JP4589541B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮永久歪みの改良されたイソブチレン系ブロック共重合体を主成分とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴム的な軟質材料であって、加硫工程を要せず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有する熱可塑性エラストマーが注目されている。このような熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリスチレン系等のポリマーが開発され、市販されている。これら熱可塑性エラストマーはそれ自身単独で使用されることもあるが、ユーザーの多様なニーズに応えるべく、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーを種々組み合わせた樹脂組成物が検討されている。特にポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系エラストマー及び軟化剤からなる樹脂組成物は硬度、成形加工性等をバランス良く兼ね備えた材料として広く用いられるに至っている。
【0003】
このような熱可塑性エラストマーとして、イソブチレン系ブロック共重合体が知られている。イソブチレン系ブロック共重合体においては、例えば、米国特許公報US-RE34640において、スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体を重合する方法が開示されている。このようなイソブチレン系ブロック共重合体は、耐熱耐候性がすぐれており、高いガスバリアー性を発揮し、また、そのリサイクル性から、すぐれた材料として注目されている。しかしながら、これらのイソブチレン系ブロック共重合体は、その圧縮永久歪みが大きく、弾性回復性に劣るため、密封用材などとして使用すると徐々に密封性が低下するなどの問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手段として、イソブチレン系ブロック共重合体と、架橋ゴムから得られる圧縮永久歪みを改善した熱可塑性樹脂組成物が知られている(WO98/14518)。しかしながら、ゴム成分の架橋工程が必要となるばかりでなく硫黄化合物や含ハロゲン化合物等の架橋剤が環境汚染の原因となることが指摘されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、環境負荷が小さく簡便な手段により圧縮永久歪みの改良されたイソブチレン系ブロック共重合体を主成分とする熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体と、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる組成物において圧縮永久歪みが改善されることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は次の発明に関する。
(1)イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体99〜50重量%と、ポリフェニレンエーテル系樹脂1〜50重量%からなる熱可塑性エラストマー組成物(請求項1)。
(2)イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体95〜70重量%と、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜30重量%からなる請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物(請求項2)。
(3)イソブチレン系ブロック共重合体が5〜50重量%の芳香族ビニル化合物単位および95〜50重量%のイソブチレン単位を含有してなることを特徴とする、請求項1および2記載の熱可塑性エラストマー組成物(請求項3)。
(4)イソブチレン系ブロック共重合体中の芳香族ビニル化合物単位とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計が10〜50重量%であることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性エラストマー組成物(請求項4)。
(5)ポリフェニレンエーテル系樹脂がポリフェニレンエーテル100〜50重量%とポリスチレン0〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜4記載の熱可塑性エラストマー組成物(請求項5)。
【0008】
なお、国際公開特許WO92/14790にはポリフェニレンエーテル系樹脂とイソブチレン系ブロック共重合体との組成物が開示されているがポリフェニレンエーテル系樹脂の耐衝撃性を改善することを目的とするものであり、本発明とは重合体の組成比が異なる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体にポリフェニレンエーテル系樹脂を添加することにより圧縮永久歪みが改善される。
【0010】
本発明で使用しうるイソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体主成分とする重合体ブロックを有しているものであれば特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能である。
【0011】
また本発明のイソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックは、イソブチレン以外の単量体を含んでいても含んでいなくても良く、通常、イソブチレンを60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロック成分である。イソブチレン以外の単量体としてはカチオン重合可能な単量体が好ましく、例えば次のような単量体等が挙げられる。芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0012】
脂肪族オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0013】
ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
ビニルエーテル系単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0015】
シラン化合物としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明の芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体ブロックは、芳香族ビニル系単量体の含有量が60重量%以上、好ましくは80重量%以上である重合体ブロック成分を示す。芳香族ビニル系単量体としては、例えば上記のような芳香族ビニル系単量体があげられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を使用することが好ましく、コストの面からスチレン、α−メチルスチレン、あるいはこれらの混合物を用いることが特に好ましい。
【0017】
イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体主成分とするブロックの割合に関しては、特に制限はないが、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックが95から50重量%、芳香族ビニル化合物を単量体主成分とする重合体ブロックが5から50重量%であることが好ましい。イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックが95重量%を超えると十分な凝集力が得られず弾性回復力が低下する傾向があり、50重量%未満になると硬度が高くなり弾性材料としては好ましくない。また本発明のイソブチレン系ブロック共重合体の好ましい構造としては、得られる組成物の物性および加工性の点から、芳香族ビニル系単量体を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系単量体を単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるトリブロック共重合体、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系単量体を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるトリブロック共重合体、芳香族ビニル系単量体を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるジブロック共重合体、及び、芳香族ビニル系単量体を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0018】
イソブチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量にも特に制限はないが、物性および加工性の面から、3000〜1000000であることが好ましく、5000〜500000であることが特に好ましい。イソブチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量が上記範囲よりも低い場合には組成物の物性が十分に発現されにくく、一方上記範囲を超える場合には加工性の面で不利となる傾向がある。特に、押出成形により樹脂組成物のフィルムを作成する場合は、イソブチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量が20000〜100000にすることで、フィルムの表面性が改良され、加工性の面で最も好ましい。
【0019】
イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されないが、構造の制御されたブロック共重合体を得るためには、下記一般式(1)で表される化合物の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体及び芳香族ビニル系単量体等のイソブチレンを主成分としない単量体成分を重合することが好ましい。
(CR1R2X)nR3 (1)
式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基及び炭素数1〜6のアシロキシル基からなる群から選択される置換基を表す。R1及びR2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R1及びR2は、同一であっても異なっていても良い。また、複数存在するR1及びR2は、それぞれ、同一であっても異なっていても良い。R3は、n個の置換基を有することができる多価の芳香族炭化水素基又は多価の脂肪族炭化水素基を表す。nは、1〜6の自然数を表す。
【0020】
上記ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアルコキシル基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−又はイソプロポキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアシロキシル基としては特に限定されず、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基等が挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)で表わされる化合物は開始剤となるものでルイス酸等の存在下炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C6H5C(CH3)2Cl]、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,4−Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3−Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl]、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3,5−(ClC(CH3)2)3C6H3]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン[1,3−(C(CH3)2Cl)2-5−(C(CH3)3)C6H3]。
【0022】
これらの中でも特に好ましいのは1−クロル−1−メチルエチルベンゼン[C6H5C(CH3)2Cl]、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH3)2)3C6H3]である。なお1−クロル−1−メチルエチルベンゼンは、α−クロロイソプロピルベンゼン、2−クロロ−2−プロピルベンゼンあるいはクミルクロライドとも呼ばれ、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも呼ばれ、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはトリクミルクロライドとも呼ばれる。
【0023】
上記重合反応においては、ルイス酸触媒を共存させることができる。ルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl4、TiBr4、BCl3、BF3、BF3・OEt2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3、AlBr3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。なかでも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl4、BCl3、SnCl4が好ましい。
【0024】
上記ルイス酸触媒の使用量としては特に限定されず、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。
【0025】
上記重合反応においては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって分子量分布の狭い構造が制御された重合体が生成する。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
【0026】
上記重合反応は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフィン油等を挙げることができる。
【0027】
これらの溶媒は、ブロック共重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して単独又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0028】
上記溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50重量%、好ましくは3〜35重量%となるように決定される。
【0029】
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。
【0030】
上記重合反応は、バッチ式(回分式又は半回分式)で行ってもよいし、重合反応に必要な各成分を連続的に重合容器内に加える連続式で行ってもよい。
【0031】
また芳香族ビニル系単量体を単量体主成分としてなる重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分としてなる重合体ブロックから形成されるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマーを製造する方法としては特に制限はないが、例えば、3つ以上のカチオン重合開始点を有する化合物の存在下に芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体及びイソブチレンを主成分とする単量体成分を重合する方法、芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体及びイソブチレンを主成分とする単量体成分を重合してジブロック共重合体を製造し、その後に、多官能性化合物をカップリング剤(結合剤)として用いて、上記ジブロック共重合体をカップリング(結合)させる方法、等が挙げられる。
【0032】
上記多官能性化合物としては、1分子あたり3つ以上のカップリング可能な反応点(官能基)を有する化合物等を使用することができる。1分子あたり2つの反応点を有する化合物が重合又は反応することにより重合体を形成して3つ以上の反応点(官能基)を有することができる場合は、使用を妨げるものではない。
【0033】
このような多官能性化合物としては、例えば、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,8−ジビニルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニル−4,5,8−トリブチルナフタレン、2,2’−ジビニル−4−エチル−4’−プロピルビフェニル等のジビニル芳香族系化合物; 1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、3,5,4’−トリビニルビフェニル、1,5,6−トリビニル−3,7−ジエチルナフタレン等のトリビニル芳香族系化合物; シクロヘキサンジエポキシド、1,4−ペンタンジエポキシド、1,5−ヘキサンジエポキシド等のジエポキシド; 2,4−ヘキサン−ジオン、2,5−ヘキサン−ジオン、2,6−ヘプタン−ジオン等のジケトン; 1,4−ブタンジアール、1,5−ペンタンジアール、1,6−ヘキサンジアール等のジアルデヒド; シロキサン系化合物又はカリックスアレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせても使用可能である。
【0034】
これらの中でも反応性、得られる星状ポリマーの物性等の点から、ジビニル芳香族化合物が好ましく使用され、特に好ましいのは1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン及び1,4−ジプロイソペニルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種である。上記化合物は、例えばエチルビニルベンゼン等との混合物として通常市販されており、上記ジビニル芳香族系化合物が主たる成分であればそのまま使用することが可能であり、必要に応じて精製し純度を高めて用いてもよい。
【0035】
本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂(以下PPO樹脂と称する)としては、例えば次のようなものがあげられる。
この樹脂は以下の一般式で表される単位を含有するホモ−及び/又はコポリマーである。
【0036】
【化1】
式中、R4、R5、R6及びR7は、独立に、水素、ハロゲン、炭化水素基及び置換炭化水素基であることができる。
【0037】
周知のPPO樹脂を使用することができ、その例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられる。更に、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−ブチルフェノール)のコポリマーも使用することができる。これらの中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。本発明において意図しているポリフェニレンエーテル樹脂成分は、米国特許第3,306,874号、第3,306,875号、第3,257,357号、第3,257,358号に記載されている方法に従って製造することができる。
【0038】
変性されたPPO樹脂もまた場合によって本発明において使用することができる。それは、PPO樹脂を変性剤で変成することによって製造できる。有用な変性剤の例として、エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に有する化合物が挙げられる。具体的な例として無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、マレイミド、そのN−置換化合物、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、及びメタクリル酸グリシジルが挙げられる。これらの化合物はPPO樹脂存在下にグラフト等の重合がなされる。これらの化合物のなかでは無水マレイン酸が好ましい。
【0039】
また、ポリスチレンの添加により加工性の改良されたPPO樹脂を用いることもできる。ポリスチレンを添加したPPO樹脂を用いることにより、イソブチレン系ブロック共重合体とPPO樹脂との溶融混練温度を低下することができる。ポリフェニレンエーテルとポリスチレンとの割合は、ポリフェニレンエーテル100〜50重量%に対してポリスチレン0〜50重量%が好ましい。ポリスチレンが50重量%をこえると、圧縮永久歪みの改良効果が小さくなる傾向がある。
【0040】
イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体と、ポリフェニレンエーテル系樹脂から得られる組成物はイソブチレン系ブロック共重合体99〜50重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂1〜50重量%である。イソブチレン系ブロック共重合体が99重量%をこえ、ポリフェニレンエーテル系樹脂1重量%未満であると圧縮永久歪みに改善が見られず、イソブチレン系ブロック共重合体50重量%未満、ポリフェニレンエーテル系樹脂50重量%こえると硬度が高くなり弾性材料としては好ましくなくなる。最も好ましくは、イソブチレン系ブロック共重合体が95〜70重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜30重量%である。
【0041】
イソブチレン系ブロック共重合体中の芳香族ビニル化合物単位とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計は10〜50重量%であることが好ましい。10重量%未満であると芳香族のドメインが形成されず、圧縮永久歪みに改善が見られず、50重量%をこえると硬度が上昇し、成形性が悪くなる。
【0042】
本発明においては、場合によっては熱可塑性樹脂や充填剤、安定剤、難燃剤等の添加剤を加えてもよい。
【0043】
本発明で用いられる組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、攪拌機を備えた溶融釜あるいは一軸または二軸の押出機を用いて機械的に混合する方法を用いることができる。このときに、必要に応じて加熱することも可能である。また、適当な溶剤に配合剤を投入し、これを攪拌することによって組成物の均一な溶液を得た後、溶剤を留去する方法も用いることができる。
【0044】
本発明の組成物は自動車部品、家庭用電気製品の部品、電線被覆材料、医療器具部品、雑貨、履き物、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材等種々の用途に有効に使用できる。
【0045】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。以下に実施例に先立ち、測定法、評価法等について説明する。
(圧縮永久歪み)
JISK6262に準拠し、圧縮永久歪みを測定した。保持温度は100℃、保持時間は22時間、歪みは25%とした。
(硬度)
JIS6253に準拠し、タイプAデュロメータ−を用い2秒後の硬度を測定した。
(引張破断強度)
JISK6251に準拠し、引張試験を行った。試験片は2mm厚プレスシートをダンベルで3号型に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(引張破断伸び)
JISK6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(重量平均分子量)
重量平均分子量はWaters社製510型GPCシステム(溶媒としてクロロホルムを使用し、流量は1mL/分とした)により測定し、ポリスチレン換算の値を示した。
(動的粘弾性測定)
試料となる組成物のシートから縦6mm×横5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)を用い、測定温度−100℃〜200℃、測定周波数0.5Hzにおいてせん断モードでの動的粘弾性を測定した。得られたスペクトルから拘束相のTgをtanδのピーク値でよみとった。
【0046】
(参考例1 イソブチレン系ブロック共重合体の製造)
攪拌機付き2L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)690mL、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)663mL、p−ジクミルクロライド0.252gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン0.203g、イソブチレン68gを添加した。さらに四塩化チタン8.6mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら3時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン41.2gを添加し、さらに3時間反応を続けた後、反応溶液を大量の水中へあけて反応を停止させた。
【0047】
有機層と水層の分離状況を目視で確認したところ、分離性は良好であり分液ロートで容易に分別できた。水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから有機層を大量のメタノール中に注いで重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することによりイソブチレン系ブロック共重合体(SIBS−1)を得た。
該イソブチレン系ブロック共重合体(SIBS)のGPC分析を行ったところ、重量平均分子量が119,000、分子量分布が2.2であった。また1H−NMRにより求めたスチレンの含有量は30重量%であった。
【0048】
(参考例2 イソブチレン系ブロック共重合体の製造)
攪拌機付き2L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)686mL、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)658mL、p−ジクミルクロライド0.253gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン0.205g、イソブチレン90.5gを添加した。さらに四塩化チタン2.2mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら3時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン18.1gを添加し、さらに2.5時間反応を続けた後、反応溶液を大量の水中へあけて反応を停止させた。
【0049】
有機層と水層の分離状況を目視で確認したところ、分離性は良好であり分液ロートで容易に分別できた。水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから有機層を大量のメタノール中に注いで重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することによりイソブチレン系ブロック共重合体(SIBS−2)を得た。
該イソブチレン系ブロック共重合体(SIBS)のGPC分析を行ったところ、重量平均分子量が100,600、分子量分布が2.0であった。また1H−NMRにより求めたスチレンの含有量は15重量%であった。
【0050】
(実施例1)
参考例1で得られたイソブチレン系ブロック共重合体100重量部とPPO樹脂として、Noryl EFN4230(日本ジーイープラスチック株式会社製)12重量部をプラストミルを用いて250℃で5分混練し、圧縮永久歪み、硬度、拘束相のTgを測定した。結果を表2に示す。
【0051】
(実施例2)
参考例1で得られたイソブチレン系ブロック共重合体100重量部とPPO樹脂として、Noryl EFN4230(日本ジーイープラスチック株式会社製)22.5重量部をプラストミルを用いて250℃で5分混練し、圧縮永久歪み、硬度、拘束相のTgを測定した。結果を表2に示す。
【0052】
(実施例3)
参考例1で得られたイソブチレン系ブロック共重合体100重量部とPPO樹脂として、Noryl EFN4230(日本ジーイープラスチック株式会社製)40重量部をプラストミルを用いて250℃で5分混練し、圧縮永久歪み、硬度、拘束相のTgを測定した。結果を表2に示す。
【0053】
(比較例1)
参考例1で得られたイソブチレン系ブロック共重合体100重量部をプラストミルを用いて250℃で5分混練し、圧縮永久歪み、硬度、拘束相のTgを測定した。結果を表2に示す。
【0054】
(参照例1)参考例2で得られたイソブチレン系ブロック共重合体100重量部とPPO樹脂として、Noryl EFN4230(日本ジーイープラスチック株式会社製)20重量部をプラストミルを用いて250℃で5分混練し、圧縮永久歪み、硬度、拘束相のTgを測定した。結果を表2に示す。
【0055】
(参照例2)参考例2で得られたイソブチレン系ブロック共重合体100重量部とPPO樹脂として、Noryl EFN4230(日本ジーイープラスチック株式会社製)32.5重量部をプラストミルを用いて250℃で5分混練し、圧縮永久歪み、硬度、拘束相のTgを測定した。結果を表2に示す。
【0056】
(比較例2)
参考例2で得られたイソブチレン系ブロック共重合体100重量部をプラストミルを用いて250℃で5分混練し、圧縮永久歪み、硬度、拘束相のTgを測定した。結果を表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
以上のことから、本発明の重合体組成物は、拘束相のTgが向上するとともに圧縮永久歪みが改善されていることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の重合体組成物は、イソブチレン系ブロック共重合体にポリフェニレンエーテル系樹脂を添加するという、環境負荷が小さく簡便な手段により、圧縮永久歪みの改良された材料を提供しうるものである。
Claims (4)
- イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなる直鎖状イソブチレン系ブロック共重合体95〜70重量%と、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜30重量%からなり、
直鎖状イソブチレン系ブロック共重合体が、30〜50重量%のスチレン単位および70〜50重量%のイソブチレン単位を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - 直鎖状イソブチレン系ブロック共重合体100重量部に対して、12〜40重量部のポリフェニレンエーテル系樹脂を含む、請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 直鎖状イソブチレン系ブロック共重合体中の芳香族ビニル化合物単位とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計が37.5〜50重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- ポリフェニレンエーテル系樹脂がポリフェニレンエーテル100〜50重量%とポリスチレン0〜50重量%からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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