JP4597348B2 - 回転ベルト及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転ベルト及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製の回転ベルトは、種々の分野で用いられている。例えば、近年、電子写真複写機、電子写真式プリンター等の画像形成装置において、記録紙に画像を転写及び定着するための加熱定着方式では、ウォームアップ時間が短いという利点から樹脂製回転ベルトが用いられている。
【0003】
また、前記画像成形装置用の回転ベルトにあっては、高い導電性が要求されるため、樹脂製ベルトに金属層を積層することが考えられる。しかし、ベルトの表面全体に金属層を積層すると、ベルトの柔軟性が損なわれて回転ベルトとして用をなさなくなったり、回転ベルトが重くなって樹脂製の利点の一つである軽量性が損なわれる等の問題がある。
【0004】
さらに、従来のメッキ処理によって樹脂製の表面に金属層を積層しようとすると、まず、所定長の可撓性樹脂平板を形成し、その表面全体にメッキ処理を施して金属層を形成した後、金属層の積層された平板の両端を接合して環状の回転ベルトとしなければならず、得られる回転ベルトは接合部による凹凸部を生じて導電性が不均一になったり、接合部で強度が低下したり、記録紙に転写された画像に転写不良が発生したりするという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、環状にするための接合部がなく、しかも導電性及び回転性に優れる回転ベルト及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、継ぎ目なく環状に形成された樹脂製ベルト基層の外周面又は内周面に、前記ベルト基層の軸方向一端側から他端側に至る金属層が複数本並設されて、前記金属層表面がベルト基層の外周面又は内周面で露出し、前記金属層が波形状に屈曲していることを特徴とする回転ベルトに係る。
【0007】
請求項2の発明は、継ぎ目なく環状に形成された樹脂製ベルト基層の外周面又は内周面に、前記ベルト基層の軸方向一端側から他端側に至る金属層が複数本並設されて、前記金属層表面がベルト基層の外周面又は内周面で露出し、前記金属層の露出する表面がベルト基層の表面から突出せず、ベルト基層表面と面一となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1において、金属層の露出する表面がベルト基層の表面から突出せず、ベルト基層表面と面一となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項において、金属層どうしが交わっていないことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項において、金属層がベルト基層の軸方向に対して平行又は傾斜していることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、回転ベルトの製造方法に関し、筒状成形面を内側に有する遠心成形型を用い、前記筒状成形面の軸方向一端側から他端側に至る金属層を当該筒状成形面に対し剥離可能として複数本並設する金属層形成工程と、前記金属層の形成された筒状成形面に遠心成形用樹脂材料を注入し、遠心成形によって樹脂製ベルト基層を当該筒状成形面に形成するとともに該ベルト基層外周面に前記金属層を一体化する金属層一体化工程と、前記ベルト基層と金属層の一体品を遠心成形型から脱型する脱型工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、円筒形冶具外周面に該円筒形冶具の軸方向一端側から他端側に至る金属層を、前記円筒形冶具外周面に対して剥離可能として複数本並設する金属層形成工程と、継ぎ目なく環状に形成された樹脂製ベルト基層の内周面又は前記円筒形冶具外周面の少なくとも一方に樹脂液を塗布後、前記ベルト基層を円筒形冶具外周面に装着し、前記樹脂液の硬化によりベルト基層内周面に金属層を固着一体化する金属層一体化工程と、前記ベルト基層と金属層の一体品を円筒形冶具から脱型する脱型工程とを含むことを特徴とする回転ベルトの製造方法に係る。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7において、金属層一体化工程でベルト基層の内周面又は前記円筒形冶具外周面の少なくとも一方に塗布した樹脂液により金属層間を埋め、脱型工程で得られる回転ベルト内周面の金属層部分と他部を面一にしたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施形態について説明する。図1はこの発明の一実施例に係る回転ベルトの斜視図、図2は図1に示した回転ベルトの軸方向と直交する部分拡大断面図、図3はこの発明の他の実施例に係る回転ベルトの斜視図、図4はこの発明のさらに他の実施例に係る回転ベルトの斜視図、図5はさらに他の実施例に係る回転ベルトの斜視図、図6は回転ベルトの第1製造方法に用いる装置の概略断面図、図7は図6の遠心成形型の拡大断面図、図8は図6の型本体における金属層形成前の斜視図、図9は回転ベルトの第2製造方法に用いる円筒形治具の概略斜視図、図10は第2製造方法を表す概略工程図である。
【0015】
図1及び図1の部分拡大断面図である図2に示すこの発明の一実施例に係る回転ベルト10は、継ぎ目なく環状に形成された樹脂製ベルト基層11と、その外周面11sに複数本形成された金属層12とよりなり、電子写真複写機を始め、種々の用途に使用されるものである。
【0016】
ベルト基層11は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム等からなり、好ましくは可撓性のもので、回転ベルト10の用途に応じた適宜のサイズとされている。このベルト基層11の具体的な材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。ベルト基層11の厚みは、材質や用途等により適宜とされるが、0.02〜2mm程度を例として示す。また、このベルト基層11の製造は、公知の遠心成形法や押出成形法等によって行われる。
【0017】
前記ベルト基層11の外周面に設けられた金属層12は、回転ベルト10に対して軽量性及び可撓性を損なうことなく導電性を付与あるいは導電性を高めるためのものである。この金属層12の材質は、ニッケル、銅、錫等適宜の金属とされる。この金属層12は、ベルト基層11の軸方向(換言すれば径方向と直交する方向)Xの一端側11aから他端側11bに至るようして前記ベルト基層11の全周を区分するように複数本並設され、ベルト基層11の外周面で露出している。前記金属層12の両端はベルト基層11の軸方向両端まで形成されていなくてもよいが、回転ベルトの導電性向上及び使用上の点からは、ベルト基層11の軸方向両端まで形成されているのが好ましい。
【0018】
このように、金属層12を設けたことにより、回転ベルト10使用時には、邪魔にならない軸方向X両端に電極端子を配することにより、金属層12の両端と接触させて通電させることができるようになる。しかも、金属層12がベルト基層11の周方向に分離した複数本となっているため、回転ベルト10の回転時に可撓性が妨げられるのを防ぐことができる。金属層12の厚みa、幅b、ベルト基層11の周方向に隣り合う金属層12(12A,12B)どうしのピッチcについては、適宜とされる。一例として、厚みaが20μm、幅bが200μm、ピッチcが400μmを挙げる。
【0019】
前記金属層12は、その露出する表面12sがベルト基層11の表面11sから突出せず、ベルト基層表面11sと面一となっているのが好ましい。このようにベルト基層表面11sが凹凸の無い面一になっていれば、回転ベルト10を画像成形装置に用いる場合にも、前記凹凸で画像が損なわれることがない。
【0020】
また、前記金属層12A,12Bどうしが交わっていないようにすれば、前記回転ベルト10の回転時に可撓性が損なわれ難いのみならず、各金属層12A,12Bごとに独立して印加電圧を制御することも可能になる。
【0021】
なお、前記金属層12は、回転ベルト10の軸方向Xと平行なものが回転ベルト10回転時の可撓性維持に最も好適であるが、回転ベルト10の径サイズ、厚み、用途等によっては、前記軸方向Xと平行にされない場合もある。図3に示す回転ベルト10Aは、金属層12を前記軸方向Xに対して傾斜させたものであり、図4の回転ベルト10Bは、金属層12を波形状にしたものであり、いずれの回転ベルト10A,10Bも、回転方向に対する強度が金属層12により増大する効果がある。また、前記金属層12は、前記ベルト基層11の内周面に設けられることもある。図5の回転ベルト10Cは、前記金属層12を、ベルト基層11の内周面に設けた例である。
【0022】
次に前記回転ベルト10(10A,10B,10Cを含む)の製造方法に関する発明について説明する。第1製造方法は、請求項6に係るものであり、前記ベルト基層11の遠心成形時にベルト基層11の外周面に金属層12を一体化する製造方法である。この第1製造方法は、金属層形成工程と、金属層一体化工程と、脱型工程とよりなる。図6にこの第1製造方法で使用する一例としての遠心成形装置20を示す。
【0023】
遠心成形装置20は、環状の樹脂製部材を成形するのに用いられるものであって、台21と該台21上に水平方向に設けられた一組のロータ22,23と、該ロータ22,23を回転させる駆動モータMと、前記ロータ22,23間に保持される遠心成形型24と、該遠心成形型24を電熱ヒータH等で加熱する加熱炉27と、前記遠心成形型24に遠心成形用樹脂材料Gを供給するノズルNとを備える。
【0024】
前記遠心成形用樹脂材料Gとしては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリウレア、シリコーン樹脂等が用いられる。
【0025】
ロータ22,23は、遠心成形型24を保持して回転させるもので、上下方向の回転が可能となるようにして前記台21上に設けられている。一方のロータ22は、台21上面のスライド板28に支持部29を介して取り付けられ、スライド板28の水平移動により他方のロータ23に対し接近あるいは遠ざかるようにされ、前記接近時に遠心成形型24をロータ22,23間に挟持し、前記遠ざかりによって遠心成形型24を外せるようになっている。前記一方のロータ22は、図示しないロック機構によって所定位置に固定できるようにされ、また、前記スライド板28上に設けられた駆動モータMによって回転するようになっている。他方のロータ23の中央部にはノズル挿入口23aが形成されている。
【0026】
遠心成形型24は、拡大して示す図7からも理解されるように、筒状をした金属製の型本体25と、その両側開口部に着脱可能に嵌着される蓋体26,26とよりなり、該蓋体26,26を介して前記ロータ22,23間で挟持され、回転するようになっている。また、前記蓋体26の中央には開口部26eが形成され、非スライド側のロータ23側から蓋体26の開口部26eを介してノズルNが遠心成形型24内に挿入されるようになっている。このノズルNは前進後退可能に設けられ、必要時にノズルNの先端が遠心成形型24内に位置し、不要時にはノズルN先端が遠心成形型24外へ移動するようになっている。
【0027】
前記型本体25は、金属層形成前を示す図8にも示すように、その内面が筒状成形面25aを構成し、前記遠心成形装置20への遠心成形型24の取付時に軸方向Xが水平となるようにされる。この筒状成形面25aは、ベルトのサイズに応じた大きさからなり、軸方向Xの一端25cから他端25dにかけて形成された溝25eが、周方向に複数本設けられている。この溝25eは、前記回転ベルト10の金属層12,12間の部分と対応して形成されており、筒状成形面25aへの金属メッキ処理時に金属が形成されないようにシリコーンゴム等のメッキ防止樹脂25fが充填され、該メッキ防止樹脂25fによるマスキングが施されている。このメッキ防止樹脂25fの表面は、筒状成形面25aの他部と面一になっている。なお、前記マスキングは、溝25eにメッキ防止樹脂25fを充填する方法に限られず、両面接着テープをメッキ防止部分に貼着する等、他の方法でもよい。
【0028】
まず、金属層形成工程では、前記メッキ防止樹脂25fによるマスキング後の筒状成形面25aに、フッ素樹脂等の塗布による離型処理を施す。そして、メッキ浴に前記型本体25を浸漬し、電気メッキ処理を施す。その際のメッキ条件は、メッキする金属の種類、メッキ厚み等により、適宜決定される。これによって、前記筒状成形面25aにはメッキ防止樹脂25f部分を除いてメッキ防止樹脂25f間の部分25gに、軸方向X一端25c側から他端25d側に至る金属層12を、剥離可能として該筒状成形面25aの周方向に複数本形成する。
【0029】
金属層一体化工程では、前記金属層12の形成された型本体25に蓋体26を組み合わせて蓋をした遠心成形型24を、ロータ22,23間に取り付けて100℃に加熱し、遠心成形用樹脂材料Gを前記ノズルNから筒状成形面25aに注入し、駆動モータMにより遠心成形型24を回転して遠心成形用樹脂材料Gを硬化させ、必要に応じてさらに加熱して硬化を完全にする。これにより、前記筒状成形面25aには遠心成形用樹脂材料Gからなるベルト基層11とその外周面に複数本の金属層12が一体となった一体品が形成される。
【0030】
脱型工程では、前記遠心成形型24を遠心成形装置20から取り外し、前記一体品を筒状成形面25aより取り外す。これにより、図1に示した回転ベルト10が得られる。このようにして得られた回転ベルト10は、外周面が金属層12の部分と他の部分とで面一になっており、凹凸のないものである。
【0031】
第2製造方法は、請求項7及び請求項8の発明に係るもので、予め遠心成形や押出成形等で成形した前記ベルト基層11を用い、その内周面に金属層12を一体化する製造方法であり、前記図5に示した回転ベルト10Cの製造方法の一例である。この第2製造方法では、円筒形治具40を用いる金属層形成工程と、金属層一体化工程と、脱型工程とを含む。
【0032】
図9にこの第2製造方法で用いる一実施例の円筒形冶具40を示し、また図10に概略の製造工程を示す。この円筒形治具40は、前記回転ベルト10Cのベルト基層11の内径とほぼ同一若しくは僅かに大きな外径からなり、軸方向Xの長さは、ベルト基層11の軸方向長さ以上の金属製のものが好ましい。前記中空円形治具40の外周面には、前記ベルト基層11の金属層12間の部分と対応する溝41が複数本形成され、該溝41に第1製造方法と同様のシリコーンゴム等からなるメッキ防止樹脂42が充填形成され、研削によりメッキ防止樹脂42の表面とその周囲の円筒形治具40外周面の金属表面とが面一にされている。
【0033】
金属層形成工程では、まず、前記メッキ防止樹脂42の形成された円筒形治具40外周面にフッ素樹脂等の塗布による離型処理を施した後、円筒形治具40をメッキ浴に浸漬し、所定条件でメッキ処理する。これにより、前記円筒形治具40の外周面には、前記メッキ防止樹脂42部分を除く部分、すなわちメッキ防止樹脂間43に前記金属層12を形成する。その結果、メッキ防止樹脂42部分表面が金属層の無い凹溝となる。
【0034】
金属層一体化工程では、まず、前記金属層12の形成された円筒形治具40の外周面又は前記ベルト基層11の内周面の少なくとも一方に、樹脂液を塗布する。樹脂液としては、加熱により硬化し、前記ベルト基層11及び金属層12と接着性を有するものとされる。そのような樹脂液としては、ベルト基層11の樹脂と相溶性のある樹脂液、特にベルト基層11が遠心成形されたものの場合には、ベルト基層11の遠心成形用樹脂材料を使用するのが好適である。
【0035】
また、前記樹脂液の塗布は、前記円筒形治具40外周面の金属層間の凹部、すなわちメッキ防止樹脂42部分表面を埋めるように、樹脂液の量等を定めるのが好ましい。このように金属層間を樹脂液で満たすと、最終的に得られる回転ベルト10Cの内周面が、金属層の部分と他の部分で面一になる。
【0036】
次いで、前記円筒形治具40の外周面にベルト基層11をその内周面が円筒形治具表面40を向くように装着し、ベルト基層11の内周面を円筒形治具40外周面の樹脂液に圧着させて、加熱し前記樹脂液の硬化を行う。これによって、前記円筒形治具40の外周面には、前記金属層12とベルト基層11の一体品が形成される。
【0037】
脱型工程では、前記一体品を円筒形冶具40の外周面より取り外し、金属層12がベルト基層11の内周面に一体となった図5の回転ベルト10Cを得る。
【0038】
【実施例】
・実施例1
前記第1製造方法により回転ベルト10を製造する実施例1を示す。図6〜図8の型本体25として、筒状成形面25aの内径170mm、軸方向長さ380mmのステンレス製筒体を用いた。この筒状成形面25aには前記溝25eが幅200μm、深さ200μm、ピッチ400μmで軸方向Xと平行に形成され、該溝25eにメッキ防止樹脂25fとしてシリコーンゴムが充填形成されている。前記メッキ防止樹脂25fの形成は、筒状成形面25aに液状シリコーンゴムを流し、型本体25を遠心成形装置20で回転せて、筒状成形面25aの溝25e及びその周囲にシリコーンゴムの層を形成した後、前記筒状成形面25aの溝25e周囲にはみ出したシリコーンゴムを研削して除去し、溝25e周囲の部分で筒状成形面25aの金属表面を露出させることにより行った。
【0039】
そして、スルファミン酸ニッケルを1L当たり450g、塩化ニッケルを1L当たり5g、ホウ酸を1L当たり40g、さらに界面活性剤を1L当たり15ml添加したスルファミン酸ニッケル浴に、浴温45℃、陰極電流密度2A/dm2 、陽極をデボラライズドニッケルとして、前記型本体25を浸漬し、電気メッキ処理を施した。これによって、前記筒状成形面25aにはメッキ防止樹脂25f部分を除いて、軸方向X一端側から他端側に至る厚み20μmのニッケル金属層12が、剥離可能として該筒状成形面25aの周方向に複数本形成された。前記メッキ後、型本体25を水洗いし、60℃の熱風循環乾燥炉にて30分間乾燥させた。
【0040】
次いで、前記金属層12の形成された型本体25に蓋体26を組み合わせて蓋をした遠心成形型24を、ロータ22,23間に取り付けて100℃に加熱し、遠心成形用樹脂材料Gとして、無溶剤型熱硬化性ポリウレアエラストマ(商品名:ポレアR−110、イハラケミカル工業社製)のA液100重量部、B液34重量部を混合し、攪拌脱泡したものを前記ノズルNから筒状成形面25aに注入し、駆動モータMにより遠心成形型24を3,000rpmで15分間回転し硬化させる。その後、さらに温度150℃で3時間加熱して硬化を完全にする。これにより、前記筒状成形面25aに、前記遠心成形用樹脂材料Gの硬化したベルト基層11とそのベルト基層外周面に複数本の金属層12が一体となった一体品を形成した。
【0041】
その後、前記遠心成形型24を遠心成形装置20から取り外し、前記一体品を筒状成形面25aより取り外すことにより、図1に示した回転ベルト10と同構造からなる実施例1の回転ベルトを得た。
【0042】
・実施例2
前記第2製造方法により回転ベルト10Cを製造する実施例2を図10を用いて示す。円筒形治具40は、図9に示した構造からなり、外径170mm、長さ380mmのステンレス製のものを用いた。円筒形治具40の外周面には、前記ベルト基層11の金属層12間の部分と対応する溝41が軸方向Xと平行に複数本形成され、該溝41に実施例1と同様のシリコーンゴムからなるメッキ防止樹脂42が充填形成されて研削によりメッキ防止樹脂42の表面とその周囲の円筒形治具40外周面の金属表面とが面一にされている。
【0043】
前記メッキ防止樹脂42の形成された円筒形治具40外周面にフッ素樹脂等の塗布による離型処理を施した後、実施例1と同じスルファミン酸ニッケル浴に円筒形治具40を浸漬し、浴温45℃、陰極電流密度2A/dm2 、陽極をデボラライズドニッケルとして、厚み20μmのニッケル金属層12を、前記メッキ防止樹脂部分間43に形成し、その後円筒形治具40をスルファミン酸ニッケル浴から取り出し、十分に水洗し、60℃の熱風循環乾燥路に1時間放置して乾燥させた。
【0044】
また、内径170mm、長さ380mmのステンレス製ドラムからなる遠心成形型の型本体(前記型本体25と異なり、内側の筒状成形面に溝のないもの)に、無溶剤型熱硬化性ポリウレアエラストマ(商品名:ポレアR−300、イハラケミカル工業社製)のA液100重量部、B液52重量部を混合し、攪拌脱泡したものを遠心成形用樹脂材料として31g注入し、図6の遠心成形装置20を用いて3,000rpmで15分間回転し硬化させ、さらに温度100℃で15分間加熱して硬化させ、厚さ0.3mmのベルト基層11を形成した。
【0045】
前記金属層12の形成された円筒形治具40の外周面に、前記ベルト基層11の遠心成形用樹脂材料として用いたのと同じ樹脂液(無溶剤型熱硬化性ポリウレアエラストマの混合液)をバーコーターにより塗布し、金属層12表面及び金属層間を満たした樹脂液層を形成した。その際、前記樹脂液層の厚みは金属層12部分で40μm、金属層間で60μm、平均約50μmとなるようにした。
【0046】
次いで、前記円筒形治具40の外周面にベルト基層11をその内周面が円筒形治具40外周面を向くように装着し、120℃の熱風循環乾燥炉内で5分間加熱し、前記樹脂液を硬化させて金属層12とベルト基層11の一体化を行い、さらに150℃で3時間加熱して一体品の寸法安定化を図った。その後、前記一体品を円筒形冶具40の外周面より取り外し、金属層12がベルト基層11の内周面に一体となった図5の回転ベルト10Cと同構造からなる実施例2の回転ベルトを得た。
【0047】
・実施例3
メッキ浴に、ピロリン酸塩を基本電解質とするスズ−ニッケル合金めっき浴を用い、浴温50℃、陰極電流密度1A/dm2の条件で円筒形治具40外周面に実施例2と同様にメッキを施し、前記ベルト基層11及びメッキ防止樹脂42の成形に、無溶剤型熱硬化性ポリウレアエラストマ(商品名:ポレアSX−30、イハラケミカル工業製)のA液100重量部、B液149重量部を混合して用いた以外は、実施例2と同様にして、金属層12を内周面に有する図5の回転ベルト10Cと同構造からなる実施例3の回転ベルトを製造した。なお、メッキ浴は、ピロアロイSNスターターとメークアップ(日本化学産業製)を標準条件で建浴して用い、陽極はスズ極板を用いた。
【0048】
・実施例4
押出成形により成形した外径169mm、長さ360mm、厚さ100μmのポリカーボネート樹脂製ベルト基層11を用い、金属層12については実施例2と同様にして円筒形治具40の外周面に形成した。そして、前記ベルト基層11の内周面に樹脂液としてアクリルエマルジョンをドライ厚さ約10μmで均一に塗布し、ベルト基層11を直ちに前記円筒形治具40の外周面に装着し、60℃の熱風循環乾燥炉で30分乾燥・硬化させた。冷却後金属層12がベルト基層11内周面に一体となった一体品を円筒形治具40から脱型し、図5の回転ベルト10Cと同構造からなる実施例4の回転ベルトを得た。
【0049】
以下に、前記実施例1〜4の回転ベルトに対し、後記の表1に示す各条件において、金属層の引きはがし強さ試験(JIS C 6471−1995 フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法 の8.1項、銅はく引きはがし強さ方法Aに準拠した90°方向引きはがし強さ)を行った。具体的には、前記各実施例の回転ベルトから長さ230mm、幅25mmの試験片を切り出し、長さ230mm、幅25mm、厚さ1.0mmのABS板にベルト基層側を両面接着テープで貼着し、また金属層の端部から50mmほどをベルト基層からはがしてそのはがした金属層端部を長さ50mm、幅10mm、厚さ1.0mmのABS板に両面接着テープで貼着し、前記ベルト基層の貼着されたABS板をしゅう動形支持治具に取り付ける一方、前記金属層端部が貼着されたABS板を引っ張り試験機に取り付けて、ベルト基層とはがした金属層間の角度が90°となるようにしながら、前記引っ張り試験機で50mm/分のクロスヘッドスピードで50mm以上金属層を引きはがした。このときの力の大きさの平均値を、金属層の見掛け幅10mmで除してN/mmとして整理し、n=3の平均値として表1にまとめた。なお、金属層は回転ベルトの表面積の50%を占めているだけであるが、前記除数として10mmを用いた。
【0050】
【表1】
【0051】
さらに、前記実施例1の回転ベルトを外径が25mmのEPDM製駆動ロ―ラと該ロ―ラと同サイズの従動ロ―ラの間に架け、前記回転ベルトを2Kgfの張力で保持しながら40rpmで40万回回転させた。その後、回転耐久性を評価するため回転ベルトの外観検査と引きはがし強さを調査した。その結果、外観上の変化はなく、引きはがし強度は1.0N/mmと、回転耐久試験前と変わりなかった。
【0052】
なお、前記製造方法の実施例においては、軸方向と平行な金属層を有する回転ベルトの例を示したが、型本体あるいは円筒形治具の溝を軸方向に対して傾斜させたり波形状にする等により、前記傾斜あるいは波形状となった回転ベルトも容易に製造することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、請求項1から5の発明による回転ベルトにあっては、接合部のない環状に形成された樹脂製ベルト基層の外周面又は内周面に、前記ベルト基層の軸方向の一端側から他端側に至る金属層が複数本並設されてベルト基層表面で露出しているため、接合部の凹凸による問題を生じず、また、回転ベルトの回転時にベルト基層の可撓性が損なわれ難く良好な回転が得られるのみならす、ベルト基層全面に金属層を積層したものと比べ軽量性に優れるという効果がある。さらに、回転ベルトの内周面又は外周面に電極端子を接触させるだけで金属層と電極端子を接続することができ、きわめて都合がよい。
【0054】
請求項4の発明にあっては、前記効果に加え、金属層どうしが交わっていないため、回転ベルトの可撓性低下をより確実に防ぐことができる。さらに、各金属層ごとに独立して印加電圧を制御することができ、回転ベルトの用途及び機能が広がる効果がある。
【0055】
請求項1及び5の発明によれば、金属層によって回転ベルトの回転方向の強度を高めたり、印加部分を回転ベルトの軸方向に対して斜めにしたり波形状にでき、回転ベルトの用途や応用範囲が広がる効果がある。
【0056】
請求項2及び3の発明によれば、ベルト基層表面が凹凸の無い面一になっていれば、回転ベルトを画像成形装置に用いる場合にも、前記凹凸で画像が損なわれることがない。
【0057】
請求項6〜8の発明によれば、前記優れた効果のある回転ベルトを簡単かつ効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係る回転ベルトの斜視図である。
【図2】 図1に示した回転ベルトの軸方向と直交する部分拡大断面図である。
【図3】 他の実施例に係る回転ベルトの斜視図である。
【図4】 さらに他の実施例に係る回転ベルトの斜視図である。
【図5】 さらに他の実施例に係る回転ベルトの斜視図である。
【図6】 回転ベルトの第1製造方法に用いる装置の概略断面図である。
【図7】 図6の遠心成形型の拡大断面図である。
【図8】 図6の型本体における金属層形成前の斜視図である。
【図9】 回転ベルトの第2製造方法に用いる円筒形治具の概略斜視図である。
【図10】 第2製造方法を表す概略工程図である。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C 回転ベルト
11 樹脂製ベルト基層
12,12A,12B 金属層
24 遠心成形型
40 円筒形冶具
G 遠心成形用樹脂材料
Claims (8)
- 継ぎ目なく環状に形成された樹脂製ベルト基層の外周面又は内周面に、前記ベルト基層の軸方向一端側から他端側に至る金属層が複数本並設されて、前記金属層表面がベルト基層の外周面又は内周面で露出し、前記金属層が波形状に屈曲していることを特徴とする回転ベルト。
- 継ぎ目なく環状に形成された樹脂製ベルト基層の外周面又は内周面に、前記ベルト基層の軸方向一端側から他端側に至る金属層が複数本並設されて、前記金属層表面がベルト基層の外周面又は内周面で露出し、前記金属層の露出する表面がベルト基層の表面から突出せず、ベルト基層表面と面一となっていることを特徴とする回転ベルト。
- 請求項1において、金属層の露出する表面がベルト基層の表面から突出せず、ベルト基層表面と面一となっていることを特徴とする回転ベルト。
- 請求項1ないし3の何れか1項において、金属層どうしが交わっていないことを特徴とする回転ベルト。
- 請求項1ないし4の何れか1項において、金属層がベルト基層の軸方向に対して平行又は傾斜していることを特徴とする回転ベルト。
- 筒状成形面を内側に有する遠心成形型を用い、前記筒状成形面の軸方向一端側から他端側に至る金属層を当該筒状成形面に対し剥離可能として複数本並設する金属層形成工程と、
前記金属層の形成された筒状成形面に遠心成形用樹脂材料を注入し、遠心成形によって樹脂製ベルト基層を当該筒状成形面に形成するとともに該ベルト基層外周面に前記金属層を一体化する金属層一体化工程と、
前記ベルト基層と金属層の一体品を遠心成形型から脱型する脱型工程とを含むことを特徴とする回転ベルトの製造方法。 - 円筒形冶具外周面に該円筒形冶具の軸方向一端側から他端側に至る金属層を、前記円筒形冶具外周面に対して剥離可能として複数本並設する金属層形成工程と、
継ぎ目なく環状に形成された樹脂製ベルト基層の内周面又は前記円筒形冶具外周面の少なくとも一方に樹脂液を塗布後、前記ベルト基層を円筒形冶具外周面に装着し、前記樹脂液の硬化によりベルト基層内周面に金属層を固着一体化する金属層一体化工程と、
前記ベルト基層と金属層の一体品を円筒形冶具から脱型する脱型工程とを含むことを特徴とする回転ベルトの製造方法。 - 円筒形治具の外周面に金属層形成後、金属層一体化工程でベルト基層の内周面又は前記円筒形冶具外周面の少なくとも一方に塗布した樹脂液により金属層間を埋め、脱型工程で得られる回転ベルト内周面の金属層部分と他部を面一にしたことを特徴とする請求項7に記載された回転ベルトの製造方法。
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