JP4601463B2 - フレキシブル透明電極基板および有機elディスプレイデバイス - Google Patents
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Description
本発明のフレキシブル透明電極基板の主なる用途としては、ディスプレイ用基板、照明用基板、太陽電池用基板、サーキットボード用基板、半導体用途、電子ペーパー用途等、従来のガラスを支持基材として利用していたものに代替できる、薄くて軽くて割れない、曲げられる透明樹脂基材を用いたフレキシブル電子機器である。
しかしながら、フレキシブル性、透明導電性を必要とする用途であれば特に電子機器に限定されるものではない。
各種産業資材として、例えば、包装用資材、建材用資材、情報記録媒体用資材、出版物用資材、バイオ関係用資材等にも適用される。
この透明導電性積層体に形成する透明導電層については、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)などの金属薄膜タイプ、インジウム酸化物(In2 O3 )、スズ酸化物(SnO2 )、これらの混合物であるITO(Indium Tin Oxide)、亜鉛酸化物(ZnO)などの金属酸化物薄膜タイプ、さらにTiO2 /Ag/TiO2 などの金属/金属酸化物の多層薄膜タイプ等の各種のものが知られている。
これらの中でもITO等の金属酸化物薄膜は、透光性、導電性がともに非常に良好で、その上エッチング特性にも優れており、電極としてのパターン化が容易であるという特長を有しているものである。
このため、精細なパターンを必要とするディスプレイの透明電極などに好適に用いられている。
このような金属酸化物薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、あるいはCVD法などの各種の成膜方法により作成されている。
透明電極をフレキシブルな基板上に形成することにより、フレキシブル電極が作製される。
そのようなフレキシブルな基板を用いた、ディスプレイ、照明、太陽電池、サーキットボード、半導体、電子ペーパー等、薄くて軽くて割れない、曲げられるフレキシブル電子機器が種々開発されている。
そして、有機ELディスプレイデバイスにおける、EL素子は、水分に非常に弱く、特に、発光層は水分を含むと劣化は加速されるため、有機EL層への水蒸気の侵入を阻止する構造が種々提案されている。
例えば、特開2004−14287号公報(特許文献1)には、結晶性の高い構造と結晶性の低い構造の層とを含む、水蒸気透過防止性を向上させたITO膜と、該ITO膜を用いた有機EL素子の記載があるが、ここには、水分がEL素子本体に侵入することを防止する防止膜(水蒸気透過防止膜、防湿バリア膜)を用いた構造の有機ELディスプレイデバイス用の基板も記載されている。
ここでは、このー対の電極間に設けられる全ての層を、総称して、有機EL層(有機発光層とも言う)と呼び、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等をがこれに含まれる。
画素電極と対向電極が、それぞれ、陽極電極、陰極電極のいずれかに相当し、ー対の電極を構成する。
陰極電極は、通常の有機EL素子に用いられる素材であれば、いかなるもので構成してもよく、特に電子が注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料であることが好ましく、具体的には、例えば、マグネシウム合金(MgAg)、アルミニウム、銀等である。
有機EL素子においては、基板上、もしくは陽極上に部分的に、絶縁層を少なくとも一層形成することができる。
絶縁層は、好ましくは紫外線硬化樹脂などの光硬化樹脂または熱硬化性樹脂を含む樹脂材料から構成され、表示の際に、絶縁層のある部分が非発光部となるようパターン状に形成することができる。
またこの樹脂材料にカーボンブラック等を混合することにより、絶縁層をブラックマトリックスとして形成することもできる。
陽極電極と陰極電極との間に、正孔輸送層および発光層、もしくは、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層が積層した積層構造であるが、陽極電極と陰極電極との間には、エレクトロルミネッセンスを起こす有機発光材料からなる発光層を必須の層として、任意の層として発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層、電子輸送層、および電子注入層等を設けることができる。
陽極電極と陰極電極との間に積層し得るこれらの各層をまとめて、有機EL層と呼ぶこととする。
発光層を構成する有機発光材料としては、大別して、色素系材料、金属錯体系材料、もしくは高分子系材料等の各タイプのものが挙げられる。
色素系材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリレーン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、もしくはピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、もしくはユーロピウム錯体等の、中心金属にAl、Zn、もしくはBe等、またはTb、Eu、もしくはDy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。
高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、もしくはポリビニルカルバゾール誘導体等、または上記色素系しくは金属錯体系発光材料を高分子化したものを挙げることができる。
上記の有機発光材料からなる発光層中に、発光効率を向上させる、もしくは発光波長を変化させる等の目的でドーピングを行うことができる。このドーピングを行なうためのドーピング材料としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、もしくはフェノキサゾン等を挙げることができる。
正孔注入層は、陽極電極と正孔輸送層との間、もしくは陽極電極と発光層との間に設けられるものである。
正孔注入層を構成する材料としては、例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、もしくはフタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、もしくは酸化アルミニウム等の酸化物、またはアモルファスカーボン、ポリアニリン、もしくはポリチオフェン誘導体等を挙げることができる。
電子輸送層は、発光層と陰極電極との間、もしくは発光層と電子注入層との間に設けられるものである。
電子輸送層を構成する材料としては、例えば、オキサジアゾール類もしくはアルミニウムキノリノール錯体等の、一般的に安定なラジカルアニオンを形成し、イオン化ポテンシャルの大きい物質が挙げられ、具体的には、1,3,4−オキサジアゾール誘導体、もしくは1,2,4−トリアゾール誘導体等を挙げることができる。
電子注入層は、電子輸送層と陰極電極の間、若しくは陰極電極と発光層との間に設けられるものである。
電子注入層を構成する材料としては、1A族もしくは2A族の金属、またはそれらの酸化物もしくはハロゲン化物を挙げることができる。1A族の金属、その酸化物、およびハロゲン化物の例としては、具体的には、フッカリチウム、酸化ナトリウム、および酸化リチウム等を挙げることができる。
2A族の金属、その酸化物、およびハロゲン化物の例としては具体的に、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、カルシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、および酸化ストロンチウム等を挙げることができる。
しかしながら、このような有機ELディスプレイデバイス用の基板においては、有機ELディスプレイデバイスに用いられた場合に、有機EL素子としての寿命を十分に長くできるものではなく、且つ、基板のフレキシビリティ性、基板の耐久性や強度を同時に十分満足できるものではなく、問題になっていた。
特に、従来、寿命を10万時間を越えるものは作製されていない。
本願発明は、これらに対応するもので、有機ELディスプレイデバイスに用いられた場合に、有機EL素子としての寿命を十分に長くでき、且つ、基板のフレキシビリティ性、基板の耐久性や強度を同時に十分満足できる有機ELディスプレイデバイス用の基板を提供しようとするもので、特に、ITO膜の膜質を改善して、有機EL素子としての寿命を10万時間を越えるようにできる有機ELディスプレイデバイス用の基板を提供しようとするものである。
そして、上記フレキシブル透明電極基板であって、前記ITO層からなる電極層上に有機EL層を形成して用いられる、有機ELディスプレイデバイス用の、フレキシブル透明電極基板であることを特徴とするものである。
また、請求項1ないし2のいずれか1項に記載のフレキシブル透明電極基板であって、前記無機化合物層が、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミ、窒化アルミ、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛の透明無機化合物、あるいは、その混合化合物からなることを特徴とするものである。
また、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフレキシブル透明電極基板であって、前記有機化合物層がアクリレートであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのフレキシブル透明電極基板であって、ITO層は、X線回折法における、その(222)面に相当する2θピークの半価幅が、0.95度以上、1.40度以下であることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのフレキシブル透明電極基板であって、前記ITO層の表面粗さが、4nm以上、10nm以下であることを特徴とするものである。
ここでの有機ELディスプレイデバイスの有機EL素子の層構成としては、先に述べた種々の層構成、材質のものが挙げられる。
本発明のフレキシブル透明電極基板は、このような構成にすることにより、有機ELディスプレイデバイスに用いられた場合に、有機EL素子としての寿命を十分に長くでき、且つ、基板のフレキシビリティ性、基板の耐久性や強度を同時に十分満足できる有機ELディスプレイデバイス用の基板の提供を可能としている。
特に、有機EL素子としての寿命を10万時間を越えるようにできる有機ELディスプレイデバイス用の基板の提供を可能としている。
詳しくは、透明フレキシブル基材にITO層からなる電極層を配設し、且つ、その水蒸気透過率が、1×10-2 g/ m2/day 以下であるフレキシブル透明電極基板であって、TO層は、X線回折法(XRD法とも記す)における、そのITO層の(222)面に相当する2θピーク位置が30.40°以上、31.40°以下であることによりこれを達成している。
このような、フレキシブル透明電極基板としては、具体的には、ITO層からなる電極層上に有機EL層を形成して用いられる、有機ELディスプレイデバイス用のフレキシブル透明電極基板が挙げられる。
尚、フレキシブル透明電極基板としては、水蒸気透過率が、1×10-2 g/ m2/day 以下の、ガスバリア性の良いものが好ましいが、特に、有機ELディスプレイデバイスに用いる場合には、1×10-3 g/ m2/day 以下、さらには1×10-4 g/ m2/day 以下、であることが好ましい。
本願発明者は、ITO層の(222)面に相当する2 θピーク位置が0.40°以上31.40°以下であると、特に、有機EL素子を形成した際にその発光寿命を良好とすることができることを見い出したものである。
31.40°以上では有機EL素子となったときにクラックが生じてしまう。
また、30.40°以下ではフレキシビリティは有するものの発光寿命が短い原因となって好ましくない。
より好ましい条件として30.50°以上、30.70°以下である。
さらに好ましい条件としては30.55°以上、30.68°以下である。
ピーク位置は、X線回折法(XRD)により求められる。
有機EL素子の発光寿命が短くなる理由は、(222)面に相当するピーク位置が31.40°未満ではITO層の上に形成される正孔注入層により劣化されやすいためである。
またピーク位置が1.40°以上ではITO層内にクラックが発生しやすいためである。
尚、ピーク位置をこの範囲にする方法として、ひとつ重要なのは蒸着粒子のもつエネルギーである。
高エネルギーを保持したまま基板に注入されることにより、ITO薄膜の結晶粒が大きくなり高密度な状態な膜が作製される。
成膜方式として好ましいのは、プラズマ発生手段に圧力勾配型プラズマガンを用いた反応性イオンプレーティング法であるが、同様の膜質を与える方法であればこれに限らない。
一方、結晶サイズが大きいと膜に応力がかかった際にクラックが生じやすくなる傾向があるが、これを防ぐ方法として、ある値以上の成膜圧力にすることが好ましい。
ある一定値を超えたところで飛躍的にクラックの発生を抑えることができる。
成膜圧力として、0.3Pa以上の成膜圧力にすることにより、有EL工程における負荷に強い膜を形成することができる。
また、成膜圧力として、5.0Pa より大とすると成膜する膜の密着性が悪くなり、剥離するおそれが生じる。
好ましくは、0.7Pa以上、5Pa以下である。
特に、有機EL基板としては有効である。
無機化合物層としては、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミ、窒化アルミ、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等の透明無機化合物、あるいは、その混合化合物からなるものが挙げられる。
また表面形状にも変化を与える(平坦にする)ことが可能となる。
また、フィルム基材に有機化合物層と無機化合物層とを積層させる構成とすることにより、高度なガスバリア性や良好な表面平坦性が得られる。
これらも有機ELの寿命に大きく関与している。
尚、ガスバリア性が悪いと発光層を劣化させる。
有機化合物としては、アクリレートが挙げられる。
尚、X線回折法における、ITO層の(222)面に相当するピークの半価幅が、0.95度以下では、有機ELディスプレイデバイスに用いられたときに、ITO層にクラックが生じてしまい、また、半価幅が1.40度より大きいと、有機ELディスプレイデバイスに用いられたときに、フレキシビリティは有するもの発光寿命が短い原因となって好ましくない。
ここで、発光寿命が短くなる理由は、(222)面に相当するピークの半価幅が1.40度以上ではITO層の上に形成される正孔注入層により劣化されやすいためである。
さらに好ましい条件としては0.98度以上1.08度以下である。
特に、上記ITO層の半価幅と、上記ガスバリア性と、また上記積層体の構成により、従来にない長寿命の有機EL素子の作製を可能としている。
尚、表面平坦性の評価(表面粗さの評価)は、例えば、セイコーインスツルメント社製ナノピクスを用い、スキャン範囲4μの条件等で測定する。
同時に、のような有機ELディスプレイデバイス用の基板を用いて、有機EL素の寿命を十分に長くした有機ELディスプレイデバイスの提供を可能とした。
図1(a)は本発明のフレキシブル透明電極基板の実施の形態例の1断面図で、図1(b)は図1(a)に示すフレキシブル透明電極基板を用いた有機EL素子からなる表示部の断面構造を概略的に示した断面図で、図2は図1(a)に示す本発明のフレキシブル透明電極基板の実施の形態例の変形例の1断面図である。
図1、図2中、100はフレキシブル透明電極基板、110は透明フィルム基材、120、125、127は無機化合物層、130は有機化合物層、140はITO層(電極層あるいは陽極電極層とも言う)、150は有機EL層(有機EL発光層とも言う)、160は陰極電極層、200はフレキシブル透明電極基板、210は透明フィルム基材、220、225、227は無機化合物層、230、235は有機化合物層、240はITO層(電極層あるいは陽極電極とも言う)である。
本例のフレキシブル透明電極基板100は、透明フィルム基材110の一方の面側に、ガスバリア層としての無機化合物層120、平坦化層としての有機化合物層130、ガスバリア層としての無機化合物層125を、この順に、積層して、最表面にITO層140からなる電極層を配設しており、また、透明フィルム基材110の他方の面側に、直接、ガスバリア層としての無機化合物層127を配設している、有機ELディスプレイデバイス用のフレキシブル透明電極基板である。
そして、図1(b)に示すように、本例のフレキシブル透明電極基板100のITO層140からなる陽極電極層上に、順に、有機EL層150、陰極電極層160を形成して有機EL素子とする。
本例のフレキシブル透明電極基板100は、ITO層140は、X線回折法における、そのITO層の(222)面に相当する2θピーク位置が30.40°以上、31.40°以下であり、また、X線回折法における、その(222)面に相当する2θピークの半価幅が、0.95度以上、1.40度以下である。
本例の場合は、有機ELディスプレイデバイスに用いられるため、水蒸気透過率が1×10-3 g/ m2/day 以下の好ましいガスバリア性としてある。
ガスバリア性が悪いと発光層を劣化させる。
ガスバリア性は、ここでは、Mocon社製、PARMATRAN3/31を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定したものを言う。
透明フィルム基材110としては、フレキシビリティを有する透明な高分子フィルムであれば特に制限はなく、例えば、100℃以上において耐熱性を有するものが好適なものとして例示される。
好ましくは150℃以上の耐熱性である。
耐熱性高分子フィルムの厚さについても特に制限はないが、可撓性および形態保持性の観点からはたとえば50〜400μmの範囲とすることが好ましい。
無機化合物層120、125、127としては、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミ、窒化アルミ、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等の透明無機化合物あるいはその混合化合物からなるものが挙げられる。
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、あるいはCVD法などの各種の成膜方法を用いることにより、これらを作製することができる。
用途によりガスバリア性機能の必要性程度が異なるが、例えば、有機EL素子として使用する場合には、水蒸気透過率が、1×10-2 g/ m2/day 以下のガスバリア性が必要で、好ましくは、水蒸気透過率が1×10-3 g/ m2/day 以下が好ましい。
これらは、高分子基材上に酸素や水蒸気の進入を遮断するガスバリア層として機能するとともに、応力による透明フィルム基材110の変形を抑え、特に、無機化合物層125はITO層と接し、脱ガスを抑え、結晶化が進行し易いものとし、ITO層140形成の際、その表面に耐熱性、耐プラズマ性を生じさせ、(222)面配向を安定的に行えるものとする。
有機化合物層130としては、アクリレートが汎用的なものとして挙げられるが、他には、スチレン、フェノール、エポキシ、ニトリル、アクリル、アミン、エチレンイミン、エステル、シリコーン、アルキルチタネート化合物、イオン高分子錯体等、光硬化あるいは熱硬化性のものが適宜使用される。
有機化合物層130は、平坦化層としての機能の他に応力緩和層としての機能を有する。
ITO層140としては、インジウム酸化物(In2 O3 )またはこれにスズ酸化物(SnO2 )を3〜15重量%混合したITO単独層とするのが好適である。
その厚さは、たとえば1000〜10000Åが好ましく、この範囲以内であれば表面抵抗を100Ω/cm2 、さらには10Ω/cm2 以下にすることができる。
この範囲よりずれると透光性が低下したり導電性等の特性が不十分となる。
透明導電層の形成には1回の成膜であっても複数回に分けて積層しても構わない。
また、単独層とすることにより、多層構造に比べてエッチング性が向上する。
そして、層間剥離は発生しない。
前記ITO層の(222)面に相当する2θピーク位置としては、より好ましいくは、30.50°以上、30.70°以下で、さらに好ましいくは、30.55°以上、30.68°以下である。
前記ITO層の(222)面に相当する2θピークの半価幅としては、好ましくは、半価幅は0.98度以上、1.08度以下である。
前記ITO層の(222)面に相当する2θピーク位置は、31.40°以上では有機EL素子となったときにクラックが生じてしまい、また、30.40°以下ではフレキシビリティは有するものの発光寿命が短い原因となって好ましくない。
前記ITO層の(222)面に相当する2θピークの半価幅は、0.95度以下ではEL素子となったときにクラックが生じてしまい、また、1.40度以上ではフレキシビリティは有するものの発光寿命が短い原因となって好ましくない。
尚、ここでいう(222)面に相当するピークとは、立方晶のITO膜を測定した際にピーク角度2θ=30.5度付近に現れる相対強度が一番大きいピークのことを指す。
例えば、リガク製のX線回折装置(XRD装置とも言う)を用い、下記の測定条件にて測定する。
・X線:50kV、300mA
・スキャンスピード:4.0000°/min
・サンプリング幅:0.0400°
・操作範囲:5.0000°〜120.0000°
・インシデントモノクロ:スリットコリメーション
・カウンタモノクロメータ:受光スリット
本例においては、ITO層140は、成膜圧力、0.3Pa以上、5.0Pa 以下で成膜されたものである。
尚、先にも述べたが、特に、0.3Pa以上の成膜圧力にすることにより、好ましくは、0.7Pa以上、5Pa以下で、有機EL工程における負荷に強い膜を形成することができ、こうして得られた膜を加熱処理することにより、上記範囲の、(222)面に相当するピーク位置と、その位置におけるの半価幅を得ることができる。
ちなみに、成膜圧力、0.1Pa〜0.3Pa未満で作製したITO膜を加熱処理しても、応力が強くクラックが生じるため使用できない。
また、ITO層140の表面粗さとしては、4nm以上、10nm以下であることが好ましい。
尚、表面平坦性の評価(表面粗さの評価)は、先にも述べたが、例えば、セイコーインスツルメント社製ナノピクスを用い、スキャン範囲4μの条件等で測定する。
この変形例のフレキシブル透明電極基板の場合、各部の材質、機能は、基本的に、図1に示すフレキシブル透明電極基板と同じで、これらについての説明は省く。
図2に示す変形例のフレキシブル透明電極基板も、基本的に図1に示すものと同様の作用効果を奏するものであるが、フィルム基材の両面の無機化合物層、有機化合物層の層構成に起因する撓みの面では、図1(a)に示すフレキシブル透明電極基板に比べ、図2に示す変形例のフレキシブル透明電極基板の方が、透明フィルム基材の両面の対称性が良く、優れている。
しかし、図2に示す変形例の方が、図1(a)に示すフレキシブル透明電極基板に比べ、製造面では手間がかかり、難しい。
上記の図1、図2に示す形態は、いずれも1例で、本発明のフレキシブル透明電極基板は、これらに限定はされない。
勿論、透明フィルム基材の両面側に形成される有機化合物層、無機化合物層の層構成は、これらに限定されない。
尚、有機EL素子は、電極(陽極電極140、陰極電極160)間に電場を印加し、有機EL層(発光層)150に電流を通じることで、発光させる。
ここでは、透明フィルム基材110側に発光するボトムエミッション構造としているが、透明フィルム基材110とは逆方向に発光するトップエミッション構造もある。
実施例1、比較例1〜比較例3、比較例4は、いずれも、図1(a)に示すフレキシブル透明電極基板と同じ層構成のフレキシブル透明電極基板を作製し、これを用いて、図1(b)に示す断面構造を有する有機EL素子を作製して、フレキシブル透明電極基板を評価したものである。
図1に基づいて説明する。
(実施例1)
乾燥機で160℃で1時間乾燥させた厚さ100μmのPEN樹脂(帝人デュポン製Q65)からなるプラスチックフィルム基材を透明フィルム基材110とし、これの両方の面に、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を、スパッタ法により形成した。
これにより、無機化合物層120、127が形成された。
その後、スピンコートにて片面にアクリレート樹脂組成物(新日鐵化学製V−259−EH)を塗布し、160℃、1時間、乾燥させることにより1μmのアクリレート樹脂からなる有機化合物層130を得た。
その後さらに、有機化合物層130上に、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜からなる無機化合物層125をスパッタ法により形成し、ガスバリア性フィルムを得た。
ガスバリア性を測定したところ測定限界以下の値(1×10-2 g/ m2/day 以下)であった。
ここでは、ガスバリア性を、Mocon社製、PARMATRAN3/31を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定した。
ガスバリア性フィルムの片面に、膜厚150nmのITO膜を、圧力勾配型プラズマガンを用いた反応性イオンプレーティング法(パワー:3.7kW、酸素分圧:73%、成膜圧力:0.3Pa)により形成した。
その後、ITO膜面をXRD装置にて測定したところ、(222)面に相当するピーク位置は30.68°であった。
ここでは、X線回折装置(XRD装置とも言う)として、リガク製のX線回折装置を用い、下記の測定条件にて測定した。
・X線:50kV、300mA
・スキャンスピード:4.0000°/min
・サンプリング幅:0.0400°
・操作範囲:5.0000°〜120.0000°
・インシデントモノクロ:スリットコリメーション
・カウンタモノクロメータ:受光スリット
また、表面粗さを測定したところRa=5.8nmであった。
表面平坦性の評価(表面粗さの評価)は、セイコーインスツルメント社製ナノピクスを用い、スキャン範囲4μの条件で測定した。
次いで、作製されたITO薄膜付きガスバリア性フィルムを洗浄した後、ITO膜を所定のパターン状にエッチングを行ない、陽極電極を形成して、フレキシブル透明電極基板100を得た。
得られた陽極基板の陽極表面を洗浄した後、陽極電極表面上に、下記のPEDOT/PSSの分散液を、スピンコーティングによって塗布し、塗布後、温度;200℃のホットプレート上に載せて30分間加熱して乾燥させた。
さらに、純窒素置換されたグローブボックス内に移して再度、温度;200℃のホットプレート上に載せ15分間加熱して乾燥させ、陽極上に、PEDOT/PSSの80nmの薄膜を得た。
PEDOT/PSS=1/20(バイエル社製、バイトロン P VP CH8000を使用。)
次いで、有機EL素子用蛍光体(シグマアルドリッチ社製、品番;ADS228GE)をトルエン中に1.0%(質量比)になるよう混合した発光層形成用溶液を準備し、この溶液を、上記で得られたPEDOT/PSSの薄膜上に、やはりグローブボックス内にてスピンコーティングによって塗布し、塗布後、温度;130℃のホットプレート上に載せて1時間加熱して乾燥させ、厚みが80nmの発光層を形成した。
次いで、発光層までの各層が形成された基板上の発光層上に、グローブボックス内にて蒸着を行ない、厚みが3nmのLiFの薄膜、および厚みが10nmのCa薄膜を順次形成して電子注入層とし、さらに電子注入層上に、厚みが180nmのAl薄膜を形成して陰極電極とした。
その後、周囲に凸部を有する封止用のガラスの凸部に紫外線硬化性接着剤(ナガセケムテック(株)製、品番;XNR5516HP−B1)を塗布したものを、上記の陰極電極まで形成した基板上に重ね合わせ、接着剤の塗布された箇所に紫外線を照射して接着剤を硬化させ、照射後の重ね合わされた基板を、温度;80℃のホットプレート上に載せて1時間加熱して接着剤を十分硬化させて、有機EL素子を形成した。
そして、このようにして得られた有機EL素子からなる表示部について、有効寿命として計測したところ、有効寿命は100000hrであった。
尚、ここでは、上記のように形成した有機EL素子について、初期の輝度が100Cdになるように連続して電圧を印加し、時間の経過に伴なう輝度の変化を測定し、初期の輝度が半減する、輝度半減時間を有機ELの発光寿命と定義した。
実施例1と同様にして、乾燥機で160℃で1時間乾燥させた厚さ100μmのPEN樹脂からなるプラスチックフィルム基材を透明フィルム基材110の両方の面に、それぞれ、無機化合物層120、127、アクリレートからなる有機化合物層130を形成し、このガスバリア性フィルムの片面に、膜厚150nmのITO膜を、圧力勾配型プラズマガンを用いた反応性イオンプレーティング法(パワー:3.7kW、酸素分圧:60%、成膜圧力:0.3Pa)により形成した。
その後、ITO膜面をXRD装置にて測定したところ、(222)面に相当するピーク位置は30.63°であった。
また表面粗さを測定したところRa=4.1nmであった。
これ以外は、実施例1に準拠した。
そして、実施例1に準拠して有機EL素子からなる表示部を作製し、発光輝度が初期値の半分になるまでの時間を有効寿命とし計測したところ、60000hrであった。
実施例1と同様にして、乾燥機で160℃で1時間乾燥させた厚さ100μmのPEN樹脂からなるプラスチックフィルム基材を透明フィルム基材110の両方の面に、それぞれ、無機化合物層120、127アクリレートからなる有機化合物層130を形成し、このガスバリア性フィルムの片面に、膜厚150nmのITO膜を、スパッタ法(Ar:360sccm、酸素:3.0sccm、スパッタパワー:1.5kw、成膜圧力:2Pa)により形成した。
ITO膜の結晶性をXRDにて測定したところ、(222)面に相当するピーク位置は30.32であった。
また表面粗さを測定したところRa=2.3nmであった。
これ以外は、実施例1に準拠した。
そして、実施例1に準拠して有機EL素子からなる表示部を作製し、発光輝度が初期値の半分になるまでの時間を有効寿命とし計測したところ、3000hrであった。
比較例1と同様にして、乾燥機で160℃で1時間乾燥させた厚さ100μmのPEN樹脂からなるプラスチックフィルム基材を透明フィルム基材110の両方の面に、それぞれ、無機化合物層120、127アクリレートからなる有機化合物層130を形成し、このガスバリア性フィルムの片面に、膜厚150nmのITO膜を、スパッタ法(Ar:360sccm、酸素:3.0sccm、スパッタパワー:1.5kw、成膜圧力:2Pa)により形成した。
次いで、成膜したITO膜を160℃1時間加熱処理し、その後ITO膜の結晶性をXRDにて測定したところ、(222)面に相当するピーク位置は30.39であった。
また表面粗さを測定したところRa=3.5nmであった。
そして、実施例1に準拠して有機EL素子からなる表示部を作製し、発光輝度が初期値の半分になるまでの時間を有効寿命とし計測したところ、10000hrであったが、
ITO膜にクラックが生じ、不良となった。
実施例1と同じ条件下でITO膜を成膜し、更に、160℃1時間加熱処理し、その後ITO膜の結晶性をXRDにて測定したところ、(222)面に相当するピーク位置は31.42であった。
また表面粗さを測定したところRa=6.1nmであった。
発光輝度が初期値の半分になるまでの時間を有効寿命とし計測したところ、10000hr以上であったが、ITO膜にクラックが生じ、不良となった。
これに対し、比較例1、比較例2は、有効寿命において実用レベルでなく、また、比較例3は、有効寿命は10000hr以上であったが、ITO層にクラック損傷が発生しており、比較例1〜比較例3は、いずれも、実用レベルではなかった。
110 透明フィルム基材
120、125、127 無機化合物層
130 有機化合物層
140 ITO層(電極層あるいは陽極電極層とも言う)
150 有機EL層(有機EL発光層とも言う)
160 陰極電極層
200 フレキシブル透明電極基板
210 透明フィルム基材
220、225、227 無機化合物層
230、235 有機化合物層
240 ITO層(電極層あるいは陽極電極とも言う)
Claims (6)
- 透明フレキシブル基材にITO層からなる電極層を配設し、且つ、その水蒸気透過率が、1×10−2g/m2/day以下であるフレキシブル透明電極基板であって、
そのITO層の(222)面に相当する2θピーク位置が30.40°以上、31.40°以下であり、
前記ITO層は、X線回折法における、その(222)面に相当する2θピークの半価幅が、0.95度以上、1.40度以下であり、
前記透明フレキシブル基材は透明フィルム基材を備え、前記透明フィルム基材の一方の面側には少なくとも無機化合物層と有機化合物層と無機化合物層とITO層とがこの順に配設されかつ無機化合物層とITO層とが接しており、前記透明フィルム基材の他方の面側には少なくとも無機化合物層が配設されていることを特徴とするフレキシブル透明電極基板。 - 請求項1に記載のフレキシブル透明電極基板であって、前記ITO層からなる電極層上に有機EL層を形成して用いられる、有機ELディスプレイデバイス用のフレキシブル透明電極基板であることを特徴とするフレキシブル透明電極基板。
- 請求項1ないし2のいずれか1項に記載のフレキシブル透明電極基板であって、前記無機化合物層が、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミ、窒化アルミ、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛の透明無機化合物、あるいは、その混合化合物からなることを特徴とするフレキシブル透明電極基板。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフレキシブル透明電極基板であって、前記有機化合物層がアクリレートであることを特徴とするフレキシブル透明電極基板。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフレキシブル透明電極基板であって、前記ITO層の表面粗さが、4nm以上、10nm以下であることを特徴とするフレキシブル透明電極基板。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフレキシブル透明電極基板を用いたことを特徴とする有機ELディスプレイデバイス。
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