JP4608147B2 - トンネル覆工背面の探査方法及び探査装置、ならびにトンネル覆工背面の裏込め方法 - Google Patents
トンネル覆工背面の探査方法及び探査装置、ならびにトンネル覆工背面の裏込め方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトンネル覆工背面の探査方法及び装置、ならびにトンネル覆工背面の裏込め方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
老朽化した既設トンネルにおいて、補修が要望されるケースがある。例えば、既設トンネルの覆工背面に空洞が存在している場合には、覆工壁(シールド等)の対応位置に貫通孔をあけ、この貫通孔から空洞内にウレタンやモルタル等の充填材を充填し、空洞を埋める裏込め工事が行われている。
【0003】
そして、かかる補修工事に際しては、予め空洞位置・寸法等、トンネル覆工背面の地山状態を探査する必要がある。
【0004】
トンネル覆工背面の探査技術として良く利用されるものに、電磁波レーダー、打撃音、超音波、赤外線等を用いた非破壊検査がある。かかる非破壊検査は、覆工壁を破壊せずに、地山状態を探査できる利点があるが、覆工が厚い場合や鉄筋の埋設状況によって探査範囲が制限される、地山の緩みや空洞の有無しか判らないといった問題点がある。
【0005】
したがって、実際には破壊検査を併用し、覆工壁に探査器具の導入用貫通孔を設け、この導入孔を介して直尺等の探査器具を覆工背面側に導入し、空洞寸法等を実測することも行われる。破壊検査としては、覆工壁に観察孔を設け、この観察孔を通してファイバースコープを覆工背面側に挿入し、背面側の状態を観察する方法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、覆工背面の地山が緩い場合、破壊検査を適用すると探査器具の導入孔を介して地下水や土砂がトンネル内に流入するおそれがある。換言すれば、従来の破壊検査方法は、貫通孔部から地下水や土砂がトンネル内に流入するおそれがあるときには、適用しにくいものであった。
【0007】
また、トンネル内への地下水や土砂の流入があると、調査すべき覆工背面地山の状態が変化してしまい、正しい覆工背面地山の状態を調査できなくなることも問題であった。
【0008】
したがって本発明の主たる課題は、覆工背面側に探査器具を導入するにあたり、地下水等のトンネル内への流入を防止できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
トンネルの覆工壁における探査器具導入予定位置に口元開閉装置を取り付けるとともに、前記予定位置に前記口元開閉装置を介して前記覆工壁の正面から背面に導入孔を設けて、探査部を形成するトンネル覆工背面の探査方法であって、
前記口元開閉装置内を介して覆工背面近傍までドリル装置で削孔し、底部を残した導入孔を形成した後、ドリル装置を取り除き、
しかる後、探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して探査器具を挿入し、この探査器具の先端で前記残りの底部を破壊して導入孔を貫通させ、そのままこの探査器具を覆工背面側に導入する、
ことを特徴とするトンネル覆工背面の探査方法。
【0010】
(作用効果)
このように、本請求項1記載の発明では探査器具の導入予定位置に口元開閉装置を設けるところにポイントがある。これによって、導入孔の形成時や探査器具の導入に際し、必要に応じて開閉装置を開けたり閉めたりすることができ、トンネル外の地下水や土砂が導入孔を介してトンネル内へ流入するのを防止できる。
さらに、導入孔の形成に際し、当初底部を残した状態に形成しておき、次いで探査器具を覆工背面側に導入する際にはじめて、導入孔の残りの底部を探査器具の先端で破壊し、そのまま探査器具を覆工背面側に導入するため、特に導入孔形成時における地下水等のトンネル内流入を防止することができる。
【0011】
<請求項2記載の発明>
前記口元開閉装置として、一方の開口部が前記導入孔に対して連通される開閉バルブと、この開閉バルブの他方の開口部に連結された基端管と、この基端管の内周面に取り付けられ、基端管内周面と探査器具外面との隙間をシールするシール部材とを備えたものを前記導入孔に取り付け、
前記開閉バルブを閉じた状態で、探査器具を基端管の開口から少なくとも前記シール部材と対応する位置まで挿入し、シール部材によりその前後連通を遮断した後、開閉バルブを開け、この状態で探査器具を開閉バルブ内を介して覆工背面側に導入する、探査器具の導入工程;ならびに
前記開閉バルブを開けた状態で、探査器具を少なくとも前記基端管内のシール部と対応する位置まで引き戻し、シール部材によりその前後連通を遮断した状態で、開閉バルブを閉じ、この状態で探査器具を基端管内から抜き取る、探査器具の抜き取り工程;
の少なくとも一方を行う、請求項1記載のトンネル覆工背面の探査方法。
【0012】
(作用効果)
本請求項2記載の発明によれば、バルブを開けて探査器具を導入するときにおいても、また探査器具を抜き取りバルブを閉じるときにおいても、基端管内のシール部材のシール作用により地下水等のトンネル内流入が防止される。その他の時には、バルブを閉状態とすることで地下水等のトンネル内流入が防止される。よって、探査中常に地下水等のトンネル内流入を防止できる。
【0013】
<請求項3記載の発明>
前記探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に弾性波受振器を導入し、この弾性波受振器を用いて弾性波利用探査を行う、
請求項1または2記載のトンネル覆工背面の探査方法。
【0014】
(作用効果)
本請求項3記載の発明によれば、探査器具として弾性波受振器を覆工背面側に導入することによって、弾性波トモグラフィのような弾性波利用探査を行うことができる。
【0015】
<請求項4記載の発明>
トンネルの覆工壁における探査器具導入予定位置に口元開閉装置を取り付けるとともに、前記予定位置に前記口元開閉装置を介して前記覆工壁の正面から背面に導入孔を設けて、探査部を形成するトンネル覆工背面の探査方法であって、
探査器具兼用の削孔部材を用いて前記覆工正面から背面側に貫通する導入孔を削孔し、そのままこの削孔部材を地山に導入して、この削孔部材により電気利用探査を行う、
ことを特徴とするトンネル覆工背面の探査方法。
【0016】
(作用効果)
例えば、探査を貫入試験により行う場合には、ドリル刃等の削孔部材をそのまま探査器具としてできる。また比抵抗トモグラフィのような電気利用探査を行う場合に際して、削孔部材に電極等を取り付ける又はそれ自体を電極等とすることができる。このような探査器具兼用の削孔部材を用いると、覆工正面から背面に貫通する導入孔を削孔し、そのままこの探査器具兼用削孔部材を地山に導入することができ、導入孔形成時における地下水等のトンネル内流入を防止しながらも、効率良く探査器具を覆工背面側に導入することができる。
【0017】
<請求項5記載の発明>
前記探査器具として貫入ロッドを用い、この貫入ロッドを覆工背面側に対して打撃により動的に又は静的に貫入しながらその際の貫入深さ及び貫入抵抗を計測し、計測された貫入抵抗の深さ方向の変化に基づき、覆工背面側の空洞の深さ及び覆工背面地山の緩み具合を評価する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトンネル覆工背面の探査方法。
【0018】
(作用効果)
このように貫入ロッドを動的または静的に貫入(覆工背面地山が固い場合には回転させても良い。)させながら、その際の貫入深さ及び貫入抵抗を計測することによって、計測された貫入抵抗の深さ方向の変化に基づき、覆工背面側の空洞の深さ及び覆工背面地山の緩み具合を評価することができる。
【0019】
<請求項6記載の発明>
ロッドに貫入力を与える貫入装置を前記口元周囲の覆工壁に対して固定し、この貫入装置によって口元周囲の覆工壁に反力を取りながら前記貫入ロッドを静的に且つ中心軸周りの回転を伴わずに直進的に貫入させる、請求項5記載のトンネル覆工背面の探査方法。
【0020】
(作用効果)
ロッドに貫入力を与える貫入装置を前記口元周囲の覆工壁に対して固定することによって測定結果に対する振動の影響が少なくなり、また静的に且つ貫入ロッドを回転させずに直進貫入させることによって、覆工背面地山を荒らすことがなく且つ回転にともなう振動が測定結果に影響を及ぼしにくくなる。よって本請求項6記載の発明によれば、貫入深さや貫入抵抗の計測に対する外乱の影響を効果的に防止でき、より正確な計測が可能となる。
【0021】
<請求項7記載の発明>
前記探査部を相互に離間させて複数個所設け、これら探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に電極をそれぞれ導入し、これら電極を用いて電気利用探査を行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトンネル覆工背面の探査方法。
【0022】
(作用効果)
本請求項7記載のように、探査部を複数個所設け、探査器具として電極を覆工背面側にそれぞれ導入することによって、比抵抗トモグラフィのような電気利用探査を行うことができる。
【0023】
【0024】
【0025】
<請求項8記載の発明>
トンネルの覆工壁に正面から背面に貫通するように形成された導入孔に対し、正面側の口元に固定される口元開閉装置と、
この口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に導入されて弾性波利用探査を行う弾性波受振器と、
を備えた、ことを特徴とするトンネル覆工背面の探査装置。
【0026】
(作用効果)
請求項1と同様の作用効果が奏せられる。
さらに、探査器具として弾性波受振器を覆工背面側に導入することによって、弾性波トモグラフィのような弾性波利用探査を行うことができる。
【0027】
<請求項9記載の発明>
請求項1〜7のいずれか1項に記載の探査方法によってトンネル覆工背面の探査を行った後、前記口元開閉装置を取り外さずに、口元開閉装置内及び導入孔内を介してトンネル覆工背面側に充填材を裏込め注入することを特徴とする、トンネル覆工背面の裏込め方法。
【0028】
(作用効果)
このように本発明の口元開閉装置は、トンネル覆工背面の探査に利用した後、そのまま覆工壁に取り付けておき、空洞の深さ等の覆工背面の状況が判明した後に、この口元開閉装置を裏込め注入のための注入管等の導入部或いは注入経路の一部として利用すると、探査のための導入孔を有効利用でき、また全体としては作業の簡略化を図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳説する。
<口元開閉装置>
本発明は、前述のとおり覆工壁を貫通する導入孔の口元に口元開閉装置を取り付けることを骨子とするものである。この口元開閉装置は、探査器具を挿通させうる限りにおいて簡易な開閉蓋やバルブでも良いが、より好適には、図1に示す口元開閉装置1を用いる。
【0030】
この口元開閉装置1は、一方の開口部が導入孔に対して連通される開閉バルブ2(図示例はボールバルブ。ゲートバルブでも良い)と、この開閉バルブ2の他方の開口部に連結された基端管3と、この基端管3の内周面に取り付けられ、基端管3内周面と探査器具外面との隙間をシールするリング状シール部材4とを備えたものである。さらに本例の装置では、覆工壁に対する取り付けのために、開閉バルブ2の先端側開口部に、外周面にねじ山が形成された先端取付管5が連結され、この先端取付管の周囲に締め付け用のニップル6が螺合されている。
【0031】
<口元開閉装置の取り付け>
探査に際しては、例えば図1に示すように、先ず口元開閉装置1をトンネルの覆工壁Wにおける探査器具導入予定位置に取り付ける。空洞Pの深さを測定する場合等、必要に応じて、電磁波レーダー等の非破壊検査を予め行い、覆工面に沿う方向における空洞Pの位置を特定しておき、発見された空洞Pの位置を導入予定位置とすることができる。
【0032】
本例の口元開閉装置1の場合、導入予定位置に、図示しないドリル装置によって所定深さの取付孔を設け、この取付孔内に、内周面にネジ山を有するソケット管7を挿入するとともに、ソケット管7の外周面と取付孔内周面とを接着剤8により固定する。この際、ソケット管7と取付孔との隙間が接着剤8により密閉されるようにする。しかる後、口元開閉装置1の先端取付管5をソケット管7に螺合し、ニップル6を締め付けることにより、口元開閉装置1を覆工壁Wの導入予定位置に取り付けることができる。
【0033】
なお図示しないが、先端取付管5に替えてフランジ管を取り付け、このフランジ管のフランジ部をアンカーボルトにより覆工壁Wに対し適宜のシール材を介して固定しても良い。
【0034】
<導入孔の形成>
導入孔を形成する際には、覆工背面側WBから導入孔を介して地下水が流入するおそれがあるので、これを防ぐために次の3とおりの方法を推奨する。
【0035】
第1の方法は、先ず図2に示すように、覆工壁Wに取り付けた口元開閉装置1の開閉バルブ2を開けるとともに、ドリル装置10のドリル刃11を口元開閉装置1内を通して覆工壁Wに到達させ、覆工背面側WB近傍までドリル刃11で削孔して、底部9bを残した導入孔9を形成する(図3参照)。この底部9bは後に導入する探査器具の先端により破壊される。よって、この底部9bの厚さは導入する探査器具の先端により破壊できる程度とされ、適宜定めることができるが、1〜3cm程度が好ましい。しかる後、図3に示すように、ドリル刃11を口元開閉装置1から抜き取る。この際、バルブ2を開けたままドリル刃11を抜き取っても、導入孔9は底部9bによって遮断され覆工背面側WBとは連通していないので、導入孔9を通じて地下水等がトンネル内に流入することはない。
【0036】
第2の方法は、図4に示すように、覆工壁Wに取り付けた口元開閉装置1の開閉バルブ2を開けるとともに、ドリル装置10のドリル刃11を口元開閉装置1内を通して覆工壁Wに到達させ、覆工背面側WBまでドリル刃11で削孔して、覆工壁Wを貫通する導入孔9を形成した後に、ドリル刃11の先端を基端管3(図1参照)内のシール部材4と対応する位置まで引き戻して一旦停止させる。このとき、バルブ2は開いているものの、シール部材4によってドリル刃11の外周の隙間がシールされ、シール部材4の前後連通が遮断されるので、地下水等はトンネル内に流入することはない。次いで図5に示すように、このシール部材4によるシール状態を維持したまま開閉バルブ2を閉じ、地下水等の流入経路を塞いだ後に初めて、ドリル刃11を基端管3内から抜き出す。かくして、導入孔9の形成に際して、地下水等がトンネル内に流入することがなくなる。
【0037】
第3の方法は、ドリル刃をそのまま探査器具として利用する方法である。例えば後述するように貫入探査を行う際にドリル刃を貫入ロッドとして用いたり、電気利用探査等を行う場合に、ドリル刃に電極等を取り付けたもの又はそれ自体を電極等として用いたりすることができる。
【0038】
このような探査器具兼用の削孔部材を用いる場合、図示しないが、覆工正面から背面に貫通する導入孔を削孔し、そのままこの探査器具兼用削孔部材を地山に導入することができ、導入孔形成時における地下水等のトンネル内流入を防止しながらも、効率良く探査器具を覆工背面側に導入することができる。
【0039】
次に、探査器具の導入例について説明する。
<第1の貫入探査例>
図6は、探査器具として、手動式のポータブルコーン貫入試験機20を覆工背面側WBに導入し、覆工背面側WBの空洞Pの深さ及び覆工背面地山Gの緩み具合を評価する形態を示している。この貫入試験機20自体は周知のものであり、基端ハンドル部21によって、先端にコーン部22Cを有し軸部22A外面に図示しない目盛を有する貫入ロッド22をダイヤルゲージ23を介して押し込み、貫入抵抗力をダイヤルゲージ23により計測し、軸部22A外面の目盛により貫入深さを計測するものである。
【0040】
本発明においては、前述の第1の導入孔形成方法を採用した場合、図6に示すように、開閉バルブ2を開けた状態で貫入ロッド22を導入孔9に導入し、貫入ロッド22先端のコーン部22Cを導入孔9の残底部9bに衝突または押し当て、残底部9bを破壊する。これにより、口元開閉装置1内は導入孔9を介して覆工背面側WBと連通することになるが、基端管3内のシール部材4によって貫入ロッド22の外周の隙間がシールされるので、トンネル内への地下水等の流入は防止される。このような段階的な導入孔の形成も、本発明にいう「覆工壁を貫通する導入孔を設ける」ことに含まれる。
【0041】
しかる後、図7に示すように、そのまま貫入ロッド22を覆工背面側WBへ向けて、静的に且つ中心軸周りの回転を伴わずに直進的に貫入させ、その際の貫入深さ及び貫入抵抗(貫入に要する力)を段階的に計測する。本形態の場合、以上の貫入操作は作業員が手動で行う。かくして、計測された貫入抵抗の深さ方向の変化に基づき、覆工背面側WBの空洞Pの深さ及び覆工背面地山Gの緩み具合を評価することができる。
【0042】
覆工背面地山Gが固い場合等、必要に応じて貫入ロッド22を中心軸周りに回転させても良いが、その場合、背面地山を荒らしてしまい、正確な計測ができなくなるおそれがあるので、貫入ロッド22を静的に且つ中心軸周りの回転を伴わずに直進的に貫入させるのが好ましい。
【0043】
また、前述の第2の導入孔形成方法を採用した場合には、先ず図8に示すように、開閉バルブ2を閉じた状態で、貫入ロッド22先端を基端管3の開口からシール部材4と対応する位置まで挿入し、シール部材4によりその前後連通を遮断した状態とする。しかる後、図9に示すように開閉バルブ2を開けて、貫入ロッド22を開閉バルブ2内を介して覆工背面側WBに導入する。かくして、当初から覆工壁Wを貫通する導入孔9を設けた場合であっても、少なくとも開閉バルブ2を開けるときまでに、基端管3内のシール部材4によりトンネル内への連通を遮断すれば、地下水等の流入を防ぐことができる。以降は、前述の場合と同様に貫入試験を行うことができる。
【0044】
<第2の貫入探査例>
上記例は手動式の貫入試験機20を用いた例であるが、自動的に静的貫入試験を行う試験機を用いることもでき、その例が図10に示されている。
【0045】
図示例の試験機30は、コーン先端部31とロッド軸部32との間にロードセル33を挟んでなる貫入ロッド35を、覆工壁Wに反力を取るように固定した貫入装置36により口元開閉装置1内を通して覆工背面側WBに押し込みながら、ロードセル33による貫入抵抗測定結果をコンピュータ40に対して自動入力するように構成されたものである。図示例では、ロードセル33はロッド軸部32内を通る図示しない信号線およびロッド基端に取り付けられたロータリージョイント34を介して外部のデータ取得装置41に接続されており、ロードセル33の抵抗測定はデータ取得装置41によりなされ、このデータ取得装置41による測定結果が、コンピュータ40に入力され、記憶されるようになっている。
【0046】
また図示例の貫入装置36は、覆工壁Wに対して図示しないアンカーボルト等により固定された架台36Aと、この架台36Aによって前後往復動自在に支持された支持ベース36Bと、この支持ベース36Bに取り付けられ貫入ロッド35が挿通される油圧作動チャック等のチャック装置36Cと、架台36Aと支持ベース36Bとに連結された油圧ジャッキ36Jとから主に構成された、センターホール型ジャッキ装置とされている。かかるジャッキ装置においては、チャック装置36Cにより貫入ロッド35を把持した状態でジャッキ36Jを伸張させ、支持ベース36B及びチャック装置36Cを介して貫入ロッド35をジャッキストローク分推進させる動作と、チャック装置36Cを緩めて貫入ロッド35を把持しない状態でジャッキ36Jを収縮させるジャッキ収縮動作とを繰り返すことにより、貫入ロッド35を徐々に貫入することができる。そして、この貫入ロッド35の推進時に貫入抵抗の測定がなされる。また貫入深さについてはジャッキ36Jのストローク量により計測される。なお、貫入ロッド35の覆工背面側WBへの導入手順は、前述の第1の探査例と同様であるので、説明を省略する。
【0047】
かくして、ロッド35に貫入力を与える貫入装置36を口元周囲の覆工壁Wに対して固定することによって測定結果に対する振動の影響が少なくなり、また静的に且つ貫入ロッド35を回転させずに直進貫入させることによって、覆工背面地山Gを荒らすことがなく且つ回転にともなう振動により測定結果が影響を受けにくくなる。
【0048】
さらに貫入ロッド35を中心軸心周りに回転させる場合には、図示のように支持ベース36Bにモータ等の回転駆動源36Mを取り付け、この回転駆動源36Mによりチャック装置36Cが回転駆動されるように構成することもできる。
【0049】
なお、本発明では貫入ロッド35を貫入できるものであれば、ジャッキ以外の他の駆動装置、例えば土木の分野においてドリルや構造物を推進させるために用いられている削孔装置や推進装置の推進部分を応用することもできる。
【0050】
<第3の貫入探査例>
上記例はいずれも静的貫入試験を行う場合の例であるが、覆工背面側WBの探査として動的貫入試験を行うこともでき、その例が図11に示されている。
【0051】
図示例の動的貫入試験機50は、貫入ロッド35及び貫入抵抗測定系統は、ロッド35の途中において信号線を外部に取り出している点を除いて、前述例と同様の構成のものを用いている。よって、同じ符号を付して説明を省略する。
【0052】
そして、本例の試験機50では、貫入ロッド35を貫入方向に沿う打撃により貫入させる装置60を備えている点で第2の探査例とは大きく異なる。すなわち、本例の打撃貫入装置60は、覆工壁Wに対して図示しないアンカーボルト等により固定された架台61と、この架台61上に、覆工壁Wと略直交する方向に延在するレール62と、このレール62上に前後往復走行自在なように搭載され、先端部に前後往復ピストン63を及び内部に図示しないシリンダをそれぞれ備えた打撃機64と、この打撃機64に油圧を供給する油圧機器65とから主に構成されている。
【0053】
ロッド35の貫入に際しては、打撃機64をレール62に沿って移動させ、口元開閉装置1内に挿通された貫入ロッド35の基端に打撃機64のピストン63の先端を当接させた状態とする。しかる後、ピストン63の往動により貫入ロッド35に打撃を加え、貫入ロッド35を覆工背面側WBに打撃貫入する。以降、かかる動作を繰り返す。その一方で、ロードセル33により貫入抵抗が測定され、打撃機64の移動量により貫入深さが測定され、これらがコンピュータ40に記憶される。かくして、動的な貫入試験を行うことができる。なお、貫入ロッド35の覆工背面側WBへの導入手順は、前述の第1の探査例と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
<第4の貫入探査例>
他方、前述のように本発明においては、ドリル刃を貫入ロッドとして利用することもできる。この場合、図示しないが、例えば図11の打撃機に代えてドリル駆動装置を搭載し、ドリル刃を回転させながら前進させて覆工壁を貫通する導入孔を削孔し、ドリル刃が覆工壁を貫通した後は、そのままこのドリル刃を覆工背面側に対して回転させずに貫入するか又は回転させながら貫入し、その一方でドリル装置の前進トルク若しくは回転トルク又はこれら両方により貫入抵抗を計測し、ドリル装置の前進量から貫入深さを計測することができる。
【0055】
<他の探査例>
本発明では、上記以外の地山探査器具も適用することができる。例えば、図12に示すように、探査部80,80…(すなわち口元開閉装置を取り付けた導入孔)を相互に離間させて複数個所設け、これら探査部80,80…の口元開閉装置内及び導入孔(図示せず)内を介して覆工背面側WBに電極90,90…をそれぞれ導入し、これら電極90,90…を用いて電気利用探査(いわゆる電気探査、電気検層、比抵抗トモグラフィ等)を行うことができる。なお、図12中の符号100はトンネル覆工壁を示しており、また二点鎖線は電極等の探査器具の、他の配置例を示している。
【0056】
また図示しないが、探査部を介して覆工背面側に弾性波受振器を導入し、この弾性波受振器を用いて弾性波利用探査(いわゆる屈折法地震探査、浅層反射法地震探査、速度検層、VSP探査、弾性波トモグラフィ等)を行うことができる。この場合、弾性波の発振源の位置は適宜定めることができる。もちろん、探査部を相互に離間させて複数個所設け、少なくとも一つの探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に弾性波発振源を導入し、他の少なくとも一つの探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に弾性波受振器を導入し、これらを用いて弾性波利用探査を行うこともできる。
【0057】
他にも、電磁波探査で用いる送信機や受信センサ、放射能探査で用いるシンチレーション計数管、密度検層で用いるゾンデ(ガンマ線源及び検出器を含む)、微動探査で用いる感振器を、上記の本発明方法によって覆工背面側に導入することができる。
【0058】
なお、これらの場合の導入探査機器の覆工背面側への導入手順は、前述の第1の探査例と基本的に同様である。また、探査器具の導入深さを深くする場合には、導入孔の削孔とともに地山内の任意の深度まで削孔を行うことで対応することができる。
【0059】
<探査器具の引き抜き>
探査が終了したならば、次いで探査器具を引き抜き回収することができ、その際、次のようにすることで地下水等の流入を防止することができる。
【0060】
すなわち、図13に示すように、開閉バルブを開けた状態で、貫入ロッド22(35)の先端を、開閉バルブ2内を通り抜けさせて基端管3内まで引き戻し、シール部材4によりその前後連通を遮断した状態とする。次いで、開閉バルブ2を閉じ、この状態で貫入ロッド22(35)を基端管3内から抜き取る。
【0061】
これによって、前述の第2の導入孔形成の場合と同様に、貫入ロッド22(35)の引き戻し途中においては開閉バルブ2を開けざるをえないが、その際にはシール部材4によるシール作用が働き、またその後に貫入ロッド22(35)を完全に抜き取るときには予め開閉バルブ2を閉めることができるので、常に地下水の流入が防止される。
【0062】
図示例の場合、貫入ロッド22(35)のみが示されているが、上述の静的または動的貫入装置30,50を用いた場合にはこれらの貫入機構を利用して貫入ロッド22(35)を後退させても良い。またもちろん、貫入ロッド22(35)以外の他の探査器具であっても同様の手順で回収することができる。
【0063】
<裏込め注入>
図14に示すように、本発明の口元開閉装置1は、トンネル覆工背面の探査に利用した後、そのまま覆工壁Wに取り付けておき、空洞Pの深さ等の覆工背面の状況が判明した後に、この口元開閉装置1を裏込め注入のための注入管等の導入部或いは注入経路の一部として利用することができる(図示せず)。注入管の先端を口元開閉装置1内を通して覆工背面側WBに導入する場合、その導入手順を前述の図8及び図9に示す探査器具の場合と同様に行うことで、注入管導入に伴う地下水等の流入を防止できる。また注入管の先端を口元開閉装置1の基端部(開閉バルブ2の基端開口部または基端管3)に接続しても良く、この場合注入管の接続後に開閉バルブ2を開けることで、地下水等の流入を防止できる。
【0064】
このように裏込め注入を行うことで、探査のための導入孔9を有効利用でき、また全体としては作業の簡略化を図ることができる。注入材料としてはモルタルや発泡樹脂等、公知のものを用いることができる。
【0065】
<注入後の探査器具導入>
さらに図示しないが、口元開閉装置1を裏込め注入に利用した後においても、そのまま覆工壁Wに取り付けておき、再び前述の貫入試験機等の探査器具を口元開閉装置1内を介して覆工背面側WBに導入し、注入効果の確認を行うことができる。かかる裏込め注入後の探査器具の導入も本発明の範囲に含まれる。
【0066】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、覆工背面側に探査器具を導入するにあたり、地下水等のトンネル内への流入を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る口元開閉装置の概要断面図である。
【図2】 第1の導入孔形成方法を示す概要断面図である。
【図3】 第1の導入孔形成方法を示す概要断面図である。
【図4】 第2の導入孔形成方法を示す概要断面図である。
【図5】 第2の導入孔形成方法を示す概要断面図である。
【図6】 第1の貫入探査例を示す概要断面図である。
【図7】 第1の貫入探査例を示す概要断面図である。
【図8】 他の導入手順を示す概要断面図である。
【図9】 他の導入手順を示す概要断面図である。
【図10】 第2の貫入探査例を示す概要断面図である。
【図11】 第3の貫入探査例を示す概要断面図である。
【図12】 他の探査例を示す概要斜視図である。
【図13】 探査器具の引き抜き工程を示す概要断面図である。
【図14】 本発明に係る裏込め注入の概要断面図である。
【符号の説明】
1…口元開閉装置、2…開閉バルブ、3…基端管、4…シール部材、9…導入孔、W…覆工壁、P…空洞、G…覆工背面地山、WB…覆工背面側。
Claims (9)
- トンネルの覆工壁における探査器具導入予定位置に口元開閉装置を取り付けるとともに、前記予定位置に前記口元開閉装置を介して前記覆工壁の正面から背面に導入孔を設けて、探査部を形成するトンネル覆工背面の探査方法であって、
前記口元開閉装置内を介して覆工背面近傍までドリル装置で削孔し、底部を残した導入孔を形成した後、ドリル装置を取り除き、
しかる後、探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して探査器具を挿入し、この探査器具の先端で前記残りの底部を破壊して導入孔を貫通させ、そのままこの探査器具を覆工背面側に導入する、
ことを特徴とするトンネル覆工背面の探査方法。 - 前記口元開閉装置として、一方の開口部が前記導入孔に対して連通される開閉バルブと、この開閉バルブの他方の開口部に連結された基端管と、この基端管の内周面に取り付けられ、基端管内周面と探査器具外面との隙間をシールするシール部材とを備えたものを前記導入孔に取り付け、
前記開閉バルブを閉じた状態で、探査器具を基端管の開口から少なくとも前記シール部材と対応する位置まで挿入し、シール部材によりその前後連通を遮断した後、開閉バルブを開け、この状態で探査器具を開閉バルブ内を介して覆工背面側に導入する、探査器具の導入工程;ならびに
前記開閉バルブを開けた状態で、探査器具を少なくとも前記基端管内のシール部と対応する位置まで引き戻し、シール部材によりその前後連通を遮断した状態で、開閉バルブを閉じ、この状態で探査器具を基端管内から抜き取る、探査器具の抜き取り工程;
の少なくとも一方を行う、請求項1記載のトンネル覆工背面の探査方法。 - 前記探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に弾性波受振器を導入し、この弾性波受振器を用いて弾性波利用探査を行う、
請求項1または2記載のトンネル覆工背面の探査方法。 - トンネルの覆工壁における探査器具導入予定位置に口元開閉装置を取り付けるとともに、前記予定位置に前記口元開閉装置を介して前記覆工壁の正面から背面に導入孔を設けて、探査部を形成するトンネル覆工背面の探査方法であって、
探査器具兼用の削孔部材を用いて前記覆工正面から背面側に貫通する導入孔を削孔し、そのままこの削孔部材を地山に導入して、この削孔部材により電気利用探査を行う、
ことを特徴とするトンネル覆工背面の探査方法。 - 前記探査器具として貫入ロッドを用い、この貫入ロッドを覆工背面側に対して打撃により動的に又は静的に貫入しながらその際の貫入深さ及び貫入抵抗を計測し、計測された貫入抵抗の深さ方向の変化に基づき、覆工背面側の空洞の深さ及び覆工背面地山の緩み具合を評価する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトンネル覆工背面の探査方法。
- ロッドに貫入力を与える貫入装置を前記口元周囲の覆工壁に対して固定し、この貫入装置によって口元周囲の覆工壁に反力を取りながら前記貫入ロッドを静的に且つ中心軸周りの回転を伴わずに直進的に貫入させる、請求項5記載のトンネル覆工背面の探査方法。
- 前記探査部を相互に離間させて複数個所設け、これら探査部の口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に電極をそれぞれ導入し、これら電極を用いて電気利用探査を行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトンネル覆工背面の探査方法。
- トンネルの覆工壁に正面から背面に貫通するように形成された導入孔に対し、正面側の口元に固定される口元開閉装置と、
この口元開閉装置内及び導入孔内を介して覆工背面側に導入されて弾性波利用探査を行う弾性波受振器と、
を備えた、ことを特徴とするトンネル覆工背面の探査装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の探査方法によってトンネル覆工背面の探査を行った後、前記口元開閉装置を取り外さずに、口元開閉装置内及び導入孔内を介してトンネル覆工背面側に充填材を裏込め注入することを特徴とする、トンネル覆工背面の裏込め方法。
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