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JP4601555B2 - 密封型転がり軸受 - Google Patents
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JP4601555B2 - 密封型転がり軸受 - Google Patents

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Description

この発明は、電磁クラッチ、プーリ等の各種機械装置の回転軸支持部に組み込まれる密封型転がり軸受に関するものである。
従来から、各種機械装置の回転軸支持部には、軸受内部のグリースが外部に漏れるのを防止するとともに、外部からの異物の進侵入を防止するために密封型転がり軸受が採用されている。
この密封型転がり軸受は、図3に示すように、内輪30と、外輪31と、この内輪30と外輪31との間に転走自在に設けられたボール32と、前記内輪30および外輪31の軸方向両端面に嵌められる環状のシール部材33とから構成される。
上記内輪30の外径面に上記ボール32が転走する内輪軌道34が設けられ、上記外輪31の内径面に前記内輪軌道34に対向した外輪軌道35が設けられている。この内輪軌道34の両側方に周方向のシール溝36、36が形成され、この各シール溝36に対向した外輪31の内径面にシール部材係止溝37、37が形成されている。このシール部材係止溝37に上記シール部材33の外周部が係止されている。
上記シール部材33は、弾性材を芯金で補強したものであり、その内周部にシールリップ38が設けられ、このシールリップ38の端縁部39をシール溝36の側壁面40に当接させている。
上記のように構成される密封型転がり軸受において、軸受内部のグリースが外部に漏出することを防止するとともに、外部からの異物の進侵入を防止するために、シール部材33の構造を工夫してシール性の向上を図ることが行われている(特許文献1)。
特開2001−140907号公報
この密封型転がり軸受に組み込まれるシール部材33は、その内周部に設けたシールリップ38の端縁部39と、上記シール溝36の側壁面40および底面41とのなす角度を規定している。
具体的には、図4に示すように、シールリップ38の端縁部39を構成する上記シール溝36の側壁面40に対向する傾斜壁面42と、この傾斜壁面42よりも直径方向内向側に位置し前記シール溝36の底面41に対向する内周面43とのうち、傾斜壁面42と上記シール溝36の側壁面40とのなす角度αを10度〜45度に、かつ内周面43とシール溝36の底面41とのなす角度βを0度〜30度に規定することでシール性の向上を図っている。
上記の密封型転がり軸受では、シールリップ38の内周面43とシール溝36の底面41とのなす角度βを0度〜30度に規定しているが、シール性(特に異物の侵入の防止)は、シールリップ38の端縁部39と、シール溝36の側壁面40との接触状態が重要となるため、この接触状態が上記の角度βの規定を満たしていても、必ずしも期待するシール性が得られない場合があった。
また、上記シール溝36の底面41が、シール溝が加工された際に平面に限られず、曲面に加工される場合もある。シール溝36の底面41が曲面に加工されると、シールリップ38の内周面43とシール溝36の底面41とのなす角度βを規定することが難しくなるという問題があった。
さらに、密封型転がり軸受を採用する電磁クラッチは、150℃前後の高温で使用され、その密封型転がり軸受やその構成部材であるシール部材にも耐熱性が求められる。しかし、前記密封型転がり軸受のシール部材には、通常、ニトリルゴムが用いられ、その耐熱温度が120℃前後であるため、耐熱性に問題があった。
また、前記電磁クラッチは、自動車のエンジンルーム内に配置され、様々な油、薬品に接する機会が多いため、その密封型転がり軸受やその構成部材であるシール部材に優れた耐薬品性が求められる。
そこで、この発明は、シールリップとシール溝との接触状態を容易に規定し、シール性を向上させること、および耐熱性、耐薬品性に優れたシール部材を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、シール部材を、そのシールリップの端縁部の傾斜壁面とシール溝の側壁面との接触角度αを13度〜44度に、かつシールリップの端縁部の内周面とシール溝の側壁面との接触角度βを91度〜100度に規定した構成としたのである。
このようにすると、上記シール溝の底面の形状によらず、シール部材のシールリップの端縁部の傾斜壁面とシール溝の側壁面との接触状態を容易に規定することができる。また、この接触状態の規定を満たしたシール部材のシールリップにより、シール性を向上させることができる。
具体的には、内輪の外径面にシール溝を形成し、前記シール溝に対向した外輪内径面に弾性材を芯金で補強したシール部材の外周縁部を固定し、このシール部材の内周部にシールリップを設け、このシールリップを前記シール溝の側壁面に当接させた密封型転がり軸受において、前記シールリップは、前記シール溝の側壁面に対向する傾斜壁面と、この傾斜壁面よりも直径方向内側に位置し前記シール溝の底面に対向する内周面と、前記傾斜壁面と内周面とを連続させる湾曲部とを備え、この湾曲部を前記シール溝の側壁面に当接させた状態で、前記シール溝の側壁面と前記傾斜壁面とのなす接触角度αを13度〜44度とし、かつ前記シール溝の側壁面と前記内周面とのなす接触角度βを91度〜100度とした構成を採用したのである。
上記の構成において、上記シール溝の側壁面とシールリップの傾斜壁面とのなす接触角度αを13度〜44度に規定したのは、この接触角度αが13度未満の場合、各部品の加工公差により、シールリップの傾斜壁面全体がシール溝の側壁面に接触するとともに、シール溝側にグリースが押し出される場合に生じるくさび作用により微小隙間が発生し、シール性に悪影響を及ぼすからである。また、接触角度αが44度を越えた場合、シールリップの端縁部が鋭利となり、この端縁部の剛性が低下する恐れがあるからである。
また、上記シール溝の側壁面と上記シールリップの内周面とのなす接触角度βを91度〜100度に規定したのは、この接触角度βが90度以下の場合、シール溝の側壁面とシールリップの内周面とのなす接触角度βが鋭角となり、これらの2平面間に侵入した異物が排出されないだけでなく、この異物により微小隙間が発生し、シール性に悪影響を及ぼすからである。また、接触角度βが100度を越えると、上記の接触角度αの場合と同様に、シールリップの端縁部が鋭利となり、この端縁部の剛性が低下する恐れがあるからである。
この発明は、以上のように構成したので、シール部材のシールリップの端縁部の傾斜壁面とシール溝の側壁面との接触状態を容易に規定することができ、シール性を向上させることができる。
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施形態の密封型転がり軸受を図1および図2に示す。この実施形態の密封型転がり軸受は、図1に示すように、内輪1と、外輪2と、この内輪1と外輪2との間に転走自在に設けられたボール3と、前記内輪1および外輪2の軸方向両端面に嵌められる環状のシール部材4とから構成される。
上記内輪1の外径面に上記ボール3が転走する内輪軌道5が設けられ、上記外輪2の内径面に前記内輪軌道5に対向した外輪軌道6が設けられている。この内輪軌道5の両側方に周方向のシール溝7、7が形成され、この各シール溝7に対向した外輪2の内径面にシール部材係止溝8、8が形成されている。このシール部材係止溝8に上記シール部材4の外周縁部9が係止されている。
上記シール部材4は、芯金10により合成ゴム等からなる弾性体11を補強したものである。その弾性体11の部分にくびれ部12が形成され、このくびれ部12において弾性体11の肉厚が小さくなっている。このくびれ部12から径方向内向きに延び出したシールリップ13が形成される。
上記弾性体11に用いられる合成ゴム等として、水素添加ニトリルゴム、または耐エステルアクリルゴムを採用することができる。水素添加ニトリルゴムは、シール部材として一般的に用いられるニトリルゴムと比較して耐熱性に優れ、耐薬品性にも問題がないため、安定した性状を維持し、かつ、より高温での使用ができる。また、耐エステルアクリルゴムは、水素添加ニトリルゴムと同様にニトリルゴムと比較して耐熱性に優れ、アクリルゴムのエステル油やエアコンのコンプレッサーオイル等の薬品に対する耐薬品性を向上させたものであるため、安定した性状を維持し、かつ、より高温での使用ができる。
上記シールリップ13は、図2に示すように、上記シール溝7を構成する一対の側壁面14、15のうち、軸方向内側の側壁面14に向かって延びる端縁部16と、軸方向外向きに突出した突出部17とからなるものである。
上記端縁部16は、上記シール溝7の側壁面14に対向し、径方向外側に向かうにしたがってこの側壁面14から離れる方向に傾斜する傾斜壁面18と、この傾斜壁面18よりも直径方向内側に位置し、シール溝7の底面19に対向する自由状態では円筒形の内周面20と、前記傾斜壁面18と内周面20とを連続させる湾曲部21とを備えるものである。
このように構成されるシール部材4の外周縁部9が、外輪2のシール部材係止溝8に係止されると、シールリップ13が軸方向外向きに弾性変形して、上記湾曲部21がシール溝7の側壁面14に接触した状態となる。
この状態において、上記側壁面14と上記傾斜壁面18とのなす接触角度αが13度〜44度に規定される。この接触角度αが13度未満の場合、各部品の加工公差により、シールリップ13の傾斜壁面18全体がシール溝7の側壁面14に接触するとともに、シール溝7側にグリースが押し出される場合に生じるくさび作用により微小隙間が発生し、シール性に悪影響を及ぼす。また、接触角度αが44度を越えた場合、シールリップ13の端縁部16が鋭利となり、この端縁部16の剛性が低下する恐れがある。
また、上記側壁面14と上記内周面20とのなす接触角度βが91度〜100度に規定される。この接触角度βが90度以下の場合、シール溝7の側壁面14とシールリップ13の内周面20とのなす接触角度が鋭角となり、これらの2平面間に侵入した異物が排出されないだけでなく、この異物により微小隙間が発生し、シール性に悪影響を及ぼす。また、接触角度βが100度を越えると、上記の接触角度αの場合と同様に、シールリップ13の端縁部16が鋭利となり、この端縁部16の剛性が低下する恐れがある。
この発明の効果を確認するために、本発明者が行った試験について説明する。この試験は、シールリップ接触状態とシール性との関係を明確にするため、シールリップ接触状態と耐泥水性を検証したものであり、下記の運転条件にて運転し、試験後の泥水侵浸入状態を確認した。
(運転条件)
泥水:関東ローム粉JIS8種10wt%
回転速度:2000r/min
試験時間:3時間
(試験体)
材質:合成ゴム(NBR(アクリロニトリル・ブタジエン・ラバー))
比較例および実施例の試験結果を表1に示す。
Figure 0004601555
上述のように、接触角度αが13度〜44度、かつ接触角度βが91度〜93度の実施例では、シール性が良好に確保される。また、上記接触角度βを、特許文献1に記載されている接触角度βに適用してβ´として表すと上記の表1のようになり、0度<β´<30度の条件を満たしているが、シール性に劣る場合がある(比較例2、3)。さらに、比較例4の場合は、特許文献1に記載の接触角度α、βの規定を満たしているものの、シール性に劣るものであった。
以上のように、シールリップ13の端縁部16と、シール溝7の側壁面14との接触角度αおよびβを同時に規定することにより、シール性を向上させることができる。
実施形態の密封型転がり軸受を示す断面図 図1の拡大図 従来の密封型転がり軸受を示す部分断面図 図3の拡大図
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 ボール
4 シール部材
5 内輪軌道
6 外輪軌道
7 シール溝
8 シール部材係止溝
9 外周縁部
10 芯金
11 弾性体
12 くびれ部
13 シールリップ
14 側壁面
15 側壁面
16 端縁部
17 突出部
18 傾斜壁面
19 底面
20 内周面
21 湾曲部
30 内輪
31 外輪
32 ボール
33 シール部材
34 内輪軌道
35 外輪軌道
36 シール溝
37 シール部材係止溝
38 シールリップ
39 端縁部
40 側壁面
41 底面
42 傾斜壁面
43 内周面

Claims (1)

  1. 内輪(1)の外径面にシール溝(7)を形成し、前記シール溝(7)に対向した外輪(2)の内径面にシール部材(4)の外周縁部(9)を固定し、このシール部材(4)の内周部にシールリップ(13)を設け、このシールリップ(13)を前記シール溝(7)の側壁面(14)に当接させた密封型転がり軸受において、
    上記シール溝(7)が軸方向内側の側壁面(14)と、軸方向外側の側壁面(15)と、この両側壁面(14、15)とを連続させる底面(19)とから形成され、前記軸方向内側の側壁面(14)は、断面直線状のストレート部と、そのストレート部の径方向内側に連続する断面円弧状のアール部とからなり、前記シール部材(4)が、弾性材(11)を芯金(10)で補強したものであり、前記弾性材(11)が、耐エステル油アクリルゴムであり、その弾性材(11)の部分に肉厚の小さいくびれ部(12)が形成され、そのくびれ部(12)から径方向内向きに延び出した上記シールリップ(13)は、上記シール溝(7)の軸方向内側の側壁面(14)に向かって延びる端縁部(16)と、軸方向外向きに突出した突出部(17)を有し、その端縁部(16)は、前記シール溝(7)の軸方向内側の側壁面(14)に対向する傾斜壁面(18)と、この傾斜壁面(18)よりも直径方向内側に位置し前記シール溝(7)の底面(19)に対向する内周面(20)と、前記傾斜壁面(18)と内周面(20)とを連続させる湾曲部(21)とを備え、この湾曲部(21)を前記シール溝(7)の軸方向内側の側壁面(14)に当接させた状態で、その湾曲部(21)が前記ストレート部と前記アール部の境界部分よりもストレート部側の位置に接触し、かつ前記シール溝(7)の軸方向内側の側壁面(14)と前記傾斜壁面(18)とのなす接触角度αを13度〜44度とし、かつ前記シール溝(7)の軸方向内側の側壁面(14)と前記内周面(20)とのなす接触角度βを91度〜100度とし、かつ前記シールリップ(13)の内径は、前記シール溝(7)の軸方向外側の肩部外径と略同一であり、前記突出部(17)は、内周側にその突出部(17)の先端に向って徐々に拡径するよう形成された傾斜面が設けられ、その傾斜面の外径方向への傾斜角は、前記シールリップ(13)の内周面(20)の傾斜角より大きく設定され、かつ前記シール溝(7)の軸方向外側の側壁面(15)の傾斜角よりも小さく設定され、その傾斜面は、軸方向内端部に前記シール溝(7)の軸方向外側の側壁面(15)に向かって突き出す段差部が設けられ、この段差部を経て前記端縁部(16)の内周面(20)に連続して設けられたことを特徴とする密封型転がり軸受。
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