JP4591082B2 - 固化体の製造方法及び現場打ち固化体の施工方法 - Google Patents
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Description
以上のような理由から、従来では、溶銑脱硫スラグのような遊離CaOを多く含み且つ微粉の割合が多いスラグを炭酸固化体の原料とすることは困難であると考えられている。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、微粉の割合が多い原料からでも適正な品質を有する固化体を安定して得ることができ、しかも、炭酸ガス源がない場所でも製造又は現場打ち施工が可能な固化体の製造方法及び現場打ち固化体の施工方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、溶銑脱硫スラグのような遊離CaOを多く含み且つ微粉の割合が多い粉状のスラグからでも、遊離CaOの残存量が少ない適正な品質の固化体を安定して得ることができる固化体の製造方法及び現場打ち固化体の施工方法を提供することにある。
[1] 未炭酸化Ca含有原料を造粒中に炭酸ガスと接触させて炭酸化反応で固結させることにより得られた炭酸固化造粒物からなり、且つ遊離CaO含有量(但し、CaO換算のCa(OH)2含有量を含む。)が1mass%以上である粒状炭酸固化体に、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と水を加えて混練し、該混練物を粒状炭酸固化体が含有する遊離CaOとポゾラン反応性を有するシリカ含有物質との反応により固結させることを特徴とする固化体の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、粒状炭酸固化体に、さらに植物の肥料成分を加えて混練することを特徴とする固化体の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法により得られた固化体からなることを特徴とする植生用プレート。
[6]上記[5]の施工方法において、粒状炭酸固化体に、さらに植物の肥料成分を加えて混練することを特徴とする現場打ち固化体の施工方法。
[7]上記[5]又は[6]の施工方法において、未炭酸化Ca含有原料の少なくとも一部が溶銑脱硫スラグであることを特徴とする現場打ち固化体の施工方法。
また、本発明法によれば、事前に製造された粒状炭酸固化体とポゾラン反応性を有するシリカ含有物質があれば、どのような場所においても固化体を製造又は現場打ち施工することができる。
まず、本発明により製造される固化体の主材料となる粒状炭酸固化体について説明する。
粒状炭酸固化体は、未炭酸化Ca含有原料を炭酸ガスと接触させて炭酸化反応で固結させることにより得られるものであり、その原料や製法は特に限定されない。この粒状炭酸固化体としては、例えば、従来法のように型枠内に形成され又は適当な場所に山積みされた原料層に炭酸ガスを吹き込んで炭酸固化体を製造し、これを破砕処理(さらに、必要に応じて整粒処理)して得られたもの、同様の炭酸固化体が炭酸化不足で一部又が全部が粒状に崩壊したもの、後述する炭酸化造粒により得られるもの、などの1種以上を用いることができる。
但し、粒状炭酸固化体に遊離CaOが過剰に残存していると、固化体を製造する際にポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と反応しきれない遊離CaOが残り、この遊離CaOに起因した膨張割れやCaOの溶出の恐れがあるため、粒状炭酸固化体中の遊離CaO含有量は7mass%以下とすることが好ましい。
また、粒状炭酸固化体の粒度は特に限定しないが、1〜5mm程度の粒度分布を有するものが造粒しやすい。但し、それ以上の粒度(例えば、10mm以上)を有するものも造粒可能である。
なお、未炭酸化Ca含有原料の種類や好ましい条件などについては、後に詳述する。
であることが好ましい。このような炭酸固化造粒物は、原料の造粒中に炭酸化反応が生じて造粒物が炭酸固化するため、内部まで十分に炭酸化がなされ、このため微粉の割合が多い原料や溶銑脱硫スラグなどのような遊離CaOの含有量が高く且つ微粉の割合が多い原料からでも、水和膨張による崩壊性が低く且つ遊離CaO含有量を必要最小限まで低減させた粒状炭酸固化体を安定して得ることができるからである。
水分を含んだ粉粒状の原料の造粒では、微粉分をある程度含んだ原料の方が造粒性は良好である。上記炭酸化造粒も粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を造粒しつつ炭酸固化させるものであるため、高い造粒性を得るには、原料は微粉をある程度含んだものであることが好ましい。このような観点から、未炭酸化Ca含有原料としては、粒径0.3mm以下の粒子の割合が30mass%以上のものを用いることが好ましい。
したがって、溶銑脱硫スラグなどのように従来技術では利用できなかった遊離CaOの含有量が高く且つ微粉の割合が多いスラグであっても原料として問題なく使用でき、このようなスラグを原料とする場合に特に適している。また、溶銑脱硫スラグは硫黄分(CaS)を含んでいるが、炭酸化造粒では原料と炭酸ガスとが効率的に接触するため、硫黄分を酸化させて安定化させるのにも効果がある。
未炭酸化Ca含有原料の造粒は炭酸ガス存在下で行われ、このため原料造粒部には炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガス(以下、説明の便宜上「炭酸ガス」という)が供給される。これらガスの詳細については、後に詳述する。
このような炭酸化造粒による粒状炭酸固化体の製法によれば、未炭酸化Ca含有原料の造粒物を炭酸固化させつつ順次成長させていくため、個々の原料粒子の内部や造粒物中心部までしっかりと炭酸化させることができる。このため遊離CaOを多く含み且つ微粉が多いスラグを原料とした場合であっても、適正な品質の粒状炭酸固化体を製造できる。
機体1内に水分を含んだ未炭酸化Ca含有原料xが入れられ、この未炭酸化Ca含有原料xは、機体1が回転することにより撹拌用ブレード2で掻き上げられるようにして撹拌され、造粒される。この造粒中、ガス供給管3から炭酸ガスが供給されることで造粒物が炭酸固化し、粒状炭酸固化体が得られる。この粒状炭酸固化体は造粒の進行とともに成長し、径が大きくなるので、造粒時間を調整することにより、任意の径の粒状炭酸固化体を得ることができる。
この固化体の製造工程では、主材料である粒状炭酸固化体に、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と水を加えて混練し、この混練物を、粒状炭酸固化体から溶出する遊離CaOとポゾラン反応性を有するシリカ含有物質との反応により固結(水和硬化)させる。
物質のポゾラン反応性とは、外部のアルカリと反応して不溶性のlCaO−mSiO2−nH2Oゲル(CSHゲル)を生成して硬化する特性であり、粒状炭酸固化体に添加されるポゾラン反応性を有するシリカ含有物質は、粒状炭酸固化体から溶出する遊離CaOとの間でポゾラン反応を起こし、不溶性のCSHゲルを生成する。そして、粒状炭酸固化体は、このCSHゲルをバインダーとして固結し、所望の固化体が得られる。
また、粒状炭酸固化体には、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質以外の第三成分を適量配合してもよい。この第三成分としては、例えば、植物(陸上植物、海藻類)の肥料成分などが挙げられる。この植物の肥効成分としては、窒素、リン酸、カリ、ケイ酸等の1種以上を含む物質が好ましく、一般に市販されている肥料の他に、高炉スラグ、溶銑脱燐スラグ、溶銑脱珪スラグ、これらスラグに他の成分を添加したものなどを用いることができる。また、固化体の用途に応じて、植物の肥料成分以外の第三成分を加えてもよい。
また、第三成分を配合する場合には、粒状炭酸固化体を利用して固化体を得るという本発明の主旨からして、粒状炭酸固化体+第三成分中での粒状炭酸固化体の割合は50mass%以上、好ましくは70mass%以上、さらに好ましくは90mass%以上とするのが適当である。なお、第三成分が植物の肥料成分である場合には、通常の施肥量が10アール(深さ30cm)当たり100kg前後であるので、例えば、原料中で1/5000g/cm3〜1/1000g/cm3程度配合すればよい。
粒状炭酸固化体に、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と水、さらに必要に応じて第三成分を添加し、これをミキサー等を用いて混練する。そして、この混練物を、通常は型枠などに入れて成型し、水和硬化させ、硬化後、脱枠して固化体を得る。また、保形性のよい原料の場合には、型枠などで成型した後すぐに脱枠し、その状態で水和硬化させもよい。
本発明により製造される固化体は、漁礁・藻礁造成用石材、築磯用石材などの海洋土木用材料のほか、植生用ベース材(例えば、植生用プレートなど)、水耕栽培用ベース材、水質浄化用石材、水濾過材、通水性舗装用石材、浄水用フィルター材をはじめとする種々の用途に適用することができる。
本発明の現場打ち固化体の施工方法では、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸ガスと接触させて炭酸化反応で固結させることにより得られ、且つ遊離CaO含有量(但し、CaO換算のCa(OH)2含有量を含む。)が1mass%以上である粒状炭酸固化体に、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と水を加えて混練した後、該混練物を施工部に打設し、粒状炭酸固化体が含有する遊離CaOとポゾラン反応性を有するシリカ含有物質との反応により固結させることで現場打ち固化体を施工するものである。
この現場打ち固化体の施工方法において、粒状炭酸固化体の好ましい条件や製造条件、固化体用の原料配合条件などは、さきに述べた固化体の製造方法と同様である。
固化体の現場打ち施工は、粒状炭酸固化体に、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と水、さらに必要に応じて第三成分を添加し、これをミキサー等を用いて混練する。そして、この混練物を施工部に流し込み、水和硬化させて固定の固化体とする。
本発明により現場打ち施工される固化体は、これを構成する個々の粒状炭酸固化体が無数の貫通気孔を有する多孔質体であるため保水性が極めて高く、また、集合した粒状炭酸固化体間には植物が根を張ることが可能な空隙が形成されるため、特に陸上植物を直接植え付けるのに好適な、保水性の高い植生用基盤とすることができる。このような植生用基盤は、建物の屋上・テラス・ベランダなど、庭、道路周辺(中央分離帯も含む)の緑化帯等に設置し、芝などの植物を植えるのに好適であり、また、歩道などの路面においては芝の生える透水性舗装として用いることもできる。このような保水性の高い植生用を用いることにより、その保水効果によって所謂ヒートアイランド現象の抑制にも役立てることができる。
粉粒状の未炭酸化Ca含有原料の粒度に特別な制限はないが、炭酸化造粒で粒状炭酸固化体を製造する場合には、さきに述べたように微粉分をある程度含んだ原料の方が造粒性は良好である。
粉粒状の未炭酸化Ca含有原料としては、少なくとも組成の一部として未炭酸化Caを含むものであれば特に制限はないが、未炭酸化Caの含有率が高く、しかも資源のリサイクルを図ることができるという点で、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、コンクリート(例えば、廃コンクリート)などが特に好ましい。一般に、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグのCaO含有量(遊離CaO以外のCaOを含む。)は約13〜60mass%、また、コンクリート(例えば、廃コンクリート)のCaO含有量(遊離CaO以外のCaOを含む。)は約5〜15mass%であり、また、これらは入手も容易であるため、未炭酸化Ca含有原料として極めて好適な素材であるといえる。したがって、未炭酸化Ca含有原料の少なくとも一部が、また特に望ましくは主たる原料がスラグ及び/又はコンクリートであることが好ましい。
また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグには相当量の鉄分(粒鉄などの鉄分)が含まれており、この鉄分(地金)の回収処理を経たスラグを用いてもよい。
また、以上のようなスラグの中でも、炭酸化造粒により粒状炭酸固化体を製造する場合の造粒性の観点からは、粒径0.3mm以下の粒子の割合が30mass%以上のものが好ましく、このようなスラグとしては、溶銑脱硫スラグのほか、消化しやすいため粉状になる一部の脱炭スラグなどがある。
また、溶銑脱硫スラグなどのスラグを原料として用いる場合において、微粉の割合が多すぎたり、遊離CaO含有量が多すぎる場合には、それよりも微粉の割合が少ない及び/又は遊離CaO含有量が少ない他のスラグを混合し、原料として用いてもよい。
また、未炭酸化Ca含有材としては、上記のスラグやコンクリート以外に、モルタル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物などが挙げられ、これらの1種以上を単独でまたは混合して、或いはスラグ及び/又はコンクリートと混合して使用することもできる。
これらの材料は必要に応じて粉粒状に破砕処理され、原料として用いられる。
未炭酸化Ca含有原料は、その全量が未炭酸化Caを含む固体粒子である必要はない。すなわち、未炭酸化Ca含有原料に含まれる未炭酸化Caの炭酸化によって炭酸固化体のバインダーとして十分な量のCaCO3が生成されるのであれば、未炭酸化Ca含有原料に未炭酸化Caを含まない固体粒子が含まれていてもよい。このような固体粒子としては、例えば、天然石、砂、可溶性シリカ、金属(例えば、金属鉄、酸化鉄)などが挙げられる。また、可溶性シリカ源として、高炉水砕スラグを用いることができる。
また、未炭酸化Ca含有原料に海水などのようなClイオン含有物質を添加し、造粒・炭酸化を行うことにより、原料粒子の表面付着水に含まれるClイオンの作用によって、原料粒子から表面付着水中へのCaイオンの溶出速度が増大し、炭酸カルシウムの生成速度を増大でき、製造時間の短縮化や造粒物の大径化が可能となる。
また、炭酸ガスの供給量にも特別な制限はないが、炭酸化造粒により粒状炭酸固化体を製造する場合には、一般的な目安としては1〜4m3/min・t(原料ton)程度のガス供給量が確保できればよい。また、ガス供給時間(炭酸化処理時間)にも特別な制約はないが、目安としては炭酸ガスの供給量が未炭酸化Ca含有原料の質量の3%以上となる時点、一般には、ガス量に換算すると原料1t当たり50m3以上、好ましくは200m3以上の炭酸ガスが供給されるまでガス供給を行うことが好ましい。
また、炭酸ガスは原料の乾燥を防ぐために加湿した状態で原料に供給されることが好ましい。このため原料にガスを供給するに当たっては、炭酸ガスを一旦水中に吹き込んでH2Oを飽和させた後、原料に供給することが好ましく、これにより原料の乾燥を防止して炭酸化反応を促進させることができる。
以上のようにして製造された粒状炭酸固化体を大気中で所定期間養生させ、次いで乾燥処理した後、成分分析により遊離CaO含有量と炭酸化で固定されたCO2量を測定した。その測定値を製造条件とともに表1に示す。また、参考例として、製鋼スラグそのものの遊離CaO含有量と固定されているCO2量も表1に示す。
2 撹拌用ブレード
3 ガス供給管
x 未炭酸化Ca含有原料
Claims (7)
- 未炭酸化Ca含有原料を造粒中に炭酸ガスと接触させて炭酸化反応で固結させることにより得られた炭酸固化造粒物からなり、且つ遊離CaO含有量(但し、CaO換算のCa(OH)2含有量を含む。)が1mass%以上である粒状炭酸固化体に、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と水を加えて混練し、該混練物を粒状炭酸固化体が含有する遊離CaOとポゾラン反応性を有するシリカ含有物質との反応により固結させることを特徴とする固化体の製造方法。
- 粒状炭酸固化体に、さらに植物の肥料成分を加えて混練することを特徴とする請求項1に記載の固化体の製造方法。
- 未炭酸化Ca含有原料の少なくとも一部が溶銑脱硫スラグであることを特徴とする請求項1又は2に記載の固化体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかの製造方法により得られた固化体からなることを特徴とする植生用プレート。
- 未炭酸化Ca含有原料を造粒中に炭酸ガスと接触させて炭酸化反応で固結させることにより得られた炭酸固化造粒物からなり、且つ遊離CaO含有量(但し、CaO換算のCa(OH)2含有量を含む。)が1mass%以上である粒状炭酸固化体に、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質と水を加えて混練した後、該混練物を施工部に打設し、粒状炭酸固化体が含有する遊離CaOとポゾラン反応性を有するシリカ含有物質との反応により固結させることを特徴とする現場打ち固化体の施工方法。
- 粒状炭酸固化体に、さらに植物の肥料成分を加えて混練することを特徴とする請求項5に記載の現場打ち固化体の施工方法。
- 未炭酸化Ca含有原料の少なくとも一部が溶銑脱硫スラグであることを特徴とする請求項5又は6に記載の現場打ち固化体の施工方法。
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