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JP4612692B2 - 回線安定化通信装置 - Google Patents
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JP4612692B2 - 回線安定化通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、メタリックケーブル上を周波数分割多重して全二重通信を行う通信システムに関する。
近年のインターネットの発展に伴い、従来のメタリックケーブルを用いて高速通信を行うADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やVDSL(Very high speed Digital Subscriber Line)などの通信システムが幅広く普及してきている。ADSLに関する技術は、非特許文献1のITU−T勧告G.992シリーズに詳しく記載されており、使用する周波数帯域は図12のようになっている。図12(a)は、G.992.2のG.lite方式の周波数帯域を示しており、通常の電話通話の音声帯域401よりも高域部分の25.875kHzから138kHzを上り回線に、138kHzから552kHzを下り回線に、それぞれ割り当てている。また、それぞれの回線は、複数チャネルのサブキャリア402を直交周波数多重して通信し、上り回線が22チャネルで下り回線が106チャネルある。図12(b)は、G.992.1のG.dmt方式の場合の周波数帯域を示しており、上り回線はG.liteと同じだが、下り回線は138kHzから1104kHzの帯域が割り当てられている。このため、下り回線に234チャネルのサブキャリア402が直交周波数多重され、G.liteよりも高速な通信が可能になっている。
ところが、映像配信などインターネットコンテンツの大容量化に伴って、更なる通信の高速化が求められ、回線に使用する周波数帯域はさらに高域へと拡張されてきている。この様子を示したのが図13である。図13において、403はG.liteおよびG.dmtの上り回線のU0バンド、404はG.liteの下り回線のD1バンド、405はD1バンド404よりも広帯域のG.dmtの下り回線帯域をそれぞれ示しており、U0バンド403は276kHzへ、D1バンド404はG.dmtの1.1MHzから2.2MHzさらには3.75MHzまで拡張されてきている。
また、非特許文献2のITU−T勧告G.993シリーズに標準化されているVDSLや各国および各メーカーの独自方式のADSLでは、上り回線の場合はU1バンド406,U2バンド407およびU3バンド408、下り回線の場合はD2バンド409やD3バンド410など、数MHzから数十MHzの帯域まで拡張されてきている。
このように、帯域が拡張され高速通信を行うようになると、通信回線のSNR(Signal to Noise Ratio)の変化によるエラーの発生が問題となってくる。特許文献1においては、SNR測定部を設けて、SNRが劣化してきた帯域で通信するチャネルに割り当てるビットを減らし、SNRが良好な帯域で通信するチャネルに割り当てるビットを増やすビットスワップ(ビット交換)の技術が記載されている。
特許第2891673号公報 ITU−T勧告 G.992シリーズ ITU−T勧告 G.993シリーズ
一般に、通信に使用する周波数帯域を拡張すれば、一度に伝送できるビット数を増やすことができ、通信速度の向上を図ることができる。しかし、ADSLやVDSLの通信インフラは、依然として、アナログ電話時代から使用している平衡ペアのメタリックケーブルのため、回線間の漏話量が多い。特に、これらのメタリックケーブルは、複数回線をまとめた多芯線を使用しており、同一カッドに収容された線間では、隣接回線の通信システムが通信を開始すると、通信開始前には見られなかったような強い漏話が自回線に生じることがある。このような漏話ノイズの影響によって、自回線のSNRが劣化し、最悪の場合はリンクダウンに至ることがある。また、放送波による誘導ノイズの影響や、ISDN(Integrated Services Digital Network)など特定の伝送方式からの影響を受け易いという問題もある。
この漏話ノイズの問題について、図14を用いて説明する。図14において、501は多芯線で構成されるメタリックケーブル、502は自回線のCO(センタ局)、503は自回線のCP(端末局)、504は隣接回線のCO、503は隣接回線のCPをそれぞれ示している。メタリックケーブル501には自回線以外に複数の隣接回線が一緒にまとめられているので、自回線のCO502とCP503とが通信中に、隣接回線のCO504とCP505とが通信を開始すると、CO504の送信信号がメタリックケーブルのCO側の入口で漏話してCO502側に折り返す近端漏話Aが生じる。同様に、CP505の送信信号がメタリックケーブルのCP側の入口で漏話してCP503側に折り返す近端漏話Aも生じる。また、メタリックケーブルのCP側において、CO504の送信信号が漏話し、メタリックケーブル501を介してCO502側に戻ってくる遠端漏話Bが生じる。同様に、CP505の送信信号がCO側で漏話してCP503側に折り返す遠端漏話Bも生じる。
このような漏話が原因で、CO502とCP503との通信において、十分なSNRのマージンが確保できなくなり、データエラーが発生する。エラー訂正などで対応できない場合は、最悪、リンクダウンに至ることもある。また、隣接回線との結合が強い場合には、隣接回線が通信開始時のトレーニング手順を開始しただけで自回線がリンクダウンする可能性もある。この場合、リンクダウンしたことにより隣接回線のノイズフロアが減少するため、隣接回線では過剰にビットを積むことになる。そして、再度、自回線がトレーニングを開始すると、今度はその影響で隣接回線をリンクダウンさせる可能性がある。このような悪循環によって、結合が強い回線間では、互いに漏話を与え合い、共にリンクダウンに至る場合もある。そのため、従来のメタリックケーブルを用いたADSLやVDSLなどの通信システムにおいて、SNRの劣化に影響されない通信システムが強く求められている。
先に述べた特許文献1の場合は、緩やかに変化するSNRの劣化に対しては効果的であるが、突発的な変化に対しては対応が難しく、通信開始時には無かったノイズが通信中に急に発生すると、ビットスワップする前にリンクダウンしてしまう恐れもある。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、メタリックケーブル上を直交周波数多重して通信を行う通信システムにおいて、通信中に隣接回線が通信を開始した場合の漏話など非定常的なノイズによる影響を少なくし、漏話耐力を向上させた通信システムを提供することである。
本発明の回線安定化通信装置は、通信前に各サブキャリアに割り当てるビット数を決めたビット積み上げテーブルを送受信し、前記ビット積み上げテーブルに従って変調した前記各サブキャリアを直交周波数多重してメタリックケーブルを介して伝送する通信手段と、前記メタリックケーブル上のノイズフロアデータを測定するノイズフロア測定手段と、前記ノイズフロア測定手段が測定したノイズフロアデータを記憶するノイズフロアデータ記憶手段と、前記ノイズフロア測定手段が測定したノイズフロアデータと前記ノイズフロアデータ記憶手段に記憶されている過去のノイズフロアデータとを基にして最悪のノイズフロアデータを前記各サブキャリア毎に求め、これらの最悪のノイズフロアデータと予め通信開始前に取り交わした信号レベルとの差より、前記各サブキャリア毎に必要なSNR値を計算するSNR算出手段と、前記SNR算出手段が計算したSNR値から、前記各サブキャリアに割り当てるビット数を決定し、前記ビット積み上げテーブルを作成するビット積み上げ手段とを設けたことを特徴とする。
或いは、前記SNR算出手段は、ノイズフロアデータから一定のマージンを持ったSNR値を計算することを特徴とする。
また、漏話による影響を考慮して前記SNR値を補正する漏話補正部を設け、前記SNR算出手段は、前記漏話補正部の補正処理に基づいて前記SNR値を計算することを特徴とする。
さらに、前記ノイズフロア測定手段が測定したノイズフロアデータと過去のノイズフロアデータのうち予め設定した期間または回数の中で最大値のノイズフロアデータを選択する統計処理手段を設け、前記SNR算出手段は、前記統計処理手段が選択したノイズフロアデータに基づいて前記SNR値を計算することを特徴とする。
また、前記ノイズフロア測定手段は、非通信のアイドル状態のノイズフロアを測定するようにしたことを特徴とする。
本発明の回線安定化通信装置は、通信中に新たに加わる隣接回線からの漏話ノイズや放送波などの影響を受けても、過去に漏話ノイズが発生した時のノイズフロアや漏話マージンを考慮したSNR計算を行って、最適なビット積み上げを行うので、ノイズ耐力が強く、常に安定した通信を行うことができる。さらに、統計処理や、非通信時のアイドル状態のノイズをモニタしておくことで、より安定したSNR計算が可能となり、ノイズ耐力を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態のブロック図である。 漏話が無い時のSNR特性を示す説明図である。 COとCPの通信手順を示す説明図である。 漏話が有る時のSNR特性を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態のCOとCPの通信手順を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態のブロック図である。 本発明の第2の実施形態のCOとCPの通信手順を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態のブロック図である。 本発明の第3の実施形態のSNRマージンを示す説明図である。 本発明の第3の実施形態のCOとCPの通信手順を示す説明図である。 本発明の第4の実施形態のCOとCPの通信手順を示す説明図である。 現状のADSLのバンドモデルを示す説明図である。 現状の通信帯域の拡張例を示す説明図である。 現状のメタリック回線の漏話を説明するための説明図である。
以下、図面を参照して本発明の回線安定化通信装置について詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態の回線安定化通信装置を示すブロック図である。尚、本実施形態の回線安定化通信装置は、図12で説明したようにメタリックケーブルを用いて、送信データをいくつかのサブキャリアに分けて変調し、これらのサブキャリアを直交周波数多重して通信を行う通信方式を利用するものである。また、本実施形態では、CO側の回線安定化通信装置を中心に説明するが、上り回線と下り回線とが逆になる以外は、CP側の装置であっても同じである。
図1において、100はCO側の回線安定化通信装置、101はコンピュータやネットワーク機器など外部から送信データを入力するデータI/F、102は送信データあるいはビット積み上げテーブルなどの制御データを所定の方法によって送信するデータ送信部、103は平衡二線のメタリックケーブル104に接続して送信信号と受信信号とに分離するトランスなどからなる2/4変換部、105は2/4変換部103から受けた受信信号を所定の方法によって受信データやビット積み上げテーブルなどの制御データを復調するデータ受信部、106は復調された受信データを外部のコンピュータやネットワーク機器などに出力するデータI/F、107は2/4変換部103から受けた受信回線のノイズフロアデータを測定するノイズフロア測定部、108は過去に測定したノイズフロアデータを蓄積しておくノイズフロアデータ記憶部、109は最大受信レベルとノイズフロアデータとから許容できるSNR値を算出するSNR算出部、110はSNR算出部109が算出したSNR値に従って通信帯域内の各サブチャネルに割り当てるビット数を決定しビット積み上げテーブルを作成するビット積み上げ部、111は回線安定化通信装置100内の各部を制御する通信システム制御部をそれぞれ示している。
ここで、ビット積み上げテーブルについて説明する。ビット積み上げテーブルは、例えば、図12(a)において、CO側からCP側への下り回線404に使用される#22から#127の各サブキャリアに何ビットを割り当てるかを示すテーブルである。CO側からCP側への下り回線に使用するビット積み上げテーブルは、CP側が受信ノイズレベルに基づいて決定し、CO側に送られる。逆に、CP側からCO側への上り回線に使用するビット積み上げテーブルは、CO側が受信ノイズレベルに基づいて決定し、CP側に送られる。これらの詳しい手順は、非特許文献1に標準化されている。この手順に従って、図1では、ビット積み上げ部110が作成したビット積み上げテーブルは通信先のCP側に送られ、CP側はこのビット積み上げテーブルに基づいて、送信データを変調し、CO側に送信する。また、逆に、CP側から送られてきたビット積み上げテーブルは、データ受信部105で復調され、データ送信部102に出力される。データ送信部102はこのビット積み上げテーブルに基づいてデータI/F101から入力する送信データを変調し、2/4変換部103およびメタリックケーブル104を介してCP側に送信する。
ここで、ビット積み上げテーブルを作成する基になるノイズフロアとSNRマージンについて図2を用いて説明する。図2(a)は横軸に周波数、縦軸に信号レベルを示した図で、最大受信レベル200と、自回線の通信システムのノイズフロア201との関係を示している。図2(b)は横軸に周波数、縦軸にSNRを示した図で、図2(a)のノイズフロア201のノイズレベルが高い部分は許容できるSNRが低く、ノイズレベルの低い部分は許容できるSNRが高くなっている。つまり、許容できるSNRが低い部分は通信エラーが起こりやすいので、割り当てるビット数を少なくし、許容できるSNRが高い部分は通信エラーが起こりにくいので、割り当てるビット数を多くするようにビット積み上げを行う。例えば、割り当てるビット数が多い場合は、64QAMや128QAMなど高いSNRを必要とする多値変調でサブキャリアを構成し、割り当てるビット数が少ない場合は、4QAMやBPSKなど低いSNRでも誤りにくい変調方式で各サブキャリアを変調する。図2(c)は横軸に周波数、縦軸にSNRを示した図で、図2(b)に示した許容できるSNR特性を示すSNR202に対して少しマージンを持たせたSNR203の特性を基準に、帯域内の各サブキャリア204に最適なビットを割り当てていく。これをビット積み上げと呼び、どのサブキャリアに何ビットを割り当てるかを示すデータがビット積み上げテーブルである。
さて、図1において、ノイズフロア測定部107は図2のノイズフロア201の測定を行い、SNR算出部109に出力すると共に、ノイズフロアデータ記憶部108に測定したノイズフロアデータを記憶する。尚、ノイズフロアデータを記憶する際に、通信先や測定日時などと一緒に記憶するようにしてもよい。ノイズフロア測定部107からノイズフロアデータを受けたSNR算出部109は、通常の従来の動作では、ノイズフロア測定部107が出力するノイズフロアデータを基に、予め通信開始前に取り交わした信号レベルとノイズフロアデータとの差より、図2(b)に示すように、通信帯域内のSNR特性を算出する。SNR算出部109からSNR特性を受けたビット積み上げ部110は、図2(c)に示すように、例えば、10%や2dBなど所定のSNRマージンを見込んで、通信帯域内のどのサブキャリア204に何ビットを割り当てるかを決定し、ビット積み上げテーブルをデータ送信部102に出力する。ビット積み上げ部110からビット積み上げテーブルを受けたデータ送信部102は、規格に定められた所定の手順でビット積み上げテーブルをCP側に送信する。
逆に、CP側から送られてきたビット積み上げテーブルは、データ受信部105で復調され、ビット積み上げテーブル情報がデータ送信部102に出力される。データ送信部102は、このビット積み上げテーブルに従って、データI/F101から入力する送信データを各サブキャリアのビット数に応じて一次変調し、一次変調された各サブキャリアは逆フーリエ変換されて直交周波数多重される。直交周波数多重された変調信号はシリアルパラレル変換後、D/A変換されてアナログの変調信号として2/4変換部103出力され、メタリックケーブル104を介して通信先のCP側に送信される。
一方、通信先のCP側から送られてきたアナログの変調信号は、2/4変換部103を介してデータ受信部105に入り、データ送信部102とは逆の処理を行って受信データ106を復調する。つまり、受信した直交周波数多重された変調信号は、デジタル信号にA/D変換後、シリアルパラレル変換されて、フーリエ変換される。フーリエ変換後、一次変調された各サブキャリア信号が復調され、受信データ106が得られる。尚、データ送信部102およびデータ受信部105の処理は、非特許文献1および2に記載されているような一般的なものなので、これ以上の詳細な説明は省略する。また、本実施形態では特に言及しなかったが、2/4変換部103以外はデジタル処理で行うので、制御装置、演算装置、記憶装置、各種インターフェースなどからなり、プログラムによってソフトウェア処理される。但し、ノイズフロア測定部107のノイズ測定はアナログ的に行っても構わない。
次に、図3を用いて、図1のブロック図をソフトウェア的な処理の流れで説明する。図3において、301は通信開始時のハンドシェーク手順、302は本通信前のトレーニング手順、303はデータ通信、304はトレーニング信号、305はノイズフロア測定処理、306はSNR算出処理、307はビット積み上げ計算処理、308はビット積み上げテーブルの送信をそれぞれ示している。図3において、ハンドシェーク手順301では、例えば、ADSLのG.dmtやG.liteなど使用する通信方式や伝送モードの選択を行い、トレーニング手順302では、例えば、通信する回線の特性などを測定し、予め決められたパラメータなどを設定する。先に説明した図1のノイズフロア測定部107,SNR算出部109およびビット積み上げ部110は、このトレーニング手順302の期間において処理される。トレーニング信号304がCP側からCO側に送られ、通信帯域内のノイズフロアを計測し、許容できるSNRを算出し、それに従った割り当てビット数を求め、ビット積み上げテーブルを作成する。作成されたビット積み上げテーブルは、符号308の部分で、データ送信部102によってCP側に送信される。CP側でも同様に処理され、CO側にもビット積み上げテーブルが送られてくると、CP側およびCO側の各サブキャリアに割り当てられるビット数が決まる。CP側およびCO側のデータ送信部は、ビット積み上げテーブルで決められたビット数で変調処理を行い、データ通信303が開始される。
ここで、自回線以外にノイズが無い場合は、図2に示したようにビット積み上げテーブルを作成すればよいが、漏話など自回線以外のノイズが有る場合は、これらのノイズを考慮したSNR計算をする必要がある。次に、隣接回線による漏話が有る場合について、図4を用いて説明する。図4(a)は横軸に周波数、縦軸に信号レベルを示した図で、図2で説明した自回線のノイズフロア201に隣接回線のノイズフロア210が加算されるので、トータルのノイズフロアはノイズフロア211に示すような形になる。図4(b)は横軸に周波数、縦軸にSNRを示した図で、図4(a)の隣接回線の漏話が無い場合のノイズフロア201の時に許容できるSNR202に対して、例えば、隣接回線の漏話が有る場合のノイズフロア211の時に許容できるSNR212は低くなっており、特に高域の部分で劣化が大きくなっている。従って、図2(c)に示したように、SNR202に対してマージンを持たせてビット積み上げを行うと、図4(c)に示すように、点線Cの高域部分で各サブキャリア204に必要なSNRが得られなくなり、データ誤りやリンクダウンが発生してしまう。図3のトレーニング手順302の時点で、隣接回線が通信をしていれば、隣接回線からの漏話ノイズを含めたノイズフロアがノイズフロア測定部107で測定されるので、トータルのノイズフロア211を基にしたビット積み上げが可能となるが、本通信303の途中で隣接回線が突然通信を開始した場合には、図4(c)に示すようなSNR不足の状態が起こってしまう。そこで、トレーニング手順302の時点において、隣接回線が通信していなくてもトータルのノイズフロア211を考慮した図4(d)に示すようなビット積み上げを行う必要がある。
次に、このようなビット積み上げを行うために、図1のノイズフロアデータ記憶部108を利用した場合の動作について、図5を用いて説明する。図5は、図3と同様に、通信手順の流れを示した図で、図3と異なるのは、ノイズフロア測定処理305において、測定したノイズフロアをノイズフロアデータ記憶部108に記録しておき、SNR算出処理306において、ノイズフロアデータ記憶部108から過去に測定したノイズフロアデータを参照できるようになっていることである。例えば、SNR算出処理306において、現在のノイズフロアデータとノイズフロアデータ記憶部108に記憶されている過去のノイズフロアデータとを比較して、大きい方を採用するよう動作する。
このように、過去のノイズフロアデータを参照してSNR計算を行うことによって、これまで経験した最悪の状態を想定したビット積み上げテーブルを作成することができるので、仮に、通信開始時にたまたまSNR良かった場合でも、無理なビット積み上げを行うことなく、現実的なビット積み上げを行うことができ、リンクダウンなどが少ない安定した通信を行うことが可能となる。特に、隣接回線の漏話や放送波など外部環境によるSNRの劣化は、ケーブル収容換えなどを実施しなければ定常的に同様の劣化傾向を示すはずなので、通信中に過去のノイズフロアデータと同じノイズが乗ってくる可能性が高い。従って、このような過去のノイズフロアデータを前提にして、予めビット積み上げを行っておけば、その後の同様の漏話に対して、常に安定した通信状態を確保することができる。
尚、本実施形態の図5において、過去のノイズフロアデータは、過去のトレーニング時の測定結果だけをノイズフロアデータ記憶部108に記憶するようにしたが、データ通信303においても、ノイズフロア測定部107を動作させてノイズフロア計算処理305を行うようにすれば、通信中のノイズフロアデータもノイズフロアデータ記憶部108に記録することができる。このようにすれば、過去の通信中の最悪のノイズフロア特性を考慮したビット積み上げを行うことが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の回線安定化通信装置の第2の実施形態について、図6を用いて説明する。尚、第1の実施形態と同様に、CO側の回線安定化通信装置を中心に説明するが、CP側の装置であっても構わない。また、第1の実施形態と異なる部分は、統計処理部601とノイズフロア統計データ記憶部602とを設けたことである。統計処理部601は、ノイズフロアデータ記憶部108に記憶されている過去のノイズフロアデータを統計処理し、ノイズフロア統計データ記憶部602に記憶する。SNR算出部109は、ノイズフロア測定部107が出力する現在のノイズフロアデータと、ノイズフロア統計データ記憶部602に記憶されているノイズフロアデータとを参考にして、予め通信開始前に取り交わした信号レベルとこれらのノイズフロアデータとの差より、許容できるSNR特性を算出する。第1の実施形態の場合は、永久に過去のノイズフロアデータを参照するようにすると、最終的には、最大値にホールドされた状態になってしまう。そこで、第2の実施形態の統計処理部601は、予め設定した期間や回数、例えば、過去1ヶ月以内のノイズフロアデータや過去3回分のノイズフロアデータなどを参照して、その最大値を採用するようにする。このようにすることで、数年に一回程度しか起こらないような最悪値に固定されてしまうことがなくなる。
次に、図7を用いて、図6のブロック図をソフトウェア的な処理の流れで説明する。図7において、統計処理701は、ノイズフロア計算処理305が記録した過去のノイズフロアデータをノイズフロアデータ記憶部108から読み出し、統計処理したデータをノイズフロア統計データ記憶部602に記憶する。記憶されたノイズフロア統計データは、SNR計算処理306で読み出されて、許容できるSNR特性が算出される。例えば、統計処理701は、過去の3回分のノイズフロアデータの中の最悪値をノイズフロア統計データ記憶部602に記憶するようにする。SNR計算処理306は、現在のノイズフロアデータと過去3回分のノイズフロアデータとを比較して、最大のノイズフロアデータをビット積み上げ計算処理307に引き渡し、ビット積み上げ計算処理307は、これに基づいてビット積み上げテーブルを作成し、符号308でこのテーブルをCP側に送信する。同様に、CO側にもビット積み上げテーブルが送られてくると、CP側およびCO側の各サブキャリアに割り当てられるビット数が決まるので、この条件でCP側およびCO側のデータ送信部は変調処理を行い、データ通信303が開始される。
尚、本実施形態では、統計処理部601の処理結果をノイズフロア統計データ記憶部602に、一旦、記憶するようにしたが、ノイズフロア統計データ記憶部602に記憶せずに直接SNR算出部109に出力するようにしても構わない。
このように、過去の特定期間のノイズフロアデータを参照してSNR計算を行うことによって、常に新しい過去のノイズフロアデータをベースにビット積み上げテーブルを作成することができるので、起こる可能性が低い古いデータに左右されることなく、現実的なビット積み上げを行うことができ、リンクダウンなどが少ない安定した通信を行うことが可能となる。尚、本実施形態の図7において、過去のノイズフロアデータは、過去のトレーニング時の測定結果だけをノイズフロアデータ記憶部108に記憶するようにしたが、データ通信303においても、ノイズフロア測定部107を動作させてノイズフロア計算処理305を行うことによって、通信開始前あるいは通信中のノイズフロアデータを測定して、測定したノイズフロアデータをノイズフロアデータ記憶部108に記録することができる。このようにすれば、過去の通信中の最悪のノイズフロア特性を考慮した統計処理を行うことが可能となる。
また、統計処理部601が行う統計処理701において、例えば、昼間と夜間など生活パターンによって分け、それぞれのノイズフロアデータをまとめることも可能である。つまり、隣接回線が昼間しか使われないような場合は、夜間に比べて昼間のノイズフロアの方が高くなるので、SNR算出部109のSNR算出処理306において、これを考慮したSNRを算出を行うようにすればよい。或いは、平日と休日などで分けても構わない。
このように、過去のノイズフロアデータを統計的に処理してSNR値を算出し、ビット積み上げテーブルを作成するので、通信中に発生するであろう漏話ノイズに対して安定した通信を行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の回線安定化通信装置の第3の実施形態について、図8を用いて説明する。尚、第1の実施形態と同様に、CO側の回線安定化通信装置を中心に説明するが、CP側の装置であっても構わない。また、第1の実施形態と異なる部分は、ノイズフロアデータ記憶部108の代わりに漏話補正部801を設けたことである。漏話補正部801は予め設定した所定の特性を出力し、SNR算出部109は、ノイズフロア測定部107が測定したノイズフロアデータからSNR特性を計算する際に、漏話補正部801が出力する所定の特性で補正して、SNR特性を計算してビット積み上げ部110に出力する。
次に、この漏話補正について、図9を用いて説明する。一般に、図14に示した近端漏話Aおよび遠端漏話Bの漏話量は、周波数が高くなるほど増加し、漏話量の増加は漏話周波数の3/2乗に比例すると言われている。このため、従来のSNRマージン計算は、周波数に関係なく一律のSNRマージンを計算し、ビット積み上げを行っていた。図9(d)は横軸に周波数、縦軸に漏話量(dB)を表した図で、カットオフ周波数fcよりも高周波側において、f3/2あるいはf2の特性906を示す。このような周波数依存性の隣接回線の漏話がノイズフロア測定時に無かった場合、例えば、図9(a)のように自システム内のノイズフロアだけが測定されるので、図9(b)に示すように通常のSNRマージン902を設定してしまう。ところが、通信中に隣接回線が通信を開始すると、図9(d)に示すような周波数依存性の隣接回線の漏話が混ざってくるので、fcより高域部分でSNRマージンが不足することになる。そこで、図9(b)に示すように、予め漏話を考慮したSNRマージン903を設定することによって、通信中のSNRマージンが図9(c)の904で示すような特性に劣化したとしても、予めSNRマージン903を想定しているので、SNR不足になることはない。
つまり、図8において、SNR算出部109は漏話補正部801に予め設定された図9(d)のような所定の特性906で、ノイズフロア測定部107が測定したノイズフロアデータを補正してSNR計算を行う。また、ビット積み上げ部110は、SNR算出部109が算出した漏話を考慮したSNRマージンに基づいて、図9(c)の各サブキャリア905のようにビット積み上げを行う。尚、漏話を考慮した追加マージンは、図9(d)の例ではf3/2あるいはf2の特性906としたが、簡易的に周波数fcから−3.5dB/decあるいは−6dB/dec程度の傾斜をつけても構わない。
次に、図10を用いて、図8のブロック図をソフトウェア的な処理の流れで説明する。図10において、SNR算出処理306は、漏話補正テーブル320が出力するf3/2などの補正データで、ノイズフロア測定処理305が測定したノイズフロアデータを補正して、許容できるSNR特性を算出する。ビット積み上げ計算処理307は、これに基づいてビット積み上げテーブルを作成し、符号308でこのテーブルをCP側に送信される。同様に、CO側にもビット積み上げテーブルが送られてくると、CP側およびCO側の各サブキャリアに割り当てられるビット数が決まるので、この条件でCP側およびCO側のデータ送信部は変調処理を行い、データ通信303が開始される。
このように、予め漏話を考慮したビット積み上げテーブルに従って通信を行うので、通信中に隣接回線が通信を開始して漏話が発生しても、高周波部分でSNRマージンが不足することはなく、隣接回線からの漏耐耐力が向上し、データエラーやリンクダウンを少なくすることができる。尚、分かり易いように、漏話補正部801および漏話補正テーブル320を設けた構成で説明したが、SNR算出部109およびSNR算出処理306の中に含めて構成しても構わない。
(第4の実施形態)
次に、本発明の回線安定化通信装置の第4の実施形態について、図11を用いて説明する。図11はソフトウェア的な処理の流れを示した図で、構成は第1の実施形態の図1と同じである。図11において、330はCP側とCO側が通信を開始していない非通信状態のアイドル時を示す。アイドル時330においては、端末局のCP側は電源が入っていてもよいし、電源が切られた状態でも構わない。センタ局のCO側は、通常、常に電源が入った状態になっている。本実施形態は、このようなアイドル時330の状態においても、CO側のノイズフロア測定部107は動作して、ノイズフロア測定処理331でノイズフロアを測定して、ノイズフロアデータ記憶部108に記憶するようになっている。
例えば、図11において、CP側の電源が投入されると同時に通信が開始されると、ハンドシェーク手順301を行った後、トレーニング手順302の期間において、CO側のノイズフロア測定部107がノイズフロア測定処理305で現状のノイズフロアデータを測定する。次に、SNR算出部109がSNR算出処理306でアイドル時330の期間に測定したノイズフロアデータ記憶部108に記憶されているアイドル時のノイズフロアデータと、現状のノイズフロアデータとを比較して、例えば、最大値の方を選択して許容できるSNR特性を算出する。ビット積み上げ計算処理307は、これに基づいてビット積み上げテーブルを作成し、符号308でこのテーブルをCP側に送信される。同様に、CO側にもビット積み上げテーブルが送られてくると、CP側およびCO側の各サブキャリアに割り当てられるビット数が決まるので、この条件でCP側およびCO側のデータ送信部は変調処理を行い、データ通信303が開始される。
このように、CP側が通信をしていない状態でも、隣接回線などによるノイズフロアの測定を行っているので、CP側の電源が使用する時しか投入されないような利用がなされている場合でも、過去の隣接回線などによるノイズフロアのデータを利用して、隣接回線からの漏耐耐力を向上させることが可能となる。尚、第1の実施形態と第4の実施形態とを複合して、アイドル時,トレーニング時および通信時の全ての過去のノイズフロアデータをノイズフロアデータ記憶部108に記憶するようにして、これらを総合的に統計処理しても構わない。例えば、SNR算出部109は、アイドル時のノイズフロアデータを0.2の割合で、トレーニング時のノイズフロアデータを0.5の割合で、通信時のノイズフロアデータを0.3の割合で、それぞれ重み付けするようにして、SNR値を算出しても構わない。
以上、各実施形態において説明してきたように、本発明の回線安定化通信装置では、過去の通信開始時や通信中および非通信時のノイズフロアを基にSNRを計算するので、過去に発生した漏話などによるSNR不足を予め回避することができる。あるいは、過去のノイズフロアデータを統計的に処理することによって、より効果的に回避することが可能になる。また、周波数依存の漏話特性を予め設定しておき、SNRの計算時に漏話特性で補正しておくことによって、漏話時のSNRマージンを確保することができる。
このように通信中に新たに加わる隣接回線からの漏話ノイズや放送波などの影響を受けても、過去に漏話ノイズが発生した時のノイズフロアや漏話マージンを考慮したSNR計算を行って、最適なビット積み上げを行うので、ノイズ耐力が強く、常に安定した通信を行うことが可能となる。

Claims (5)

  1. 通信前に各サブキャリアに割り当てるビット数を決めたビット積み上げテーブルを送受信し、前記ビット積み上げテーブルに従って変調した前記各サブキャリアを直交周波数多重してメタリックケーブルを介して伝送する通信手段と、
    前記メタリックケーブル上のノイズフロアデータを測定するノイズフロア測定手段と、
    前記ノイズフロア測定手段が測定したノイズフロアレベルを記憶するノイズフロアデータ記憶手段と、
    前記ノイズフロア測定手段が測定したノイズフロアデータと前記ノイズフロアデータ記憶手段に記憶されている過去のノイズフロアデータとを基にして最悪のノイズフロアデータを前記各サブキャリア毎に求め、これらの最悪のノイズフロアデータと予め通信開始前に取り交わした信号レベルとの差より、前記各サブキャリア毎に必要なSNR値を計算するSNR算出手段と、
    前記SNR算出手段が計算したSNR値から、前記各サブキャリアに割り当てるビット数を決定し、前記ビット積み上げテーブルを作成するビット積み上げ手段と
    を設けたことを特徴とする回線安定化通信装置。
  2. 請求項1に記載の回線安定化通信装置において、
    前記SNR算出手段は、ノイズフロアデータから一定のマージンを持ったSNR値を計算することを特徴とする回線安定化通信装置。
  3. 請求項1または2のいずれか一項に記載の回線安定化通信装置において、
    漏話による影響を考慮して前記SNR値を補正する漏話補正部を設け、
    前記SNR算出手段は、前記漏話補正部の補正処理に基づいて前記SNR値を計算することを特徴とする回線安定化通信装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回線安定化通信装置において、
    前記ノイズフロア測定手段が測定したノイズフロアデータと過去のノイズフロアデータのうち予め設定した期間または回数の中で最大値のノイズフロアデータを選択する統計処理手段を設け、
    前記SNR算出手段は、前記統計処理手段が選択したノイズフロアデータに基づいて前記SNR値を計算することを特徴とする回線安定化通信装置。
  5. 請求項1に記載の回線安定化通信装置において、
    前記ノイズフロア測定手段は、非通信のアイドル状態のノイズフロアを測定するようにしたことを特徴とする回線安定化通信装置。
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