JP4580201B2 - 圧電素子の再生方法および液体吐出装置 - Google Patents
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インクジェット記録方式の記録装置においては、インクジェットヘッドを主走査方向に移動させると共に、記録紙や基板等を、上記主走査方向と交差する副走査方向に移動させながら、記録情報に応じてインクジェットヘッドを駆動させて、当該インクジェットヘッドのノズルの開口から断続的にインク滴を吐出させることにより記録が行われる。例えば、小型プリンタの場合は記録紙等の表面に文字や画像が記録され、工業用の記録装置の場合は基板等の表面に電子回路、液晶ディスプレイのカラーフィルタ、有機ELディスプレイの発光セル等が形成される。
そこで、経年使用後においても、インクを所望の吐出特性でもって吐出させるべく、圧電素子の変位性能を維持するために、当該圧電素子を、インクジェットヘッドの使用時の任意の時点において、環境温度以上で、かつキュリー温度未満に加熱しながら、インク滴を吐出する際に印加する駆動電圧波形と同極性の電圧を印加することで、再分極させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
この再生方法によれば、上記のように、その使用時の任意の時点において、圧電素子の内部電界を解消できることから、その後、引き続いて、例えば圧電素子を駆動させるべく、駆動電圧波形を印加した際等に、内部電界を解消せずに再生処理する場合に比べて、より効率よく圧電素子を再分極させて、その変位性能を十分に回復させることが可能である。
しかし、再生時には、まず駆動電圧波形と同極性の電圧を印加し、次いで逆極性の電圧を印加するという、急激な電圧の変化を伴うパルス波形の電圧を、インクジェットヘッド上の全ての圧電素子に、同時に印加する必要があることから、圧電素子の充放電に伴って、インクジェットヘッドの駆動回路を流れる電流値が大きくなる。そのため、特に、1つのインクジェットヘッド上に搭載される圧電素子の数が多くなるほど、駆動回路への負担が大きくなるという問題がある。
請求項3記載の発明は、
(1) 液体が充填される加圧室と、
(2) 加圧室に連通するノズルと、
(3) 圧電素子を含み、圧電素子の変形によって撓んで加圧室の容積を増減させることで、加圧室内の液体を、ノズルを通して液滴として吐出させるための圧電アクチュエータと、
を備える液体吐出装置の、上記圧電アクチュエータに組み込まれる圧電素子を再生する請求項1記載の圧電素子の再生方法である。
0.15≦T1/T0≦0.3
を満足する範囲に設定する請求項3記載の圧電素子の再生方法である。
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定する請求項4記載の圧電素子の再生方法である。
0.7≦T3/T0
を満足する範囲に設定する請求項3記載の圧電素子の再生方法である。
請求項7記載の発明は、電圧V3を一定時間、印加後、電圧V1と同極性または逆極性で、かつ、その電圧値の絶対値がV4<V5である電圧V4を一定時間、印加し、次いで電圧V1と同極性である電圧V5を印加する請求項3記載の圧電素子の再生方法である。
請求項9記載の発明は、電圧V5の電圧値の絶対値を、電圧V5=電圧V1に設定する請求項7記載の圧電素子の再生方法である。
請求項10記載の発明は、圧電素子に印加する電圧を電圧V3から電圧V4まで変化させるのに要する時間t4と、電圧V4を印加する時間t5との和T4=t4+t5を、加圧室に液体が充填された状態での、圧電アクチュエータの固有振動周期T0に対する比T4/T0が、
0.15≦T4/T0≦0.3
を満足する範囲に設定する請求項7記載の圧電素子の再生方法である。
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定する請求項10記載の圧電素子の再生方法である。
請求項13記載の発明は、
(1) 液体が充填される加圧室と、
(2) 加圧室に連通するノズルと、
(3) 圧電素子を含み、圧電素子の変形によって撓んで加圧室の容積を増減させることで、加圧室内の液体を、ノズルを通して液滴として吐出させるための圧電アクチュエータと、
を備えると共に、圧電素子に駆動電圧を印加する駆動電源と、この駆動電源を制御して、圧電素子に駆動電圧を印加させる制御手段とを有し、この制御手段が、任意の時点で、圧電素子に、請求項1〜12のいずれかに記載の圧電素子の再生方法を実施して圧電素子を再生させるべく、駆動電源を制御する素子再生機能を有することを特徴とする液体吐出装置である。
上記の液体吐出装置において、圧電アクチュエータに組み込まれ、電圧V1が印加された圧電素子は、圧電効果によってその平面方向に生じる引張応力と、機械的な変形による圧縮応力の両方が作用している状態に置かれている。圧電素子に印加する電圧を、電圧V1から、電圧V2へ向けて徐々に変化させ始めると、当該圧電素子を含む圧電アクチュエータは、液体が充填された加圧室の体積変動を伴って、その固有振動周期T0で自由振動を開始する。そして、この自由振動に伴って、圧電素子に機械的に作用する応力が、まず圧縮側に、次いで引張側にと、周期的に作用しながら減衰する。
0.15≦T1/T0≦0.3
を満足する範囲に設定すると、圧電素子に作用する応力がまだ圧縮側にある時間内に、印加電圧を電圧V2まで変化させることができる。そして、圧電素子に電圧V2を一定時間、印加する間、当該圧電素子に圧縮応力を作用させ続けることができる。そのため、圧電素子の内部電界を、より効果的に、解消することができる。
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定しているため、電圧の変化に伴う圧電素子の、そして圧電アクチュエータの振動を、電圧が電圧V1から電圧V3まで変化することによって生じる、分極方向の反転に伴う圧電素子の変形による振動と打ち消し合わせて、不必要なインク滴の吐出と、それに伴うインクの消費量の増加とを、さらに抑制することができる。
0.7≦T3/T0
を満足する範囲に設定しているため、時間T3が経過した後の圧電アクチュエータの圧電素子に、先に述べた自由振動と逆位相の駆動電圧波形を印加して駆動させることができ、圧電アクチュエータの共振を防いで、不必要なインク滴の吐出と、それに伴うインクの消費量の増加とを、さらに抑制することができる。また、圧電素子の内部電界をより確実に解消して、その後、引き続いて駆動電圧波形を印加した際等に、より効率よく再分極させて、その変位性能を十分に回復させることができる。
0.15≦T4/T0≦0.3
を満足する範囲に設定すると、先の、請求項4の場合と同様に、圧電素子に作用する応力がまだ圧縮側にある時間内に、印加電圧を電圧V2まで変化させることができる。そして、圧電素子に電圧V2を一定時間、印加する間、当該圧電素子に圧縮応力を作用させ続けることができるため、圧電素子の内部電界を、より効果的に、解消することができる。
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定しているため、電圧の変化に伴う圧電素子の、そして圧電アクチュエータの振動を、電圧が電圧V1から電圧V3まで変化することによって生じる、分極方向の反転に伴う圧電素子の変形による振動と打ち消し合わせて、不必要なインク滴の吐出と、それに伴うインクの消費量の増加とを、さらに抑制することができる。
〈インクジェットヘッド〉
図1は、この例のインクジェットヘッドの一部を拡大した断面図である。また、図2(a)〜(c)は、上記例のインクジェットヘッドを用いて本発明の駆動方法を実施する過程を示す、インクジェットヘッドのノズルの部分をさらに拡大した断面図である。
各加圧室11には、それぞれ、基板1の、圧電アクチュエータ2を積層した側と反対側である、図において下側の面に達する、インク滴吐出のためのノズル12が連通されている。また図示していないが、各加圧室11には、それぞれ、インクジェットプリンタのインク補給部からインクを供給するための共通供給路が、供給口を介して連通されている。
また、振動板21と、共通電極22と、圧電セラミック層23とは、振動板21および圧電セラミック層23のもとになるセラミックグリーンシートと、共通電極のもとになる導電ペーストの層との積層体を、同時に焼結して形成されるのが好ましい。これにより、圧電セラミック層23の反り変形を矯正することができる。
制御手段4は、記録時には、例えば、ホストコンピュータから送信された文字や画像等の記録情報をもとに駆動回路3を制御して、当該駆動回路3により、共通電極22と、任意の個別電極23との間に、所定のパルス波形を有する駆動電圧を印加させる。そうすると、圧電アクチュエータ2の、駆動電圧が印加された領域が動作して、その領域に対応する加圧室11に連通したノズル12から、インク滴が吐出されて記録が行われる。
(1) まず図4(a)のS1の時点で、圧電セラミック層23の該当する領域を放電させて変形解除状態として、加圧室11の容積を増加させることで、ノズル12内のメニスカスを加圧室11の側に引き込んだ後、
(2) 図4(a)のS2の時点で、再び、圧電セラミック層23の該当領域に充電して変形状態として、加圧室11の容積を減少させることによって、
ノズル12内のメニスカスを振動させて、前記のメカニズムによってインク滴を発生させると共に、ノズル12から吐出させる。また、この間、インク敵を吐出させない加圧室11においては、圧電セラミック層23の該当する領域の充電された変形状態を維持し続ける。
一方、押し打ち式の駆動方法においては、待機時には、図4(b)に示すように、圧電アクチュエータ2のうち圧電セラミック層23の、すべての加圧室11に対応する領域に駆動電圧を印加せずに、放電された変形解除状態を維持することで、加圧室11の容積を平常の状態に維持しておく。
また、この間、インク敵を吐出させない加圧室11においては、圧電セラミック層23の該当する領域の放電された変形解除状態を維持し続ける。そうすると、上の操作を行った加圧室11に対応するノズル12のみから選択的にインク滴を吐出させて記録を行うことができる。ドットの形成後は、図4(b)のS2の時点で、圧電セラミック層23の該当領域を放電させて変形解除状態とすることにより、待機状態に復帰させることができる。
制御手段4は、上で説明した、インク滴を吐出させて記録を行う動作が行われないものの、記録を行うにあたって必要とされる待機時間中、詳しくは、記録装置の電源投入直後、ノズルクリーニング時、記録紙の排紙時、および記録開始直前に、圧電アクチュエータ2の圧電セラミック層23に、所定の電圧波形の電圧を印加して、当該圧電セラミック層23内に生じた内部電界を解消して、当該圧電セラミック層2を再生させる素子再生機能を有している。
0.15≦T1/T0≦0.3
を満足する範囲に設定するのが好ましい。また、時間t3と、上記時間T1との和T2=T1+t3は、上記固有振動周期T0に対する比T2/T0が、
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定するのが好ましい。さらに、時間T3は、固有振動周期T0に対する比T3/T0が、
0.7≦T3/T0
を満足する範囲に設定するのが好ましい。
図3は、制御手段4による素子再生機能の別の例を示すグラフである。図の例において、制御手段4は、駆動回路3を制御して、圧電セラミック層23に印加している電圧を、電圧V1から、時間t1をかけて、電圧V1と逆極性で、かつ、電圧値の絶対値がV2<V3に設定された電圧V2まで変化させ、この電圧V2を時間t2の間、維持した後、さらに時間t3をかけて、電圧を、電圧V2から、電圧V1と逆極性で、かつ、その電圧値の絶対値が圧電素子の抗電界の電圧値以上に設定された電圧V3まで変化させ、そして、この電圧V3を時間T3の間、維持する。ここまでの工程は、図2の例と同様である。各電圧値の好適な範囲、および時間の好適な範囲も、図2の例と同様である。
この後、引き打ち式の駆動方法では、電圧V5を維持することにより、待機状態に復帰させることができる。また、押し打ち式の駆動方法の場合は、電圧V5を一定時間、印加して、圧電セラミック層23を良好に再分極させた後、その印加を停止することで、待機状態に復帰させることができる。
0.15≦T4/T0≦0.3
を満足する範囲に設定するのが好ましい。また、時間t6と、上記時間T4との和T5=T4+t6は、圧電アクチュエータの固有振動周期T0に対する比T5/T0が、
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定するのが好ましい。
なお、本発明の用途は、以上で説明したインクジェットヘッドには限定されず、例えばマイクロポンプ等にも適用することが可能である。
12 ノズル
2 圧電アクチュエータ
23 圧電セラミック層(圧電素子)
3 駆動電源
4 制御手段
V1〜V5 電圧
Claims (13)
- 圧電素子に、駆動電圧波形と同極性の電圧V1を印加した後、当該電圧V1と逆極性で、かつ、その電圧値の絶対値が圧電素子の抗電界の電圧値以上である電圧V3を印加する工程を含む圧電素子の再生方法であって、圧電素子に印加する電圧を電圧V1から電圧V3に変化させる途中の段階で、圧電素子に、電圧V3と同極性で、かつ、その電圧値の絶対値がV2<V3である電圧V2を一定時間、印加することを特徴とする圧電素子の再生方法。
- 電圧V2を、圧電素子の分極方向の再反転が起こらない電圧値に設定する請求項1記載の圧電素子の再生方法。
- (1) 液体が充填される加圧室と、
(2) 加圧室に連通するノズルと、
(3) 圧電素子を含み、圧電素子の変形によって撓んで加圧室の容積を増減させることで、加圧室内の液体を、ノズルを通して液滴として吐出させるための圧電アクチュエータと、
を備える液体吐出装置の、上記圧電アクチュエータに組み込まれる圧電素子を再生する請求項1記載の圧電素子の再生方法。 - 圧電素子に印加する電圧を電圧V1から電圧V2まで変化させるのに要する時間t1と、電圧V2を印加する時間t2との和T1=t1+t2を、加圧室に液体が充填された状態での、圧電アクチュエータの固有振動周期T0に対する比T1/T0が、
0.15≦T1/T0≦0.3
を満足する範囲に設定する請求項3記載の圧電素子の再生方法。 - 圧電素子に印加する電圧を電圧V2から電圧V3まで変化させるのに要する時間t3と、上記時間T1との和T2=T1+t3を、圧電アクチュエータの固有振動周期T0に対する比T2/T0が、
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定する請求項4記載の圧電素子の再生方法。 - 電圧V3を印加する時間T3を、加圧室に液体が充填された状態での、圧電アクチュエータの固有振動周期T0に対する比T3/T0が、
0.7≦T3/T0
を満足する範囲に設定する請求項3記載の圧電素子の再生方法。 - 電圧V3を一定時間、印加後、電圧V1と同極性または逆極性で、かつ、その電圧値の絶対値がV4<V5である電圧V4を一定時間、印加し、次いで電圧V1と同極性である電圧V5を印加する請求項3記載の圧電素子の再生方法。
- 電圧V4を、電圧V1と同極性で、かつ、圧電素子の分極方向の再反転が起こらない電圧値に設定する請求項7記載の圧電素子の再生方法。
- 圧電素子に印加する電圧を電圧V3から電圧V4まで変化させるのに要する時間t4と、電圧V4を印加する時間t5との和T4=t4+t5を、加圧室に液体が充填された状態での、圧電アクチュエータの固有振動周期T0に対する比T4/T0が、
0.15≦T4/T0≦0.3
を満足する範囲に設定する請求項7記載の圧電素子の再生方法。 - 圧電素子に印加する電圧を電圧V4から電圧V5まで変化させるのに要する時間t6と、上記時間T4との和T5=T4+t6を、圧電アクチュエータの固有振動周期T0に対する比T5/T0が、
0.2≦T2/T0≦0.6
を満足する範囲に設定する請求項9記載の圧電素子の再生方法。 - 液体吐出装置が、インクジェット記録方式の記録装置に組み込まれる圧電インクジェットヘッドであり、記録装置の電源投入直後、ノズルクリーニング時、記録紙の排紙時、および記録開始直前に、圧電素子の再生処理を行う請求項3記載の圧電素子の再生方法。
- (1) 液体が充填される加圧室と、
(2) 加圧室に連通するノズルと、
(3) 圧電素子を含み、圧電素子の変形によって撓んで加圧室の容積を増減させることで、加圧室内の液体を、ノズルを通して液滴として吐出させるための圧電アクチュエータと、
を備えると共に、圧電素子に駆動電圧を印加する駆動電源と、この駆動電源を制御して、圧電素子に駆動電圧を印加させる制御手段とを有し、この制御手段が、任意の時点で、圧電素子に、請求項1〜11のいずれかに記載の圧電素子の再生方法を実施して圧電素子を再生させるべく、駆動電源を制御する素子再生機能を有することを特徴とする液体吐出装置。 - インクジェット記録方式の記録装置に組み込まれる圧電インクジェットヘッドであり、制御手段は、記録装置の電源投入直後、ノズルクリーニング時、記録紙の排紙時、および記録開始直前に、圧電素子の再生処理を行う請求項12記載の液体吐出装置。
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