JP4601022B2 - ArFエキシマレーザーリソグラフィー用合成石英ガラス部材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、エキシマレーザーを光源とするリソグラフィー装置の光学系に使用する合成石英ガラス部材、さらに詳しくはArFエキシマレーザーリソグラフィー装置のレンズ、プリズム、ビームスプリッター等の照明系、投影系に使用する合成石英ガラス部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化とともに、ウェーハ上に描く集積回路のパターンも微細化の一途をたどり、クオーターミクロン(0.25μm)以下の超微細パターンが描画された超LSIの量産化が始まりだしている。このような超微細パターンを得るには、それを描画する露光光源も短波長化する必要があり、エキシマレーザーを光源とするステッパーが開発され、既にKrFエキシマレーザー(波長248nm)を光源とするステッパーが実用化され、さらに次世代のステッパーとしてArFエキシマレーザー(波長193nm)を光源とするステッパーが注目を集めている。このKrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーのような短波長領域においても十分な透過性を示す硝材としては石英ガラスや蛍石等が挙げられるが、中でも高純度の珪素化合物等を火炎加水分解し、透明ガラス化して得た合成石英ガラスは、260nm以下の波長領域でも高い透過性を示すところから、エキシマレーザーを光源とするリソグラフィー用光学材料として好適である。特にArFエキシマレーザーリソグラフィー装置の光学材料として合成石英ガラスを使用する場合には、特開平10−53432号公報に記載するように波長193.4nmの内部透過率が99.8%を許容限度とするという。そのため同公報ではNa濃度を20ppb以下と規定する。このNa濃度が20ppb以下の合成石英ガラスは、均質化処理等の二次加熱処理によるNa汚染を防ぐため石英ガラスの合成条件を厳しく管理した製造方法で製造されている(特開平10−53432号公報段落(0017)〜(0019)参照)。このように合成石英ガラスの製造条件を厳しく設定することで得られたインゴットの縦方向(光学軸)の均質性を高くすることはできるが、これと垂直方向(以下横方向という)の均質性を高くすることは困難である。さらに困難なのは横方向の脈理の除去である。これは成長中の条件が少しでも変わると発生し、極めて厳しい製造条件下で合成石英ガラスインゴットを製造する必要がある。そして回避不可能なのが横方向の成長縞である。これは合成石英ガラスインゴットの成長方向に規則的に現れる現象で、通常layer又は層状構造と呼ばれ、成長方向と垂直な方向から光を透過させたときに観測される干渉縞の周期的な細かいギザギザとして認識される。この層状構造は、スートを堆積するターゲットを回転しスート又はガラスを成長させる際にできる微細な周期的な構造変動であり、濃い、薄いの差はあるが製造条件の設定だけで完全に除去することは不可能である。そしてこの層状構造は、例えばビームスプリッター等の投影系として合成石英ガラスを使用する場合大きな障害となる(APPLIED OPTICS Vol.31, No.31,p6658〜6661等参照)。このように、特開平10−53432号公報記載の合成石英ガラスは、均質性の点においてArFエキシマレーザーリソグラフィー用合成石英ガラス部材、特に大型が要求される投影系の合成石英ガラス部材として十分満足して使用できるものではなかった。そのため、前記公報記載の合成石英ガラスにあっても同公報でいう二次熱処理は不可欠である。ところが、前記均質化処理工程や成型工程では処理温度が1800℃を超える非常に高い温度で実施され、また、除歪処理工程も処理温度が1100℃程度と比較的低い温度ではあるが、処理に長時間を要する。そのため前記二次熱処理の間に炉材、坩堝、雰囲気からNaの熱拡散が起こり部材が汚染され、透過率が低下することになる。このNaの熱拡散により石英ガラスは外表面から内部に向ってNaの濃度勾配が生じ、その外表面近傍でNa濃度が高く、内部では低くなる。このNaの濃度勾配により石英ガラスの透過率分布がもたらされ、例えば前記合成石英ガラス部材でレンズを作成すると、外周部が中央部に対して透過率が低下し、その結果、一様な透過光強度が得られないばかりでなく、光吸収による屈折率分布が生じ、ArFエキシマレーザーリソグラフィー用露光装置の光学材料としての使用が困難となる。
【0003】
また、この合成石英ガラス部材をArFエキシマレーザーリソグラフィー用露光装置の透過材料として好適に使用するには、耐レーザー性、すなわち高透過性及び高均質性を長期に渡って安定に維持することが重要である。一般的に、石英ガラスにエキシマレーザーを照射すると、E’centerやNBOHCと呼ばれる常磁性欠陥が生成し、これらの欠陥が紫外線領域に吸収帯を持つため、紫外線領域の透過率が低下する。また、レーザーコンパクションと呼ばれている、レーザー照射に伴う石英ガラスの収縮もみられ、この収縮のため屈折率が上昇し、露光装置のレンズ材の結像特性が悪化する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
こうした現状に鑑み、本発明者等は、鋭意研究を続けた結果、高純度の珪素化合物を用いて製造した合成石英ガラスインゴットの層状構造、3方向の脈理及び内部歪を熱的及び機械的に除去し、Na濃度が25〜60ppbの合成石英ガラス部材に、波長260nm以下の連続紫外線を照射することで、高透過率で高均質性である上に、耐レーザー性にも優れた合成石英ガラス部材が得られることを見出して、本発明を完成したものである。すなわち、
【0005】
本発明は、高い均質性を有するとともにArFエキシマレーザーに対する透過率が高く、かつ耐レーザー性にも優れたArFエキシマレーザー用合成石英ガラス部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、高純度の合成石英ガラスからなり、層状構造、3方向の脈理及び内部歪が熱的、機械的に除去され、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnが1×10-6以下、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnが5×10-6以下、複屈折量が2nm/cm以下、水素分子濃度が2×1017分子/cm3以上で、かつ波長193.4nmに対する内部透過率が99.8%以上であることを特徴とするArFエキシマレーザーリソグラフィー用合成石英ガラス部材に係る。
【0007】
上記高純度の合成石英ガラスとは、高純度の珪素化合物、例えば四塩化珪素、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン等を火炎加水分解して製造したシリカ微粒子をターゲットに堆積すると同時に溶融ガラス化する直接火炎加水分解法、またはシリカ微粒子を一端ターゲット上に堆積したのち、電気炉内で加熱溶融してガラス化するスート法等で製造される高純度の合成石英ガラスをいう。そしてこの合成石英ガラスに均質化処理を施すことで層状構造、3方向の膜理が熱的、機械的に除去されるとともに、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnが1×10−6以下、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnが5×10−6以下、複屈折量が2nm/cm以下の高均質性が付与される。前記均質化処理は耐火炉中で1800℃以上の高温に長時間保持するのが一般的であるが、該均質化処理では炉材、治具及び雰囲気からの不純物による汚染が起こり、特にArFエキシマレーザーの透過率を著しく低下するNa濃度が30ppb以上となる。そのため炉材を使用しない例えば特開平7−267662号公報に記載の均質化処理方法を使用するのが好ましい。前記均質化処理は、合成石英ガラスインゴットの長手方向の両端を支持部材で支持し、その支持端を結ぶ軸を中心に回転させながら、合成石英ガラスインゴットにバーナーで局部加熱して溶融帯域を形成し、支持軸の回転方向及び回転数を独立に変動させるとともに支持部材を狭め、加圧してボール状の合成石英ガラスに変形し、次いでボール状の合成石英ガラスを切り離し、切り離し面を上下にして合成石英インゴットを支持台の支持棒に取り付け回転させながらバーナーで加熱軟化するとともに、加圧、変形する均質化処理を施す方法である。この方法で、合成石英ガラス部材に含有するNa濃度を20ppb以下にまで低減することができる
【0008】
上記均質化処理に続いて、光学用部材に形成するため成型工程が採られるが、該工程では合成石英ガラスの自重または強制力により用途に応じた角型、円柱型、角柱型等に形成されるが、この成型でも1900℃以上の高温処理が用いられNa汚染は避けられない。仮令、Na濃度の灰分が10ppb以下のグラファイト炉を使用しても合成石英ガラス中のNa濃度は10ppb以上となる。得られた合成石英ガラス部材は内部歪みを除去するための除歪処理工程に供されるが、この処理は1100℃以上と比較的低い温度ではあるが、処理時間が長く純度99%以上のアルミナ炉材を用いても合成石英ガラス中のNa濃度は10ppb以上となる。このように合成石英ガラス部材に均質化処理、成型及び除歪処理を行うことで少なくとも25ppb程度のNaが含有することになる。実際にはNaはグラファイトや外部の雰囲気から汚染されるためその接触部分や部材の表面近傍に局在している。すなわち、表面近傍でのNa濃度は25〜60ppbと高く、部材の内部に向ってNa濃度は減少する、といった濃度分布が存在している。そして、このNa濃度が25〜60ppbの合成石英ガラス部材に波長260nm以下の連続紫外線を照射すると、部材の外表面に近い部分程照度の強い紫外線が照射され内部に向って照度が低減するところから、Na濃度分布が相殺される形で透過率が改善され部材全体として透過率が向上し、内部透過率を99.8%以上にできる。この処理によって、直径200mm以上の円筒状または少なくとも1面の対角線の長さが200mm以上の角柱状の大型の部材であっても内部透過率を前記範囲まで改善できる。
【0009】
上記連続紫外線を照射するランプとしては、主波長253.7nm及び184.9nmの低圧水銀ランプ、波長172nmのXe2エキシマランプ、或は波長222nmのKrClエキシマランプが挙げられる。また紫外線を照射する合成石英ガラス部材の表面粗さRmaxは30μm以下がよく、表面粗さが30μmを越えると紫外線の散乱が多くなり処理効果の向上が望めない。さらに、紫外線の照度は少なくとも1mW/cm3、照射時間は50時間以上とするのがよい。照度が前記範囲未満では照射効果がなく、また照射時間が前記範囲未満では目的とする内部透過率まで向上させることができない。
【0010】
本発明の合成石英ガラス部材は、長期使用においても安定性が維持できるように水素分子を含ませておくのがよい。前記水素分子濃度は2×1017分子/cm3以上が好ましい。前記水素分子濃度の含有は、直接火炎加水分解法によって製造された石英ガラスの場合では、インゴットの成長条件を最適化することによって行うことができるが、さらに必要に応じて石英ガラス体を高圧水素処理炉中で1気圧以上の圧力、温度600〜1200℃で処理するのがよい。また、スート法の場合、焼成時や焼成後であっても、石英ガラス体を前記高圧水素処理炉中で1気圧以上の圧力、温度600〜1200℃で処理することで前記範囲の水素分子を含有させることができる。前記範囲の水素分子を含有することで本発明の合成石英ガラス部材はArFエキシマレーザー光の長時間の照射に対しても安定でコンパクションや誘起吸引を起すことがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について述べるがこれによって本発明はなんら限定されるものではない。
【0012】
なお、以下の実施例及び比較例の物性値は以下の測定方法で求めた値である。
i)屈折率分布:フィゾー型干渉計による測定法(波長632.8nmにて測定)。
ii)複屈折量:直交ニコル法における標準検板との目視観察による比較法。
iii)脈理:目視。
iv)193nm内部透過率:193nmにおける石英ガラスの理論透過率90.86%からレイリー散乱におけるロスとして知れる0.18%を減じた90.68%を用いて、厚さ10mmにおける見掛け透過率T%に対し、(T/90.68)×100より求めた測定値。
v)Na濃度:フレームレス原子吸光分析法による測定法
vi)水素分子濃度:V.S.Khotimchenko et al.,J. Appl. Spectrosc.,46. 632〜635(1987)に記載の測定法。
【0013】
【実施例】
実施例1
気化させた高純度メチルトリメトキシシランを酸水素火炎中に導入し、すす状シリカを生成し、回転する基体上に溶融堆積させる直接火炎加水分解法にて、外径100mm、長さ600mmの合成石英ガラスインゴットを作成した。このインゴットの両端を石英ガラス加工旋盤のチャックに把持された石英ガラス製の支持棒に溶接し、合成石英ガラスインゴットを回転させた。回転しているインゴットをバーナーで局部加熱して溶融帯域を形成し、チャックの回転方向及び回転数を独立に変動させ、溶融帯域に応力を発生させ、インゴットの脈理除去及び均質化を図った。その後石英ガラス加工用旋盤のチャック間を狭め、合成ガラスインゴットを押圧しボール状の合成石英ガラスに変形し、ボール状合成石英ガラスを切り離し、切り離し面を上下にして合成石英ガラスインゴットを支持台の支持棒に取り付け回転しながらバーナーで加熱軟化させ、再度均質化して棒状合成石英ガラスインゴットを製造した。得られたインゴットには3方向で脈理や層状構造は認められなかった。前記合成石英ガラスインゴットを所望の形状に成型するために、Naの灰分20ppm以下のグラファイトルツボ中にインゴットを入れ、ルツボ内を窒素雰囲気で置換したのち炉内温度を1900℃に保温し、10分間保持し成型した。得られた外径200mm、厚さ135mmの石英ガラス部材を純度99%以上のアルミナを炉材とする電気炉内に設置し、1150℃で50時間保持したのち、3℃/hrの冷却速度で600℃まで徐冷し、ついで自然冷却して、除歪操作を行った。この合成石英ガラス部材の光学特性を調べたところ、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnは0.8×10-6、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnは3×10-6、複屈折量は1nm/cm以下であった。また、測定された水素分子濃度は6.50×1017分子/cm3であり、金属不純物分析の結果、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの不純物濃度は5ppb以下、Naの濃度は45ppbであった。この石英ガラス部材に照度20mW/cm2の低圧水銀ランプによる紫外線を72時間照射した。紫外線照射後に、外径60mm、厚さ10mmの透過率測定用サンプルを切り出して透過率測定を行ったところ、波長193.4nmにおける内部透過率は99.82%と良好な透過性を示した。なお、紫外線照射前の透過率測定用サンプルの内部透過率は99.65%であった。
【0014】
実施例2
実施例1において、除歪処理を1150℃で50時間保持したのち、5℃/hrの冷却速度で600℃まで徐冷したのち、自然冷却を行った以外、実施例1と同様の操作で合成石英ガラス部材を作成した。得られた合成石英ガラス部材には3方向の脈理や層状構造がみれなかった。この合成石英ガラス部材の光学特性を調べたところ、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnは1×10-6、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnは4×10-6、複屈折量は1nm/cm以下であった。また、測定された水素分子濃度は9.60×1017分子/cm3であり、金属不純物分析の結果、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの不純物濃度は5ppb以下、Naの濃度は35ppbであった。この石英ガラス部材に実施例1と同様に照度20mW/cm2の低圧水銀ランプによる紫外線照射を72時間行い、該紫外線照射後に、外径60mm、厚さ10mmの透過率測定用サンプルを切り出して透過率測定を行った。その結果、波長193.4nmにおける内部透過率は99.85%と良好な透過性を示した。なお、紫外線照射前の透過率測定用サンプルの内部透過率は99.70%であった。
【0015】
実施例3
気化させた高純度四塩化珪素を酸水素火炎中に導入し、すす状シリカを生成し、回転する基体上に溶融堆積させる直接火炎加水分解法にて、外径110mm、長さ550mmの合成石英ガラスインゴットを作成した。このインゴットに実施例1と同様な条件で均質化処理を施し、層状構造、3方向の脈理及び内部歪を熱的、機械的に除去した。前記合成石英ガラスインゴットを所望の形状に成型するために、実施例1と同様に成型を行った。得られた外径200mm、厚さ140mmの石英ガラス部材を純度99%以上のアルミナを炉材とする電気炉内に設置し、1150℃で50時間保持したのち、6℃/hrの冷却速度で600℃まで徐冷し、ついで自然冷却して、除歪操作を行った。この合成石英ガラス部材の光学特性を調べたところ、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnは1×10-6、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnは4×10-6、複屈折量は1nm/cm以下であった。また、測定された水素分子濃度は1.20×1018分子/cm3であり、金属不純物分析の結果、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの不純物濃度は5ppb以下、塩素濃度は60ppm,Na濃度は25ppbであった。この石英ガラス部材に照度20mW/cm2の低圧水銀ランプによる紫外線を72時間照射した。紫外線照射後に、外径60mm、厚さ10mmの透過率測定用サンプルを切り出して透過率測定を行ったところ、波長193.4nmにおける内部透過率は99.80%と良好な透過性を示した。なお、紫外線照射前の透過率測定用サンプルの内部透過率は99.42%であった。
【0016】
実施例4
気化させた高純度四塩化珪素を酸素ガスをキャリアガスとして、酸水素火炎中に導入し、生成したすす状シリカを回転する基体上に堆積させ、直径約200mm、長さ約400mmの多孔質シリカ母材(スート)を作成した。このスートの嵩密度は約1.2g/cm3であった。前記スートを石英製炉芯管中で温度1450℃、Heガスの雰囲気中で透明ガラス化し、外径140mm、長さ約300mmの透明石英ガラスインゴットを得た。次いで実施例1と同様な条件で均質化処理を行い、層状構造、3方向の脈理及び内部歪を熱的、機械的に除去した。前記合成石英ガラスインゴットを所望の形状に成型するために、実施例1と同様な成型を行った。得られた外径180mm、厚さ160mmの石英ガラス体を純度99%以上のアルミナを炉材とする電気炉内に設置し、1150℃で50時間保持したのち、6℃/hrの冷却速度で600℃まで徐冷し、その後自然冷却して、除歪操作を行った。この合成石英ガラス体から外径180mm、厚さ30mmの石英ガラス部材を切り出し、1気圧の水素ガス中にて、温度650℃で約200時間熱処理し、水素分子を含有させた。この石英ガラス部材の光学特性を調べたところ、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnは1×10-6、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnは3×10-6、複屈折量は1nm/cm以下であった。また、測定された水素分子濃度は3.3×1017分子/cm3であり、金属不純物分析の結果、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの不純物濃度は5ppb以下、Na濃度は45ppbであった。前記石英ガラス部材に実施例1と同様な条件で紫外線を照射した。紫外線照射後に、外径60mm、厚さ10mmの透過率測定用サンプルを切り出して透過率測定を行ったところ、波長193.4nmにおける内部透過率は99.80%と良好な透過性を示した。なお、紫外線照射前の透過率測定用サンプルの内部透過率は99.64%であった。
【0017】
比較例1
実施例1と同様に、気化させた高純度メチルトリメトキシシランを酸水素火炎中に導入し、すす状シリカを生成し、回転する基体上に溶融堆積させる直接火炎加水分解法にて、外径180mm、長さ250mmの合成石英ガラスインゴットを作成した。前記インゴットを熱的、機械的に層状構造、脈理及び内部歪みを除去する均質化処理することなく、1150℃で70時間保持したのち、2℃/hrの冷却速度で600℃まで徐冷し、ついで自然冷却した。得られた合成石英ガラス体の光学特性を調べたところ、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnは3.0×10-6、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnは5×10-6、複屈折量は1nm/cm以下であった。しかしながら、光学軸と平行な面内を目視で観察したところ、顕著な脈理状の層状構造が観察された。また、測定された水素分子濃度は3.8×1017分子/cm3であり、金属不純物分析の結果、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの不純物濃度は5ppb以下、Naの濃度は30ppbであった。この石英ガラス体に実施例1と同様に照度20mW/cm2の低圧水銀ランプによる紫外線を72時間照射した。紫外線照射後に、外径60mm、厚さ10mmの透過率測定用サンプルを切り出して透過率測定を行ったところ、波長193.4nmにおける内部透過率は99.90%と非常に良好な透過性を示したが、脈理状の層状構造が存在しArFエキシマレーザー用光学部材としては不適当なものであった。なお、紫外線照射前の透過率測定用サンプルの内部透過率は99.78%であった。
【0018】
比較例2
実施例1において、除歪処理を1150℃で70時間保持したのち、2℃/hrの冷却速度で600℃まで徐冷し、その後自然冷却を行った以外、実施例1と同様の操作で合成石英ガラス体を作成した。得られた合成石英ガラス体には3方向の脈理や層状構造がみれなかった。この合成石英ガラス部材の光学特性を調べたところ、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnは1×10-6、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnは3×10-6、複屈折量は1nm/cm以下であった。また、測定された水素分子濃度は2.80×1017分子/cm3であり、金属不純物分析の結果、Li、K、Fe、Cu、Al、Tiなどの不純物濃度は5ppb以下、Naの濃度は65ppbであった。この石英ガラス部材に実施例1と同様に照度20mW/cm2の低圧水銀ランプによる紫外線を72時間照射した。紫外線照射後に、外径60mm、厚さ10mmの透過率測定用サンプルを切り出して透過率測定を行ったところ、波長193.4nmにおける内部透過率は99.72%と、ArFエキシマレーザー用の光学部材として幾分透過性が不足していた。なお、紫外線照射前の透過率測定用サンプルの内部透過率は99.52%であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の合成石英ガラス部材は、均質性に優れる上に、ArFエキシマレーザーに対して高い内部透過率を有し、かつ耐レーザーにも優れ、ArFエキシマレーザーステッパー用光学材料として好適である。特に200mmを越える大型の部材であっても均質性が高い上にArFエキシマレーザー光に対する透過率が高いところから、ステッパー用のレンズやビームスプリッター等の素材として有用である。
Claims (2)
- 合成石英ガラスインゴットの長手方向の両端を支持部材で支持し、その支持端を結ぶ軸を中心に回転させながら、合成石英ガラスインゴットにバーナーで局部加熱して溶融帯域を形成し、支持軸の回転方向及び回転数を独立に変動させるとともに支持部材を狭め、加圧してボール状の合成石英ガラスに変形し、次いでボール状の合成石英ガラスを切り離し、切り離し面を上下にして合成石英インゴットを支持台の支持棒に取り付け回転しながらバーナーで加熱軟化し、加圧、変形する均質化処理で層状構造、3方向の脈理を熱的、機械的に除去し、成型工程を経たのち、さらに除歪処理で内部歪を除去しNaで汚染された合成石英ガラス部材に波長260nm以下の連続紫外線を照射し、光学軸と直交する面内の屈折率分布Δnが1×10−6以下、光学軸と平行な面内の屈折率分布Δnが5×10−6以下、複屈折量が2nm/cm以下、水素分子濃度が2×1017分子/cm3以上、波長193.4nmに対する内部透過率が99.8%以上としたことを特徴とするArFエキシマレーザーリソグラフィー用合成石英ガラス部材。
- 合成石英ガラス部材が直径200mm以上の円筒状または少なくとも1面の対角線の長さが200mm以上の角柱状の部材であることを特徴とする請求項1に記載のArFエキシマレーザーリソグラフィー用合成石英ガラス部材。
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