以下、本発明の表示装置に係わる実施の形態の一例を、詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態の一例について、液晶表示装置の例を用いて説明する。図1(a)はこの第1実施形態による液晶表示装置のTFT基板の一例を示し、図1(b)はこのTHT基板の平面図を示す。
図1(a)に示すように、この液晶表示装置においては、例えば透明性を有する石英基板からなる絶縁基板11上に、例えばタングステンシリコン(WSi)からなる裏面遮光膜12が約200nmの膜厚で設けられている。この裏面遮光膜12上には、例えば酸化シリコン(SiO2)からなる層間絶縁膜13が約600nmの膜厚で設けられている。
また、層間絶縁膜13上には例えば多結晶シリコン(Poly−Si)からなる所定形状の薄膜半導体層14が設けられている。この薄膜半導体層14は、中央部にチャネル領域15が設けられており、このチャネル領域15の両側には、低濃度の例えばリン(P)等のn型不純物が導入されたLDD領域16,16’が設けられている。また、LDD領域16,16’の外側には、高濃度の例えばヒ素(As)等のn型不純物が導入されたソース・ドレイン領域17,17’が設けられている。この薄膜半導体層14は、一方のソース・ドレイン領域17’側が延長された状態で設けられており、ここでの図示は省略するが、この延長された領域上に保持容量配線が設けられることにより、保持用容量素子が設けられている。なお、ここではPoly−Siからなる薄膜半導体層14が設けられていることとするが、本発明はこれに限定されず、アモルファスシリコンまたはゲルマニウムであってもよく、ガリウム砒素(GaAs)等の化合物半導体であってもよい。
また、LDD領域16,16’は、上記チャネル領域15とソース・ドレイン領域17,17’の間に、チャネル領域15とソース・ドレイン領域17,17’とで挟まれる幅が0.3μm〜2.0μmの範囲で設けられることとする。このLDD領域16,16’は、画素電極への書き込みを早くするとともに、加工を正確に行うという観点から0.8μm〜1.5μmの幅で設けられることが好ましく、ここでは、1.1μmの幅で設けられることとする。
この薄膜半導体層14の表面側には、SiO2からなるゲート絶縁膜18が設けられており、このゲート絶縁膜18を介して上記チャネル領域15の上方に例えばP等のn型不純物が高濃度に導入されたPoly−Siからなるゲート電極19が、450nmの膜厚で設けられている。そして、このゲート電極19と、ゲート絶縁膜18と、ソース・ドレイン領域17,17’を有する薄膜半導体層14とにより、画素電極の駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)10が構成される。
また、ゲート電極19と表面側にゲート絶縁膜18が設けられた薄膜半導体層14とを覆う状態で、層間絶縁膜13上に、例えばSiO2からなる層間絶縁膜20が設けられている。この層間絶縁膜20およびその下層のゲート絶縁膜18には、ソース・ドレイン領域17,17’に達する状態で接続孔21、21’がそれぞれ設けられている。
そして、一方の接続孔21を通じてソース・ドレイン領域17に接続されるとともに、上記薄膜トランジスタ10に信号電位を入力する信号配線22が層間絶縁膜20上に設けられている。この信号配線22は、例えばタングステンシリコン(WSi)/アルミニウム(Al)/WSiの積層膜で形成されている。また、信号配線22は、上記層間絶縁膜20上の一方向に長尺状に設けられており、その長手方向に配置される各画素で共通に設けられている(図1(b)参照)。
また、他方の接続孔21’には、この接続孔21’を通じて、上記ソース・ドレイン領域17’に接続される引き出し電極23が、層間絶縁膜20上に設けられている。この引き出し電極23は、上述したように、信号配線22から薄膜トランジスタ10に入力された信号電位を受けて、画素電極(図示省略)に到達させるためのものである。この引き出し電極23は、信号配線22と同様に、例えばWSi/Al/WSiの積層膜で形成されていることとする。
なお、ここでは、信号配線22と引き出し電極23がWSi/Al/WSiの積層膜で形成されていることとしたが、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)等の他の導電性材料で形成されていてもよい。
ここで、本発明の特徴的な構造としては、上記引き出し電極23が、ソース・ドレイン領域17側から所定範囲の上記LDD領域16’上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設された状態となっている。ここで、図2(a)の拡大図に示すように、所定範囲の上記LDD領域16’をLDD領域16a’とすると、引き出し電極23と上記LDD領域16a’とでゲート絶縁膜18と層間絶縁膜20とが挟持された状態のトランジスタ構造Aが構成される。なお、以降このトランジスタ構造Aについて説明する際、ゲート絶縁膜18は層間絶縁膜20に含まれることとする。
このトランジスタ構造Aは、薄膜トランジスタ10がオン状態になると、引き出し電極23にかかる電界により、このトランジスタ構造AのLDD領域16a’中の電子がLDD領域16a’の表面側に集まり、引き出し電極23と接続されたソース・ドレイン領域17’側に移動し易い状態となる。これにより、引き出し電極23により覆われたLDD領域16a’が低抵抗化された状態となるため、上記薄膜トランジスタ10のオン電流が増加する。また、上記LDD領域16a’を除くLDD領域16’(LDD領域16b’)は、引き出し電極23により覆われていないことから、低抵抗化せずに、実効LDD領域として機能する。
ここで、このLDD領域16b’の不純物濃度をN-、ソース・ドレイン領域17’の不純物濃度をN+とした場合には、LDD領域16a’は低抵抗化されることで、LDD領域16b’よりも高濃度の不純物が導入されたようなNの状態となる。これにより、図2(b)にチャネル領域15、LDD領域16b’、LDD領域16a’およびソース・ドレイン領域17’のエネルギーバンドを示すと、この状態のエネルギーバンドは、LDD領域16’の不純物濃度がソース・ドレイン領域17’側に向けて二段階で高くなるダブルLDD構造と同様のエネルギーバンドとなる。
ここで、再び図2(a)に示すように、薄膜トランジスタ10のリーク電流を許容範囲内に抑えた状態で、オン電流が増加するようにするために、上記トランジスタ構造Aにおける上記LDD領域16a’の表面と引き出し電極23のLDD領域16a’との対向面の距離Dは、次のように設定される。なお、ここでは、この距離Dは、LDD領域16a’上を覆う層間絶縁膜20の膜厚となる。層間絶縁膜20の膜厚は、上記ゲート電極19を十分に覆うことのできる範囲で、薄膜トランジスタ10がオン状態のとき、上記トランジスタ構造Aが機能するような厚さに設けられていることとする。
ここで、上記距離D、すなわち層間絶縁膜20の膜厚を変化させた場合の薄膜トランジスタ10のオン電流の相対比を、図3(a)に示す。このグラフについては、図2(a)の構成を用いて説明することとする。また、リファレンス(REF)は、LDD領域16’上が引き出し電極23で覆われておらず、層間絶縁膜20が600nmの膜厚で設けられた場合のオン電流である。
このグラフに示すように、層間絶縁膜20の膜厚が400nm、600nmのとき、リファレンスよりも薄膜トランジスタ10のオン電流が増加し、膜厚が800nmのときは、リファレンスと同等のオン電流を示すことから、層間絶縁膜20の膜厚は、800nmよりも薄い膜厚であることが好ましい。これにより薄膜トランジスタ10のオン電流を増加させることが可能となる。さらに、ここでは、膜厚450nmのゲート電極19が設けられているため、このゲート電極19を十分に覆うために、層間絶縁膜20は400nm以上の膜厚で形成されることが好ましい。
また、引き出し電極23により覆われるソース・ドレイン領域17’側からのLDD領域16a’の幅の範囲は、次のように設定される。ここで、横軸には、LDD領域16’の幅に対する上記LDD領域16a’の幅の割合をとり、縦軸には、上記LDD領域16’が引き出し電極23により覆われていない場合の薄膜トランジスタ10に対するオン電流の増加割合(1)とリーク電流の増加割合(2)をとったグラフを図3(b)に示す。このグラフについても図2(a)の構成を用いて説明する。また、この場合のLDD領域16’,16a’の幅とは、チャネル領域15とソース・ドレイン領域17’とで挟まれる方向の幅であり、この場合の層間絶縁膜20の膜厚は600nmであることとする。
このグラフに示すように、LDD領域16’の幅に対するLDD領域16a’の幅の割合が20%より大きくなるとオン電流は急激に増加し、LDD領域16a’の幅の割合が100%となるまで上昇し続ける(縦軸(1))。これは、引き出し電極23により覆われる上記LDD領域16a’の割合が大きくなると、引き出し電極23にかかる電界により、トランジスタ構造Aを構成するLDD領域16a’中の電子がソース・ドレイン領域17’側に移動し易い状態となり、LDD領域16a’が低抵抗化されるためである。一方、20%以下ではオン電流の増加は認められないが、これは、LDD領域16’の幅の20%以下を覆う状態での引き出し電極23の加工制御が困難であるためである。
また、図3(b)のグラフに示す薄膜トランジスタ10のオフ時のリーク電流は、LDD領域16’の幅に対する上記LDD領域16a’の幅の割合が50%までは3%未満で抑えられるが、50%を超えると増加率が高くなる(縦軸(2))。本発明において、リーク電流の許容範囲を3%までとすると、リーク電流を許容範囲内に抑えた状態で、オン電流を増加させることが可能な、LDD領域16’の幅に対するLDD領域16a’の幅の割合は20%より大きく50%以下となる。
以上説明したように、LDD領域16a’の幅の範囲が決定される。上述したように、LDD領域16’の幅は0.8μm〜1.5μmの範囲で形成されることが好ましいため、LDD領域16’の幅が0.8μmの場合には、LDD領域16a’の幅は0.16μm〜0.40μmの範囲が最適となり、LDD領域16’の幅が1.5μmの場合には、LDD領域16a’の幅は0.3μm〜0.75μmが最適となる。
なお、ここでは、層間絶縁膜20の膜厚が600nmの場合の引き出し電極23により覆われるLDD領域16a’の幅の範囲について説明したが、上記LDD領域16a’の幅の範囲は、層間絶縁膜20の膜厚によって変化する。特に、LDD領域16a’の幅の範囲の上限は、リーク電流とオン電流の兼ね合いにより決定されるため、層間絶縁膜20の膜厚により変化し易い。
例えば、LDD領域16a’を覆う層間絶縁膜20の膜厚が600nmよりも薄い場合には、LDD領域16a’の幅の割合が少なくてもオン電流は増加し易く、その分リーク電流も上昇し易くなる。このため、図3(b)に示すグラフが矢印A方向にシフトした状態となる。また、LDD領域16a’を覆う層間絶縁膜20の膜厚が600nmよりも厚い場合には、LDD領域16a’の幅の割合が少ないとオン電流は増加し難く、その分リーク電流も抑え易くなる。このため、図3(b)に示すグラフが矢印B方向にシフトした状態となる。よって、層間絶縁膜20の膜厚により、LDD領域16a’の幅の範囲は適宜設定されることとする。
また、上述した図1(a)に示す接続孔21を通じてソース・ドレイン領域17に接続される信号配線22も、引き出し電極23と同様に、ソース・ドレイン領域17側から所定範囲のLDD領域16上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設された状態となっていてもよい。これにより、信号配線22と層間絶縁膜20と所定範囲のLDD領域16とでトランジスタ構造が構成され、上記薄膜トランジスタ10のオン状態となると、信号配線22にかかる電界により、このトランジスタ構造の所定範囲のLDD領域16中の電子が所定範囲のLDD領域16の表面側に集まり、電子がチャネル領域15側に移動し易い状態となる。これにより、上記所定範囲のLDD領域16が低抵抗化され、薄膜トランジスタ10のオン電流がさらに増加する。
この場合、信号配線22側では信号配線22がLDD領域16上を覆うことによるリーク電流の増加は少ないことから、信号配線22により覆われるLDD領域16の幅の範囲は大きいほどオン電流が増加するため、好ましい。本実施形態では、信号配線22が、引き出し電極23と同じ範囲の幅でLDD領域16上を覆うように、層間絶縁膜20上に配設されることとする。
上述したような表示装置は次のような方法により、製造される。
まず、絶縁基板11上に、例えば化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition(CVD))法により膜厚が200nmのWSiを成膜加工することで裏面遮光膜12を形成した後、例えばCVD法により、この裏面遮光膜12を覆う状態で、絶縁基板11上にSiO2からなる層間絶縁膜13を形成する。
次に、例えば減圧CVD(LP-CVD)法により層間絶縁膜13上に、Poly−Si膜を成膜し、例えばシリコン(Si)導入と高温アニールとを行う固相成長法によりPoly−Siのグレインサイズをトランジスタ特性に合うように調整する。その後、通常のリソグラフィ技術とドライエッチングとを行うことにより、上記Poly−Si膜を所望形状に加工して薄膜半導体層14を形成する。
次に、酸素ガス(O2)を導入した高温のドライ酸化法により、上記薄膜半導体層14の表面に熱酸化処理を行い、薄膜半導体層14の表面側を酸化することで、SiO2からなるゲート絶縁膜18を形成する。その後、ゲート絶縁膜18上にリンドープトPoly−Siを450nmの膜厚で成膜加工することで、薄膜トランジスタ10のゲート電極19を形成する。
次に、このゲート電極19をマスクとして、セルフアライン方式にてPなどのn型不純物を低濃度にイオン注入した後、LDD構造の形成領域上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばAsなどのn型不純物を高濃度にイオン注入してソース・ドレイン領域17,17’を形成する。これにより、チャネル領域15の両側にLDD領域16、16’を介してソース・ドレイン領域17,17’が設けられた状態となり、薄膜トランジスタ10が形成される。
次いで、例えばCVD法により、ゲート電極19が設けられた薄膜半導体層14を覆う状態で、SiO2からなる層間絶縁膜20を600nmの膜厚で成膜する。その後、通常のリソグラフィ技術とドライエッチング法により、上記薄膜トランジスタ10のソース・ドレイン領域17,17’に達する接続孔21,21’を形成する。
次に、例えば、スパッタリング法により、上記接続孔21,21’を埋め込む状態で、WSi/Al/WSiがこの順に積層された導電膜を層間絶縁膜20上に形成する。そして、通常のリソグラフィ技術とドライエッチング法により、この導電膜をパターン加工することで、接続孔21を通じてソース・ドレイン領域17に接続され、層間絶縁膜20上に配設される信号配線22と、接続孔21’を通じてソース・ドレイン領域17’に接続され、層間絶縁膜20上に配設される引き出し電極23とを形成する。この際、上述したように、引き出し電極23は、ソース・ドレイン領域17’側から所定範囲のLDD領域16’上を覆う状態で層間絶縁膜20上に配設される。また、信号配線22も引き出し電極23と同様に、ソース・ドレイン領域17側から所定範囲のLDD領域16上を覆う状態で層間絶縁膜20上に配設される。
この後の工程は、ここでの図示は省略するが、通常の工程と同様に行うこととする。すなわち、信号配線22および引き出し電極23を覆う状態で、層間絶縁膜20上の全面に、SiO2からなる層間絶縁膜を形成した後、この層間絶縁膜に、上記引き出し電極23に達する接続孔を形成する。その後、この接続孔を通じて引き出し電極23と接続されるように、層間絶縁膜上にTi膜からなる表面遮光膜を形成する。続いて、この表面遮光膜上に、さらにSiO2からなる層間絶縁膜を形成した後、この層間絶縁膜に、上記表面遮光膜に達する状態の接続孔を形成する。その後、この接続孔を通じて表面遮光膜と接続されるように、この層間絶縁膜上に酸化インジウム錫(Indium Thin Oxide(ITO))膜からなる画素電極を形成する。このようにして、引き出し電極23と画素電極とが接続される。
以上により、本実施形態のTFT基板が完成する。その後、このTFT基板と、ガラス基板の一主面側に対向電極としての透明電極および液晶の配向膜を順次積層したものとの間に液晶を封入し、目的とする液晶表示装置を完成させる。
このような液晶表示装置によれば、図2(a)を用いて説明したように、引き出し電極23は、ソース・ドレイン領域17’側から、LDD領域16’の幅に対して20%より大きく50%以下の所定範囲のLDD領域16a’上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設されている。これにより、引き出し電極23と層間絶縁膜20と上記LDD領域16a’とでトランジスタ構造Aが構成される。このため、薄膜トランジスタ10がオン状態になると、引き出し電極23にかかる電界により上記LDD領域16a’が低抵抗化し、薄膜トランジスタ10のオン電流が増加する。また、引き出し電極23により覆われていないLDD領域16b’は低抵抗化せずに実効LDD領域として機能することから、薄膜トランジスタ10のリーク電流を許容範囲内に抑えることが可能となる。
したがって、リーク電流を許容範囲内に抑えた状態で、薄膜トランジスタ10のオン電流を増加させることができることから、引き出し電極23から画素電極への信号電位の書き込みの際、必要な信号電位に到達し易くなる。このため、書き込み不足による輝点が生じることなく、画質不良の発生を防止することができる。したがって、表示装置の画像品質を向上させることができるとともに、歩留まりを向上させることができる。
また、本実施形態では、引き出し電極23と同様に、信号配線22もLDD領域16のソース・ドレイン領域17側から所定範囲のLDD領域16上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設されている。これによっても、薄膜トランジスタ10のオン電流を増加することができる。
さらに、本実施形態では引き出し電極23および信号配線22を所定範囲のLDD領域16,16’上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設させることで、不純物導入工程等を増やすことなく、実質的にダブルLDD構造が形成された状態にすることができる。
(変形例1)
なお、上記第1実施形態では、引き出し電極23がパターン加工された状態を判り易くするため、図面上、層間絶縁膜20の表面は平坦化された状態で記載した。しかし、実際には、図4に示すように、450nmの膜厚のゲート電極19が設けられた状態の薄膜半導体層14上に層間絶縁膜20が形成されることで、ゲート電極19の段差により、LDD領域16’を覆う層間絶縁膜20も表面に段差を有して形成されている。
具体的には、層間絶縁膜20を例えば600nmの膜厚で成膜したとすると、LDD領域16’のソース・ドレイン領域17’側を覆う層間絶縁膜20は600nmの膜厚で形成されるが、ゲート電極19付近ではゲート電極19に向けて徐々に膜厚が厚くなる。そして、ゲート電極19脇を覆う層間絶縁膜20は、ゲート電極19の膜厚が加味されることで、最大1050nmの膜厚で形成され、部分的に厚く形成される。
このような状態の層間絶縁膜20上に配設される引き出し電極23は、リーク電流の許容範囲内でオン電流が増加するように、所定範囲のLDD領域16’(LDD領域16a’)上を覆う状態で配設されるだけでなく、上記所定範囲を除くLDD領域16’(LDD領域16b’)上をも覆う状態で延設されていてもよい。すなわち、引き出し電極23によりLDD領域16’上の全域が覆われていてもよい。
これにより、引き出し電極23をLDD領域16’の遮光膜としても機能させることが可能となり、LDD領域16’に光が入射することによるリーク電流が防止される。この引き出し電極23は、同じく層間絶縁膜20上に配設される信号配線22(前記図1参照)とショートしない範囲で、できるだけ延設された方が、LDD領域16’を確実に遮光できるため、好ましい。ただし、この場合には、引き出し電極23により上記LDD領域16b’上が覆われることで、LDD領域16b’が低抵抗化しないように、LDD領域16’の表面と引き出し電極23のLDD領域16’との対向面の距離D’が調整される必要がある。
ここで、上記距離D’は、LDD領域16’上を覆う層間絶縁膜20の膜厚であり、第1実施形態で説明したように、上記層間絶縁膜20の膜厚が800nmより薄くなる範囲では、引き出し電極23と層間絶縁膜20とLDD領域16’とでトランジスタ構造Aが構成される。上述したように、層間絶縁膜20は600nmの膜厚で成膜され、ゲート電極19脇では最大1050nmの膜厚となることから、800nmを境界線として、上記段差の下部側の800nmより薄い膜厚の層間絶縁膜20で覆われるLDD領域16’が、LDD領域16a’となる。そして、第1実施形態で設定したように、このLDD領域16a’の幅が、LDD領域16’の幅に対して、20%よりも大きく50%以下の所定範囲となるように、LDD領域16’の幅を調整する。これにより、LDD領域16a’は引き出し電極23にかかる電界により、低抵抗化されるため、薄膜トランジスタ10のオン電流が増加する。
一方、段差の上部側となる800nm以上の膜厚の層間絶縁膜20で覆われるLDD領域16’は、LDD領域16b’となる。LDD領域16b’は、引き出し電極23により覆われても低抵抗化せずに実効LDD領域として機能する。
このような表示装置の構成であっても、引き出し電極23は、ソース・ドレイン領域17’側から、LDD領域16’の幅に対して20%より大きく50%以下の所定範囲のLDD領域16a’上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設されている。これにより、引き出し電極23にかかる電界により上記LDD領域16a’が低抵抗化し、薄膜トランジスタ10のオン電流が増加する。また、LDD領域16b’は低抵抗化せずに実効LDD領域として機能することで、薄膜トランジスタ10のリーク電流を許容範囲内に抑えることが可能となる。したがって、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、この変形例1によれば、引き出し電極23がLDD領域16’の全域を覆う状態で形成されていることから、引き出し電極23がLDD領域16’の遮光膜としても機能する。これにより、液晶表示装置に入射される入射光の一部が、表面遮光膜または裏面遮光膜を回避して入射した場合であっても、この引き出し電極23により遮光されることでLDD領域16’に光が入射することによるリーク電流の発生を防ぐことができる。
なお、ここでは、引き出し電極23について説明したが、信号配線22(前記図1参照)も同様に形成されていてもよい。ただし、この場合には、ゲート電極19上の層間絶縁膜20上で引き出し電極23と信号配線22とがショートしないように、所定の間隔を有して形成されることとする。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の一例について説明する。図5はこの第2実施形態におけるTFT基板の一例である。
この図に示すように、第2実施形態の液晶表示装置においては、第1実施形態で、図2(a)を用いて説明したLDD領域16a’の薄膜半導体層14の膜厚が、LDD領域16b’の薄膜半導体層14の膜厚よりも薄く形成されることとする。これにより、LDD領域16a’の抵抗が高くなり、薄膜トランジスタ10のオフ時のリーク電流がより確実に抑制される。
このようなTFT基板の製造方法は、第1実施形態で説明した層間絶縁膜13上に、Poly−Si膜を成膜し、所望形状に加工して薄膜半導体層14を形成する工程までは、第1実施形態と同様の工程であるため、省略する。その後、図6(a)に示すように、O2を導入した高温のドライ酸化法により、上記薄膜半導体層14の表面に熱酸化処理を行うことで、薄膜半導体層14の表面側が酸化され、SiO2膜31が形成される。
次に、図6(b)に示すように、SiO2膜31上に、上記LDD領域16a’の形成領域上が開口されたレジストパターン32を形成する。この場合には、図5に示すように、薄膜半導体層14のチャネル領域15、LDD領域16b’、LDD領域16a’、ソース・ドレイン領域17’の各幅は予め設定されていることとする。
続いて、図6(c)に示すように、このレジストパターン32(前記図6(b)参照)を用いたエッチングにより、SiO2膜31を除去して、LDD領域16a’の形成領域となる薄膜半導体層14の表面を露出する。その後、レジストパターン32を除去する
次いで、図6(d)に示すように、再びO2を導入した高温のドライ酸化法により、上記薄膜半導体層14の表面に熱酸化処理を行うことで、SiO2膜31から露出された薄膜半導体層14の表面側が酸化され、SiO2膜33が形成される。
その後、ウェットエッチングにより、SiO2膜31およびSiO2膜33を除去することで、図6(e)に示すように、LDD領域16a’の形成領域が部分的に薄膜化された薄膜半導体層14が形成される。
その後、図5に示すように、上記薄膜半導体層14の表面に熱酸化処理を行い、薄膜半導体層14の表面側にゲート絶縁膜18を形成する。その後、ゲート絶縁膜18上に、リンドープトPoly−Siを450nmの膜厚で成膜加工することで、ゲート電極19を形成する。この際、予め設定されたチャネル領域15上を覆う状態でゲート電極19が形成されることとする。
この後の工程は、第1実施形態と同様に行い、引き出し電極23が、薄膜化された薄膜半導体層14のLDD領域16a’上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設されたTFT基板を形成する。
このような表示装置であれば、LDD領域16の所定範囲のLDD領域16a’が形成される薄膜半導体層14の領域が部分的に薄膜化されることで、上記LDD領域16a’の抵抗は高くなる。これにより、第1実施形態と比較して、薄膜トランジスタ10のリーク電流をさらに抑制することができる。また、上記LDD領域16a’上が引き出し電極23により覆われていることから、引き出し電極23がLDD領域16’上を覆わない場合と比較して、引き出し電極23にかかる電界により、LDD領域16a’が低抵抗化されるため、薄膜トランジスタ10のオン電流が増加する。
また、第1実施形態の変形例1は、本実施形態にも適用可能である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態の一例について説明する。図7(a)は、この第3実施形態におけるTFT基板の一例である。
この図に示すように、第3実施形態の液晶表示装置においては、第1実施形態で、図2(a)を用いて説明したLDD領域16’の所定範囲のLDD領域16a’に、LDD領域16b’よりも高濃度で、かつソース・ドレイン領域17’よりも低濃度の不純物が導入されている。そして、引き出し電極23は、このLDD領域16a’を覆う状態で層間絶縁膜20に配設されている。
この場合にも、第1実施形態と同様に、引き出し電極23と層間絶縁膜20とLDD領域16a’とでトランジスタ構造Aが構成される。そして、この場合には、LDD領域16a’にLDD領域16b’よりも高濃度で、かつソース・ドレイン領域17’よりも低濃度の不純物が導入されていることから、LDD領域16a’はさらに低抵抗化され、薄膜トランジスタ10のオン電流が増加する。ここで、この場合のチャネル領域15、LDD領域16b’、LDD領域16a’およびソース・ドレイン領域17’のエネルギーバンドを図7(b)に示すと、LDD領域16a’のエネルギーバンドは、第1実施形態のLDD領域16a’のエネルギーバンド(点線部)よりも低くなる。
また、本実施形態では、図1に示す信号配線22側のLDD領域16も上記引き出し電極23側のLDD領域16’と同様に形成されることとする。すなわち、LDD領域16’と同じ範囲のLDD領域16上が信号配線22により覆われており、この範囲のLDD領域16に、所定範囲を除くLDD領域16よりも高濃度で、ソース・ドレイン領域17よりも低濃度の不純物が導入されていることとする。
このようなTFT基板の製造方法を、図8の製造工程断面図を用いて説明する。なお、図8では、信号配線22により覆われる所定範囲のLDD領域16をLDD領域16aとし、上記所定範囲を除くLDD領域16をLDD領域16bとして、説明する。
まず、図8(a)に示すように、薄膜半導体層14上に形成されたゲート電極19をマスクとして、セルフアライン方式にてn型不純物を低濃度にイオン注入する工程までは、第1実施形態と同様の工程である。これにより、チャネル領域15の両側に設けられるLDD領域16b,16b’が形成される。
次に、図8(b)に示すように、LDD領域16b,16b’の形成領域上にレジストパターン41を形成し、このレジストパターン41をマスクとして、LDD領域16b,16b’よりも高濃度の不純物を導入する。これにより、LDD領域16b,16b’の外側に設けられるLDD領域16a,16a’が形成され、LDD領域16aおよびLDD領域16bからなるLDD領域16が形成されるとともに、LDD領域16a’およびLDD領域16b’からなるLDD領域16’が形成される。その後、レジストパターン41を除去する。
次いで、図8(c)に示すように、LDD領域16,16’の形成領域上にレジストパターン42を形成し、このレジストパターン42をマスクとして、LDD領域16,16’よりも高濃度のn型不純物を導入して、ソース・ドレイン領域17、17’を形成する。これにより、LDD領域16a,16a’は、LDD領域16b,16b’よりも高濃度で、かつソース・ドレイン領域17、17’よりも低濃度の不純物が導入された状態となる。その後、レジストパターン42を除去する。
この後の工程は、第1実施形態と同様に行い、引き出し電極23が、LDD領域16a’上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設されるとともに、信号配線22がLDD領域16a上を覆う状態で、層間絶縁膜20上に配設されたTFT基板を形成する。
このような表示装置によれば、引き出し電極23側のLDD領域16a’はLDD領域16b’よりも高濃度の不純物が導入された状態で形成されるため、第1実施形態と比較して、上記LDD領域16a’が低抵抗化される。また、本実施形態によれば、信号配線22側のLDD領域16aも、LDD領域16bよりも高濃度の不純物が導入された状態で形成されるため、上記LDD領域16aがさらに低抵抗化される。したがって、薄膜トランジスタ10のオン電流をさらに増加することができる。
なお、本実施形態では、信号配線22側のLDD領域16aも、引き出し電極23側のLDD領域16a’と同様に、LDD領域16bよりも高濃度の不純物が導入された状態で形成されることとしたが、本発明はこれに限定されることなく、引き出し電極23側のLDD領域16a’のみがLDD領域16b’よりも高濃度の不純物が導入されてもよい。ただし、信号配線22側のLDD領域16aが、LDD領域16bよりも高濃度の不純物が導入された状態で形成される方が、薄膜トランジスタ10のオン電流をさらに増加することができるため、好ましい。
また、第1実施形態の変形例1は、本実施形態にも適用可能である。さらに、本実施形態の構成に第2実施形態の構成を組み合わせてもよい。この場合には、LDD領域16a’が形成される薄膜半導体層14の領域が部分的に薄膜化され、この領域に、LDD領域16b’よりも高濃度で、かつソース・ドレイン領域17’よりも低濃度の不純物が導入された状態となる。
以上、説明したように第1実施形態〜第3実施形態では、液晶表示装置のTFT基板を例にとり説明したが、本発明は、有機電界発光素子(有機EL素子)を用いた有機EL表示装置であっても、同様の効果を奏する。
10…薄膜トランジスタ、11…絶縁基板、14…薄膜半導体層、15…チャネル領域、16,16’…LDD領域、17,17’…ソース・ドレイン領域、19…ゲート電極、21,21’…接続孔、22…信号配線、23…引き出し電極