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JP4609769B2 - コッタ組付治具 - Google Patents
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JP4609769B2 - コッタ組付治具 - Google Patents

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Description

本発明はコッタ組付治具に係り、特に、内燃機関の吸気弁又は排気弁のバルブステムとリテーナとの隙間にコッタを組み付けるためのコッタ組付治具に関する。
一般に、エンジン(内燃機関)のシリンダヘッドには吸気弁及び排気弁が取り付けられており、吸気弁及び排気弁はそれぞれ圧縮されたバルブスプリングにより閉方向ないし上昇方向に付勢されている。このような組立状態を実現するため、吸気弁又は排気弁のバルブステムの上端部には、バルブスプリングの押圧力を受け止めるためのリテーナが取り付けられ、このリテーナとシリンダヘッドとの間にバルブスプリングが圧縮状態で配される。リテーナは、円周方向に2分割された半割テーパ状のコッタを介してバルブステムの上端部に取り付けられる。コッタはバルブステムに抱き付くと共に、内周面に形成された突起をバルブステムのコッタ溝に嵌り込ませ、コッタの外周側に嵌合されるリテーナを、バルブスプリングの押圧力によりバルブステムから抜けないように固定する。
コッタをリテーナとバルブステムとの隙間に組み付けるとき、リテーナを押し下げてバルブスプリングを圧縮させ、リテーナの上方にバルブステムのコッタ溝を位置させる。そしてバルブステムのコッタ溝に合わせてコッタをバルブステムに抱き付かせ、リテーナを解放してバルブスプリングの上向きの力によりリテーナを上昇させ、リテーナをコッタの外周側に嵌合させる。
しかしながら、実際にはこのコッタ組み付け作業はかなりのカンやコツを要する難しい作業であり、コッタ組み付けの問題は従来より当業者が潜在的且つ慢性的に持っている問題の代表的な一つである。まず、リテーナを押し下げてバルブスプリングを圧縮させるとき、バルブスプリングを全周均等に圧縮しないと、リテーナが傾いたり偏心したりしてリテーナとバルブステムとの隙間が周方向で均等にならず、隙間の小さい側ではコッタが適正に嵌まらず最悪はみ出してしまい、隙間の大きい側ではコッタが噛み込んでしまいやはり適正に嵌らない。また、バルブスプリングを圧縮させつつ、その反力に逆らってリテーナをバルブステムと同芯に保ち、且つリテーナとバルブステムとの隙間を全周均等に保つのは非常に困難な作業である。実際の作業では往々にしてリテーナがぶれてしまい、傾いたり偏心しがちである。コッタが適正ないし均等に入らないと、バルブステムに偏荷重を与え、バルブステムの焼き付きを発生させたり、バルブの適正な作動を阻害しエンジン性能及び排ガス性能を悪化させたり、オイル消費量を増大したりする虞がある。コッタ組み付けの不具合は、エンジンの生産段階では検査により発見可能であるものの、希に発生する事象であり、原因を根本的に解決しておくことが望ましい。また、市場に出回った後の整備段階では、吸排気弁を脱着するほどの重整備に至るケースがあまりないため、それほど問題視しない傾向があり、同様に問題が慢性化している。
特許文献1には、以上の問題解決の一助となり得るコッタ取付治具が開示されている。このコッタ取付治具は、本体内に摺動可能に配置されたコッタ押え部材を備える。コッタの取り付けに際しては、リテーナのコッタ挿入孔内にコッタが挿入配置された状態で、本体によりリテーナが芯合せされつつ押し下げられる。コッタはコッタ押え部材により径方向に押し開かれ、バルブステムの係合溝を通過するまで下降される。コッタ押え部材の挿入孔にバルブステムの先端部が挿入される。この後、コッタ取付治具が上昇され、リテーナがバルブスプリングのばね力で上昇復帰され、バルブステムの係合溝にコッタの係合突部が係合するようになる。
特開2000−190146号公報
しかしながら、この特許文献1に記載のコッタ取付治具においては、リテーナのコッタ挿入孔内にコッタが予め挿入配置され、バルブステムの先端からバルブステムの係合溝の下方までコッタが押し下げられるため、コッタがバルブステムに引き摺られながら移動するようになり、コッタ及びバルブステムを傷付ける虞がある。また、リテーナがある程度押し下げられた後にバルブステムがコッタ押え部材の挿入孔に挿入されるため、バルブステムがコッタ押え部材の挿入孔に挿入される前は、バルブステムに対し何等芯決めされない状態でコッタがバルブステムの外周側に嵌り込み、且つバルブステムの外周側を摺動する。よって結果的に、コッタがバルブステムに強制的に嵌め入れられ且つ引き摺られるようになり、コッタ及びバルブステムが大いに損傷する虞がある。
そこで、本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、コッタ組み付け時におけるコッタ及びバルブステムの損傷を防止し得るコッタ組付治具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、コッタ組み付け時にコッタを適切なタイミングで供給することができ、また、操作が簡単で構造がシンプルなコッタ組付治具を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一形態は、内燃機関のバルブステムの外周側に配置されたバルブスプリングを圧縮しつつリテーナを押し下げ、前記バルブステムと前記リテーナとの隙間にコッタを組み付けるためのコッタ組付治具であって、前記バルブステムの上方に整列して配置され、前記リテーナを嵌合させて押し下げるためのシリンダ状の本体と、前記本体内に移動可能に挿入されたピストン部材と、前記ピストン部材から下方に延び、下端部においてバルブステムの上端部を嵌合させる軸部と、前記本体内に配設され、前記ピストン部材を下方に付勢する付勢部材と、前記ピストン部材よりも下方の位置における前記本体の内壁に設けられ、前記本体に対する前記ピストン部材の位置に応じて前記軸部又は前記バルブステムと半径方向に所定の隙間を隔てて対向可能な突出部とを備え、前記突出部が前記軸部と対向するときには、前記突出部と前記軸部との隙間から前記コッタが落下せぬよう前記コッタを保持し、前記突出部が前記バルブステムと対向するときには、前記突出部と前記バルブステムとの前記隙間から前記コッタを落下させ、前記バルブステムと前記リテーナとの前記隙間に前記コッタを供給するように構成されたことを特徴とする。
この本発明の一形態によれば、コッタを落下させてリテーナとバルブステムとの隙間に供給することができる。よってコッタをバルブステムに強制的に嵌め入れるような動作は皆無となり、また、コッタがバルブステムに対し摺動する距離を、供給されたコッタが上昇してコッタ溝に嵌まるまでの僅かな距離に抑えることができる。これによりコッタ及びバルブステムの傷付きを最小限に抑制することができる。
好ましくは、前記コッタ組付治具は、前記バルブステムと前記リテーナとの前記隙間に供給された前記コッタの突起が少なくとも前記バルブステムのコッタ溝より下方に位置するようなタイミングで前記突出部と前記バルブステムとが対向し、前記コッタが落下するように構成される。
これにより、コッタを適切なタイミングで落下供給することができ、コッタのバルブステムに対する摺動を抑制し、コッタ及びバルブステムの傷付きを防止することができる。
好ましくは、前記本体内の前記ピストン部材の下方に移動可能に設けられ、前記本体内に保持される前記コッタを自重により下向きに押圧する錘をさらに備える。
これにより、例えば、コッタがオイルで濡れている場合であっても、オイルによる粘着からコッタを引き剥がし、コッタを確実に落下させることができる。
好ましくは、前記突出部の最小内径が、前記リテーナの中心穴の上端内径以下とされる。
こうすると、落下したコッタをリテーナの上面に当てることなくリテーナとバルブステムとの隙間に正確に落とし入れることが可能になる。
好ましくは、前記突出部が、下方に向かうにつれ徐々に内径を縮径させるテーパ形状とされる。これによりコッタをスムーズに落下させることができる。
好ましくは、前記コッタ組付治具は、前記軸部の下端部が前記バルブステムの上端部に嵌合されたときに前記バルブステムと芯合わせされる。
これにより、バルブステムを基準軸として治具の各部を作動させることが可能になり、特にリテーナをバルブステムと同軸に保持しながら下降、上昇させることが可能になる。
好ましくは、前記軸部の下端部が前記バルブステムの上端部に嵌合された後に前記本体が前記リテーナに嵌合される。
こうすると、リテーナの本体への嵌合前に治具をバルブステムと芯合わせすることが可能になり、リテーナを本体への嵌合当初からバルブステムと同軸に保持することが可能になる。
好ましくは、前記軸部が前記バルブステムより大径である。
本発明によれば、コッタ組み付け時におけるコッタ及びバルブステムの損傷を防止することができると共に、コッタを適切なタイミングで供給でき、操作が簡単で構造がシンプルなコッタ組付治具を提供できるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に本発明の実施形態に係るコッタ組付治具を示し、図2に当該治具の使用対象となるエンジンの動弁機構を示す。
図2に示すように、シリンダヘッド1には吸気弁2がバルブスプリング3により閉弁された状態で取り付けられる。吸気弁2は、シリンダヘッド1に形成された吸気ポート4を通常図示の如く閉止し、図示しないカムシャフト等により図示位置より押し下げられたときに吸気ポート4を開放する。吸気弁2は、シリンダヘッド1に取り付けられたガイドパイプ5により昇降移動を案内される。吸気弁2は、シリンダヘッド1の下面に位置する吸気ポート4の出口を開閉する傘状のバルブボディ6と、バルブボディ6から同軸に上方に延びるバルブステム7とを一体に備える。バルブステム7の上端部にはコッタ8を介してリテーナ9が取り付けられ、リテーナ9とシリンダヘッド1との間にバルブスプリング3が圧縮状態で配される。バルブスプリング3はバルブステム7の外周側に配置される。
図3に示すように、バルブステム7の上端部において、バルブステム7の外周面に半割円筒状のコッタ8が抱き付くようにして嵌合される。バルブステム7の外周面には全周に沿うコッタ溝10が設けられ、コッタ8の内周面にはコッタ溝10に係合する突起11が設けられる。本実施形態では、一つの突起11がコッタ8の軸方向中間部に位置する所謂中ビードのコッタを採用しているが、上端に突起があるコッタ(所謂上ビード)や複数の突起があるコッタを採用することもできる。また、本実施形態では、突起11以外の部分がバルブステム外周面に抱き付く所謂外抱き式のコッタを採用しているが、コッタ全体がコッタ溝に係合する所謂内抱き式のコッタを採用してもよい。コッタ8の外周面は下方に向かうほど縮径するテーパ状に形成され、このコッタ8の外周面に、同様のテーパ形状を持つ中心穴9Aを有するリテーナ9が嵌合される。図示される組立状態では、バルブスプリング3がリテーナ9を上向きに押圧し、この押圧力がテーパの持つ楔作用によりコッタ8を半径方向内側に押し、バルブステム7へと密着させる。これによりコッタ8の突起11がコッタ溝10から離脱しなくなり、リテーナ9がバルブステム7に対し抜け止め状態に維持される。図示されるように、コッタ8は、リテーナ9とバルブステム7との隙間(以下、コッタ隙間という)40に組み付けられている。
見られるように、リテーナ9の中心穴9Aはバルブステム7より大径であり、両者の間にコッタ隙間40があること、及び、リテーナ9がバルブスプリング3により上向きに押圧されていることから、コッタ組み付け時に前述したようなリテーナ9の傾き及び偏心、さらにコッタ隙間40の不均一といった問題が生じる。本実施形態の治具はこれらの問題を解消し、リテーナ9とバルブステム7との間のコッタ隙間40を周方向均等に保持してコッタ8を適正に組み付け得るものである。
次に、本実施形態のコッタ組付治具を図1を参照しつつ説明する。コッタ組付治具20は、シリンダ状の本体21と、本体21内に移動可能に挿入されたピストン部材22と、本体21内に配設された付勢部材としてのスプリング23とを備える。本体21は、その中心軸Cの方向に沿って下端側(一端側)から上端側(他端側)に延び、断面円形であり、下端部が開放され、上端部が蓋板24により閉止されている。本体21の略上半分部にはシリンダ室25が区画形成されており、このシリンダ室25にピストン部材22が上下に摺動可能に配置されている。シリンダ室25に、コイルスプリングからなるスプリング23が圧縮状態で配設され、スプリング23によりピストン部材22が下方に付勢される。
本体21の下端部には、リテーナ9を嵌合させるためのリテーナ穴26が本体21と同軸に形成されている。リテーナ穴26は、下方に開放されると共に、リテーナ9の外径と略同一の穴径を有する。リテーナ穴26は、リテーナ9の外周側面に係合する周側壁27と、リテーナ9の上面に当接する環状の当接面28とにより画成される。当接面28は軸Cに垂直な平面とされる。
ピストン部材22は、その中心部から同軸に下方に延びる断面円形の軸部29を一体に有しており、軸部29の下端部ないし下端面には、バルブステム7の上端部を嵌合させるためのステム穴30が本体21と同軸に形成されている。ステム穴30は、リテーナ穴26と同様に、下方に開放されると共に、バルブステム7の上端部の外径と略同一の穴径を有する。ステム穴30は、バルブステム7の外周側面に係合する周側壁31と、バルブステム7の上端面に当接する当接面32とにより画成される。当接面32は軸Cに垂直な平面とされる。
また、シリンダ室25とリテーナ穴26との間に位置する本体21の内壁には、径方向内側に突出する突出部33が設けられている。本実施形態では突出部33が本体21に一体に形成されているが、本体21とは別体で設けられていても構わない。突出部33は、軸方向下方に向かうにつれその内径が徐々に縮径するようなテーパ形状とされており、シリンダ室25との境界位置で開始し、リテーナ穴26との境界位置で終了する。従って突出部33はその下端において突出量が最大となり(この位置を突出端34という)、且つ最小内径D1を有することとなる。
ピストン部材22の軸部29には円筒状の錘35が摺動自在に嵌め込まれている。錘35は、少なくとも突出部33の突出端34より上側に位置されると共に、その下端部がテーパ状に形成され、図示されるように、錘35の円筒面とテーパ面との角部が突出部33に引っ掛かったとき、スプリング23の押圧力及び重力によるピストン部材22及び錘35の下降を停止させる。この停止状態において、錘35の下方且つ突出部33の突出端34の上方には、コッタ8を組み付け前に予め治具に配置するためのスペースSができる(図4参照)。また、ピストン部材22の軸部29の下端部ないし先端部は本体21からはみ出している。突出部33の突出端34の半径方向内側には軸部29が存在し、即ち、突出端34には軸部29が半径方向に対向されている。
軸部29は、その全長に亘って一定の外径d1を有し、特にその外径d1はバルブステム7の外径d2(図3参照)より大きくされている。なおステム穴30の穴径D2はバルブステム7の外径d2と略同一である。また、本体21における突出端34の内径D1は、ピストン部材22の軸部29の外径d1より大きく、よって突出端34と軸部29との間には、(D1−d1)/2の半径方向距離を持つ隙間36ができる。詳しくは後述するが、この隙間36はコッタ8を通過させ得ぬような大きさである。また、本体21の突出端34の内径D1は、リテーナ9の中心穴9Aの上端内径D3(図3参照)以下とされる。この理由も後に説明する。
ピストン部材22には、スプリング23の力に逆らってピストン部材22を外部から引き上げ、これによって軸部29を本体21内に引き込むための引込み部材37が取り付けられている。引込み部材37は、ピストン部材22の上端部に取り付けられ上方に延びるステーからなり、このステーは、蓋板24に設けられた孔38を挿通されると共に、本体21外に位置する上端部が指を引っ掛けられるように曲げられている。
次に、このコッタ組付治具20を用いたコッタ8の組み付け方法、さらには動弁機構の組立方法を説明する。
まず図2を参照して、シリンダヘッド1側のガイドパイプ5に下方から吸気弁2を挿通させると共に、吸気弁2がシリンダヘッド1に対し少なくとも下方に相対移動せぬように吸気弁2を拘束する。これは例えば、吸気弁2が挿通状態にあるシリンダヘッド1を作業台T上に置くことにより実現される。即ち、シリンダヘッド1を作業台T上に置くことにより吸気弁2も作業台T上に置かれ、吸気弁2のシリンダヘッド1に対する下降が防止される。次に、バルブステム7の外周囲にバルブスプリング3を仮置きし、バルブスプリング3の上端面にリテーナ9をバルブステム7を挿通させつつ仮置きする。
他方、治具側においては、図1を参照して、引込み部材37を外部から引っ張ってピストン部材22の軸部29下端を本体21の突出端34よりも僅かに上方に位置させ、この状態で、例えばピンセットを用いて、コッタ8を軸部29の下端部の周りに配置する。そして治具を図示されるような縦の状態にすると、軸部29に沿って錘35が滑り落ち、突出部33との間にコッタ8を挟み込む。これによりコッタ8が仮保持される(図4参照)。次いで、ステー37の引張り力を解放すると、スプリング23の力でピストン部材22及び軸部29が押し下げられ、ピストン部材22が錘35に当たったとき下降が停止する。この時点で前作業としてのコッタ8の治具へのセットが終了する。このとき軸部29の下端部は本体21から若干下方にはみ出している。
次に、図1及び図4を参照して、まず軸部29の下端部のステム穴30をバルブステム7の上端部に嵌合させる。これにより治具がバルブステム7に対して芯合わせされ、治具の傾きやブレが防止される。そして、ステム穴30の当接面32をバルブステム7の上端面に押し付けつつ、本体21(例えば蓋板24)に下向きの押し付け力Fdを与え、スプリング23の力に逆らって本体21を押し下げる。するとピストン部材22及び軸部29がスプリング23の力に逆らって本体21に対して上昇移動し、軸部29が本体21内に引き込まれていく。この後、治具のリテーナ穴26がリテーナ9に嵌合し、リテーナ穴26の当接面28がリテーナ9の上面に当接する。治具が既にバルブステム7に対して芯合わせされているため、このリテーナ9の嵌合時点、特にその後の当接時点において、リテーナ9もバルブステム7に対して正確に芯合わせされるようになる。これにより、以降の作業においても、リテーナ9とバルブステム7との間のコッタ隙間40が全周均一に保たれ、且つリテーナ9のバルブステム7に対する傾き等が防止される。
さらに本体21を押し下げると、リテーナ9がバルブスプリング3を徐々に圧縮し、リテーナ9がバルブステム7に対し下降されていく。そして、図1及び図5を参照して、コッタ隙間40の位置がコッタ組付後の位置よりも下方に(好ましくは僅かに下方に)位置されたとき、突出部33の突出端34に半径方向に対向される部材が、軸部29からバルブステム7へと変化する。これにより隙間36は拡大し、それまで保持されていたコッタ8が落下し、コッタ隙間40に供給される。コッタ隙間40が前述のように全周均一に保たれていることから、落下後のコッタ8もこのコッタ隙間40に適正に配置される。
換言すると、このコッタ8が落下するタイミングは、コッタ隙間40に落下供給されたコッタ8の突起11がバルブステム7のコッタ溝10よりも少なくとも下方に位置するようなタイミングである。好ましくは、突起11がコッタ溝10よりも僅かに下方に位置するようなタイミングであり、これにより、後のコッタ8の上昇距離を最小限に止め、コッタ8のバルブステム7への引き摺りを最小限に止めることができる。本実施形態のコッタ組付治具においては、このようなタイミングでのコッタ8の落下が実行されるように、少なくとも突出部33の突出端34の軸方向位置が設定されていることになる。
錘35が、落下前のコッタ8に常時下向きの力を与えているので、隙間36の拡大と同時にコッタ8を確実に落下させることができる。例えば、コッタ8がオイルで濡れている場合であっても、オイルによる粘着からコッタ8を確実に引き剥がし、コッタ8を落下させることができる。
ここで、突出部33の突出端34に軸部29が対向しているときの隙間36は(D1−d1)/2の大きさ(半径方向の距離)を有し、突出部33の突出端34にバルブステム7が対向しているときの隙間36は(D1−d2)/2の大きさを有する。前者の隙間36の大きさは、コッタ8が通過し得ぬような大きさであり、他方、後者の隙間36の大きさは、コッタ8が通過し得るような大きさである。つまり、このような関係を成立させるように、少なくとも突出端34の内径D1が設定されていることになる。
次に、図1及び図6を参照して、本体21への押し下げ力Fdを弱め或いは解放すると、スプリング23により軸部29が引き続きバルブステム7に押し付けられるものの、本体21ひいてはリテーナ9がバルブステム7と同芯状態で上昇する。これによりコッタ8がコッタ隙間40に適正に保持されたまま、リテーナ9とコッタ8とが上昇する。そしてコッタ8の突起11がコッタ溝10に嵌まると、コッタ8がバルブステム7に抱き付き、同時にリテーナ9がコッタ8に嵌まり、コッタ組み付け作業及び動弁機構の組み立て作業が完了する。
このように、本実施形態のコッタ組付治具によれば、コッタ8を落下させてリテーナ9とバルブステム7との隙間40に供給することができる。よってコッタ8をバルブステム7に強制的に嵌め入れるような動作は皆無となり、また、コッタ8がバルブステム7に対し摺動する距離を、供給されたコッタ8が上昇してコッタ溝10に嵌まるまでの僅かな距離に抑えることができる。これによりコッタ8及びバルブステム7の傷付きを最小限に抑制することができる。また、リテーナ9の下降及び上昇時にリテーナ9がバルブステム7に対し芯合わせされているので、リテーナ9及びコッタ8の僅かな上昇時においても、リテーナ9とバルブステム7との隙間40及びコッタ8の嵌まり具合は適正に保たれ、よってコッタ8を強制的に引き摺ることなく、コッタ8及びバルブステム7の傷付きを防止することができる。
また、コッタ8を上述のような適切なタイミングで落下供給することができ、コッタ8のバルブステム7に対する摺動を最小限に止め、コッタ8及びバルブステム7の傷付きを防止することができる。
本実施形態のコッタ組付治具によれば、一旦コッタ8を治具にセットしてしまえば、あとはバルブステム7への嵌合、押し込み、解放(引き戻し)というワンアクションでコッタ8を自ずと組み付けることができる。よって操作が非常に簡単である。また、構造も至ってシンプル且つ小型であり、エンジンの生産工場のみならず広く整備工場等にも普及が可能である。本実施形態のコッタ組付治具は手動で操作可能なものであるが、例えばエンジン自動組立装置の一部として使用し、自動でも操作可能なものである。
本実施形態のコッタ組付治具によれば、突出部33の突出端34における最小内径D1がリテーナ9の中心穴9Aの上端の内径D3以下とされている(D1≦D3)。これにより、落下したコッタ8を、リテーナ9の上面に当てることなく、リテーナ9とバルブステム7との隙間40に正確に落とし入れることが可能になる。
本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば、バルブステムは排気弁のバルブステムであってもよい。また、例えばコッタ自体がオイルの粘着力を引き剥がせるほどに十分重い場合や、オイルを使用しない場合などには、錘を省略することも可能である。各部の形状、寸法等は、上述した作用効果を発揮し得る範囲内で適宜変更が可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の実施形態に係るコッタ組付治具を示す縦断面図である。 コッタが組み付けられるエンジンの動弁機構を示す縦断面図である。 組立状態にあるバルブステム、リテーナ、コッタ及びバルブスプリングを示す縦断面図である。 本実施形態のコッタ組付治具の使用方法を説明するための縦断面図であり、治具がバルブステムに芯合わせされた状態を示す。 本実施形態のコッタ組付治具の使用方法を説明するための縦断面図であり、コッタが落下供給された状態を示す。 本実施形態のコッタ組付治具の使用方法を説明するための縦断面図であり、コッタ組付後の状態を示す。
符号の説明
3 バルブスプリング
7 バルブステム
8 コッタ
9 リテーナ
9A 中心穴
10 コッタ溝
11 突起
20 コッタ組付治具
21 本体
22 ピストン部材
23 スプリング
26 リテーナ穴
29 軸部
30 コッタ穴
33 突出部
35 錘
36 隙間
40 コッタ隙間
D1 突出部の最小内径
D3 リテーナの中心穴の上端内径
d1 軸部の外径
d2 バルブステムの外径

Claims (7)

  1. 内燃機関のバルブステムの外周側に配置されたバルブスプリングを圧縮しつつリテーナを押し下げ、前記バルブステムと前記リテーナとの隙間にコッタを組み付けるためのコッタ組付治具であって、
    前記バルブステムの上方に整列して配置され、前記リテーナを嵌合させて押し下げるためのシリンダ状の本体と、
    前記本体内に移動可能に挿入されたピストン部材と、
    前記ピストン部材から下方に延び、前記バルブステムより大径であり、下端部においてバルブステムの上端部を嵌合させる軸部と、
    前記本体内に配設され、前記ピストン部材を下方に付勢する付勢部材と、
    前記ピストン部材よりも下方の位置における前記本体の内壁に設けられ、前記本体に対する前記ピストン部材の位置に応じて前記軸部又は前記バルブステムと半径方向に所定の隙間を隔てて対向可能な突出部とを備え、
    前記突出部が前記軸部と対向するときには、前記突出部と前記軸部との隙間から前記コッタが落下せぬよう前記コッタを保持し、前記突出部が前記バルブステムと対向するときには、前記突出部と前記バルブステムとの前記隙間から前記コッタを落下させ、前記バルブステムと前記リテーナとの前記隙間に前記コッタを供給するように構成されたことを特徴とするコッタ組付治具。
  2. 前記バルブステムと前記リテーナとの前記隙間に供給された前記コッタの突起が少なくとも前記バルブステムのコッタ溝より下方に位置するようなタイミングで前記突出部と前記バルブステムとが対向し、前記コッタが落下するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のコッタ組付治具。
  3. 前記本体内の前記ピストン部材の下方に移動可能に設けられ、前記本体内に保持される前記コッタを自重により下向きに押圧する錘をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載のコッタ組付治具。
  4. 前記突出部の最小内径が、前記リテーナの中心穴の上端内径以下とされることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のコッタ組付治具。
  5. 前記突出部が、下方に向かうにつれ徐々に内径を縮径させるテーパ形状とされることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のコッタ組付治具。
  6. 前記軸部の下端部が前記バルブステムの上端部に嵌合されたときに前記バルブステムと芯合わせされることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のコッタ組付治具。
  7. 前記軸部の下端部が前記バルブステムの上端部に嵌合された後に前記本体が前記リテーナに嵌合されることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のコッタ組付治具。
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