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JP4597396B2 - スラスト軸受 - Google Patents
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JP4597396B2 - スラスト軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスラスト軸受に関し、より詳しくは、スクロール圧縮機における旋回スクロール部材とハウジングのように、相互間で偏心回転運動を行う二つの部材間でスラスト荷重を支持するスラスト軸受に関する。
【0002】
本発明のスラスト軸受は、とくにCO2 を冷媒として用いるスクロール圧縮機用に利用できるが、その他の、相互間で偏心回転運動を行う二つの部材間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受として各種用途にも広く利用することができる。
【0003】
【従来の技術】
特開平9−324816号公報にはスクロール圧縮機用のスラスト玉軸受が記載されている。図12および図13に従って説明すると、旋回スクロール部材1およびハウジング2の螺旋状隔壁1b,2bを組み合わせて両螺旋状隔壁1b,2b間に圧縮室Pを形成し、旋回スクロール部材1のハウジング2に対する偏心回転運動に伴って圧縮室Pの容積を順次変化させることにより、圧縮室P内の流体を圧縮するようにしたものである。
【0004】
旋回スクロール部材1の軸心と駆動モータ5の軸心とは偏心しており(偏心量を符号eで示す)、駆動モータ5の出力軸5aが回転すると、旋回スクロール部材1が偏心量eに等しい旋回半径で偏心回転する。このとき、旋回スクロール部材1にはこれを自転させようとする力が働き、また、流体圧縮動作に伴うスラスト荷重が負荷される。そこで、旋回スクロール部材1とハウジング2(図13に示す構成では、ハウジング2に固定された静止フレーム3)との間にスラスト玉軸受4を介在させてある。
【0005】
スラスト玉軸受4は、図14に拡大して示すように、一対の軌道輪4a,4bと、これら軌道輪4a,4bの軌道面4a1,4b1間に介在する複数のボール4cとで構成される。軌道輪4a,4bは、それぞれ、旋回スクロール部材1と静止フレーム3の、軸方向に対向した装着部1a,3aに固定される。
【0006】
図15に示すように、軌道輪4aと軌道輪4bは同形状・同寸法のリングであり、それぞれ、環状に配列した複数の軌道面4a1,4b1を有する。各軌道面4a1,4b1は環状で、断面形状は円弧状である。各軌道面4a1,4b1に配されたボール4cは、旋回スクロール部材1の偏心回転に伴って、軌道面4a1,4b1のピッチ円上を転動する。軌道面4a1,4b1のピッチ円直径PCDは偏心量eに等しい。
【0007】
なお、スクロール圧縮機では、冷媒とPAGオイル(ポリアルキレングリコール)等の冷凍機油が混在した流体によって潤滑がなされる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
転動体にボールを使用したスラスト玉軸受では、ボールと軌道面とが点接触することから負荷容量を大きくとることができず、高負荷荷重の要求に対して軸受負荷容量が不足するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、相互間で偏心回転運動を行う二つの部材間に介在してスラスト荷重を支持する、高負荷容量のスラスト軸受を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、相互間で偏心回転運動を行う第一の部材10と第二の部材20との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受であって、
第一の部材10に固定した第一の軌道輪12と、
第二の部材20に固定した第二の軌道輪22と、
第一の軌道輪12と第二の軌道輪22との間に配置した中間輪30と、
第一の軌道輪12と中間輪30との間に配置した複数の第一のころ14と、
第一のころ14を転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケット18を有し、各ポケット18に複数のころ14が並列に収容されている第一の保持器16と、
第二の軌道輪22と中間輪30との間に配置した複数の第二のころ24と、
第二のころ24を転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケット28を有し、各ポケット28に複数のころ24が並列に収容されている第二の保持器26と
を具備し、第一のころ14の転動軸心と第二のころ24の転動軸心とが直交し、かつ、保持器16,26がころ案内方式であって軌道輪12,22および中間輪30との間に積極的にすきまが形成されているとともに、第一および第二の保持器が、直径方向で対向する位置に形成した一対のピン孔を有し、上記ピン孔近傍に追加の転動体を収容するためのポケットを付加し、上記追加の転動体が他のころより短いころであることを特徴とするスラスト軸受である。
請求項2の発明は、相互間で偏心回転運動を行う第一の部材10と第二の部材20との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受であって、
第一の部材10に固定した第一の軌道輪12と、
第二の部材20に固定した第二の軌道輪22と、
第一の軌道輪12と第二の軌道輪22との間に配置した中間輪30と、
第一の軌道輪12と中間輪30との間に配置した複数の第一のころ14と、
第一のころ14を転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケット18を有する第一の保持器16と、
第二の軌道輪22と中間輪30との間に配置した複数の第二のころ24と、
第二のころ24を転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケット28を有する第二の保持器26と
を具備し、第一のころ14の転動軸心と第二のころ24の転動軸心とが直交し、かつ、保持器16,26がころ案内方式であって軌道輪12,22および中間輪30との間に積極的にすきまが形成されているとともに、第一および第二の保持器が、直径方向で対向する位置に形成した一対のピン孔を有し、上記ピン孔近傍に追加の転動体を収容するためのポケットを付加し、上記追加の転動体がボールであることを特徴とするスラスト軸受である。
請求項3の発明は、相互間で偏心回転運動を行う第一の部材10と第二の部材20との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受であって、
第一の部材10に固定した第一の軌道輪12と、
第二の部材20に固定した第二の軌道輪22と、
第一の軌道輪12と第二の軌道輪22との間に配置した中間輪30と、
第一の軌道輪12と中間輪30との間に配置した複数の第一のころ14と、
第一のころ14を転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケット18を有する第一の保持器16と、
第二の軌道輪22と中間輪30との間に配置した複数の第二のころ24と、
第二のころ24を転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケット28を有する第二の保持器26と
を具備し、第一のころ14の転動軸心と第二のころ24の転動軸心とが直交し、かつ、保持器16,26がころ案内方式であって軌道輪12,22および中間輪30との間に積極的にすきまが形成されているとともに、第一および第二の保持器16,26が、直径方向で対向する位置に形成した一対のピン孔を有し、上記ピン孔近傍に追加の転動体を収容するためのポケットを付加し、かつ、内径側から外径側に切り通した溝29を有することを特徴とするスラスト軸受である。
【0011】
転動体としてころを採用することにより、線接触となるため、ボールを使用した玉軸受に比べて負荷容量を格段に大きくすることができ、長寿命化が図れる。しかしながら、ころの転動は一方向を指向することから、ボールを転動体とする場合とは異なる偏心回転運動を許容するための構成が必要となる。そこで、本発明では、中間輪30の両側に第一のころ14と第二のころ24を配置し、第一のころ14の転動軸心と第二のころ24の転動軸心とを直交させてある。これにより、オルダムカップリング(Oldham coupling)と類似の作用が得られ、第一の部材10と第二の部材20との間における偏心回転運動を許容する。ころを用いた転がり接触であるため、すべり子軸継手(slider coupling)とも称されるとおり滑り接触を伴うオルダムカップリングに比べて運転トルクを抑えることができ、出力損失低減が図れる。
【0012】
また、前述の従来の技術では、ボールの挙動を軌道輪の軌道面によって規制しているため、保持器は必ずしも必要でない。これに対して、本発明では転動体にころを採用したことに伴い、保持器によってころの転動軸心を所定の方向に維持することとした。そして、保持器の案内形式をころ案内とし、軌道輪との間にすきまを確保する。保持器と軌道輪との間にすきまを積極的に確保することによって、内方から侵入するCO2冷媒+PAGオイルを外方に通過させやすくなるばかりでなく、保持器と軌道輪とのPAGオイルによる密着状態(リンギング)を回避してトルク上昇を抑制することが可能となる。
【0013】
一般に、保持器の円滑な回転を得るため、軌道輪に面する保持器の幅面と、軌道輪の転走面との間に適切なすきまが与えられている。そして、軌道輪の保持器案内面の直径と保持器の案内面の直径との差を案内すきまといい、案内すきまの値は通常0.05mm程度に設定されている。ここでは、保持器の案内をころ案内形式とすることによって、保持器と軌道輪との間および保持器と中間輪との間に0.05mm程度あるいはそれ以上のすきまを積極的に確保するのが好ましい。
【0014】
第一および第二の保持器16,26は、直径方向で対向する位置に形成した一対のピン孔16a,16b;26a,26bを有するとともに、上記ピン孔16a,16b;26a,26bの近傍に、追加の転動体を収容するためのポケット18';28'を付加してある。追加の転動体としては、ころ(請求項)またはボール(請求項することができる。
請求項1の発明のように追加の転動体を他のころ14;24より短いころとした場合、ピン孔16a,16b;26a,26bの近傍に、他のころ14;24を収容するためのポケット18;28よりも短いポケット18';28'が付加される。このように長さの異なるころを使用することで、限られたスペースを有効に活用して規定寸法内に、より多くのころを保持することができるため、スラスト軸受の負荷容量をより高くすることが可能となる。また、当該部分に他より短いころを使用することで、ピン孔近傍の肉厚減少による強度低下を抑制することができる。
請求項2の発明のように追加の転動体をボールとした場合、ピン孔16a,16b;26a,26bの近傍に、ボール14';24'を収容するためのポケット18";28"が付加される。ピン孔近傍のスペースを有効に活用してボールを配置することにより、負荷容量が向上する。さらに、ピン孔近傍のころをボールに変更して、ころ用の概ね矩形のポケットから円形のボール用ポケットに変更することで、ピン孔近傍の肉厚減少を回避するとともにポケット部の切欠き効果を抑制することができ、保持器の強度、耐久性に寄与する。
【0015】
請求項の発明は、請求項2または3に記載のスラスト軸受において、請求項1の発明と同様、第一および第二の保持器16,26の各ポケット18,28に複数のころ14;24が並列に収容されていることを特徴とする。一つのポケットに複数のころを収容することにより、規定寸法内に、より多くのころを保持することができ、スラスト軸受の負荷容量をより高くすることが可能となる。
【0018】
構造上、保持器、とくにガイドピンと係合するピン孔部に外力が掛かり得るため、ポケット形状の工夫により切欠き効果を抑制して強度を高めるのが有利である。請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のスラスト軸受において、ころを収容するためのポケット18;28,18';28'の隅部にぬすみ18a;28aを形成したことを特徴とする。請求項6の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のスラスト軸受において、ころを収容するためのポケット18;28の隅部が単一円弧18b;28bで形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1または2に記載のスラスト軸受において、第一および第二の保持器16,26に内径側から外径側に切り通した溝29を形成したことを特徴する。保持器16;26と軌道輪12;22との間に侵入したCO2冷媒+PAGオイルが溝29を伝って外方に排出される。したがって、PAGオイルによって保持器16;26と軌道輪12;22が密着状態(リンギング)に至るのを回避し、それに起因するトルク上昇を抑制することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図13に関連して既述したようなスクロール圧縮機用のスラスト軸受に適用した場合を例にとって、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、スクロール圧縮機の旋回スクロール部材10とハウジング20との間に設けたスラスト軸受の断面を示す。図2は図1のII−II線から見た図であり、図1は図2のA〜F線に沿った断面を示している。
【0022】
スラスト軸受は、2枚の軌道輪12,22と、2組の保持器付きころ14,24と、中間輪30と、4本のガイドピン11a,11b;21a,21bを有している。
【0023】
第一および第二の軌道輪12,22は、旋回スクロール部材10とハウジング20の、軸方向に対向した面にそれぞれ固定されている。すなわち、第一の軌道輪12は旋回スクロール部材10の端面に接し、旋回スクロール部材10に植え込んだガイドピン11a,11bによって位置決めと回り止めがなされている。同様に、第二の軌道輪22は、ハウジング20の端面と接し、ハウジング20に植え込んだガイドピン21a,21bによって位置決めと回り止めがなされている。
【0024】
第一の軌道輪12と中間輪30との間に第一のころ14が介在し、第二の軌道輪22と中間輪30との間に第二のころ24が介在している。第一のころ14は第一の保持器16によって保持され、転動軸心が互いに平行になっている。また、第二のころ24は第二の保持器26によって保持され、転動軸心が互いに平行になっている。そして、第一のころ14の転動軸心と第二のころ24の転動軸心とは直交している。
【0025】
旋回スクロール部材10が、ハウジング20に対して偏心量e(図13参照)に等しい旋回半径で偏心回転することにより、両者の螺旋状隔壁1b,2b間に形成される圧縮室Pが容積変化して、流体の圧縮動作が行われる。スラスト軸受は、そのような圧縮動作が行われる際の、旋回スクロール部材10の自転を防止するとともに、スラスト荷重を支持する役割を果たす。
【0026】
第一の軌道輪12と第二の軌道輪22は同一の形状・寸法である。すなわち、図3に示すように、これらの軌道輪12,22はたとえば鋼板素材からプレス加工等によってリング状に成形し、円周方向に等間隔で4つのピン孔12a〜12d;22a〜22dを設けてある。各ピン孔12a〜12d;22a〜22dはガイドピン11a,11b;21a,21bとほぼ同径で、軌道輪12,22を軸方向に貫通している。軌道輪12,22は熱処理によってHRC60〜64程度の表面硬さを備えている。
【0027】
中間輪30は、図4に示すようにリング状で、円周方向に等間隔で4つのピン孔30a〜30dを設けてある。各ピン孔30a〜30dは中間輪30を軸方向に貫通するとともに、中間輪30の半径方向に延びた長孔の形態をしている。中間輪30は熱処理によってHRC60〜64程度の表面硬さを備えている。
【0028】
第一の保持器16と第二の保持器26は同一の形状・寸法である。すなわち、これらの保持器16,26は図5(A)に示すようにリング状で、樹脂から成型することができる。各保持器16,26は円周方向に配列した多数のポケット18,28を有する。図示する実施の形態の場合、ポケット数は28である。ポケット18,28はころ14,24を収容するためのもので、保持器16,26を軸方向に貫通するとともに、互いに平行である。したがって、各保持器16または26に保持されたころ14または24の転動軸線が平行となる。各保持器16,26は直径方向で対向する位置に一対のピン孔16a,16b;26a,26bを有する。各ピン孔16a,16b;26a,26bは保持器16,26を軸方向に貫通するとともに、保持器16,26の半径方向に延びた長孔の形態をしている。
【0029】
保持器16;26の案内はころ案内とし、保持器16;26と軌道輪12;22との間および保持器16;26と中間輪30との間にはすきまを確保する。このために、図5(B)および図5(C)に示すように、ポケット18;28に案内突起17;27を設けてある。案内突起17;27は、ポケット18;28の長手方向の二箇所に、ポケット18;28の壁面に、向かい合った対で形成してあり、向かい合った案内突起17;27の離間距離がころ14;24の外径よりわずかに小さい。したがって、ポケット18;28にころ14;24を組み込むときは弾性変形を利用してころ14;24を押し込み、一旦組み付けるところ14;24はポケット18;28内に保持され、不用意に脱落することはない。図5(C)から理解されるとおり、保持器16;26の表面から突出したころ14;24の突出量が保持器16;26と軌道面12;22および中間輪30との間に確保されるすきまの量に相当する。
【0030】
第一および第二の保持器16,26と中間輪30に設けたピン孔16a,16b;26a,26b;30a〜30dの長手方向の寸法は、第一および第二のガイドピン11a,11b;21a,21bがピン孔の長手方向の一端から他端まで移動し得る距離が旋回スクロール部材10とハウジング20との偏心量eに相当するように設定する。これにより、旋回スクロール部材10とハウジング20との間の旋回回転運動の規制がなされる。また、ピン孔16a,16b;26a,26b;30a〜30dの幅寸法は、第一および第二のガイドピン11a,11b;21a,21bがピン孔の長手方向に円滑に移動できる程度に、第一および第二のガイドピン11a,11b;21a,21bの外径よりも僅かに大きく設定する。
【0031】
第一の保持器16と第二の保持器26は同一の形状・寸法であるが、図1および図6から理解できるように、ころ14,24の転動軸線が直交する向きに組み合わせて使用される。なお、図6ではころの図示を省略してある。そして、第一のガイドピン11a,11bはその一端を旋回スクロール部材10に植え込んであり、他端は第一の軌道輪12のピン孔12a,12cと第一の保持器16のピン孔16a,16bを貫通して中間輪30のピン孔30a,30cに進入している。また、第二のガイドピン21a,21bはその一端をハウジング20に植え込んであり、他端は第二の軌道輪22のピン孔22d,22bと第二の保持器26のピン孔26a,26bを貫通して中間輪30のピン孔30d,30bに進入している。
【0032】
図7〜11は保持器16;26の各種変形態様を示す。
【0033】
まず、図7に示す保持器16;26は、各ポケット18;28に二本のころ14;24(図示省略)を並列に収容させるようにしたものである。たとえば図5に示される保持器16;26の場合、ポケット数が28で、各ポケット18;28に一本のころを収容するため、ころ数も28である。これに対して図7の保持器16;26は、ポケット数は16であるが、各ポケット18;28に二本のころを収容するため、ころ数は32となる。
【0034】
図8に示す保持器16;26は、ピン孔16a,16b;26a,26bの近傍に、他のポケット18;28に収容されるころ14;24より短いころ(図示省略)を収容させるためのポケット18';28'を付加したものである。たとえば図5に示される保持器16;26に比べて、収容可能なころ数が追加のポケット18';28'の分だけ、つまり4本、増える。また、これらのポケット18';28'は他のポケット18;28より短く、ピン孔16a,16b;26a,26b側の端部が他のポケット18;28と整列した位置で止まっているため、ピン孔16a,16b;26a,26bの近傍の肉厚を減少させることがない。
【0035】
図9に示す保持器16;26は、ピン孔16a,16b;26a,26bの近傍に、ボール(図示省略)を収容するためのポケット18";28"を付加したものである。これにより、スラスト軸受の負荷容量が高まる。さらに、この実施の形態では、図5の保持器16;26においてピン孔16a;26aの両側に位置する矩形のポケット18;28をボールポケットに変更してある。これにより、ガイドピン11a,11b;21a,21bと係合するピン孔16a,16b;26a,26b近傍は大きな応力が発生するところ、ピン孔16a,16b;26a,26b近傍の肉厚減少を回避するとともに切欠き効果を抑制し、保持器16;26の強度、耐久性を向上させることができる。
【0036】
図10に示す保持器16;26は、両面に溝19;29を設けてある。各溝19;29は環状の保持器16;26の内径側から外径側に概ね半径方向に沿って走る切り通し溝の形態をしている。この溝19;29の存在によって、保持器16;26と軌道輪12;22との間にあって内径側と外径側とを連絡する通路が形成されるため、保持器と軌道輪との間に留まって両者の密着現象(リンギング)を引き起こしがちなPAGオイルをこの通路を通じて排出することができる。
【0037】
図11は、応力が集中して亀裂の起点となるような箇所をなくして耐久性を向上させた保持器16;26のポケット18;28の形状を例示する。すなわち、図11(A)はポケット18;28の両端隅部にぬすみ18a;28aを設けた場合、図11(B)はポケット18;28の両端隅部を単一円弧18b;28bで形成した場合を示している。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、転動軸心を直交させた一対のころ群を使用することによって第一の部材と第二の部材との間における偏心回転運動を許容するようにしたので、ボールを使用した従来のスラスト玉軸受に比べて負荷容量を格段に大きくすることができ、長寿命化がはかれる。また、ころを用いた転がり接触であるため、運転トルクを抑えることができ、出力損失低減が図れる。かくしてスクロール圧縮機用をはじめとする高負荷容量のスラスト軸受の構成が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクロール圧縮機におけるスラスト軸受部分を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】図1における軌道輪の平面図である。
【図4】図1における中間輪の平面図である。
【図5】(A)は図1における保持器の平面図、
(B)はポケットの平面拡大図、
(C)は図5(B)のC−C線に沿うポケットの断面拡大図である。
【図6】図1に示すスラスト軸受の分解斜視図である。
【図7】別の実施の形態を示す保持器の平面図である。
【図8】別の実施の形態を示す保持器の平面図である。
【図9】別の実施の形態を示す保持器の平面図である。
【図10】(A)は別の実施の形態を示す保持器の平面図、
(B)は同じく側面図である。
【図11】(A)は別の実施の形態を示すポケットの平面図、
(B)は別の実施の形態を示すポケットの平面図である。
【図12】スクロール圧縮機の原理を説明する概念図である。
【図13】従来の技術を示すスクロール圧縮機の概略断面図である。
【図14】図13のスラスト玉軸受部分の拡大図である。
【図15】図13における軌道輪の平面図である。
【符号の説明】
10 旋回スクロール部材
12第一の軌道輪
12a〜12d 第一のピン孔
14 第一のころ
16 第一の保持器
16a,16b ピン孔
18ポケット
18' ポケット
18" ポケット
19 溝
20 ハウジング
22 第二の軌道輪
22a〜22d ピン孔
24 第二のころ
26 第二の保持器
26a,26b ピン孔
27 案内突起
28 ポケット
28' ポケット
28" ポケット
29 溝
30 中間輪
30a〜30d ピン孔

Claims (7)

  1. 相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受であって、
    第一の部材に固定した第一の軌道輪と、
    第二の部材に固定した第二の軌道輪と、
    第一の軌道輪と第二の軌道輪との間に配置した中間輪と、
    第一の軌道輪と中間輪との間に配置した複数の第一のころと、
    第一のころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有し、各ポケットに複数のころが並列に収容されている第一の保持器と、
    第二の軌道輪と中間輪との間に配置した複数の第二のころと、
    第二のころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有し、各ポケットに複数のころが並列に収容されている第二の保持器と
    を具備し、第一のころの転動軸心と第二のころの転動軸心とが直交し、かつ、第一および第二の保持器がころ案内方式であって軌道輪および中間輪との間に積極的にすきまが形成されているとともに、第一および第二の保持器が、直径方向で対向する位置に形成した一対のピン孔を有し、上記ピン孔近傍に追加の転動体を収容するためのポケットを付加し、上記追加の転動体が他のころより短いころであることを特徴とするスラスト軸受。
  2. 相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受であって、
    第一の部材に固定した第一の軌道輪と、
    第二の部材に固定した第二の軌道輪と、
    第一の軌道輪と第二の軌道輪との間に配置した中間輪と、
    第一の軌道輪と中間輪との間に配置した複数の第一のころと、
    第一のころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する第一の保持器と、
    第二の軌道輪と中間輪との間に配置した複数の第二のころと、
    第二のころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する第二の保持器とを具備し、第一のころの転動軸心と第二のころの転動軸心とが直交し、かつ、第一および第二の保持器がころ案内方式であって軌道輪および中間輪との間に積極的にすきまが形成されているとともに、第一および第二の保持器が、直径方向で対向する位置に形成した一対のピン孔を有し、上記ピン孔近傍に追加の転動体を収容するためのポケットを付加し、上記追加の転動体がボールであることを特徴とするスラスト軸受。
  3. 相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト軸受であって、
    第一の部材に固定した第一の軌道輪と、
    第二の部材に固定した第二の軌道輪と、
    第一の軌道輪と第二の軌道輪との間に配置した中間輪と、
    第一の軌道輪と中間輪との間に配置した複数の第一のころと、
    第一のころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する第一の保持器と、
    第二の軌道輪と中間輪との間に配置した複数の第二のころと、
    第二のころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する第二の保持器とを具備し、第一のころの転動軸心と第二のころの転動軸心とが直交し、かつ、第一および第二の保持器がころ案内方式であって軌道輪および中間輪との間に積極的にすきまが形成されているとともに、第一および第二の保持器が、直径方向で対向する位置に形成した一対のピン孔を有し、上記ピン孔近傍に追加の転動体を収容するためのポケットを付加し、かつ、第一および第二の保持器が内径側から外径側に切り通した溝を有することを特徴とするスラスト軸受。
  4. 第一および第二の保持器の各ポケットに複数のころが並列に収容されていることを特徴とする請求項2または3に記載のスラスト軸受。
  5. ころを収容するためのポケットの隅部にぬすみを形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスラスト軸受。
  6. ころを収容するためのポケットの隅部が単一円弧で形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスラスト軸受。
  7. 第一および第二の保持器が内径側から外径側に切り通した溝を有することを特徴する請求項1または2に記載のスラスト軸受。
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