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JP4594679B2 - 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気メモリ - Google Patents
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磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気メモリ Download PDF

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Description

本発明は、膜面に対して垂直方向に電流を通電する構造の磁気抵抗効果素子、ならびにこれを用いた磁気ヘッド、磁気再生装置、および磁気メモリに関する。
磁性体の積層構造体における巨大磁気抵抗効果(Giant MagnetoResistive Effect:GMR)の発見により、磁気デバイスの性能が飛躍的に向上している。特に、スピンバルブ膜(Spin-Valve:SV膜)は磁気デバイスに容易に適用できる構造を有し、GMR効果を有効に発揮させることができるので、磁気ヘッドおよびMRAM(Magnetic Random Access Memory)などの磁気デバイスに大きな技術的進歩をもたらした。
「スピンバルブ膜」とは、2つの強磁性層の間に非磁性金属スペーサ層を挟んだ構造を有し、一方の強磁性層(「ピン層」や「磁化固着層」などと称される)の磁化を反強磁性層などで固着し、もう一方の強磁性層(「フリー層」や「磁化自由層」などと称される)の磁化を外部磁界(たとえば媒体磁界)に応じて回転するようにした積層膜をいう。スピンバルブ膜では、ピン層とフリー層の磁化方向の相対角度が変化することによって、巨大な磁気抵抗変化が得られる。
従来のスピンバルブ膜は、膜面に平行にセンス電流を通電するCIP(Current In Plane)−GMR素子であった。近年、CIP−GMR素子よりも大きなGMR効果を発現することから、膜面にほぼ垂直方向にセンス電流を通電するCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR素子(以下、「CPP素子」と呼ぶ)が注目されている。
これらの磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに応用することを考慮した場合、素子抵抗が高くなるとショットノイズおよび高周波応答の点で問題が生じる。素子抵抗に関しては、AR(通電面積×抵抗)で評価するのが妥当である。具体的には、200Gbpsi(Gigabit per square inch)の記録密度で、ARは1Ωμm2以下であることが必要とされている。
このような要求に対して、CPP素子は、素子の抵抗が素子面積に依存し、素子を微細化した場合に抵抗変化量が増大するという利点を有し、磁気デバイスがますます微細化される傾向下では有利に適用できる。このような背景から、CPP素子およびそれを用いた磁気ヘッドは、200Gbpsi〜1Tbpsi(Terabit per square inch)の記録密度を実現するための有力候補と考えられる。ただし、非磁性金属からなるスペーサ層を用いたメタルCPP素子は、抵抗変化量自体かなり小さいため、大きな再生出力信号を得ることが困難である。
この問題を一部解決するために、絶縁層中にこれを貫通する非磁性金属からなる微細な電流パス(電流狭窄部)を形成したスペーサ層を用いたCPP素子が提案されている。このようなCPP素子は、電流狭窄[CCP(Current-confined-path)]効果を示し、非磁性金属スペーサ層を用いた単純なCPP素子よりも大きな再生出力信号を得ることができる(以下、CCP−CPP素子という)。しかし、高記録密度対応の磁気ヘッド応用を考えた場合、CCP−CPP素子でもMR変化率が不足する可能性がある。
高記録密度に対応できる巨大なMR変化率を実現する構造として、酸化物層中の電流狭窄部を金属磁性材料で形成したスペーサ層を用い、BMR(Ballistic MagnetoResistace)効果を利用する素子(以下、BMR素子という)が提案されている(たとえば特許文献1参照)が、高MRが得られる場合の物理原理は未だ不明確であり、単純に磁性パスでバリスティック伝導を生じさせれば良いというものではない。バリスティック伝導が高MR変化率の本質的な理由ではない、新たな機構のMR素子が熱望されている。
特開2003−204095号公報
従来提案されているBMR素子は、ピン層とフリー層との間に、絶縁層中にこれを貫通する金属磁性材料からなる微細な電流狭窄部が形成された電流狭窄層を設けた構造を有する。このように絶縁層中に金属磁性材料からなる電流狭窄部が形成された電流狭窄層を用いた場合には、ピン層とフリー層の間の層間結合磁界Hinが大きくなり、外部媒体に対するフリー層の磁化回転が妨げられるという問題が生じやすい。ここで、従来型のスピンバルブ膜においては、実用上の観点から、Hinは約20Oeまでが限度であるといわれている。しかし、CCP−CPP素子やBMR素子では、電流狭窄層の厚さすなわち絶縁層の厚さを厚くするのは不利である。このため、非磁性金属材料で電流狭窄部を形成したCCP−CPP素子でさえ、プロセス条件が適切でない場合にはHinが20Oeよりも大きくなる場合が生じる。まして、金属磁性材料で電流狭窄部を形成したBMR素子では、Hinを20Oe以下に低減することは困難であり、その実用化が極めて困難である。このように、世の中でBMR素子と呼ばれているものでの実用的な素子の実現は困難である。さらに、前述したように、世の中でBMR素子と呼ばれているもので高MR変化率が得られる物理原理は未だ不明であり、たとえHinだけが低減できたとしても、このような素子構造では高MR変化率が得られないのが現状である。
上記のような従来CCP−CPP素子やBMR素子における限界を打破するために、本発明の目的は、このような従来のCCP−CPP素子やBMR素子とは全く異なる原理によって高いMR変化率が得られる磁気抵抗効果素子を提供することにある。
本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子は、3層以上の金属磁性層と、前記3層以上の金属磁性層の間に設けられた、絶縁層とこの絶縁層を貫通する金属磁性材料を含む電流狭窄部とを有する2層以上の接続層と、前記金属磁性層および接続層の膜面垂直方向に電流を通電させる電極とを具備したことを特徴とする。
本発明の他の態様に係る磁気抵抗効果素子は、3層以上の金属磁性層と、前記3層以上の金属磁性層の間に設けられた2層以上の非磁性金属層と、前記金属磁性層および非磁性金属層の膜面垂直方向に電流を通電させる電極とを具備したことを特徴とする。
本発明に係る磁気ヘッドは、上記の磁気抵抗効果素子を具備したことを特徴とする。本発明に係る磁気記録再生装置は、磁気記録媒体と、上記の磁気ヘッドとを具備したことを特徴とする。本発明に係る磁気メモリは、上記の磁気抵抗効果素子を具備したことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子は、ピン層とフリー層との間の磁気結合の大きさを適切に制御することができ、外部磁界に対するフリー層の磁化回転という実用的な動作を確保して、高いMR変化率を得ることができる。さらに、磁気抵抗効果素子を用いて、高密度記録に対応した磁気ヘッドおよびそれを搭載した磁気記録再生装置(Hard Disk Driveなど)や、高密度記録に対応した磁気メモリ(MRAM)を提供することができる。
図1に本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜という)の主要部の断面図を示す。この図では、金属磁性層1a、接続層2a、金属磁性層1b、接続層2b、金属磁性層1c、接続層2c、金属磁性層1d、接続層2d、金属磁性層1e、接続層2e、金属磁性層1fが積層されている。接続層2a〜2eは、絶縁層3と、この絶縁層3を貫通する金属磁性材料で形成された電流狭窄部4とを含む。金属磁性材料を含む電流狭窄部は、隣接する2つの金属磁性層間を電気接続(オーミック接続)する。図1の積層膜の下には、下電極、バッファ層、ピニング層などが設けられる。図1の積層膜の上には、キャップ層、上電極などが設けられる。電流は、図1の積層膜に対して膜面に垂直方向に通電される。
図1の積層膜において、互いに隣接する金属磁性層は、間に挟まれた接続層を介して磁気的に弱く結合している。図2(a)および(b)を参照して、外部磁化(媒体磁界)がゼロの場合および外部磁界(媒体磁界)が印加された場合の金属磁性層1a〜1fの磁化方向について説明する。最下層の金属磁性層1aは磁化方向が固着されてピン層として機能し、最上層の金属磁性層1fは外部磁界に応じて磁化方向が変化しフリー層として機能する。なお、最下層の金属磁性層1aと最上層の金属磁性層1fとの中間にある金属磁性層1b〜1eおよび接続層2a〜2eの機能については、通常のスピンバルブ膜のようなピン層、スペーサ層またはフリー層としての機能に単純に分類できないし、そのように定義する必要もない。
図2(a)に示すように、外部磁界がゼロのときには、最上層の金属磁性層1fの磁化方向は最下層の金属磁性層1aの磁化方向とほぼ直交する方向にバイアスされており、最下層の金属磁性層1aと最上層の金属磁性層1fとの間にある中間の金属磁性層1b〜1eの磁化方向は少しずつねじれるように変化している。このように、3層以上の金属磁性層同士が互いに弱く磁気結合して、それらの磁化方向がスプリング状に少しずつねじれているので、図1の積層膜をスプリングスピンバルブ膜と命名した。
一方、図2(b)に示すように、外部磁界が印加されたときには、最上層の金属磁性層1fの磁化方向が外部磁界の方向に従って変化し、それに応じて中間の金属磁性層1e〜1bの磁化方向も少しずつ変化する。そして、図2(b)のように最上層の金属磁性層1fの磁化方向と最下層の金属磁性層1aの磁化方向とが平行になった場合には、膜面垂直方向にセンス電流を通電したときに低抵抗になる。
以上のような原理により、本発明に係る磁気抵抗効果素子は、スピンバルブ膜としての実用的な動作と高いMR変化率とを両立できる。
次に、本発明の磁気抵抗効果素子に用いられる材料について説明する。
(i)下電極は、Cu、Au、Cr、Taなどから形成される。
(ii)バッファ層(下地層)は下記のような材料から形成される。
Ti,Ta,W,Cr,Mo,Nb,V,Zr,Hfからなる群より選択される金属またはこれらの金属を含む合金[厚さ3〜10nm]、
Ta[3〜5nm]/Ru[2nm]、
NiFeCr[3〜5nm]、
Ta[3nm]/NiFeCr[3〜5nm]、
Ta[3nm]/NiFe[3〜5nm]。
(iii)ピニング層は下記のような材料から形成される。
IrMn,PtMn,PdPtMnなどの反強磁性層、
CoPt,CoPrCr,FePtなどのハード層、
IrMn,PtMn,PdPtMnなどの反強磁性層/強磁性層/Ru、
CoPt,CoPrCr,FePtなどのハード層/強磁性層/Ru。
たとえば、PtMn/CoFe[3nm]/Ruのような積層構造のピニング層は、Ruを介して上下の金属磁性層が反強磁性的に磁気結合するので、いわゆるシンセティックピニング層と呼ばれる。ピニング層としてはIrMn、PtMn、PdPtMnからなる単層ピニング層やハード層からなる単層ピニング層を用いてもよいが、シンセティックピニング層ではピン層の実質的なネット磁気モーメントをゼロにしてピン層からの漏洩磁界の影響を防ぐことができる。なお、シンセティックピニング層に含まれる強磁性層の材料は、後述するスプリングスピンバルブ膜中の金属磁性層の材料と同様のものを用いることができるので、その説明を参照されたい。
シンセティックピニング層に含まれるRuより下に形成されている金属磁性層の膜厚は、Ruより上のスプリングスピンバルブ膜に含まれる金属磁性層の合計膜厚の1/2以下であることが望ましい。また、Ruより下に形成されている金属磁性層の膜厚は、1〜10nmであることが望ましく、1〜5nmであることがさらに望ましい。
(iv)金属磁性層は下記のような材料から形成され、磁性層単層でもよいし、磁性層と非磁性層との積層膜でもよい。
Fe、Co、Ni、Co−Fe、Ni−Fe、Ni−Co、Fe−Co−Ni、Coを含む合金、Niを含む合金、Feを含む合金、
(FeCo/Cu)×n周期、
(CoNi/Cu)×n周期、
(NiFe/Cu)×n周期、
(FeCoNi/Cu)×n周期。
(FeCo/Cu)×nの積層膜などでは、FeリッチすなわちFe濃度が50%以上の磁性層を用いることが好ましい。このような金属磁性層では、バルク散乱を増す効果が得られる。Cuなどの非磁性層の膜厚は、上下の金属磁性層の磁気結合を強くするためにあまり厚くすることは好ましくなく、0.1nm〜1nmが好ましく、0.1nm〜0.5nmがより好ましい。また、CoMnGe,NiMnSbなどのホイスラー合金材料を用いても構わない。
また、以上の磁性材料に添加元素を添加してもよい。添加元素としては、Cu、Cr、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Ptなどが挙げられる。特にFeCoにCuを添加したFeCoCu合金はバルク散乱効果が増すので好ましい。非磁性添加元素の濃度は、1〜50原子%が好ましく、2〜20原子%がより好ましい。また、これらの金属磁性材料を窒化したものを用いてもよい。
金属磁性層の厚さtmは1nm〜10nmが望ましく、1.5nm〜5nmがさらに望ましい。複数の金属磁性層に同じ材料を用いてもよいし異なる材料を用いてもよい。ただし、ピニング層から離れた金属磁性層は、媒体磁界に対して容易に磁化回転する機能を有する必要があるので、NiFe、CoFe、NiCo、Fe、NiFeCo、CoFeNi合金や、これらに添加元素を添加して軟磁性材料で形成することが好ましい。一方、ピニング層に近い金属磁性層の材料は軟磁性材料に限定する必要はなく、高いMR変化率を得るのに有利な磁性材料を用いることが好ましい。
金属磁性層の層数が3層以上であれば、スプリングスピンバルブ膜としての機能を発揮する。金属磁性層の層数は、3層〜20層が好ましく、3層〜10層がより好ましい。金属磁性層の合計膜厚は、約3nm〜30nmが好ましく、約5nm〜20nmがより好ましい。金属磁性層の合計膜厚が厚すぎると、MR変化率は大きくなるが、抵抗も上昇するため、高周波応答の点で好ましくない。金属磁性層の合計膜厚が薄いと、磁気ヘッドやMRAMを作製するプロセス上の観点からは好ましい。しかし、金属磁性層の合計膜厚を薄くしすぎると、MR変化率が大きな値を示す材料が限定されるおそれがある。
金属磁性層の結晶構造は、fcc構造の場合にはfcc(111)配向性、bcc構造の場合にはbcc(110)配向性、hcp構造の場合にはhcp(001)配向性またはhcp(110)配向性をもつことが望ましい。
結晶配向性は、配向のばらつき角度が4.0度以内であることが望ましく、3.5度以内がより好ましく、3.0度以内がさらに好ましい。これは、例えばX線回折でθ−2θ測定により得られたピーク位置でのロッキングカーブの半値幅として測定可能な値である。磁気ヘッドにおいては、断面のナノディフラクションスポットの分散角度として検知することができる。
(v)接続層(電流狭窄層)は、絶縁層3とこの絶縁層を貫通する金属磁性材料で形成された電流狭窄部4とを含む。接続層は、隣接する金属磁性層を互いに磁気的、電子伝導的に結合させる機能を有する。膜面垂直方向に通電される電流は、電流狭窄部を流れ、電流狭窄部を囲む絶縁層には流れない。各金属磁性層は接続層を介して磁気的に結合することによって、図2(a)に示したように、各金属磁性層の磁化が少しずつねじれた状態を実現でき、スプリングスピンバルブ膜としての動作が可能となる。
電流狭窄部4の材料としては、上述した金属磁性層の材料と同様に、Fe、CoまたはNiを含む合金、CoFe合金、NiFe合金、NiCo合金、およびこれらの金属磁性層と極薄の非磁性金属層との積層膜などが挙げられる。非磁性金属層の材料としては、Cu,Cr,Ti,V,Mn,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wなどが挙げられる。
電流狭窄部として積層膜を用いる場合、非磁性金属層の厚さが厚すぎると、接続層を介した上下金属磁性層が弱くなるため好ましくない。しかし、電流狭窄部に積層膜を用い、非磁性金属層の厚さを適切に設定することにより、接続層を挟む上下の金属磁性層の磁気結合の強さを制御することができ、図2(a)に示す各金属磁性層の磁化回転角を有利に制御できる。非磁性層の膜厚は0.1〜1nmが好ましく、0.1〜0.5nmがより好ましい。
電流狭窄部4を取り囲む絶縁層3の材料としては、AlOx(Al23に代表される),SiOx(SiO2に代表される),MgO,ZrOx,HfOx,TiOx,CrOx,FeOx,FeCoOx,NiOx,CoOx,VOx,WOx,TaOxなどが挙げられる。
接続層を挟む上下の金属磁性層の絶縁性を良好に保つという観点からは、絶縁層3の材料としてAlOx、SiOx、HfOx、ZrOxなどが特に好ましい。これらの酸化物は、添加元素としてZr,Hf,Mg,Nb,Ta,Ti,Cr,V,Wなどの酸化物を含んでいてもよい。絶縁層3の材料として、FeOx、CoOx、NiOxなどの磁性酸化物を用いることもできる。このように絶縁層3を磁性酸化物で形成した場合、接続層を挟む上下の金属磁性層の磁気結合は電流狭窄部4を介した磁気結合と磁性酸化物からなる絶縁層3を介した磁気結合の組み合わせとなり、磁気結合を様々に制御できる。特に、FeOxはネール点やキュリー点が室温よりもかなり高い値を示すことが多いため、室温において動作させる磁気抵抗効果素子に応用する場合に利用価値が高い。例えば、Feを含むFe34,CoFe24,MnFe24,NiFe24,γ−Fe23などのスピネル酸化物や、α−Fe23などのコランダム系の反強磁性材料などが挙げられる。なお、絶縁層3の材料は、酸化物に限らず、窒化物でもよい。
接続層(絶縁層3および電流狭窄部4)の厚さtcは0.5〜5nmが好ましく、微小サイズの電流狭窄部4を形成しやすいという観点から1〜2nmがより好ましい。
図3は接続層の膜面を示す平面図である。接続層の膜面における1つの電流狭窄部4のサイズDpは0.5〜10nmが好ましく、1〜7nmがより好ましい。接続層の膜面に占める電流狭窄部4の面積比率は1〜30%が好ましく、3%〜20%がより好ましい。電流狭窄部4のサイズおよび面積比率によって、接続層を挟む上下の金属磁性層の磁気結合の大きさや磁化回転角も変化し、MR変化率の値も変化する。電流狭窄部4のサイズDpおよび電流狭窄部4の面積比率が上記の範囲であれば、スプリングスピンバルブ膜としての動作が可能となる。
接続層は以下のような方法により形成することができる。たとえば、電流狭窄部となるべき金属材料と絶縁層となるべき金属材料をスパッタリング、MBE、CVD、蒸着などによって成膜した後に、酸化処理を施して絶縁層となるべき金属材料を酸化する方法を用いることができる。この場合、電流狭窄部となるべき金属材料と絶縁層となるべき金属材料とが混合した状態で成膜されていても、酸化時の酸化活性度の違いによって電流狭窄部となるべき金属材料は金属のまま維持され電流狭窄部を形成することできる。酸化方法としては、自然酸化、ラジカル酸化、イオンビーム酸化、RFプラズマ酸化などが用いられる。酸化処理時に酸化活性を上げるために、UV照射や基板加熱などを行ってもよい。サイズが良好に制御された電流狭窄部を形成するには、イオンビーム酸化、RFプラズマ酸化を行うことが特に好ましい。イオンビーム酸化を行う場合には、酸素ガスをイオンソースに導入するか、または酸素ガスを酸化チャンバーに直接導入してもよい。イオンビームの加速エネルギーは50〜100Vに設定することが好ましい。
また、絶縁層を形成する絶縁材料と電流狭窄部を形成する合金材料をRFコスパッタリングして、両者を分離した状態で成膜する方法を用いることもできる。特に、絶縁層の材料がAlOxまたはSiOxである場合には、この方法を有効に用いることができる。
(vi)キャップ層は、は下記のような材料から形成される。
Cu[0〜10nm]/Ta[1〜5nm]
Cu[0〜10nm]/Ru[0〜10nm]。
(vii)上電極は、下電極と同様に、Cu、Au、Cr、Taなどから形成される。
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)10は、下電極11と上電極12との間に挟まれて配置され、膜面垂直方向に電流が通電される。
本発明の実施形態に係るスプリングスピンバルブ膜10を磁気ヘッドに適用する場合、スプリングスピンバルブ膜10の幅Wをトラック幅に対応させて加工する。幅Wは0.1μm以下、高記録密度のためには50nm以下に設定される。スプリングスピンバルブ膜10の奥行きhも幅Wとほぼ同じサイズに加工される。なお、フリー層の磁化方向をピン層の磁化方向と直交する方向にバイアスするために、例えばスプリングスピンバルブ膜10の横にハード層を設けるか、またはスプリングスピンバルブ膜10の上にインスタックバイアス層を設ける。
本発明の実施形態に係るスプリングスピンバルブ膜10を磁気メモリ(MRAM)に適用する場合、磁気ヘッドの場合よりも大きいサイズでよく、Wおよびhは1μm以下に加工すればよい。また、バイアス層は一般的には設けられず、スプリングスピンバルブ膜10の形状を工夫することによって一軸異方性を付与してスイッチング動作が可能にする。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)を用いれば、20〜1000%の高いMR変化率と、60〜1000mΩμm2の低いRAを実現することができる。
次に、以上で説明した実施形態に対応する磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)の具体例を説明する。膜構成は以下のとおりである。
下電極:Cu
バッファ層:Ta[5nm]/NiFeCr[5nm]
ピニング層:PtMn[15nm]/CoFe[3nm]/Ru[1nm]
金属磁性層:CoFe[2nm]
接続層:Co電流狭窄部を含むAl23[1.5nm]
金属磁性層:CoFe[2nm]
接続層:Co電流狭窄部を含むAl23[1.5nm]
金属磁性層:CoFe[1nm]/NiFe[3nm]
キャップ層:Cu[1nm]/Ru[5nm]
上電極:Cu。
この磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)は以下のような方法により製造する。基板上にCuを成膜し、パターニングして下電極を形成する。この基板を、DCマグネトロンスパッタリング装置に装入する。この装置は、スパッタリング室に真空バルブを介して接続された酸化室を有する。バッファ層:Ta/NiFeCr、ピニング層:PtMn/CoFe/Ruおよび金属磁性層:CoFeを成膜する。
接続層の絶縁層となるAl[0.9nm]を成膜し、この段階で基板を酸化室に搬送して、イオンビーム酸化、RFプラズマ酸化またはラジカル酸化を行う。この酸化処理により、Alが酸化されて接続層の絶縁層であるAl23が形成されるとともに、下地のCoFeがAl23中を吸い上げられて電流狭窄部が形成される。この場合、原子の移動を促進しやすい酸化プロセスであるイオンビーム酸化またはRFプラズマ酸化を行うことが好ましい。
また、電流狭窄部となるべきCoと絶縁層となるべきAlとの合金であるAlCo合金を成膜し、この段階で基板を酸化室に搬送して酸化してもよい。AlCo合金の組成は、Al80Co30からAl95Co5までの範囲であることが望ましい。AlとCoとは非固溶であるため分離した状態で成膜されやすく、この状態で酸化することにより酸化されやすいAlが酸化されるが酸化されにくいCoは電流狭窄部として形成される。この場合にも、原子の移動を促進しやすい酸化プロセスであるイオンビーム酸化またはRFプラズマ酸化を行うことが好ましい。
上述したように、接続層の厚さtcは0.5〜5nmが好ましく、1〜2nmがより好ましい。接続層の厚さがこの範囲であれば、金属狭窄部を有する酸化物層を形成するのが容易であると同時に、酸化物層による絶縁効果も有効に発揮される。
次に、基板を再度スパッタリング室へ搬送し、金属磁性層:CoFe[2nm]を成膜する。その後、接続層となるAlまたはAlCoを成膜した後、上記と同様に、基板を酸化室に搬送して酸化することにより接続層を形成する。
次いで、基板は再度スパッタリング室に搬送し、金属磁性層:CoFe[1nm]/NiFe[3nm]およびキャップ層:Cu[1nm]/Ru[5nm]を成膜する。
成膜後の基板を290℃において4時間、10kOe程度の磁場中で熱処理を行う。この熱処理により、PtMnの規則化を行うとともに、電流狭窄部中において磁性元素との結合が不十分な酸素を酸化されやすい元素に結合させる。たとえば、as−depo(成膜したまま)では接続層の一部にCoOが存在するが、熱処理によりCoOは還元され、酸化されやすいAlと酸素が結合してAl23が生成する。この結果、より高い純度の金属磁性材料を含む電流狭窄部が形成される。
その後、フォトリソグラフィーによってスプリングスピンバルブ膜を素子幅がトラック幅とほぼ等しくなるように微細加工する。具体的には、素子の一辺のサイズが100nm〜30nmになるようにパターニングする。このようなスプリングスピンバルブ膜では、面積抵抗RAが500mΩμm2程度で、しかも高いMR変化率が得られる。
図5に本発明の他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)の主要部の断面図を示す。この図では、金属磁性層1a、接続層2a、金属磁性層1b、接続層2b、金属磁性層1c、接続層2c、非磁性金属層5、金属磁性層1d、接続層2d、金属磁性層1e、接続層2e、金属磁性層1fが積層されている。図5の磁気抵抗効果素子において、図1と異なるのは、接続層2cと金属磁性層1dとの間にCuなどからなる非磁性金属層5が形成されていることである。
非磁性金属層5が2nm以上と厚い場合には、非磁性金属層5を挟む上下の金属磁性層1cおよび金属磁性層1dは、小さな層間結合磁界(OrangeピールによるNeel結合磁界とRKKY結合磁界)を除いて、基本的には磁気結合しない。
一方、非磁性金属層5がたとえば2nm以下と比較的薄い場合には、非磁性金属層5を挟む上下の金属磁性層1cおよび金属磁性層1dの磁気結合は無視できない大きさになる。したがって、図5のような膜構成でも、図2(a)に示したように、各金属磁性層の磁化が少しずつねじれた状態を実現でき、スプリングスピンバルブ膜としての動作が可能となる。
図5のような構造を実現するためには、非磁性金属層5の膜厚を、上下の金属磁性層が弱い強磁性結合を示すように設定する。たとえば非磁性材料がCuの場合にRKKY結合成分を考えると、Cuの膜厚を以下のように設定することが好ましい。すなわち、Cu層を介した上下の金属磁性層のRKKY磁気結合に関しては、強磁性的な結合と反強磁性的な結合が非磁性層の膜厚に対して振動して変化するという現象が知られている(S.S.P. Parkin et al, Phys. Rev. Lett. 66, 2152 (1991))。このような振動現象において強磁性結合を示すCuの膜厚は例えば1〜1.6nmおよび2.4〜2.6nmである。完全にフラットな膜が形成された場合には、強磁性的な結合を得るためのこのような膜厚範囲にすることが望ましい。しかし、実際には非磁性層を介した強磁性層間の磁気結合はRKKY結合だけで決まるものではなく、膜の凹凸に起因して発生する強磁性的結合であるNeel結合(オレンジピールカップリングともいう)も存在する。Neel結合に関しては、非磁性層の膜厚が薄くなればなるほど大きくなる。よって、Neel結合によって強磁性的磁気結合が決定される場合を考えると、非磁性層の膜厚が2nm以下で無視できなくなり、ある程度の強磁性結合成分を得るためには1.5nm以下であることが望ましいため、最適な膜厚範囲としては、0.1〜1.5nmということになる。非磁性金属層の材料としては、Cuに限らず、Au、Ag、Cr、Mn、V、Ti、Zr、およびこれらを含む合金材料を用いることができる。これらのうち、熱的安定性の観点からは特にCuが望ましく、上下の金属磁性層の磁気結合を比較的大きくできるという観点からはCr、Mnが望ましい。
図6に、本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)の主要部の断面図を示す。この図では、金属磁性層1a、非磁性金属層5a、金属磁性層1b、非磁性金属層5b、金属磁性層1c、非磁性金属層5c、金属磁性層1d、非磁性金属層5d、金属磁性層1eが積層されている。図6の磁気抵抗効果素子の膜構成は、図1の磁気抵抗効果素子における複数の接続層を、複数の非磁性金属層に置き換えたものに相当する。非磁性金属層の材料および膜厚は、図5で説明したとおりである。
この場合にも、非磁性金属層を挟む上下の金属磁性層が磁気的に結合していれば、図2(a)に示したように、各金属磁性層の磁化が少しずつねじれた状態を実現でき、スプリングスピンバルブ膜としての動作が可能となる。
図7に、本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)の主要部の断面図を示す。この図では、金属磁性層1a〜1fのうち隣接する金属磁性層の間に、1層の接続層(たとえば2aまたは2c)が挟まれているか、1層の非磁性金属層(たとえば5aまたは5c)が挟まれているか、または接続層と非磁性金属層の積層膜(たとえば2bと5b)が挟まれている。このような膜構成でも、各金属磁性層の磁化が少しずつねじれた状態を実現でき、スプリングスピンバルブ膜としての動作が可能となる。
図1および図5〜図7に示したように、本発明の実施形態に係るスプリングスピンバルブ膜では、全ての金属磁性層が磁気的に弱く結合した状態を実現するには、接続層または非磁性金属層の層数が2層以上であることが必要である。これは、接続層または非磁性金属層が1層のみでは、磁気結合の影響が大きくなりすぎるためである。すなわち、上下の金属磁性層どうしを金属磁性層内における磁気結合よりも弱く磁気結合させる接続層または非磁性層の層数を増加させることにより、図2(a)のように段階的にねじれた磁化回転を実現でき、スプリングスピンバルブ膜としての動作が可能となる。
次に、電流狭窄部に金属磁性材料を含む接続層を用いた場合に、その上下にある2層の金属磁性層間の磁気結合を減少させるのに有効な他の実施形態に係る構造を、図8〜図11を参照して説明する。図8〜図11においては、説明を簡略化するために、上下の2層の金属磁性層とその間の接続層のみを図示する。
図8においては、金属磁性層1a、接続層2a、金属磁性層1bが積層されている。接続層2aは、絶縁層3とこの絶縁層3を貫通する電流狭窄部4とを含み、電流狭窄部4は金属磁性層41と非磁性金属層42とからなっている。このように電流狭窄部4を金属磁性層41と非磁性金属層42の積層構造とすることにより、上下の金属磁性層1aおよび金属磁性層1bの間の磁気結合を減少させることができる。
この場合、電流狭窄部4を形成する金属磁性層41と非磁性金属層42は、少なくともいずれか一方が複数層を含んでいてもよい。このような例を図9に示す。図9においては、電流狭窄部4は金属磁性層41、非磁性金属層42、金属磁性層41、非磁性金属層42の積層構造となっており、金属磁性層41と非磁性金属層42がそれぞれ2層ずつ含まれている。
図10においては、金属磁性層1a、非磁性金属層5a、接続層2a、非磁性金属層5b、金属磁性層1bが積層されており、接続層2aは絶縁層3とこの絶縁層3を貫通する電流狭窄部4とを含む。このように、接続層2aと上下の金属磁性層1aおよび金属磁性層1bとの間の両方に非磁性金属層5aおよび非磁性金属層5bを挟むことによっても、上下の金属磁性層1aおよび金属磁性層1bの間の磁気結合を減少させることができる。
さらに、これらの構造を組み合わせてもよい。組み合わせの例を図11に示す。図11においては、金属磁性層1a、非磁性金属層5a、接続層2a、非磁性金属層5b、金属磁性層1bが積層されており、接続層2aは絶縁層3とこの絶縁層3を貫通する電流狭窄部4とを含み、電流狭窄部4は金属磁性層41、非磁性金属層42、金属磁性層41、非磁性金属層42の積層構造となっている。
なお、図8〜図11に示した構造を採用し、上下の金属磁性層1aおよび金属磁性層1bの間の磁気結合を最適に制御できた場合、上下の金属磁性層1aおよび金属磁性層1bをそれぞれピン層およびフリー層として機能させることもできる(すなわち、必ずしも3層以上の金属磁性層を用いてスピンスプリング構造を形成する必要はない場合もある)。
次に、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)の応用について説明する。
図12および図13は、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに組み込んだ状態を示している。図12は、磁気記録媒体(図示せず)に対向する媒体対向面に対してほぼ平行な方向に磁気抵抗効果素子を切断した断面図である。図13は、この磁気抵抗効果素子を媒体対向面Pに対して垂直な方向に切断した断面図である。
図12および図13に例示した磁気ヘッドは、いわゆるハード・アバッテッド(hard abutted)構造を有する。磁気抵抗効果膜10は図1または図5〜図7に示した構造を有するものである。磁気抵抗効果膜10の上下には、下電極11と上電極12とがそれぞれ設けられている。図12において、磁気抵抗効果膜10の両側面には、バイアス磁界印加膜13と絶縁膜14とが積層して設けられている。図13に示したように、磁気抵抗効果膜10の媒体対向面には保護層15が設けられている。
磁気抵抗効果膜10に対するセンス電流は、その上下に配置された電極11、12によって矢印Aで示したように、膜面に対してほぼ垂直方向に通電される。また、左右に設けられた一対のバイアス磁界印加膜13、13により、磁気抵抗効果膜10にはバイアス磁界が印加される。このバイアス磁界により、磁気抵抗効果膜10のフリー層の磁気異方性を制御して単磁区化することによりその磁区構造が安定化し、磁壁の移動に伴うバルクハウゼンノイズ(Barkhausen noise)を抑制することができる。
本発明によれば、磁気抵抗効果膜のMR変化率が向上しているので、磁気ヘッドに応用した場合に高感度の磁気再生が可能となる。
図12および図13に示した磁気ヘッドは、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み込んで、磁気記録再生装置に搭載することができる。
図14は、このような磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。すなわち、本発明の磁気記録再生装置150は、ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。同図において、磁気ディスク200は、スピンドル152に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより矢印Aの方向に回転する。本発明の磁気記録再生装置150は、複数の磁気ディスク200を備えたものとしてもよい。
磁気ディスク200に格納する情報の記録再生を行うヘッドスライダ153は、薄膜状のサスペンション154の先端に取り付けられている。ヘッドスライダ153は、上述したいずれかの実施形態に係る磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドをその先端付近に搭載している。
磁気ディスク200が回転すると、ヘッドスライダ153の媒体対向面(ABS)は磁気ディスク200の表面から所定の浮上量をもって保持される。あるいはスライダが磁気ディスク200と接触するいわゆる「接触走行型」であってもよい。
サスペンション154は、図示しない駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155の一端に接続されている。アクチュエータアーム155の他端には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
アクチュエータアーム155は、スピンドル157の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在にできるようになっている。
図15は、アクチュエータアーム155から先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた拡大斜視図である。すなわち、磁気ヘッドアッセンブリ160は、例えば駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155を有し、アクチュエータアーム155の一端にはサスペンション154が接続されている。
サスペンション154の先端には、上述したいずれかの実施形態に係る磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドを具備するヘッドスライダ153が取り付けられている。サスペンション154は信号の書き込みおよび読み取り用のリード線164を有し、このリード線164とヘッドスライダ153に組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続されている。図中165は磁気ヘッドアッセンブリ160の電極パッドである。
本発明によれば、上述した本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドを具備することにより、従来よりも高い記録密度で磁気ディスク200に磁気的に記録された情報を確実に読み取ることが可能となる。
次に、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を搭載した磁気メモリについて説明する。すなわち、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を用いて、例えばメモリセルがマトリクス状に配置されたランダムアクセス磁気メモリ(magnetic random access memory、MRAM)などの磁気メモリを実現できる。
図16は、本発明の実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の一例を示す図である。この図は、メモリセルをアレイ状に配置した場合の回路構成を示す。アレイ中の1ビットを選択するために、列デコーダ350、行デコーダ351が備えられており、ビット線334とワード線332によりスイッチングトランジスタ330がオンになり一意に選択され、センスアンプ352で検出することにより磁気抵抗効果素子10中の磁気記録層(フリー層)に記録されたビット情報を読み出すことができる。ビット情報を書き込むときは、特定の書き込みワード線323とビット線322に書き込み電流を流して発生する磁場を印加する。
図17は、本発明の実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の他の例を示す図である。この場合、マトリクス状に配線されたビット線322とワード線334とが、それぞれデコーダ360、361により選択されて、アレイ中の特定のメモリセルが選択される。それぞれのメモリセルは、磁気抵抗効果素子10とダイオードDとが直列に接続された構造を有する。ここで、ダイオードDは、選択された磁気抵抗効果素子10以外のメモリセルにおいてセンス電流が迂回することを防止する役割を有する。書き込みは、特定のビット線322と書き込みワード線323とにそれぞれに書き込み電流を流して発生する磁場により行われる。
図18は、本発明の実施形態に係る磁気メモリの要部を示す断面図である。図19は、図18のA−A’線に沿う断面図である。これらの図に示した構造は、図16または図17に示した磁気メモリに含まれる1ビット分のメモリセルに対応する。このメモリセルは、記憶素子部分311とアドレス選択用トランジスタ部分312とを有する。
記憶素子部分311は、磁気抵抗効果素子10と、これに接続された一対の配線322、324とを有する。磁気抵抗効果素子10は、上述した実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)である。
一方、選択用トランジスタ部分312には、ビア326および埋め込み配線328を介して接続されたトランジスタ330が設けられている。このトランジスタ330は、ゲート332に印加される電圧に応じてスイッチング動作をし、磁気抵抗効果素子10と配線334との電流経路の開閉を制御する。
また、磁気抵抗効果素子10の下方には、書き込み配線323が、配線322とほぼ直交する方向に設けられている。これら書き込み配線322、323は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、タンタル(Ta)あるいはこれらいずれかを含む合金により形成することができる。
このような構成のメモリセルにおいて、ビット情報を磁気抵抗効果素子10に書き込むときは、配線322、323に書き込みパルス電流を流し、それら電流により誘起される合成磁場を印加することにより磁気抵抗効果素子の記録層の磁化を適宜反転させる。
また、ビット情報を読み出すときは、配線322と、磁気記録層を含む磁気抵抗効果素子10と、下電極324とを通してセンス電流を流し、磁気抵抗効果素子10の抵抗値または抵抗値の変化を測定する。
本発明の実施形態に係る磁気メモリは、上述した実施形態に係る磁気抵抗効果素子(スプリングスピンバルブ膜)を用いることにより、セルサイズを微細化しても、記録層の磁区を確実に制御して確実な書き込みを確保でき、且つ、読み出しも確実に行うことができる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気抵抗効果膜の具体的な構造や、その他、電極、バイアス印加膜、絶縁膜などの形状や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる。
例えば、磁気抵抗効果素子を再生用磁気ヘッドに適用する際に、素子の上下に磁気シールドを付与することにより、磁気ヘッドの検出分解能を規定することができる。
また、本発明は、長手磁気記録方式のみならず垂直磁気記録方式の磁気ヘッドあるいは磁気再生装置についても同様に適用して同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明の磁気再生装置は、特定の記録媒体を定常的に備えたいわゆる固定式のものでも良く、一方、記録媒体が差し替え可能ないわゆる「リムーバブル」方式のものでも良い。
その他、本発明の実施形態として上述した磁気ヘッドおよび磁気記憶再生装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施しうるすべての磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気記憶再生装置および磁気メモリも同様に本発明の範囲に属する。
本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 図1の磁気抵抗効果素子に含まれる金属磁性層の磁化方向を説明する図。 図1の磁気抵抗効果素子に含まれる接続層の膜面を示す平面図。 本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の斜視図。 本発明の他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の主要部の断面図。 本発明の実施形態に係る磁気ヘッドの断面図。 本発明の実施形態に係る磁気ヘッドの断面図。 本発明の実施形態に係る磁気記録再生装置の斜視図。 本発明の実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリの斜視図。 本発明の実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の一例を示す図。 本発明の実施形態に係る磁気メモリのマトリクス構成の他の例を示す図。 本発明の実施形態に係る磁気メモリの要部を示す断面図。 図18のA−A’線に沿う断面図。
符号の説明
1a〜1f…金属磁性層、2a〜2e…接続層、3…絶縁層、4…電流狭窄層、5、5a〜5d…非磁性金属層、10…スプリングスピンバルブ膜、11…下電極、12…上電極、13…バイアス磁界印加膜、14…絶縁膜、15…保護層、150…磁気記録再生装置、152…スピンドル、153…ヘッドスライダ、154…サスペンション、155…アクチュエータアーム、156…ボイスコイルモータ、157…スピンドル、160…磁気ヘッドアッセンブリ、164…リード線、200…磁気記録磁気ディスク、311…記憶素子部分、312…アドレス選択用トランジスタ部分、312…選択用トランジスタ部分、321…磁気抵抗効果素子、322…ビット線、322…配線、323…ワード線、323…配線、324…下部電極、326…ビア、328…配線、330…スイッチングトランジスタ、332…ゲート、332…ワード線、334…ビット線、334…ワード線、350…列デコーダ、351…行デコーダ、352…センスアンプ、360…デコーダ。

Claims (11)

  1. 3層以上の金属磁性層と、
    前記3層以上の金属磁性層の間に設けられた、絶縁層とこの絶縁層を貫通する金属磁性材料を含む電流狭窄部とを有する2層以上の接続層と、
    前記金属磁性層および接続層の膜面垂直方向に電流を通電させる電極と
    を具備し、前記3層以上の金属磁性層のうち最下層または最上層の金属磁性層は磁化方向が固着され、互いに隣接する金属磁性層は間に挟まれた接続層を介して磁気的に結合し、前記最下層の金属磁性層と前記最上層の金属磁性層はそれらの間に挟まれた2層以上の接続層および1層または2層以上の中間の金属磁性層を介して磁気的に結合し、外部磁界がゼロのときに最下層の金属磁性層の磁化方向と最上層の金属磁性層の磁化方向がほぼ直交するように中間の金属磁性層の磁化方向が少しずつねじれるように変化していることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記複数の接続層と前記複数の金属磁性層との間の少なくとも1個所に、非磁性金属層を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記接続層は厚さが0.5nm以上5nm以下であり、前記絶縁層はAl、Si、Ti、Hf、Zr、Mo、Taの酸化物または窒化物で形成され、前記電流狭窄部はCo、Fe、Niを含む金属磁性材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記電流狭窄部は径が0.5nm以上10nm以下であり、前記接続層の膜面において前記電流狭窄部が占める面積比率が1〜30%であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記電流狭窄部は金属磁性材料と非磁性金属材料が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記電流狭窄部を形成する金属磁性材料および非磁性金属材料のうち少なくとも一方は複数層含まれていることを特徴とする請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記接続層の両面と上下の金属磁性層との間にそれぞれ非磁性金属層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記接続層の両面と上下の金属磁性層との間にそれぞれ非磁性金属層が形成され、前記接続層の電流狭窄部は金属磁性材料と非磁性金属材料が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を具備したことを特徴とする磁気ヘッド。
  10. 磁気記録媒体と、請求項9記載の磁気ヘッドとを具備したことを特徴とする磁気記録再生装置。
  11. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を具備したことを特徴とする磁気メモリ。
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