以下、本発明の実施の形態によるタンデム型マスタシリンダ装置を、例えば車両のBBWシステム(ブレーキバイワイヤ方式のブレーキシステム)に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態によるタンデム型のマスタシリンダ装置で、該マスタシリンダ装置1は、図1、図2に示す如く後述のシリンダ2、第1,第2のピストン10,11、第1,第2の液圧室16A,16B、第1,第2の戻しばね18,21およびストロークシミュレータ26等を含んで構成されている。
2はマスタシリンダ装置1の主要部を構成するマスタシリンダ(以下、シリンダ2という)で、該シリンダ2は、有底筒状体からなるシリンダ本体3と、後述のガイドスリーブ4〜7とにより構成されている。ここで、シリンダ本体3は、図2〜図7に示すように軸方向の一側が開口端3Aとなり、他側が底部3Bとなって閉塞されている。
そして、シリンダ本体3は、内部が有底円筒状のシリンダ孔3Cとして形成され、該シリンダ孔3C内には、後述のガイドスリーブ4〜7がそれぞれ抜止め状態に嵌合して取付けられている。また、シリンダ本体3には、シリンダ孔3Cの軸方向に離間して第1,第2のボス部3D,3Eが設けられ、これらのボス部3D,3Eは、第1,第2のサプライポート3F,3Gを介してシリンダ孔3C内と連通するものである。
4,5,6,7はシリンダ本体3のシリンダ孔3C内に設けられた筒状のガイドスリーブで、該ガイドスリーブ4〜7は、後述する第1,第2のピストン10,11をシリンダ本体3内で摺動可能に支持するためシリンダ孔3C内に順次挿嵌され、シリンダ2の一部を構成するものである。そして、これらのガイドスリーブ4〜7は、図2ないし図7に示す如くシリンダ本体3のシリンダ孔3C内で互いに当接して抜止め状態に保持されている。
ここで、ガイドスリーブ4〜7のうち、シリンダ孔3Cの奥所側に位置するガイドスリーブ4は、その内周側で後述する第2のピストン11を摺動可能に支持している。そして、奥所側のガイドスリーブ4には、第2のサプライポート3Gに常時連通する複数の径方向孔4Aと、該各径方向孔4Aに連通してガイドスリーブ4の内周に凹設された環状溝4Bとが形成されている。
また、奥所側のガイドスリーブ4に続いてシリンダ孔3C内に挿嵌された中間のガイドスリーブ5は、ガイドスリーブ4の軸方向一側面に当接した状態でシリンダ孔3C内に位置決めされ、その内周側で後述する第2のピストン11を変位可能に支持するものである。そして、中間のガイドスリーブ5には、その軸方向一側寄りに位置して第1のサプライポート3Fに常時連通する複数の径方向孔5Aと、軸方向他側寄りに位置し後述する第1の液圧室16Aを第1の配管ポート17Aに常時連通させる複数の径方向孔5Bとが穿設されている。
また、次なる中間のガイドスリーブ6は、ガイドスリーブ5,7間に挟持された状態でシリンダ孔3C内に位置決めされ、その内周側で後述する第1のピストン10を摺動可能に支持するものである。そして、中間のガイドスリーブ6には、ガイドスリーブ5の径方向孔5Aを介して第1のサプライポート3Fに常時連通する複数の径方向孔6Aと、該各径方向孔6Aに連通してガイドスリーブ6の内周に凹設された環状溝6Bとが形成されている。
一方、シリンダ本体3の開口端3A側に位置するガイドスリーブ7は、抜止めナット8を用いてシリンダ孔3C内に抜止め状態で固定され、その軸方向一側(後述のストッパ部7A側)は、シリンダ本体3の開口端3Aから軸方向に突出している。そして、開口側のガイドスリーブ7は、奥所側のガイドスリーブ4との間で中間のガイドスリーブ5,6をシリンダ孔3C内に固定し、ガイドスリーブ7の内周側には、後述する第1のピストン10が摺動可能に挿嵌されている。
また、開口側のガイドスリーブ7の突出端側(軸方向一側)には、第1のピストン10を図2、図3に示す初期位置に停止させ、そのストロークエンドを規制する環状のストッパ部7Aと、該ストッパ部7Aの内周側に位置し後述のプッシュロッド14が挿通されるロッド挿通穴7Bとが設けられている。
9は内部にブレーキ液が収容される作動液タンクとしてのリザーバで、該リザーバ9は、図1、図2に示すように管路9A,9Bを介してシリンダ本体3のボス部3D,3Eに接続され、後述の液圧室16A,16B内に対してブレーキ液を給排するものである。また、リザーバ9には、図1に示すように後述の液圧ポンプ41A,41Bに向けてブレーキ液を供給する他の管路9Cが設けられている。
10はシリンダ2のガイドスリーブ6,7内に摺動可能に設けられたプライマリピストン(以下、第1のピストン10という)で、該第1のピストン10は、図3〜図7に示す如く軸方向の一側がロッド取付部10Aとなり、軸方向の他側は有底のばね収容穴10Bとなっている。そして、第1のピストン10は、ロッド取付部10A側がガイドスリーブ7内に位置してシリンダ本体3の開口端3Aから外部に突出し、ロッド取付部10Aの内側には、後述のプッシュロッド14が抜止め状態で取付けられている。
ここで、第1のピストン10は、図3に示す如くロッド取付部10Aの開口端側が後述するガイドスリーブ7のストッパ部7Aに当接し、これにより、第1のピストン10のストロークエンドが初期位置として規制されるものである。そして、この初期位置に停止した第1のピストン10は、後述の戻しばね18、リテーナ部材19、ストッパ部材20等を介して第2のピストン11を初期位置に待機させるものである。
また、第1のピストン10のばね収容穴10B内には、後述する第1の戻しばね18の一側がリテーナ部材19を介して取付けられ、戻しばね18の端部は、ばね収容穴10Bの奥所側に配置されている。また、ばね収容穴10Bは、後述する第1の液圧室16Aの一部を形成し、後述の各通路孔12は、ばね収容穴10Bに対して径方向に開口するものである。
11はセカンダリピストン(以下、第2のピストン11という)で、該第2のピストン11は、第1のピストン10よりもシリンダ孔3Cの奥所側に位置してガイドスリーブ4,5内に摺動可能に設けられている。そして、第2のピストン11は、第1のピストン10に対してシリンダ孔3Cの軸方向に離間して配置され、第1,第2のピストン10,11間には、後述の戻しばね18がリテーナ部材19、ストッパ部材20を介して配設されている。
ここで、第2のピストン11は、有蓋筒状に形成され、第1のピストン10と軸方向で対向する一側が蓋部11Aとなって閉塞されている。また、第2のピストン11には、他側に開口するばね収容穴11Bが形成され、該ばね収容穴11B内には、後述する第2の戻しばね21の一側が配置されている。そして、ばね収容穴11Bは、後述する第2の液圧室16Bの一部を形成し、後述の各通路孔13は、ばね収容穴11Bに対して径方向に開口するものである。
12は第1のピストン10に設けられた第1の通路孔で、該第1の通路孔12は、第1のピストン10に径方向の孔加工を施すことにより形成され、ピストン10の周方向に離間して複数個(例えば、2〜8個程度)設けられている。そして、これらの通路孔12は、第1のピストン10が図3に示すようにストロークエンドの位置(初期位置)にあるときに、シリンダ本体3のサプライポート3Fを径方向孔5A,6A、環状溝6Bを介して後述の液圧室16Aに連通させる。これにより、第1の液圧室16Aとリザーバ9との間では、各通路孔12、環状溝6B、径方向孔5A,6Aを通じてブレーキ液の給排が行われるものである。
13は第2のピストン11に設けられた第2の通路孔で、該第2の通路孔13は、第2のピストン11に径方向の孔加工を施すことにより形成され、ピストン11の周方向に離間して複数個(例えば、2〜8個程度)設けられている。そして、これらの通路孔13は、第2のピストン11が図3に示す初期位置(待機位置)にあるときに、シリンダ本体3のサプライポート3Gを径方向孔4A、環状溝4Bを介して後述の液圧室16Bに連通させる。これにより、第2の液圧室16Bとリザーバ9との間では、各通路孔13、環状溝4B、径方向孔4Aを通じてブレーキ液の給排が行われるものである。
14は第1のピストン10を軸方向に押動するプッシュロッドで、該プッシュロッド14は、その一側(基端側)が図1に示すように、後述のブレーキペダル15に連結され、他側(先端側)は図3〜図7に示す如く、ピストン10のロッド取付部10Aに抜止め状態で取付けられている。
15は車両のブレーキ操作時に運転者等が踏込み操作するブレーキペダルで、該ブレーキペダル15は、プッシュロッド14を介して第1のピストン10に直結するように連結され、第1のピストン10をシリンダ孔3C内へと軸方向(図1中の矢示A方向)に押込むように踏込み操作されるものである。そして、ブレーキペダル15には、後述のストロークシミュレータ26によるブレーキ反力(ペダル反力)が第2のピストン11、第1のピストン10およびプッシュロッド14等を通じて伝達されるものである。
16A,16Bは第1,第2のピストン10,11によりシリンダ孔3C内に画成された第1,第2の液圧室で、該液圧室16A,16B内には、シリンダ孔3C内でピストン10,11が軸方向へと変位するに応じて液圧が発生する。そして、これらの液圧室16A,16Bには、シリンダ本体3に設けた第1,第2の配管ポート17A,17Bを介して後述のブレーキ配管38A,38Bが接続されるものである。
また、第1,第2の液圧室16A,16Bは、第1,第2のピストン10,11がシリンダ孔3C内を矢示A,B方向に摺動変位するときに、第1,第2のピストン10,11の通路孔12,13等によりシリンダ本体3のサプライポート3F,3Gに対して連通,遮断される。そして、第1,第2のピストン10,11が図3に示す初期位置に戻ったときには、第1,第2の液圧室16A,16Bが第1,第2のピストン10,11の通路孔12,13、シリンダ本体3のサプライポート3F,3G等を介してリザーバ9内と連通した状態に保持されるものである。
一方、ブレーキペダル15の踏込み操作により第1,第2のピストン10,11が共に図2中の矢示A方向に押動されると、ピストン10,11の通路孔12,13は、後述のシール部材23,25を通過する位置(図4、図5参照)までシリンダ孔3C内を矢示A方向に摺動変位し、これにより液圧室16A,16Bは、サプライポート3F,3G(リザーバ9内)から遮断されるものである。
18は第1のピストン10と第2のピストン11との間に配設された第1の戻しばねで、該戻しばね18は、後述のリテーナ部材19とストッパ部材20を介して第1のピストン10のばね収容穴10Bと第2のピストン11の蓋部11Aとの間に、予め決められた初期荷重(初期撓み)をもって配設されている。
そして、第1の戻しばね18は、後述する第2の戻しばね21と共に第1のピストン10を矢示B方向に常時付勢し、ブレーキペダル15の踏込み操作が解除されたときには、第1のピストン10を図2、図3に示すストロークエンド(初期位置)に戻すものである。なお、このときの付勢力(戻し力)は、後述の如く第2の戻しばね21によって実質的に発生するものである。
19は第1の戻しばね18のばね長制限部材をストッパ部材20と共に構成するリテーナ部材で、該リテーナ部材19は、図3〜図7に示すように段付筒状体として形成され、その内周側には棒状のストッパ部材20が摺動可能に挿嵌されている。そして、リテーナ部材19は、第1のピストン10のばね収容穴10B(第1の液圧室16A)内に配置され、ストッパ部材20との間で第1の戻しばね18を軸方向に縮小,伸長可能に保持するものである。
ここで、リテーナ部材19の一側端部には、径方向外向きに突出するばね受部19Aが設けられ、該ばね受部19Aは、ストッパ部材20側のばね受部20Aとの間で第1の戻しばね18を縮装状態に保つものである。また、リテーナ部材19の他側端部は、ストッパ部材20が摺動可能に挿嵌された環状蓋部19Bとなり、該環状蓋部19Bには、BBWシステムの正常動作時に図3〜図7に示す如く、ストッパ部材20の一側端部が当接し続ける。
これにより、ストッパ部材20は、第1の戻しばね18がこれ以上に伸長するのをリテーナ部材19と共に制限(規制)し、戻しばね21が最大伸長するときのばね長さを、図3〜図7に示す如く予め決められた所定長Ls に設定する。即ち、第1の戻しばね18は、システムの正常動作時に実質的に圧縮変形されることはなく、リテーナ部材19とストッパ部材20によりばね長さが所定長Ls に規制された状態に保持されるものである。
なお、BBWシステムの失陥時等に、後述の如くフェイルセーフ弁39A,39Bが開弁されると、第1の液圧室16Aは、その容積がブレーキ操作に応じて変わり、その液圧変化を後述のホイールシリンダ37Aに伝える。このため、第1の戻しばね18は、このような場合に弾性的に圧縮変形され、所定長Ls 以下のばね長さに撓むことになる。
即ち、第1の液圧室16Aが後述のフェイルセーフ弁39Aを介してホイールシリンダ37Aに連通される場合には、車両のブレーキ操作に応じて第1のピストン10が戻しばね18に抗して矢示A方向に押圧される。そして、このような場合に、第1の戻しばね18は、ストッパ部材20が筒状のリテーナ部材19内を軸方向に相対変位するのを許し、両者のばね受部19A,20A間で所定長Ls 以下のばね長さに圧縮変形されるものである。
21は第2のピストン11を初期位置に向けて付勢する第2の戻しばねで、該第2の戻しばね21は、軸方向一側の端部がばね収容穴11Bの奥所側に嵌合され、第2のピストン11に対して抜止め状態で固定されている。また、第2の戻しばね21は、軸方向他側の端部がシリンダ本体3の底部3Bに初期荷重(初期撓み)をもって当接している。
ここで、第2の戻しばね21は、第2のピストン11を図2、図3中の矢示B方向に常時付勢すると共に、所定長Ls のばね長さに保持された第1の戻しばね18を介して第1のピストン10を矢示B方向に付勢する。そして、ブレーキペダル15の踏込み操作を解除したときに、第1,第2のピストン10,11は、第2の戻しばね21によって図1〜図3に示す初期位置に戻されるものである。
この場合、第2の戻しばね21が後述の無効ストロークL2 に相当する撓み量だけ圧縮変形されるまでの間は、少なくとも第2の戻しばね21による付勢力(セット荷重)が、第1の戻しばね18による付勢力よりも小さくなるように、両者のセット荷重は予め設定されている。
これにより、第2の戻しばね21は、ブレーキ操作を解除した状態で第2のピストン11が後述の無効ストロークL2 分だけ初期位置に向けて戻るときのセット荷重(ばね荷重)が、第1の戻しばね18のセット荷重よりも小さい荷重(付勢力)となるように設定される。即ち、車両のブレーキ操作を解除した状態では、第1の戻しばね18が所定長Ls のばね長さを保持するように、第2の戻しばね21は、第1の戻しばね18よりも小さいセット荷重に設定され、第1,第2のピストン10,11は、第2の戻しばね21によって図3に示す初期位置に戻されるものである。
22はシリンダ孔3C内でガイドスリーブ6と第1のピストン10との間をシールするシール部材で、該シール部材22は、後述のシ−ル部材23〜25と同様に、例えば環状のリップシール等を用いて構成されている。そして、シール部材22は、第1のピストン10の外周面に摺接することによりシリンダ孔3C内のブレーキ液が、例えばガイドスリーブ7側から外部に漏洩するのを防ぐものである。
23はシリンダ孔3C内でガイドスリーブ5と第1のピストン10との間をシールする他のシール部材で、該シール部材23は、例えばガイドスリーブ6の端面に当接した状態でガイドスリーブ5の内周側に装着され、第1のピストン10の外周面に摺接するものである。そして、シール部材22,23は、第1のサプライポート3Fの前,後に離間してシリンダ本体3内にそれぞれ配置され、シリンダ孔3C内のブレーキ液が第1のピストン10の通路孔12を介することなく、径方向孔6A、第1のサプライポート3F側に流入,出(漏洩)するのを防ぐものである。
即ち、シール部材22,23は、ブレーキペダル15の踏込み操作に従って第1の液圧室16A内に液圧が発生するのを補償し、この液圧が通路孔12を介することなく、第1のサプライポート3F側に漏洩(逆流)するのを防ぐと共に、ガイドスリーブ7と第1のピストン10との間から液圧が外部に漏洩するのを防ぐものである。
ここで、シール部材23は、図3に示す如くガイドスリーブ6の環状溝6Bに隣接した位置で第1のピストン10との間を液密にシールし、第1のピストン10による無効ストロークL1 (例えば、L1 =1〜2mm)を第1の通路孔12との間で設定する。即ち、第1のピストン10は、ブレーキ操作により図3に示す初期位置から無効ストロークL1 分だけ矢示A方向に変位したときに、第1の通路孔12がシール部材25の位置に達し、第1の液圧室16Aが径方向孔6A,5A、第1のサプライポート3F(図2に示すリザーバ9)に対して遮断されるものである。
24はシリンダ孔3C内でガイドスリーブ5と第2のピストン11との間をシールするシール部材で、該シール部材24は、第2のピストン11の外周面に摺接することにより第1の液圧室16Aをガイドスリーブ4側に対してシールし、第1の液圧室16A内のブレーキ液がガイドスリーブ4とピストン11との間から径方向孔4A、第2のサプライポート3G側に漏洩するのを防ぐものである。
25はシリンダ孔3Cの奥所側で第2のピストン11とシリンダ孔3Cとの間をシールする他のシール部材で、該シール部材25は、例えばガイドスリーブ4の端面に当接した状態でシリンダ孔3Cの内周側に装着され、第2のピストン11の外周面に摺接するものである。これにより、シール部材25は、ブレーキペダル15の踏込み操作に従って第2の液圧室16B内に液圧が発生するのを補償し、このときの液圧が通路孔13を介することなく、例えば径方向孔4A、第2のサプライポート3G側に漏洩(逆流)するのを防ぐものである。
また、シール部材25は、図3に示す如くガイドスリーブ4の環状溝4Bに隣接した位置で第2のピストン11との間を液密にシールし、第2のピストン11による無効ストロークL2 (例えば、L2 =5〜7mm)を第2の通路孔13との間で図3に示すように設定する。即ち、第2のピストン11は、ブレーキ操作により図3に示す初期位置から無効ストロークL2 分だけ矢示A方向に変位したときに、第2の通路孔13が図4に示す如くシール部材25の位置に達し、第2の液圧室16Bが径方向孔4A、第2のサプライポート3G(図2に示すリザーバ9)に対して遮断される。
そして、第2のピストン11による無効ストロークL2 は、図3に示すように第1のピストン10による無効ストロークL1 よりも大なるストローク(即ち、L2 >L1 となる寸法関係)に設定されるものである。
26は本実施の形態で採用したストロークシミュレータで、該ストロークシミュレータ26は、後述のシミュレータケース27、蓋体29、段付ピストン30およびスプリング33等により構成されている。そして、ストロークシミュレータ26は、ブレーキペダル15の踏込み操作に従って第2の液圧室16B内に発生する液圧を後述の蓄圧室31内に蓄圧し、このときの圧力に従ってブレーキペダル15側にブレーキ反力を生じさせるものである。
27はシリンダ本体3に一体形成されたシミュレータケースで、該シミュレータケース27は、図2に示す如くシリンダ本体3に沿ってシリンダ孔3Cの軸方向に延びる筒状体として形成され、後述の蓋体29と共にストロークシミュレータ26の外殻を構成するものである。そして、シミュレータケース27内には、その一側(蓋体29側)が開口端27Aとなり、他側が後述の通液路28に連通されるピストン摺動穴27Bが、シリンダ孔3Cと平行に延びる有底穴として形成されている。
28はシリンダ本体3の軸方向他側(シリンダ孔3Cの奥所側)に設けられた通液路で、該通液路28は、図2に示す如くシリンダ孔3Cから径方向外側に向けて延びる細長い通路として形成され、ピストン摺動穴27Bの底部(他側)を介して後述の蓄圧室31に連通している。即ち、通液路28は、シリンダ本体3内の第2の液圧室16Bをシミュレータケース27内の蓄圧室31に常時連通させるものである。
29はシミュレータケース27の開口端27Aを閉塞する蓋体で、該蓋体29は、図2に示す如くシミュレータケース27の開口端27A側に螺着して取付けられている。そして、蓋体29は、シミュレータケース27のピストン摺動穴27B内に、後述の段付ピストン30との間でばね室32を形成するものである。
30はストロークシミュレータ26の可動隔壁を構成する段付ピストンで、該該段付ピストン30は、シミュレータケース27のピストン摺動穴27B内に摺動可能に挿嵌され、シミュレータケース27内を蓄圧室31とばね室32とに画成している。そして、シミュレータケース27内の蓄圧室31は、シリンダ本体3内の第2の液圧室16Bに通液路28を介して連通している。
33はシミュレータケース27のばね室32内にばね受34を介して配設された付勢部材としてのスプリングで、該スプリング33は、蓋体29と段付ピストン30との間にばね受34を介して初期荷重(初期撓み)が付与された状態で設けられている。
ここで、ストロークシミュレータ26の作動時には、ブレーキペダル15の踏込み操作に従って第2の液圧室16B内に液圧が発生すると、この液圧が通液路28を介して蓄圧室31内に導入される。そして、蓄圧室31内の液圧が上昇すると、スプリング33は撓み変形し、シミュレータケース27内の段付ピストン30が図2中の矢示C方向に摺動変位するのを許しつつ、蓄圧室31内に液圧を蓄圧させるものである。
35は蓋体29に設けられたバンプラバーを示し、該バンプラバー35は、例えば合成ゴム等の弾性材料を用いて形成され、ばね受34の一側(先端)が蓋体29に強く衝突するのを防ぐものである。即ち、ばね受34が段付ピストン30と一緒に図2中の矢示C方向に大きく変位したときには、ばね受34の先端がバンプラバー35に弾性的に当接することにより、このときのストロークエンドがバンプラバー35で規制されるものである。
このため、蓄圧室31内の圧力は、スプリング33の撓み変形により変化すると共に、バンプラバー35の弾性変形によっても変化する。そして、このときの蓄圧室31内の圧力がブレーキ反力となって、シリンダ本体3内の第2の液圧室16Bから第2のピストン11、第1の戻しばね18および第1のピストン10を介してブレーキペダル15に伝達され、例えば2段階のペダル反力を生じさせるものである。
36は合成ゴム等の弾性材料により蛇腹状をなす筒体として形成された保護ブーツで、該保護ブーツ36は、図2に示すように一側がプッシュロッド14の外周側に締代をもって取付けられ、他側はガイドスリーブ7の突出端側に抜止め状態で取付けられている。そして、保護ブーツ36は、プッシュロッド14を径方向外側から覆い、外部からの異物(例えば、雨水、ダスト等)がブーツ内に侵入するのを防ぐものである。
37A,37Bは図1に示す如く車両の車輪側に設けられる第1,第2のホイールシリンダを示し、該ホイールシリンダ37A,37Bは、例えばドラムブレーキまたはディスクブレーキ等のシリンダ部を構成し、図1に示す第1,第2のブレーキ配管38A,38Bを介してブレーキ液圧が給排されることにより、車両に制動力を付与するものである。
39A,39Bはブレーキ配管38A,38Bの途中に設けられた第1,第2のフェイルセーフ弁で、該フェイルセーフ弁39A,39Bは、後述するコントロールユニット45からの制御信号により開弁位置(a)から閉弁位置(b)に切換えられる。即ち、フェイルセーフ弁39A,39Bは、システムの正常動作時に開弁位置(a)から閉弁位置(b)に切換えられ、システムの失陥時等には開弁位置(a)に復帰するものである。
40A,40Bはホイールシリンダ37A,37Bに液圧を供給するための液圧源を構成する第1,第2の液圧ユニットで、これらの液圧ユニット40A,40Bは、ホイールシリンダ37A,37B、フェイルセーフ弁39A,39B間に位置するブレーキ配管38A,38Bの途中部位とリザーバ9の管路9Cとの間に配設されている。
そして、第1の液圧ユニット40Aは、図1に示す如くリザーバ9に管路9Cを介して接続された液圧ポンプ41Aと、該液圧ポンプ41Aの吐出側にチェック弁42Aを介して接続され常開の電磁弁からなるブレーキ液圧の供給弁43Aと、常閉の電磁弁からなるブレーキ液圧の排出弁44A等とにより構成されるものである。
また、第2の液圧ユニット40Bについても同様に、リザーバ9に管路9Cを介して接続され液圧源を構成する液圧ポンプ41Bと、該液圧ポンプ41Bの吐出側にチェック弁42Bを介して接続された常開の供給弁43B、常閉の排出弁44B等とにより構成されるものである。
45はBBWシステムの制御装置を構成するコントロールユニットで、該コントロールユニット45は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、その入力側は、ブレーキペダル15の操作検出器(以下、ペダルセンサ46という)とホイールシリンダ37A,37B側の圧力センサ47A,47B等とに接続されている。
この場合、ペダルセンサ46は、ブレーキペダル15を踏込み操作したときのストロークまたは踏力を検出するものである。また、圧力センサ47A,47Bは、ホイールシリンダ37A,37Bに供給されるブレーキ液圧を検出する。そして、コントロールユニット45は、ペダルセンサ46、圧力センサ47A,47Bからの検出信号に従ってBBWシステムが正常に動作しているか否かを判別すると共に、後述の如くブレーキ液圧の制御等を行うものである。
また、コントロールユニット45は、出力側がフェイルセーフ弁39A,39Bおよび液圧ユニット40A,40B等に接続されている。そして、コントロールユニット45は、システムの正常動作時にフェイルセーフ弁39A,39Bを閉弁位置(b)に切換えると共に、液圧ユニット40A,40Bに給電を行って液圧ポンプ41A,41Bを作動させ、ホイールシリンダ37A,37Bのブレーキ液圧を増圧、保持または減圧するために供給弁43A,43B、排出弁44A,44Bを選択的に開,閉弁させるものである。
次に、図8に示す特性線48は、ブレーキペダル15の踏込み操作に伴うストロークS(横軸)とブレーキペダル15に発生する荷重F(縦軸)との関係を示している。ここで、荷重Fとは、ブレーキペダル15の踏力またはペダル反力に対応するもので、実質的には第2の戻しばね21の付勢力と第2の液圧室16B内に発生する液圧とを合計した力(荷重)に相当するものである。
そして、特性線48のうち実線で示す特性線部48Aは、第1,第2のピストン10,11が図2、図3に示す初期位置(図8中のストロークが零の位置)から無効ストロークL2 分だけ矢示A方向に押動され、図4に示す位置まで変位した状態に相当する。このとき、ブレーキペダル15のストローク位置S1 は、初期位置から無効ストロークL2 分だけ変位した位置に該当する。
また、図8中に実線で示す特性線部48Bは、第1,第2のピストン10,11が図4に示す位置から図5に示す位置まで矢示A方向にさらに押動された状態の特性である。このとき、ブレーキペダル15のストローク位置S2 は、通常のブレーキ操作によりブレーキペダル15を踏込んだ場合のストローク位置を、一例として示したものである。
そして、このストローク位置S2 でブレーキペダル15の踏込み操作を解除すると、第1,第2のピストン10,11は、第2の液圧室16B内の液圧と第2の戻しばね21の付勢力(戻し力)とにより、図8中に二点鎖線で示す特性線部48Cに沿って戻される。このとき、第1,第2のピストン10,11は、図6に示す位置まで戻る。
その後は、図8中に二点鎖線で示す特性線部48Dに沿ってブレーキペダル15がストローク位置S1 から零の初期位置へと戻る。このとき、第1,第2のピストン10,11は、図7に示す如く第2の戻しばね21の付勢力のみにより初期位置に向けて押戻されるものである。
なお、第1の液圧室16A内は、図7に示す戻り位置を第1のピストン10が矢示B方向に通過することにより、第1の通路孔12がシール部材23の内周側を通過してガイドスリーブ6の環状溝6B、径方向孔6A,5Aおよび第1のサプライポート3Fに連通し、リザーバ9内と同様な圧力(正圧)状態に復帰するものである。
本実施の形態によるタンデム型のマスタシリンダ装置1を用いたBBWシステムは、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、BBWシステムが正常に動作する本来の状態では、コントロールユニット45からの制御信号により常開のフェイルセーフ弁39A,39Bが図1に示す開弁位置(a)から閉弁位置(b)に切換えられる。このため、シリンダ本体3内に画成された第1,第2の液圧室16A,16Bは、ホイールシリンダ37A,37Bに対して遮断された状態となる。また、第2の液圧室16Bは、ストロークシミュレータ26の蓄圧室31に通液路28を介して連通している。
そして、この状態で、車両の制動時にブレーキペダル15が踏込み操作されると、シリンダ孔3C内で第1,第2のピストン10,11が図2中の矢示A方向に押動される。このとき、第1の液圧室16Aは、フェイルセーフ弁39Aによりホイールシリンダ37Aに対して遮断されている。このため、第1のピストン10は、図3に示す通路孔12がシリンダ本体3のサプライポート3Fからシール部材23を介して遮断された段階(図4参照)で液圧ロック状態となり、第1の液圧室16Aは、その容積が一定に保持される。
しかし、第2の液圧室16Bは、通液路28を介してストロークシミュレータ26の蓄圧室31に連通されている。このため、第2のピストン11が図3に示す無効ストロークL2 分だけ矢示A方向に摺動変位し、第2の通路孔13が図4に示す如くシール部材25の位置に達し、第2の液圧室16Bが径方向孔4A、第2のサプライポート3Gに対して遮断された段階で、第2の液圧室16B内には液圧が発生する。
そして、第2の液圧室16B内では、第2のピストン11が図4〜図5に示すように矢示A方向に摺動変位するに従って液圧が上昇し、この液圧は、通液路28側からストロークシミュレータ26のシミュレータケース27(蓄圧室31)内に供給される。
このときストロークシミュレータ26は、ばね室32内のスプリング33が撓み変形するに伴って、シミュレータケース27のピストン摺動穴27B内で段付ピストン30が摺動変位し、蓄圧室31内には液圧が蓄圧される。そして、この蓄圧室31内の圧力はブレーキ反力となって、シリンダ本体3内の第2の液圧室16Bから第2のピストン11、第1の戻しばね18、第1のピストン10を介してブレーキペダル15に伝えられる。
このように、第1のピストン10が矢示A方向に摺動変位するに従って第2の液圧室16Bの液圧がさらに上昇すると、蓄圧室31内の圧力も上昇するので、これに従って、ばね室32内ではスプリング33が漸次撓み変形し、これに伴ってブレーキ反力も増大する。さらに、ばね受34の先端がバンプラバー35に当接すると、バンプラバー35が弾性変形するので、これによってもブレーキ反力が増大する。
この結果、ブレーキペダル15のペダル反力は、スプリング33とバンプラバー35とによって2段階または複数段階で変化することになり、車両の運転者には良好なペダルフィーリング(ブレーキの効き)、所謂踏み応えを与えることができる。即ち、車両の運転者に対しては、ブレーキペダル15の踏み初めが軽く、ブレーキペダル15を踏込むに従って徐々に重くなり、ある程度踏込んだ段階でいきなり重さを感じるような踏み応えを与えることができる。これにより、ブレーキペダル15の操作感を向上でき、ペダルフィーリング(踏み応え)を良好に保つことができる。
また、このようなブレーキ操作時には、ブレーキペダル15の踏込み操作をペダルセンサ46で検出することにより、コントロールユニット45から液圧ユニット40A,40Bに制御信号を出力して液圧ポンプ41A,41Bを作動できると共に、供給弁43A,43B、排出弁44A,44Bを選択的に開,閉弁することができる。
このため、車両の制動時等には、ブレーキペダル15の踏込み操作に従って液圧ポンプ41A,41Bからホイールシリンダ37A,37Bに供給するブレーキ液圧を増圧、保持または減圧でき、ブレーキペダル15の踏込み操作に対応したブレーキ液圧をホイールシリンダ37A,37Bに供給できると共に、車両の制動力制御を高精度に行うことができる。
一方、例えば液圧源となる液圧ポンプ41A,41Bが故障したり、コントロールユニット45が故障したりした場合には、前述の如きBBWシステムによる自動的なブレーキ液圧の制御が失効する。そして、このようなシステムの失陥時には、コントロールユニット45からフェイルセーフ弁39A,39Bに制御信号が出力されず、フェイルセーフ弁39A,39Bは図1に示す開弁位置(a)に自動的に復帰する。これにより、マスタシリンダ装置1は、シリンダ本体3内の第1,第2の液圧室16A,16Bがブレーキ配管38A,38Bを介してホイールシリンダ37A,37Bに連通した状態となる。
このため、車両の制動時等にブレーキペダル15が踏込み操作されると、シリンダ孔3C内で第1,第2のピストン10,11が共に軸方向に押動され、第1,第2の液圧室16A,16Bには、ブレーキペダル15の踏込み操作に対応した液圧が発生する。そして、第1,第2の液圧室16A,16B内に発生した液圧は、ブレーキ配管38A,38Bを介してホイールシリンダ37A,37Bにブレーキ液圧として供給され、この場合でも、ブレーキペダル15の踏込み操作に対応したブレーキ液圧をホイールシリンダ37A,37Bに供給することができる。
ところで、シリンダ2内に設けたシール部材22〜25のうち、第1のピストン10の外周面に摺接するシール部材23と第2のピストン11の外周面に摺接するシール部材25とは、ピストン10,11の摺動変位(矢示A,B方向の変位)に伴って弾性的に撓み変形するばかりでなく、第1,第2の液圧室16A,16B内での液圧変化によっても撓み変形する。
このため、ブレーキペダル15の踏込み操作時と解除時とでは、シール部材23が第1の通路孔12に対して相対的に位置ずれすることがあり、シール部材25についても、第2の通路孔13に対して相対的な位置ずれが生じる。そして、このようなシール部材23,25の位置ずれが原因となって、第1,第2の液圧室16A,16B内には負圧が発生し易くなる。
即ち、ブレーキペダル15の踏込み操作を解除した状態で、第1,第2のピストン10,11が戻しばね18,21によって図3に示す初期位置へと戻されるときには、前記シール部材23,25の位置ずれと無効ストロークL1 ,L2 との影響により、第1,第2の液圧室16A,16B内が負圧傾向となる可能性がある。特に、第1の液圧室16A内が負圧傾向になると、第1のピストン10の戻り動作が不安定となって、これがブレーキペダル15に直接的に伝えられ、ブレーキのペダルフィーリングが低下する原因になる。
そこで、本実施の形態によれば、ストロークシミュレータ26を第1の液圧室16Aではなく、第2の液圧室16Bに接続して設け、第2のピストン11による無効ストロークL2 を、第1のピストン10による無効ストロークL1 よりも大なるストローク(L2 >L1 )に設定し、第2の戻しばね21は、少なくとも無効ストロークL2 分だけ圧縮変形される間、第1の戻しばね18よりも付勢力が小さくなるようにセット荷重を設定する構成としている。
このため、車両のブレーキ操作時には、第2の戻しばね21が第1の戻しばね18よりも先に撓み変形し、これに伴う第2の液圧室16B内の液圧変化をストロークシミュレータ26に伝えることにより、第2の液圧室16B内に発生する液圧をストロークシミュレータ26に蓄圧しつつ、ブレーキペダル15に対しては、この液圧をブレーキ反力として伝えることができ、車両の運転者に良好な踏み応えを与えることができる。
そして、車両のブレーキ操作を解除して第1,第2のピストン10,11が初期位置に戻るときには、両者の無効ストロークL1 ,L2 (L2 >L1 )と第1,第2の戻しばね18,21によるセット荷重との関係から、第1の液圧室16Aに負圧を発生させることなく、第1のピストン10を初期位置まで円滑に戻すことができる。
この場合、第2のピストン11が図6に示す位置(第2の通路孔13がシール部材25で閉塞され、図3に例示した無効ストロークL2 に達する位置)まで戻ったときに、第2の液圧室16B内には負圧が発生することがある。しかし、第2のピストン11は、第1のピストン10よりもシリンダ本体3の底部3B側に位置し、第1,第2のピストン10,11とシリンダ2との間に設けたシール部材22〜25による摺動抵抗の影響を全て受けながら、第1の戻しばね18よりもセット荷重が小さい第2の戻しばね21により初期位置に向けて押戻す方向に付勢されている。
このため、第2の戻しばね21は、図6〜図7に示す如く第2のピストン11を初期位置に向けシール部材22〜25の摺動抵抗に抗して付勢するときに、第2の液圧室16B内に発生した負圧による影響が前記摺動抵抗によってほとんど相殺される。これにより、第2のピストン11の戻り動作が負圧の影響で遅くなったり、速くなったりするように変化するのを抑制することができる。
従って、本実施の形態によれば、車両のブレーキ操作を解除したときに第1,第2のピストン10,11を図1に示す初期位置まで円滑に戻すことができ、第1のピストン10にプッシュロッド14を介して連結(実質的に直結)されるブレーキペダル15の戻り動作を安定させると共に、ブレーキペダル15の引っ掛り感等の発生を抑えることができ、ブレーキのペダルフィーリングを向上することができる。
また、第1の戻しばね18には、リテーナ部材19とストッパ部材20とをばね長制限部材として設け、第1の戻しばね18が最大伸長するときのばね長さを所定長Ls に制限する構成としている。このため、車両のブレーキ操作時には、第2の戻しばね21を第1の戻しばね18よりも先に撓み変形させ、第1の戻しばね18は、少なくともシステムの正常動作時に図3〜図5に示す如く所定長Ls のばね長さに保持しておくことができる。
そして、ブレーキ操作を解除したときにも、図5〜図7に示す如く第1の戻しばね18を所定長Ls に保持した状態で、第1,第2のピストン10,11が無効ストロークL2 (図8に示すストローク位置S1 )に達する位置まで戻る設定とすることにより、第1の液圧室16A内が負圧状態となるのを防ぎ、ブレーキペダル15の戻り動作を安定させることができる。
また、ストロークシミュレータ26のシミュレータケース27をシリンダ本体3に一体形成する構成とすることにより、ストロークシミュレータ26を付設したマスタシリンダ装置1の構造を簡素化することができ、装置の製造、組立て時にわたる作業性を向上することができる。
なお、前記実施の形態では、ストロークシミュレータ26のシミュレータケース27をシリンダ本体3に一体形成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばストロークシミュレータのシミュレータケース等をシリンダとは別体に形成し、両者の間を可撓性ホース等の配管で接続する構成としてもよいものである。
また、前記実施の形態では、シリンダ2をシリンダ本体3とガイドスリーブ4〜7とにより構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上述した特許文献1(特開2005−104333号公報)と同様に、第1,第2ピストンをシリンダ内に直接的に挿嵌して設ける構成としてもよいものである。
また、前記実施の形態では、リテーナ部材19とストッパ部材20を用いて、第1の戻しばね18が最大伸長するときのばね長さを所定長Ls に制限する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばブレーキ操作の開始時に第2の戻しばねが第1の戻しばねよりも先に撓み変形するように、第2のピストンが初期位置から少なくとも無効ストロークL2 分だけ撓み変形するまでの間、第2の戻しばねのセット荷重を、第1の戻しばねのセット荷重よりも小さい荷重(付勢力)に設定する構成とすればよいものである。