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JP4605251B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description

本発明は、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが同じ半導体基板に形成されてなる半導体装置に関する。
直流電圧を交流電圧に変換して誘導性のモータ等(インダクタンスL)に給電するインバータ回路は、例えば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT、Insulated Gate BipolarTransistor)と該IGBTに逆並列に接続されたダイオードとからなる半導体装置で構成される。
図23は、上記インバータ回路の基本構成要素を示す図で、図23(a)は、IGBT100iとダイオード100dが逆並列に接続された半導体装置100の等価回路図である。
図23(b)は、例えば3相交流を発生するインバータ回路において、1相分に相当するユニットの基本構成を示す図である。半導体装置101,102は、図23(a)の半導体装置100と同じものである。インバータ回路においては、図23(b)に示すように、半導体装置101,102が、直流電源と接地電位の間に2個直列に接続されて用いられる。ここで、各半導体装置101,102におけるIGBTは、スイッチング素子として用いられる。また、各半導体装置101,102におけるダイオードは、IGBTのオフ中に出力に接続されている負荷インダクタンスL(図示省略)に流れる電流を迂回還流させ、インダクタンスLを流れる電流がIGBTのスイッチングによって急激に変化しないようにしている。このような動作を行うため、IGBTに逆並列に接続されたダイオードは、フリーホイールダイオード(FWD、FreeWheel Diode)と呼ばれている。
図23(a)に示す半導体装置100は、IGBT100iとダイオード100dをそれぞれ別の半導体基板(半導体チップ)に形成して構成することも可能であるが、小型化のためには、IGBT100iとダイオード100dが同じ半導体基板に形成されてなることが好ましい。このIGBTとダイオードが同じ半導体基板に形成されてなる半導体装置が、例えば、特開2005−101514号公報(特許文献1)に開示されている。
図24は、特許文献1に開示されている半導体装置(FWD内蔵型の絶縁ゲート型トランジスタ)91の模式的な断面図である。
図24の半導体装置91においては、IGBTセル毎に、ウエル状のPベース層2が形成され、その直下の裏面側部分にコレクタP+層5及びカソードN+層4が形成されている。各IGBTセルのPベース層2は、絶縁ゲートトレンチ6によってその底部が貫通され且つエミッタ領域3を有する平坦領域2FRと、平坦領域2FRを挟み込む第1及び第2サイド拡散領域2SDR1,2SDR2を有している。第1サイド拡散領域2SDR1は、カソードN+層4の直上に位置している。半導体装置91のIGBTユニットにおいては、N+カソード層4が、P+コレクタ層5に隣接する様に形成されており、N+カソード層4、N−基板1およびPベース層2とで、ダイオード部が構成される。このダイオード部のアノード電極とカソード電極は、それぞれIGBTユニットのエミッタ電極10とコレクタ電極11と共通化されており、IGBTユニットに対して逆並列に接続された構成となっている。
半導体装置91におけるIGBTセルは、トレンチ型ゲート電極を有するIGBTである。トレンチ型ゲート電極を有するIGBTは、ウエハ表面にゲート電極を設けるいわゆるプレーナ型IGBTに比べ、絶縁ゲートトレンチ6の両脇にチャネルを形成してチャネル密度を大きくすることができ、オン電圧を低くすることができる。一方、トレンチ型IGBTにおいて、オン電圧だけでなくスイッチング損失も低くしてトータルの発生損失を低減したIGBTが、例えば、特開2001−308327号公報(特許文献2)に開示されている。
図25は、特許文献2に開示されているIGBT(絶縁ゲート型半導体装置)92iの模式的な断面図である。
図25のIGBT92iは、シリコン基板21、低不純物濃度のN型ドリフト層22、P型ベース領域23、n+ソース領域24、P型ベース領域23を貫通する溝に配設されたゲート酸化膜25とゲート電極26、層間絶縁膜27、n+ソース領域24に接続するエミッタ電極28、およびシリコン基板21の他面に接続するコレクタ電極29とを備えている。絶縁ゲートトレンチ26で分断されたP型ベース領域23の領域のうち、トレンチ溝にはさまれたn+ソース領域24が形成されているボディ領域23aは、エミッタ電極28に接続されており、IGBTのチャネル形成領域として機能する。また、n+ソース領域24が形成されておらず、エミッタ電極28に接続されていないフローティング領域23bは、キャリアを蓄積する領域として機能する。上記構造ため、図25のIGBT92iは、間引きチャネル型IGBTと呼ぶことができる。特許文献2によれば、ボディ領域23aとフローティング領域23bの幅の比が1:2〜1:7である場合に、オン電圧だけでなくスイッチング損失も低くして、IGBT92iのトータルの発生損失を低減することができる。
特開2005−101514号公報 特開2001−308327号公報
上記したように、図25に示す間引きチャネル型IGBT92iは、図24の半導体装置91におけるフローティング領域を持たない通常のIGBTに較べて、オン電圧だけでなくスイッチング損失も低減することができる。一方、間引きチャネル型IGBTをインバータ回路に適用するにあたっては、特に、図24に示す半導体装置91のように、ダイオード内蔵型のIGBTからなる半導体装置とすることが好ましい。しかしながら、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが同じ半導体基板に形成された半導体装置については、これまでのところ、十分な検討がなされていない。
そこで本発明は、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが同じ半導体基板に形成された半導体装置であって、間引きチャネル型IGBTとダイオードの相互干渉を抑制することができ、小型で安価に製造することのできる半導体装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の半導体装置は、第1導電型の半導体基板において、絶縁ゲートトレンチにより前記半導体基板の主面側の表層部に形成された第2導電型のベース層が分断され、前記分断されたベース層の領域で、エミッタ電極に接続されるボディ領域とエミッタ電極に接続されないフローティング領域とが構成され、前記半導体基板の裏面側の表層部に第2導電型の第1拡散層が形成されてなる間引きチャネル型IGBTと、前記IGBTに逆並列に接続されるダイオードであって前記半導体基板の主面側の表層部に第2導電型の拡散領域が形成され、前記半導体基板の裏面側の表層部に第1導電型で該半導体基板より不純物濃度の高い第2拡散層が形成されてなるダイオードとが、それぞれ、セルの集合体として形成されてなり、前記第2拡散層上における前記ダイオードのセルの集合体でダイオードセル領域が構成され、前記第1拡散層上における前記IGBTのセルの集合体でIGBTセル領域が構成され、前記IGBTセル領域が、単位セルが繰り返し配置されてなる単位セル領域と、前記ダイオードセル領域に隣接する境界セル領域とからなり、前記境界セル領域における隣り合った前記絶縁ゲートトレンチの間隔が、前記単位セル領域において前記フローティング領域を構成する前記絶縁ゲートトレンチの間隔に較べて狭く設定され、前記境界セル領域が、前記ボディ領域を含むように構成されてなることを特徴としている。
上記半導体装置は、フローティング領域を持った間引きチャネル型IGBTと該IGBTに逆並列に接続されたダイオードとが第1導電型の同じ半導体基板に形成されてなる半導体装置である。
一般的に、IGBTとダイオードを逆並列に接続して同じ半導体基板に形成する場合、IGBTのエミッタ電極に接続される第2導電型のボディ領域はダイオードのアノード領域である前記拡散領域と同じ導電型となり、ダイオードのアノード電極とIGBTのエミッタ電極は共通接続される。このため、IGBTのボディ領域は寄生のボディダイオードとして動作し、IGBTとダイオードの相互干渉が起きる。逆並列に接続されたIGBTとダイオードとからなる半導体装置は、例えばインバータ回路において2個一組として用いられるが、この場合においては、上記したIGBTとダイオードの相互干渉のうち、ダイオードのリカバリ特性が特に問題となる。すなわち、インバータ回路においてダイオードをフリーホイールダイオード(FWD、FreeWheel Diode)として機能させた場合、該FWDがオンからオフへ切り替わる際に、逆方向にオーバーシュート電流が流れる。このオーバーシュート電流は、通常のIGBTとダイオードの組み合わせからなる半導体装置においては、IGBTのボディダイオードがオンの時に蓄積したキャリアが、オフへ切り替わる際に外部に掃き出されて生じる電流であることがわかっている。
一方、間引きチャネル型IGBTとダイオードの組み合わせからなる半導体装置については、前述したようにこれまでほとんど検討がなされておらず、また幅の広いフローティング領域を有しているため、それらの相互干渉については知られていなかった。発明者らは、上記半導体装置についてシミュレーションを行った結果、間引きチャネル型IGBTとダイオードを単純に隣接して配置した場合には、ダイオードに最も近いIGBTのボディダイオードにおいて、ホール電流密度の集中が起きることがわかった。すなわち、該ボディダイオードの絶縁ゲートトレンチ下部においてリカバリ動作時に電界集中が生じ、IGBTの耐圧より遥かに低い電圧でアバランシェを誘発して、電流集中によりIGBTセルの破壊が起きてしまうことが判明した。
このため、上記半導体装置においては、前記第2拡散層上におけるダイオードセル領域と前記第1拡散層上におけるIGBTの単位セル領域の間を境界セル領域として、当該境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチの間隔が、単位セル領域においてフローティング領域を構成する絶縁ゲートトレンチの間隔に較べて狭くなるようにすると共に、境界セル領域がボディ領域を含むように構成している。シミュレーションによれば、上記半導体装置においては、境界セル領域を設けずに間引きチャネル型IGBTとダイオードを単純に隣接して配置した半導体装置に較べて、ダイオードに近いIGBTの単位セル領域のボディダイオードにおいてホール電流密度の集中が緩和され、全体としてオーバーシュート電流も低減される。すなわち、上記半導体装置においては、絶縁ゲートトレンチが単位セル領域のフローティング領域よりも狭いピッチで配置されてなる境界セル領域を使用して、絶縁ゲートトレンチ下部においてアバランシェによって発生する逆方向に流れる電流を分散して、IGBTセルのリカバリ時における破壊耐量を改善することができる。
以上のようにして、上記半導体装置は、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが同じ半導体基板に形成された半導体装置であって、間引きチャネル型IGBTとダイオードの相互干渉を抑制した破壊耐量の高い半導体装置とすることができる。
上記半導体装置は、例えば請求項2に記載のように、前記境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチの間隔が、前記単位セル領域において前記ボディ領域を構成する絶縁ゲートトレンチの間隔に等しいように構成することができる。
これによれば、当該半導体装置の境界セル領域において、ほぼ均一な電界強度分布が得られることとなる。このため、当該境界セル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流を一様に分散させて、ダイオードに近いIGBTの単位セル領域のボディダイオードにおける電流密度の集中を緩和することができる。
また、上記半導体装置は、請求項3に記載のように、前記境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチの間隔が、前記ダイオードセル領域に近づくほど狭いように構成してもよい。
これによれば、当該半導体装置の境界セル領域において、電界強度分布がダイオードからIGBTの単位セル領域に近づくに従って、連続的に変化することとなる。このため、当該境界セル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流を連続的に変化するように分散させて、ダイオードに近いIGBTの単位セル領域のボディダイオードにおける電流密度の集中を緩和することができる。
上記半導体装置においては、請求項4に記載のように、前記境界セル領域が、前記ボディ領域のみで構成されてなることが好ましい。この場合には、該境界セル領域の全体がIGBTの電流容量拡大に寄与するため、小型の半導体装置とすることができる。
また、上記半導体装置においては、請求項5に記載のように、前記境界セル領域において、前記ボディ領域と前記フローティング領域が交互に配置されてなるようにしてもよい。さらにこの場合には、例えば請求項に記載のように、前記境界セル領域において前記フローティング領域を構成する絶縁ゲートトレンチの間隔が、前記ダイオードセル領域に近づくほど狭いように構成してもよい。
この場合には、該境界セル領域においても間引きチャネル型IGBTの構造を保ったままで、電界強度分布をダイオードからIGBTの単位セル領域に近づくに従って連続的に変化させることができる。
上記半導体装置においては、請求項に記載のように、前記境界セル領域における絶縁ゲートトレンチが、前記単位セル領域における絶縁ゲートトレンチと同じ深さで形成されてなるこが好ましい。これによれば、絶縁ゲートトレンチを境界セル領域において上記所定の配置関係となるように設定するだけで、特別な工程を追加することなく上記半導体装置を製造することができる。このため、上記半導体装置を、安価な半導体装置とすることができる。
一方、上記半導体装置においては、請求項に記載のように、前記境界セル領域における絶縁ゲートトレンチが、前記単位セル領域における絶縁ゲートトレンチより浅く形成されてなるように構成することもできる。この場合には、単位セル領域と境界セル領域の絶縁ゲートトレンチを同じ深さで形成する場合に較べて、境界セル領域における電界強度が低減されることとなる。このため、当該境界セル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流の密度を低減して、電流集中を緩和することができる。
また、上記半導体装置は、請求項に記載のように、前記ダイオードセル領域において、前記単位セル領域における前記絶縁ゲートトレンチと同じ深さで同じ断面構造の絶縁トレンチが形成されてなる構成としてもよい。
これによれば、上記絶縁トレンチを形成しない場合に較べて、ダイオードセル領域における電界強度が増大することとなる。このため、リカバリ時の逆方向に流れる電流は、上記絶縁トレンチを形成しない場合に較べて、ダイオードセル領域において増大し、IGBTセル領域において減少する。これによって、リカバリ時の逆方向に流れる電流を当該半導体装置に全体に亘って分散させ、電流集中を緩和することができる。
この場合、請求項10に記載のように、前記絶縁トレンチが、前記ダイオードセル領域において、繰り返し配置されてなることが好ましい。これによれば、上記ダイオードセル領域において、均一な電界強度分布が得られることとなる。このため、上記ダイオードセル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流を一様に分散させて、電流密度の集中を緩和することができる。
一方、上記半導体装置は、請求項1に記載のように、前記IGBTセル領域における前記ベース層が、前記ダイオードセル領域に延設されて前記拡散領域として機能し、前記単位セル領域における前記絶縁ゲートトレンチと同じ深さで同じ断面構造の第2絶縁ゲートトレンチが、前記ダイオードセル領域に形成されてなる構成とすることもできる。
これによれば、上記ベース層ダイオードのアノード領域である前記拡散領域として機能するため、例えばダイオードセル領域にダイオード専用のアノード領域である前記拡散領域を形成する場合に較べて、製造コストを低減することができる。
この場合、例えば請求項1に記載のように、前記ダイオードセル領域における前記半導体基板の主面側に、前記単位セル領域における前記半導体基板の主面側と同じ前記単位セルの断面構造が、繰り返し形成されてなる構成とすることができる。
この場合には、半導体基板の主面側がIGBTセル領域の単位セル領域とダイオードセル領域で同じ構造となるため、設計・製造が簡単になり、これによっても製造コストを低減することができる。
また、この場合、請求項1に記載のように、前記第2絶縁ゲートトレンチが、前記IGBTセル領域における前記絶縁ゲートトレンチと並列接続されてなる構成とすることもできるし、請求項1に記載のように、前記第2絶縁ゲートトレンチが、前記エミッタ電極に短絡されてなる構成とすることもできる。
前者の第2絶縁ゲートトレンチをIGBTセル領域の絶縁ゲートトレンチと並列接続する場合には、ダイオードセル領域における主面側に形成された構造部分もIGBTとして機能させることができ、該構造部分をIGBTの電流容量拡大に寄与させることができる。一方、後者の第2絶縁ゲートトレンチをエミッタ電極に短絡する場合には、ダイオードセル領域における主面側に形成された構造部分はIGBTとして機能せず、該構造部分をダイオード専用に機能させることができる。これによって、ダイオード設計が容易になる。
上記したダイオードセル領域をダイオード専用に機能させる別の方法として、例えば請求項1に記載のように、前記ダイオードセル領域における前記半導体基板の主面側に、第1導電型のエミッタ領域を除いて前記単位セル領域における前記半導体基板の主面側と同じ前記単位セルの断面構造が、繰り返し形成されてなる構成としてもよい。これによれば、IGBTセル領域の単位セル領域と同じゲート配線パターンをダイオードセル領域に用いることができ、ダイオード設計がさらに容易になる。
また、請求項1に記載のように、前記ダイオードセル領域における前記ベース層の一部に、前記第2絶縁ゲートトレンチに隣接して第1導電型のエミッタ領域が形成され、前記ベース層の一部が、前記エミッタ領域を除いて、前記エミッタ電極に接続されてなる構成としてもよい。これによっても、ダイオードセル領域をダイオード専用に機能させることができ、ダイオード設計が容易になる。
以上のようにして、上記半導体装置は、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが同じ半導体基板に形成された半導体装置であって、間引きチャネル型IGBTとダイオードの相互干渉を抑制することができ、破壊耐量が高く、小型で安価に製造することのできる半導体装置となっている。
従って、上記半導体装置は、請求項1に記載のように、インバータ回路の構成に用いられる半導体装置として好適である。
また、自動車等の車両においては、直流電源が使用されると共に、モータ等に給電するための高電圧で大電流容量のインバータ回路が必要である。このため、小型で安価に製造することのできる上記半導体装置は、請求項1に記載のように、車載用の半導体装置として好適である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
本発明は、フローティング領域を持つ間引きチャネル型IGBTと該IGBTに逆並列に接続されたダイオードとが同じ半導体基板に形成されてなる半導体装置に関する。当該半導体装置における間引きチャネル型IGBTは、図25において説明したように、フローティング領域を持たない通常のIGBTに較べて、オン電圧だけでなく、スイッチング損失も低減できる長所がある。
一般的に、IGBTとダイオードを逆並列に接続して第1導電型の同じ半導体基板に形成する場合、IGBTのエミッタ電極に接続されるボディ領域(チャネル形成領域)はダイオードのアノード領域と同じ第2導電型となり、ダイオードのアノード電極とIGBTのエミッタ電極が共通接続される。このため、図24の半導体装置91に見られるように、IGBTのボディ領域(チャネル形成領域)2が寄生のボディダイオードとして動作し、IGBTとダイオードの相互干渉が起きる。
逆並列に接続されたIGBTとダイオードとからなる半導体装置は、例えばインバータ回路において2個一組として用いられるが、この場合においては、上記したIGBTとダイオードの相互干渉のうち、ダイオードのリカバリ特性が特に問題となる。すなわち、インバータ回路においてダイオードをフリーホイールダイオード(FWD、FreeWheel Diode)として機能させた場合、該FWDがオンからオフへ切り替わる際に、逆方向にオーバーシュート電流が流れる。このオーバーシュート電流は、通常のIGBTとダイオードの組み合わせからなる半導体装置においては、IGBTのボディダイオードがオンの時に蓄積したキャリアが、オフへ切り替わる際に外部に掃き出されて生じる電流であることがわかっている。
フローティング領域を持たない通常のIGBTとダイオードとが同じ半導体基板に形成されてなる半導体装置は、これまで種々の検討がなされてきている。一方、本発明にかかる間引きチャネル型IGBTとダイオードの組み合わせからなる半導体装置は、これまでほとんど検討されてこなかった。また、間引きチャネル型IGBTは、通常、幅の広いフローティング領域を有しており、上記したIGBTとダイオードの相互干渉に係る問題も明らかにされていない。
そこで、最初に、間引きチャネル型IGBTとダイオードを単純に隣接して配置した半導体装置について、素子特性をシミュレートした。
図1は、上記間引きチャネル型IGBTとダイオードを単純に隣接して配置した、半導体装置110の模式的な断面図である。
図1に示す半導体装置110は、間引きチャネル型IGBTと該IGBTに逆並列に接続されてなるダイオードとが、それぞれ、セルの集合体として、同じN導電型(N−)の半導体基板31に形成されてなる半導体装置である。半導体装置110においては、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが、単純に隣接して配置されている。すなわち、半導体装置110においては、図1に示すように、半導体基板31の裏面側の表層部にN導電型で該半導体基板31より不純物濃度の高い第2拡散層(N導電型(N+)層)36上におけるダイオードのセルの集合体でダイオードセル領域が構成され、半導体基板31の裏面側の表層部に形成されたP導電型の第1拡散層(P導電型(P+)層)33上におけるIGBTの単位セルの集合体でIGBTセル領域が構成されており、ダイオードセル領域とIGBTセル領域が隣接して配置されている。
半導体装置110のIGBTセル領域では、半導体基板31の主面側の表層部に形成されたP導電型(P)のベース層32が、絶縁ゲートトレンチGTにより分断されている。この分断されたベース層32の各領域で、それぞれ、エミッタ電極Eに接続されるボディ領域32bとエミッタ電極Eに接続されないフローティング領域32fとが構成されている。尚、絶縁ゲートトレンチGTに隣接してボディ領域32b内に形成されているN導電型(N+)領域37が、IGBTのエミッタ領域となっている。また、ベース層32に対向して、半導体基板31の裏面側の表層部に、IGBTのコレクタ電極Cに接続するP導電型(P+)層33が形成されている。尚、P導電型層33上に形成されているN導電型(N)層34は、IGBTのフィールドストップ(FS)層となっている。
半導体装置110のダイオードセル領域では、半導体基板31の主面側の表層部に、ダイオードのアノード電極Aに接続するP導電型(P+)領域35が形成されている。また、P導電型領域35に対向して、半導体基板31の裏面側の表層部に、ダイオードのカソード電極Kに接続するN導電型(N+)層36が形成されている。
半導体装置110においては、図1に示すように、IGBTのエミッタ電極Eとダイオードのアノード電極Aが共通化されており、IGBTのコレクタ電極Cとダイオードのカソード電極Kが共通化されている。従って、図1の半導体装置110は、IGBTとダイオードが逆並列に接続された半導体装置となっている。
図2は、シミュレーションに用いるインバータ回路の回路モデルの一例で、回路モデルM1の等価回路図である。
図2の回路モデルM1にある一点鎖線で囲った半導体装置101,102は、図23(b)の半導体装置101,102に相当するものである。図2の回路モデルM1においては、半導体装置102のダイオード102dがオンからオフに切り替わる瞬間(半導体装置101のIGBT101iがオフからオンに切り替わる瞬間)をシミュレートするため、半導体装置102におけるIGBTのゲート端子とエミッタ端子が短絡されている。このシミュレーションにおいては、半導体装置101におけるIGBT101iがスイッチング素子として機能し、半導体装置102におけるダイオード102dが、前述したフリーホイールダイオード(FWD)として機能することとなる。
図3は、図2の回路モデルM1にある半導体装置101,102に図1の半導体装置110を適用した場合のシミュレーション結果の一例で、図2に示す電流Idおよび半導体装置110の温度Tの時間変化を示した図である。図3では、長い破線と短い破線で、それぞれダイオードとIGBTを流れる電流Idd,Idiを示し、実線で、半導体装置110の全体に流れる電流Idを示した。また、図4(a),(b)と図5(a),(b)は、それぞれ、図3のP1〜P4の各時点での半導体装置110におけるホール電流密度分布を示した図である。図4(a),(b)と図5(a),(b)においては、ホール電流密度の等密度線に重ねて、半導体装置110に流れる電流の密度分布イメージを、白抜き矢印の長さと太さを変えて模式的に示してある。尚、電流は電子とホールの2成分からなるが、図1の半導体装置110において電流集中による破壊が問題となるのは、N導電型(N−)の半導体基板31に蓄積されたホールが上方に流れ去る時にデバイス構造に起因して集中することが原因している。このため、図4(a),(b)と図5(a),(b)に示すホール電流密分布が、電流集中による破壊に対して特に重要である。
半導体装置110においては、図3に示すように、ダイオード(FWD)がオン状態にある時に、長い破線で示した306Aの電流がダイオード(FWD)に流れるだけでなく、短い破線で示した100Aの電流がIGBTに流れる。このIGBTに流れる100Aの電流は、図4(a)に示すように、寄生のボディダイオードとして動作する図1のボディ領域32bに流れている。ダイオード(FWD)がオフすると、図3に示すように、電流Idが負となるリカバリ動作時においては、逆方向に全体として最大−147Aのオーバーシュート電流が流れる。このオーバーシュート電流の大部分は、短い破線で示した最大−121AのIGBTに流れる電流からなる。このオーバーシュート電流の電流密度分布は、図5(b)に示すように、ダイオードセル領域に近いほど大きな電流密度となっており、ダイオードに最も近いIGBTセルのボディダイオードにおいてホール電流密度が46897A/cmとなり、電流集中が起きていることがわかる。
図6(a),(b)は、半導体装置110のIGBTセル領域とダイオードセル領域の境界付近において、それぞれ、図3のP4の時点における電界強度分布と衝突イオン化によるキャリア発生量の分布を拡大して示した図である。
図6(a),(b)に示すように、図3のP4の時点では、ダイオードに最も近いIGBTセルの絶縁ゲートトレンチ下部における電界強度が最大0.53MeV/cmとなり、衝突イオン化によるキャリア発生量が最大3.2×1027pairs/cmsecとなる。このように、図1の半導体装置110では、リカバリ動作時にダイオードに最も近いIGBTのボディダイオードの絶縁ゲートトレンチ下部において電界集中が生じ、IGBTの耐圧より遥かに低い電圧でアバランシェを誘発して、電流集中によりIGBTセルの破壊が起きてしまうことが判明した。
以上の基礎的な検討結果をもとにして、次に、本発明にかかる半導体装置を説明する。
図7は、本発明の半導体装置の一例で、半導体装置200の模式的な断面図である。尚、図7に示す半導体装置200において、図1の半導体装置110と同様の部分については、同じ符号を付けた。
図7に示す半導体装置200も、図1の半導体装置110と同様に、間引きチャネル型IGBTと該IGBTに逆並列に接続されてなるダイオードとが、それぞれ、セルの集合体として、同じN導電型(N−)の半導体基板31に形成されてなる半導体装置である。一方、図1の半導体装置110では、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが単純に隣接して配置されていた。これに対して、図7の半導体装置200においては、第1拡散層(P導電型(P+)層)33上におけるIGBTセル領域が、単位セルが繰り返し配置されてなる単位セル領域と、第2拡散層(N導電型(N+)層)36上におけるダイオードセル領域に隣接する境界セル領域とで構成されている。また、図7に示すように、境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxが、単位セル領域においてフローティング領域32fを構成する絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wfに較べて狭く設定されている。
特に、図7の半導体装置200においては、後述する半導体装置と異なり、境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxが、単位セル領域においてボディ領域32bを構成する絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wbに等しく設定されている。また、境界セル領域における絶縁ゲートトレンチGTにより分断されたベース層32の各領域には、絶縁ゲートトレンチGTに当接してN導電型領域37が形成されており、それぞれ、エミッタ電極Eに接続されている。言い換えれば、図7に示す半導体装置200の境界セル領域は、IGBTのボディ領域32bのみで構成されていると言える。
図8は、図2の回路モデルM1にある半導体装置101,102に図7の半導体装置200を適用した場合のシミュレーション結果の一例で、図2に示す電流Idおよび半導体装置200の温度Tの時間変化を示した図である。図8に示す半導体装置200のシミュレーション結果は、図3に示した半導体装置110のシミュレーション結果と対応している。図8においても、長い破線と短い破線で、それぞれダイオードとIGBTを流れる電流Idd,Idiを示し、実線で、半導体装置200の全体に流れる電流Idを示している。
図9は、図8のP5の時点での半導体装置200におけるホール電流密度分布を示した図である。図9に示す半導体装置200のシミュレーション結果は、図5(b)に示した半導体装置110のシミュレーション結果と対応している。図9においても、ホール電流密度の等密度線に重ねて、半導体装置200に流れる電流の密度分布イメージを、白抜き矢印の長さと太さを変えて模式的に示してある。
また、図10(a),(b)は、半導体装置200のIGBTセル領域とダイオードセル領域の境界付近において、それぞれ、図8のP5の時点における電界強度分布と衝突イオン化によるキャリア発生量の分布を拡大して示した図である。図10(a),(b)に示す半導体装置200のシミュレーション結果は、図6(a),(b)に示した半導体装置110のシミュレーション結果と対応している。
図8に示す半導体装置200のシミュレーション結果を図3に示す半導体装置110のそれと比較した場合、ダイオード(FWD)がオン状態では、全体電流Idは変わらないものの、長い破線で示したダイオード(FWD)に流れる電流Iddが260Aに低減し、短い破線で示したIGBTに流れる電流Idiが145Aに増大している。また、ダイオード(FWD)がオフした後のリカバリ動作時においては、全体としてのオーバーシュート電流IdおよびIGBTに流れるオーバーシュート電流が、それぞれ、最大−126Aと−107Aに低減される。このオーバーシュート電流の電流密度分布は、図9に示すように、境界セル領域において連続的に緩やかに変化し、図5(b)に示した半導体装置110の密度分布に較べて、特に、ダイオードセル領域に近い単位セル領域でのホール電流密度の集中が緩和されている。ホール電流密度の最大は、境界セル領域から2つ目のボディダイオードにおいて発生しており、最大値23300A/cmで、図5(b)の約1/2に低減されている。
また、図7の半導体装置200では境界セル領域に絶縁ゲートトレンチGTが狭いピッチで配置されているため、図8のP5の時点で絶縁ゲートトレンチ下部において最大となる電界強度が、図10(a)に示すように境界セル領域の全体に亘って高い電界強度の状態で連続的に分散されている。これによって、オーバーシュート電流の電流密度分布も、境界セル領域の全体に亘って比較的高い密度で連続的に分散され、単位セル領域での電流密度の集中が緩和されると考えられる。
このように、シミュレーションによれば、図7の半導体装置200においては、境界セル領域を設けずに間引きチャネル型IGBTとダイオードを単純に隣接して配置した図1の半導体装置110に較べて、ダイオードに近いIGBTの単位セル領域のボディダイオードにおいてホール電流密度の集中が緩和され、全体としてオーバーシュート電流も低減される。すなわち、図7の半導体装置200においては、絶縁ゲートトレンチが単位セル領域のフローティング領域よりも狭いピッチで配置されてなる境界セル領域を移用して、絶縁ゲートトレンチ下部においてアバランシェによって発生する逆方向に流れる電流を分散して、IGBTセルのリカバリ時における破壊耐量を改善することができる。
以上のようにして、図7に示す半導体装置200は、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが同じ半導体基板31に形成された半導体装置であって、間引きチャネル型IGBTとダイオードの相互干渉を抑制した破壊耐量の高い半導体装置とすることができる。
次に、図7に示す半導体装置200の変形例について説明する。
図11は、別の半導体装置の例で、半導体装置201の模式的な断面図である。尚、図11の半導体装置201において、図7の半導体装置200と同様の部分については、同じ符号を付けた。
図7の半導体装置200においては、境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxが、単位セル領域においてボディ領域32bを構成する絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wbに等しいように構成されていた。これによれば、前述したように、当該半導体装置200の境界セル領域において、ほぼ均一な電界強度分布が得られることとなる。このため、境界セル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流を一様に分散させて、ダイオードに近いIGBTのボディダイオードにおける電流密度の集中を緩和することができる。
図11に示す半導体装置201においても、境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxは、単位セル領域においてフローティング領域32fを構成する絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wfに較べて狭く設定されている。しかしながら、境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxは、等間隔ではなく、ダイオードセル領域に近づくほど狭くなるように構成されている。
図11に示す半導体装置201においても、境界セル領域に配置された絶縁ゲートトレンチGTの下部で電界集中が起きるが、半導体装置201の境界セル領域においては、絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxがダイオードセル領域に近づくほど連続的に狭くなっているため、電界強度分布も、ダイオードからIGBTの単位セル領域に近づくに従って、連続的に弱く変化することとなる。これによって、当該境界セル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流を連続的に変化するように分散させて、ダイオードに近いIGBTの単位セル領域のボディダイオードにおける電流密度の集中を緩和することができる。
図12と図13は、本発明ではないが参考とする半導体装置の例で、半導体装置202,203の模式的な断面図である。図12と図13に示す半導体装置202,203は、それぞれ、図7と図11に示す半導体装置200,201に対応した半導体装置となっており、境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxが、対応する半導体装置と同じ間隔になっている。
図7と図11に示す半導体装置200,201の境界セル領域における絶縁ゲートトレンチGTにより分断されたベース層32の各領域には、絶縁ゲートトレンチGTに隣接してN導電型領域37が形成されており、境界セル領域は、どちらも、IGBTのボディ領域のみで構成されていた。一方、図12と図13に示す半導体装置202,203の境界セル領域における絶縁ゲートトレンチGTにより分断されたベース層32の各領域には、N導電型領域37が形成されておらず、エミッタ電極Eとも接続されていない。言い換えれば、図12と図13に示す半導体装置202,203の境界セル領域は、IGBTのフローティング領域のみで構成されていると言える。
図7と図11に示す半導体装置200,201では、境界セル領域がIGBTのボディ領域のみで構成されており、該境界セル領域の全体がIGBTの電流容量拡大に寄与する。このため同じ許容電流とする場合、図7と図11に示す半導体装置200,201は、図12と図13に示す半導体装置202,203に較べて、小型の半導体装置とすることができる。しかしながら、境界セル領域のリカバリ時における電流分散効果は主として、狭いピッチで配置された絶縁ゲートトレンチGTに起因している。このため、図7と図11に示す半導体装置200,201に限らず、図12と図13に示す半導体装置202,203についても、境界セル領域のリカバリ時における電流分散効果が得られ、ダイオードに近いIGBTのボディダイオードにおける電流密度の集中を緩和することができる。
図14と図15は、別の半導体装置の例で、半導体装置204,205の模式的な断面図である。
図14と図15に示す半導体装置204,205では、単位セル領域におけるボディ領域32bとフローティング領域32fを交互に配置する構成が、境界セル領域においても維持されている。図14の半導体装置204は、図7の半導体装置200に対応しており、境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxが、単位セル領域においてボディ領域32bを構成する絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wbに等しいように構成されている。従って、図14の半導体装置204では、境界セル領域においても間引きチャネル型IGBTのボディ領域とフローティング領域の繰り返し構造を保ったままで、図7の半導体装置200と同様にして、境界セル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流を一様に分散させて、ダイオードに近いIGBTのボディダイオードにおける電流密度の集中を緩和することができる。
また、図15の半導体装置205は、境界セル領域においてエミッタ電極Eに接続されないフローティング領域を構成する絶縁ゲートトレンチGTの間隔Wxが、ダイオードセル領域に近づくほど狭いように構成されている。この場合にも、境界セル領域においても間引きチャネル型IGBTのボディ領域とフローティング領域の繰り返し構造を保ったままで、電界強度分布をダイオードからIGBTの単位セル領域に近づくに従って連続的に変化させて、電流密度を分散させることができる。
図16は、別の半導体装置の例で、半導体装置206の模式的な断面図である。
図7の半導体装置200においては、境界セル領域と単位セル領域の絶縁ゲートトレンチGTが、全て同じ深さで形成されていた。これによれば、絶縁ゲートトレンチGTを境界セル領域において上記した所定の配置関係となるように設定するだけで、特別な工程を追加することなく半導体装置200を製造することができる。このため、図7の半導体装置200は、安価な半導体装置とすることができる。
一方、図16に示す半導体装置206においては、単位セル領域における絶縁ゲートトレンチGT1と境界セル領域における絶縁ゲートトレンチGT2が異なる深さd1,d2となっており、境界セル領域における絶縁ゲートトレンチGT2が単位セル領域における絶縁ゲートトレンチGT1より浅く形成されてなるように構成されている(d1>d2)。この場合には、図7の半導体装置200のように単位セル領域と境界セル領域の絶縁ゲートトレンチGTを同じ深さで形成する場合に較べて、境界セル領域における電界強度が低減されることとなる。このため、図16の半導体装置206は、図7の半導体装置200に較べて、境界セル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流の密度を低減して、電流集中を緩和することができる。尚、図11〜図15に示した半導体装置201〜205についても、境界セル領域における絶縁ゲートトレンチを単位セル領域における絶縁ゲートトレンチより浅く形成することで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
次に、図7の半導体装置200のIGBTセル領域の構造はそのままにして、ダイオードセル領域の構造を変更した半導体装置について説明する。
図17は、別の半導体装置の例で、半導体装置207の模式的な断面図である。
図17の半導体装置207においては、IGBTセル領域だけでなく、ダイオードセル領域においても、IGBTセル領域の単位セル領域における絶縁ゲートトレンチGTと同じ深さで同じ断面構造の絶縁トレンチZTが形成されている。この絶縁トレンチZTは、ダイオードセル領域において、繰り返し配置されている。これによれば、リカバリ時にダイオードセル領域の絶縁トレンチZT下部にも電界集中が置きるため、絶縁トレンチZTを形成していない図7の半導体装置200に較べて、ダイオードセル領域における電界強度が増大することとなる。このため、図17の導体装置207においては、リカバリ時の逆方向に流れる電流が、図7の半導体装置200に較べて、ダイオードセル領域において増大し、IGBTセル領域において減少する。これによって、リカバリ時の逆方向に流れる電流を当該半導体装置207に全体に亘って分散させ、電流集中を緩和することができる。
ダイオードセル領域における絶縁トレンチZTは、図17の半導体装置207のように、繰り返し配置されてなることが好ましい。これによれば、ダイオードセル領域において、均一な電界強度分布が得られることとなる。このため、ダイオードセル領域においてリカバリ時の逆方向に流れる電流を一様に分散させて、電流密度の集中を緩和することができる。尚、図11〜図16に示した半導体装置201〜206についても、ダイオードセル領域に絶縁トレンチを形成することで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
図18は、別の半導体装置の例で、半導体装置208の模式的な断面図である。
図18に示す半導体装置208は、IGBTセル領域におけるベース層32が、ダイオードセル領域に延設され、単位セル領域における絶縁ゲートトレンチ1と同じ深さで同じ断面構造の第2絶縁ゲートトレンチGT3が、ダイオードセル領域にも形成されている。半導体装置208においては、ベース層32をダイオードのアノード領域としても利用できるため、例えば図7に示した半導体装置200のようにダイオードセル領域にダイオード専用のアノード領域35を形成する場合に較べて、製造コストを低減することができる。
特に、図18に示す半導体装置208は、ダイオードセル領域における半導体基板31の主面側に、IGBTの単位セル領域における半導体基板31の主面側と同じ単位セルの断面構造が、繰り返し形成された構造となっている。このように、半導体基板31の主面側がIGBTセル領域の単位セル領域とダイオードセル領域で同じ構造となるため、設計・製造が簡単になり、これによっても製造コストを低減することができる。
図19と図20は、図18に示した半導体装置208のより具体的な応用例で、それぞれ、半導体装置209,210の模式的な断面図である。
図19に示す半導体装置209では、ダイオードセル領域における第2絶縁ゲートトレンチGT3が、IGBTセル領域における絶縁ゲートトレンチGT1と並列接続されている。このため、ダイオードセル領域における主面側に形成された構造部分もIGBTとして機能させることができ、該構造部分をIGBTの電流容量拡大に寄与させることができる。
一方、図20に示す半導体装置210では、ダイオードセル領域における第2絶縁ゲートトレンチGT3が、エミッタ電極Eに短絡されている。このため、ダイオードセル領域における主面側に形成された構造部分はIGBTとして機能せず、該構造部分をダイオード専用に機能させることができる。これによって、ダイオード設計が容易になる。
図21と図22は、上記したダイオードセル領域をダイオード専用に機能させる別の半導体装置を示す図で、それぞれ、半導体装置211,212の模式的な断面図である。
図21に示す半導体装置211は、ダイオードセル領域における半導体基板31の主面側に、N導電型(N+)のエミッタ領域37を除いて単位セル領域における半導体基板31の主面側と同じ単位セルの断面構造が、繰り返し形成されている。これによれば、IGBTセル領域の単位セル領域と同じゲート配線パターンをダイオードセル領域に用いることができ、ダイオード設計がさらに容易になる。
また、図22に示す半導体装置212では、ダイオードセル領域におけるベース層32の一部に第2絶縁ゲートトレンチGT3に隣接してN導電型(N+)のエミッタ領域37が形成されているが、ダイオードセル領域における前記ベース層32の一部は、エミッタ領域37を除いて、エミッタ電極Eに接続されている。これによっても、ダイオードセル領域をダイオード専用に機能させることができ、ダイオード設計が容易になる。
尚、図18〜図21に示した半導体装置208〜211では、ダイオードセル領域にIGBTセル領域の単位セル領域と同じ主面側の断面構造が繰り返し形成された例を示した。しかしながらこれに限らず、それぞれ、ダイオードセル領域における第2絶縁ゲートトレンチGT3の配線方法やエミッタ領域37の有無が同じであれば、図22に示した半導体装置212のように、ダイオードセル領域における主面側の断面構造が、IGBTセル領域の単位セル領域における主面側の断面構造と異なっていてもよい。
また、図17〜図22に示した半導体装置207〜212は、図7の半導体装置200におけるIGBTセル領域の構造をそのままにして、ダイオードセル領域の構造を変更した半導体装置である。従って、図17〜図22に示した半導体装置207〜212は、図7に示した半導体装置200と同じ境界セル領域の構造を有しており、前述したように破壊耐量が高く小型で安価な半導体装置とすることができる。また、図17〜図22に示した半導体装置207〜212のダイオードセル領域における主面側の断面構造は、図11〜図16に示した半導体装置201〜206と同じ境界セル領域を持つ半導体装置のダイオードセル領域にも適用することができ、上述した半導体装置207〜212と同様の効果を発揮させることができる。
以上のようにして、図7〜図22の半導体装置200〜212により例示した本発明の半導体装置は、間引きチャネル型IGBTとダイオードとが同じ半導体基板に形成された半導体装置であって、間引きチャネル型IGBTとダイオードの相互干渉を抑制することができ、破壊耐量が高く、小型で安価に製造することのできる半導体装置となっている。
従って、本発明の半導体装置は、インバータ回路の構成に用いられる半導体装置として好適である。
また、自動車等の車両においては、直流電源が使用されると共に、モータ等に給電するための高電圧で大電流容量のインバータ回路が必要である。このため、小型で安価に製造することのできる本発明の半導体装置は、車載用の半導体装置として好適である。
間引きチャネル型IGBTとダイオードを単純に隣接して配置した、半導体装置110の模式的な断面図である。 シミュレーションに用いるインバータ回路の回路モデルの一例で、回路モデルM1の等価回路図である。 図2の回路モデルM1にある半導体装置101,102に図1の半導体装置110を適用した場合のシミュレーション結果の一例で、図2に示す電流Idおよび半導体装置110の温度Tの時間変化を示した図である。 (a),(b)は、それぞれ、図3のP1とP2の各時点での半導体装置110におけるホール電流密度分布を示した図である。 (a),(b)は、それぞれ、図3のP3とP4の各時点での半導体装置110におけるホール電流密度分布を示した図である。 (a),(b)は、半導体装置110のIGBTセル領域とダイオードセル領域の境界付近において、それぞれ、図3のP4の時点における電界強度分布と衝突イオン化によるキャリア発生量の分布を拡大して示した図である。 本発明の半導体装置の一例で、半導体装置200の模式的な断面図である。 図2の回路モデルM1にある半導体装置101,102に図7の半導体装置200を適用した場合のシミュレーション結果の一例で、図2に示す電流Idおよび半導体装置200の温度Tの時間変化を示した図である。 図8のP5の時点での半導体装置200におけるホール電流密度分布を示した図である。 (a),(b)は、半導体装置200のIGBTセル領域とダイオードセル領域の境界付近において、それぞれ、図8のP5の時点における電界強度分布と衝突イオン化によるキャリア発生量の分布を拡大して示した図である。 別の半導体装置の例で、半導体装置201の模式的な断面図である。 本発明ではないが参考とする半導体装置の例で、半導体装置202の模式的な断面図である。 本発明ではないが参考とする半導体装置の例で、半導体装置203の模式的な断面図である。 別の半導体装置の例で、半導体装置204の模式的な断面図である。 別の半導体装置の例で、半導体装置205の模式的な断面図である。 別の半導体装置の例で、半導体装置206の模式的な断面図である。 別の半導体装置の例で、半導体装置207の模式的な断面図である。 別の半導体装置の例で、半導体装置208の模式的な断面図である。 図18に示した半導体装置208のより具体的な応用例で、半導体装置209の模式的な断面図である。 図18に示した半導体装置208のより具体的な応用例で、半導体装置210の模式的な断面図である。 ダイオードセル領域をダイオード専用に機能させる別の半導体装置を示す図で、半導体装置211の模式的な断面図である。 ダイオードセル領域をダイオード専用に機能させる別の半導体装置を示す図で、半導体装置212の模式的な断面図である。 インバータ回路の基本構成要素を示す図で、(a)は、IGBT100iとダイオード100dが逆並列に接続された半導体装置100の等価回路図である。(b)は、インバータ回路において、1相分に相当するユニットの基本構成を示す図である。 特許文献1に開示されている半導体装置(FWD内蔵型の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)91の模式的な断面図である。 特許文献2に開示されているIGBT(絶縁ゲート型半導体装置)92iの模式的な断面図である。
符号の説明
110,200〜212 半導体装置
31 半導体基板
32 ベース層
GT,GT1,GT2 絶縁ゲートトレンチ
GT3 第2絶縁ゲートトレンチ
32b ボディ領域
32f フローティング領域
37 N導電型(N+)領域(エミッタ領域)
E エミッタ電極
33 P導電型(P+)層(コレクタ領域、第1拡散層)
C コレクタ電極
34 N導電型(N)層(フィールドストップ層)
35 P導電型(P+)領域
A アノード電極
36 N導電型(N+)層(第2拡散層)
K カソード電極
ZT 絶縁トレンチ

Claims (18)

  1. 第1導電型の半導体基板において、
    絶縁ゲートトレンチにより前記半導体基板の主面側の表層部に形成された第2導電型のベース層が分断され、前記分断されたベース層の領域で、エミッタ電極に接続されるボディ領域とエミッタ電極に接続されないフローティング領域とが構成され、前記半導体基板の裏面側の表層部に第2導電型の第1拡散層が形成されてなる間引きチャネル型IGBTと、
    前記IGBTに逆並列に接続されるダイオードであって前記半導体基板の主面側の表層部に第2導電型の拡散領域が形成され、前記半導体基板の裏面側の表層部に第1導電型で該半導体基板より不純物濃度の高い第2拡散層が形成されてなるダイオードとが、
    それぞれ、セルの集合体として形成されてなり、
    前記第2拡散層上における前記ダイオードのセルの集合体でダイオードセル領域が構成され、
    前記第1拡散層上における前記IGBTのセルの集合体でIGBTセル領域が構成され、
    前記IGBTセル領域が、単位セルが繰り返し配置されてなる単位セル領域と、前記ダイオードセル領域に隣接する境界セル領域とからなり、
    前記境界セル領域における隣り合った前記絶縁ゲートトレンチの間隔が、前記単位セル領域において前記フローティング領域を構成する前記絶縁ゲートトレンチの間隔に較べて狭く設定され、
    前記境界セル領域が、前記ボディ領域を含むように構成されてなることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチの間隔が、
    前記単位セル領域において前記ボディ領域を構成する絶縁ゲートトレンチの間隔に等しいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記境界セル領域における隣り合った絶縁ゲートトレンチの間隔が、
    前記ダイオードセル領域に近づくほど狭いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記境界セル領域が、
    前記ボディ領域のみで構成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
  5. 前記境界セル領域において、
    前記ボディ領域と前記フローティング領域が交互に配置されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
  6. 前記境界セル領域において、前記フローティング領域を構成する絶縁ゲートトレンチの間隔が、
    前記ダイオードセル領域に近づくほど狭いことを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  7. 前記境界セル領域における絶縁ゲートトレンチが、
    前記単位セル領域における絶縁ゲートトレンチと同じ深さで形成されてなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の半導体装置。
  8. 前記境界セル領域における絶縁ゲートトレンチが、
    前記単位セル領域における絶縁ゲートトレンチより浅く形成されてなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の半導体装置。
  9. 前記ダイオードセル領域において、
    前記単位セル領域における前記絶縁ゲートトレンチと同じ深さで同じ断面構造の絶縁トレンチが形成されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置。
  10. 前記絶縁トレンチが、前記ダイオードセル領域において、繰り返し配置されてなることを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  11. 前記IGBTセル領域における前記ベース層が、前記ダイオードセル領域に延設されて前記拡散領域として機能し、
    前記単位セル領域における前記絶縁ゲートトレンチと同じ深さで同じ断面構造の第2絶縁ゲートトレンチが、前記ダイオードセル領域に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置。
  12. 前記ダイオードセル領域における前記半導体基板の主面側に、前記単位セル領域における前記半導体基板の主面側と同じ前記単位セルの断面構造が、繰り返し形成されてなることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
  13. 前記第2絶縁ゲートトレンチが、前記IGBTセル領域における前記絶縁ゲートトレンチと並列接続されてなることを特徴とする請求項11または12に記載の半導体装置。
  14. 前記第2絶縁ゲートトレンチが、前記エミッタ電極に短絡されてなることを特徴とする請求項11または12に記載の半導体装置。
  15. 前記ダイオードセル領域における前記半導体基板の主面側に、第1導電型のエミッタ領域を除いて前記単位セル領域における前記半導体基板の主面側と同じ前記単位セルの断面構造が、繰り返し形成されてなることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
  16. 前記ダイオードセル領域における前記ベース層の一部に、前記第2絶縁ゲートトレンチに隣接して第1導電型のエミッタ領域が形成され、
    前記ベース層の一部が、前記エミッタ領域を除いて、前記エミッタ電極に接続されてなることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
  17. 前記半導体装置が、
    インバータ回路の構成に用いられる半導体装置であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の半導体装置。
  18. 前記半導体装置が、
    車載用の半導体装置であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置。
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