項4〕
また本発明は、請求項1〜3のいずれかの製造方法において、キャストするときの前記溶融ガラスの温度が、ガラスの最高の結晶化温度をTc1とした場合、Tc1+25℃以上、Tc1+500℃以下であることを特徴とする板状ガラスの製造方法である。
溶融ガラスの温度がTc1+25℃に満たないと、作業中にガラスが結晶化してしまうおそれがあり、Tc1+500℃を越えると箱型内にキャストしても冷却が不十分となって、やはり結晶化してしまうおそれがある。したがって、溶融ガラスの温度はTc+25℃以上、Tc1+500℃以下が好ましい。
〔請求項5〕
また本発明は、請求項1〜4のいずれかの製造方法において、溶融ガラスをキャストするときの前記箱型の内面温度が、ガラスの転移点の温度Tg−100℃以上、ガラスの最低の結晶化温度Tc2−25℃以下であることを特徴とする板状ガラスの製造方法である。
箱型の温度(内面)がTg−100℃に満たないと、溶融ガラスが急速に冷えすぎて板状ガラス表面(箱型内面との接触面)が凸凹になったり、歪みで割れてしまうおそれもある。Tc2−25℃を越えると、溶融ガラスが箱型内面に接触しても結晶化温度以下にならず、結晶化したガラスが混じってしまうおそれがある。
本発明の板状ガラスの製造方法は、スリット状箱型を用いることで、ガラスと型内面との接触面積が大きくなり、非常に結晶化しやすいガラスであっても、結晶の混じらない高品質の板状ガラスを得ることができる。
また、箱型を傾けた状態で溶融ガラスをキャストすることで、キャスト時の巻き込み泡の発生を防ぎ、泡のない板状ガラスを歩留まり良く製造できる。
図1〜4に示す箱型1は金属(鋳鉄)製で、対向する面板2a、2b、面板の左右両側を閉塞する端板3、3、及び面板の下部を閉塞する底板4で組み立てられ、ボルト10及びナット11で固定されている。面板2a、2b、端板3、3、及び底板4で囲まれた空間が、細いスリット状(板状)のキャビティー5となっている。キャビティー5のスリット幅は、製造する板状ガラスの厚さに対応して定める。すなわち熱収縮が無視できる場合、スリット幅はガラスの厚さと同じとし、熱収縮を考慮した場合は、ガラスの厚さよりも熱収縮分だけ広くする。本実施例の場合、スリット幅は3mmとした。
本実施例では、温度制御装置を有さない箱型を用いたが、ヒータ、空冷パイプなどの温度制御装置を取り付けた箱型を用いることも可能である。例えば、箱型を電気炉で加熱した後、キャスティングのため電気炉から取り出している時間が長いときなどはヒータで箱型内面を加熱することが望ましく、板状ガラスの板厚が厚く箱型の面板の板厚が薄い場合などはキャスティング時に箱型内面を冷却することが望ましい。箱型の温度制御は、箱型内面温度が好ましい範囲(例えば、Tg−100℃以上、Tc2−25℃以下)となるように行えばよい。
本実施例の場合、キャビティー5の上部は全体が開口となっているが、溶融ガラスをキャストする湯口部分を除いた部分は閉塞してもかまわない。
図4に示すように、箱型1を傾斜台12に載せ、傾いた状態にする。傾斜台12はベース板13と、これに立設された2枚の支持板14を有し、箱型1は、各支持板14に設けた3カ所の突起15により、面板の角度が水平面に対してθ=30°となるように支持されている。このように、面板と傾斜台との接触面積をなるべく小さくし、面板からの熱の発散をなるべく均等にすることが望ましい。
このように、箱型1を水平面に対し30°に傾斜させて溶融ガラスをキャストすると、箱型1を直立させた場合に較べて、巻き込み泡の発生数が10〜30%程度に低減する。
傾斜台に載置した箱型1を電気炉内で300℃に加熱した後、一旦電気炉から取り出し、1000℃の溶融ガラスをキャビティー5に流し込んだ。ガラスは、最高の結晶化温度Tc1=710℃、最低の結晶化温度Tc2=387℃、転移点温度Tg=309℃のV−BaO−Fe系ガラスを用いた。溶融ガラスの湯口6は、箱型1の長さ方向の端部に設けた。図5はガラスGの流し込みが完了した箱型1の断面図(図4のA−A断面)である。その後、箱型1を傾斜台に載置したまま電気炉内に戻し、5℃/分程度の温度勾配で徐冷し、ガラスがほぼ室温になったところでボルト10、ナット11を取り外し、面板2aから面板2b及び端板3、3を外して成形した板状ガラス7を取り出した。板状ガラス7は、湯口付近が結晶化しており(結晶化部分9)、成形時の上端部分が不規則に斜めになっているので、図6に示す切断線(鎖線)で不要部分を切り落として整形し、最終製品としての板状ガラス8(70mm×30mm×3mm)を得た。板状ガラス8は、表面が平滑で結晶が全く混在しておらず、クラック、泡などの欠点もなく、高品質のものであった。
〔比較例〕
図7に示す浅い箱型20に上記実施例と同じガラスを同じ条件で流し込み、その後徐冷して比較例のガラス板(70mm×30mm×3mm)を作成した。このガラス板は上面が結晶化し、端欠け、クラック、引け巣の欠点が発生し、製品化できるものではなかった。
実施例で使用した箱型1の平面図である。 実施例で使用した箱型1の正面図である。 実施例で使用した箱型1の側面図である。 実施例で使用した箱型1の使用状態の断面図である。 溶融ガラスのキャストが完了した状態の箱型1の断面図(A−A断面)である。 成形後の板状ガラス7及び切り落とし整形後の板状ガラス8の平面図である。 比較例で使用した箱型20の斜視図である。
符号の説明
1 箱型
2a 面板
2b 面板
3 端板
4 底板
5 キャビティー
6 湯口
7 板状ガラス
8 板状ガラス
9 結晶化部分
10 ボルト
11 ナット
12 傾斜台
13 ベース板
14 支持板
15 突起
20 箱型

Claims (5)

  1. 所定間隔で対向する2枚の面板と、該面板の左右両側を閉塞する端板と、該面板の下部を閉塞する底板で囲まれた板状のキャビティーを有し、上部の少なくとも湯口位置が開口したスリット状箱型内に、その前記面板が傾斜するように前記箱型を傾けた状態で溶融ガラスをキャストして板状ガラスを成形するステップと、前記箱型内のガラスを徐冷するステップと、成形した板状ガラスを前記箱型から取り出すステップとを有し、溶融ガラスを前記箱形内にキャストする湯口位置が、前記箱型の長さ方向の端部であることを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  2. 請求項1の製造方法において、前記箱形を傾ける角度が水平面に対して15°〜60°である板状ガラスの製造方法。
  3. 請求項1又は2の製造方法において、成形した板状ガラスを前記箱型から取り出すステップの後、取り出した板状ガラスの不要部分を切り落として整形するステップを有することを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの製造方法において、キャストするときの前記溶融ガラスの温度が、ガラスの最高の結晶化温度をTc1とした場合、Tc1+25℃以上、Tc1+500℃以下であることを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの製造方法において、溶融ガラスをキャストするときの前記箱型の内面温度が、ガラスの転移点の温度Tg−100℃以上、ガラスの最低の結晶化温度Tc2−25℃以下であることを特徴とする板状ガラスの製造方法。
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