JP4593869B2 - 物質移動等を行なう装置内の気液接触機構 - Google Patents
物質移動等を行なう装置内の気液接触機構 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の流路に区画された内部構造を有し、上部に配置された液分配器と下部に配置された液集合器を備え、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置における気液接触機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の装置における規則充填体として図23に部分断面図を示すような規則充填体が知られている。この規則充填体aは、装置を構成する充填体充填塔の上部に配置された液分配器の下方に所定の間隔をおいて複数の波型に成形され交互に積層されて成る多孔薄板からなるシートbを波型の斜め方向に延長するように相互に間隔をおいて平行に配置し、充填塔の内壁に当接する位置において逆方向に反転させて斜め方向に延長するように多層配置してなるものである。液分配器から液滴となって自由落下した液体はこれらの薄板シートbに沿って流下し、シートbの面を濡らす。一方気体は塔下部の気体入口から入り上昇し、規則充填体aを通過して塔上部の気体出口から塔外に出る。気体が規則充填体aを通過する間に気液接触が行われ所望の物質移動、熱交換または混合が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の規則充填体の問題点は、第1に、規則充填体aを構成するシートbの一部がその折曲縁において充填塔の内壁cに接触することである。これらのシートbを伝って流下した液体は内壁cに移り、その大きな部分は再びシートbに戻ることなく壁流となって内壁cを伝って流下する。一方充填塔内を上昇する気体は断面の半径方向に放物線状の流速分布をもち、中心部がもっとも流速が早く、壁面に近づくと粘性によって流速はゼロに近づく。そのため上昇する気体は塔内の中心部を流れ易く壁面部はほとんど気体が流れないことになる。この気体の偏流により、液体の壁流は気体との接触が中心部を流れる液体よりも少なく、気液接触に不均一が生じる結果達成すべき反応においても不均一が生じる。
【0004】
上記従来の規則充填体の第2の問題点は、この規則充填体aにおいては、シートbが斜めに配置されているため、圧力損失が高く、その分エネルギー消費が高く効率が悪いということである。
【0005】
上記従来の規則充填体の第3の問題点は、気体の負荷量を増大すると装置の健全な運転ができなくなるため気体の負荷量の上限が比較的に低く押さえられていることである。
【0006】
すなわち、塔上部の液体分配器から塔内に供給する液の流量を増やすと、下降する液は充填物の表面を広がりながら濡らして行くが、さらに液量を増加すると液膜が厚くなり一部は液滴として液膜から離れる。そこで、液を上から流したままで塔の下部から加える気体の流量を増加すると、高い気体の流速によって液膜表面は乱され液滴になり易く、それは気体によって上方に吹き飛ばされる。これによってせっかくある成分を濃縮して下降してきた液体を逆流させてしまうことになり、反応効率を悪化させる。液滴を気体が吹き飛ばす現象は塔上部の液分配器から液が規則充填体の頂部に落下するまであるいは塔下部に設けた液集合器付近でもよく見られる。それは、たとえば、台風の時の強風によって四方八方に吹き上げられた雨樋からの雨滴のような挙動である。液分配器は塔の断面方向に均一に液体を規則充填体に供給するためのものであり、液滴を吹き飛ばすような上記の挙動は充填塔の性能を下げるため、極力防がなければならない。一方、液集合器は分離した液を上方に液滴として吹き上げることなく集めなければならない。上記従来の装置は、このような気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げに対して有効な対応策を持たない。
【0007】
上記第3の問題点については、この問題を解決するために、特開2001−170475号に記載された液体配給・集合機構が提案されている。この機構においては、図24に示すように、充填塔dの液分配器eに取付けられた液体配給パイプfのノスルgに複数のストランド部mが撚り合わされて形成された液体配給ロープhが接続され、液体配給ロープhは規則充填体iに接続されている。液体は液体配給パイプfから液体配給ロープhおよびこれから二手に分岐するストランド部mを伝って規則充填体iに分配され、気液接触を完了した液体は、複数のストランド部nが撚り合わされて形成された液体集合ロープjからなる液体集合機構kによって液体取り出し口lに移送される。したがって、この装置においては、液体は気体速度が高速でも上方に吹き上げられることがなく確実に規則充填体に移送され、また規則充填体から取り出されることが期待される。
【0008】
この液体配給・集合機構は、理論的には、上記第3の問題点を解決した理想的な液体分配方式に見えるが、実験の結果、液体配給ロープhを構成する2本のストランド部mが同じ本数のワイヤから構成されていたとしても、各ワイヤ間の僅かな撚り角度の差や各ワイヤの表面粗さの差に基く液体のなじみ易さの差等の原因により各ワイヤを最初に流れる液体の流れは各ワイヤとも均一とはならず、最も流れ易いワイヤには他のワイヤに先駆けて液路ができ、後続の液体は追随してこの液路を通り他のワイヤを伝って流れない傾向があるため、液分配器から液体配給ロープhに流れる液体はこれから分岐する2本のストランド部mに必ずしも均等には流れず、その結果規則充填体iに流れる液体にも不均一が生じ完全な気液接触ができないことが判った。
【0009】
本発明は、上記従来の各規則充填体が有する問題点にかんがみなされたものであて、壁流により規則充填体における気液接触に不均一が生じることなく、圧力損失が改善され、また気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げを気液接触に不均一を生じることなく除去することができる物質移動等を行う装置における気液接触機構を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の物質移動等を行う装置内の気液接触装置は、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、
該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体と、
該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、
該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長するので、液分配器から各充填体構成要素に流下した液体は装置の内壁に移って壁流となることなく、また隣り合う充填体構成要素に移って液体の流れに不均一を生じることなく液集合器に流れる。その結果各充填体構成要素を流れる液体の量は均一となり、均一な気液接触が達成される。また各充填体構成要素は装置内で垂直方向に延長しているので、圧力損失を最小限に押えることができる。さらに、液分配器と規則充填体はアダプターで直結されており、規則充填体と液集合器もコレクターで直結されているので、気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げを防止することができる。
【0012】
本発明の1側面において、該充填体構成要素は糸状および帯状のいずれかの形状を有し、該アダプターは該充填体構成要素と一体的に形成されており、1または複数の該アダプターが他のアダプターから分岐することなく該管状の液分配器の内部に直接連結されていることを特徴とする。
【0013】
この側面によれば、アダプターは充填体構成要素と一体的に形成されているので製造、施工が容易であり、またアダプターが他のアダプターから分岐することなく液分配器の内部に直接連結されているので、アダプターの分岐による液分配の不均一が生じるおそれがなく、各充填体構成要素に液体が均一に配給される。
【0014】
本発明の他の側面において、該液分配器は1または複数のトラフ状の形状を有するものであり、該充填体構成要素はシート状の形状を有し、該アダプターは該充填体構成要素と一体的に形成されており、1または複数の該アダプターが他のアダプターから分岐することなく該トラフ状の液分配器に直接連結されていることを特徴とする。
【0015】
この側面においても、アダプターは充填体構成要素と一体的に形成されているので製造、施工が容易であり、またアダプターが他のアダプターから分岐することなく液分配器の内部に直接連結されているので、アダプターの分岐による液分配の不均一が生じるおそれがなく、各充填体構成要素に液体が均一に配給される。
【0016】
本発明の他の側面において、該液分配器は1または複数の管状の形状を有するものであり、該充填体構成要素は全体としてシート状の形状を有し、該アダプターは該シート状の充填体構成要素がその上端部において上下方向に複数の部分に裁断されることにより形成されており、複数の該裁断された部分が集合して該管状の液分配器の内部に保持されていることを特徴とする。
【0017】
この側面によれば、充填体構成要素がシート状の場合でも特別のアダプターを接続する必要なしに管状の液分配器に直接連結することが可能であり、製造および施工が容易である。
【0018】
本発明の他の側面において、該規則充填体は、さらに、該複数の充填体構成要素と交差するようにして水平方向に延長し所定間隔で配置された複数の長い部材からなるスペーサを備え、該スペーサは該充填体構成要素との交差点において該充填体構成要素に固定されることによって隣り合う該充填体構成要素間に所定の間隔を維持させることを特徴とする。
【0019】
この側面によれば、各充填体構成要素はスペーサとの交差点においてスペーサに固定されているので隣り合う充填体構成要素との間に所定の間隔を維持することができ、隣り合う充填体構成要素との接触による液体の不均一な流れが生じることを防止できる。
【0020】
本発明の他の側面において、該充填体構成要素はそれぞれ平板状のシートと波状のシートを重ね合わせた形状を有し、該波状のシートが隣り合う充填体構成要素との間に所定の間隔を維持するスペーサとして機能することを特徴とする。
【0021】
この側面によれば、波状のシートが隣り合う充填体構成要素との間に所定の間隔を維持するスペーサとして機能するので、装置内に他のスペーサを設置する必要がなく施工が簡単である。
【0022】
本発明の他の側面において、該充填体構成要素はそれぞれ平板状シートと横断面が円弧状のシートが一体的に織られた織物であり、該断面円弧状のシートが隣り合う充填体構成要素との間に所定の間隔を維持するスペーサとして機能することを特徴とする。
【0023】
この側面によれば、横断面円弧状のシートが隣り合う充填体構成要素との間に所定の間隔を維持するスペーサとして機能するので、装置内に他のスペーサを設置する必要がなく施工が簡単である。
【0024】
本発明の他の側面において、該充填体構成要素は折れ線状の糸状の形状を有することを特徴とする。
【0025】
この側面によれば、液体が充填体構成要素を流下する時間が長くなるので、気液接触時間も長く取ることができ、反応を充分行なわせることができる。
【0026】
本発明の他の側面において、該充填体構成要素はらせん状の糸状の形状を有することを特徴とする。
【0027】
この側面においても、液体が充填体構成要素を流下する時間が長くなるので、気液接触時間も長く取ることができ、反応を充分行なわせることができる。
【0028】
本発明の他の側面において、該充填体構成要素は折れ線状の帯状の形状を有することを特徴とする。
【0029】
本発明の他の側面において、該充填体構成要素はらせん状の帯状の形状を有することを特徴とする。
【0030】
本発明の他の側面においては、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する規則充填体を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給するアダプターであって、他のアダプターから分岐することなく他のアダプターとは独立に該液分配器に直接連結されることを特徴とする液体供給用アダプターが提供される。
【0031】
この側面によれば、アダプターは他のアダプターから分岐することなく他のアダプターとは独立に該液分配器に直接連結されるので、アダプターの分岐に伴い液体の流れに不均一が生じることなく、液分配器から規則充填体に液体を均一に配給することができる。
【0032】
本発明の他の側面においては、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備えることを特徴とする物質移動等を行なう装置内の気液接触機構が提供される。
【0033】
この側面によれば、既存の規則充填物または不規則充填物を本発明にかかる規則充填体により置換し液分配器は既存のものを使用した場合でも、上記各実施形態の規則充填体は装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長しているので、壁流が改善され均一流となっているため既存の装置の分離性能を大きく改善することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1および図2は本発明にかかる気液接触機構の1実施形態を示すもので、図1はこの気液接触機構が使用される装置全体を示す模式的縦断面図、図2は気液接触機構を示す斜視図である。
【0035】
図1において、気体と液体間の物質移動等のために気液接触を行なう規則充填体を収容する充填塔10は上下方向に長い円筒状の塔で、その上部には気液接触の対象物である液体を下方の規則充填体に分配するための上下方向に延長する複数の管状の液分配器2が配置されている。液分配器2には液供給管11を介して液体が供給される。充填塔10の下部には気液接触を完了した液体を収集する複数の管状の液集合器3が配置されている。液集合器3は液体取り出し口8に連通している。
【0036】
塔10の下部側壁には気液接触の対象となる気体の流入口9が開口しており、塔10の頂部には気液接触を完了した気体の流出口12が開口している。
【0037】
塔10内には、上から、液分配器2に連結された複数の糸状アダプター4、各アダプター4と一体的に成形された複数の糸状の充填体構成要素6からなる規則充填体5、各充填体構成要素6と一体的に成形された複数の糸状コレクター7が配置されている。
【0038】
この実施形態においては、図2に示すように、液分配器2は4本の管状液分配器からなり、気液接触機構1は、規則充填体5を構成する4本の上下方向に長い直方体状の充填体構成要素集合体13と、アダプター4とコレクター7からなる。各液分配器2はこれら集合体13の中のそれぞれ対応する集合体13に液体を供給する。
【0039】
各集合体13は、多数の垂直方向に延長する糸状充填体構成要素6が相互に所定間隔を維持した状態で、すなわち隣り合う充填体構成要素6どうしが非接触状態で平行に、横断面において行と列を形成するようにして配置されている。各充填体構成要素6は塔10の内壁とも非接触状態を維持するように配置されている。
【0040】
各集合体13の上端部、中央部および下端部には、図3の横断面図に示すように、鋼棒等の長い部材からなる複数のスペーサ14が、それぞれ図3において各行を構成する複数の充填体構成要素と交差するようにして水平方向に延長して配置され、また図3中両端の列を形成する充填体構成要素と交差するようにして水平方向に延長して配置されている。各スペーサ14はその両端部が塔壁または図示しないフレームに固定され、各充填体構成要素6との交差点において各充填体構成要素6に溶接、接着等適宜の手段により固定されている。このように構成されたスペーサ14は、隣り合う充填体構成要素6間に所定の間隔を維持させる機能を果たし、隣り合う充填体構成要素6間に液の移動が行なわれることによる偏流の発生を防止する。なお、この実施形態においては、集合体13の列を形成する充填体構成要素6については、スペーサ14は、両端の列を形成する充填体構成要素のみと交差するように配置されているが、これに限らず、各列の充填体構成要素6と交差するように配置してもよい。
【0041】
本実施形態において、液分配器2と規則充填体5を連結し液分配器2から液体を規則充填体5に供給する各糸状アダプター4は充填体構成要素6の中のいずれかと1対1の関係で一体的に形成されている。したがって、各充填体構成要素集合体13には、集合体13を構成する充填体構成要素6と同数の糸状アダプター4が配備されている。各アダプター4は、他のアダプターから分岐することなく、また他のアダプターを分岐することなく、各集合体13に対応する管状液分配器2に直接連結されている。したがって、各集合体13に対応する管状液分配器2の下端部の内部には該集合体13を構成する複数の充填体構成要素6のそれぞれと一体化した複数のアダプター4が集合し束ねられた形で挿入され保持されている。アダプター4が集合して挿入された管状液分配器2の下端部内部の状態を図4の横断面図に示す。各アダプター4は隣り合うアダプターとの間にある程度の隙間が形成され、液体が各アダプター4の全周からアダプター4を伝って流下するようにゆるやかに束ねられた状態で挿入されている。
【0042】
本実施形態において、管状の液集合器3と規則充填体5を連結し規則充填体5からの液体を液集合器3に供給する各糸状コレクター7は、アダプター4と同様、充填体構成要素6の中のいずれかと1対1の関係で一体的に形成されている。したがって、各充填体構成要素集合体13には、集合体13を構成する充填体構成要素6と同数のコレクター7が配備されている。各コレクター7は、他のコレクターから分岐することなく、また他のコレクターを分岐することなく、各集合体13に対応する管状液集合器3に直接連結されている。したがって、各集合体13に対応する管状液集合器3の上端部の内部には該集合体13を構成する複数の充填体構成要素6のそれぞれと一体化した複数のコレクター7が集合し束ねられた形で挿入され保持されている。
【0043】
糸状充填体構成要素6、糸状アダプター4および糸状コレクター7を形成する糸状材としては、金属線のほかプラスチック繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、綿等の植物繊維、羊毛等の動物繊維等あらゆる繊維が使用可能である。また、糸状材の態様としてはワイヤ、撚糸、モノフイラメント、針金等特に限定はないが、複数本の細い鋼線を撚り合わせて作ったワイヤ等の撚り糸状または撚り線状の糸状材は、液体が毛細管現象により撚り糸を構成する複数の糸または線材の間の空間を伝って流れることにより液体の移動を促進するので好ましい。本実施形態においては、好ましい1例として、直径0.1mmの鋼線を7本撚り合わせて作った鋼線を2本撚り合わせたワイヤを1本の充填体構成要素6、アダプター4、コレクター7として使用することができる。
【0044】
液分配器としては、図1、2に示す管状液分配器2のほか、たとえば図5に示すように、トラフ型の液分配器15を用いることもできる。この液分配器15は両側に所定間隔で液流出口を構成する複数のノッチ15aを設けたもので、各ノッチ15aに糸状アダプター4の上端部4aを折り曲げて引っかけることにより糸状アダプター4を液分配器15に連結している。
【0045】
図6は本発明にかかる気液接触装置の他の実施形態を示す斜視図である。
この実施形態およびその後に説明する実施形態において、図1および図2の実施形態と同一構成要素は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0046】
この実施形態において、各アダプター16、規則充填体5を構成する充填体構成要素17およびコレクター18が1本の帯状体によって一体的に形成されている点で図1、図2の実施形態と異なる。帯状体はたとえば複数本の鋼線からなる織物で構成することができる。各充填体構成要素集合体13の横断面図を図7に示す。
【0047】
帯状アダプター16が集合して挿入された管状液分配器2の下端部内部の状態を図8の横断面図に示す。各アダプター16は二つ折りにされ、隣り合うアダプターとの間にある程度の隙間が形成され、液体が各アダプター16の全周からアダプター16を伝って流下するようにゆるやかに束ねられた状態でランダムに挿入されている。
【0048】
図9は本発明にかかる気液接触装置の他の実施形態を示す斜視図である。この実施形態においては、各アダプター19、規則充填体5を構成する充填体構成要素20およびコレクター21が1本の糸状体によって一体的に形成されている点で図1、図2の実施形態と同一であるが、各充填体構成要素20は、らせん状に形成されており、これによって液体が充填体構成要素20を伝って流下する時間を長くし、気液接触時間を長くするようになっている。 各充填体構成要素集合体13の横断面図を図10に示す。
【0049】
同様の目的で、図11に示すように、充填体構成要素22を折れ線状の糸状体で形成してもよい。
【0050】
図12は本発明にかかる気液接触装置の他の実施形態を示す斜視図である。この実施形態においては、各アダプター22、規則充填体5を構成する充填体構成要素23およびコレクター24が1本の帯状体によって一体的に形成されている点で図6の実施形態と同一であるが、帯状の各充填体構成要素23は、連続的に捻じられていてい緩やかならせん状に形成されており、これによって液体が充填体構成要素23を伝って流下する時間を長くし、気液接触時間を長くするようになっている。 各充填体構成要素集合体13の横断面図を図13に示す。
【0051】
図14は本発明にかかる気液接触装置の他の実施形態を示す斜視図である。この実施形態においては、各アダプター25、規則充填体5を構成する充填体構成要素26およびコレクター27が1本の帯状体によって一体的に形成されている点で図6の実施形態と同一であるが、帯状の各充填体構成要素26は、連続的に捻じられていていて図12の実施形態よりも急角度のらせん状に形成されており、これによって液体が充填体構成要素26を伝って流下する時間を長くし、気液接触時間を長くするようになっている。 各充填体構成要素集合体13の横断面図を図15に示す。
【0052】
図16は本発明にかかる気液接触装置の他の実施形態を示す斜視図である。 この実施形態においては、液分配器はトラフ30からなり、充填体構成要素31は金網からなるシート状の形状を有し、アダプター32およびコレクター33も金網からなるシート状に形成されており、充填体構成要素31と一体的に形成されている。アダプター32は他のアダプターから分岐することなく、また他のアダプターを分岐することなく、トラフ30に直接連結されている。
【0053】
図示の実施形態においては、充填体構成要素31−1、アダプター32−1、コレクター33−1が一体的に形成された1枚のシートと、充填体構成要素33―2、アダプター32−2、コレクター33−2が一体的に形成された1枚のシートがペアを組み、アダプター32−1、32−2の上端部およびコレクター33−1、32−2の下端部が溶接されている。また充填体構成要素31−3、アダプター32−3、コレクター33−3が一体的に形成された1枚のシートと、充填体構成要素31―4、アダプター32−4、コレクター33−4が一体的に形成された1枚のシートがペアを組み、アダプター32−3、32−4の上端部およびコレクター33−3、33−4の下端部が溶接されている。
【0054】
アダプター32−1と32−4の上端両側部は鉤状に内側に曲げられて係止部35が形成されており、トラフ30の側壁30aに引っ掛けられている。
トラフ30の側壁30aには所定間隔をおいて液体流出ノッチ30bが形成されている。また、アダプター32−1〜32−4の上部およびコレクター33−1〜33−4の下部には気体が流通するための気体流通孔46が開口している。
【0055】
相互に固定されたコレクター33−1、33−2のペアおよび33−3、33−4のペアはそれぞれ液排出口(図示せず)に連通した液集合器34に挿入されている。この規則充填体5の横断面図を図17に示す。
【0056】
図18はシート状規則充填体の他の例を示す斜視図である。この例においては、規則充填体5を構成する各充填体構成要素36がそれぞれ平板状の金網からなるシート37と横断面が波を打つ波形状の金網からなるシート38を重ね合わせた形状を有する。図中右端のシート39は波形状のシートを有しない平板である。この実施形態においては、波形シート38が隣り合う平板37を所定間隔で維持するスペーサとして機能するので、前述の各実施形態で使用される棒状スペーサ14は不要であり、施工が簡単である。この実施形態の部分横断面図を図19に示す。
【0057】
図20はシート状規則充填体の他の例を示す斜視図である。この例においては、規則充填体5を構成する各充填体構成要素40がそれぞれ平板状の金網からなるシート41と横断面が円弧状の金網からなる複数のシート42が一体的に織られた織物としての形状を有する。この実施形態においても、断面円弧状のシート42が隣り合う平板41を所定間隔で維持するスペーサとして機能するので、前述の各実施形態で使用される棒状スペーサ14は不要であり、施工が簡単である。この実施形態の部分横断面図を図21に示す。
【0058】
図22は本発明にかかる気液接触機構の他の実施形態を示す正面図である。本実施形態において、液分配器2は管状の形状を有するものであり、充填体構成要素43は金網からなるシート状の形状を有し、アダプター44はシート状の充填体構成要素43がその上端部において上下方向に複数の部分に裁断されることにより形成されており、アダプター44を形成する複数の該裁断された部分が集合して管状の液分配器2の内部に挿入され保持されている。
【0059】
この実施形態によれば、充填体構成要素43がシート状の場合でも特別のアダプターを接続する必要なしに管状の液分配器2に直接連結することが可能であり、製造および施工が容易となる利益がある。
【0060】
上記各実施形態において、アダプターは充填体構成要素と一体的に形成されれいるが、アダプターと充填体構成要素を別体に形成した後両者を接合してもよい。
【0061】
また、アダプターのみを他のアダプターから分岐することなく他のアダプターとは独立に液分配器に直接連結するように構成し、規則充填体としては、たとえば上記特開2001−170475号公報に記載されたようなXパッキング型の規則充填体を使用しても、同公報に記載された分岐する型のアダプターを使用するよりも気液接触の効果を増大することができる。
【0062】
実験例
本発明にかかるアダプターの効果を確認するため、次の実験を行なった。
真空蒸留塔の中に規則充填体として上記特開2001−170475号公報記載のX−パッキングを充填し、塔上部に設置された液分配器とこのX−パッキングを図2に符号4で示す上記本発明実施形態の複数本の糸状アダプターで連結した。各アダプターは直径0.25mmの鋼線を4本より合わせたものを2本撚りとして形成したワイヤを使用した。この装置を使用してクロロベンゼンとエチルベンゼンの2成分系につき蒸留分離を行なった。すなわち両成分の蒸気を塔の下部から上部に吹き上げ、上部に達した蒸気をコンデンサで凝縮して液化して液分配器からアダプターを介してX−パッキングに流すことにより気液接触を行なわせる方法である。気体速度をFフアクター2としてこの実験を行なったところ、1mあたり理論段数Nt(装置の性能を示す)は7.6であり、1Ntを得るために必要な規則充填物の表面積は65m2であった。また塔頂部の気体の濃縮度は77.5重量%であった。
【0063】
比較のため、アダプターとして上記特開2001−170475号公報記載の分岐形のアダプターを使用した以外は同一条件で同一実験を行なった。アダプターは直径0.25mmの鋼線を4本撚り合わせたものを2本撚りとして形成した。その結果、1mあたりNtは6.8であり、1Ntを得るために必要な規則充填物の表面積は72m2であった。また塔頂部の気体の濃縮度は76.7重量%であった。
【0064】
以上の実験結果から、同一規則充填体を使用しても、アダプターとして本発明のアダプターを使用すれば、従来の分岐形アダプターを使用する場合に比べて規則充填体の必要表面積が1Ntあたり72m2から65m2に減少し、気体の濃縮度は76.7重量%から77.5重量%に増加することが判り、本発明のアダプターを使用することにより気液接触装置の能率を有意に向上させることができるうことが判る。
【0065】
したがって、上記各実施形態のアダプターは液分配器の液体を均一に分散させることができるので、既存の規則充填物または不規則充填物の液分配器として使用した場合既存の充填物の性能を改善することができる。
【0066】
またコレクターとしては上記各実施形態のものに限らず、たとえば上記特開2001−170475号公報記載のものを使用することもできる。
【0067】
上記各実施形態のコレクターを既存の規則充填物または不規則充填物の直下に設置した場合凝縮等の反応が終わった液をコレクターを伝わるようにして液集合器に集め塔外に取り出すことができるので、従来自由液滴としていたために再び充填物内に吹き上げられる欠点が解消し、性能が改善される。
【0068】
また上記各実施形態のアダプターとコレクターを既存の規則充填物または不規則充填物の上部と下部に設置した場合既存の充填物の性能を改善できるばかりでなく、液滴の自由落下を防止するのでさらに高い負荷の運転も可能とすることができる。
【0069】
既存の規則充填物または不規則充填物を上記各実施形態の規則充填体により置換し液分配器は既存のものを使用した場合でも、上記各実施形態の規則充填体は装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長しているので、壁流が改善され均一流となっているため既存の装置の分離性能を大きく改善することができる。
【0070】
さらに、塔の高さが著しく制限されている場合には上記各実施形態のアダプターの直下にコレクターを直結した状態で使用することも可能である。すなわち規則充填物または不規則充填物を設置するスペースのない場合に適用しても一応の性能を得ることができる。
【0071】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長するので、液分配器から各充填体構成要素に流下した液体は装置の内壁に移って壁流となることなく、また隣り合う充填体構成要素に移って液体の流れに不均一を生じることなく液集合器に流れる。その結果各充填体構成要素を流れる液体の量は均一となり、均一な気液接触が達成される。また各充填体構成要素は装置内で垂直方向に延長しているので、圧力損失を最小限に押えることができる。さらに、液分配器と規則充填体はアダプターで直結されており、規則充填体と液集合器もコレクターで直結されているので、気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げを防止することができる。
【0072】
また本発明の1側面において、アダプターは充填体構成要素と一体的に形成されているので製造、施工が容易であり、またアダプターが他のアダプターから分岐することなく液分配器の内部に直接連結されているので、アダプターの分岐による液分配の不均一が生じるおそれがなく、各充填体構成要素に液体が均一に配給される。
【0073】
本発明の他の側面においては、既存の規則充填物または不規則充填物を本発明にかかる規則充填体により置換し液分配器は既存のものを使用した場合でも、上記各実施形態の規則充填体は装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長しているので、壁流が改善され均一流となっているため既存の装置の分離性能を大きく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の気液接触機構が使用される装置全体を示す模式的縦断面図である。
【図2】本発明の気液接触機構の1実施形態を示す斜視図である。
【図3】同実施形態の充填体構成要素集合体の横断面図である。
【図4】アダプターを挿入した状態の管状液分配器の横断面図である。
【図5】トラフ型液分配器を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】同実施形態の充填体構成要素集合体の横断面図である。
【図8】アダプターを挿入した状態の管状液分配器の横断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】同実施形態の充填体構成要素集合体の横断面図である。
【図11】折れ線状の充填体構成要素を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図13】同実施形態の充填体構成要素集合体の横断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図15】同実施形態の充填体構成要素集合体の横断面図である。
【図16】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図17】同実施形態の規則充填体の横断面図である。
【図18】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図19】同実施形態の規則充填体の横断面図である。
【図20】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図21】同実施形態の規則充填体の横断面図である。
【図22】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
【図23】従来の気液接触機構の1例を示す部分断面図である。
【図24】従来の気液接触機構の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 気液接触機構
2 管状液分配器
3 液集合器
4、16、19、22、25、32、44 アダプター
5 規則充填体
6、17、20、23、26、31、43 充填体構成要素
7、18、21、24、27、33 コレクター
Claims (4)
- 気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間における液滴の飛散、吹き上げが生じ得る条件下で運転される装置であって、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動を行なう装置において、
該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体と、
該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、
該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとを備え、該アダプターは装置の頂部に開口する気体の流出口よりも下方に配置され、該コレクターは装置の下部に開口する気体の流入口よりも上方に配置されており、さらに各充填体構成要素を非接触状態に保つための穴明板が設けられていないことを特徴とする物質移動等を行なう装置内の気液接触機構。 - 該充填体構成要素は糸状および帯状のいずれかの形状を有し、該アダプターは該充填体構成要素と一体的に形成されており、1または複数の該アダプターが他のアダプターから分岐することなく該液分配器に直接連結されていることを特徴とする請求項1記載の気液接触機構。
- 装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する規則充填体を有し、気体と液体間の物質移動を行なう装置において、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給するアダプターであって、他のアダプターから分岐することなく他のアダプターとは独立に該液分配器に直接連結され、装置の頂部に開口する気体の流出口よりも下方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の気液接触機構における液体供給用アダプター。
- 装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する規則充填体を有し、気体と液体間の物質移動を行なう装置において、該規則充填体と該液集合器を連結し、該規則充填体から液体を該液集合器に供給するコレクターであって、装置の下部に開口する気体の流入口よりも上方に配置され、他のコレクターから分岐することなく、他のコレクターとは独立に該液集合器に直接連結されることを特徴とする請求項1記載の気液接触機構における液体供給用コレクター。
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