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JP4581838B2 - Dna断片連結方法及びキット - Google Patents
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JP4581838B2 - Dna断片連結方法及びキット - Google Patents

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本発明は、目的のDNA断片を制限酵素認識部位によって連結するのではなく、遺伝子の方向性を維持しながら複数のDNA断片を無制限に連結することを可能にし、これによって遺伝子の構築を正確に行うことを可能にする方法に関する。
本発明はまた、上記方法に使用するためのDNA断片連結キットに関する。
遺伝子組換え技術の成熟化に伴い、遺伝子組換えによる生物の改変に関わる遺伝子が多数単離されている。また、これらの単一遺伝子を導入することによって育種できる場合もあるが、複数形質に関わる複数の有用遺伝子を同時に導入することによって育種効率を高めようとする研究も行われている。また、分岐する代謝系を複雑に制御するためには、複数遺伝子の導入による遺伝子発現制御が必須である(非特許文献1)。
複数の目的DNA断片を連結する場合、制限酵素によってベクターの一部を切断し、ここに目的DNA断片を挿入して構築するのが一般的である。その際、目的DNA断片が方向性をもつように適当な制限酵素認識部位をもたせ、ライゲーションする方法が行われてきた。この方法では、一つの目的DNA断片を連結する度に適切な制限酵素認識部位を見つける必要があり、手間と時間がかかる作業であった。
さらに、複数の目的DNA断片を制限酵素認識部位を用いて連結する場合、目的DNA断片の片方の末端が制限酵素で認識できないような配列にすることができる性質を利用することがある。例えば、制限酵素SalIとXhoIで切断した末端同士を連結させて、得られた配列がどちらの制限酵素の認識配列とも異なり切断することができないことから、両末端にSalIとXhoI制限酵素認識部位を有する目的DNA断片をSalIあるいはXhoI制限酵素認識部位に連続して連結することが可能である(非特許文献2)。しかし、この方法では、目的DNA断片内にSalIあるいはXhoI制限酵素認識部位が存在する場合は利用できない欠点を有する。
さらにまた、目的DNA断片に相補的な配列の先に制限酵素の認識配列を含む相補鎖合成反応開始プライマーで目的とする遺伝子を増幅することで増幅後のDNA断片の端に制限酵素の認識配列を保持することを可能とする目的DNA断片の作製方法が開示されている(非特許文献3)。しかし、この方法は、上記の方法と同様に、ベクター上に存在する連結に使用する制限酵素認識部位による制限を受ける。
これに対して、目的DNA断片内に制限酵素認識部位が出現する頻度を低下させ、かつDNA断片の連結方向を規制するために、ベクター内に非回文配列を生じさせる制限酵素であるSfiIで切断される制限酵素認識部位をアダプター等で挿入して一定方向でクローニングできるベクターを作製する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、複数の目的DNA断片を連結させる場合には、連結方向を規制するために、多くのアダプターを作製する必要があることに加えて、連結工程が多い欠点がある。
また、固相系において非回文配列を利用して目的DNA断片を連結させることにより、目的DNA断片をクローニングすることなく、連結方向を規定しながら目的DNA断片を順次連結させる方法が開示されている(特許文献2)。しかし、連結工程が進み連結されたDNA断片が長くなるに従い、連結効率が低下することが欠点として挙げられる。
一方、ラムダファージの部位特異的組換えDNA配列と部位特異的組換え酵素を利用して、最高3個の目的DNA断片をひとつのベクターに移すことができるキット(MultiSite Gateway Three−Fragment Vector Construction Kit)がインビトロジェン社から市販されている(http://www.invitrogen.co.jp/products/molecular_biology/12537001.shtml)。しかし、このキットで導入できる目的DNA断片の数は部位特異的組換えDNA配列の数に制限されることから、4個以上の目的DNA断片を連結することが不可能であった。
米国特許5,595,895 特開2002−262870 植物代謝工学ハンドブック:新名惇彦及び吉田和哉監修, 854頁, (株)エヌ・ティー・エス, 2002年6月 N.Kitamotoら,Appl.Microbiol.Biotechnol.,50:558,1998 ピーシーアール・テクノロジー,61〜63頁,ストックトン・プレス,ニューヨーク,1989年
本発明の目的は、多数の目的DNA断片を連結方向を規定しながら、目的DNA断片の長さによる制限を受けずに無制限に連結する方法、及びそのためのキット、を提供することである。
本発明者等は、特定位置に配置した複数組の部位特異的組換えDNA配列を含む供与ベクター、受容ベクター及び変換ベクターを設計し、これらのベクターと部位特異的組換え酵素を利用することによって、従来の方法とは異なる方法によって複数の目的DNA断片を連結させることに成功した。この新規の方法によると、多数の目的DNA断片を連結方向を規定しながら、目的DNA断片の長さによる制限を受けずに無制限に連結することが可能である。
発明の概要
本発明を以下に要約する。
本発明は、第1の態様において、目的DNA断片を2種各2組の部位特異的組換えDNA配列の間に含む供与ベクターと、該供与ベクターの該2種各2組のうち外側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列と部位特異的組換えを起こすことができる1種2組の部位特異的組換えDNA配列を含む受容ベクターとの間で部位特異的組換え反応を行う工程、並びにその結果得られた組換えベクターと、該ベクター中の該供与ベクター由来の残りの1種2組の部位特異的組換えDNA配列と部位特異的組換えを起こすことができる外側に配置された1種2組の部位特異的組換えDNA配列と内側に配置された該受容ベクター由来の該1種2組の部位特異的組換えDNA配列とを含む変換ベクターとの間で部位特異的組換え反応を行い、該受容ベクター由来の再生された該1種2組の部位特異的組換えDNA配列を含む組換えベクターを作製する工程を含む、1又は複数の目的DNA断片を連結する方法を提供する。
本発明はまた、第2の態様において、2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L1,R4,R3,L2をこの順序で含みかつ該DNA配列の間に目的DNA断片を挿入することができる供与ベクターと、1種2組の部位特異的組換えDNA配列R1,R2を含む受容ベクターと、2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L4,R1,R2,L3をこの順序で含む変換ベクターと、部位特異的組換え酵素とを使用して1又は複数のDNA断片を連結する方法であって、該供与ベクターに該目的DNA断片を挿入する工程、該DNA断片挿入供与ベクターと該受容ベクターとを部位特異的組換え酵素の存在下で部位特異的組換え反応を行って、L1とR1との間で及びL2とR2との間でそれぞれ部位特異的組換えを起こして第1組換えベクターを作製する工程、並びに該第1組換えベクターと該変換ベクターとを部位特異的組換え酵素の存在下で部位特異的組換え反応を行って、R3とL3との間で及びR4とL4との間でそれぞれ部位特異的組換えを起こして、再生されたR1及びR2を含む第2組換えベクターを作製する工程からなるサイクルを含む上記方法を提供する。
第1の実施形態において、上記方法はさらに、前記供与ベクターに別の目的DNA断片を挿入して得られるベクターと前記サイクルの最終工程からの組換えベクターとの間で部位特異的組換え反応を行って組換えベクターを作製する工程を含む前記サイクルの全工程を、目的DNA断片の種類を変えながら複数サイクル繰り返して複数の異なる目的DNA断片を順次連結することを含む。
第2の実施形態において、上記組換えベクターは選択マーカー配列を含む。
第3の実施形態において、上記方法はさらに、上記組換えベクターを微生物細胞中に形質転換し、選択培地にて培養し、目的DNA断片が連結されている細胞を選択し、及び必要により、該細胞から該目的DNA断片を含む核酸を回収することを含む。
第4の実施形態において、上記供与ベクターは、その内側にある部位特異的組換えDNA配列R3とR4の間に、ベクター上でユニークに存在する制限酵素認識部位を含む。
第5の実施形態において、上記変換ベクターは、その内側にある部位特異的組換えDNA配列R1とR2の間に、ベクター上でユニークに存在する制限酵素認識部位を含む。
第6の実施形態において、上記部位特異的組換え反応に際して、上記受容ベクターがリニアー化される。
第7の実施形態において、上記部位特異的組換え反応に際して、上記組換えベクターがリニアー化される。
第8の実施形態において、4種以上の目的DNA断片を連結することができる。
本発明はさらに、第3の態様において、外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)と内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R3,R4)を含み、かつ該外側のDNA配列と該内側のDNA配列との間に目的DNA断片を挿入することを可能にする制限酵素認識部位あるいは部位特異的組換えDNA配列を含むことを特徴とする供与ベクターを提供する。
本発明はさらに、第4の態様において、外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L3,L4)と内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)とを含む変換ベクターであって、該DNA配列L3,L4が、上記供与ベクターと受容ベクターとの部位特異的組換えによって得られた組換えベクターの最も内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列R3,R4とそれぞれ部位特異的組換えをすることが可能であり、ここで受容ベクターが、該DNA配列R1,R2を含みかつ該DNA配列が請求項12記載の供与ベクターの外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)とそれぞれ部位特異的組換えを起こすことを可能にする、変換ベクターを提供する。
本発明はさらに、第5の態様において、1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)を含みかつ該DNA配列が請求項12記載の供与ベクターの外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)とそれぞれ部位特異的組換えを起こすことが可能である受容ベクターに、目的DNA断片を含む上記供与ベクターを部位特異的組換えし、ついで該供与ベクターの最も内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R3,R4)の内側に存在する制限酵素認識部位を用いて制限酵素反応を行い直鎖状DNAとし、得られた組換えベクターを、上記変換ベクターと部位特異的組換えを行い、これによって目的DNA断片を受容ベクター中に連結することを含む、DNA断片の連結方法を提供する。
本発明はさらに、その実施形態において、上記DNA断片の連結方法を繰り返すことにより、複数の目的DNA断片を受容ベクターに連結することを特徴とする複数のDNA断片の連結方法を提供する。
本発明はさらに、第6の態様において、上記供与ベクター、1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)を含みかつ該DNA配列が上記供与ベクターの外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)とそれぞれ部位特異的組換えを起こすことを可能にする受容ベクター、及び上記変換ベクターをそれぞれ別個の容器に含む、DNA断片連結用キットを提供する。
その実施形態により、上記キットはさらに、少なくとも1種の部位特異的組換え酵素を含む。
用語の説明
本明細書中で使用する用語について以下に説明する。
「目的DNA断片」とは、連結される個々のDNA断片を意味する。使用目的に応じて、その種類及び大きさは適宜選択できる。例えば、DNA断片の種類は、動物、植物、酵母、真菌、細菌などの生物、あるいはウイルス、に由来することができる。また、DNA断片の大きさは、通常1Mb未満、好ましくは数百kb未満、さらに好ましくは200kb未満である。
「部位特異的組換え」とは、各種の部位特異的組換え酵素が、所望の特異的な塩基配列を識別して組換えが起こることを意味する。この組換えは、保存型部位特異的組換えと、トランスポゾンによる転移型部位特異的組換えとに分けられる。保存型部位特異的組換えは、染色体にファージ・ゲノムの組み込み、切り出しに関与する組換えで、ファージと宿主染色体の特定の短い相同な塩基配列の所で起こる。例えば、ラムダファージがattP部位を利用してファージゲノムを大腸菌のattBサイトに部位特異的組換えすること、バクテリオファージ P1 のCre−lox部位特異的組換え等が知られている。これらの部位特異的組換えを利用することにより、DNA間の相同性のない遺伝子領域をゲノム内あるいはゲノム間で移動させる事ができる。
「2種各2組」とは、供与ベクター又は変換ベクター上の4つの部位特異的組換えDNA配列を指す。供与ベクターの場合、受容ベクター上の2つの部位特異的組換えDNA配列と部位特異的組換えを起こすことが可能である外側に配置される2つ(すなわち、1種2組)の部位特異的組換えDNA配列と、変換ベクター上の外側配置の2つの部位特異的組換えDNA配列と部位特異的組換えを起こすことが可能である内側に配置された別の2つ(すなわち、別の1種2組)の部位特異的組換えDNA配列とからなる4つのDNA配列を意味する。また、変換ベクターの場合、供与ベクターの内側由来の2つの部位特異的組換えDNA配列と部位特異的組換えを起こすことが可能である外側に配置される2つ(すなわち、1種2組)の部位特異的組換えDNA配列と、上記受容ベクター上の2つの部位特異的組換えDNA配列と同じである内側に配置される2つ(すなわち、別の1種2組)の部位特異的組換えDNA配列とからなる4つのDNA配列を意味する。
「供与ベクター」とは、外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(図1及び図2のL1, L2)と内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(図1及び図2のR3, R4)を含み、かつ該外側のDNA配列と該内側のDNA配列との間に目的DNA断片を挿入することを可能にする制限酵素認識部位あるいは部位特異的組換えDNA配列を含むベクターを意味する。
「受容ベクター」とは、1種2組の部位特異的組換えDNA配列(図1及び図2のR1,R2)を含み、かつ該DNA配列が上記供与ベクターの外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(図1及び図2のL1,L2)とそれぞれ部位特異的組換えを起こすことを可能にするベクターを意味する。
「変換ベクター」とは、外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(図1及び図2のL3,L4)と内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(図1及び図2のR1,R2)とを含み、かつ該DNA配列L3,L4が上記供与ベクターと上記受容ベクターとの部位特異的組換えによって得られた組換えベクターの最も内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列R3,R4とそれぞれ部位特異的組換えをすることを可能にするベクターを意味する。このベクターは、上記受容ベクター上の部位特異的組換えDNA配列R1,R2を再生又は復活させるためのものである。
「再生された」又は「再生」とは、上記変換ベクターによって、上記受容ベクターにおけるものと同じ1種2組の部位特異的組換えDNA配列を組換えベクター上に復活させることを意味する。
「部位特異的組換え酵素」とは、供与ベクターと受容ベクターとの間、あるいは組換えベクターと変換ベクターとの間で部位特異的組換え反応を触媒する酵素又は酵素混合物を意味する。
「選択マーカー」とは、単一の目的DNA断片又は連結された複数の目的DNA断片を含む形質転換宿主微生物を選択するために導入ベクター中に組み込まれた薬剤耐性マーカー、栄養要求性を相補するマーカーなどのマーカーを意味する。
「形質転換」とは、異種DNAが生物細胞に取り込まれて新しい形質が表現される方法又はそのプロセスを意味する。
「選択培地」とは、目的のDNA断片が組み込まれた微生物細胞を選択するための培地であり、培地中に抗生物質などの薬剤を添加した、あるいは培地から特定の栄養素を欠乏させた、培地を意味する。
「レアカッターサイト」とは、8塩基以上を認識する制限酵素認識部位を意味する。
「マルチプルクローニングサイト」とは、複数の制限酵素認識部位から構成される制限的切断のための部位を意味する。
「リニアー化」とは、ベクターを特異的制限酵素で切断して線状化することを意味する。
「回文配列」とは、そのヌクレオチド配列が相補鎖のヌクレオチド配列と同一である配列を意味する。一方、そのヌクレオチド配列が相補鎖のヌクレオチド配列と異なる配列となる場合、「非回文配列」という。
本発明は、特定位置に配置した複数組の部位特異的組換えDNA配列を含む供与ベクター、受容ベクター及び変換ベクター、並びに部位特異的組換え酵素を利用することによって、従来の方法とは異なる方法によって複数の目的DNA断片を連結させる方法を提供し、これによって、多数の目的DNA断片を連結方向を規定しながら、目的DNA断片の長さによる制限を受けずに(又はより長いDNA断片を)無制限に連結することを可能にする、という利点を付与する。
本発明を、さらに具体的に説明する。
本発明は、簡単に言えば、2種各4組の部位特異的組換えDNA配列と部位特異的組換え酵素を使用して複数の目的DNA断片を連結する方法を提供することである。その際、目的DNA断片を2種各2組の部位特異的組換えDNA配列を有する供与ベクターに乗せ、部位特異的組換え反応を利用して、受容ベクターに目的遺伝子と1種2組の部位特異的組換えDNA配列を移行させて、第1番目の目的DNA断片を連結した組換えベクターを作製する。次いで、変換ベクターを用いて第1番目の目的DNA断片を連結した組換えベクターに1種2組の部位特異的組換えDNA配列で部位特異的組換えする。これによって得られたベクターには受容ベクターと同じ1種2組の部位特異的組換えDNA配列が存在するため、さらに別の供与ベクターに挿入した第2番目の目的DNA断片を第1番目の目的DNA断片に連結することができる。上記反応をn回繰り返すことにより、n個の目的DNA断片を受容ベクターに連結することができる。
本発明の複数の目的DNA断片を無制限に連結することを可能にするリサイクルベクターの概念を図1に示す。一つのDNA断片のベクターへの導入手順は、供与ベクターに目的DNA断片を挿入する工程と、その結果得られた供与ベクター及び受容ベクターから第1組み換えベクターを作製する工程と、該第1組換えベクターと変換ベクターから第2組換えベクターを作製する工程との3工程で構成され、この3工程1サイクルを繰り返すことによって、複数の目的DNA断片を一つずつ無制限に付加又は連結することができる。
各工程で使用するベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミドなどが挙げられ、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YCp50等)などが挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルスベクター、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターなどを用いることもできる。
供与ベクターにはベクター上に存在する適当な制限酵素認識部位等を利用して図1に示す順番で2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L1,R4,R3,L2が配置される。すなわち、1種2組のDNA配列L1,L2は外側に配置され、このDNA配列は受容ベクター中の部位特異的組換えDNA配列との組換えに使用される。別の1種2組のDNA配列R4,R3は内側に配置され、このDNA配列は第1の組換えベクター中に保持されたあと、変換ベクター中の部位特異的組換えDNA配列との組換えに使用される。
供与ベクターの1種2組の部位特異的組換えDNA配列の外側で1種2組の部位特異的組換えDNA配列の内側に、目的DNA断片を挿入するのに適する制限酵素部位又はマルチクローニングサイト又はCre−lox(またはFLP−frt)(コスモバイオ社)などの部位特異的組換えDNA配列を配置することができる。また、8塩基以上を認識する複数の制限酵素認識部位(レアカッターサイト)を有するマルチプルクローニングサイトを供与ベクターの内側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R4とR3)の間に配置することが好ましい。
目的DNA断片は、動物、植物、微生物及びウイルスのいずれの起源のものでもよい。またその大きさ(すなわち、サイズ)は、通常1Mb未満、好ましくは数百kb未満、例えば800kb、700kb、600kb、500kb、400kb又は300kb未満、さらに好ましくは200kb未満、例えば100kb、90kb、80kb、70kb、60kb、50kb、40kb、30kb、20kb、10kb、5kb、又はそれ以下である。目的DNA断片を、クローニングベクター中に挿入したのち、このベクターを適当な細胞、大腸菌や枯草菌などの細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、又は動物細胞中に周知の技術で導入してクローン化することができる。クローン化に際して、該DNA断片のセンス鎖及びアンチセンス鎖の各末端に相補的な配列を含むプライマーを用い、該ベクターDNAを鋳型にしてPCRを行い、目的DNA断片を増幅することができる。
クローニングベクターには、プラスミド、ファージ、ウイルスなど、例えばpUC118,pUC119,pUC18,pUC19,pBluescript,酵母染色体ベクターYAC,Tiプラスミド,コスミドベクターpJBBなどが含まれる。目的DNA断片は、ベクターDNA中の適当なユニーク制限部位にリガーゼを用いて挿入することができる。ベクターDNAには、プロモーター、複製開始点、リボソーム結合部位(例えばSD配列又はKozak配列)、薬剤耐性遺伝子又は栄養要求性を相補する遺伝子などの選択マーカー、転写開始部位、ターミネータ、RNAスプライス部位、ポリアデニル化シグナルなどのエレメントを含むことができる。
プロモーターには、例えばアデノウイルス又はSV40プロモーター、大腸菌lac又はtrpプロモーター、ファージラムダPプロモーター、酵母用としてのADH、PHO5、GPD、PGK、AOX1プロモーター、蚕細胞用としての核多角体病ウイルス由来プロモーター、植物細胞用としてのCaMVプロモーターなどが含まれる。
薬剤耐性遺伝子には、例えばアンピシリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ゲンタマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子などが含まれる。
栄養要求性を相補する遺伝子には、例えばチミジンキナーゼ遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、Leu2、Trp1、Ura3遺伝子などが含まれる。
PCRは、例えば、変性94℃,約30秒〜2分;アニーリング57℃,約1〜3分;伸長70℃,約1〜10分を1サイクルとして20〜40サイクルの条件で行うことができる。プライマーのサイズは少なくとも10塩基、好ましくは少なくとも15塩基、より好ましくは約20〜約30塩基である。
受容ベクターには、ベクター上に存在する適当な制限酵素認識部位等を利用して図1に示す順番で1種2組の部位特異的組換えDNA配列R1及びR2が配置される。受容ベクターの1種2組の部位特異的組換えDNA配列は、供与ベクターの2種2組の部位特異的組換えDNA配列の外側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列L1,L2と部位特異的組換え反応ができるように配置される。さらに、受容ベクターは、目的DNA断片を連結したベクターとして使用するために、例えば植物細胞を宿主とする場合には、バイナリーベクターとして、例えばpBI101等を好適に用いることができる。動物細胞を宿主とする場合には、例えばレトロウイルスベクターpDON−AI(タカラバイオ社)等を好適に用いることができる。
変換ベクターにはベクター上に存在する適当な制限酵素認識部位等を利用して図1に示す順番で2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L4,R1,R2,L3が配置される。変換ベクターの2種各2組の部位特異的組換えDNA配列の外側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列L4,L3は供与ベクターの2種各2組の部位特異的組換えDNA配列の内側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列R4,R3と部位特異的組換え反応ができるように配置される。また、レアカッターサイトを有するマルチプルクローニングサイトなどのユニーク制限酵素認識部位を変換ベクターの内側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列R1とR2の間に配置する。
本発明において使用する「部位特異的組換えDNA配列」は、特定の部位特異的組換えDNA配列に限定されるものではないが、例えば大腸菌でのラムダファージの部位特異的組換え反応をもとに開発された4組のattL部位とattR部位を使用することができ、またこのとき使用し得る「部位特異的組換え酵素」としてはInt(Integrase)、IHF(Integration Host Factor)及びXis(Excisionase)を含むLRクロナーゼ酵素(Invitrogen社)を使用することができる。あるいは、別の「部位特異的組換えDNA配列」として4組のattP部位とattB部位、「部位特異的組換え酵素」としてIntとIHFを含むBPクロナーゼ酵素(Invitrogen社)を使用することもできる。
本発明の方法において、供与ベクターに目的DNA断片を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位にリガーゼ反応によって連結するか、又はCre−lox(またはFLP−frt)等の部位特異的組換え反応を利用してベクターに連結する方法などが採用される(図1の工程(a))。リガーゼ反応に用いる酵素としては、DNA分子同士を連結させることができるものであれば特に制限はなく、例えば、T4DNAリガーゼを好適に用いることができる。大腸菌リガーゼや耐熱性酵素であるTagやPfuのリガーゼを用いることも可能である。T4DNAリガーゼを利用したリガーゼ反応は、通常、緩衝液としてTris−HCl(pH7.6)を用い、Mg、DTT、ATPの存在下で行う。さらに、PEGを添加することにより反応効率を高めることもできる。反応は、通常、16℃程度で2時間以上行なう。リガーゼ反応の試薬としては、市販品(例えば、タカラバイオ社のDNA Ligation kit)を用いることも可能である。二本鎖DNA分子同士の連結においては、リガーゼ以外にも、例えば、リコンビナーゼ(lifetech社)やTOPOイソメラーゼI(invitrogen社)を使用することもできる。
次いで、工程(a)で得られた目的DNA断片を有する供与ベクターとレアカッターサイト等での適当な制限酵素による切断によってリニアー化した受容ベクターを混合し、部位特異的組換え反応、例えば、クロナーゼ(invitrogen社)を用いてLR反応により目的DNA断片を供与ベクターに挿入した後、組換えによって得られる受容ベクターの選抜を行う(図1の工程(b))。目的DNA断片が挿入された上記受容ベクターを構築するための宿主としては、大腸菌等を用いることができ、形質転換後に受容ベクターを有する大腸菌等が選択的に生育できる抗生物質等を添加した選択培地で目的DNA断片を有する組換えベクター1の選抜を行う。選択培地には、ベクターに導入された薬剤耐性マーカーの種類に応じて、例えばアンピシリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、スペクチノマイシン、又はテトラサイクリンなどの抗生物質を加える。
本発明の方法においては、次の目的DNA断片を挿入するために、工程(b)で得られる目的DNA断片を有する組換えベクター1に受容ベクターにある1種2組の部位特異的組換えDNA配列R1, R2を再生又は復活させる。そのために、変換ベクターと工程(b)で得られた組換えベクター1をレアカッターサイト等のユニークな制限酵素認識部位で制限酵素によって切断して得られるリニアー化組換えベクター1を混合し、部位特異的組換え反応、例えばクロナーゼ(invitrogen社)等の部位特異的組換え酵素を用いてLR反応により目的DNA断片を供与ベクターに挿入し、組換えによって得られる組換えベクター2の選抜を行う(図1の工程(c))。受容ベクターにある1種2組の部位特異的組換えDNA配列が復活する上記組換えベクター2を構築する宿主としては、大腸菌等を用いることができ、形質転換後に受容ベクターを有する大腸菌等が選択的に生育できる抗生物質等を添加した選択培地で組換えベクター2の選抜を行う。
本発明においては、連結させたい目的DNA断片の数に応じて、上記工程(a)、(b)および(c)を繰り返すことができる(図1の工程(d))。これにより多数の目的DNA断片を順次連結させることができる。
本発明の方法によって連結することができる目的DNA断片の数は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上である。
さらに必要に応じて、最終的に得られた組換えベクターから、特異的制限酵素を用いて多重連結された目的DNA断片を切り出し回収することができる。
本発明の方法により得られた多重連結された目的DNA断片は、それが由来する複数の目的DNA断片がコードするポリペプチドが融合された融合ポリペプチドの製造、トランスジェニック生物の作製、遺伝性疾患治療用ベクターの製造、遺伝子の機能解析などに利用することができる。
融合ポリペプチドの製造においては、本発明の方法によって作製された少なくとも2個の異なるDNA断片が連結された核酸を、プロモーターなどの調節配列を含む発現ベクターに組み込んだのち、該ベクターを真核又は原核生物細胞に導入し、該細胞内にて該核酸を発現させ、得られた融合ポリペプチドを回収する。このときシグナルペプチドをコードするDNA配列を該核酸に連結することによって、細胞外に融合ポリペプチドを分泌させることができる。この目的のためには、市販又は文献記載のいずれのベクターも使用することができる。例えば、細菌用ベクターには、例えばpQE70、pQE60、pQE−9(Qiagen)、pBluescript II KS、ptrc99a、pKK223−3、pDR540、pRIT2T(Pharmacia)、pET−11a(Novagen)が含まれる。また、真核用のベクターには、例えばpXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL SV40(Pharmacia)などが含まれる。さらに産生された融合ポリペプチドの回収を容易にするために、His−tagが挿入されたpETベクター(Novagen)を用いることもできる。あるいは、緑色蛍光タンパク質(GFP)やルシフェラーゼ(Luc)を目的DNA断片に対し融合させるために、例えばpQBI25(TAKARA)、pQBI63(TAKARA)、pGLベクター(promega)などのベクターを利用することによって、融合ポリペプチドの回収を容易にすることもできる。
トランスジェニック生物の作製においては、例えばトランスジェニック植物の場合、微生物、ウイルスなどによる植物病に対する抵抗性、昆虫などの害虫に対する抵抗性又は殺虫性、雑草を駆除するための農薬に対する抵抗性などの性質が付与された植物の作製に、本発明の方法を利用することができる。また、トランスジェニック動物の場合、例えば遺伝性疾患を含む疾患の原因又はその治療法の検討のために、本発明の方法によって作製された多重連結されたDNA断片を動物の染色体に導入することができる。このようなDNA断片は、遺伝子破壊するためのDNA配列、あるいは欠陥遺伝子を正常に戻すためのDNA配列を有することができる。
トランスジェニック動物又は植物の作製には、公知の一般的な手法を使用することができる。トランスジェニック植物の場合、例えばTiプラスミド/アグロバクテリウム法を使用することができる。例えば、多重連結されたDNA断片を含むベクターによって形質転換された大腸菌をアグロバクテリウムと接触させ、接合を介して該ベクターをアグロバクテリウムに移入させて組換えアグロバクテリウムを作製し、これを植物細胞に接種し形質転換し、植物体を再生することができる。トランスジェニック動物の場合、受精卵の核内に目的DNA断片を顕微注入する方法、YAC、HACなどの人工染色体に目的DNA断片を組み込んだのち、例えばミクロセル法などの手法を用いて胚性幹細胞に外来遺伝子を導入する方法などを利用して、トランスジェニック動物を作製することができる。例えば、松橋通生ら監修、ワトソン・組換えDNAの分子生物学第2版、丸善、1995年、特開2002−017186、特開2001−352851、特開2001−309736、特開平11−239430号公報、特開平11−220975号公報、特開平11−192036号公報、特開平11−155420号公報、特開平10−304790号公報、特開平10−150983号公報、特表2004−520048、特表2003−530888などに、トランスジェニック動物又は植物を作製する方法が記載されており、本発明においてその開示を利用することができる。
遺伝性疾患治療用ベクターの製造においては、遺伝子導入のためのベクター、例えば、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス(RSV,HMS,MMSなど)、HSVウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、及びポックスウイルスなどのウイルスベクターに、本発明の方法で作製される多重連結されたDNA断片を組み込むことによって治療用ベクターを製造することができる。あるいは、該DNA断片をリポソームベクターに封入することもできる。そのようなベクター及びその製造に関しては、例えば特開2004−180689、特開2001−292770、特開10−127288号公報、特開平08−238092号公報、特開平07−069933号公報、特表2004−533827、特表2002−529097、再表98/027217号公報などに記載されており、その開示を本発明において利用することができる。
遺伝子の機能解析においては、上記のようにトランスジェニック植物又は動物を作製し、導入したDNA断片の機能を、該DNA断片を導入しない対照植物又は動物と、例えば生物学的、生理学的、生化学的、形態学的に比較し、遺伝子の機能を決定することができる。導入されるDNA断片は、例えば高発現可能なように導入されてもよいし、又はノックアウトもしくはノックインの形態で染色体に導入されてもよい。
本発明はさらに、上記の供与ベクター、上記の受容ベクター、及び上記の変換ベクターをそれぞれ別個の容器に含む、DNA断片連結用キットを提供する。
供与ベクターは、2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L1,R4,R3,L2を含む。1種2組のDNA配列L1,L2は外側に配置され、このDNA配列は受容ベクター中の部位特異的組換えDNA配列との組換えに使用される。別の1種2組のDNA配列R4,R3は内側に配置され、このDNA配列は第1の組換えベクター中に保持されたあと、変換ベクター中の部位特異的組換えDNA配列との組換えに使用される。内側の1種2組の部位特異的組換えDNA配列と外側の1種2組の部位特異的組換えDNA配列との間には、目的DNA断片を挿入するのに適する制限酵素部位又はマルチクローニングサイト又はCre−lox(またはFLP−frt)(コスモバイオ社)などの部位特異的組換えDNA配列を配置することができる。また、レアカッターサイトを有するマルチプルクローニングサイトなどのユニーク制限酵素認識部位を供与ベクターの内側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列R4とR3との間に配置することができる。
受容ベクターは、1種2組の部位特異的組換えDNA配列R1及びR2を含む。これらの部位特異的組換えDNA配列は、供与ベクターの2種2組の部位特異的組換えDNA配列の外側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列L1,L2と部位特異的組換え反応ができるように配置される。
変換ベクターは、2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L4,R1,R2,L3を含む。これらの部位特異的組換えDNA配列の外側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列L4,L3は供与ベクターの2種各2組の部位特異的組換えDNA配列の内側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列R4,R3と部位特異的組換え反応ができるように配置される。また、ユニークな制限酵素認識部位、例えばレアカッターサイトを有するマルチプルクローニングサイト、を変換ベクターの内側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列R1とR2の間に配置することができる。
本発明のキットには、少なくとも1種の部位特異的組換え酵素をさらに含むことができる。この酵素の例は、クロナーゼである。別の酵素の例は、インテグラーゼ、Cre-lox系酵素などである。
部位特異的組換えDNA配列が、例えば大腸菌でのラムダファージの部位特異的組換え反応用の4組のattL部位とattR部位を使用する場合、attL×attR→attB×attPの部位特異的組換え反応を行う、Int(Integrase)、IHF(Integration Host Factor)及びXis(Excisionase)を含むLRクロナーゼ(Invitrogen社)を使用することができる。あるいは、部位特異的組換えDNA配列として4組のattP部位とattB部位を使用する場合、attB×attP→attL×attPの部位特異的組換え反応を行う、Int及びIHFを含むBPクロナーゼ(Invitrogen社)を使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
連結された4種類の異なる遺伝子を含む組み換えベクターの構築
(1)第1DNA断片の連結
大腸菌のβグルクロニダーゼ遺伝子(GUS)をPCR法で増幅し、N、C末側のプライマー部分に導入したBamHI、SacI制限酵素認識部位を制限酵素により切断した後、CaMV35Sプロモーターとnosターミネータ(nosT)をもつpUC19ベクターのBamHI、SacI制限酵素認識部位に連結し、CaMV35プロモーター:GUS:nosターミネータカセットを構築した。そのCaMV35S−GUS−nosTカセットDNA断片をHindIIIとEcoRI制限酵素認識部位でpUC19ベクターから切り出して、供与ベクターpRED419のHindIII、EcoRI制限酵素認識部位にサブクローニングした(第1DNA断片の工程(a))。得られたプラスミドpRED419−GUSと受容ベクターpGWB1をXhoI制限酵素認識部位で切断したプラスミドと混合し、インビトロジェン社のクロナーゼを用いてLR反応をさせた後、大腸菌DH5αに形質転換し、カナマイシン(50mg/L)とハイグロマイシン(50mg/L)入りLB培地で選択した(第1DNA断片の工程(b))(図2)。得られたプラスミドpGWB1−GUSを制限酵素SwaIとAscI制限酵素認識部位で切断した後に、変換ベクターpCONとクロナーゼによってLR反応をして、上記同様に大腸菌DH5αに形質転換し、カナマイシンとハイグロマイシン入り培地で選択した。一連の操作により、CaMV35S−GUS−nosTカセットDNA断片を受容ベクターpGWB1へ導入し、さらに、部位特異的組換えDNA配列R1−R2領域を再生したベクターpGWB1−GUS−CONが完成した(第1DNA断片の工程(c))(図3)。
(2)第2DNA断片の連結
オワンクラゲ蛍光タンパク質GFPをコードする遺伝子をPCR法で増幅し、両端に導入されたBamHI、SacI制限酵素認識部位でpUC19ベクター上にあるCaMV35SプロモーターとnosTの間にサブクローニングした(第2DNA断片の工程(a))。できあがったCaMV35S:GFP:nosT カセットDNA断片をHindIIIとEcoRI制限酵素認識部位で切り出し、供与ベクターpRED419のHindIII、EcoRI 制限酵素認識部位に連結しpRED419−GFPを得た。pGWB1−GUS−CONベクターをSwaI、AscI制限酵素認識部位で切断後、pRED419−GFPとLR反応をして、大腸菌DH5αに形質転換後、ハイグロマイシンとカナマイシンで選抜を行った(第2DNA断片の工程(b))。得られたベクターpGWB1−GUS−GFPをSwaIとAscI制限酵素認識部位で切断し、pCONベクターとクロナーゼによるLR反応を行い、大腸菌DH5αに形質転換後、ハイグロマイシンとカナマイシンで選抜して、プラスミドpGWB1−GUS−GFP−CONを作成した(第2DNA断片の工程(c))。
(3)第3DNA断片の連結
PCR法によって合成したホタルルシフェラーゼ遺伝子を、両端に導入したBamHIとSacI制限酵素認識部位で切断し、pUC19ベクター上のCaMV35SプロモーターとnosTの間にサブクローニングした。得られたプラスミドから、HindIIIとEcoRI制限酵素認識部位でCaMV35S:luc:nosTカセットDNA断片を切り出して、供与ベクターpRED419のHindIII、EcoRI制限酵素認識部位に連結をし、ベクターpRED419−lucを得た(第3DNA断片の工程(a))。SwaIとAscI制限酵素認識部位で切断したpGWB1−GUS−GFP−CONとpRED419−lucをクロナーゼによってLR反応を行い、大腸菌DH5αに形質転換後、ハイグロマシンとカナマイシン入りの培地で選抜を行った(第3DNA断片の工程(b))。得られたプラスミドpGWB1−GUS−GFP−lucをSwaI、AscI制限酵素認識部位で切断して、pCONベクターとクロナーゼによってLR反応をおこなってDH5αに形質転換を行い、ハイグロマイシンとカナマイシンで選抜して、pGWB1−GUS−GFP−luc−CONを得た(第3DNA断片の工程(c))。
(4)第4DNA断片の連結
PCR法でClostridium thermocellumキシラナーゼA遺伝子(GenBank AB010958)の活性部位627bp(アミノ酸29番目アスパラギンから237番目セリンまで)を増幅し、BamHI、SacI制限酵素認識部位で切断して、pUC19ベクター上のCaMV35SプロモーターとnosTの間にサブクローニングした。得られたプラスミドからHindIII、EcoRI制限酵素認識部位でCaMV35S:XYL:nosTカセットDNA断片を切り出し、供与ベクターpRED419のHindIII、EcoRI制限酵素認識部位に連結してpRED419−XYLを得た(第4DNA断片の工程(a))。pGWB1−GUS−GFP−luc−CONをSwaI、AscI制限酵素認識部位で切断して、pRED419−XYLとクロナーゼでLR反応を行い、大腸菌DH5αに形質転換して、カナマイシンとハイグロマイシンで選抜を行った(第4DNA断片の工程(b))。得られたプラスミドpGWB1−GUS−GFP−luc−XYLをAgrobacterium tumefacience EHA 101株へ電気穿孔法で導入し、ハイグロマイシンで選抜して形質転換体を得た。
(5)連結DNA生成物の分析
上記(4)で得られたプラスミドpGWB1−GUS−GFP−luc−XYLをSwaI、SacI制限酵素認識部位で切断して、電気泳動を行い遺伝子が連結されていることを確認した(図4)。
本発明により、目的DNA断片の方向性を規定して、複数の目的DNA断片を無制限に連結することが可能となり、これにより多数の目的DNA断片の連結を特別な装置を用いることなく、確実に連結することができるようになった。本発明の方法は、分子生物学の手法において多用される多数の目的DNA断片の連結において有効である。また、本発明の方法を使用することによって、例えば遺伝子の機能解析等のためにトランスジェニック生物の作製等に利用することができる。
リサイクルベクターの概念を示す図である。図中、L1、L2、L3、L4とR1、R2、R3、R4はそれぞれ部位特異的組換えを起こすDNA配列である。また、B1、B2、B3、B4はL1とR1、L2とR2、L3とR3、L4とR4の部位特異的組換えによって生じるDNA配列である。 リサイクルベクターを用いた第1DNA断片の工程(a)、工程(b)を示す図である。 リサイクルベクターを用いた第1DNA断片の工程(c)を示す図である。 リサイクルベクターを用いて4つのDNA断片の連結の結果を示す電気泳動写真である。M:NEB社の2−LOG DNAラダーマーカー、サンプル(1〜5)のバンドは上からベクターと第1DNA断片(GUS)(10kb以上)、次は第3DNA断片(LUC)(4kb程度)、3番目は第2DNA断片(GFP)と第4DNA断片(XYL)(共に3kbp程度で重なっている)、4番目はベクターの残りの断片(1287bp)、サンプルの1,2,3,4が正しく構築できたものである。

Claims (16)

  1. 目的DNA断片を2種各2組の部位特異的組換えDNA配列(順番にL1,R4,R3,L2)のL1とR4との間、またはR3とL2との間、に含む供与ベクターと、該供与ベクターの該2種各2組のうち外側にある1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)と部位特異的組換えを起こすことができる1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)を含む受容ベクターとの間で部位特異的組換え反応を行う工程、並びにその結果得られた組換えベクターと、該ベクター中の該供与ベクター由来の残りの1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R4,R3)と部位特異的組換えを起こすことができる外側に配置された1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L4,L3)と内側に配置された該受容ベクター由来の該1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)とを含む変換ベクターとの間で部位特異的組換え反応を行い、該受容ベクター由来の再生された該1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)を含む組換えベクターを作製する工程を含む、目的DNA断片を連結する方法。
  2. 2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L1,R4,R3,L2をこの順序で含みかつ該DNA配列のL1とR4との間、またはR3とL2との間、に目的DNA断片を挿入することができる供与ベクターと、1種2組の部位特異的組換えDNA配列R1,R2を含む受容ベクターと、2種各2組の部位特異的組換えDNA配列L4,R1,R2,L3をこの順序で含む変換ベクターと、部位特異的組換え酵素とを使用して1又は複数のDNA断片を連結する方法であって、該供与ベクターに該目的DNA断片を挿入する工程、該DNA断片挿入供与ベクターと該受容ベクターとを部位特異的組換え酵素の存在下で部位特異的組換え反応を行って、L1とR1との間で及びL2とR2との間でそれぞれ部位特異的組換えを起こして第1組換えベクターを作製する工程、並びに該第1組換えベクターと該変換ベクターとを部位特異的組換え酵素の存在下で部位特異的組換え反応を行って、R3とL3との間で及びR4とL4との間でそれぞれ部位特異的組換えを起こして、再生されたR1及びR2を含む第2組換えベクターを作製する工程からなるサイクルを含む前記方法。
  3. 前記供与ベクターに別の目的DNA断片を挿入して得られるベクターと前記サイクルの最終工程からの組換えベクターとの間で部位特異的組換え反応を行って組換えベクターを作製する工程を含む前記サイクルの全工程を、目的DNA断片の種類を変えながら複数サイクル繰り返して複数の異なる目的DNA断片を順次連結することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記組換えベクターが選択マーカー配列を含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記組換えベクターを微生物細胞中に形質転換し、選択培地にて培養し、目的DNA断片が連結されている細胞を選択し、及び必要により、該細胞から該目的DNA断片を含む核酸を回収することをさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記供与ベクターが、その内側にある部位特異的組換えDNA配列R3とR4の間に、ベクター上でユニークに存在する制限酵素認識部位を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記変換ベクターが、その内側にある部位特異的組換えDNA配列R1とR2の間に、ベクター上でユニークに存在する制限酵素認識部位を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記部位特異的組換え反応に際して、前記受容ベクターがリニアー化される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記部位特異的組換え反応に際して、前記組換えベクターがリニアー化される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 4種以上の目的DNA断片を連結することができる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)と内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R3,R4)を含み、かつ該外側のDNA配列と該内側のDNA配列との間に目的DNA断片を挿入することを可能にする制限酵素認識部位あるいは部位特異的組換えDNA配列を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法で使用するための供与ベクター。
  12. 外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L3,L4)と内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)とを含む変換ベクターであって、該DNA配列L3,L4が、請求項11記載の供与ベクターと受容ベクターとの部位特異的組換えによって得られた組換えベクターの最も内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列R3,R4とそれぞれ部位特異的組換えをすることが可能であり、ここで受容ベクターが、該DNA配列R1,R2を含みかつ該DNA配列が請求項11記載の供与ベクターの外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)とそれぞれ部位特異的組換えを起こすことを可能にする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法で使用するための変換ベクター。
  13. 1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)を含みかつ該DNA配列が請求項11記載の供与ベクターの外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)とそれぞれ部位特異的組換えを起こすことが可能である受容ベクターに、目的DNA断片を含む請求項11記載の供与ベクターを部位特異的組換えし、ついで該供与ベクターの最も内側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R3,R4)の内側に存在する制限酵素認識部位を用いて制限酵素反応を行い直鎖状DNAとすることによって得られた組換えベクターを、請求項12記載の変換ベクターと部位特異的組換えを行い、これによって目的DNA断片を受容ベクター中に連結することを含む、DNA断片の連結方法。
  14. 請求項13記載のDNA断片の連結方法を繰り返すことにより、複数の目的DNA断片を受容ベクターに連結することを特徴とする複数のDNA断片の連結方法。
  15. 請求項11記載の供与ベクター、1種2組の部位特異的組換えDNA配列(R1,R2)を含みかつ該DNA配列が請求項11記載の供与ベクターの外側に配置した1種2組の部位特異的組換えDNA配列(L1,L2)とそれぞれ部位特異的組換えを起こすことを可能にする受容ベクター、及び請求項12記載の変換ベクターをそれぞれ別個の容器に含む、DNA断片連結用キット。
  16. 少なくとも1種の部位特異的組換え酵素をさらに含む、請求項15に記載のキット。
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