JP4587534B2 - スタッドレスタイヤ用のトレッドゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は積雪路面および氷結路面での走行性能に優れた空気入りタイヤ、特にスタッドレスタイヤ用のトレッドゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
スタッドレスタイヤは積雪路面および氷結路面の走行においてグリップ性能と制動性能を備えることが必要であり、そのためには上記路面とトレッド部表面の界面に摩擦力を有する必要がある。一般に摩擦力はたとえば柔軟なトレッドゴムが接地の際、路面に追随することに伴う損失摩擦力、トレッドゴムと路面の親和力に起因する粘着摩擦力、さらにトレッドパターンに形成された溝部が雪とかみ合いによるグリップに起因した摩擦力がある。
【0003】
そして従来スタッドレスタイヤにおいては上記摩擦力を高める一方、トレッド部に埋設された有機あるいは無機の短繊維または無機粒状物により、またはトレッドゴム表面に発泡体を形成させることにより氷表面を引っかく効果を持たせ摩擦力を発生せしめ、グリップ力および制動力を高めることが行なわれている。
【0004】
たとえば特開昭63−297106号公報にはゴム成分100重量部に対し、平均粒子径が80メッシュ以下のケイ酸質ガラスを15〜30重量%配合したトレッドゴムを有するスタッドレスタイヤが開示されている。
【0005】
また、特開平9−302153号公報にはゴム成分100重量部に対し、JIS−K6301C型硬度が75度以上、平均粒径が5〜2000μm、表面の平均孔径が40〜1000Å、BET窒素吸着比表面積が10〜800m2/gである多孔質粒子を3〜30重量部配合したゴム組成物が開示されている。
【0006】
これらの技術により、積雪路面および氷結路面での制動性およびグリップ性は改善するが、反面耐摩耗性および操縦安定性が犠牲となり、これらの特性を同時に満足することは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は操縦安定性、制動性およびグリップ性さらに耐摩耗性が総合的にバランスよく改善されたスタッドレスタイヤ用のトレッドゴム組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジエン系ゴムを少なくとも90重量%含むゴム成分100重量部に対して、平均径が45μm〜250μmの板状の天然ガラスを2〜15重量部配合し、ショアA硬度を35〜55の範囲にしたことを特徴とするスタッドレスタイヤ用のトレッドゴム組成物である。好ましくは天然ガラスのアスペクト比が3〜10である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるジエン系ゴムは特に制限はないが、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム等を単独または2種以上の混合で用いられる。ジエン系ゴムはゴム成分100重量部に対して少なくとも90重量部を含んでおり、その残りをEPDM、ブチルゴム、アクリロニトリルゴムまたは熱可塑性エラストマー等を配合することができる。ジエン系ゴムが90重量部未満の場合、耐摩耗性およびグリップ性等の基本特性に十分な改善は期待できない。
【0010】
次に本発明のトレッドゴム組成物では板状の天然ガラスが2〜15重量部配合される。ここで天然ガラスは酸性溶岩が急冷されてガラス質に固化するとともにガスが逃げ出し多孔質となったもの(いわゆるビューミサイト)から得られた均一で微細な多孔質の天然ガラスである。そして天然ガラスはたとえば硬度がモース5で比重は約2.35で溶融点は約1200℃である。そして、該天然ガラスは適度の耐圧力と崩潰性と分散性に優れた耐酸性を有する。
【0011】
ここで天然ガラスは板状であり、その平均径は45μm〜250μmの範囲である。平均径が45μm未満の場合、トレッド部表面が路面を引っかく効果が少なく十分な摩擦力が生じない。一方、平均径が250μmを超えると、引っかき効果は期待できないが、トレッド部の表面に適度の荒れを形成するのが困難となる。すなわちトレッド表面の凹凸の間隔が広すぎて耐摩耗性を低下させることになる。
【0012】
ここで板状の天然ガラスの平均径R0とは、図1に示されるごとく天然ガラスの平面において最も大きい内接円R1と、該内接円と同心円で天然ガラスの角部を通る最も大きい外接円R2の平均値として求められる。すなわち
R0=1/2(R1+R2)
の式で求められる。
【0013】
次に、天然ガラスのアスペクト比が3〜10の範囲のものが望ましい。ここでアスペクト比は天然ガラスの平均径を天然ガラスの厚さで割った値で定義される。アスペクト比が大きいほど、天然ガラスの板が相対的に薄いことを意味する。アスペクト比が3未満の場合、引っかき効果による摩擦力は小さくなり、一方、アスペクト比が10を超えると板状天然ガラスの厚さが小さくなるため、その強度は低下し、耐摩耗性が低下する傾向にある。
【0014】
板状天然ガラスの平均径およびアスペクト比を上記範囲にすることにより、ゴム組成物に混練した状態において、天然ガラスが方向性を示すことなく均一に配合され、トレッドゴム組成物の走行方向および横方向のどちらにも摩擦力が得られる。このような天然ガラスは市販品として、共立マテリアル(株)社の商品名KPパーミスがある。
【0015】
なお、天然ガラスの配合量はゴム成分100重量部に対して2〜15重量部配合される。2重量部未満の場合、天然ガラス配合による効果は得られない。一方、15重量部を超えるとゴム組成物の強度および耐摩耗性が低下する。
【0016】
次に本発明のゴム組成物はショアA硬度が35〜55の範囲に調整される。ショアA硬度が35未満の場合、ゴム組成物が柔らかすぎて耐摩耗性および操縦安定性が著しく低下し、一方、ショアA硬度が55を超えると氷上および雪上でのグリップ性および制動性が十分得られない。ショアA硬度は好ましくは40〜50の範囲である。
【0017】
次に本発明のゴム組成物にはカーボンブラックをゴム成分100重量部に対して10〜60重量部配合することが好ましい。カーボンブラックはASTM−03037−78に規定する窒素吸着比表面積(N2SA)が100〜150m2/g、好ましくは100〜120m2/g、さらにASTM−D−3493に規定するDBP吸油量および24M4DBP吸油量が90〜150ml/100gであることが好ましい。N2SAが100m2/g未満あるいはDBP吸油量および24M4DBP吸油量が90ml/100g未満の場合には耐摩耗性が低下する傾向にある。一方、N2SAが150m2/gを超えるか、あるいはDBP吸油量および24M4DBP吸油量が150ml/100gを超える場合はゴムの硬度が高くなり雪上性能が悪くなる。なお、カーボンブラックは2種類以上の特性のものを混合することにより、耐摩耗性と氷上性能、雪上性能をバランスさせることができる。
【0018】
本発明に係るゴム組成物にシリカを配合することが望ましい。ここで、シリカは、ゴム配合に用いることができる任意のシリカ(またはホワイトカーボン)をゴム成分100重量部に対し5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部配合する。好ましいシリカはN2SAが100〜400m2/gの湿式法シリカである。シリカの配合量は5重量部未満の場合には氷上性能の大幅な改善は期待できない。本発明のゴム組成物中のカーボンブラックおよびシリカの合計の配合量はゴム成分100重量部に対し60重量部以下であることが好ましく、特に35〜60重量部、さらに好ましくは45〜60重量部である。60重量部を超えるとゴムの硬度が上昇して氷上性能が低下し、この硬度を調整するために軟化剤を添加する必要がある。
【0019】
本発明に係るゴム組成物には、好ましくは、ゴムとシリカとの結合を強固にするためにシリカ配合量の3〜20重量%のシランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤を例示すると次のとおりである。ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィッド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィッド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィッド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィッド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド等が挙げられる。
【0020】
なお、本発明に係るゴム組成物には、さらにシリカの表面OH基に加硫促進剤が吸着されるのを防止し、加硫遅れを防ぐとともに、シリカの分散を助けるために、たとえばシリカ配合量の1〜10重量%の活性剤を併用するのが好ましい。このような活性剤としてはたとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
【0021】
本発明のトレッドゴム組成物には前記必須成分に加えて、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤、充填剤、軟化剤、可塑剤などのタイヤ用に一般に配合される各種添加剤を適宜要求特性に応じて調整し、配合することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例および比較例に従って本発明をさらに詳しく説明する。
【0023】
実施例および比較例
表1に示す配合A〜配合Cでそれぞれの成分を配合し、加硫促進剤と硫黄を除く原料ゴムおよび配合剤をバンバリーミキサーで5分間混合した後、この混合物に加硫促進剤と硫黄とを試験用混練ロール機で5分間混練し、ゴム組成物を得た。これらのゴム組成物をタイヤに成形して160℃で20分間加硫して、タイヤサイズTL195/65R15の空気入りタイヤを製造し、その物性を評価した。得られた物性は表2に示すとおりである。ここで物性の評価は次の方法で行なった。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
(1) 操縦安定性
試作タイヤ(TL195/65R15)を車に装着して40〜60km/hで実車走行し、ドライバーのフィーリングで評価した。比較例3を100として指数表示をした。数値が大きいほど良好であることを示す。
【0027】
(2) 氷上、雪上性能
試作タイヤ(TL195/65R15)を車に装着して積雪路面、氷結路面を走行し、ドライバーのフィーリングで評価した。比較例3を100として指数表示をした。数値が大きいほど優れていることを示す。
【0028】
(3) 磨耗試験
試作タイヤ(TL195/65R15)を車に装着して、乾燥路面を20,000km走行してトレッドの溝深さの変化から磨耗量を求めた。比較例3を100として指数表示をした。数値が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
【0029】
表2の評価結果において、比較例1は発泡ゴムを用いており、操縦安定性および耐摩耗性のいずれも劣っている。比較例2は硬度の低いゴムを使用しているため操縦安定性に劣っている。比較例4は天然ガラスの配合量が1重量部と少なく、氷上、雪上性能が改善されていない。比較例5は天然ガラスの配合量が40重量部と多すぎるため、氷上、雪上性能は改善されるものの、耐摩耗性が低下している。比較例6、7は平均径およびアスペクト比が本発明の対象外であるものを用いており、氷上性能、雪上性能に劣っている。
【0030】
実施例1は、天然ガラスを15重量部配合しており、耐磨耗性は少し低下しているものの性能は総合的に優れている。また、実施例2、実施例3は実施例1とカーボンブラックの特性のみが異なった配合を用いたものである。
【0031】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
【発明の効果】
上述のごとく本発明のトレッドゴム組成物は平均径およびアスペクト比が特定範囲の板状の天然ガラスを、ジエン系ゴムに配合するとともに硬度を所定範囲に調整したため操縦安定性を維持しながら氷上、雪上性能および耐摩耗性を同時に向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】天然ガラスの平面図を示す。
Claims (2)
- ジエン系ゴムを少なくとも90重量%含むゴム成分100重量部に対して、
平均径が45μm〜250μmおよびアスペクト比が3〜10である板状の天然ガラスを2〜15重量部と、
ASTM−03037−78に規定する窒素吸着比表面積が100〜150m 2 /gおよびASTM−D−3493に規定するDBP吸油量および24M4DBP吸油量が90〜150ml/100gであるカーボンブラックを10〜60重量部と、
シリカを5〜40重量部とを配合し、
ショアA硬度を35〜55の範囲にしたことを特徴とするスタッドレスタイヤ用のトレッドゴム組成物。 - 前記シリカ配合量の3〜20重量%のシランカップリング剤を含む、請求項1に記載のスタッドレスタイヤ用のトレッドゴム組成物。
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