以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、対向する電極の少なくとも一方の対向面に固体誘電体を被覆し、当該電極間に高周波電圧を印加することにより放電プラズマを発生させる放電プラズマ処理方法において、該放電プラズマ処理部に誘電体シートを通過させている状態でプラズマを発生させ、プラズマが発生した後に誘電体シートの搬送を停止することなく、誘電体シートと接続された被処理基材シートが該放電プラズマ処理部に搬送されてプラズマ処理を行うことを特徴とする。即ち、連続的に搬送される誘電体シートに、最初に放電プラズマによる処理を開始し、放電プラズマが定常状態になった後に、被処理基材シートが放電プラズマ処理部に搬送され、安定な状態で薄膜が形成されることを特徴としている。
更に、複数の放電処理部を用いてプラズマ処理を行う際の放電開始方法及び停止方法を提供する。対向する電極の少なくとも一方の対向面が固体誘電体で被覆され、当該電極間に高周波電圧を印加することにより放電プラズマを発生させる放電プラズマ処理装置を複数配列して、同一被処理基材シートをn個の放電プラズマ処理部を通過させて、第1処理部から第n処理部までの放電プラズマ処理部で順に放電プラズマ処理する方法であって、プラズマ処理を開始する際に、誘電体シートあるいは該誘電体シートに接続された被処理基材シートを、各々のプラズマ処理部を10mm/sec以上の搬送速度で通過させている状態で、第1処理部から第n処理部までの各々のプラズマ処理部の放電開始のタイミングをずらしながら放電プラズマを順次発生させていくことを特徴とする放電プラズマ処理の開始方法あるいは放電の停止をずらしながら放電を順次停止させていくことを特徴とする放電プラズマ処理の停止方法により、パーティクル故障や破断といった故障が低減されることを見出したものである。
即ち、対向する電極の少なくとも一方の対向面が固体誘電体で被覆され、当該電極間に高周波電圧を印加することにより放電プラズマを発生させる放電プラズマ処理装置を複数配列して、同一被処理基材シートをn個の放電プラズマ処理部を通過させて、第1処理部〜第n処理部までの放電プラズマ処理部で順に放電プラズマ処理する方法であって、該放電プラズマ処理を開始する際に、誘電体シート及び該誘電体シートに接続された被処理基材シートを、各々のプラズマ処理部を10mm/sec以上の搬送速度で通過させている状態で、下記の条件(A)を満たすように第1処理部から第n処理部までの各々のプラズマ処理部の放電開始をずらしながら放電プラズマを順次発生させていくことを特徴とする放電プラズマ処理の開始方法であることが好ましい。
(条件A)
該被処理基材シートが先に通過する放電プラズマ処理部の放電開始時をTmとし、次に通過する放電プラズマ処理部の放電開始時をTm+1としたとき、放電開始時間のずれ{(Tm+1)−Tm}の値が正となる区間数の合計が、負となる区間数の合計よりも多く、各区間の放電開始時間のずれの合計が下記の範囲にある。
0.1sec<Σ{(Tm+1)−Tm}/(n−1)<1min
(式中、m=1〜n−1であり、nはプラズマ処理部の数を表す。)
また、対向する電極の少なくとも一方の対向面が固体誘電体で被覆され、当該電極間に高周波電圧を印加することにより放電プラズマを発生させる放電プラズマ処理装置を複数配列して、同一被処理基材シートをn個の放電プラズマ処理部を通過させて、第1処理部〜第n処理部までの放電プラズマ処理部で順に放電プラズマ処理する方法であって、プラズマ処理を停止する際に、誘電体シートあるいは該誘電体シートに接続された被処理基材シートを、10mm/sec以上の搬送速度で各々のプラズマ処理部を通過させている状態で、下記の条件(B)を満たすように第1処理部から第n処理部までの各々のプラズマ処理部の放電を停止時間をずらしながら停止させていくことを特徴とする放電プラズマ処理の停止方法であることが好ましい。
(条件B)
該被処理基材シートが先に通過する放電プラズマ処理部の放電停止時をTkとし、次に通過する放電プラズマ処理部の放電停止時をTk+1としたとき、放電停止時間のずれ{(Tk+1)−Tk}の値が正となる区間数の合計が、負となる区間数の合計よりも多く、各区間の放電停止時間のずれの合計が下記の範囲にある。
0.1sec<Σ{(Tk+1)−Tk}/(n−1)<1min
(式中、k=1〜n−1、nはプラズマ処理部の数を表す。)
特に、放電プラズマ処理部を10mm/秒以上の搬送速度で誘電体シートあるいは該誘電体シートに接続された被処理基材シートを通過させている状態で、該被処理基材シートが最初に通過する放電プラズマ処理部における放電プラズマの発生を起点として、0.1sec〜1minの時間差を設けて、次以降の放電プラズマ処理部での放電プラズマを順次発生させていくこと、また誘電体シートあるいは該誘電体シートに接続された被処理基材シートを10mm/sec以上の搬送速度で各々の放電部を通過させている状態で、該被処理基材シートが最初に通過した放電プラズマ処理部における放電の停止を起点として、0.1sec〜1minの時間差を設けて、次以降の放電プラズマ処理部の放電を順次停止させていくことが好ましい。このような方法をとることにより、パーティクル故障や破断といったトラブルが大幅に低減出来る。
〔誘電体シートと被処理基材シートの接続〕
誘電体シートと被処理基材シートの詳細は後述する。
本発明で用いられる誘電体シートは好ましくはプラスチック製長尺フィルムであり、材質としては、特に限定はないが、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン社製))、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリアクリレート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、等を挙げることができる。これらの素材を主成分とする異なる材質のフィルムを積層したフィルムであってもよい。また、本発明ではこれらの樹脂を積層したフィルムであっても、混合したフィルムであってもよく、これらの基材に樹脂層や無機層があらかじめ設けられているフィルムであってもよい。
中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
被処理基材シートとしては、特に限定はなく、前述の誘電体シートと同様の樹脂フィルムが用いられるが、被処理基材として硬化樹脂層を有する樹脂フィルムが好ましく用いられる。特に被処理基材としては、セルロースエステルフィルム、ポリ乳酸フィルム(例えば、特開昭59−96123号公報、特開平7−33861号公報等に記載のポリ乳酸ポリマーで製造されたフィルム)、及びシクロオレフィンポリマーを主成分とするフィルムが好ましく用いられる。
誘電体シートと被処理基材シートの組み合わせとしては、
誘電体シート/被処理基材シート
ポリエステルフィルム/セルロースエステルフィルム
ポリエステルフィルム/ポリ乳酸フィルム
ポリエステルフィルム/シクロオレフィンポリマーフィルム
ポリエステルフィルム/硬化樹脂層付セルロースエステルフィルム
ポリエステルフィルム/硬化樹脂層付ポリ乳酸フィルム
ポリエステルフィルム/硬化樹脂層付シクロオレフィンポリマーフィルム
セルロースエステルフィルム/硬化樹脂層付セルロースエステルフィルム
ポリ乳酸フィルム/硬化樹脂層付ポリ乳酸フィルム
シクロオレフィンポリマーフィルム/硬化樹脂層付シクロオレフィンポリマーフィルム
ポリエチレンテレフタレートフィルム/硬化樹脂層付ポリエチレンテレフタレートフィルム
等が好ましい例として挙げられる。
特に好ましくは、
ポリエステルフィルム/硬化樹脂層付セルロースエステルフィルム
ポリエステルフィルム/硬化樹脂層付ポリ乳酸フィルム
ポリエステルフィルム/硬化樹脂層付シクロオレフィンポリマーフィルム
等が挙げられる。
誘電体シートと被処理基材シートの接続は、特に手段は問わないが、接合テープによって行われることが好ましい。
接合テープとしては、紙、プラスチックフィルム等の基材を用い、一方の面に接着層(ここでいう接着層には粘着層も含まれる)を有するものあるいは両面に接着層を有するものが好ましく用いられる。
接着層に用いる接着剤としては、感圧性接着剤が好ましく用いられる。感圧性接着剤として、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレンブタジエンゴム、ポリブテンゴム、ポリイソプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、合成イソプレン等に代表されるゴムに、ガラス移転温度を調整するために、ロジン、ダンマー、コーパル、水添ロジン、ロジンエステル、インデンクロマン、ピコパール、ポリテルペン、ニトロセルロース、アルキッド樹脂、ブトン、キシレン樹脂に代表される粘着付与性樹脂、軟化剤としてDOP,TCP,DBP,BBP等の可塑剤、塩化パラフィン、動植物性油脂、鉱物油などを添加したゴム系粘着剤、或いはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシルのようなアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシルのようなメタクリル酸エステルなどのエステル類の単独重合体ないしは共重合体を適当な溶剤に溶解して得られるアクリル系感圧粘着剤、或いはこれらのエステル類とアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸などの官能基を有するビニル化合物との共重合体を適当な溶剤に溶解して得られるアクリル系感圧接着剤が用いられる。この官能基を有する共重合体を用いる場合、耐熱性凝集効果を更に上げるため官能基と反応するイソシアネート系の有機架橋剤を少量添加したもの等が用いられる。
また、接着剤としては、接着便覧1967.接着研究会編/高分子刊行会発行に記載されている接着剤例えばポリエチレン等のポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチレンアクリレート、エチレン−イソブチルアクリレート等のアクリル酸エステル共重合体系、ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロン10、ナイロン12、N−メトキシメチル化ナイロン等のポリアミド系、テレフタル酸系のポリエステル系、ポリビニルブチラール系、ポリ酢酸ビニル系、アセテート、メチルセルロース、アセテートブチレート等のセルロース誘導体系、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル酸エステル系、ポリビニルメチルエーテル等のポリビニルエーテル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系、スチレン−ブタジエン−スチレン等のスチレン系ブロック共重合体系、スチレンブタジエン、イソプレン、ブチルゴム等の合成ゴム系、又はこれらに含まれない特殊ゴム系、天然ゴム系又、以上に含まれないアクリル系共重合体から選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる。
本発明では、強度の点から粘着力が3N/cm以上、引っ張り強度が30N/cm以上で、厚さ1mm以下の耐熱性を有するテープが好ましく用いられる。これらのテープとして、市販のテープ、例えば住友スリーエム(株)製スプライステープ(片面)8422B、8422W、1254、859、859T。3305、9391、9390、両面テープF−9460PC、F−9469BC、F−9437PC、467MP、468MP、Y−9479、Y−9448HK、Y−9448HKB、Y−9448SK、9313、4597、日東電工(株)両面接着テープNo.532、No.5911、MC−2033、No.509A、No.5713、No.5919M、No.5091、リンテック(株)製スプライシング用テープTL−41K−03等が好ましく用いることが出来る。また、市販のアルミ蒸着テープ等も好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
接続方法は、図1に示す種々の方法が例として挙げられるが、これに限定されるものではない。誘電体シート及び被処理基材シートの端部を端部どうし結合し、その上にテープを貼合する方法(図1−a、図1−b)、端部を重ねてその上にテープを貼合する方法((図1−c)、端部を重ねてその間に両面テープを用いて貼合する方法(図1−d)、更にその上にテープを貼合する方法(図1−e、図1−f)等がある。誘電体シート及び被処理基材シートの端部は、どちらか上面になっても構わない。好ましくは接続部の強度の点から図1−c、e、fの方法である。いずれの場合も接合部分の幅は、接合部分において被処理基材シートの全幅をカバーすることが、強度の点から好ましい。
前記誘電体シートの膜厚をA、被処理基材シートの膜厚をBとした時に、0.2B≦A≦5Bであり、かつ該誘電体シートの膜厚が10〜200μmであることが好ましい。Aが0.2B未満であると、接続した時の引っ張り強度の点で問題があり、5Bを超えると端部を重ねて結合した場合、段差が大きくなり過ぎ電極間で擦り傷が発生したりして好ましくない。誘電体シートの膜厚は特に好ましくは10〜100μmである。
また、接合した時の誘電体シートと被処理基材シートの接合部の段差は10〜500μmであることが好ましい。500μm未満であると、前記したように電極間で擦り傷が発生しにくく、搬送性も安定となり、この部分が放電部を通過しても安定な放電が維持されるため好ましい。
前記誘電体シートの幅をC、被処理基材シートの幅をDとした時に、0.2D≦C≦1.5Dであることが好ましく、更に好ましくは0.5D≦C≦1.5D、更に好ましくは0.8D≦C≦1.2D、特に好ましくはD=Cである。誘電体シートの幅と被処理基材シートの幅が大きく異なる場合、接続部分の幅がCからDもしくはDからCへと変化する部分を設けることが好ましく、このように幅が変化する部分は誘電体シート側あるいは処理基材シート側に設けてもよく、幅が広い方を直線的あるいは曲線的に斜めにカットしてフィルム接続部の幅を合わせたり、接続あるいは使用する誘電体シートを2つ以上に分けて使用し、誘電体シートの幅と被処理基材シートの接続部の幅をほぼ同一幅として接続することが好ましい。例えば、
(1)誘電体シート(幅C1)/接続/被処理基材シート(幅D1):D1=C1
(2)誘電体シート(幅C2)/接続/誘電体シート(幅C3)/接続/被処理基材シート(幅D2):0.2D2≦C2<0.8D2、D2=C3
(3)誘電体シート(幅C4)/接続/誘電体シート(幅がC4→D3となるように斜めにカット、夫々のシートの接続部の幅を略同一とする。)/接続/被処理基材シート(幅D3)
(4)誘電体シート(幅C5)/接続/被処理基材シート(幅D3、誘電体シートとの接続部の幅が誘電体シートの幅と略同一となるように幅D3の被処理基材シートの角を斜めにカットして、夫々のシートの接続部の幅を略同一とする。)
または、誘電体シート(幅がC4→D3となるように斜めにカット、夫々のシートの接続部の幅を略同一とする。)/接続/被処理基材シート(幅D3)
または、誘電体シート (幅0.2D≦C<0.8D) /接続/ 誘電体シート(幅0.8D≦C≦1.2D)/接続/被処理基材シート(幅C)
誘電体シートは1本であっても2本以上を接続したものであってもよく、長さも特に制限はないが、好ましくは5〜5000mが用いられ、特に好ましくは10〜1000mである。なお、複数の被処理基材シートを連続的に処理する場合は同様の方法で接続して、連続的にプラズマ処理することができ、最後の被処理基材シートの後端部には、同様の接続方法で誘電体シートを接続することができる。プラズマ処理を停止する際は、プラズマ処理部で被処理基材シートもしくは接続されている誘電体シートが搬送されている状態で放電を停止し、プラズマ処理された基材シートが巻き取られたところで搬送を停止することが好ましい。放電を停止する際は、原料ガスの供給を停止した後放電を停止することが好ましく、原料ガスと希ガスもしくは窒素ガスなどの放電ガスを別々に供給できるようになっていれば、原料ガスの供給を停止した後放電を停止し、そののち窒素ガス等の放電ガスの供給を停止することが、搬送されている被処理基材シートあるいは誘電体シートに皺などの故障が入りにくいため特に好ましい。
〔大気圧プラズマ法〕
次に、プラズマ放電処理により被処理基材シート上に薄膜形成する方法を図2、図3、図4を用いて説明する。
図2は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電圧印加手段の他に、図2では図示していない(後述の図3に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置310は、第1電極311と第2電極312から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極311からは第1電源321からの第1の周波数ω1の高周波電圧V1が印加され、また第2電極312からは第2電源322からの第2の周波数ω2の高周波電圧V2が印加されるようになっている。
本発明に係るプラズマ処理においては、対向する第1電極と第2電極の間に窒素もしくは希ガスを主成分とするガスを供給し、該第1電極と該第2電極の間に高周波電圧を印加することにより該ガスを励起し、被処理基材シートを励起した該ガスに晒すことによって該被処理基材上に機能性層を形成する方法であって、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を有することが好ましい態様である。
第1電源321は、第2電源322より大きな高周波電圧(V1>V2)を印加できる能力を有していることが好ましく、また第1電源321の第1の周波数ω1と第2電源322の第2の周波数ω2の関係はω1<ω2である。
第1電極311と第1電源321との間には、第1電源321からの電流I1が第1電極311に向かって流れるように第1フィルター323が設置されており、第1電源321からの電流I1をアース側へ通過しにくくし、第2電源322からの電流I2がアース側へ通過し易くするように設計されている。
また、第2電極312と第2電源322との間には、第2電源322からの電流I2が第2電極312に向かって流れるように第2フィルター324が設置されており、第2電源322からの電流I2をアース側へ通過しにくくし、第1電源321からの電流I1をアース側へ通過し易くするように設計されている。
第1電極311と第2電極312との対向電極間(放電空間)313に、ガス供給手段からガスGを導入し、第1電極311と第2電極312に高周波電圧を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にし対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、被処理基材シートFにプラズマ処理を施した、例えば、ハードコート層等の上に、処理位置314付近で薄膜を形成させる。
本発明は、前記接合された誘電体シートと被処理基材シートの搬送を開始した後にプラズマ放電を開始し、該プラズマ放電が定常状態に達した後、被処理基材シート上に薄膜形成することを特徴とする。一例として以下の手順にて運転を行うことが好ましいが、これに限定されるものではない。
a.誘電体シートをプラズマ放電処理装置(処理位置314)に通し、巻き取りロールNに先端部を巻き付ける。誘電体シートの後端部はあらかじめ被処理基材シートを接合しておくか、もしくは処理位置314における誘電体シートの搬送を止めることなく、搬送中に被処理基材シートと接続する。
b.誘電体シートもしくは誘電体シートと接合された被処理基材シートの搬送を開始
c.誘電体シートが処理位置314を搬送中に、プラズマ放電を開始
d.プラズマ放電を継続して定常状態に近づけて安定化させながら、誘電体シートの搬送を続け、誘電体シートに接合された被処理基材シートを処理位置314へと搬送させて被処理基材シートへのプラズマ処理を行う
この手順により、被処理基材シートの先端部から安定なプラズマ放電処理による薄膜形成が可能となり、また被処理基材シートを無駄にすることなく、プラズマ放電による破断やパーティクルの発生による故障を回避することが可能となる。
接合された誘電体シートと被処理基材シートの搬送速度は、10mm/sec以上であることが、プラズマ放電の加熱による破断を回避する上で好ましく、好ましくは10〜2000mm/secであり、特に好ましくは20〜500mm/secである。
処理位置314より手前に位置する誘電体シートの長さは特に限定はないが、シートの搬送速度とプラズマ放電処理の定常状態に達する迄の時間等を考慮して必要な長さがあればよい。
接合された誘電体シートと被処理基材シートの搬送張力は50〜300N/mであることがカールによるシートと電極の接触を防止する上で好ましく、57〜284N/mが更に好ましい。搬送方向へのフィルムの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けてもよい。
プラズマ放電処理の際の被処理基材シートFの温度によっては、得られる薄膜の物性や組成が変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での被処理基材シートの温度ムラができるだけ生じないように電極の表面の温度や被処理基材シート表面の温度を均一に調節することが望まれる。そのため、電極内部、ロール内部に温度調整用の媒体を循環させて温度を制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。
また、図2には前述の高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧の測定に使用する測定器を示した。325及び326は高周波プローブであり、327及び328はオシロスコープである。
ジェット方式の該大気圧プラズマ放電処理装置を複数基を直列に並べることで連続的に高速で処理することもできる。また各装置が異なったガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することもできる。
例えば図3のようにプラズマ放電処理装置を複数並べて用いることができる。図3−Aは図2のプラズマ放電処理装置を連結しており、図3−Bは後述する図4のプラズマ放電処理装置を連結している。
このような同一被処理基材シート上に複数回の放電プラズマ処理を行う放電プラズマ処理を開始する場合、誘電体シート及び該誘電体シートに接続された被処理基材シートを、各々のプラズマ処理部を10mm/sec以上の搬送速度で通過させている状態で、下記の条件(A)を満たすように第1処理部から第n処理部までの各々のプラズマ処理部の放電開始をずらしながら放電プラズマを順次発生させていくことを特徴とする放電プラズマ処理の開始方法であることが好ましい。
(条件A)
該被処理基材シートが先に通過する放電プラズマ処理部の放電開始時をTmとし、次に通過する放電プラズマ処理部の放電開始時をTm+1としたとき、放電開始時間のずれ{(Tm+1)−Tm}の値が正となる区間数の合計が、負となる区間数の合計よりも多く、各区間の放電開始時間のずれの合計が下記の範囲にある。
0.1sec<Σ{(Tm+1)−Tm}/(n−1)<1min
(式中、m=1〜n−1であり、nはプラズマ処理部の数を表す。)
また、放電プラズマ処理を停止する場合、誘電体シートあるいは該誘電体シートに接続された被処理基材シートを、10mm/sec以上の搬送速度で各々のプラズマ処理部を通過させている状態で、下記の条件(B)を満たすように第1処理部から第n処理部までの各々のプラズマ処理部の放電を停止時間をずらしながら停止させていくことを特徴とする放電プラズマ処理の停止方法であることが好ましい。
(条件B)
該被処理基材シートが先に通過する放電プラズマ処理部の放電停止時をTkとし、次に通過する放電プラズマ処理部の放電停止時をTk+1としたとき、放電停止時間のずれ{(Tk+1)−Tk}の値が正となる区間数の合計が、負となる区間数の合計よりも多く、各区間の放電停止時間のずれの合計が下記の範囲にある。
0.1sec<Σ{(Tk+1)−Tk}/(n−1)<1min
(式中、k=1〜n−1、nはプラズマ処理部の数を表す。)
特に、放電開始の際は、電極間を10mm/sec以上の搬送速度で誘電体シート及び該誘電体シートに接続された被処理基材シートを搬送させた状態で、該被処理基材シートが最初に処理される放電プラズマ処理部における放電プラズマの発生を起点として、0.1sec〜1minの時間差を設けて、次以降の放電プラズマ処理部で順次放電プラズマを発生させていくことが好ましい。
また、放電プラズマ処理を停止する場合は、電極間を10mm/sec以上の搬送速度で誘電体シート及び該誘電体シートに接続された被処理基材シートを搬送させた状態で、該被処理基材シートへの最初の放電プラズマ処理部における放電の停止を起点として、0.1sec〜1minの時間差を設けて、次以降の放電プラズマ処理部で順次放電を停止させていくことが好ましい。
この方法によれば、複数基の大気圧プラズマ放電処理装置の運転を一斉に開始、または停止することによる電圧の大きな変動や負荷を回避出来、プラズマ放電処理を定常状態に保ち、連続的に精密な薄膜形成が行える。
図4は本発明で好ましく用いられる別の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
この大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置330、二つの電源を有する電圧印加手段340、341、ガス供給手段350、電極温度調節手段360を有している。
ロール回転電極(第1電極)335と角筒型固定電極群(第2電極)336との対向電極間(放電空間)332で、接合された誘電体シートと被処理基材シートFがロール回転電極(第1電極)335に密着された状態でプラズマ放電処理によって金属化合物の薄膜を形成することができる。
この場合、該電極によって該シートにテンションをかけることが出来るため、搬送される基材シートの浮きや蛇行もなく、より精密な薄膜形成が可能となる。
ロール回転電極(第1電極)335には第1電源341から周波数ω1の高周波電圧V1を、また角筒型固定電極群(第2電極)336には第2電源342から周波数ω2の高周波電圧V2を印加することができる。
ロール回転電極(第1電極)335と第1電源341との間には、第1電源341からの電流I1がロール回転電極(第1電極)335に向かって流れるように第1フィルター343が設置されており、該第1フィルターは第1電源341からの電流I1をアース側へ通過しにくくし、第2電源342からの電流I2をアース側へ通過し易くするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)336と第2電源342との間には、第2電源からの電流I2が第2電極に向かって流れるように第2フィルター344が設置されており、第2フィルター344は、第2電源342からの電流I2をアース側へ通過しにくくし、第1電源341からの電流I1をアース側へ通過し易くするように設計されている。
なお、ロール回転電極335を第2電極、また角筒型固定電極群336を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より大きな高周波電圧(V1>V2)を印加できる能力を有しており、また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
本発明における別の放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の高周波電圧V1及び第2の高周波電圧V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、
V1≧IV>V2
または V1>IV≧V2
を満たす。更に好ましくは、
V1>IV>V2
を満たすことである。
本発明において、放電開始電圧とは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成等)及び反応条件(ガス条件等)において放電を起こすことのできる最低電圧のことを指す。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種等によって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
高周波及び放電開始電圧の定義、また、上記本発明の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加する具体的な方法としては、上述したものと同様である。
ここで、本発明でいう高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧は、下記の方法で測定されたものをいう。
高周波電圧V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、該高周波プローブをオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電圧を測定する。
放電開始電圧IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、該電極間の電圧を増大させていき、放電が始まる電圧を放電開始電圧IVと定義する。測定器は上記高周波電圧測定と同じである。
高い電圧をかけるような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電圧が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持でき、高性能な薄膜形成を行うことができるのである。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電圧IVは3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
このほか、特に放電ガスを窒素ガスとする場合、公知のパルス電圧を印加する方法による大気圧プラズマ処理装置を用いてもよい。
ガス供給手段350のガス供給装置351で発生させたガスGは、流量を制御して給気口352より、固定電極336の間から対向電極間332に供給される。また対向電極間より排ガスG′が排気される。図では省略しているが、ガス供給口352とガス排気口353は固定電極336の間に交互に設けることが好ましい。
例えば、接合された誘電体シートとハードコート層が形成された被処理基材シートFを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール364を経てニップロール365で接合された誘電体シートと被処理基材シートFに同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極335に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群336との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)335と角筒型固定電極群(第2電極)336との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)332で放電プラズマを発生させる。接合された誘電体シートとハードコート層が形成された被処理基材シートFはロール回転電極335に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。前記接合された誘電体シートと被処理基材シートFは、ニップロール366、ガイドロール367を経て、図示していない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
運転の手順に関しては、上記図2、図3の説明で挙げた方法がとられる。
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)335及び角筒型固定電極群(第2電極)336を加熱または冷却するために、電極温度調節手段360で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管361を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。ロール回転電極335と固定電極群336はそれぞれ独立に温度調節することができる。また、固定電極群336は、1つのロール電極335に対して1〜50個程度設けることが好ましく、特に2〜30個設けることが好ましい。なお、368及び369はプラズマ放電処理容器331と外界とを仕切る仕切板である。
図5は、図4に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図5において、ロール電極335aは導電性の金属質母材335Aとその上に誘電体335Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて温度調節用媒体を循環させて温度調節できるようになっている。
図6は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図6において、角筒型電極336aは、導電性の金属質母材336Aに対し、図4同様の誘電体336Bの被覆を有し、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されており、該電極の放電面積はロール回転電極335に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
図4に示した角筒型電極336は、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図5及び図6において、ロール電極335a及び角筒型電極336aは、それぞれ導電性の金属質母材335A、336Aの上に誘電体335B、336Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体の膜厚は0.1〜5mm、好ましくは1〜3mmである。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工しやすいので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材335A及び336Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料等を挙げることができるが、後述の理由から、チタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
2個の電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。いずれにしても誘電体シートと被処理基材シートの接合部の厚みにより、該シートの搬送に支障の出ない間隙であることが必要である。
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
プラズマ放電処理容器331はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図3において、平行した両電極の両側面(被処理基材シート面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、周波数が1〜200kHzのものが好ましく用いられる、
印加電源記号 メーカー 周波数
A1 神鋼電機 3kHz
A2 神鋼電機 5kHz
A3 春日電機 15kHz
A4 神鋼電機 50kHz
A5 ハイデン研究所 100kHz*
A6 パール工業 200kHz
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
また、第2電源(高周波電源)としては、周波数800kHz以上のものが好ましく用いられ、
印加電源記号 メーカー 周波数
B1 パール工業 800kHz
B2 パール工業 2MHz
B3 パール工業 13.56MHz
B4 パール工業 27MHz
B5 パール工業 150MHz
等の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
このような電圧を印加して、プラズマ放電状態を保つことができる。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することが好ましく、これにより放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成性ガスに与え薄膜を形成させる。供給する電力は1〜50W/cm2が好ましい。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
ここで高周波電圧の印加法としては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モード0と、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものである。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、さまざまな金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
金属質母材 誘電体
(a)純チタンまたはチタン合金 セラミックス溶射被膜
(b)純チタンまたはチタン合金 ガラスライニング
(c)ステンレススティール セラミックス溶射被膜
(d)ステンレススティール ガラスライニング
(e)セラミックスと鉄の複合材料 セラミックス溶射被膜
(f)セラミックスと鉄の複合材料 ガラスライニング
(g)セラミックスとアルミの複合材料 セラミックス溶射皮膜
(h)セラミックスとアルミの複合材料 ガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記(a)または(b)及び(e)〜(h)が好ましく、特に、(a)が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることができる。
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用できるが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることができる。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることができ、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることができ、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることができ、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることができる。
一方、誘電体に求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーター、例えば、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定することができる。誘電体が低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることができる。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることができる。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することができる。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることができる。
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化珪素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射等がある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化のない緻密な電極ができる。
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPS(X線光電子スペクトル)により誘電体層の断層を分析することにより測定できる。
本発明の放電プラズマ処理方法に係る電極においては、電極の少なくとも被処理基材シートと接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが好ましいが、更に好ましくは、8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも被処理基材シートと接する側の誘電体において行われることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電できる状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
本発明のプラズマ処理方法によれば、プラズマ処理によって金属もしくは金属化合物層、あるいは有機物の層が好ましく形成することができる。これらは、導電層、帯電防止層、防汚層、反射層、反射防止層、半導体層、ガスバリア層、易接着層、防曇層、防汚層、撥水層、撥油層、光触媒層、接着層などとして用いられる。
プラズマ処理によって形成される金属層もしくは金属化合物層としてあげられる金属としては、Al、As、Au、B、Bi、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、Ti、V、W、Y、ZnまたはZr等などである。
特に、Al、Ge、In、Sb、Si、Sn、Ti、W、ZnまたはZrが好ましい例として挙げられる。
次いで、本発明に係る薄膜形成に用いる反応ガスについて、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層)を例にとって説明する。
本発明に係る薄膜形成において、反射防止層中の低屈折率層に用いる反応ガスは、主に窒素を含むガスであることが好ましい。すなわち、窒素ガスが50体積%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは70体積%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは90体積%〜99.99体積%であることが望ましい。反応ガスには窒素のほかに希ガスを含有していてもよい。
ここで、希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等であり、本発明では、ヘリウム、アルゴン等が窒素に添加されて用いられてもよい。
窒素ガスは、安定したプラズマ放電を発生させるために用いられ、反応ガスには薄膜を形成するための原料として、反応性ガス(原料ガス)が添加される。該プラズマ放電中で反応性ガスはイオン化あるいはラジカル化され、被処理基材シート表面に堆積あるいは付着する等して薄膜が形成される。
更に、反応ガス中に酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、一酸化窒素、水、過酸化水素、オゾン、メタン、4フッ化メタン、アンモニア等を0.1体積%〜10体積%含有させることにより薄膜層の硬度、密度等の物性を制御することが好ましい。
本発明に有用な反応ガスは、さまざまな物質の原料ガスを添加したものを用いることによって、さまざまな機能を持った薄膜をセルロースエステルフィルム等の被処理基材シート上に形成することができる。ここでいう原料ガスとは、プラズマ処理により薄膜を形成するためのガスであり、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物等の低屈折率層を形成する金属化合物のガスを意味する。
本発明に有用な原料ガスとしての有機金属化合物としては、特に限定されないが、Al、As、Au、B、Bi、Sb、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Se、Si、Sn、Ti、Zr、Y、V、W、Zn、Ta等の金属化合物層を形成するための金属化合物を挙げることができる。
例えば、Ti、Zr、In、Sn、Zn、Ge、Si、Taあるいはその他の金属を含有する有機金属化合物、金属水素化合物、金属ハロゲン化物、金属錯体を用いて、これらの金属化合物層(例えば、金属酸化物層、金属窒化物、金属酸化物窒化物層も含む)または金属窒化物層等を形成することができ、これらの層は反射防止層の中屈折率層または高屈折率層とすることもできる。
また、フッ素含有有機化合物で低屈折率層を形成することもでき、珪素化合物でガスバリア層や低屈折率層を形成することもできる。本発明では、高、中屈折率層と低屈折率層を交互に多層を積層して形成される反射防止層の形成に特に好ましく用いられる。
本発明において、反応ガスとして有機金属化合物を用いるが、プラズマ放電処理によりセルロースエステルフィルム等の被処理基材シートシートの上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の原料ガスとしての金属化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
原料ガスについて、更に詳細に説明する。
反射防止層の中屈折率層、高屈折率層を形成するには、チタン化合物、ジルコニウム化合物、タンタル化合物が好ましく、具体的には、例えば、テトラジメチルアミノチタン等の有機アミノ金属化合物、モノチタン、ジチタン等の金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等の金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、ペンタイソプロポキシタンタル、ペンタエトキシタンタル等の金属アルコキシド等を挙げることができ、これらを用いて金属酸化物層を形成することができる。
亜鉛化合物としては、ジンクアセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛等があげられ、すず化合物としては、テトラエチルすず、テトラメチルすず、二酢酸ジ−n−ブチルすず、ビス(2−エチルヘキサン酸)ジブチルすず、二酢酸ジブチルすず、酸化ジブチルすず、二ラウリン酸ジブチルすず、テトラメチルすず、テトラエチルすず、テトラブチルすず、テトラプロピルすず、テトラオクチルすず等の有機すず化合物が好ましく用いられ、インジウム化合物としてはトリエチルインジウム、トリメチルインジウム等が好ましく用いられる。
大気圧プラズマ処理では、原料ガスにフッ素含有有機化合物を用いることでフッ素化合物含有層を形成することもできる。これらは低屈折率層、防汚層、撥水層、撥油層として有用である。
フッ素含有有機化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましい。具体的には、フッ素含有有機化合物としては、例えば、四フッ化炭素、六フッ化炭素、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭素化合物;二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物;更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物、アルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体等を挙げることができる。
これらは単独でも混合して用いてもよい。上記のフッ化炭化水素ガスとしては、二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン等の各ガスを挙げることができる。
更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
また、これらの化合物は、分子内にエチレン性不飽和基を有していてもよい。また、上記の化合物は混合して用いてもよい。
本発明に有用な反応ガスにフッ素含有有機化合物を用いる場合、プラズマ放電処理によりセルロースエステルフィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応ガスとしてのフッ素含有有機化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいく、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
また、本発明に好ましく用いられるフッ素含有、有機化合物が常温常圧で気体である場合は、反応ガスの成分としてそのまま使用できる。
また、フッ素含有有機化合物が常温常圧で液体または固体である場合には、気化手段により、例えば、加熱、減圧等により気化して使用すればよく、適切な有機溶媒に溶解して用いてもよい。
本発明に有用な反応ガスとしての珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシラン等の有機金属化合物、モノシラン、ジシラン等の金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シラン、四フッ化珪素等の金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、等のアルコキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、オルガノシラン等、3,3,3−トリフルオロメチルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン類を用いることが好ましいがこれらに限定されない。
また、これらは適宜組み合わせて用いることができる。あるいは別の有機化合物を添加して膜の物性を変化あるいは制御することもできる。これらは低屈折率層、防汚層、撥水層、撥油層として有用である。
また、珪素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、タンタル化合物等の金属化合物を放電部へ導入するには、両者は常温常圧で気体、液体または固体いずれの状態であっても使用し得る。
気体の場合は、そのまま放電部に導入できるが、液体や固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の気化手段により気化させて使用することができる。この目的のため、市販の気化器が好ましく用いられる。
珪素化合物、チタン化合物等の金属化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタン等のように常温で液体で、且つ、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが本発明の金属酸化物薄膜層の形成する方法に好適である。上記金属アルコキシドは、有機溶媒によって希釈して使用しても良く、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、アセトン等の有機溶媒またはこれらの混合有機溶媒を使用することができる。
本発明において、前記したようにプラズマ放電装置を複数設けることによって、多層の薄膜を連続的に設けることができ、膜厚ムラもなく多層の反射防止フィルムを形成することができる。例えば、1つの層を形成した後2分以内、好ましくは1分以内に次の層を形成することが好ましい。複数の層を1パスで連続的に形成するためには、各層が所定の薄膜形成速度となるように調整されることが必要である。そのため、各層形成後膜厚を測定するか、反射スペクトルを測定し、その結果に基づいて各々の層の膜形成速度をフィードバック制御することが好ましい。これによって、一定の速度で搬送される被処理基材シート上に異なる組成あるいは異なる膜厚の薄膜を1パスで連続的に形成することができる。各層の薄膜形成速度を制御する方法としては、特に限定はないが、放電の印加電圧、電流、周波数、パルス条件等の放電条件、反応ガス中の各成分の比率(窒素濃度、酸素あるいは水素等の添加ガス濃度、種類、原料ガス濃度)、反応ガス供給量、電極間距離、放電部の気圧、被処理基材シート温度、電極温度、反応ガス温度、放電部の温度、放電面積の変更等があげられるが、これらのみに限定されるものではない。これらの1つ以上の条件を適宜組み合わせることによって、薄膜形成速度を制御することができる。
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された含フッ素化合物層、あるいはアルコキシシラン等の有機珪素化合物を用いてプラズマ放電処理により形成された主に酸化珪素を有する層が好ましい。これらの層は原料ガス内の炭素または炭素化合物を含有していてもよい。
基本的なプラズマ処理装置の構成としては、図2、4〜6と同様の形態を用いることができる。プラズマ処理装置の高周波電源は、単一の高周波電圧を印加する場合は、1台もしくは複数の高周波電源を有していてもよく、あるいは図4に例示しているように2種の異なる周波数の高周波電圧を印加できるように複数の高周波電源から構成されていてもよい。
本発明に係るプラズマ処理において用いることのできる別の大気圧プラズマ処理装置について説明する。
図7は、プラズマ放電処理装置10に用いられるプラズマ放電処理容器20の一例を示す概略図であり、また別の実施の形態においては、図7に示すプラズマ放電処理容器20を用いている。
図7において、被処理基材シートFは、搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極21に巻回されながら搬送される。固定電極22は複数の円筒から構成され、ロール電極21に対向させて設置される。ロール電極21に巻回された低屈折率層を設けた被処理基材シートFは、ニップローラ23a、23bで押圧され、ガイドローラ24で規制されてプラズマ放電処理容器20によって確保された放電処理空間に搬送され、放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ25を介して次工程に搬送される。また、仕切板26は前記ニップローラ23bに近接して配置され、被処理基材シートFに同伴する空気がプラズマ放電処理容器20内に進入するのを抑制する。
この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器20内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、前記ニップローラ23bにより、それを達成することが可能である。
なお、放電プラズマ処理に用いられる混合ガスは、給気口27からプラズマ放電処理容器20に導入され、処理後のガスは排気口28から排気される。
図8は、上述のように、プラズマ放電処理容器20の他の例を示す概略図であり、図7のプラズマ放電処理容器20では円柱型の固定電極22を用いているのに対し、図8に示すプラズマ放電処理容器20では角柱型の固定電極29を用いている。
図7に示した円柱型の固定電極22に比べて、図8に示した角柱型の固定電極29は本発明の薄膜形成方法に好ましく用いられる。
円柱型の固定電極22及び角柱型の固定電極29は、図5、6で説明したのと同様のものを用いることができる。
印加電極に電圧を印加する電源としては、特に限定はないが、前述のパール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)、パール工業製高周波電源(2MHz)等が使用できる。
図9は、本発明に有用な大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
図9において、プラズマ放電処理容器20の部分は図7の記載と同様であるが、更に、ガス発生装置40、電源50、電極恒温ユニット70等が装置構成として配置されている。電極恒温ユニット70の恒温剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
図9に記載の電極は、図5、図6に示したものと同様であり、対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。
上記電極間の距離は、電極の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の最短距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5〜20mmが好ましく、特に好ましくは1±0.5mmである。
前記プラズマ放電処理容器20内にロール電極21、固定電極29を所定位置に配置し、ガス発生装置40で発生させた混合ガスを流量制御し、ガス充填手段41を介して給気口27よりプラズマ放電処理容器20内に入れ、前記プラズマ放電処理容器20内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し排気口28より排気する。次に電源50により電極に電圧を印加し、ロール電極21はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここで誘電体シートと接合されたロール状の低屈折率層を設けた被処理基材シートFを供給し、ガイドローラ24を介して、プラズマ放電処理容器20内の電極間を片面接触(ロール電極21に接触している)の状態で搬送される。そして、低屈折率層を設けた被処理基材シートFは搬送中に放電プラズマにより表面が製膜され、表面に混合ガス中の反応ガス由来の化合物を含有した薄膜が形成された後、ガイドローラ25を介して、次工程に搬送される。ここで、被処理基材シートFはロール電極21に接触していない面のみ製膜がなされる。
電源50より固定電極29に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は1kHzを越えて150MHz以下に調整される。ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよい。
また、表面の防汚層を形成する際の放電出力Xについては、0.5≦X<5.0W/cm2の放電密度がよい。
また、プラズマ処理では、前記図2あるいは図4に示されているプラズマ処理装置を用いることもできる。特に、窒素を放電ガスとして用いる時に好ましく用いられ、アルゴン等を使用する場合には、例えば、図4の電源341をOFFにして、薄膜を形成させることができる。
また、放電プラズマ処理時の被処理基材シートへの影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の被処理基材シートの温度を常温(15〜25℃)〜200℃未満の温度に調整することが好ましく、更に好ましくは常温〜110℃に調整することである。ただし、これらの条件は被処理基材シートの物性、特にガラス転移温度に依存して温度の上限が決定されるため、この範囲の限りではない。上記の温度範囲に調整するため、必要に応じて電極、被処理基材シートは冷却手段で冷却しながら放電プラズマ処理される。
本発明の実施の形態においては、上記のプラズマ処理が大気圧または大気圧近傍で行われる。なお、大気圧近傍とは、20〜200kPaの圧力を表すが、特に、93〜110kPaが好ましい。
本発明に係るプラズマ処理においては、出力密度と原料供給量の関係として、汚れ拭き取り性能の繰り返し耐久性の観点から、放電密度をX(W/cm2)、有機フッ素化合物または有機珪素化合物の供給量をY(mg/min・cm2)としたとき、0.5≦X<5、かつ0.1≦Y<20を満たす条件でのプラズマ処理が好ましいが、より好ましくは0.5≦X<4、かつ0.1≦Y<10を満たすプラズマ処理であり、特に好ましくは0.5≦X<4、かつ0.1≦Y<5で、更にX−3≦Y≦X+3を満たすプラズマ処理である。これにより、均一な防汚性を有する層を形成することができる。また、好ましい還元ガス性の供給量は0.1〜30ml/min・cm2で、好ましいアルゴンもしくは窒素の供給量は30〜2000ml/min・cm2である。
〔誘電体シート〕
本発明に用いられる誘電体シートとしては特に限定されないが、前述の樹脂フィルムが好ましく用いられる。
特に本発明では、強度、取扱のし易さ、価格等の点からポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂及びフィルムについて説明する。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(単にポリエステルともいう)は、芳香族ジカルボン酸成分をグリコール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、また初めに芳香族ジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとグリコール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のグリコール成分を除去しながら重合させるエステル交換法を用いて製造したものが好ましく用いられる。
この際、必要に応じてエステル交換触媒或いは重合反応触媒を用い、或いは耐熱安定剤等をもちいて製造される。
本発明においては、初めにジカルボン酸のジアルキルエステルを用いた場合でも、また一旦ジカルボン酸成分とグリコール成分をエステル化反応させるエステル化法をもちいた場合でも、原料およびその共重合成分に言及する場合、芳香族ジカルボン酸、グリコール換算の量をいうこととする。
上記プロセスにおいて、例えば、スルホン酸およびその塩から選ばれる基を有する芳香族ジカルボン酸或いはポリアルキレングリコール等の共重合成分をエステル交換反応後に添加し、重縮合を行うことにより、これらの共重合成分を含んだポリエステル樹脂が得られ、これらも好ましく用いられる。
ここで、上記ポリエステル樹脂を主成分として含む樹脂層がポリエステルフィルムとして形成される場合、ポリエステルフィルムの製造方法としては、従来公知の方法を用いることが出来、特に限定されないが、例えば、以下の様な方法で行うことができる。
先ず、前記ポリエステル樹脂をペレット状に成型し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段または多段縦延伸する方法を適用することが好ましい。
ポリエステル樹脂を主成分として含む樹脂層をポリエステルフィルムとして得る場合、種々の延伸パターンにより製膜したフィルムを得ることができ、1軸延伸もしくは2軸延伸されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合等の処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料としてまたは異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
ポリエステル樹脂を主成分として含むポリエステルフィルムとして形成した場合のフィルムの膜厚は10μm〜200μmが好ましく、更に好ましくは10μm〜100μmである。10μm未満の場合は、搬送時の強度が不足し、200μmを超えると取扱い性やプラズマ放電処理装置内の搬送性に問題が生じ好ましくない。
また、搬送時の滑り性を付与するためマット剤等の微粒子を添加することも好ましい。
ポリエステルフィルム中に添加できる微粒子としては特に限定はされないが、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5nm〜16nmであり、特に好ましくは、5nm〜12nmである。
〔被処理基材シート〕
本発明に用いられる被処理基材シートとしては限定されないが、特にセルロースエステルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、またはポリ乳酸系ポリマーフィルム等が透明性、機械的性質、光学的特性等の点で好ましい。これらの樹脂フィルムは溶融流延法または溶液流延法で製膜されたフィルムであってもよい。更には縦、横方向に延伸する条件等を適宜設定することにより、本発明に適した基材を得ることができる。中でも、セルロースエステルフィルムが好ましく用いられ、セルロースアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルムなどがあげられる。セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TACフィルム)等のセルロースエステルフィルムとしては例えば、コニカ(株)製のコニカタックKC4UX2MW、KC8UX2MW、KC4UY、KC8UY、KC5UN、KC12UR、KC8UCR−1、KC8UCR−3等が好ましく用いられる。
また、本発明で持ちいられる被処理基材シートは、これらの樹脂を積層したフィルムであっても、混合したフィルムであってもよく、これらの基材に用途に応じてあらかじめ樹脂層や無機層が設けられていてもよい。特に好ましくは硬化樹脂層が設けられている被処理基材シートにおいて、本発明のプラズマ放電処理方法が好ましく用いられる。
本発明のプラズマ放電処理に適した被処理基材シートの厚さとしては、10〜1000μm程度のフィルムを好ましく用いることができ、より好ましくは10〜200μmであり、特に10〜60μmの薄手の基材を好ましく用いることができる。
ここで、本発明に特に有用な被処理基材シートとして、セルロースエステルフィルムについて説明する。本発明に有用なセルロースエステルフィルムは、セルロースの水酸基を、芳香族カルボン酸あるいは脂肪族カルボン酸でエステル化したものであり、特に炭素原子数が2〜4のアシル基で2.40〜2.98置換したセルロースエステルを使用したものが好ましい。このようなセルロースエステルとしては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートを挙げることができ、中でもセルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましい。これらの好ましいセルロースエステルにおいて、アセチル基の置換度が1.6以上であることが特に好ましい。セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて定法により反応させて得ることができる。特に混酸セルロースエステルの場合には、例えば混酸エステルでは特開平10−45804号公報に記載の方法で反応して得ることができる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースエステルの数平均分子量(Mn)は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、かつ、適度な粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は1.0〜3.0であることが好ましく、特に1.4〜2.5が好ましい。
これらセルロースエステルは後述するように一般的に溶液流延製膜法と呼ばれる方法で製造(製膜)される。この方法は、無限に移送する無端の金属ベルト(例えばステンレスベルト)あるいは回転する金属ドラム(例えば鋳鉄で表面をクロムメッキしたドラム)等の流延用金属支持体(以降、単に金属支持体ということもある)上に、加圧ダイからドープ(セルロースエステル溶液のこと)を流延(キャスティング)し、金属支持体上のウェブ(ドープ膜)を金属支持体から剥離し、乾燥させて製造するものである。
ドープの調製に用いる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等を好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げることができる。また、後述の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において金属支持体上に形成されたウェブから溶媒を乾燥させる温度は、ウェブ中の有機溶媒の発泡を防止する観点から、有機溶媒の沸点以下が好ましく、30〜80℃が好ましい。例えば、上記の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40℃)、酢酸メチル(同56℃)、アセトン(同56℃)、酢酸エチル(同76℃)等である。上記の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライド及び酢酸メチルが特に好ましく用いられる。ドープには、良溶媒を全有機溶媒に対して50質量%以上含み、良溶媒の他に貧溶媒として、0.1〜30質量%の炭素原子数1〜4のアルコールやシクロヘキサンを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で前記アルコールを含むことが好ましい。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等を挙げることができ、これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これら貧溶媒を含むドープを金属支持体に流延後、金属支持体上でウェブから溶媒の蒸発が始まるとアルコール(貧溶媒)の比率が多くなるに従いウェブがゲル化し、ウェブが丈夫になるので、有機溶媒を多く含んでいても金属支持体から容易に剥離することができる。またドープ中の貧溶媒の割合が少ない場合には、セルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
ドープ調製方法としては、主たる有機溶媒の沸点を越した温度で、圧力を高くして溶解する高温溶解法、−100〜−10℃に冷却して溶解する冷却溶解法、更に高圧で溶解する高圧溶解法等があり、いずれも好ましく用いることができるが、作業の容易さ、設備がシンプル等の理由から高温溶解法が特に好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムは可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を挙げることができる。リン酸エステル系としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等;フタル酸エステル系としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等;トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等;グリセリンエステルとしては、トリアセチン、トリブチリン等;グリコール酸エステル系では、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等;その他のカルボン酸エステルの例としては、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステル、トリメチロールプロパントリベンゾエート等の多価アルコールエステルを挙げることができる。これらのうち、リン酸エステル系可塑剤やグリコール酸エステル系の可塑剤が好ましい。これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%であることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには、画像表示装置として屋外に置かれた場合等の劣化防止の観点から紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものを好ましく用いることができる。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート等を挙げることができ、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン171、チヌビン326(チバ・スペッシャリティ・ケミカル社製)等が市販されており、好ましく用いることができる。
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤も本発明に係わるセルロースエステルフィルムに有用なものの一つである。例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができる。
本発明の光学フィルムには、紫外線吸収剤として透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤を好ましく用いることができ、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
本発明に有用な基材としてのセルロースエステルフィルムには、マット剤をセルロースエステルフィルム中に含有させることによって、搬送や巻き取りをし易くすることができる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも二酸化珪素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の一次粒子または二次粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.5質量%が好ましい。二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等があげられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜14nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好ましい。二酸化珪素の微粒子としては日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばアエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用できる。
また、特開2001−194522記載の赤外吸収染料をセルロースエステル中に含有することができる。
本発明に有用な基材としてのセルロースエステルフィルムの製膜方法は、上記ドープを、金属支持体、例えばステンレスベルト上に加圧ダイから流延してウェブを形成させ、ウェブの表面側及び金属支持体の裏面側から加熱して有機溶媒を蒸発させて乾燥する。ウェブ表面からは乾球温度30〜80℃、露点温度10℃以下の程度の温風を当て、裏面側からは、同様の温風を当てても、赤外線を照射しても、あるいは主たる有機溶媒の沸点以下の温度の温水を直接当てる方法が行われる。特に裏面加熱は温水加熱が好ましい。剥離点においてステンレスベルトからウェブを剥離し、ロールで引回すロール乾燥機、あるいはウェブの両端を把持して幅保持するか横延伸したりして、ウェブを乾燥し巻き取ることによってセルロースエステルフィルムを製膜することができる。セルロースエステルフィルムは、共流延法或いは逐次流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムであってもよい。剥離する際の残留溶媒量は、乾燥条件により5〜150質量%が望ましく、40〜120質量%が好ましい。巻き取る時の残留溶媒量は、本発明においては、セルロースエステルフィルムの残留溶媒量は2質量%未満であることが好ましく、0.5質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることが特に好ましい。セルロースエステルフィルムのような溶液流延製膜法により製膜して得られる基材には有機溶媒が残存することがあるが、残留溶媒量が少ないほど後のプラズマ放電処理による被処理基材の変形が少ないなどの弊害が少なく好ましい。残留溶媒量は下記の式で表される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mは残留溶媒量を測定する試料の質量、NはMの試料を110℃で3時間加熱して吸湿しないように室温に戻した質量である。
本発明で用いられる被処理基材シートの光学特性は、面内レターデーションRoが0〜1000nmのもの、厚み方向のレターデーションRtが0〜300nmのものが好ましく用いられる。更に、波長分散特性のRo(600)/Ro(450)が0.7〜1.3であることが好ましく、特に1.0〜1.3であること好ましい。ここで、Ro(450)は波長450nmの光による複屈折率測定に基づいた面内レターデーション、Ro(600)は波長600nmの光による複屈折率測定に基づいた面内レターデーションを表す。
〔被処理基材シートの被覆物及び被覆層〕
本発明に係る被処理基材シートは、前述のフィルムだけで基材として用いる以外に、前述のフィルム表面にゼラチン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等の被覆層を塗設したもの、または前述のフィルムに直接、または上記被覆層の上に、防眩層やクリアハードコート層、バックコート層、または帯電防止層等の被覆層を設層したものを基材として用いることが好ましい。
特に好ましくは硬化樹脂層が設けられている被処理基材シートにおいて、本発明のプラズマ放電処理方法が好ましく用いられる。硬化樹脂層としては、不飽和エチレン性モノマーを1種以上含む成分を重合させて形成した層で、活性線硬化性の組成物または熱硬化性の組成物を用いるのが好ましく、特に活性線硬化性組成物を用いるのが好ましい。ここで、活性線硬化性組成物とは、不飽和エチレン性モノマーを主として含有する組成物、または不飽和エチレン性基を有する比較的分子量の大きい化合物(通常、樹脂と称する)を含有する組成物で、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等により硬化層を形成する組成物をいう。活性線硬化性組成物としては、紫外線硬化性組成物や電子線硬化性組成物等が代表的なものとして挙げることができ、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する組成物でもよい。
本発明の被覆物に有用な紫外線硬化性組成物(紫外線硬化性樹脂を含)について述べる。
紫外線硬化性組成物に主として含有されている樹脂成分としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって、特開昭59−151110号公報に記載されているように得ることができる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって、特開昭59−151112号公報に記載されているように得ることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、下記のごとき光重合開始剤を添加して反応させた特開平1−105738号公報に記載のものを挙げることができる。光重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等を挙げることができ、2種以上を併用したものも用いられる。
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
紫外線硬化性組成物は、光重合開始剤あるいは増感剤を含有し、紫外線により硬化される。光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤を使用する際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
紫外線硬化性組成物には、上記樹脂成分を希釈しかつ重合し硬化に関与する成分として不飽和エチレン性基を1〜4個1分子中に有するモノマーを含有させることがある。該モノマーとしては、例えば、不飽和エチレン性基を1個有するモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和エチレン性基を二つ以上有するモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。紫外線硬化性樹脂について多くの市販品があり、例えば、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株式会社製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製);サンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製);RCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製);アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)等を挙げることができる。このような市販品の紫外線硬化性樹脂を本発明に係わる被覆物として適宜選択して利用できる。
紫外線硬化性組成物を光硬化反応させて皮膜を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であればいずれでも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜2000mJ/cm2が好ましく、更に好ましくは、50〜200mJ/cm2である。近紫外線領域から可視光線領域にかけて光源に対しては、それらの領域に吸収極大を有する増感剤を組成物に含有させることによって使用を可能にすることができる。
紫外線硬化性組成物は有機溶媒を含有して紫外線硬化性組成物塗布液としてもよく、不飽和エチレン性モノマーを希釈性モノマーとして使用する場合でも、有機溶媒を含有させるのが好ましい。
紫外線硬化性組成物塗布液に使用する有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができ、適宜選択し、あるいはこれらを混合して使用できるが、上記のプロピレングリコールモノアルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノアルキルエーテルエステルを5質量%以上含有させることが好ましく、これらを5〜80質量%含有する混合有機溶媒を用いることがより好ましい。
紫外線硬化性組成物塗布液を基材に塗布する方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることができる。塗布の際の液膜厚(ウェット膜厚ともいう)で0.1〜30μmが好ましく、より好ましくは、0.5〜15μmである。
紫外線硬化性組成物塗布液を塗布し、乾燥した後、もしくは生乾きの状態で、紫外線光源を上記のエネルギー値程度に照射し硬化反応を行わせる。この時の照射時間は、基材の移送速度、塗布液の組成、塗布厚さ等によって異なるが、概して0.1秒〜5分程度で照射及び硬化が完結することが好ましく、0.5秒〜10秒が特に好ましい。
硬化した被覆層のブロッキング防止やすり傷防止等のためあるいは防眩層とするために、無機あるいは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無機微粒子としては酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、これらを紫外線硬化性組成物に加えることができる。これらの微粒子粉末の平均粒径は、0.005〜3μmが好ましく用いられ、粒径や屈折率の異なる微粒子を組み合わせて用いることが好ましい。粒子の形状も球状、棒状、針状、層状などの微粒子が適宜選択されて用いられる。紫外線硬化性樹脂と微粒子粉末との割合は、樹脂100質量部に対して、微粒子粉末を0.1〜10質量部となるように配合することが望ましい。このようにして形成された紫外線硬化性被覆層の表面粗さは、目的や種類に応じて異なるが、中心線平均粗さRaとして、Raがクリアーハードコート層なら0.001〜0.1μm、防眩層なら0.1〜1μm程度が好ましい。このようにして得られた硬化樹脂層表面に、本発明の方法で均一に薄膜を形成することができる。
(帯電防止層)
また、本発明のプラズマ処理方法に用いられる被処理基材シートにはあらかじめ帯電防止層が形成されていてもよい。帯電防止層としては、その構成に特に制限はなく、例えば、特開平9−203810号公報の段落番号0038〜同0055に記載の一般式(I)〜(V)で表されるアイオネン導電性ポリマーや、同公報の段落番号0056〜同0145に記載の一般式(1)または(2)で表されるポリマー分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオンポリマーを含有する帯電防止層を挙げることができる。
また、下記に記載の導電性を有する金属酸化物粉体を含む帯電防止層を挙げることができる。
金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V2O5等、あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、またSnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
また、これらの導電性を有する金属酸化物粉体の体積抵抗率は1×107Ωcm特に1×105Ωcm以下であって、一次粒子径が10nm以上、0.2μm以下で、高次構造の長径が30nm以上、6μm以下である特定の構造を有する粉体を導電層に体積分率で0.01%以上、20%以下含んでいることが好ましい。
本発明において帯電防止層の形成は、導電性微粒子をバインダーに分散させて基材シート上に設けてもよいし、基材シート上に下引処理を施し、その上に導電性微粒子を被着させてもよい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、金属酸化物からなる帯電防止層中に耐熱剤、耐候剤、無機粒子、水溶性樹脂、エマルジョン等をマット化、膜質改良のために添加してもよい。
帯電防止層で使用するバインダーは、フィルム形成能を有する物であれば特に限定されるものではないが、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン酸ソーダ、デンプン誘導体等の糖類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙げることができる。
特に、ゼラチン(石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酸素分解ゼラチン、フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン等)、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリルアミド、デキストラン等が好ましい。
本発明のプラズマ処理方法によって作製された反射防止フィルム、防汚性フィルム、帯電防止フィルム等は、偏光板用保護フィルムとして液晶ディスプレイに用いられる他、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種表示装置や、携帯端末用表示装置に好ましく用いることができる。