以下、添付した図面を参照して、本発明に係る画像形成装置について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド(液体吐出ヘッド)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送するベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合にはカッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、ベルト搬送部22へと送られる。ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
図2は、インクジェット記録装置10の印字部12周辺を示す要部平面図である。
図2に示すように、印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。
各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたフルライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回だけ行うシングルパスで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。また、印字検出部24は、後述する濃度ムラを補正するための有効な補正データを取得するため、テストサンプルを測定してその濃度分布を検出するためにも用いられる。
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
次に、印字ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル(液体吐出口)の配置について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを表すものとし、図3に印字ヘッド50の平面透視図を示す。
図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを液滴として吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図3では図示を省略した共通流路から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、ノズル51の高密度化が図られている。
図3に示す例においては、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の平面形状はこのような正方形に限定されるものではない。圧力室52には、図3に示すように、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端の側にインク供給口53が設けられている。
また、図4は他の印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。図4に示すように、複数の短尺ヘッド50’を2次元の千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、これらの複数の短尺ヘッド50’全体で印字媒体の全幅に対応する長さとなるようにして1つの長尺のフルラインヘッドを構成するようにしてもよい。
また、図3中の5−5線に沿った断面図を図5に示す。
図5に示すように、圧力室ユニット54は、インクを吐出するノズル51と連通する圧力室52によって形成され、圧力室52には、供給口53を介してインクを供給する共通液室55が連通するとともに、圧力室52の一面(図では天面)は振動板56で構成され、その上部には、振動板56に圧力を付与して振動板56を変形させる圧電素子58が接合され、圧電素子58の上面には個別電極57が形成されている。また、振動板56は共通電極を兼ねている。
圧電素子58は、共通電極(振動板56)と個別電極57によって挟まれており、これら2つの電極56、57に駆動電圧を印加することによって変形する。圧電素子58の変形によって振動板56が押され、圧力室52の容積が縮小されてノズル51からインクが吐出されるようになっている。2つの電極56、57間への電圧印加が解除されると圧電素子58がもとに戻り、圧力室52の容積が元の大きさに回復し、共通液室55から供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給されるようになっている。
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、補充口(図示省略)からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を替える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50を繋ぐ管路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは印字ヘッド50のノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、印字ヘッド50のノズル51が形成されたノズル面(インク吐出面)50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニット(メンテナンス部)は、図示を省略した移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示しない昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。昇降機構は、電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aのノズル領域をキャップ64で覆うようになっている。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したブレード移動機構により印字ヘッド50のノズル面50Aに摺動可能である。ノズル面50Aにインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル面50Aに接触させ、摺動させることでノズル面50Aを拭き取り、ノズル面50Aを清浄化するようになっている。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、そのノズル51近傍のインク粘度が上昇した場合、粘度が上昇して劣化したインクを排出すべく、キャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内のインク)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われ、粘度が上昇して固化した劣化インクが吸い出され除去される。
すなわち、印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用の圧電素子58(図5参照)が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電素子58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、上述したような吸引動作を行う。
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧電素子58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに、キャップ64を当てて圧力室52内の気泡が混入したインク又は増粘インクをポンプ67で吸引する動作が行われる。
ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、図6で説明したキャップ64は、吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。
また、好ましくは、キャップ64の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ(メモリ)74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなどの磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒーター89を制御する制御信号を生成する。なお、システムコントローラ72で実行されるソフトウエアプログラムはプログラム格納部90に格納されている。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42(図1参照)等のヒーター89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
また、プリント制御部80には、予備吐出制御部94が備えられており、予備吐出制御部94によって、前述したキャップ64やクリーニングブレード66を有するメンテナンス部96及びヘッドドライバ84を駆動して、吐出不良防止のため予備吐出が行われる。このとき、予備吐出制御部94は、温度・湿度検出部98によって検出された印字ヘッド50の温度・湿度を参照し、ノズル管理メモリ92に記憶されている印字ヘッド50の各ノズル51の状態に基づいて、予備吐出の実行を制御する。
また、プリント制御部80は、メンテナンス部96を制御して、上記予備吐出の他に、インク吸引やブレード等の印字ヘッド50のクリーニングを実行する。
また、プリント制御部80は、濃度ムラ補正のためにノズル特性データ算出部100、平均化処理部102、補正データ取得部104を備えている。
ノズル特性データ算出部100は、所定のタイミングで記録紙16に出力されたテストサンプルから印字検出部24によって読み取られた濃度分布データに基づいて各ノズル51の誤差特性データを算出するものである。印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサー(図示省略)を含むブロックであり、記録紙16に印字された画像(テストサンプル)を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供するものである。
また、平均化処理部102は、ノズル特性データ算出部100において得られた各ノズル51ごとの濃度分布データからなる複数の濃度分布データに対して平均化処理を行い、平均値を算出するものである。
補正データ取得部104は、各ノズル51ごとの濃度分布データの平均値から、濃度ムラを補正するための有効な補正データを取得するものである。すなわち、補正データ取得部104は、各ノズル毎に入力画像信号と出力画像信号との対応(変換)を表す補正テーブルを作成する。
通常印字時において、プリント制御部80は、この補正テーブルを用いて、各ノズル毎に入力画像信号の補正を行い、ヘッドドライバ84に変換後の出力画像信号を出力することにより、濃度ムラ補正を行う。また、プリント制御部80は、このような濃度ムラの補正以外にも、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいて印字ヘッド50に対する各種補正を行うようになっている。
以下、有効補正データを取得して濃度ムラを補正する方法について説明する。
まず、各ノズル毎の吐出量誤差、着弾位置誤差等の誤差特性の経時変化について説明する。図8に、ある1つのノズルについての吐出量誤差の経時変化を示す。ここでは、吐出量誤差のデータを示したが、着弾位置誤差のデータについても同様の傾向にある。
図8は、横軸に時間をとり、縦軸に吐出量の理想値からのずれをパーセントで表したものである。なお、横軸は単に時間の流れを示すだけであり、必ずしも一定の時間単位で目盛られているわけではない。また、縦軸の吐出量誤差は、そのノズルから吐出されるインク吐出量の理想値を0%として、吐出量のずれた割合を百分率で表したものである。
図8において、実線のグラフ上の小さな黒い菱形は誤差の実測値を表す。この各誤差データは、吸引やワイピング等の処理を組み合わせたヘッドクリーニングを行う毎に、測定して得られたものである。
このとき、各期間T1、T2、T3内においては、ヘッドクリーニングを行うことによって、小さな誤差の変動が生じている。また、期間T1からT2、あるいは期間T2からT3の間においては、経時による大きな変動が生じている。この経時による大きな変動は、例えばノズル面における撥液剤の微小な欠けやノズルの微小な欠けなどによる不可逆的な変化である。
このような経時による大きな変動を考慮して濃度ムラを抑制するためには、従来から知られているように(例えば、上記特許文献1等参照)、補正データを取得し直せば良い。しかし、ある時点における誤差データから取得した補正データで次回に印字する画像信号を補正しようとすると、逆に状態が悪化してしまう場合がある。
例えば、図8において、グラフ中のA点における誤差データから取得する補正データは、A点における吐出量誤差(%)を理想値の0%にするものである。従って、この補正データを用いて、次のB点において補正をしようとすると、補正が掛かり過ぎて、逆補正となってしまい、補正によって却って濃度ムラが悪化してしまう。
そこで、本発明においては、複数回の吐出量誤差の平均値をとることによって、ノズルの状態に依存する再現性のない誤差特性をキャンセルし、有効な補正データを取得して、この有効な補正データによって濃度ムラを補正するようにしている。
以下、有効な補正データを取得する方法について説明する。
この方法は、テストサンプルを複数回印字して、それぞれを測定した複数回の測定結果のデータから、ある期間内での(ノズルの状態に依存しない)ノズル特性平均値を推測するものである。このとき、複数回の測定は、ノズル状態を変化させて行うことが好ましい。ノズル状態を変化させる方法としては、吸引やワイピング等のヘッドクリーニング動作が好適に例示される。以下述べる例では、ヘッドクリーニングを挟んで複数回の測定を繰り返し、複数回の測定結果の平均をとるようにしているが、ヘッドクリーニングはあくまで一例であり、ランダムに変動する因子をキャンセルするのが目的である。
図9に、ある1つのノズルについての有効な補正データを取得する方法を、フローチャートで示す。
図9のステップS100において、まず測定回数をカウントするインデックスiを1に初期化する。次にステップS110において、測定サンプル(テストパターン)を所定の記録媒体上に印字する。
次にステップS120において、印字された測定サンプルを測定して特性データ(誤差特性)を取得する。これは、具体的には、例えば印字検出部24のCCD(ラインセンサ)で測定サンプルの濃度分布を光学的に読み取り、読み取った濃度分布からノズル特性値を算出することによって行われる。なお、このようなノズル51のバラツキ特性の測定方法はこれに限定されるものではなく、他の方法を用いてもよい。
次にステップS130で、吸引及びワイピング等のヘッドクリーニングを行う。ヘッドクリーニングを行うことでノズル状態を変化させる。次のステップS140で、インデックスiを1カウントアップする。
そして、ステップS150において、インデックスiと、予め設定されている測定回数Nとを比較して、インデックスiがまだNを超えない場合には、ステップS110に戻り、再度測定サンプルの印字と測定を繰り返す。このようにして、各回の測定の間にヘッドクリーニングを挟むことで、ノズル状態を変化させて測定を行うようにする。
このとき、様々な環境条件によって誤差特性が変化するため、以下のように複数のパラメータに対して条件を振ってバラツキ特性を測定するのが望ましい。例えば、濃度または印字デューティによってノズルの誤差特性が異なるため、複数段の濃度または印字デューティで特性を測定し、濃度に応じて補正データを切り換えるようにするのが好ましい。また、温度や湿度によっても特性が異なるため、温度や湿度を複数段変化させて特性を測定するようにしてもよい。ここで温度には、プリンタ設置室内の温度のみならず、プリンタの素子の発熱による温度変化も含まれる。
なお、ここで求めようとしている印字条件と誤差特性の関係は、製造誤差によって生じる「再現性のある」ものであり、ヘッドクリーニング等によって生じるある期間内における再現性のないものとは本質的に異なるものである。そのため、平均化処理を行うことにより、ノズル状態に依存する再現性のない変動要因をキャンセルする。
また、このようにヘッドクリーニングを挟んでノズル状態を変化させて誤差特性の測定を複数回行う際、突発的な誤差を含めないようにするために、平均化処理部102における処理に、予め所定の閾値を設定しておいて、特性誤差の測定値から異常値をはじくような処理を加えるようにしてもよい。
例えば、瞬間的にノズルが詰まったような場合には不吐出となり、吐出量は0として測定されるが、正常な動作における特性値とは言えない。このような異常な値を測定値に含めてしまっては、この後行われる平均化処理の結果に影響が出て、有効な補正データを得ることができず、適切な補正を行うことができない。
ステップS150において、インデックスiが所定の測定回数Nを越えた場合には、次のステップS160において、いままで得られたN個の測定データに対して平均化処理を行い、ある期間内におけるノズルの特性平均値を算出する。そして、ステップS170において、この平均値から、所定期間内におけるそのノズルに対する有効な補正データを取得する。
このようにして取得した有効な補正データを用いて、その期間内において画像信号に対して補正を加え、濃度ムラを補正する。
次に、インクジェット記録装置10の全体の処理の中における補正データ取得タイミングについて説明する。
図10に、全体の処理の流れにおける補正データの取得タイミングを示す。
図10に示すように、プリンタが正常に稼動しているときに、すじムラ等の画質異常が発見された場合に、通常のプリントを中断して、補正データ取得モードへと移行する。
補正データ取得モードにおいては、図9により上で説明したようにして、ヘッドクリーニングを挟んで複数回誤差特性データの測定を行い、これらの測定データの平均をとって補正データを取得する。
この補正データ取得モードへ移行する際の判断は、オペレータが出力プリントを目視で判断してもよいし、印字検出部24のセンサ等によって濃度分布を測定し、プリントのすじムラを自動で判断してもよい。また、このとき画質判断用のテストプリントを出力できるようにしてもよい。
あるいは、定期的に点検するタイミングを設定し、自動的に補正データ取得モードに移行するようにしてもよい。この場合の点検タイミングとしては、例えば1日に1回、その日のシステム立ち上げ直後でもよいし、1週に1回、例えば週頭における立ち上げ直後でもよい。
補正データ取得モードにおいて、有効な補正データを取得したら、その補正データにより補正データを更新して、プリンタを再稼動する。
なお、補正データを用いて濃度ムラを補正する方法は、特に限定されるものではない。各ノズルに対応する画像信号に対してどのような変換を行うかを示す補正データを対応付けて、上で取得した有効な補正データをテーブル化(補正テーブル)しておき、通常印字時には、この補正テーブルを用いて濃度ムラを補正する。
この補正テーブルは、入力画像信号と出力画像信号の対応を示すものであり、例えば、入力画像信号に乗算する補正係数αを傾きとする直線(補正曲線)として表わされる。このとき、前述した補正データ取得モードにより新たな補正データが取得されるごとに補正係数αが切り換えられる。
通常印字時には、各ノズルごとにこのように設定された補正曲線の傾き(補正係数α)を入力画像信号に乗算して出力画像信号に変換することによって濃度ムラの補正が行われる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ノズル特性を測定する際に、ヘッドクリーニングを行うことにより、ノズル状態によって生じる変動要因をキャンセルすることで、逆補正を抑制し、高精度な濃度補正が可能となった。
また、有効補正データの抽出を、同一印字データによりヘッドクリーニングを挟んで複数回印字、測定を繰り返し、各測定で得られた特性値を平均化処理することによって行うようにしたため、逆補正等の発生を抑え、高精度な濃度補正が可能となった。
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてインクジェット記録装置を例にとって説明したが、本発明はインクジェットに限定されるものではない。例えば、LEDプリンタやサーマルプリンタ等に対しても本発明は好適に適用可能である。
上記実施形態のようにインクジェット記録装置の場合は、ヘッドクリーニングによって記録素子であるノズルの状態を変化させて複数回印字、測定を行って補正データを取得していたが、同様に他の画像形成装置の場合にも記録素子の状態を変化させて補正データを取得するようにする。例えばLEDプリンタの場合であれば、LEDヘッドのガラス面に付着したゴミ等をブラシや粘着ローラなどで除去してクリーニングすることにより記録素子の状態を変化させることができる。
なお、上述した実施形態においては、ヘッドクリーニングを行ってノズル状態を変化させてノズル特性の測定を行い、複数回の測定結果を平均していたが、このように、特にヘッドクリーニング等の人為的手段によってノズル状態を変化させることなく、連続して印字を行い、ノズル特性を測定し、ある期間における複数回の測定結果の平均をとることによって補正データを取得して、濃度ムラ補正を行うようにしても良い。
以上、本発明の画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、51a…ノズル流路、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、55…共通液室、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58a…圧電体、58…圧電素子、59…電極パッド、60…インクタンク、62…フィルタ、64…キャップ、66…ブレード、67…吸引ポンプ、68…回収タンク、70…通信インターフェース、72…システムコントローラ、74…画像メモリ、76…モータドライバ、78…ヒータドライバ、80…プリント制御部、82…画像バッファメモリ、84…ヘッドドライバ、86…ホストコンピュータ、88…モータ、89…ヒータ、90…プログラム格納部、92…ノズル管理メモリ、94…予備吐出制御部、96…メンテナンス部、98…温度・湿度検出部、100…ノズル特性データ算出部、102…平均化処理部、104…補正データ取得部