JP4581180B2 - 虚像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単眼、もしくは、左右両眼により虚像を観察できるようにした虚像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、虚像表示装置が提案されている。このような虚像表示装置は、図15に示すように、画像表示素子(LCDパネル)101の出力画像を虚像表示を行うための拡大光学系102を通して観察するように構成されている。すなわち、このような虚像表示装置は、光源103から出射された光を画像表示素子101により空間的に変調し、凹面鏡光学系、もしくは、凸レンズ光学系などの拡大光学系102を用いて、画像表示素子101の表示画像を虚像104として結像するものである。
【0003】
このような虚像表示装置は、いわゆるヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ヘッドアップディスプレイ(HUD)や、いわゆるビューファインダとして実用化されている。虚像表示装置においては、虚像を観察できる領域が広いほど見易い。しかし、実用化されている虚像表示装置においては、光学系の瞳径が小さいために、眼幅調整機構を設けたり、眼鏡型もしくはヘルメット型として頭部に固定することにより、観察可能な領域内に観察者の瞳が存在するようにしているのである。
【0004】
しかし、頭部などに固定することなく気軽に虚像を観察することができる虚像表示装置の開発が望まれている。このためには、虚像表示装置の瞳径を大きくする必要がある。虚像表示装置の瞳径を充分に大きくすることは、光学系の大きさの制約や、虚像表示装置から出射する光の角度を大きくすることができないことなどから、困難である。
【0005】
そして、映像表示素子としては、透過型ライトバルブ、反射型ライトバルブ、CRT(陰極線管)等が使用されている。従来の虚像表示装置の多くは、透過型ライトバルブを用いて構成されている。
【0006】
近年、小型で高解像度の虚像表示装置を開発するにあたって、結晶Si(シリコン)基板を用いた反射型液晶ライトバルブの開発がなされている。この反射型液晶ライトバルブの特徴は、Si基板上にCMOS回路を形成し、その上に反射鏡を形成し、液晶を挟む構造となっている。このような反射型液晶ライトバルブにおいては、開口率の向上が実現され、さらに、Siベースの製造プロセスが採用可能であるため、設計ルールが細かくでき、高解像度を実現するのに好適である。
【0007】
このような反射型ライトバルブを用いた虚像表示装置の構成は、例えば、米国特許US5808800に記載されている。この虚像表示装置においては、図16に示すように、光源103から出た光束は、コリメートレンズ105によって平行光束となされ、ガラス等からなる偏光ビームスプリッタ106に入射し、この偏光ビームスプリッタの反射膜107においてS偏光成分とP偏光成分とに分けられる。この偏光ビームスプリッタ106においては、S偏光成分が反射膜107により反射されて、反射型ライトバルブ108に入射する。
【0008】
反射型ライトバルブ108は、映像装置の電気信号にしたがって、光の偏光状態を変調する。すなわち、反射型ライトバルブ108に入射した光束は、この反射型ライトバルブ108において変調され、映像信号に応じた光が反射される。反射型ライトバルブ108により反射された光束は、拡大光学系となる屈折レンズ109を通り、拡大されて、観察者の瞳110によって結像される。
【0009】
この虚像表示装置の特徴は、光源像を瞳上に結像することにより、光源の発光光量を有効に使うとともに、光源の個数を増やすことより、瞳径を大きくすることができるというところにある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような、光源像が瞳上に結像されるようにした虚像表示装置において、瞳径を大きくするには、光源の数を増やさなければならない。光源の数を増やすことは、消費電力の増大、装置の大型化、さらにはコストアップも招来するので、瞳径を大きくするための対応として現実的ではない。
【0011】
また、光源の像を均一にライトバルブに照射するには、フライアイレンズ等を用いて出射光を均一化するように構成された照明光学系を用いなければならない。そのため、照明光学系の複雑化、大型化が招来される。
【0012】
さらに、このような照明光学系を用いても、眼の僅かな移動により、色むらや輝度むらが生じてしまう虞れがある。
【0013】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、画像表示素子に対する照明光の利用効率を高く維持しながら、該画像表示素子が表示する画像を虚像で観察する際の、瞳の移動に伴う輝度むら、強度むらの発生が防止され、輝度的、色度的に均一な画像を表示することができ、また、画像を観察できる範囲、すなわち瞳の移動可能な範囲が大きくなされ、さらに、照明光学系の構成が簡素化された虚像表示装置を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係る虚像表示装置は、面状の発光部を有し、該発光部の各点から拡散光を発する光源と、上記光源から発せられた光を偏光するスプリッタと、上記スプリッタを介して入射された光を表示画像に応じて変調して出射する画像表示素子と、この画像表示素子により変調された光を集光させて上記表示画像の虚像を形成する拡大光学系とを備えている。
【0015】
そして、この虚像表示装置においては、光源の発光部は、拡大光学系により形成される上記表示画像の虚像が観察可能な領域に対して、該拡大光学系を介して共役な領域内に配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、この虚像表示装置においては、光源の発光部は、拡大光学系により形成される上記表示画像の虚像が観察可能であって画像表示素子の全面からの光が観察者の瞳開口全体に入射される領域に対して該拡大光学系を介して共役な領域内に配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
さらに、この虚像表示装置においては、光源の発光部は、拡大光学系により形成される表示画像の虚像が観察可能な領域の中央位置に対して該拡大光学系を介して共役な位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0019】
本発明に係る虚像表示装置は、図1に示すように、光束分割面となる偏光ビームスプリッタ1の反射面2を光軸に対して45°をなして配置した光学系を用いて構成することができる。
【0020】
この虚像表示装置は、図2に示すように、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色の発光素子(LED)3及びサイドエッジ型導光板4からなる光源を備えている。この光源においては、発光素子3から出射された光束は、サイドエッジ型導光板4中に入射し、このサイドエッジ型導光板4内で拡散、混色され、出射面5より出射する。サイドエッジ型導光板4は、略々平板状に形成され、一側側の厚さ(例えば、3mm)が他側側の厚さ(例えば、0.3mm)よりも厚い楔形状となっている。発光素子3からの光束は、サイドエッジ型導光板4の一側面部より入射される。サイドエッジ型導光板4の出射面5は、このサイドエッジ型導光板4の主面部にあたる部分であり、後述する反射型ライトバルブ6の画像表示面と略々同じ大きさ及び形状となっている。この出射面5は、面上の各点から拡散光を発する面状の発光部となっている。
【0021】
なお、サイドエッジ型導光板4の一側面部及び出射面5以外の側面部及び裏面部には、反射フィルムが貼着されている。
【0022】
サイドエッジ型導光板4の出射面5より出射された光束は、図1に示すように、偏光ビームスプリッタ1に入射し、反射面2に達する。この反射面2において、光源からの光束は、S偏光成分及びP偏光成分に分離される。すなわち、この反射面2においては、S偏光成分が反射され、P偏光成分は透過する。反射面2において反射された光束は、画像表示素子である反射型ライトバルブ6に入射する。
【0023】
反射型ライトバルブ6は、図示しない映像装置の電気信号にしたがって、入射した光の偏光状態を変調する。すなわち、反射型ライトバルブ6に入射した光束は、この反射型ライトバルブ6において変調されて、映像信号に応じた光が反射される。反射型ライトバルブ6により変調されて反射された光束は、接眼レンズ7からなる拡大光学系を経て、観察者の瞳8を通り、眼に結像される。
【0024】
ここで、拡大光学系としては、接眼レンズ7を用いているが、凹面鏡光学系、もしくは、凹面鏡及び接眼レンズを併有した光学系などでもよい。
【0025】
なお、図1中においては、出射面5から出射した光の光線追跡を実線で示し、反射型ライトバルブ6から出射した光線追跡を破線で示している。
【0026】
反射型ライトバルブ6の画像表示面と、発光部であるサイドエッジ型導光板4の出射面5との位置関係が、図1に示すように垂直である場合、反射型ライトバルブ6上に照射される照明光を均一にするには、テレセントリックに照明されることが必要となる。そのためには、サイドエッジ型導光板4の出射面5は、反射型ライトバルブ6の画像表示の有効面積以上の大きさとすることが望ましい。
【0027】
そして、この虚像表示装置においては、サイドエッジ型導光板4の出射面5と観察者の瞳8の位置とは、共役な位置関係に配置されている。このことにより、この虚像表示装置においては、輝度むら、色むらのない映像表示を観察することが可能となっている。
【0028】
次に、この虚像表示装置を構成する光源について、より詳しく説明する。
【0029】
この光源において、サイドエッジ型導光板4は、反射型ライトバルブを照明する光束の角度を制御するために用いられている。サイドエッジ型導光板は、上述したように、楔型の形状をした半透明体であるが、一般的には、いわゆるパーソナルコンピュータなどのモニターディスプレイに使用されている直視型液晶パネルのバックライトの導光板として、広く使用されている。
【0030】
このサイドエッジ型導光板4の材質としては、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate:PMMA))や、光散乱ポリマを使用することができる。光散乱ポリマとは、例えば、アクリル樹脂などに屈折率の異なる透明な不純物を少量加えた材料であり、光の射出特性の制御を可能とするとともに、混色の作用も大きくした材料である。発光素子として発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)を用いる場合には、サイドエッジ型導光板内での混色をする必要があるので、その材料として光散乱ポリマを用いることは有効である。
【0031】
この光源においては、図3に示すように、R、G、B3色の発光素子3は、1つのパッケージに入った「チップ型LED」として構成されている。これら発光素子3をサイドエッジ型導光板4の一側面部に密着させることより、該発光素子が発する光の利用効率が向上する。さらに、サイドエッジ型導光板4と発光素子3の表面との間を、発光素子のレンズ面であるエポキシ樹脂の屈折率に近い屈折率を有する溶媒で埋めれば、光の利用効率をより向上させることができる。
【0032】
サイドエッジ型導光板の入射面及び出射面以外の面に貼着される反射フィルムとしては、白色、または、銀色の反射フィルムを用いる。また、このサイドエッジ型導光板の出射面5には、出射光束の拡散角度を制御するためのプリズムシートが貼着されている。このプリズムシートにより、射出面5から出射される光束の発散角は、半値で10°乃至30°となされる。
【0033】
サイドエツジ型導光板4から射出される光束は、図4に示すように、θ1方向とθ2方向では発散角が異なり、すなわち、光束の断面形状が楕円形となっている。ここで、θ1は、図5に示すように、出射面5に平行であって発光素子3からサイドエッジ型導光板4に向かう方向を軸とした角度である。また、θ2は、図5に示すように、出射面5に平行であってθ1に垂直な方向を軸とした角度である。図4より、θ1方向の発散角は、θ2方向の発散角よりも広いことがわかる。なお、この図4に示したデータは、サイドエッジ型導光板4を光散乱ポリマにより形成した場合のものである。発光素子がレーザダイオードである場合には、この発光素子から出射された光束自身が大きな発散角を有しており、また、方向によって発散角が異なり、光束の断面が楕円形状となっている。
【0034】
なお、この光源における発光部は、発光素子の直後に置いたすりガラス等であってもよい。
【0035】
次に、虚像表示素子である反射型ライトバルブ6が表示する映像の虚像を観察できる範囲、すなわち、光学系の瞳径と、反射型ライトバルブ6から出射される光束の角度との関係について説明する。
【0036】
まず、説明の簡単化のため、図6及び図7に示すように、反射型ライトバルブ6と接眼レンズ7との距離が該接眼レンズ7の焦点距離fに等しくなされているとする。そして、反射型ライトバルブ6から出射する光束の垂直方向の発散角を、図6に示すように、2ω1とし、水平方向の発散角を、図7に示すように、2ω2とする。また、虚像を親察することのできる光学系の瞳径については、垂直方向については、図6に示すように、Φ1とし、水平方向(左右方向)については、図7に示すように、Φ2とする。
【0037】
反射型ライトバルブ6から2ω1、2ω2の発散角で出射された光束は、焦点距離fの接眼レンズ7を通り、観測者の瞳8を通って眼に入り、結像される。光学系の瞳径Φ1、Φ2は、図6及び図7に示す光学系の配置を考えると以下の関係式より算出される。
【0038】
Φ1=2ftan(ω1)
Φ2=2ftan(ω2)
このことから、瞳径Φ1、Φ2を大きくするには、接眼レンズ7の焦点距離fを長くするか、または、反射型ライトバルブ6より射出される光束の発散角2ω1、2ω2を大きくする必要がある。
【0039】
しかし、光学系の小型化が必要とされている虚像表示装置では、接眼レンズ7の焦点距離fを長くすることはできないので、反射型ライトバルブ6から出射される束の発散角2ω1、2ω2を大きくする必要がある。
【0040】
ここで、サイドエッジ型導光板、もしくは、発光素子の出射光の発散角の方向依存性を利用して、瞳の移動量が大きい方向、通常は水平方向(左右方向)に、サイドエッジ型導光板、もしくは発光素子の出射光の発散角度の大きい方向を合わせることにより、実用的に瞳が移動可能な距離を大きくすることができる。また、一般的な映像表示素子は、「NTSC方式」のものであれば画像の縦横比は4:3、「HD方式」のものであれば画像の縦横比は16:9の横長になっているので、この意味からも、瞳の移動量が大きい方向は水平方向(左右方向)となるので、これに合わせてサイドエッジ型導光板等の配置を行う。
【0041】
このことを、図6及び図7を用いて説明をすると、サイドエッジ型導光板、または、発光素子の出射光の発散角の広い方を、映像表示素子の表示画像の長辺(長手)方向に配置すると、ω2>ω1という関係になり、その結果、Φ1>Φ2という関係が生じ、表示画像の長辺(長手)方向に瞳径が大きく取れることがわかる。
【0042】
また、めがね型二眼虚像表示装置においては、装置構成の簡素化のために、眼幅の調整機能がない。一般的に、人間の眼幅は、57mm乃至67mm程度とばらつきが存在する。めがね型二眼虚像表示装置においては、人間の眼幅の平均値である約60mmに合わせて設計がなされているが、瞳径が水平方向(左右方向)に大きくなっていないと、万人が使用できる装置にならない。そこで、このめがね型二眼虚像表示装置においても、サイドエッジ型導光板、または、発光素子の出射光の発散角度の大きい方向を、眼幅の変化量の多い左右方向に合わせて配置するとよい。
【0043】
次に、この虚像観察装置における虚像観察可能領域について説明する。この虚像観察装置の使用にあたって、観察者は、光学設計上の瞳位置に眼をもってくることが望ましい。しかし、実際には、観察者は、光学設計上の瞳位置に正確に眼がなくても、虚像を観察することができる。ここで、観察者が眼を移動しても、画像表示素子が表示する画像の全面を観察することができる空間的範囲を、「虚像観察可能領域」と呼ぶこととする。
【0044】
映像表示素子の画像表示エリアを経たすべての光束が、拡大光学系を経由して重なり合う領域に眼を配置することにより、画像表示素子が表示する画像の全体の観察が可能となる。すなわち、図8及び図9に示すように、映像表示素子の画像表示エリアを経たすべての光束が拡大光学系を経由して重なり合う領域が、虚像観察可能領域Vということになる。
【0045】
図8及び図9においては、画像表示素子から出射した光束の光線追跡の断面図を示している。便宜上、虚像距離を無限遠にとった場合の図としてある。画像表示素子から出射した光束は、拡大光学系を経由して、観察者の瞳位置を通り、眼に結像される。虚像観察可能領域Vは、図8に示すように、映像表示素子の最上部から出射した光束と、最下部から出射した光束が拡大光学系を経由して重なり合う領域、すなわち、図8及び図9において、黒線で囲まれた四角形で示された領域である。
【0046】
実際には、映像表示素子は2次元的な画像を表示する表示素子であるから、虚像観察可能領域Vは、空間的に立体的に存在する。すなわち、光学設計によって決定される瞳の位置から光軸に沿って、光学系のアパーチャが決定する形状(円、楕円、または、四角形)を底面にもつ円錐、楕円錐、または、多角錐を前後に重ね合わせた形状の領域となる。ここで、画角をθ、瞳径をΦ、光軸に沿つた距離を2hとすると、虚像距離が無限遠である設計の場合においては、
tan(θ/2)=Φ/2h
が満たされている。
【0047】
なお、虚像観察可能領域Vは、虚像距離が無限遠にある場合においては、光学設計上の瞳位置から光軸上に沿って前後対称な形状を有するが、虚像距離が有限距離にあるとして設計した場合は、前後対称の形状ではなく、設計上の瞳位置から光束が進む方向の錐体が長い形状となる。
【0048】
次に、瞳径と虚像観察可能領域の関係について説明する。本発明に係る虚像表示装置においては、光源の発光部は、虚像観察可能領域に対して拡大光学系を介して共役な位置関係をもって配置される。すなわち、図10に示すように、光源の発光部の拡大光学系を介しての共役像が、虚像観察可能領域内に結像するようになされている。
【0049】
この図10中において、虚像観察可能領域中で光軸に垂直に切った断面(観察断面)の面積が最も大きい位置である位置Cは、光学設計上の瞳位置となる。この位置Cの前後両側に位置する位置Bは、虚像観察可能領域内において、観察断面の大きさが、観察者の瞳径に相当する直径3mmの円を含むことのできる最低の大きさ、すなわち、長方形であれば短辺3mmとなる位置である。
【0050】
そして、虚像観察可能領域の前後両端部にあたる図10中の位置Aは、この位置より光軸上に沿って設計上の瞳位置から離れると映像表示素子の画像の一部が欠け始め、全体を観察することができなくなる位置である。
【0051】
次に、図11及び図12に示すように、虚像観察可能領域を光軸に垂直な面で切り取った図11及び図12中長方形で示す観察断面と、図11及び図12中円で示す人間の瞳の位置及び瞳径の大きさの関係について説明する。一般に人間の瞳径(瞳孔径)は、明るい場所では小さくなり、暗いところでは大きくなるが、3mmから8mm程度である。ここでは、最小の値である3mmを瞳径をとして説明を行う。
【0052】
瞳径と虚像観察可能領域断面の大きさについては、図11に示すように、光学設計上の瞳位置から、光軸に沿っての眼の移動に伴い、虚像観察可能領域断面が小さくなる。ここで、図11中のIに示すように、観察断面の短辺の長さが瞳径よりも大きいという関係がある場合、映像表示素子の表示エリアの全体を観察することができる。しかし、図11中のIIに示すように、観察断面の短辺の長さが瞳径よりも小さくなると、映像表示装置の表示エリアの全面を観察することはできるが、瞳に入る光量が小さくなり、観察できる画像が暗くなる。このことから、図10中の位置Bは、観察断面の短辺が瞳径を割り込む位置関係、すなわち、図11中のIに示す関係にある場合に相当する。
【0053】
そして、瞳位置と虚像観察可能領域の観察断面の位置関係については、図12に示すように、図12中▲1▼に示すように、瞳が観察断面に全て含まれている関係の場合は、虚像を十分に観察することができる。そして、図12中▲2▼に示すように、瞳の一部が観察断面からはみ出している関係の場合は、画像表示素子の表示エリアが欠けることはないが、画像の周辺の光量低下が観察される。そして、図12中▲3▼に示すように、瞳の全体が観察断面から出ている関係の場合、観察できる画像表示素子の表示エリアに欠けが生じ、すなわち、表示エリア全体を一度に観察することはできなくなる。
【0054】
そして、この虚像観察装置においては、光源の発光部の共役像が、観察者の虚像観察可能領域内に位置するように、光源、画像表示素子及び拡大光学系が配置されている。このような配置により、画像表示素子の表示する全画面を欠けることなく観察することができる。
【0055】
また、光源の発光部の共役像が、観察者の虚像観察可能領域内において、人間の最小瞳径3mmを含有する領域となるように光源、画像表示素子及び拡大光学系を配置することにより、画像表示素子が表示する全画面を欠くことなく観察できるとともに、表示エリア周辺の光量を十分に確保することができる。
【0056】
さらに、光源の発光部の共役像が、観察者の虚像観察可能領域の光軸に垂直な断面の面積が最大となる位置となるように光源、画像表示素子及び拡大光学系を配置することにより、画像表示装置が表示する全画面を欠くことなく観察でき、表示エリア周辺の光量を十分に確保できるとともに、光軸に垂直な方向への眼の移動可能量を大きく確保することができる。
【0057】
このように、この虚像観察装置においては、観察者は、輝度むら、色むらがなく、輝度的、色度的に均一な画像を観察することができる。
【0058】
そして、本発明に係る虚像表示装置は、図13に示すように、拡大光学系として凹面鏡光学系を使用して構成することができる。
【0059】
この虚像表示装置において、光学系は、3個の光学ブロック10,11,12からなる。R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色の発光素子(LED)3から出た光束は、サイドエッジ型導光板4中に入り、このサイドエッジ導光板4内で拡散、混色され、発光部となる出射面5より出る。射出面5より出た光束は、第1の光学ブロック10に入射する。この第1の光学ブロック10は、3つの面を有する三角柱形状に形成されたプリズムであり、第1の面からサイドエッジ導光板4からの光束が入射され、第2の面には偏光ビームスプリッタ膜10aが形成され、第3の面は画像表示素子である反射型ライトバルブ6に対向している。偏光ビームスプリッタ膜10aは、誘電体多層膜、もしくは、金属で形成されている。この偏光ビームスプリッタ膜10aは、光束分割面となるものであり、光軸に対して45°ではない角度をなしている。第1の面から入射したサイドエッジ導光板4からの光束は、第2の面の偏光ビームスプリッタ膜10aに入射し、S偏光成分は反射され、P偏光成分は透過する。偏光ビームスプリッタ膜10aで反射されたS偏光成分は、第2の面より出射して、反射型ライトバルブ6に入射する。
【0060】
反射型ライトバルブ6で変調を受けた光束(P偏光成分)は、第1の光学ブロック10に第3の面から再入射し、第2の面の偏光ビームスプリッタ膜10aを透過して、第2の光学ブロック11に入射する。第2の光学ブロック11は、入射面と、この第2の光学ブロック11内から見て凹面である凹面鏡部11aと、ハーフミラー面11bとの3つの面を有する略々三角柱状のプリズムであり、第1の光学ブロック10の偏光ビームスプリッタ膜10aを透過した光束が入射面から入射される。なお、第1の光学ブロック10のビームスプリッタ膜10aと、第2の光学ブロック11の入射面とは、密着されている。第2の光学ブロック11に入射した光束は、まず、ハーフミラー面11bで反射され、次に、拡大光学系となる凹面鏡部11aで反射されて収束光束となり、再びハーフミラー面11bに戻り、このハーフミラー面11bを透過して、第3の光学ブロック12に入射する。
【0061】
第3の光学ブロック12は、入射面と、出射面とを有するプリズムである。この第3の光学ブロック12の入射面は、第2の光学ブロック11のハーフミラー面11bに密着している。この第3の光学ブロック12に入射した光束は、出射面から出射される。この出射面は、第3の光学ブロック12の外方側から見て凹面であるレンズ面となさている。この出射面から出射した光束は、瞳8を通り、眼に結像される。
【0062】
なお、図13中においては、発光部から出射した光の光線追跡を実線で示し、反射型ライトバルブ6から出射された光線の追跡を波線で示している。
【0063】
この光学系において、表示画像のコントラストをあげるためには、サイドエッジ型導光板4と、第1の光学ブロック10との間に、S偏光成分のみを通過させるための偏光板を配置する。また、第2の光学ブロック11と第3の光学ブロック12との間に、P偏光成分のみを透過させる偏光板を配置すると、さらに光学特性を向上させることができる。
【0064】
各光学ブロック10,11,12は、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate:PMMA))、ゼオネックス(登録商標)等の光学プラスチック、もしくは、光学ガラスにより形成することができる。また、各光学ブロック10,11,12の間は、光学接着剤で接着し、光学的に連続な状態とする。この光学系の特徴は、反射型ライトバルブ6に入射する光束と、この反射型ライトバルブ6に反射されて出射する光束の向きが異なることである。このため、光源の発光部となる出射面5は、反射型ライトバルブ6の画像表示の有効面積より小さくすることができる。したがって、この光学系は、全体を小型に構成することができる。
【0065】
さらに、本発明に係る虚像表示装置は、図14に示すように、画像表示素子として、透過型ライトバルブを用いて構成することもできる。
【0066】
この虚像表示装置においては、R、G、B3色の発光素子(LED)3から出射された光束は、サイドエッジ型導光板4中に入り、このサイドエッジ型導光板4内で拡散、混色され、発光部となる出射面5より出射する。射出面5より出た光束は、物理的に離れた位置に配置された透過型ライトバルブ13に入射し、この透過型ライトバルブ13を透過することにより、画像信号に応じた変調を受ける。透過型ライトバルブ13から出射された光束は、接眼レンズ7からなる拡大光学系を通過した後、瞳8を通り、眼に結像される。拡大光学系としては、接眼レンズ7の他、凹面鏡光学系、もしくは、凹面鏡及び接眼レンズからなる光学系などでもよい。図14においては、発光部から出射した光の光線追跡を実線で、透過型ライトバルブ13から出射した光線の追跡を破線で示している。
【0067】
この虚像表示装置においても、瞳8の位置と、発光部とを共役な位置に配置することにより、色むら、輝度むらのない映像を観察することができる。
【0068】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る虚像表示装置においては、光源の発光部を観察者の瞳位置と共役な位置関係に配置することにより、瞳の移動に伴う輝度むら、色むらのない映像表示を観察することが可能となっている。
【0069】
そして、この虚像表示装置においては、光源からの出射光の発散角を制御することができ、光学系を小型化することができる。また、光源の出射光の発散角の方向依存性を利用して、瞳の移動量の大きい方、通常は、左右方向を光源の出射光の発散角の大きい方向とすることで、瞳の移動可能量を大きくすることができる。
【0070】
また、この虚像表示装置においては、光源における発光素子の個数や大きさを変えることなく、該光源において導光板の形状を大きくすることにより、光学系の瞳径を大きくすることができ、瞳径の拡大に伴う消費電力の増大を抑えることができるとともに、発光素子や光学素子についてのコストアップを抑えることができる。
【0071】
すなわち、本発明は、画像表示素子に対する照明光の利用効率を高く維持しながら、該画像表示素子が表示する画像を虚像で観察する際の、瞳の移動に伴う輝度むら、強度むらの発生が防止され、輝度的、色度的に均一な画像を表示することができ、また、画像を観察できる範囲、すなわち瞳の移動可能な範囲が大きくなされ、さらに、照明光学系の構成が簡素化された虚像表示装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る虚像表示装置であって偏光ビームスプリッタを用いた構成を示す側面図である。
【図2】上記虚像表示装置を構成するサイドエッジ型導光板の形状を示す斜視図である。
【図3】上記サイドエッジ型導光板に取付けられた発光素子を示す側面図である。
【図4】光散乱ポリマにより形成されたサイドエツジ型導光板の射出光の角度依存性を示すグラフである。
【図5】上記サイドエツジ型導光板における発光素子の位置を基準とした座標系を示す平面図である。
【図6】反射型ライトバルブから出射する光束の出射角度と瞳径の大きさの関係を示す側面図である。
【図7】反射型ライトバルブから出射する光束の出射角度と瞳径の大きさの関係を示す平面図である。
【図8】上記虚像表示装置における虚像観察可能領域の定義を示す側面図である。
【図9】上記虚像表示装置における虚像観察可能領域を示す側面図である。
【図10】上記虚像表示装置における虚像観察可能領域を示す斜視図である。
【図11】上記虚像観察可能領域の断面である観察断面と人間の瞳の大きさの関係を示す正面図である。
【図12】上記虚像観察可能領域の断面である観察断面と人間の瞳の位置の関係を示す正面図である。
【図13】本発明に係る虚像表示装置であって光束を瞳へ導入する光学系及び拡大光学系として第1乃至第3の光学ブロックを用いたものの構成を示す側面図である。
【図14】本発明に係る虚像表示装置であって透過型ライトバルブを用いたものの構成を示す側面図である。
【図15】従来の虚像表示装置の構成を示す側面図である。
【図16】従来の虚像表示装置の構成の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
3 発光素子、4 サイドエッジ型導光板、5 出射面、6 反射型ライトバルブ、7 接眼レンズ、8 瞳、10 第1の光学ブロック、11 第2の光学ブロック、12 第3の光学ブロック、13 透過射型ライトバルブ
Claims (10)
- 面状の発光部を有し、該発光部の各点から拡散光を発する光源と、
上記光源から発せられた光を偏光するスプリッタと、
上記スプリッタを介して入射された光を表示画像に応じて変調して出射する画像表示素子と、
上記画像表示素子により変調された光を集光させて上記表示画像の虚像を形成する拡大光学系とを備え、
上記光源の発光部は、上記拡大光学系により形成される上記表示画像の虚像が観察可能な領域に対して、該拡大光学系を介して共役な領域内に配置されている虚像表示装置。 - 面状の発光部を有し、該発光部の各点から拡散光を発する光源と、
上記光源から発せられた光を偏光するスプリッタと、
上記スプリッタを介して入射された光を表示画像に応じて変調して所定の発散角で出射する画像表示素子と、
上記画像表示素子により変調された光を集光させて上記表示画像の虚像を形成する拡大光学系とを備え、
上記光源の発光部は、上記拡大光学系により形成される上記表示画像の虚像が観察可能であって上記画像表示素子の全面からの光が観察者の瞳開口全体に入射される領域に対して、該拡大光学系を介して共役な領域内に配置されている虚像表示装置。 - 面状の発光部を有し、該発光部の各点から拡散光を発する光源と、
上記光源から発せられた光を偏光するスプリッタと、
上記スプリッタを介して入射された光を表示画像に応じて変調して出射する画像表示素子と、
上記画像表示素子により変調された光を集光させて上記表示画像の虚像を形成する拡大光学系とを備え、
上記光源の発光部は、上記拡大光学系により形成される上記表示画像の虚像が観察可能な領域の中央位置に対して、該拡大光学系を介して共役な位置に配置されていることを特徴とする虚像表示装置。 - 画像表示素子は、長方形の表示画像に応じて光源から入射された光を変調する素子であって、
発光部から発せられる拡散光は、上記画像表示素子における表示画像の長辺方向に対応する方向についての拡散角度が、該表示画像の短辺方向に対応する方向についての拡散角度よりも広い請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の虚像表示装置。 - 画像表示素子は、反射型ライトバルブである請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の虚像表示装置。
- 光源は、1色、もしくは、複数色の光を発する発光ダイオードを有して構成されている請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の虚像表示装置。
- 光源は、1色、もしくは、複数色のレーザ光を発するレーザ発振器を有して構成されている請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の虚像表示装置。
- 光源は、サイドエッジ型導光板を有して構成され、このサイドエッジ型導光板の拡散面が発光部となる請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の虚像表示装置。
- サイドエッジ型導光板は、光散乱ポリマにより形成されている請求項8記載の虚像表示装置。
- 上記光源の発光部は、上記光源の発光部の共役像が、上記表示画像の虚像が観察可能な領域の光軸に垂直な断面の面積が最大となる位置に配置される請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の虚像表示装置。
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