JP4583067B2 - イオン源 - Google Patents
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Description
なお,原料ガスをプラズマ化するためには前記カソード電極32から原料ガスに電子を放出して供給する必要がある。上記原料ガスをプラズマ化させるために高圧噴射された原料ガスに電子を放出する代表的手法として,二次電子放出と電界放出がある。
前記二次電子放出とは,電極間に所定の電圧を印加してカソード電極に電界を生じさせておき,前記カソード電極に向けて噴射された原料ガスを前記カソード電極に衝突させて該カソード電極の電子を放出させる方法である(このとき放出された電子を二次電子という)。
また,前記電界放出とは,特許文献2にも記載されているように,前記カソード電極32から強制的に電子を放出させる方法である。具体的には,電極間に強電圧(数百V〜数千V)を印加してカソード電極32の表面近傍に強電界(109V/m程度)を生じさせ,前記カソード電極の表面のポテンシャル障壁を下げることで,量子力学におけるトンネル効果により電子の電界放出を行うものである。
また,前記カソード電極或いは該カソード電極の一部が,前記アノード電極に電子を電界放出して供給する電界放出源であれば(請求項7),原料ガスのイオン化,プラズマ化に必要な電子を十分に供給することが可能となり,上記電子の供給不足によるイオン化,プラズマ化の効率低下を防止することが可能となる。
また,カソード電極に設けられた金属ピンの先端部,或いは円環状電極に設けられた微小突起の先端部の曲率半径が略100nm以下に形成されているため,電子の放出が容易となる。この結果,従来より低い電極間電圧で電子が供給され得ることにより,イオン源における電力消費量の低減を図ることができる。
以下,添付の図面を参照して,本発明の第1の実施の形態を説明し,本発明の理解に供する。なお,以下の実施の形態は,本発明の具体的な例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
次に,図7及び図8を用いて本発明に係る第2の実施の形態のイオン源のカソード電極について説明する。上述の第1の実施の形態では,イオン源のカソード電極3に金属ピン(カソード電極)10を用いた例について説明したが,ここでは,先端部が曲率を有し,この曲率半径が100nmに形成された金属ピン10a,及び10nmに形成された金属ピン10bを用いた例について説明する。ここに,図7は金属ピン10(10a,10b)の先端部周辺の拡大図,図8はタングステンで形成された金属ピン10a,10bを用いたときの電界放出電流と電極間電圧との関係(電流−電圧特性)を示すグラフ図である。なお,本例のイオン源の構成要素は,上述の第1の実施の形態におけるイオン源1の各構成要素と同じであるためその説明を省略し,図中に同符号を付して表す。
なお,上記金属ピンにタングステンを用いたのは,電子顕微鏡等で一般的に用いられている材質であるからである。もちろん,他の電子放出材料として公知のカーボン系材質(ダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボン,カーボンナノチューブ等を含む)や,遷移金属の窒化物や炭化物等を用いてもよい。或いは,前記材質が少なくとも上記金属ピンの先端部を覆っていればよい。
イオン源において,最初に原料ガスをプラズマ化する際は,電極間に高電圧を印加させてカソード電極の先端部を高電界にして電子を放出させる電界放出により放電させることが望ましく,このような方法でまず最初にプラズマを生成することが原料ガスのイオン効率の観点から良いとされている。しかし,一旦,原料ガスがプラズマ化し,生成されたプラズマからイオンが引き出されると,上記電界放出による放電は不必要に電力を消費することなり好ましくない。一方で,大気圧やガス圧,温度等の雰囲気にもよるが,一旦,原料ガスがプラズマ化し,生成されたプラズマからイオンが引き出された後は,上記原料ガスと上記金属ピン10との衝突により二次電子が放出されることにより安定した放電現象が維持される場合がある。この場合は電極間に印加される電圧を上記電界放出の際に印加する電圧より幾分か低く設定することができる。このような場合は,上記金属ピンのうちの少なくとも一つを電界放出用の電極,即ち高電圧用の電極として用い,一旦放電がなされ,プラズマが生成されると,上記電界放出用の金属ピンへの電圧供給を遮断し,その後は,上記二次電子が発生し得る程度の電圧(電界放出に要する電圧より低い電圧)を他の金属ピンに供給するよう電圧供給ラインを切り換えることが考えられる。なお,この場合,上記電界放出用の高電圧が印加されたときの電界分布を略軸対称にするために,3以上の金属ピンを電界放出用の電極として,これらの金属ピンを軸対称に配置することが望ましい。
次に,図4を用いて本発明に係る第3の実施の形態のイオン源のカソード電極15について説明する。ここに,図4はカソード電極15を説明する図であって,aは全体正面図,bはaのE部拡大図,cはbの断面図である。なお,本例のイオン源は,そのカソード電極15以外の構成要素は上述の第1の実施の形態におけるイオン源1の各構成要素と同じであるため,同符号を用いてその説明を省略し,図4中には同符号を付して表す。
この例のカソード電極15は,平板状のカソード電極プレート16に大きな円形の開口17を形成するとともに,その円形開口17と同中心に微小なイオン引き出し開口18で直径の小さい円環状カソード電極19を配置したものである。カソード電極プレート16と円環状カソード電極19とは,本例では4本の100μmの太さの金属ピン20により固定されている。円環状カソード電極19は,外径400μm,内径200μmの金属製である。この例の場合,開口率は95%となり,イオン源に構成した場合,上記図2,3に示すカソード電極3と比較してガス流れがよりスムーズになる。なお,前記金属ピン20の本数は4本に限られず,十分な開口率を得るべく3〜5本であることが好ましい。
また,上記円環状カソード電極19に代えて,図9に示す円環状カソード電極19aをカソード電極として用いることも考えられる。この円環状カソード電極19aは,上記円環状カソード電極19の上記原料ガス導入部2側の表面22(以下,アノード面22という)に針状の微小突起21を複数形成したものである。この微小突起21は,近年の半導体素子分野における微小加工技術の進展によりミクロン以下の加工が実現可能になったことにより容易に形成され得る(詳しくは上記特許文献2を参照されたい)。このように,前記微小突起21を有する円環状カソード電極19aをイオン源1のカソード電極として用いることにより,前記微小突起21の先端部からの電子の電界放出が容易となり,放電形成箇所に原料ガスのイオン化,プラズマ化に必要な電子を十分に供給することが可能となる。なお,本第2の実施の形態では,前記微小突起21が,前記アノード面22全域に雑然と配列された例について説明したが,前記円環状カソード電極19aの開口18の中心軸を中心にして所定角度毎に整然と前記微小突起21が配列されたものであってもよい。また,前記アノード面22の表面だけに限られず,その逆側の面23の表面に前記微小突起21が形成されたものであってもよい。また,前記微小突起21の先端部が曲率を有し,その先端部の曲率半径が略100nm以下であれば,電子の放出が容易となり,上述の金属ピン10と同様の効果を奏する。
2:原料ガス導入部(アノード電極)
3:カソード電極
4:引き出し電極
5:アノード電源
6:引き出し電源
7:微小開口
8:原料ガスの導入口
9:開口
10:金属ピン
10a:金属ピン(先端部曲率半径:10nm)
10a:金属ピン(先端部曲率半径:100nm)
11:イオン引き出し開口
12,13:開口
14:ガス流れの矢印
15:カソード電極
16:カソード電極プレート
17:開口
18:イオン引き出し開口
19:円環状カソード電極
19a:円環状カソード電極
20:金属ピン
Claims (7)
- 微小開口を有するアノード電極から,このアノード電極の上記微小開口よりも大きなイオン引き出し開口を有するカソード電極の上記イオン引き出し開口に向かって高圧噴射された原料ガスを,上記アノード電極と上記カソード電極との間に印加した高電圧により放電,プラズマ化してなるイオン源において,前記カソード電極が,そのイオン引き出し開口を含む放電形成箇所をアノード電極の微小開口に近接配置されるとともに,放電形成箇所のイオン引き出し開口の外周側に複数のガス排気用開口を有することを特徴とするイオン源。
- 前記カソード電極が,円形開口を有する平板状のカソード電極プレートにより形成されるとともに,その円形開口の周囲から開口中心に向けて250μm以下の太さで同じ長さを有する先端を鋭く尖らせた針状の金属ピンを複数,等間隔で有し,各金属ピンの先端が接触せず且つ前記円形開口と同心の円形状のイオン引き出し開口に形成され,上記隣接する金属ピンの間の空間が前記ガス排気用開口として構成されてなる請求項1に記載のイオン源。
- 前記針状の金属ピンのうちの少なくとも一の金属ピンの先端部が曲率を有し,該先端部の曲率半径が略100nm以下である請求項2に記載のイオン源。
- 前記カソード電極が,円形開口を有する平板状のカソード電極プレートにより形成されるとともに,その円形開口の中心部にイオン引き出し開口を備える円環状電極を250ミクロン以下の太さで同じ長さを有する3〜5本の金属ピンにより固定して有する請求項1に記載のイオン源。
- 前記円環状電極の表面全域或いは前記アノード電極側の表面に微小突起が形成されてなる請求項4に記載のイオン源。
- 前記微小突起のうちの少なくとも一の微小突起の先端部が曲率を有し,該先端部の曲率半径が略100nm以下である請求項5に記載のイオン源。
- 前記カソード電極或いは該カソード電極の一部が,前記アノード電極に電子を電界放出する電界放出源である請求項1〜6のいずれかに記載のイオン源。
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