JP4586819B2 - 電気泳動表示装置および電子機器 - Google Patents
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Description
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
かかる電気泳動表示装置では、電気泳動キャパシタおよび強誘電体キャパシタに通電することにより、電気泳動粒子を泳動させて表示するとともに、強誘電体層を分極反転させる。このような強誘電体層の分極(残留分極)は双安定であるため、その後前記通電を停止しても、電気泳動キャパシタの電荷を維持して、表示を保持する(保持特性を向上させる)ことができる。
しかしながら、かかる電気泳動表示装置では、電気泳動キャパシタや強誘電体キャパシタの条件によっては、前述したような保持特性が得られなない場合がある。
本発明に係る電気泳動表示装置は、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動層を備えた電気泳動キャパシタと、
強誘電体材料を含む強誘電体層を備えた強誘電体キャパシタとを有し、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを電気的に直列に接続した状態で、これらに通電することにより、前記電気泳動粒子を移動させて表示するとともに、前記強誘電体層を分極反転させ、その後前記通電を停止しても、前記強誘電体層の残留分極により、前記表示を保持し得るものであり、
前記電気泳動キャパシタは、共通電極と、該共通電極に対向する複数の個別電極とを有し、前記電気泳動層が前記共通電極と前記各個別電極との間に介挿され、前記強誘電体キャパシタは、前記共通電極および前記各個別電極とは別体として、前記各個別電極に対応して設けられた複数の電極対を有し、前記強誘電体層が前記電極対間に介挿され、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを直列に接続した状態でこれらに印加する電圧をVとし、前記強誘電体材料の残留分極値をPrとし、前記強誘電体材料の抗電界をEcとし、真空の誘電率をε0とし、前記強誘電体材料の比誘電率をεfとし、前記各電極対間における前記強誘電体層の平面視での面積をSfとし、前記強誘電体層の厚さをdfとし、前記電気泳動層の比誘電率をεEPDとし、前記共通電極と前記各個別電極間における前記電気泳動層の平面視での面積をSEPDとし、前記電気泳動層の厚さをdEPDとしたときに、下記の式(A)および式(B)を満たし、かつ、
前記強誘電体材料は、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体を含み、
Sf/SEPDは、0.0001〜0.0034であることを特徴とする。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD>
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(A)
Pr・Sf<ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(B)
これにより、強誘電体材料としてフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体を用いた場合、通電を停止しても、表示を確実に保持することができる。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD<
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・EBD・df
・・・(C)
これにより、強誘電体層の絶縁破壊を防止して、電気泳動表示装置の信頼性を向上させることができる。
強誘電体材料を含む強誘電体層を備えた強誘電体キャパシタとを有し、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを電気的に直列に接続した状態で、これらに通電することにより、前記電気泳動粒子を移動させて表示するとともに、前記強誘電体層を分極反転させ、その後前記通電を停止しても、前記強誘電体層の残留分極により、前記表示を保持し得る電気泳動表示装置を備え、
前記電気泳動キャパシタは、共通電極と、該共通電極に対向する複数の個別電極とを有し、前記電気泳動層が前記共通電極と前記各個別電極との間に介挿され、前記強誘電体キャパシタは、前記共通電極および前記各個別電極とは別体として、前記各個別電極に対応して設けられた複数の電極対を有し、前記強誘電体層が前記電極対間に介挿され、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを直列に接続した状態でこれらに印加する電圧をVとし、前記強誘電体材料の残留分極値をPrとし、前記強誘電体材料の抗電界をEcとし、真空の誘電率をε0とし、前記強誘電体材料の比誘電率をεfとし、前記各電極対間における前記強誘電体層の平面視での面積をSfとし、前記強誘電体層の厚さをdfとし、前記共通電極と前記各個別電極間における前記電気泳動層の比誘電率をεEPDとし、前記電気泳動層の平面視での面積をSEPDとし、前記電気泳動層の厚さをdEPDとしたときに、下記の式(A)および式(B)を満たし、かつ、
前記強誘電体材料は、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体を含み、
Sf/SEPDは、0.0001〜0.0034であることを特徴とする。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD>
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(A)
Pr・Sf<ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(B)
これにより、強誘電体材料としてフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体を用いた場合、通電を停止しても、表示を確実に保持することができ、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
図1は、参考例にかかる電気泳動表示装置の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図1に示す電気泳動表示装置20は、電気泳動表示シート(フロントプレーン)21と、回路基板(バックプレーン)22と、電気泳動表示シート21と回路基板22との間に介挿された強誘電体層8と、電気泳動表示シート21と回路基板22との間の間隙を気密的に封止する封止部7とを有している。
電気泳動表示シート21は、平板状の基部2と基部2の下面に設けられた電極4とを備える基板12と、この基板12の下面(一方の面)側に設けられ、マイクロカプセル40およびバインダ41で構成された電気泳動分散液層(マイクロカプセル含有層)400とを有している。
このように、電気泳動表示装置20は、1対の電極3、4間に電気泳動分散液層400が介挿されているとともに、電極3と電気泳動分散液層400との間に強誘電体層8が介挿されており、図2に示すように、電気泳動分散液層400を備えた電気泳動キャパシタ23と、強誘電体層8を備えた強誘電体キャパシタ24とが電気的に電源25に対しスイッチ26を介して直列に接続されている。このような構成とすることにより、電気泳動表示装置20の構成および製造を簡単化して、低コスト化を図ることができる。
このような電気泳動表示装置20は、電気泳動キャパシタ23と強誘電体キャパシタ24とを電気的に直列に接続した状態で、これらに通電することにより、電気泳動粒子を泳動させて表示するとともに、強誘電体層8を分極反転させる。そして、かかる電気泳動表示装置20は、その後通電を停止しても、強誘電体層8の残留分極により、表示を保持し得るようになっている。
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する電気泳動表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置20を得ることができる。
これらの基部1、2のマイクロカプセル40側の面、すなわち、基部1の上面および基部2の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす電極3および電極4が設けられている。
電極3と電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子(表示粒子)5に作用する。
なお、電極4も、電極3と同様に複数に分割するようにしてもよい。
また、電極3がストライプ状に分割され、電極4も同様にストライプ状に分割され、これらが交差するように配置された形態であってもよい。
その他、各電極3、4の構成材料としては、それぞれ、例えば、ガラス材料、ゴム材料、高分子材料等の導電性を有さない材料中に、金、銀、ニッケル、カーボン等の導電性材料(導電性粒子)を混合して、導電性を付加したような各種複合材料も使用することができる。
このような電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
なお、各電極3、4は、前述したような材料の単体からなる単層構造のものの他、例えば、複数の材料を順次積層したような多層積層構造のものであってもよい。すなわち、各電極3、4は、それぞれ、例えば、ITOで構成される単層構造であってもよく、ITO層とポリアニリン層との2層積層構造とすることもできる。
この電気泳動分散液層400は、電気泳動分散液10をカプセル本体(殻体)401内に封入した複数のマイクロカプセル40が、バインダ41で固定(保持)されて構成されている。
このような構成により、マイクロカプセル40の形状が球形に維持されるので、マイクロカプセルのバリア性、ブリード性を高めることができる。その結果、電気泳動表示装置20を長期間安定に動作することができる。
なお、マイクロカプセルは、上下方向に圧迫されて、例えば、縦断面形状で楕円または矩形に近い形状をなしていてもよい。
マイクロカプセル40がこのように配置されることにより、1つの電極3で、それに重なる2つのマイクロカプセル40内の電気泳動粒子5を作動することができる。その結果、1つのマイクロカプセル40内で異なる色を表示することができる。
カプセル本体(殻体)401の構成材料としては、例えば、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、カプセル本体401は、メラミン系樹脂や尿素樹脂を主材料して構成されたものが好ましい。これにより、このような樹脂が3次元網目構造を形成するので、カプセル本体401の強度を向上させることができ、前述したような球形状をより確実に形成することができる。
このようなマイクロカプセル40は、その大きさ(粒径)がほぼ均一であることが好ましい。具体的には、粒子径の変動係数(CV値)が5〜15%であることが好ましく、変動係数(CV値)が5〜10%であることがより好ましい。これにより、電気泳動表示装置20では、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮することができる。
マイクロカプセル40には、後述するように白色粒子5aと着色粒子(黒色粒子)5bとが内包されている。これにより、マイクロカプセル40に内包される電気泳動粒子5が後述するように動作するので、表示を均一にすることができる。
電気泳動粒子5の液相分散媒6への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
かかる液相分散媒6としては、例えば、各種水(蒸留水、純水、イオン交換水、RO水等)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族復素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、カルボン酸塩またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
さらに、脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)の中でも、特に、分枝状脂肪族炭化水素類(イソパラフィン)が好ましい。イソパラフィンは、特に、電気泳動粒子5の凝集抑制効果が高いものであることから好ましい。
なお、このようなイソパラフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いるようにしてもよい。
さらに、液相分散媒6には、必要に応じて、アントラキノン系染料、アゾ系染料、インジゴイド系染料、トリフェニルメタン系染料、ピラゾロン系染料、スチルベン系染料、ジフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アリザリン系染料、アクリジン系染料、キノンイミン系染料、チアゾール系染料、メチン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料等の各種染料を溶解するようにしてもよい。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
また、カーボンブラック粒子またはその表面を被覆した粒子は、着色粒子(黒色粒子)5bとして好適に用いられる。
電気泳動粒子5の平均粒径は、10〜500nm程度であるのが好ましく、20〜300nm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子5の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子5同士の凝集や、液相分散媒6中における沈降を確実に防止することができ、その結果、電気泳動表示装置20の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
具体的には、着色粒子5bの平均粒径を20〜100nm程度、白色粒子5aの平均粒径を150〜300nm程度とするのが好ましい。
また、電気泳動粒子5の比重は、液相分散媒6の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子5は、電極3、4間への電圧の印加を停止した後においても、液相分散媒6中において一定の位置に長時間滞留することができる。すなわち、電気泳動表示装置20に表示された情報が長時間保持されることとなる。
このバインダ41には、各電極3、4、カプセル本体401(マイクロカプセル40)との親和性(密着性)に優れ、かつ、絶縁性に優れる樹脂材料が好適に使用される。
また、バインダ41は、その誘電率が前記液相分散媒6の誘電率とほぼ等しくなるよう設定されているのが好ましい。このため、バインダ41中には、例えば、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールのようなアルコール類、ケトン類、カルボン酸塩等の誘電率調節剤を添加するのが好ましい。
この強誘電体層8は、強誘電体材料を主材料として構成されている。また、このような強誘電体層8は、絶縁性を有しているため、電極3と電極4との間での短絡を確実に防止して、電気泳動粒子5に確実に電界を作用させることができる。
Iの機能を有することにより、回路基板22に設けられた回路(特にスイッチング素子)の特性の低下を防止または抑制することができる。
また、IIIの機能を有することにより、電気泳動表示装置20の製造時(作成時)にマイクロカプセル40、回路基板22に設けられたスイッチング素子等の破壊を防止することができる。
このような強誘電体層8の構成材料である強誘電体材料としては、特に限定されず、各種無機強誘電体材料や各種有機強誘電体材料を用いることができるが、有機強誘電体材料を用いるのが好ましい。
なお、無機強誘電体材料としては、例えば、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3等のペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物や、SrBi2Ta2O9、(Bi,La)4Ti3O12等の層状ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物等が挙げられる。
強誘電体層8の平均厚さの具体的な値は、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。
封止部7の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部7は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして作動する。
図3は、図1に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
電気泳動表示装置20の電極3と電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じる。すなわち、電気泳動キャパシタ23(電気泳動分散液層400)および強誘電体キャパシタ24(強誘電体層8)にそれぞれ電界が生じる。
例えば、白色粒子5aとして正荷電を有するものを用い、着色粒子(黒色粒子)5bとして負荷電のものを用いた場合、図3(A)に示すように、電極3を正電位とすると、白色粒子5aは、電極4側に移動して、電極4に集まる。一方、着色粒子5bは、電極3側に移動して、電極3に集まる。このため、電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、白色粒子5aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
このような構成において、電気泳動粒子5(白色粒子5a、着色粒子5b)の帯電量や、電極3または4の極性、電極3、4間の電位差等を適宜設定することにより、電気泳動表示装置20の表示面側には、白色粒子5aおよび着色粒子5bの色の組み合わせや、電極3、4に集合する粒子の数等に応じて、所望の情報(画像)が表示される。
これとは逆に、図3(B)に示すように、電極3を負電位とした場合、強誘電体層8に生じた電界により、強誘電体層8は、電極4側を負電位、電極3側を正電位とするように、厚さ方向に分極する。
このように電気泳動キャパシタ23と強誘電体キャパシタ24とを電気的に直列に接続した状態で、これらに通電することにより、電気泳動粒子を泳動させて表示するとともに、強誘電体層8を分極反転させ、その後通電を停止しても、強誘電体層8の残留分極により、表示を保持することができる。
ここで、このような通電停止後の表示の保持を可能とするための条件について説明する。
前述したような図1および図2に示す電気泳動表示装置20では、強誘電体キャパシタ24に印加される電圧をVf、電圧Vfの印加により強誘電体キャパシタ24に蓄えられる電荷をQf、Vf=0のときの強誘電体キャパシタ24の残留電荷をQr、強誘電体層8の比誘電率をεf、強誘電体キャパシタ24の面積をSf、強誘電体層8の厚さをdfとしたとき、
Qf=Qr+ε0・εf・Sf・Vf/df・・・(1)
である。ここで、ε0は、真空の誘電率である。
VEPD=V−Vf
であり、電気泳動分散液層400の比誘電率をεEPD、電気泳動キャパシタ23の面積をSEPD、電気泳動分散液層400の厚さをdEPDとしたとき、電気泳動キャパシタ23に蓄えられる電荷は、電圧Vfの印加により強誘電体キャパシタ24に蓄えられる電荷Qfに等しいので、
Qf=ε0・εEPD・SEPD・(V−Vf)/dEPD・・・(2)
である。
Qr+ε0・εf・Sf・Vf/df=
ε0・εEPD・SEPD・(V−Vf)/dEPD・・・(3)
となる。
式(3)を整理すると、
ε0・εEPD・V/dEPD−Qr=
(ε0・εf・Sf/df+ε0・εEPD・SEPD/dEPD)・Vf・・・(4)
となる。
ε0・εEPD・V・SEPD/dEPD−Qr>0・・・(5)
である。
また、強誘電体層8の強誘電体材料の残留分極値をPrとしたとき、
Qr=Pr・Sf・・・(6)
である。
したがって、式(5)および式(6)により、
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD>Pr・Sf・・・(7)
でなければならない。
Vf>Vc・・・(8)
でなければならない。
さらに、
Vc=Ec・df・・・(9)
であるから、式(4)、式(6)、式(8)、および式(9)により、
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD−Pr・Sf>
(ε0・εf・Sf/df+ε0・εEPD・SEPD/dEPD)・Ec・df
・・・(10)
なる関係が導き出される。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD>
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(A)
となる。
以上説明したように、第1の条件では、式(7)および式(A)を満たす必要があるが、式(A)が満たされれば自動的に式(7)も満たされるので、結局、式(A)が満たされればよい。
電気泳動キャパシタ23および強誘電体キャパシタ24に印加された電圧Vがゼロになったとき、強誘電体層8には電圧Vとは逆の極性の電圧Vfが印加される。この電圧Vfが−Vcを超えると、強誘電体層8が再び分極反転してしまうため、電圧Vfが−Vcを超えてはならない。すなわち、Vf>−Vcなる関係を満たしていなければならない。
Qf=−ε0・εEPD・SEPD・Vf/dEPD・・・(11)
なる関係式が得られる。
そして、この式(11)と、式(1)および式(6)により、
Qr+ε0・εf・・Sf・Vf/df=
−ε0・εEPD・SEPD・Vf/dEPD・・・(12)
なる関係式が得られる。
Pr・Sf=
−(ε0・εf・Sf/df+ε0・εEPD・SEPD/dEPD)・Vf・・・(13)
なる関係式が得られる。
Pr・Sf<
ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df・・・(B)
なる関係式が得られる。
したがって、電気泳動キャパシタ23と強誘電体キャパシタ24とを電気的に直列に接続した状態で、これらに通電することにより、電気泳動粒子を泳動させて表示するとともに、強誘電体層8を分極反転させ、その後通電を停止しても、強誘電体層8の残留分極により、表示を保持することができるようにするには、前述した第1の条件および第2の条件を満たすように、強誘電体層8および電気泳動分散液層400のそれぞれについて、各材料パラメータ(各誘電率、抗電界、残留分極値)を有する材料を選び、素子サイズ(面積、厚さ)を設計し、さらに駆動電圧を選択する必要がある。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD>
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(A)
かつ、
Pr・Sf<ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(B)
なる関係を満たしている。これにより、電気泳動表示装置20は、通電を停止しても(スイッチ26をオフ状態にしても)、表示を確実に保持することができる。
また、強誘電体層8の絶縁破壊を防止するには、強誘電体層8の絶縁破壊電圧をVBDとし、強誘電体層8の絶縁破壊電界をEBDとしたときに、
Vf<VBD=EBD・df
なる関係を満たす必要がある。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD<
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD・/dEPD・EBD・df
・・・(C)
なる関係式が得られる。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD<
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・EBD・df
・・・(C)
なる関係を満たしている。これにより、強誘電体層8の絶縁破壊を防止して、電気泳動表示装置20の信頼性を向上させることができる。
具体例を挙げて説明すると、電気泳動キャパシタ23については、厚さdEPD=30[μm]、比誘電率εEPD=60、一方、強誘電体キャパシタ24については、強誘電体材料としてP(VDF/TrFE)を想定し、比誘電率εf=12.5、残留分極Pr=8[μC/cm2]、抗電界Ec=0.5[MV/cm]、絶縁破壊電界EBD=2[MV/cm]、電源25の電圧V=30[V]とした場合、式(A)、式(B)、および式(C)により、図6に示すように、強誘電体キャパシタ24の面積Sfと電気泳動キャパシタ23の面積SEPDとの比、および、強誘電体層8の厚さdfの有効範囲を求めることができる。
ここで、電気泳動分散液の比誘電率εEPDは、電気泳動分散液層400の電気泳動分散液のうち表示機構に関与する部分に関するものである。また、かかる比誘電率εEPDは、図5に示すように、電気泳動キャパシタ23のオンオフの周波数に応じて変化するため、表示機構の周波数近傍での値を用いている。これにより、電気泳動表示装置20の表示特性を優れたものとすることができる
次に、本発明の電気泳動表示装置の実施形態について説明する。
図7は、本発明の実施形態の電気泳動表示装置に備えられた強誘電体キャパシタの縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図7中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
本実施形態の電気泳動表示装置では、前述した参考例における電気泳動表示装置20と同様の構成を有する電気泳動キャパシタ(図示せず)と、この電気泳動キャパシタに直列に接続された強誘電体キャパシタ24Aとを有している。
この強誘電体キャパシタ24Aは、図7に示すように、基板241上に、電極242、強誘電体層243、電極244がこの順で順次積層されている。
このような構成を有する電気泳動表示装置では、強誘電体キャパシタ24Aの形状等が電気泳動キャパシタの形状等の影響を受けないので、強誘電体キャパシタ24Aの設計の自由度を高めることができる。
以上のような電気泳動表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。このような電子機器は、通電を停止しても、表示を確実に保持することができ、高い信頼性を有する。以下、電気泳動表示装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図8は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図8に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図9は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図9中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図9に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図11に示す構成と同様のものである。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
また、前述した実施形態では、一対の基板が対向して設けられた構成のものについて示したが、本発明は、これに限らず、例えば、単一の基板を有するものに適用することもできる。
また、電気泳動分散液の構成は、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を含有していれば、前述した実施形態のものに限定されない。
また、電気泳動分散液層はマイクロカプセルを有する形態でなくてもよい。
Claims (3)
- 少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動層を備えた電気泳動キャパシタと、
強誘電体材料を含む強誘電体層を備えた強誘電体キャパシタとを有し、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを電気的に直列に接続した状態で、これらに通電することにより、前記電気泳動粒子を移動させて表示するとともに、前記強誘電体層を分極反転させ、その後前記通電を停止しても、前記強誘電体層の残留分極により、前記表示を保持し得るものであり、
前記電気泳動キャパシタは、共通電極と、該共通電極に対向する複数の個別電極とを有し、前記電気泳動層が前記共通電極と前記各個別電極との間に介挿され、前記強誘電体キャパシタは、前記共通電極および前記各個別電極とは別体として、前記各個別電極に対応して設けられた複数の電極対を有し、前記強誘電体層が前記電極対間に介挿され、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを直列に接続した状態でこれらに印加する電圧をVとし、前記強誘電体材料の残留分極値をPrとし、前記強誘電体材料の抗電界をEcとし、真空の誘電率をε0とし、前記強誘電体材料の比誘電率をεfとし、前記各電極対間における前記強誘電体層の平面視での面積をSfとし、前記強誘電体層の厚さをdfとし、前記電気泳動層の比誘電率をεEPDとし、前記共通電極と前記各個別電極間における前記電気泳動層の平面視での面積をSEPDとし、前記電気泳動層の厚さをdEPDとしたときに、下記の式(A)および式(B)を満たし、かつ、
前記強誘電体材料は、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体を含み、
Sf/SEPDは、0.0001〜0.0034であることを特徴とする電気泳動表示装置。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD>
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(A)
Pr・Sf<ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(B) - 前記強誘電体層の絶縁破壊電界をEBDとしたとき、下記の式(C)を満たしている請求項1に記載の電気泳動表示装置。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD<
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・EBD・df
・・・(C) - 少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動層を備えた電気泳動キャパシタと、
強誘電体材料を含む強誘電体層を備えた強誘電体キャパシタとを有し、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを電気的に直列に接続した状態で、これらに通電することにより、前記電気泳動粒子を移動させて表示するとともに、前記強誘電体層を分極反転させ、その後前記通電を停止しても、前記強誘電体層の残留分極により、前記表示を保持し得る電気泳動表示装置を備え、
前記電気泳動キャパシタは、共通電極と、該共通電極に対向する複数の個別電極とを有し、前記電気泳動層が前記共通電極と前記各個別電極との間に介挿され、前記強誘電体キャパシタは、前記共通電極および前記各個別電極とは別体として、前記各個別電極に対応して設けられた複数の電極対を有し、前記強誘電体層が前記電極対間に介挿され、
前記電気泳動キャパシタと前記強誘電体キャパシタとを直列に接続した状態でこれらに印加する電圧をVとし、前記強誘電体材料の残留分極値をPrとし、前記強誘電体材料の抗電界をEcとし、真空の誘電率をε0とし、前記強誘電体材料の比誘電率をεfとし、前記各電極対間における前記強誘電体層の平面視での面積をSfとし、前記強誘電体層の厚さをdfとし、前記共通電極と前記各個別電極間における前記電気泳動層の比誘電率をεEPDとし、前記電気泳動層の平面視での面積をSEPDとし、前記電気泳動層の厚さをdEPDとしたときに、下記の式(A)および式(B)を満たし、かつ、
前記強誘電体材料は、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体を含み、
Sf/SEPDは、0.0001〜0.0034であることを特徴とする電子機器。
ε0・εEPD・SEPD・V/dEPD>
Pr・Sf+ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(A)
Pr・Sf<ε0・εf・Sf・Ec+ε0・εEPD・SEPD/dEPD・Ec・df
・・・(B)
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