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JP4604994B2 - 車両の制動力制御装置 - Google Patents
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JP4604994B2 - 車両の制動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を安定して旋回走行可能にする車両の制動力制御装置に関する。
従来、車両旋回時の安定性を確保することを目的とした制動力制御装置としては、例えば特許文献1に記載した装置がある。この特許文献1に記載の制動力制御装置は、トラクションコントロールのように駆動輪の加速スリップを検知して単にその加速スリップを抑えるのではなく、車両の運転状態から車両の旋回状態量を検出し、その旋回状態量が、車両が安定して走行可能な旋回限界状態量に対し所定の制動作動しきい値まで接近した場合に、車両が安定した旋回走行を維持するのに必要な目標減速度を演算し、その目標減速度を実現する制動力を車両に付与している。
これによって、車両旋回時に、運転者の意思に関わらず車両が安定して旋回可能な限界旋回量を越えないように制御される結果、運転者の予想に反してコーナが急な場合等にオーバースピードでコーナに進入した場合でも、すばやく適正な車両の減速が行われることによって、車両の安定性を確保することが出来るようになる。
しかしながら、車両に制動を付与するアクチュエータとして、例えば車輪に制動力を付与する液圧ブレーキ装置を想定し、その液圧ブレーキ装置の圧力発生源としてモータポンプを具備した液圧ブレーキ用アクチュエータ、所謂ポンプアップシステムにおいては、前記制動力制御が作動を開始しても、モータポンプが作動してホイールシリンダ側でブレーキ液が昇圧するまでに時間を要するため、初期応答性が遅れるという問題がある。
この問題を解決するために、従来、例えば特許文献2に記載のような、制動液圧に予圧を印加する技術が知られている。
特開平02−171373号公報 特開2001−63541号公報
しかし、前記特許文献2に記載のように、単純に、目標とする第1作動しきい値よりも低い第2作動しきい値を設定しておき、その第2作動しきい値から第1作動しきい値の間の状態と判定したときに予圧制御を実行すると、制動を判定する手段からの出力値の変化が早い場合等にあっては、第2作動しきい値を越えたと判定してから予圧制御に移行したとしても予圧印加に充分な時間がとれることなく第1作動しきい値を越えてしまうことがあり、そのような場合には、予圧制御の効果が充分に得られないおそれがあるという課題がある。
また、第2作動しきい値と第1作動しきい値との間隔を大きく設定すると、不要に予圧制御が作動することになる。
本発明の課題は、旋回安定を目的とした制動力制御において、無駄なく確実に初期応答性を向上させることを可能にすることである。
請求項1記載の発明に係る車両の制動力制御装置は、車両の旋回状態量が、車両が安定して走行可能な限界旋回状態量に応じて設定された制動作動しきい値を越えたと判定する判定手段と、車両の安定した旋回走行を維持するために必要な目標減速度を演算する演算手段と、前記判定手段で車両の旋回状態が前記制動作動しきい値を越えたと判定されたとき、前記演算手段で得られた前記目標減速度に応じた制動力を車両に付与する制御手段と、を備える。
この車両の制動力制御装置は、現在から所定時間経過後に車両の旋回状態量が前記制動作動しきい値を越えるか否かを推定手段により推定し、車両の横加速度又はヨーレイトに基づいて前記所定時間を設定手段により設定しており、前記設定手段は、前記車両の横加速度又はヨーレイトが大きくなるほど、前記所定時間を長くし、前記制御手段は、前記推定手段が前記所定時間経過後に前記制動作動しきい値を越えると推定すると、前記制動力の付与応答性を高くするための予備動作を開始する。
請求項1記載の発明によれば、制御の初期応答性を確実に向上させることができ、車両が安定して旋回走行可能な車速まで応答性良く減速することが可能となる。また、車両の走行状態に基づいて、所定時間を設定することで、制御の初期応答性を不要に高めることを防止できる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態となる制動力制御装置の概略構成を示すブロック図である。各車輪の車輪速度Vwi(i=FL,FR,RL,RR)を検出する電磁誘導式の車輪速センサ1と、ステアリングホイールの操舵角θを検出する光学式・非接触型の操舵角センサ2と、車体のヨーレイトφを検出するヨーレイトセンサ3と、アクセルペダルのアクセル開度Accを検出するアクセルセンサ4と、横加速度センサ5がコントローラ6に接続される。
コントローラ6は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、各センサからの検出信号に基づいて後述する旋回走行制御処理を実行し、エンジン出力制御装置7と制動力制御装置9とを駆動制御して車両の旋回状態に応じた自動減速を行う。
ここで、エンジン出力制御装置7は、エンジン8におけるスロットルバルブの開度、燃料噴射量、点火時期などを調整することによって、エンジン出力(回転数やエンジントルク)を制御するように構成されている。
図2は、制動力制御装置9の構成を示す。
図2に示すように、制動力制御装置9は、マスターシリンダ10と各ホイールシリンダ11i(i=FL,FR,RL,RR)との間に介装されている。
マスターシリンダ10は、運転者のペダル踏力に応じて2系統の液圧を作るタンデム式のもので、プライマリ側をフロント左・リア右のホイールシリンダ11FL・11RRに伝達し、セカンダリ側を右前輪・左後輪のホイールシリンダ11FR・11RLに伝達するダイアゴナルスプリット方式を採用している。
各ホイールシリンダ11FL〜11RRは、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧して制動力を発生させるディスクブレーキや、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧して制動力を発生させるドラムブレーキに内蔵されている。
制動力制御装置9は、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)等に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、運転者のブレーキ操作に係らず各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を増圧・保持・減圧できるように構成されている。
プライマリ側は、マスターシリンダ10及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型の第1ゲートバルブ12Aと、第1ゲートバルブ12A及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型のインレットバルブ13FL(13RR)と、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びインレットバルブ13FL(13RR)間に連通したリザーバ14と、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びリザーバ14間の流路を開放可能なノーマルクローズ型のアウトレットバルブ15FL(15RR)と、マスターシリンダ10及び第1ゲートバルブ12A間とリザーバ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間とを連通した流路を開放可能なノーマルクローズ型の第2ゲートバルブ16Aと、リザーバ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間に吸入側を連通し、且つ第1ゲートバルブ12A及びインレットバルブ13FL(13RR)間に吐出側を連通したポンプ17と、を備えている。また、ポンプ17の吐出側には、吐出されたブレーキ液の脈動を抑制し、ペダル振動を弱めるダンパー室18が配設されている。
また、セカンダリ側も、プライマリ側と同様に、第1ゲートバルブ12Bと、インレットバルブ13FR(13RL)と、リザーバ14と、アウトレットバルブ15FR(15RL)と、第2ゲートバルブ16Bと、ポンプ17と、ダンパー室18と、を備えている。
第1ゲートバルブ12A・12Bと、インレットバルブ13FL〜13RRと、アウトレットバルブ15FL〜15RRと、第2ゲートバルブ16A・16Bとは、夫々、2ポート2ポジション切換・シングルソレノイド・スプリングオフセット式の電磁操作弁であって、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRは、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bは、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成されている。
また、ポンプ17は、負荷圧力に係りなく略一定の吐出量を確保できる歯車ポンプ、ピストンポンプ等、容積形のポンプで構成されている。
以上の構成により、プライマリ側を例に説明すると、第1ゲートバルブ12A、インレットバルブ13FL(13RR)、アウトレットバルブ15FL(15RR)、及び第2ゲートバルブ16Aが全て非励磁のノーマル位置にあるときに、マスターシリンダ2からの液圧がそのままホイールシリンダ11FL(11RR)に伝達され、通常ブレーキとなる。
また、ブレーキペダルが非操作状態であっても、インレットバルブ13FL(13RR)、及びアウトレットバルブ15FL(15RR)を非励磁のノーマル位置にしたまま、第1ゲートバルブ12Aを励磁して閉鎖すると共に、第2ゲートバルブ16Aを励磁して開放し、更にポンプ17を駆動することで、マスターシリンダ2の液圧を第2ゲートバルブ16Aを介して吸入し、吐出される液圧をインレットバルブ13FL(13RR)を介してホイールシリンダ11FL(11RR)に伝達し、増圧させることができる。
また、第1ゲートバルブ12A、アウトレットバルブ15FL(15RR)、及び第2ゲートバルブ16Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ13FL(13RR)を励磁して閉鎖すると、ホイールシリンダ11FL(11RR)からマスターシリンダ2及びリザーバ14への夫々の流路が遮断され、ホイールシリンダ11FL(11RR)の液圧が保持される。
さらに、第1ゲートバルブ12A及び第2ゲートバルブ16Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ13FL(13RR)を励磁して閉鎖すると共に、アウトレットバルブ15FL(15RR)を励磁して開放すると、ホイールシリンダ11FL(11RR)の液圧がリザーバ14に流入して減圧される。リザーバ14に流入した液圧は、ポンプ17によって吸入され、マスターシリンダ2に戻される。
セカンダリ側に関しても、通常ブレーキ・増圧・保持・減圧の動作は、前記プライマリ側の動作と同様であるため、その詳細説明は省略する。
したがって、コントローラ6は、第1ゲートバルブ12A・12Bと、インレットバルブ13FL〜13RRと、アウトレットバルブ15FL〜15RRと、第2ゲートバルブ16A・16Bと、ポンプ17とを駆動制御することによって、各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を増圧・保持・減圧する。
なお、本実施形態では、ブレーキ系統をフロント左・リア右とフロント右・リア左とで分割するダイアゴナルスプリット方式を採用しているが、フロント左右とリア左右とで分割する前後スプリット方式を採用してもよい。
また、本実施形態では、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRが、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bが、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成している。しかし、要は、各バルブの開閉を行うことができれば良いので、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRが、励磁したオフセット位置で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bが、励磁したオフセット位置で流路を閉鎖するようにしても良い。
次に、コントローラ6で実行する旋回走行制御処理を説明する。
図3は、その処理手順のフローチャートを示す。
この旋回走行制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込み処理として実行され、図3に示すように、先ずステップS1において、各車輪速Vwiと、操舵角θと、ヨーレイト検出値φと、アクセル開度Accとを読込む。
続いてステップS2において、各車輪速度Vwiに基づいて旋回速度Vを算出する。なお、本実施形態では、各車輪速度Vwiに基づいて旋回速度Vを算出しているが、車体の前後加速度を加速度センサで検出し、この前後加速度を加味して旋回速度Vを算出しても良い。
続いてステップS3において、図4のブロック図に従って車体のヨーレイトφを算出する。
先ず、図5に示すような制御マップを参照し、操舵角θと旋回速度Vとに応じてヨーレイト推定値φを算出する。ここで、ヨーレイト推定値φの算出に用いる制御マップは、図5に示すように、横軸を操舵角θ、縦軸をヨーレイト推定値φとし、操舵角θが増加するほどヨーレイトφが増加し、その増加率は旋回速度Vが大きいほど小さくなるように設定されている。
そして、下記(1)式に示すように、ヨーレイト検出値φの絶対値とヨーレイト推定値φの絶対値とのセレクトハイによって最終的なヨーレイトφを算出する。ここで、検出値φと推定値φとのセレクトハイを行うのは、例えば路面摩擦係数μの低い道路で操舵角θがあまり大きくないのにヨーレイトφが増加するスロースピンモードの場合には、減速制御をより早く介入させることができるためである。
φ= max[|φ|,|φ|] ・・・(1)
続いてステップS4において、下記(2)式に示すように、現在の旋回状態に対する目標旋回速度Vを算出する。ここで、μは路面摩擦係数であり、スリップ率とブレーキ操作量(マスターシリンダ圧)とに基づいて推定したり、路面の画像データと気温とに基づいて推定したり、路面判別センサ(GVS:Grand View Censor)の検出結果に基づいて推定したり、更にはインフラストラクチャから取得したりする。また、Ygは限界横加速度であり、ここでは車両が安定して旋回走行できる所定値(例えば、0.45G)に設定するが、各車輪のスリップ率に応じて可変としてもよい。
=μ×Yg/|φ| ・・・(2)
この(2)式によれば、ヨーレイトφが大きくなるほど、すなわち、操舵角θ又はその操舵角θに基づいて算出されるヨーレイト推定値φが大きくなるほど、目標旋回速度Vは小さくなる。
続いてステップS5において、下記(3)式に示すように、目標減速度Xgを算出する。ここで、ΔVは旋回速度Vと目標旋回速度Vとの偏差(V−V)であり、tは所定時間であり、kは係数である。
Xg=k×ΔV/t ・・・(3)
なお、ここでは単に旋回速度Vと目標旋回速度Vとの偏差ΔVに基づいて目標減速度Xgを算出しているが、下記(4)式に示すように、偏差ΔVの増加方向への変化速度(単位時間あたりの変化量)dΔVを加味して目標減速度Xgを算出しても良い。ここで、k1及びk2は係数である。また、変化速度dΔVは演算周期毎の変化量でもよいし、所定時間内の平均変化量でも良い。
Xg=(k1×ΔV+k2×dΔV)/t ・・・(4)
なお、この(3)式又は(4)式によれば、ヨーレイトφが大きくなるほど、目標旋回速度Vが小さくなり、偏差ΔVが大きくなるから、目標減速度Xgは大きくなる。
続いてステップS30において、制動液圧の予備動作である予圧制御を行う。この制動液圧の予圧制御の処理については、後で詳述する。
続いてステップS6において、目標減速度Xgが0よりも大きいか否かを判断する。この判定結果がXg≦0であるときには、減速制御つまり自動減速は不要であると判断して後述するステップS15に移行する。一方、判定結果がXg>0であるときには、車両が安定して走行可能な限界旋回状態量に応じて設定した制動作動しきい値を越えたとして、減速制御が必要であると判断し、ステップS7に移行する。
また、ヨーレイトφとの関係で判定をすると、前記(3)式又は(4)式によれば、ヨーレイトφが大きくなるほど、目標減速度Xgが大きくなるから、目標減速度Xgが0より大きいと判定され易くなる。後述するように、目標減速度Xgが0よりも大きい場合、減速制御が作動するようになるから、ヨーレイトφが大きくなるほど、すなわち、操舵角θ又はヨーレイト推定値φが大きくなるほど、減速制御が作動し易くなる。
ステップS7では、減速制御フラグFcを“1”にセットする。
続いてステップS8において、目標減速度Xgを達成するために必要となる目標制動力Fを算出し増加させる。ただし、安定した車両挙動を維持できる程度に制動力が増加するよう、所定の変化速度で目標制動力Fを増加させる。
続いてステップS9において、下記(5)式に示すように、1サンプリング前の目標エンジントルクT (n−1)から所定量Tdownを減じて目標エンジントルクTを算出する。ただし、T (n−1)の初期値は、運転者のアクセル開度Accに応じたドライバ要求エンジントルクTdriverに設定される。
=T (n−1)−Tdown ・・・(5)
続いてステップS10において、フローチャート内に示すような制御マップを参照し、旋回速度Vに応じて目標エンジントルクの下限値T MINを算出する。ここで、制御マップは、横軸を旋回速度V、縦軸を目標エンジントルクの下限値T MINとし、旋回速度Vが大きいほど目標エンジントルクの下限値T MINが増加するように設定されている。
続いてステップS11において、目標エンジントルクTが下限値T MINよりも小さいか否かを判定する。この判定結果がT<T MINであるときには、目標エンジントルクTを絞り過ぎであると判断してステップS12に移行する。
ステップS12では、下記(6)式に示すように、目標エンジントルクTを下限値T MINに制限してからステップS13に移行する。
← T MIN ・・・(6)
一方、前記ステップS11の判定結果がT≧T MINであるときには、そのままステップS13に移行する。
ステップS13では、下記(7)式に示すように、目標エンジントルクTと、運転者のアクセル開度Accに応じたドライバ要求エンジントルクTdraiverとのセレクトローによって最終的な目標エンジントルクTを算出する。
= min[T ,Tdraiver] ・・・(7)
続いてステップS14では、目標エンジントルクTと目標制動力Fとを制御指令として出力することにより、エンジン出力制御装置7と制動力制御装置9と駆動制御してから所定のメインプログラムに復帰する。
一方、前記ステップS6から移行するステップS15では、減速制御フラグFcが“1”にセットされているか否かを判定する。この判定結果がFc=0であるときには、減速制御つまり自動減速が開始されていない又は既に終了していると判断して所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果がFc=1であるときには、減速制御が開始されていると判断してステップS16に移行する。
ステップS16では、前記ステップS8の処理で増加させた分だけ目標制動力Fを減少させる。ただし、安定した車両挙動を維持できる程度に制動力が減少するよう、所定の変化速度で目標制動力Fを減少させる。
続いてステップS17において、下記(8)式に示すように、1サンプリング前の目標エンジントルクT (n−1)に所定量Tupを加算して目標エンジントルクTを算出する。
=T (n−1)+Tup ・・・(8)
続いてステップS18では、減速制御が終了したか否か、つまり前記ステップS16により目標制動力Fの増加分が解除され、且つ前記ステップS17の処理により目標エンジントルクTが現時点でのドライバ要求エンジントルクTdriverに復帰したか否かを判定する。ここで、目標制動力Fの増加分が解除され、且つ目標エンジントルクTがTdriverに復帰しているときには、減速制御が終了したと判断してステップS19に移行する。
ステップS19では、減速制御フラグFcを“0”にリセットしてから前記ステップS14に移行する。
一方、前記ステップS18で、目標制動力Fの増加分が解除されていない、又は目標エンジントルクTがTdriverに復帰していないときには、減速制御が終了していないと判断してそのまま前記ステップS14に移行する。
次に、コントローラ6で実行する予圧制御処理を説明する。
図6は、その処理手順のフローチャートを示す。
図6に示すように、先ずステップS31で、車速Vを読込む。例えば、前記ステップS2で算出した旋回速度Vを読込む。
続いてステップS32において、目標旋回速度(目標車速)Vを読込む。例えば、前記ステップS4で算出した目標旋回速度Vを読込む。
続いてステップS33において、横加速度Ygを読込む。例えば、横加速度センサ5により車両に発生している横加速度を検出する。
続いてステップS34において、予圧制御に必要な所定時間Δtを設定する。予圧制御によりその効果が発揮されるような値として所定時間Δtを設定する。例えば、Δtは300msecである。
また、前記ステップS33で読込んだ横加速度Ygに基づいて、所定時間Δtを設定する。具体的には、横加速度Ygが大きくなるほど、所定時間Δtを大きい値にする。なお、ヨーレイトφに基づいて、所定時間Δtを設定しても良い。この場合、ヨーレイトφが大きくなるほど、所定時間Δtを大きい値にする。
図7は、横加速度Yg(又はヨーレイトφ)に基づいて所定時間Δtを設定するための特性図(テーブル)の例を示す。図7に示すように、所定時間Δtは、横加速度Ygが小さい領域で小さい値になり、横加速度Ygがある値になると、横加速度Ygとともに増加する比例関係になり、その後ある横加速度Ygに達すると大きい値で一定値になる。このように、概略として、横加速度Ygが大きくなるほど、所定時間Δtを大きい値にしている。
続いてステップS35において、所定時間Δt後の目標旋回車速(目標車速、以下、推定目標旋回車速という。)V prefillを下記(9)式を用いて算出する。
prefill=V+dV/dt×Δt ・・・(9)
続いてステップS36において、前記ステップS32で読込んだ車速Vと前記ステップS35で算出した推定目標旋回車速V prefillとを比較する。ここで、車速Vが推定目標旋回車速V prefillよりも大きい場合(V>V prefill)、ステップS37に進み、車速Vが推定目標旋回車速V prefill以下の場合(V≦V prefill)、ステップS39に進む。
ステップS37では、予圧制御判断フラグFprefillをONに設定する(Fprefill=ON)。
続いてステップS38において、予圧制御(制動液圧増加制御)を行う。そして、当該図6に示す処理を終了する。
ここで、予圧制御(制動液圧増加制御)では、制動液圧を増加させた場合に、運転者に車両の減速感を与えない程度、又はブレーキ装置のブレーキパッドがロータに力を伝達しないで接触する程度に制動液圧を上昇させる。
ステップS39では、予圧制御判断フラグFprefillをOFFに設定する(Fprefill=OFF)。そして、前記ステップS38の予圧制御を行うことなく、当該図6に示す処理を終了する。
以上のように制動液圧の予圧制御を行う。
なお、既に予圧制御が実行されている場合(前記ステップS38で予圧制御が実行されている場合)には、前記ステップS39に進む条件(予圧制御の終了条件)を、車速Vが、推定目標旋回車速V prefillに所定値V offset1を加算した値以下になること(V≦V prefill+V offset1)としても良い。
また、次のような条件のときには、予圧制御は必要でないとして、予圧制御を禁止する(Fprefill=OFF)。
(1)旋回走行制御自体がOFFモード状態の場合。
(2)車速Vが所定の低車速Vlow1(例えば、30km/h)以下であり、かつ各車輪速のうち、一の車輪速度Vwiが低車速Vlow2(例えば、3km/h)の場合。ただし、この条件を、予圧制御開始時のみの条件として、予圧制御中には、この条件を除外する。
(3)運転者がブレーキペダルを踏み込んでいる場合。例えば、マスターシリンダ圧Pmが所定値Pminよりも大きい場合(Pm>Pmin)。
なお、この第1の実施形態の説明において、コントローラ6のステップS6〜ステップS14の処理は、車両の旋回状態量が、車両が安定して走行可能な限界旋回状態量に応じて設定された制動作動しきい値を越えたと判定する判定手段と、車両の安定した旋回走行を維持するために必要な目標減速度を演算する演算手段と、判定手段で車両の旋回状態が制動作動しきい値を越えたと判定されたとき、演算手段で得られた目標減速度に応じた制動力を車両に付与する制御手段とを実現しており、コントローラ6のステップS36の処理は、現在から所定時間経過後に車両の旋回状態量が前記制動作動しきい値を越えるか否かを推定する推定手段を実現しており、コントローラ6のステップS34の処理は、車両の走行状態に基づいて前記所定時間を設定する設定手段を実現しており、これにより、前記制御手段が、前記推定手段が前記所定時間経過後に制動作動しきい値を越えると推定すると、制動力の付与応答性を高めるための予備動作を開始することを実現している。
ここで、目標旋回車速Vが前記制動作動しきい値であり、旋回車速Vが前記車両の旋回状態量であり、Δtが前記所定時間であり、推定目標旋回車速V prefillが所定時間経過後の制動作動しきい値であり、横加速度Yg(又はヨーレイトφ)が前記車両の走行状態を示す値である。
(動作、作用及び効果)
次に、動作、作用及び効果を説明する。
今、車両が旋回走行しているとする。このとき、目標減速度Xgが0以下であるときには(前記ステップS6の判定が“No”)、安定した旋回走行が維持されているので、減速制御つまり自動減速の必要はないと判断する。そこで、運転者のアクセル操作に応じた通常のエンジントルクとなるようにエンジン出力制御装置7を非駆動状態にすると共に、運転者のブレーキ操作に応じた通常ブレーキとなるように制動力制御装置9を非駆動状態にする。
この状態から、運転者のステアリング操作量が増加する、或いは運転者のアクセル操作量が増加して目標減速度Xgが0よりも大きくなったとき(前記ステップS6の判定が“Yes”)、すなわち、車両の旋回状態量である旋回車速Vが制動作動しきい値である目標旋回車速Vに達したときには、車両の旋回状態が旋回性能の限界に接近しているので、減速制御つまり自動減速を要すると判断する。
そこで、目標減速度Xgを達成するために、制動力制御装置9を駆動制御して各ホイールシリンダ11iの液圧を増加させると共に、エンジン出力制御装置7を駆動制御してエンジントルクを減少させることによって、自動減速を行い、安定した旋回走行を図る(前記ステップS8、ステップS9、ステップS14)。
このとき、運転者がアクセルペダルを踏込んでいるとすると、自動減速によって制動力を発生させる際に、エンジントルクを零にすることも考えられるが、エンジントルクを零まで減少させると、アクセルペダルを踏込んでいた運転者に失速感を与えてしまう。逆に、運転者の加速意思を優先して減速制御を終了すると、車両の安定した旋回走行を確保できなくなってしまうおそれがある。
車速は低いときよりも高いときの方が、その車速を維持するために必要となるエンジントルクは大きい。そこで、エンジントルクを下限値T MINまで減少させる際、自車両の旋回速度Vが高いほどエンジントルクの下限値T MINを高い値に設定する(前記ステップS10)。
これにより、エンジントルクが下限値T MINまで減少するときに、過大なトルクダウンを防止し、アクセル操作を行っていた運転者に無用な失速感を与えることがない。逆に、旋回速度Vが低いほどエンジントルクの下限値T MINを低い値に設定することで、過剰なエンジントルクを排除することができ、車両の安定した旋回走行を確保することができる。
このように、制動力の増加とエンジントルクの減少とによる減速制御によって、目標減速度Xgが0以下になり安定した旋回走行が可能な状態に復帰したら(前記ステップS6の判定が“No”)、減速制御によって増加させた分の制動力を徐々に減少させると共に、エンジントルクをドライバ要求エンジントルクTdriverまで徐々に増加させる(前記ステップS16、ステップS17)。
そして、減速制御によって増加させた分の制動力が解除され、且つエンジントルクがドライバ要求エンジントルクTdriverまで復帰したときに(前記ステップS18の判定が“Yes”)、制動力制御装置9とエンジン出力制御装置7とを共に非駆動状態にして、減速制御を終了する。
以上のように、車両が旋回走行しているときのその旋回状態に基づいて、減速制御している。
そして、所定時間Δt後の目標旋回車速Vである推定目標旋回車速V prefillよりも車速Vが大きいときには(前記ステップS36の判定が“Yes”)、制動液圧の予圧制御を行う。ここで、予圧制御(制動液圧増加制御)では、制動力を増加させた場合に、運転者に車両の減速感を与えない程度、又はブレーキ装置のブレーキパッドがロータに力を伝達しないで接触する程度に制動液圧を上昇させる。一方、車速Vが推定目標旋回車速V prefill以下のときには(前記ステップS3の判定が“No”)、そのような制動液圧の予圧制御は行わない。
減速制御が有効に減速度を発生するまで(制動液圧が昇圧可能となるまで)の初期の遅れ時間が存在する。この遅れ時間を小さくして初期応答性を向上させるために、本実施形態では予圧制御を行っている。本実施形態の予圧制御では、単純に予圧開始時期を設定するのではなく、減速制御移行までに目標の予圧を確保できる遅れ時間Δtを想定し、図8のように、その時間Δt後までに、車両の旋回車速V(実車速)が、目標旋回車速V prefillを超えると推定されたときに制動液圧の予圧を作動開始している。
すなわち、そのときの旋回状態や、目標とする旋回状態によらず、安定して減速制御を作動開始させたいタイミングよりも所定時間Δtだけ前に減速制御の予圧制御が作動することにより、効果的に制動液圧が上昇され、減速制御を作動させたい初期における液圧応答性が著しく向上する。なお、図9に、本実施形態に基づく制御のタイムチャート例を示す。
そして、本実施形態では、横加速度Yg(又はヨーレイトφ)に基づいて所定時間Δtを設定している。具体的には、横加速度Ygが大きくなるほど、所定時間Δtを大きい値にしている。ここで、所定時間Δtが大きくなるほど、推定目標旋回車速V prefillを大きく設定して(前記(9)式)、車速Vがその推定目標旋回車速V prefillよりも大きい場合に、制動液圧の予圧を行うようにしていることから、横加速度Ygが大きくなるほど、制動液圧の予圧が作動し易くなり、横加速度Ygが小さくなるほど、制動液圧の予圧が作動し難くなる。
例えば、直進走行、ワンダリング路や凹凸路等の悪路を走行する場合、運転者は微小な修正操舵を与えながら走行状態を維持している。その一方で、操舵中立点付近では、操舵反力が小さくなる。このようなことから、操舵中立点付近で運転者が前記修正操舵をすると、操舵速度が瞬間的に大きくなり、前述のように、操舵角θに基づいてヨーレイト推定値φを算出し、そのヨーレイト推定値φに基づいて目標旋回速度Vを算出していることで(ヨーレイト推定値φが大きくなるほど、目標旋回速度Vが小さくなることで)、車速Vが推定目標旋回車速V prefillよりも大きくなってしまい、この結果、直進走行等をしているのにもかかわらず、不要に制動液圧を予圧してしまう。この場合、アクチュエータの耐久性や音振等に影響を与えてしまう。
しかし、本実施形態のように、横加速度Ygが小さくなるほど、制動液圧の予圧を作動し難くして、直進走行時のように、そもそも減速制御が必要でない走行場面での制動液圧の予圧の作動を抑制することで、前述のように、操舵中立点付近で運転者が前記修正操舵することで、操舵速度が瞬間的に大きくなり、その結果、制動液圧を予圧してしまう、といった制動液圧の予圧制御の誤作動を防止できる。
また、前述のように、予圧制御の終了条件として、車速Vが推定目標旋回車速V prefillに所定値V offset1を加算した値以下(V≦V prefill+V offset1)になることとすることで、予圧制御の開始の条件と終了の条件との間にヒステリシスを持たせることができ、これにより、予圧制御の作動状態と非作動状態の繰り返しによるハンチングを防止できる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。
(構成)
第2の実施形態は、本発明を適用した制動力制御装置である。第2の実施形態の制動力制御装置の構成は、前記第1の実施形態の制動力制御装置の構成(前記図1)と同じである。また、第2の実施形態の制動力制御装置は、旋回走行制御処理を行っており、その処理内容は、前記第1の実施形態の制動力制御装置による旋回走行制御処理(前記図3)と同じである。しかし、第2の実施形態の制動力制御装置では、ステップS30の予圧制御の処理内容が前記第1の実施形態におけるステップS30の予圧制御の処理内容(前記図6)と異なっている。
図10は、第2の実施形態の制動力制御装置による予圧制御処理の処理手順のフローチャートを示す。第2の実施形態では、前記第1の実施形態におけるステップS35及びステップS36の処理に換えて、ステップS41〜ステップS45の処理を設けている。以下の説明では、第2の実施形態の制動力制御装置の処理において、第1の実施形態の制動力制御装置の処理と同一符号を付してあるものについては、特に言及しない限りは同一であるとして、説明を省略する。
図10に示すように、ステップS41において、前記ステップS1で読込んだ車速Vの逆数1/Vを算出し、続いてステップS42において、前記ステップS32で読込んだ目標旋回速度Vの逆数1/Vを算出し、さらに続いてステップS43において、前記ステップS42で算出した目標旋回速度Vの逆数1/Vの変化量d(1/V)/dtを算出する。
続いてステップS44において、前記ステップS42で算出した目標旋回速度Vの逆数1/Vと前記ステップS43で算出した前記変化量d(1/V)/dtとを用いて、下記(10)式により、所定時間Δt後の目標旋回車速Vの逆数推定値1/V prefillを算出する。
1/V prefill=1/V+d(1/V)/dt×Δt ・・・(10)
続いてステップS45において、前記ステップS41で算出した車速Vの逆数1/Vと前記ステップS45で算出した逆数推定値1/V prefillとを比較する。ここで、前記逆数1/Vが逆数推定値1/V prefillよりも大きい場合(1/V>1/V prefill)、前記ステップS37に進み、前記逆数1/Vが逆数推定値1/V prefill以下の場合(1/V≦1/V prefill)、前記ステップS39に進む。
そして、前記第1の実施形態と同様に、ステップS37では、予圧制御判断フラグFprefillをONに設定し(Fprefill=ON)、続くステップS38において、予圧制御(制動液圧増加制御)を行う。また、ステップS39では、予圧制御判断フラグFprefillをOFFに設定し(Fprefill=OFF)前記ステップS38の予圧制御を行うことなく、当該図6に示す処理を終了する。
なお、この第2の実施形態でも、既に予圧制御が実行されている場合(前記ステップS38で予圧制御が実行されている場合)には、前記ステップS39に進む条件(予圧制御の終了条件)を、前記逆数1/Vが前記逆数推定値1/V prefillに所定値V offset2を加算した値以下になること(V≦V prefill+V offset2)としても良い。これにより、予圧制御の開始の条件と終了の条件との間にヒステリシスを持たせることができ、予圧制御の作動状態と非作動状態の繰り返しによるハンチングを防止できる。
(動作、作用及び効果)
次に、動作、作用及び効果を説明する。
特に、第2の実施形態では、前述のように、所定時間Δt後の目標旋回車速Vの逆数推定値1/V prefillよりも車速Vの逆数1/Vが大きいときには(前記ステップS45の判定が“Yes”)、制動液圧の予圧制御を行っている。
ここで、推定目標旋回車速V prefillの算出に用いた目標旋回速度Vは、直進走行している場合、無限大相当の値になってしまう場合がある。例えば、前記(2)式によれば、ヨーレイトφが小さくなるほど、目標旋回速度Vが大きくなるから、直進走行している場合(ヨーレイトφが略0の場合)、目標旋回速度Vは無限大相当の値になる。
このような目標旋回速度Vを用いて所定時間Δt後の目標旋回速度Vである推定目標旋回車速V prefillを予測しようとすると、車両が直進から僅かに旋回状態に行こうしたときに大きく推定目標旋回車速V prefillが変化することになり、その後の推定目標旋回車速V prefillの変化を精度よく予測できない。
このようなことから、第2の実施形態では、直進走行から旋回走行になる場合、目標旋回車速Vの逆数推定値1/V prefillが0から増加する値になるから、線形近似などの簡単な予測手法により精度よく所定時間Δt後の目標旋回速度Vである推定目標旋回車速V prefillを予測できるようになる。また、無限大になることもないため、リミッタなどに当たって傾きが不連続になることもなく、この領域でも精度よい予測が可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、次のような構成により実施形態として実現しても良い。
すなわち、前記実施形態では、横加速度Ygやヨーレイトφに基づいて、所定時間Δtを設定している。これに対して、例えば、車速Vに基づいて、所定時間Δtを設定しても良い。図11は、車速(旋回車速)Vをパラメータとして、横加速度Yg(又はヨーレイトφ)に基づいて所定時間Δtを設定するための特性図(テーブル)の例を示す。
図11に示すように、横加速度Yg(又はヨーレイトφ)が大きくなるほど、所定時間Δtを大きい値にするとともに、同図で実線から点線への変化として示すように、特に低横加速の領域において、度車速Vが大きくなるほど、所定時間Δtを大きい値にする。これにより、車速Vが大きくなるほど、制動液圧の予圧が作動し易くなり、車速Vが小さくなるほど、制動液圧の予圧が作動し難くなる。
例えば、車速が大きい場合は、小さい場合と比べて、車両挙動変化が早いので、応答性を高くした減速制御がより必要になる。一方、車速が大きい場合は、小さい場合と比べて、暗騒音が大きくなることで、音振に対する運転者の違和感が軽減する。このようなことから、本実施形態のように、車速Vが大きくなるほど、制動液圧の予圧を作動し易くすることで、車速が大きい場合の減速制御の応答性を確保しつつ、音振に対する運転者の違和感を軽減できる。
また、前記実施形態では、エンジントルクを減少させることで、駆動輪に作用する駆動トルクを減少させている。これに対して、例えば、トランスミッションでの伝達トルクを制御することで、駆動輪に作用する駆動トルクを減少させるようにしても良い。
また、前記実施形態では、旋回速度Vと目標旋回速度Vとの偏差ΔVに基づいて目標減速度Xgを算出し、この目標減速度Xgが0より大きくなるときに、減速制御つまり自動減速を行っている。これに対して、例えば、旋回速度Vが目標旋回速度Vよりも大きくなったとき(V>V)に減速制御を行うようにしても良い。また、旋回速度のみならず、旋回半径と目標旋回半径も算出し、旋回半径が目標旋回半径よりも小さくなったときに自動減速を行うようにしても良く、要は、車両の旋回状態が、安定して旋回できる旋回性能の限界を超えないように減速制御を行うことができれば良い。
また、前記実施形態では、ブレーキをかける制動機構として、液圧を伝達媒体にしたハイドリックブレーキを採用している。これに対して、伝達媒体にケーブルやリンク、或いは空気圧を利用した他の如何なる制動機構を採用しても良い。更には、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧する、或いはブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧する等、摩擦抵抗によって制動力を発生する摩擦ブレーキでなくとも、磁力抵抗によって制動力を発生する電磁ブレーキ、空気抵抗によって制動力を発生する空力ブレーキ、発電によって制動力を発生する回生ブレーキ等、他の如何なる制動機構を採用しても良い。
本発明の実施形態の制動力制御装置の概略構成を示すブロック図である。 前記制動力制御装置の油圧回路図である。 前記制動力制御装置による旋回走行制御処理を示すフローチャートである。 ヨーレイトの算出手順を示すブロック図である。 ヨーレイト推定値の算出に用いる制御マップである。 前記制動力制御装置による制動液圧の予圧制御処理を示すフローチャートである。 横加速度Yg(又はヨーレイトφ)と所定時間Δtとの関係を示す特性図である。 第1の実施形態について説明するためのタイムチャート例である。 第1の実施形態について説明するためのタイムチャート例である。 第2の実施形態の制動力制御装置による制動液圧の予圧制御処理を示すフローチャートである。 車速Vと所定時間Δtとの関係を示す特性図である。
符号の説明
1 車輪速センサ、2 操舵角センサ、3 ヨーレイトセンサ、4 アクセルセンサ、5 横加速度センサ、6 コントローラ、7 エンジン出力制御装置、9 制動力制御装置、10 マスターシリンダ、11FL〜11RR ホイールシリンダ、12A・12B 第1ゲートバルブ、13FL〜13RR インレットバルブ、14 アキュムレータ、15FL〜15RR アウトレットバルブ、16A・16B 第2ゲートバルブ、17 ポンプ、18 ダンパー室

Claims (3)

  1. 車両の旋回状態量が、車両が安定して走行可能な限界旋回状態量に応じて設定された制動作動しきい値を越えたと判定する判定手段と、車両の安定した旋回走行を維持するために必要な目標減速度を演算する演算手段と、前記判定手段で車両の旋回状態が前記制動作動しきい値を越えたと判定されたとき、前記演算手段で得られた前記目標減速度に応じた制動力を車両に付与する制御手段と、を備えた車両の制動力制御装置において、
    現在から所定時間経過後に車両の旋回状態量が前記制動作動しきい値を越えるか否かを推定する推定手段と、車両の横加速度又はヨーレイトに基づいて前記所定時間を設定する設定手段と、を備え、
    前記設定手段は、前記車両の横加速度又はヨーレイトが大きくなるほど、前記所定時間を長くし、
    前記制御手段は、前記推定手段が前記所定時間経過後に前記制動作動しきい値を越えると推定すると、前記制動力の付与応答性を高くするための予備動作を開始することを特徴とする車両の制動力制御装置。
  2. 前記設定手段は、車両の速度が大きくなるほど、前記横加速度又はヨーレイトに応じて設定される前記所定時間を長くすることを特徴とする請求項に記載の車両の制動力制御装置。
  3. 車両の旋回状態が、車両が安定して走行可能な限界旋回状態量に応じて設定された制動作動しきい値を越えたと判定すると、車両に制動力を付与する車両の制動力制御装置であって、
    現在から、車両の横加速度又はヨーレイトが大きくなるほど長く設定される所定時間経過後に車両の旋回状態量が前記制動作動しきい値を越えると推定されたとき、前記制動力の付与応答性を高くするための予備動作を開始するとともに、前記所定時間を車両の走行状態に基づいて設定することを特徴とする車両の制動力制御装置。
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