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JP4583992B2 - 塩化ビニル系繊維の製造方法 - Google Patents
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本発明は、塩化ビニル系繊維の製造方法に関する。尚、塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物(以下、「塩ビ系樹脂組成物」と略称する。)の配合組成を示す「部」等の単位は、特に断らない限り質量基準で表示する。
塩ビ系樹脂組成物を紡糸して得た塩化ビニル系繊維は、透明性及び柔軟性に優れているので、例えば頭髪装飾製品を構成する人工毛髪用繊維として、多く使用されている。この人工毛髪用繊維を工業的に製造するには塩ビ系樹脂組成物を、有機溶媒を使用して紡糸する湿式紡糸法、乾式紡糸法や、有機溶媒を使用しないで溶融紡糸する溶融紡糸法が知られている。
溶融紡糸法は押出機を使用し樹脂を高温高圧で押出す方法であり、この紡糸方法は、現在塩ビ系樹脂組成物において一般的に用いられている。しかし、塩化ビニル樹脂単体では、成形温度付近で樹脂の熱分解が開始するため、溶液紡糸とは異なり安定剤や滑剤等添加物を多量に配合する必要があるため、成形中に未延伸糸の単糸切れが起きやすいという問題がある。この単糸切れは、塩ビ系樹脂組成物の溶融状態、ノズル孔先端状態、ストランドの流出状態、ノズル先端から引取ロールまでの未延伸糸の糸泳ぎの状態等種々の要因が複雑に絡み合っていると考えられ、十分には解析されていない。これを解決するためにスクリューの圧縮比を高くすることで、均一な溶融状態を作り出し、単糸切れ性を改善する手段が提案された(例えば特許文献1)。
特開2000−328353号公報
本発明の目的は、単糸切れの少ない塩化ビニル系繊維を容易に製造することである。
本発明者は、課題を達成するため鋭意検討した結果、スクリューの圧縮比が最も重要な要因であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物を溶融紡糸して繊維を製造するに際して、単軸押出機でかつ圧縮比が1.1〜2.0であり、スクリューの螺旋方向の断面形状が2角〜5角であるフルフライトスクリューを使用して溶融紡糸した塩化ビニル系繊維の製造方法である。
本発明においては、以下の(1)〜(3)の実施態様から選ばれた少なくとも一つを備えていることが好ましい。(1)スクリューの螺旋方向の断面形状が2角〜5角であるフルフライトスクリューを使用して溶融紡糸すること。(2)目開き80μm以下のスクリーンメッシュを用いて溶融紡糸すること。(3)塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物が、ハイドロタルサイト及びゼオライトから選ばれる無機系熱安定剤0.2〜5質量部を含有すること。
本発明の目的は、である。
本発明によれば、単糸切れの少ない塩化ビニル系繊維を容易に製造することができる。
本発明に使用される塩化ビニル系樹脂は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等によって得られたものであるが、繊維の初期着色性等を勘案して、懸濁重合によって製造したものを使用するのが好ましい。塩化ビニル系樹脂とは、従来公知の塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、又は従来公知の各種のコポリマー樹脂であり、特に限定されるものではない。コポリマー樹脂としては、従来公知のコポリマー樹脂を使用でき、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂等の塩化ビニルとビニルエステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂等の塩化ビニルとアクリル酸エステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹脂等の塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー樹脂等が代表的に例示される。特に好ましくは、塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂等を使用するのが良い。コポリマー樹脂において、コモノマーの含有量は特に限定されず、成形加工性、糸特性等の要求品質に応じて決めることができる
塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度は600〜2500であることが好ましい。600未満だと溶融粘度が低下して得られた繊維が熱収縮しやすくなる恐れが有る。一方、2500を超えると、溶融粘度が上昇して成形温度が高くなり繊維の着色が発生する場合がある。尚、粘度平均重合度は、樹脂200gをニトロベンゼン50mlに溶解させ、このポリマー溶液を30℃恒温槽中、ウベローデ型粘度計を用いて比粘度を測定し、JIS−K6721により算出したものである。
本発明の塩化ビニル系繊維の溶融押出機は、溶融紡糸に用いられる押出機を意味し、製造にあたっては、単軸押出機を使用するのがよい。従来公知の異方向二軸押出機、同方向二軸押出機、コニカル押出機等を使用すると単糸切れが増加し好ましくない。二軸押出機の方が混練り効果が大きく、単糸切れが少なくなると推測されるが、驚くべきことに単軸押出機の方が単糸切れが少ない。一般に、二軸押出機では、スクリューとバレル(シリンダー内壁)間のクリアランスが小さく、投入された塩ビ系樹脂組成物が混練り不十分であっても、均一性に乏しくても、定量的に押出されてしまう為、単糸切れが発生し易いものと考えられる。一方、単軸押出機の場合は、そのクリアランスが比較的大きく、バックフローを生じて、均一な混練り状態を醸し出す為、単糸切れが少なくなると考えられる。
本発明にあたって、単軸押出機においてスクリューの圧縮比が1.1〜2.0であるのがよく、単糸切れによるトラブルが少なく安定的に製造できる。圧縮比が1.1より小さいと、塩ビ系樹脂組成物は十分に溶融されず、溶融状態が不均一となり、単糸切れを多発する。又、圧縮比が2.0より大きいと溶融した樹脂の樹脂温度が上昇し、溶融した樹脂の劣化を促進して安定して製造することができない。従って、均一な溶融状態を醸し出す為には、1.1〜2.0の領域が好ましく、さらに好ましくは1.2〜1.8である。
また、単軸押出機においてスクリューの最大外径寸法に形成された混練部の外周面に、螺旋方向の中央部が最も溝深で、この中央部から螺旋方向の前後側に離れるに従って溝浅となる多数の混練凹部をスクリューの軸中心部より偏心した位置を中心として、スクリューの螺旋方向の断面形状が2角〜5角(2,3,4,5角)であることが好ましく、単糸切れが更に少なく安定的に製造できる。2角より少ないと、せん断応力が小さく、樹脂を均一に、かつ十分に溶融することができないため、単糸切れを多発することがある。又、6角だと過剰な発熱が生じる場合がある。好ましくは、樹脂の過剰な発熱を抑制しやすいことから、スクリューの螺旋方向の断面形状は2角がよい。又、スクリューの型式は、1条ネジ又は2条ネジのフルフライト型スクリューであることが好ましい。ダルメージ型スクリュー、ピン付きスクリュー等を使用すると樹脂温が上昇し、ロングラン性が悪くなることがある。
また、本発明でいうスクリーンとは、粉体をふるい分けするために用いられる金網等を意味し、混入する異物の除去ができるものや、せん断効果のあるものが好ましく、本発明に於いては、目開き80μm以下のスクリーンメッシュが好ましい。
スクリーンメッシュは溶融紡糸の際、スクリュー先端にブレーカープレートに固定して使用するのが好ましく、スクリュー内で十分に溶融されなかった樹脂、もしくは添加剤の塊の通過を防ぎ、樹脂を均一な溶融状態とするとともに、シリンダー内の背圧を上げ、樹脂の混練効果をあげることができる。スクリーンメッシュの目開きが80μmよりも大きいと、樹脂の溶融状態が不均一となり、単糸切れを多発することがある。
スクリーンメッシュの素材としては、従来公知のものを用いることができるが、溶融成形される塩ビ系樹脂組成物によって腐食されない性質のもの、或いは押出機からかかる高い圧力に耐えられる材質が好ましい、例えば、ステンレス鋼等が特に好ましい。
本発明においては、塩ビ系樹脂組成物が、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、ハイドロタルサイト及びゼオライトから選ばれる無機系熱安定剤0.2〜5質量部を含有するのが好ましい、更に好ましくは0.4〜3質量部がよい。ハイドロタルサイト及びゼオライトから選ばれる無機系熱安定剤の配合量が0.2質量部より少ないと、単糸切れ頻度が増加し、そして、5質量部より多いと、透明性が悪くなる場合がある。
本発明における塩化ビニル系繊維にあっては、目的に応じて滑剤を使用することができる。使用できる滑剤として従来公知のものを使用できるが、特に金属石鹸系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、ポリエチレン系滑剤から選択される1種又は2種以上の混合物でもよい。
金属石鹸系滑剤としては、例えばNa、Ca、Zn、Ba、Mg等のステアレート、ラウレート、オレエート等の金属石鹸があげられる。高級脂肪酸系滑剤としては、例えば硬化油、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリルステアレート等、アルコール、多価アルコールの脂肪酸エステル等があげられる。ポリエチレン系滑剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の滑剤を用いることができる。特に好ましくは平均分子量が2000〜6000であり、密度が0.95〜0.98の高密度ポリエチレン系滑剤が好ましい。
本発明においては、目的に応じて公知の配合剤、例えば、加工助剤、強化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、充填剤、難燃剤、顔料等を使用することができる。また、発泡剤、架橋剤、粘着性付与剤、親水性付与剤、導電性付与剤、香料等特殊な配合剤を本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて添加することができる。
本発明に使用する塩ビ系樹脂組成物は、従来公知の混合機、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等を使用して混合してなるパウダーコンパウンド、例えばこれを溶融混合してなるペレットコンパウンドとして使用することができる。パウダーコンパウンドの製造は、従来公知の通常の条件で製造でき、ホットブレンドでもコールドブレンドでも良いが、特に好ましくは、組成物中の揮発分を減少する為に、ブレンド時のカット温度を105〜155℃迄上げてなるホットブレンドを使用するのが好ましい。ペレットコンパウンドは、通常の塩化ビニル系ペレットコンパウンドの製造と同様にして製造できる。例えば、単軸押出機、異方向2軸押出機、コニカル2軸押出機、同方向2軸押出機、コニーダー、プラネタリーギアー押出機、ロール混練り機等の混練り機を使用して、ペレットコンパウンドとすることができる。ペレットコンパウンドを製造する際の条件は、特に限定はされないが、樹脂温度を185℃以下になる様に設定することが望ましい。
本発明において塩ビ系樹脂組成物を溶融紡糸する際の温度条件は、塩ビ系樹脂組成物のペレットコンパウンド等を、単軸押出機を使用して170〜190℃の温度で溶融紡糸することにより未延伸糸が得られる。延伸処理条件としては、未延伸糸を90〜120℃の温度に保持した空気雰囲気下で2〜4倍まで延伸した後、この延伸した塩化ビニル系繊維を110〜140℃の温度に保持した空気雰囲気下でアニール処理前の60〜100%の長さになるまで熱弛緩される。
本発明の塩化ビニル系繊維の断面形状は、いかなるものでもよく、例えば円形、楕円形、メガネ形、星形、H字形、T字形、Y字形、三角形、四角形、十字形、ハート形、馬蹄形、繭形、又は、これらの組み合わせでもよい。又、これらの中空体であってもよい。
本発明の塩化ビニル系繊維は、その一本の太さが、好ましくは、20〜100デニールであり、さらに好ましくは50〜80デニールである。塩化ビニル系繊維一本の太さが20〜100デニールであると、天然の毛髪と遜色がないものとなり、50〜80デニールであると、さらに、触感及び風合いが向上したものとなる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
表1において、「単糸切れ頻度」は、紡糸金型から同時に120本の未延伸糸を30分間溶融紡糸して単糸切れの発生回数を測定した。この測定を3回行った際の合計の発生回数より、以下の基準で評価した。
優良 単糸切れが0回であって、ロングラン製造対象として全く問題がない。
良好 1〜2回であって、ロングラン製造対象として問題がない。
不良 3回以上であって、ロングラン製造対象として問題がある。
表1において、「樹脂圧力」は、連続紡糸した際の長期時間安定した状態で紡糸が行えるかの指標である。樹脂圧力の測定方法にあっては、24時間連続紡糸した際のスクリュー先端部での樹脂圧力を測定したものであり、次の基準で評価した。
優良 樹脂圧力が30MPa以下であって、ロングラン製造対象として全く問題がない。 良好 30〜40MPaであって、ロングラン製造対象として問題がない。
不良 40MPa以上であって、ロングラン製造対象として問題がある。
表1において、「樹脂温度」は、連続紡糸した際の長期時間安定した状態で紡糸が行えるかの指標である。樹脂温度の測定方法にあっては、24時間連続紡糸した際のスクリュー先端部での樹脂温度を測定したものであり、次の基準で評価した。
優良 樹脂温度が175℃以下であって、ロングラン製造対象として全く問題がない。 良好 175〜185℃であって、ロングラン製造対象として問題がない。
不良 185℃以上であって、ロングラン製造対象として問題がある。
(実施例1)塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ株式会社製TH−1000)100質量部とハイドロタルサイト系複合安定剤(日産化学工業株式会社製CP−410A)3質量部、エポキシ化大豆油(旭電化工業株式会社O−130P)0.5質量部、エステル系滑剤(理研ビタミン社製EW−100)0.8質量部を配合した塩ビ系樹脂組成物を、1条ネジのフルフライト型スクリューで、スクリューの圧縮比1.2、スクリューの断面形状が図1の2角のスクリューを使用し、目開き75μmのスクリーンメッシュ、ノズル断面積0.06mm2、孔数120、金型温度170℃の円形紡糸金型から押出量10Kg/時間で塩ビ系樹脂組成物を押出成形し、平均繊度180デニールになるように溶融紡糸した。又、溶融紡糸して得られた繊維を、105℃の空気雰囲気下で300%まで延伸処理し、110℃の空気雰囲気下で、繊維の全長が処理前の75%の長さに収縮するまで熱処理し、平均繊度60デニールの塩化ビニル系繊維を得た。
(実施例2)目開き90μmのスクリーンメッシュにした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
(実施例3)スクリューの圧縮比を1.8、スクリューの断面形状を図2の3角、ハイドロタルサイト系複合安定剤をゼオライト系安定剤(日東粉化工業株式会社製SP#2300)0.5質量部にした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
(実施例4)スクリューの断面形状を図4の円形にした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
(実施例5)スクリューの圧縮比を1.8、スクリューの断面形状を図3の6角にした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
(比較例1)スクリューの圧縮比を1.0、スクリューの断面形状を図1の2角にした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
(比較例2)スクリューの圧縮比を2.5、スクリューの断面形状を図1の2角にした以外は、実施例3と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
(比較例3)スクリューの圧縮比を1.0、スクリューの断面形状を図4の円形にした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
(比較例4)スクリューの圧縮比を2.5、スクリューの断面形状を図4の円形にした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系繊維を得た。
実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の製造方法によれば、単糸切れによるトラブルが少なく、安定的に塩化ビニル系繊維が製造され、生産性も格段に優れていた。
本発明によって製造された塩化ビニル系繊維は、例えば、人工毛髪用として好適に用いることができる。
断面形状が2角のスクリューの概略断面図である。 断面形状が3角のスクリューの概略断面図である。 断面形状が6角のスクリューの概略断面図である。 断面形状が円形のスクリューの概略断面図である。
符号の説明
1 フライトランド
2 混練凹部

Claims (3)

  1. 塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物を溶融紡糸して繊維を製造するに際して、単軸押出機で、かつ圧縮比が1.1〜2.0であり、
    スクリューの螺旋方向の断面形状が2角〜5角であるフルフライトスクリューを使用して、溶融紡糸した塩化ビニル系繊維の製造方法。
  2. 塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物を溶融紡糸して繊維を製造するに際して、目開き80μm以下のスクリーンメッシュを用いて溶融紡糸した請求項1の塩化ビニル系繊維の製造方法。
  3. 塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物が、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、ハイドロタルサイト及びゼオライトから選ばれる無機系熱安定剤0.2〜5質量部を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の塩化ビニル系繊維の製造方法。
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