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JP4593728B2 - 圧電共振子 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電基板の両主面の中央部に対向する振動電極を有する圧電共振子に関するものであり、特に、厚み縦振動モードを用いた3次高調波用の圧電共振子に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に、厚み縦振動モードを用いた圧電共振子は、図6に示すように、圧電基板1の両主面の中央部に、対向するように振動電極2、3を形成し、これらの振動電極2、3に、圧電基板1の両主面の短辺に向けてそれぞれ反対方向に引き出された引出電極5、6を接続して構成されており、対向した振動電極2、3によって厚み縦振動が励振されて厚み縦の基本周波数、あるいは3次高調波などに基づいて共振特性を発現していた。
【0003】
厚み縦振動を用いた圧電共振子の共振周波数は圧電基板1の厚みに反比例するため、一般的な圧電材料で数10MHzの共振周波数をもつ圧電共振子を実現するためには、基本周波数を用いる場合で100μm以下の薄い圧電基板1を作製する必要がある。従って共振周波数が高くなると圧電共振子の作製が困難になる為、共振周波数が高い圧電共振子を作製する場合は、3次高調波などの高調波のモードを使用することが一般的に行われている。
【0004】
しかしながら、通常の設計では、一般的に高調波の振動よりも基本振動のほうが強く励振されてしまうため、高調波で正しく励振させるためには高調波のインピーダンスピークを少なくとも基本振動よりも相対的に大きくする設計が要求される。このため高調波を用いる場合、出力側に高調波の周波数への同調回路を設けて基本周波数で発振せずに、高調波で発振するようにしていた。しかしながら、小型化、低コスト化のため同調回路を用いる必要のない圧電共振子が望まれていた。
【0005】
従来、基本振動の広がりが若干高調波より広いことを利用して、振動電極の周りに基本振動のみを減衰させる減衰材料を塗布した水晶振動子が提案されている。このような水晶振動子として、特開平9−139651号公報には、ATカットの水晶片の主面に金属を配置した厚み滑り振動モードで励振する水晶振動子が開示され、基本振動を抑制して3次高調波で同調回路なしに振動させる構造が開示されている。
【0006】
この公報に開示された水晶振動子は、図7に示すように、ATカット水晶片11の両主面の中央部にそれぞれ設けられた四角形状の振動電極12、13と、該振動電極12、13にそれぞれ接続され、主面の長さ方向に引き出された引出電極15、16と、振動電極12、13から水晶片1の主面の幅方向に所定間隔を置いて形成された基本波抑制電極17とから構成されている。
【0007】
これは、振動の広がりが比較的大きい基本波と、振動の広がりが比較的小さい高調波との、振動の広がりの差を利用して、基本波のみを抑制しようというものである。
【0008】
そして、この基本波抑制電極17は、基本波の振動を抑制する目的で、振動電極12、13よりも膜厚を厚くしたり、質量の大きな物質を蒸着することにより大きな質量を得るようにしている。また、この公報には、他の水晶振動子の例として、水晶片11の両主面で対向する基本波抑制電極17同士を主面の幅方向の端面を通して導通させ、基本波を抑制させることが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この基本波抑制電極17に余分な質量を加える目的で、膜厚を振動電極12、13より厚くしたり、基本波抑制電極17を質量の大きな異なる物質で蒸着して形成していたため、このような基本波抑制電極17を形成するためには、余分な樹脂の塗布工程や蒸着などのプロセスを必要とし、また基本波抑制電極17を形成する際の、膜厚等の精度がばらつき、当初予定した特性が得難く、歩留まり悪化を引き起こすという問題があった。
【0010】
このように、基本波と高調波の振動モードにある広がりの差のみを利用して基本波のみを抑制し、高調波を抑制しない構造とすることは、特に周波数の高い共振子においては精度の高い基本波抑制電極形状の形成や樹脂の塗布技術を要求することから、実施することが困難であった。
【0011】
また、特開平9−139651号公報の水晶振動子では、振動電極間から漏出してくる基本波は抑制できるものの、振動電極間に留まっている基本波を積極的に漏出させることはできないという問題があった。
【0012】
本発明は、より簡単でかつ効果的に基本波を抑制することが可能な、厚み縦振動モードで共振する高調波用の圧電共振子を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電共振子は、両主面が長方形である直方体状の圧電基板と、該圧電基板の前記両主面の中央部に前記圧電基板を介して互いに対向するように配置された一対の振動電極と、前記圧電基板の前記両主面に配置されており、それぞれの一方端が前記振動電極に接続されているとともに、前記圧電基板の長さ方向における反対側の端面に向けてそれぞれ反対方向に引き出された1対の引出電極と、前記圧電基板の前記両主面における前記振動電極と前記圧電基板の幅方向の両端面との間に、一方端が前記振動電極に所定の間隔をあけて隣接するとともに他方端が前記圧電基板の幅方向の端面に接するように、且つ前記圧電基板を介して互いに対向するように配置された、前記振動電極と同一材料で同一厚みを有する2対の第1基本波漏洩用導体とを具備する厚み縦振動の3次高調波を用いた圧電共振子であって、平面視した際に、前記振動電極の前記圧電基板の長さ方向における中央が、前記振動電極の前記圧電基板の幅方向における中央に向かって凹んでいるものである。
【0014】
このような構成を採用することにより、元々エネルギーが漏れ易く減衰され易いリップルの原因となる振動だけでなく、比較的エネルギー閉じ込めが良好で、振動電極回りに樹脂等を付けることによっても減衰され難い基本振動も、所望の振動(3次高調波)に影響を与えることなく、第1基本波漏洩用導体を介して圧電基板の長辺(端面)まで漏洩させることができ、振動電極によって励振された基本波と、長辺の端面から反射する漏洩波(基本波)との干渉をおこさせ、基本波振動モードの振幅のピークを振動電極の外側に出してやることができ、これによって基本波の振動によるインピーダンスピークを抑制することができる。また、平面視した際に、振動電極の圧電基板の長さ方向における中央部が、振動電極の圧電基板の幅方向における中央部に向かって凹んでいることから、基本波の振幅の大きい部分が振動電極の中央から圧電基板の幅方向の端面へ向けてずれたときに、基本波の振幅の大きい部分に重なる振動電極の領域が減少するので、基本波の振動によるインピーダンスピークをさらに抑制することができる。
【0015】
即ち、従来、振動電極の周りに複数の導電体を設けた圧電共振子もあるが、これらは、元々漏れ易くてリップルの原因となる振動をより漏れ易くし、この振動を圧電基板の保持部材を介して外部に導き、振動の大きさを比較的小さくすることで、インピーダンス上のリップルを消去しようとするものであるが、このような圧電共振子では、比較的エネルギーが振動電極の間に閉じ込められ易い基本波を減衰させることは困難であった。
【0016】
また、従来の厚み縦振動を用いた3次高調波用の圧電共振子では、図8に示すように、基本振動成分20と3次高調波振動成分21とが、圧電基板の中央部の振動電極付近で重なって存在しており、振動電極にエネルギーが比較的閉じ込められ易い余分な基本振動は、振動電極から漏れ難いが、本発明では、振動電極と同一材料、同一厚みを有する第1基本波漏洩用導体を、振動電極と長辺との間に設けたので、図3に示すように、エネルギーが振動電極間に強く閉じ込められる所望の振動(3次高調波)は、そのまま振動電極間に閉じ込められるものの、所望の振動よりも弱く閉じ込められるリップルの原因となる振動(基本振動)は、電位差が異なる第1基本波漏洩用導体を介して、圧電基板の長辺端面まで導かれ、振動電極からの基本波と、長辺の端面から反射する反射基本波とを、第1基本波漏洩用導体において干渉させ、基本振動によるインピーダンスピークを小さくできる。
【0017】
また、同一材料、同一厚みを持った第1基本波漏洩用導体を用いる為、振動電極、引出電極を形成するプロセスで、振動電極、引出電極と基本波漏洩用導体を一括して形成することができ、同一プロセスで形成する為に高い精度で基本波漏洩用導体を容易に作製できる。振動電極から基本波を分離するには、第1基本波漏洩用導体の長さを振動電極と同一長さとすることが望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
1に示す圧電共振子は、圧電基板31の両主面の中央部に、対向するように振動電極32、33を形成し、これらの振動電極32、33に、圧電基板31の両主面の短辺に向けてそれぞれ反対方向に引き出された引出電極35、36を接続して構成されている。
【0022】
そして、圧電基板31の主面における振動電極32、33の長辺側には、振動電極32、33と同一材料、同一厚みの第1基本波漏洩用導体39が設けられている。第1基本波漏洩用導体39の長さLは、振動電極32、33の長さと同一とされている。
【0023】
振動電極32、33、引出電極35、36、第1基本波漏洩用導体39は、例えば、Ag、Ag−Pd、Ag−ガラス、Pdを含有する導電性ペーストを塗布して焼き付けるか、あるいは、Cu、Ni、Auの薄膜を順次蒸着することにより形成される。
【0024】
この第1基本波漏洩用導体39は、圧電基板31の幅方向の端面(長辺)まで延設されており、基本波のみのエネルギー閉じ込めが壊れるように、振動電極32、33と第1基本波漏洩用導体39との間に所定間隔が設けられている。この振動電極32、33と第1基本波漏洩用導体39との間隔xは、3次以上の高調波のモードが閉じ込められている領域(振動電極間)にかからないよう、圧電基板31の厚みtの1/2以上とすることが望ましい。
【0025】
第1基本波漏洩用導体39を設けることにより、基本波振動を振動電極32、33の外側に漏洩させることができるため、振動電極32、33によって励振され漏洩する基本波と、漏洩して圧電基板31の幅方向の端面(長辺)から反射する反射波との干渉をおこさせことによって、基本波のインピーダンスピークを抑制することができる。
【0027】
即ち、例えば、従来の厚み縦共振子では、圧電基板の幅Wが広いため、図2(a)に示すように、振動電極より少し大きい領域だけで振幅が大きくなって、エネルギー閉じ込めが成立しているものが、圧電基板の主面の幅を狭くしていき、電極幅に近づけると、図2(b)のようにエネルギー閉じ込めが悪くなり、幅方向の端まで達した振動波が端面で跳ね返り、厚み縦振動に加えて幅方向に波の強弱を持ったモードに変わる。この強弱の繰り返しの波長は圧電基板の材質と厚みによって変化するが、基板の幅を更に小さくすることによって、図2(c)のように、振動電極中央部で基本波が小さい振動振幅のパターンをおこさせることができる。
【0028】
この時、基本波振動によるインピーダンスの共振ピークは抑制されるが、基板の幅が高調波の振動モードが達しない程度に広くとってあれば、高調波の振動モードは図2(a)のようにエネルギー閉じ込めが良く成立しているままであり、共振ピークが抑制されることはない。
【0029】
常の圧電磁器で20MHzぐらいまでの3次高調波モードを用いた圧電共振子であれば圧電基板31の幅wだけによる設計で図2(c)のようなモードを発生させることが可能である。
【0030】
しかしながら、上記の図2(c)の振動モードが発生するように圧電基板31の幅wを小さくしつつ高周波に対応させるために100μm以下に圧電基板31の厚みtを小さくすることは、圧電基31の強度を著しく低下させ、圧電基板31の作製及び実装上の歩留まりを低減させることになる。本例の圧電共振子によれば、第1基本波漏洩用導体39を用いることによって、圧電基板31の幅方向の端面を振動電極32,33に近づけることなく、基本波を圧電基板31の幅方向の端面まで漏洩させて端面で反射させることができるので、圧電基板31の幅wを小さくする必要性がなくる。
【0031】
従って、本発明は、特に、共振周波数20MHz以上で用いられる圧電共振子に好適に用いられる。また、基本波を漏洩させ、なお且つ3次高調波のエネルギー閉じ込めを精度良く行う為に、一度の薄膜形成プロセスで振動電極32,33、引出電極35,36、第1基本波漏洩用導体39を形成するとよい。第1基本波漏洩用導体39と振動電極32,33との間隔xは、電極厚みによって若干左右されるが圧電基板31の厚みの1/2程度を取ることが望ましい。
【0032】
尚、本発明では、図4に示すように、振動電極32,33の第1基本波漏洩用導体39側に、矩形状の凹部51(図4(a))または円弧状の凹部53(図4(b))を形成する。これは、図3に示したように、基本波のピークは、第1基本波漏洩用導体39により、圧電基板31の長辺側に3次高調波と分することができるが、基本波の振動分布は振動電極32,33の端重畳しているため、この基本波と重なる振動電極32,33の部分を、図4に示したように除去することにより、さらに、基本波のインピーダンスピークを減衰せることができるからである
【0033】
また、図5に示すように、振動電極32、33と、該振動電極32、33に接続された引出電極35、36の引出方向とは反対側の短辺との間に、振動電極32、33および短辺と所定間隔を置いて、振動電極32、33と同一材料、同一厚み、同一幅を有する第2基本波漏洩用導体55を設けることも考えられる。このような圧電共振子では、圧電基板の短辺方向にも基本振動を漏れやすくすることができる。
【0034】
本発明の圧電共振子では、振動電極32,33の周りに、振動電極32,33より大きな重みを持った減衰用電極としてではなく、同一材料、同一厚みを持った基本波のエネルギー閉じ込めを壊す役割を持たせた基本波漏洩用導体を設けることにより、上記のように基本波のインピーダンスピークを減衰でき、3次高調波のインピーダンスピークを高く維持でき、3次高調波の振動を際立たせることができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の圧電共振子では、元々エネルギーが漏れ易く減衰され易いものだけでなく、比較的エネルギー閉じ込めが良好で、振動電極32,33の周囲に樹脂等を付けることによっても減衰され難いリップルの原因となる基本振動も、3次高調波に影響を与えることなく、第1基本波漏洩用導体39を介して圧電基板31の長辺(端面)まで導くことができる。そして、振動電極32,33によって励振された基本波と、長辺の端面から反射する漏洩波(基本波)との干渉をおこさせ、これによって基本波の振動によるインピーダンスピークを十分抑制することができる。これにより、3次高調波のみを利用する同調回路を設ける必要のない小型低コスト高周波化に対応した圧電共振子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電共振子を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図2】 圧電基板の幅を変えることによって、基本波振動モードの形態の変化を示す説明図である。
【図3】 基本振動成分と3次高調波振動成分が分離された状態を示す説明図である。
【図4】 振動電極の基本波漏洩用導体側に凹部を形成して例を示すもので、(a)は矩形状の凹部、(b)は円弧状の凹部を形成した状態を示す平面図である。
【図5】 振動電極と短辺との間に第2基本波漏洩用導体を形成した状態を示す平面図である。
【図6】 従来の圧電共振子を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図7】 従来の水晶振動子を示す平面図である。
【図8】 従来の圧電共振子の基本振動成分と3次高調波成分が重畳して存在している状態を示す説明図である。
【符号の説明】
31・・・圧電基板
32、33・・・振動電極
35、36・・・引出電極
39・・・第1基本波漏洩用導体
51、53・・・凹部
55・・・第2基本波漏洩用導体
W・・・圧電基板の幅
t・・・圧電基板の厚み

Claims (2)

  1. 両主面が長方形である直方体状の圧電基板と、
    該圧電基板の前記両主面の中央部に前記圧電基板を介して互いに対向するように配置された一対の振動電極と、
    前記圧電基板の前記両主面に配置されており、それぞれの一方端が前記振動電極に接続されているとともに、前記圧電基板の長さ方向における反対側の端面に向けてそれぞれ反対方向に引き出された1対の引出電極と
    前記圧電基板の前記両主面における前記振動電極と前記圧電基板の幅方向の両端面との間に、一方端が前記振動電極に所定の間隔をあけて隣接するとともに他方端が前記圧電基板の幅方向の端面に接するように、且つ前記圧電基板を介して互いに対向するように配置された、前記振動電極と同一材料で同一厚みを有する2対の第1基本波漏洩用導体と
    を具備する厚み縦振動の3次高調波を用いた圧電共振子であって、
    平面視した際に、前記振動電極の前記圧電基板の長さ方向における中央が、前記振動電極の前記圧電基板の幅方向における中央に向かって凹んでいることを特徴とする圧電共振子。
  2. 前記第1基本波漏洩用導体の前記圧電基板の長さ方向における長さは、前記振動電極の前記圧電基板の長さ方向における長さと同一であることを特徴とする請求項1記載の圧電共振子。
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