JP4614541B2 - スクラロース含有組成物及び該組成物を含む可食性製品 - Google Patents
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Description
本発明はスクラロース含有組成物に関する。詳細には、スクラロースに特定の物質を配合することによってスクラロースの熱安定性が一層向上してなるスクラロース含有組成物に関する。また本発明は、スクラロースに特定の物質を配合することによってスクラロースの甘味(甘味度・甘味質)が一層向上してなるスクラロース含有組成物に関する。本発明のスクラロース含有組成物は、溶液状及び乾燥状態で、常温のみならず加温下においても安定性に非常に優れているため、予測できない広範囲の環境条件下に曝され得る製造、保管及び流通等の各段階において特段の処置を施すことなく取り扱いやすいという利点がある。また、本発明のスクラロース含有組成物は、その優れた熱安定性ゆえに、甘味料として種々の可食性製品(例えば食品や医薬品等)に配合することができる。
本発明は当該スクラロース含有組成物の製造方法に関し、さらに上記スクラロース含有組成物を配合してなる可食性製品に関する。
背景技術
従来より甘味料として、その良質な甘味とコク感(ボディー感)、保湿性、粘度の付与等の特性から、ショ糖(砂糖)が広く利用されている。しかしながら、最近の健康志向や低カロリー志向から、肥満や虫歯の原因となるショ糖は敬遠されるようになり、特に飲料やデザートなどの嗜好品においては低カロリー化が進んでいる。このため、ショ糖代替甘味料として従来から種々の高甘味度甘味料が研究開発されており、中でもショ糖の約600倍の甘味度を有するスクラロースが、非う蝕性でかつ非代謝ノンカロリーであるという多くの利点から、新しい甘味料として注目されている。
当該スクラロースは、アスパルテームなどのペプチド系甘味料とは対照的に安定性に優れており、特に水溶液の状態では高温下及び低pH下においても非常に安定しており良好な甘味(甘味度・甘味質)を保持することが報告されている(M.E.Quinlan,J.Food Sci.,55(1),244(1990))。しかしながら、その一方で結晶スクラロースは高温で乾燥状態で貯蔵すると熱安定性が低下して淡褐色に変色すること、約40℃以上の高温で長期間保存すると著しく分解することも知られている。
かかる高温及び乾燥条件下での変色に対してよりスクラロースを安定なものとする方法として従来から次のことが試みられている。
▲1▼スクラロースの結晶を特定の粒径になるまで微細化する方法(特許第2562147号);▲2▼スクラロースを水溶性オリゴ糖との混合水溶液とし、次いでこれを噴霧乾燥または凍結乾燥して甘味濃縮物とする方法(特許第2521308号);▲3▼スクラロースをシクロデキストリンと共結晶複合体とする方法(特開平02−258714号);▲4▼スクラロースを含窒素性塩基と共結晶複合体とする方法(英国特許GB2169601“Stabilisation of Sucralose”);▲5▼スクラロースを安定化剤(セルロースや糖質類)、緩衝剤(有機酸及び/または有機酸塩等)、及び保存剤(安息香酸等)とともに溶解した混合水溶液とし、次いでこれを凍結乾燥する方法(特開平04−258269号);▲6▼スクラロースを、セルロース、炭酸カルシウム、リン酸2カルシウム等を用いて安定化する方法(特開平04−228048号)。
しかし、▲1▼及び▲2▼の方法ではスクラロースの安定性がなお不十分であること、▲3▼及び▲4▼の方法は最終生成物の形態がスクラロースの結晶複合体に限定されるため、形態の多様性が望めず、また生産上の制約が大きいこと、並びに▲5▼及び▲6▼の方法は、水に完全に溶解しない副原料を含むため汎用性に欠けること、等といった問題があり、汎用性のある熱安定化スクラロース製剤は未だ開発されるに至っていない。
発明の開示
本発明者らは、甘味料として有用な上記スクラロースを、食品や医薬品等の各種の可食性製品により安定な形態で配合する目的で、またそれ自体を卓上甘味料といった乾燥製品としてより安定な状態で用いる目的で、日夜鋭意研究を重ねた結果、スクラロースに特定の物質を配合することによって上記の問題が解決できること、すなわちスクラロースの熱安定性が向上し、苛酷条件下での加温や水分含量の低い状態での加温によっても着色といった不都合な現象が生じないこと、さらには加温によって生じる甘味の低減も有意に抑制できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
すなわち、第1に本発明は、スクラロースと下記の特定の物質を1種または2種以上含有してなるスクラロース含有組成物である:
プリン塩基またはプリン塩基を構成成分とする化合物;ピリミジン塩基またはピリミジン塩基を構成成分とする化合物;フラボノイドまたはその配糖体;ポリフェノール;有機リン酸化合物;ヒドロキシ酸またはその塩;含硫黄化合物;リグナン;カロテノイドまたはその配糖体;トコフェロール;サポニン;有機酸またはその塩;無機塩(無機酸塩を含む);蛋白加水分解物;アミノ酸またはその塩;塩基性物質;ポリオール化合物;ポルフィリン化合物;キレート剤;メラノイジン;レダクトン;油脂;リン脂質;ブチルヒドロキシアニソールまたはブチルヒドロキシトルエン;柑橘類果汁成分;ベタインまたはイソベタニン;及びショウガオール、オリザノール、フェルラ酸。
第2に本発明は上記スクラロース含有組成物からなる甘味料である。当該甘味料は水分含量の低い状態、すなわち固体状態で、熱安定性及び保存安定性に優れているため、それ自体を料理用甘味料や卓上甘味料などとして用いることができるほか、例えばケーキミックスや粉末飲料等のドライミックス製品の甘味料として用いることができる。
第3に本発明は、上記スクラロース含有組成物の製造方法に関する。スクラロース含有組成物中には上記の物質がスクラロースと共存する状態で混合されていればよいが、好ましくは均一に混合した状態であることが望ましく、本発明はとりわけかかる組成物の製造方法に関するものである。
第4に本発明は、上記スクラロース含有組成物を含む可食性製品に関するものである。当該可食性製品は、上記特定の物質の存在下におけるスクラロースの熱安定性に基づいて、製造、保存並びに流通などの過程で、甘味の低減や着色等といった問題が生じず、また良好な甘味を有するものである。スクラロースは特定の物質との共存下で水分含量の低い状態や低pH条件下での熱安定性に顕著に優れる特徴を有することから、かかる可食性製品としては、水分含量の低い状態または低pH条件下で加熱して製造される、例えばハードキャンディーやクッキー類、揚げ菓子等の食品をより顕著に有用な例として挙げることができる。
第5に本発明は、上記特定の物質についてスクラロースに対する各種用途を提供するものである。かかる用途として、具体的にはスクラロースの熱安定化向上剤としての用途、スクラロースの着色抑制剤としての用途、スクラロースの甘味向上剤としての用途を挙げることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明において用いられるスクラロースは、下式(I)で示されるようにショ糖分子内のフルクトース残基の1、6位およびグルコース残基の4位の三つの水酸基を塩素分子で置換した構造をしており(4,1′,6′トリクロロガラクトスクロース、化学名:1,6−dichloro−1,6−dideoxy−β−D−fructofuranosyl−4−chloro−4−deoxy−α−D−garactopyranoside)、ショ糖の約600倍の良質の甘味を示すノンカロリー且つ非う蝕性の高甘味度甘味料である(英国特許第1543167号)。
I.スクラロース含有組成物及びその製造方法
本発明は、前述するスクラロースが特定の物質との共存下で安定性が向上し、水分含量の多少に関わらず、加熱などの比較的苛酷な条件下でも着色などの不都合が生じず、また甘味(甘味度、甘味質)の低減が有意に抑制できて良好な甘味を保持することを見出したことに基づいて開発されたものである。
かかる特定の物質としては下記のものを挙げることができる:
(1)プリン塩基またはプリン塩基を構成成分とする化合物、(2)ピリミジン塩基またはピリミジン塩基を構成成分とする化合物、(3)フラボノイドまたはその配糖体、(4)ポリフェノール、(5)有機リン酸化合物、(6)ヒドロキシ酸またはその塩、(7)含硫黄化合物、(8)リグナン、(9)カロテノイドまたはその配糖体、(10)トコフェロール、(11)サポニン、(12)有機酸またはその塩、(13)無機塩(無機酸塩を含む)、(14)蛋白加水分解物、(15)アミノ酸類、(16)塩基性物質、(17)ポリオール化合物、(18)ポルフィリン化合物、(19)キレート剤、(20)メラノイジン、(21)レダクトン、(22)油脂、(23)リン脂質、(24)ブチルヒドロキシアニソールまたはブチルヒドロキシトルエン、(25)柑橘類果汁成分、(26)ベタインまたはイソベタニン、(27)ショウガオール、オリザノールまたはフェルラ酸。
本発明においてプリン塩基とは、プリンおよびはプリン核の任意位置が置換されてなるプリン誘導体を総称するものであり、具体的にはアデニン、グアニン、ヒポキサンチンを例示することができる。また本発明でいうプリン塩基を構成成分とする化合物には、プリン塩基を構成成分とするヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドが包含され、具体的にはアデノシン、グアノシン及びイノシン等のヌクレオシド;アデニル酸、グアニル酸、及びイノシン酸等のヌクレオチド;オリゴアデニル酸等のオリゴヌクレオチド;並びにポリアデニル酸等のポリヌクレオチドを例示することができる。なお、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは塩の形態であることができ、かかる塩としてはナトリウムやカリウムのアルカリ金属との塩が好適に例示される。なお、これらは1種単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
プリン塩基又はプリン塩基を構成成分とする化合物として好ましくは、イノシン、ヒポキサンチン、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸及びこれらヌクレオチドのナトリウム塩である。中でもイノシン酸やイノシン酸ナトリウムはスクラロースの高温保存によって生じる着色(褐変化や黒変化を含む)を抑制する効果に優れており、着色抑制剤として好適に用いることができる。
本発明においてピリミジン塩基とは、ピリミジンおよびはピリミジン核の任意位置が置換されてなるピリミジン誘導体を総称するものであり、具体的にはウラシル、シトシン、チミンを例示することができる。また本発明でいうピリミジン塩基を構成成分とする化合物には、ピリミジン塩基を構成成分とするヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドが包含され、具体的にはシチジン、ウリジン及びチミジン等のヌクレオシド;シチジル酸、ウリジル酸及びチミジル酸等のヌクレオチド;オリゴウリジル酸等のオリゴヌクレオチド;並びにポリウリジル酸等のポリヌクレオチドを例示することができる。なお、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは塩の形態であることができ、かかる塩としてはナトリウムやカリウムのアルカリ金属との塩が好適に例示される。なお、これらは1種単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
ピリミジン塩基又はピリミジン塩基を構成成分とする化合物として好ましくはシチジル酸、ウリジル酸及びこれらヌクレオチドのナトリウム塩である。
なお、本発明においては、上記プリン塩基、ピリミジン塩基及びこれらの塩基を構成成分とするヌクレオシドやヌクレオチド(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)として、核酸そのものや核酸を含む酵母抽出物などを使用することもできる。
本発明においてフラボノイドとは、2−フェニルクロモン骨格を持つ化合物を総称するものであり、具体的にはフラボノール、フラボン、イソフラボン、フラバノン、フラバノノール、カテキン、オーロン、ヘスペレチンおよびアントシアニジンを例示することができる。また本発明においては、上記フラボノイドに代えて若しくは上記フラボノイドと共に、これらのフラボノイドをアグリコンとして有する各種の配糖体を用いることもできる。かかるフラボノイド及びその配糖体として、より具体的には、クエルセチン、ミリセチン、ケルセチン及びモリンなどのフラボノール;クエルシトリン、インクエルシトリン、ミリシトリン及びルチン等のフラボノール配糖体;フラボン、アピゲニン及びルテオリンなどを包含するフラボン;ダイゼイン等のイソフラボン;ダイジン等のイソフラボン配糖体;ヘスペリチン等のフラバノン;ヘスペリジンやメチルヘスペリジン、ナリンジン等のフラバノン配糖体;フラバノノール;フラバノノール配糖体;カテキン配糖体;ベンザルクマラニオン等のオーロン;オーロン配糖体;フロアントシアニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジン;アントシアニンやペラルゴニン等のアントシアニジン配糖体を挙げることができる。
なお、これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。また本発明においてはこれらのフラボノイドまたはその配糖体を含むものであればよく、例えば赤キャベツ色素、ムラサキイモ色素及び紫コーン色素などの上記フラボノイドを含む色素を用いることができる。
上記フラボノイド又はその配糖体として、好ましくはクエルシトリンやミリシトリンといったフラボノール配糖体;ヘスペリジンやメチルヘスペリジンといったフラバノン配糖体;ペラルゴニンといったアントシアニジン配糖体である。
本発明においてポリフェノールとは、1分子中に水酸基を2個以上含むフェノールを総称するものである。具体的にはタンニン酸、タンニン、没食子酸、カテコール及びコーヒー酸などが例示できる。
なおこれらは塩の形態で使用することもでき、例えばナトリウムやカリウムのアルカリ金属との塩やマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属との塩を挙げることができる。またこれらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。本発明で用いられるポリフェノールとして、好ましくはタンニン酸、没食子酸及びカテコールである。
本発明において有機リン酸化合物としては、具体的にはフィチン酸、グリセロリン酸、リボフラビンリン酸エステル、デンプンリン酸エステル、及びこれらの塩を挙げることができる。塩としては、ナトリウムやカリウムのアルカリ金属との塩やマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属との塩を挙げることができるが、好ましくはナトリウム塩である。またこれらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。有機リン酸化合物として好ましくは、フィチン酸、グリセロリン酸、リボフラビンリン酸エステル、及びこれらの塩(特にナトリウム塩)である。
本発明においてヒドロキシ酸とは、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基を持つ化合物を総称するものであり、具体的には乳酸、グルコン酸、酒石酸、ケトグルコン酸、グリセリン酸、リンゴ酸及びクエン酸などを例示することができる。これらは塩の形態で使用することもでき、かかる塩としてはナトリウムやカリウムのアルカリ金属との塩やマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属との塩を挙げることができる。またこれらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは乳酸、乳酸カルシウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸及びリンゴ酸ナトリウムである。
本発明において含硫黄化合物とは分子内に硫黄を含む化合物の総称であり、具体的にはグルタチオン、メチオニン、システイン、シスチン、インジゴカルミンなどが例示できる。またこれらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはグルタチオン、インジゴカルミン、システイン、メチオニン及びインジゴカルミンであり、より好ましくはグルタチオン及びインジゴカルミンである。
本発明においてリグナンとは、2個のC6−C3単位から成る植物成分、具体的にはβ,γ−ジベンジルブタン骨格を有する植物由来の物質を総称するものであり、具体的にはゴマ種子成分であるセサミン、セサモリン、セサモール及びセサミノールなどが例示できる。またこれらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはセサモールである。本発明においてはリグナンそのものに代えて、リグナンを含有するものを使用することができ、かかるものとして例えばゴマ油を例示することができる。
本発明においてカロテノイドとは、黄色ないし赤色の色素(カロテノイド色素)で、多数の共役二重結合を含む脂肪族または脂環式のポリエン類を総称するものである。具体的には、α−カロチン、β−カロチン及びγ−カロチン等の各種カロチン、リコピン及びカプサイシンを例示することができる。好ましくは上記の各種カロチンである。また、本発明においては、カロテノイドの配糖体を使用することもでき、かかるものとしては、カロテノイドのクロセチンとグルコースとからなるクチナシ色素を挙げることができる。またこれらのカロテノイド及びその配糖体は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いられるトコフェロールには、α−、β−、γ−、及びδ−トコフェロール(各々d−体及びd1−体を含む)、並びにこれらの低級脂肪酸エステルが包含される。これらは1種単独で使用されても、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはβ−トコフェロール及びγ−トコフェロールである。
本発明で用いられるサポニンには、ステロイドサポニン(C27)とトリテルペノイドサポニン(C30)のいずれもが包含される。具体的にはジギトニンやジオスシンなどのステロイドサポニン、及びグリチルリチンや大豆サポニンなどのトリテルペノイドサポニンが例示できる。また、グリチルリチンとして、それを成分として含有する甘草若しくは甘草抽出物を使用することもできる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはグリチルリチンである。
本発明で用いられる有機酸としては、コハク酸、酢酸、フマル酸、イタコン酸、ケトグルタル酸、アジピン酸及びグルコン酸を挙げることができる。これらの有機酸は塩の形態で使用することもでき、かかる塩としてはナトリウムやカリウムのアルカリ金属との塩やマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属との塩を挙げることができる。またこれらは、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。またグルコン酸は、グルコノラクトンとして誘導体の形態で使用することもできる。好ましくは、酢酸、フマル酸、コハク酸及びこれらのナトリウム塩である。
本発明で用いられる無機塩には、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、硝酸、硫酸及び炭酸等の各種無機酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)およびアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩);塩化ナトリウムや塩化カリウムなどのアルカリ金属塩や塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩が包含される。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはリン酸、メタリン酸、ピロリン酸またはポリリン酸といった無機酸の塩、及び塩化ナトリウムである。より好ましくはリン酸塩、特にリン酸2ナトリウム、及び塩化ナトリウムである。
本発明において蛋白加水分解物とは、蛋白質を加水分解したものであればよく、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸等の混合物を挙げることができる。蛋白質の由来は問わず、動物由来の蛋白質であっても植物由来の蛋白質であってもよい。また、加水分解の程度は蛋白質のすべてがアミノ酸やアミノ酸の塩にまでなっていない範囲であればよく、本発明の効果を奏する限度において特に制限はない。蛋白加水分解物として、具体的にはカゼインホスホペプチド(α−CPP、β−CPP),カゼインマクロペプチド及びカゼインドデカペプチド等のカゼイン分解ペプチドや乳清蛋白質分解物などの動物蛋白質加水分解物、大豆蛋白の加水分解物である大豆ペプチドなどの植物蛋白質加水分解物が例示できる。好ましくはカゼイン分解ペプチド及び大豆ペプチドである。
本発明においてアミノ酸類とは、アミノ酸、オリゴアミノ酸(ペプチド)およびポリアミノ酸(ポリペプチド)及びアミノ酸の誘導体を総称するものである。具体的には、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、セリン及びグルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びトリプトファン等のアミノ酸;オリゴアミノ酸;ポリリジンなどのポリアミノ酸;トリメチルグリシンなどのべタイン(アミノ酸のトリアルキル置換体)等のアミノ酸誘導体;テアニン等が例示できる。
これらのアミノ酸は塩、酸付加物または水和物の形態であってもよく、かかるものとして例えばアルギニン・塩酸塩、グルタミン酸ナトリウムなどが例示できる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いられる塩基性物質には、カフェインなどのプリン塩基骨格を有するアルカロイド、ニコチンアミド、グルコサミン、キトサン、ピリドキシン塩酸塩、葉酸が含まれる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはカフェイン及びニコチンアミドである。
本発明においてポリオール化合物には、ジオール化合物およびポリオール化合物を総称するものであり、具体的にはアスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、イソアスコルビン酸、イノシトール、糖アルコールを例示することができる。また糖アルコールとしては、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチノース、ラクチトール、キシリトール、アラビトール、ガラクチトール、リビトール等が例示できる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明においてポルフィリン化合物には、プロトポルフィリン、ポルフィリン、クロロフィル、ビリベルジン及びピロールが包含される。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明においてキレート剤とは、金属イオンと結合してキレート化合物を形成する多座配位子を持つ化学物質を総称するものであり、具体的にはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのポリアミノカルボン酸及びその塩、ジメチルグリオキシムなどが例示できる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはEDTA及びそのナトリウム塩である。
本発明においてメラノイジンとは、還元糖とアミノ化合物からメラノイジン反応(別名、メイラード反応)によって生成する含窒素褐色物質である。
本発明においてレダクトンとは、チルマン(Tillman)試薬を還元脱色する強還元性物質の総称であり、エンジオールに隣接してカルボニル基を有する化合物をいう。具体的にはビタミンCやグルコレダクトンなどが挙げられる。
本発明において油脂とは、本発明の効果を奏する限度において特に制限はされないが、具体的に牛脂、豚脂、なたね油、コーン油、サフラワー油及びゴマ油などが例示される。好ましくはゴマ油である。
本発明においてリン脂質とは複合脂質の一つで、具体的にはホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン及びホスファチジルコリン、並びにこれらの加水分解物及びグリセロール付加物などが挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明において柑橘類果汁成分とは、カンキツ属(Citrus)、キンカン属(Fortunella)及びカラタチ属(Poncirus)に属する植物の果汁成分であり、具体的にはオレンジ果汁、レモン果汁、ユズ果汁などが例示される。果汁は果実の搾汁そのものでもよいが、ヘスペリジン等によって生じる濁りや沈殿を防止するためヘスペリジナーゼ等の酵素であらかじめ処理した果汁を用いることが好ましい。尚、果汁成分は、その形態を問わず液状でも、それを乾燥した固体状(粉末、顆粒など)でもよい。
本発明においてベタインまたはイソベタニンは、赤ビート(甜菜)より得られる赤色色素の成分である。本発明においてはベタインまたはイソベタニンとして、当該成分を主成分として含むビートレッド(ベタシアニン系色素)を用いることもできる。
本発明のスクラロース含有組成物として、具体的には次のものを挙げることができる。
(1)プリン塩基またはプリン塩基を構成成分とする化合物を含有する、スクラロース含有組成物。
(2)ピリミジン塩基またはピリミジン塩基を構成成分とする化合物を含有する、スクラロース含有組成物。
(3)フラボノイドまたはその配糖体を含有する、スクラロース含有組成物。
(4)ポリフェノールを含有する、スクラロース含有組成物。
(5)有機リン酸化合物を含有する、スクラロース含有組成物。
(6)ヒドロキシ酸またはその塩を含有するスクラロース含有組成物。
(7)含硫黄化合物を含有するスクラロース含有組成物。
(8)リグナンを含有するスクラロース含有組成物。
(9)カロテノイドまたはその配糖体を含有するスクラロース含有組成物。
(10)トコフェロールを含有するスクラロース含有組成物。
(11)サポニンを含有するスクラロース含有組成物。
(12)有機酸またはその塩を含有するスクラロース含有組成物。
(13)無機塩を含有するスクラロース組成物。
(14)蛋白加水分解物を含有するスクラロース組成物。
(15)アミノ酸類を含有するスクラロース含有組成物。
(16)塩基性物質を含有するスクラロース含有組成物。
(17)ポリオール化合物を含有するスクラロース含有組成物。
(18)ポルフィリン化合物を含有するスクラロース含有組成物。
(19)キレート剤を含有するスクラロース含有組成物。
(20)メラノイジンを含有するスクラロース含有組成物。
(21)レダクトンを含有するスクラロース含有組成物。
(22)油脂を含有するスクラロース含有組成物。
(23)リン脂質を含有するスクラロース含有組成物。
(24)ブチルヒドロキシアニソールまたはブチルヒドロキシトルエンを含有するスクラロース含有組成物。
(25)柑橘類果汁成分を含有するスクラロース含有組成物。
(26)ベタインまたはイソベタニンを含有するスクラロース含有組成物。
(27)ショウガオール、オリザノールまたはフェルラ酸を含有するスクラロース含有組成物。
また前述する特定の物質は、上記(1)〜(27)のように1種を単独でスクラロースと組み合わせてスクラロース含有組成物としてもよいし、またこれらの特定成分を2種以上任意に組み合わせてスクラロースに配合することもできる。
すなわち本発明のスクラロース含有組成物は、プリン塩基、プリン塩基を構成成分とする化合物、ピリミジン塩基、ピリミジン塩基を構成成分とする化合物、フラボノイド、フラボノイド配糖体、ポリフェノール化合物、有機リン酸化合物、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ酸塩、含硫黄化合物、リグナン、カロテノイド、カロテノイド配糖体、トコフェロール、サポニン、有機酸、有機酸塩、無機塩、蛋白加水分解物、アミノ酸類、塩基性物質、ポリオール化合物、ポルフィリン化合物、キレート剤、メラノイジン、レダクトン、油脂、リン脂質、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、柑橘類果汁成分、ベタイン、イソベタニン、ショウガオール、オリザノール及びフェルラ酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質を、スクラロースとともに含有する組成物である。
中でもプリン塩基を構成成分とする化合物(ヌクレオシド、ヌクレオチドまたはその塩)、有機リン酸化合物、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ酸塩、含硫黄化合物、サポニン、有機酸、有機酸塩、無機塩及びアミノ酸類からなる群から選択される1種または2種以上の物質をスクラロースとともに含有する組成物は、熱安定性(着色抑制効果、甘味低減抑制効果、味質向上効果)に優れており汎用性の高い組成物として有用である。上記物質として好ましくはイノシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウム、フィチン酸カルシウム、乳酸カルシウム、DL−メチオニン、アルギニン塩酸塩、グリチルリチン、グルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムを挙げることができる。
本発明のスクラロース含有組成物は、組成物中にスクラロースと上記物質の少なくとも1種が含まれていればよく、粉末状、顆粒状、固形状(錠剤、丸剤等)、液状といった剤型を問わない。好ましくは粉末状、顆粒状または固形状である。
当該組成物の調製方法は、特に制限されず、例えばスクラロースと上記物質の粉体同士を混合して粉体混合物として調製する方法、スクラロースの粉末又は顆粒に上記各物質を含有する溶液を噴霧して調製する方法、逆に上記各物質を含有する溶液をスクラロースの粉末又は顆粒に噴霧して調製する方法、スクラロースと上記各物質を混合して溶液中に分散させてスラリー状に調製した後、押し出し造粒する方法、及びスクラロースと上記各物質を混合溶解した溶液を乾燥して調製する方法などを挙げることができる。なお、上記乾燥は任意の方法で行うことができ、例えばスプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥など種々の方法を挙げることができる。
好ましいスクラロース含有組成物は、スクラロースと上記各物質を混合して水溶液に調製するか、若しくはスクラロース水溶液と各物質の水溶液を混合した後、該混合溶液を乾燥して得られる粉末状、顆粒状または固形状の組成物である。
スクラロース含有組成物中のスクラロース及び各種物質の配合割合は、特に制限されず本発明の効果を奏する範囲において適宜選択することができる。例えば、該組成物中に含まれる上記各種物質のスクラロースに対する配合割合は、スクラロース1重量部に対して0.0001重量部以上、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上である。上限値は、使用する物質自体の味や香味による影響など、他の要因から制限されるものの、本発明の効果の上では特に制限されない。スクラロースの配合割合は特に制限されない。
本発明に係るスクラロース含有組成物には、本発明の効果を損なわないことを限度に、例えばスクラロース及び上記特定の物質以外に、他の甘味料、香料、防腐剤、安定化剤等といった成分を含んでいてもよい。
なお、ここで他の甘味料としては、従来公知若しくは将来知られ得る甘味成分を挙げることができ、具体的には、α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、N−アセチルグルコサミン、アラビノース、アリテーム、イソトレハロース、イソマルチトール、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース等)、エリスリトール、オリゴ−N−アセチルグルコサミン、ガラクトース、ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、ガラクトピラノシル(β1−3)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−3)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−6)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−6)グルコピラノース、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、キシリトール、キシリトール、キシロース、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオース等)、グリセロール、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、グルコース、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース等)、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクロース、スタキオース、ステビア抽出物、ステビア末、ズルチン、ソルビトール、ソルボース、タウマチン(ソーマチン)、テアンデオリゴ、テアンデオリゴ糖、テンリョウチャ抽出物、トレハルロース、トレハロース、ナイゼリアベリー抽出物、ニゲロオリゴ糖(ニゲロース等)、ネオテーム、ネオトレハロース、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、パラチニット、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、パラチノースシロップ、フコース、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストース等)、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、フラクトフラノシルニストース、ブラジルカンゾウ抽出物、フルクトース、ポリデキストロース、マルチトール、マルトース、マルトシルβ−サイクロデキストリン、マルトテトライトール、マルトトリイトール、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、テトラオース、ペンタオース、ヘキサオース、ヘプタオース等)、マンニトール、ミラクルフルーツ抽出物、メリビオース、ラカンカ抽出物、ラクチトール、ラクチュロース、ラクトース、ラフィノース、ラムノース、リボース、異性化液糖、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウ、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、大豆オリゴ糖、転化糖、水飴、蜂蜜等の甘味成分が例示できる。
例えばこれらの甘味料を更に含有する本発明のスクラロース含有組成物としては、例えば次のものを挙げることができる。
▲1▼スクラロース、上記特定物質の少なくとも1種及びショ糖を含有するシロップを不活性ガスとともに噴霧乾燥した後、さらにショ糖結晶と接触させて調製されるスクラロース含有組成物;▲2▼還元パラチノースを賦形剤として用いて、スクラロースと上記特定物質の少なくとも1種を含む組成物を造粒して得られるスクラロース含有組成物;▲3▼オリゴ糖類にスクラロースと上記特定物質の少なくとも1種を含む組成物を添着又は被覆して得られるスクラロース含有組成物;▲4▼ラクチトールを賦形剤として用いて、スクラロースと上記特定物質の少なくとも1種を含む組成物を造粒顆粒化して得られるスクラロース含有組成物;▲5▼エリスリトール結晶の表面をスクラロースと上記特定物質の少なくとも1種を含む組成物(更に、ゼラチンやローカストビーンガムなどの糊料をバインダーとして含有していてもよい)で被覆して調製されるスクラロース含有組成物;▲6▼スクラロースと上記特定物質の少なくとも1種を含む組成物を添加配合したエリスリトールの過飽和水溶液から晶出法より晶出調製されるスクラロース含有組成物;▲7▼スクラロース、上記特定物質の少なくとも1種、及びエリスリトールを含有する水溶液をスプレードライして調製されるスクラロース含有組成物;▲8▼エリスリトールの高濃度水溶液又は加熱溶融液にスクラロースと上記特定物質の少なくとも1種を含有する組成物を添加配合し、これを練合、晶出して得られた固形物を粉砕することによって調製されるスクラロース含有組成物。
本発明のスクラロース含有組成物は、甘味料として通常使用される砂糖やその他の甘味料に代替する目的で、それ自身調理用甘味料又は卓上甘味料として用いることができるとともに、あらゆる可食性製品(例えば、食品、経口医薬品、口内清涼剤、口内洗浄剤、歯磨き剤等)の甘味料としてそれらに配合して用いることができる。
本発明のスクラロース含有組成物は、その水分含量の多少にかかわらず、熱安定性に優れており、製造、保存、流通及び陳列時に受け得る苛酷な温度条件下でも良質な甘味度及び甘味質を保持し、着色(褐変化や黒変化を含む)などの不都合な現象を生じないことを特徴とするものである。本発明者らの研究によって、スクラロースそれ自体は溶液状態では比較的安定であるのに対し、水分含量の少ない固体状態ではその熱安定性が損なわれ、加温状態で甘味が低下したり、着色するなどの不都合が生じることがわかっている。本発明のスクラロース含有組成物は、水分含量の少ない固体状態においても優れた熱安定性を備える点で、上記スクラロースの短所を改善し、より一層取り扱い易く汎用性を高めたものである。
本発明のスクラロース含有組成物は、前述するようにその製剤形態及び使用態様を特に制限するものではなく、固体状、液状並びに半固体状のいずれの形態で使用することができるが、上記性質から、水分含量の少ない状態で用いられる場合に、スクラロースを単独で使用する場合と有意に異なって、より顕著な熱安定化効果(着色防止、甘味劣下防止)が得られることから、固定状態での使用に特に有用である。なお、上記水分含量の少ない状態とは、通常水分含量が全体の20重量%以下、特に15重量%以下の状態を意味するが、本発明のスクラロース含有組成物がより顕著な効果を奏する水分含量としては5重量%以下を挙げることができる。
II.スクラロース含有組成物を含む可食性製品
本発明のスクラロース含有組成物は、甘味が求められる可食性製品の調製に用いることができる。従って、本発明は前述するスクラロース含有組成物、具体的にはスクラロースと上記特定の物質を含有する可食性製品に関する。
なお、本発明が対象とする可食性製品には、経口的に摂取される製品並びに口内で利用される製品が広く含まれ、例えば調味料、塩蔵品及び菓子や飲料を含む各種の食品;糖衣錠、ドロップ剤、トローチ剤、口腔・喉スプレー剤及びシロップ剤を含む経口用医薬品;並びにマウススプレー等の口内清涼剤、マウスウォッシュ,うがい剤及び歯磨き等の口内殺菌又は口内洗浄剤などの医薬品部外品等を挙げることができる。
具体的な食品としては、特に制限はされないが、各種の果汁を含む果実飲料又は野菜ジュース、コーラやジンジャエール又はサイダー等の炭酸飲料、スポーツドリンク等の清涼飲料水、コーヒー、紅茶や抹茶等の茶系飲料、ココアや乳酸菌飲料等の乳飲料などの飲料一般;ヨーグルト、ゼリー、プディング及びムース等のデザート類:ケーキや饅頭等といった洋菓子及び和菓子を含む焼菓子や蒸菓子、スナック菓子等の製菓:アイスクリームやシャーベット等の冷菓並びに氷菓:その他、チューイングガム、ハードキャンディー、ヌガーキャンディー、ゼリービーンズ等を含む菓子一般;調理用甘味料や卓上甘味料などの粉末、顆粒状若しくは固形状(粒、錠剤)のドライ甘味料、その他各種調味料;ケーキミックス、プリンミックス及びババロアミックス等の粉末菓子調合ミックスや粉末飲料等のドライミックス製品;果実フレーバーソースやチョコレートソースを含むソース類;バタークリームや生クリーム等のクリーム類;イチゴジャムやマーマレード等のジャム;菓子パン等を含むパン;焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼き等に用いられるタレやトマトケチャップ等のソース類;蒲鉾等の練り製品、レトルト食品、漬け物、佃煮、総菜並びに冷凍食品等を含む農畜水産加工品を広く例示することができる。
これらの可食性製品に用いられる本発明のスクラロース含有組成物の量は、可食性製品に所望の甘味を付与するために有効な量であればよく特に制限されない。甘味は対象とする可食性製品の種類、可食性製品に含まれる他の成分、並びに甘味の個々の嗜好性等の要因によって種々変動し得るものであるため、本発明のスクラロース含有組成物の配合量も、最終可食性製品において所望の呈味を得るために、当業者の通常の能力に応じて裁量的に変化して用いることができる。
本発明のスクラロース含有組成物は、その改善された熱安定性に基づいて、とりわけ製造工程で高温で加熱される可食性製品の甘味料として、特に水分含量が少ない状態か、及び/又は酸性条件下で加熱処理される可食性製品(好ましくは食品)の甘味料として有用である。
スクラロースは本来熱安定性のある化合物であるが、加熱処理、特に水分含量の少ない状態や低pH条件といった苛酷な条件下での加熱処理によって熱安定性が悪くなり、甘味が劣下(低減)したり着色現象を生じたりする。本発明のスクラロース含有組成物は、かかるスクラロースの熱安定性を改善してより一層強化向上させたものであり、ゆえに上記苛酷な加熱条件で製造される可食性製品に配合されても甘味の劣下(低減)や着色等の不都合が生じず、良質な味や品質を備えた可食性製品を調製することが可能である。またスクラロースは、中性〜アルカリ性(高pH)の条件下では安定であるが、酸性(低pH)条件下では比較的不安定である。本発明のスクラロース含有組成物は、かかるスクラロースの低pH条件下での安定性を改善したものであり、ゆえに低pH条件下で長期保存される食品や加熱処理される可食性製品の甘味料として有用である。
かかる可食性製品としてはハードキャンディーを好適に挙げることができる。ハードキャンディーは原料である液糖を溶かし更にその流動性を担保するために加熱処理され、しかも液糖は水分含量が概ね3%以下になるまで煮詰められた状態で加熱されて製造されるが、本発明のスクラロース含有組成物の使用によれば、甘味の劣下(低減)や着色等の不都合が生じることなく良質なキャンディーを調製することが可能である。なお、ハードキャンディーは、そのpHを特に問うものではなく、酸性〜中性〜アルカリ性のいずれのpHを有することができるが、上記本発明のスクラロース含有組成物の効果の点からいえば、レモン、オレンジ及びストロベリーなどのフルーツ味、ヨーグルト味、コーラ味等、酸味を必要とする酸性のハードキャンディー、特にpH2〜5のハードキャンディーを好適に挙げることができる。
かかるハードキャンディーにスクラロースとともに配合する特定物質としては、前述する特定物質がいずれも用いることができるが、好ましくは塩の態様での使用である。
ここで塩とは、酸に含まれている一つ以上の解離しうる水素イオンを金属イオンやアンモニウムイオンなどの陽イオンに置換した化合物の総称を意味し、酸と塩基の中和によって生じるものである。当該塩には酸の水素イオンが完全に他の陽イオンで置き換えられた正塩;水素イオン(H+)を含む酸性塩、水酸基(OH−)または酸素イオン(O2−)を含む塩基性塩;単一の塩からなる単塩;2種類以上の塩で構成されている複塩;錯イオンを含む錯塩;水和物(含水塩);無水塩;などの全ての塩が含まれる。
具体的には本発明のハードキャンディーにスクラロースと用いられる物質としては、プリン塩基を有するヌクレオチドの塩、好ましくはイノシン酸の塩;有機リン酸化合物であるフィチン酸の塩;ヒドロキシ酸であるクエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、ケトグルコン酸及びグリセリン酸の塩;有機酸である酢酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、ケトグルタル酸、イタコン酸及びパントテン酸の塩;無機酸であるリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、硝酸、硫酸、炭酸及び塩酸の塩;を挙げることができる。好ましくはイノシン酸、フィチン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸及びピロリン酸といった各酸の塩である。
ここで塩の塩基成分としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、並びにカルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属が挙げられるが、好ましくはナトリウム、カリウム及びカルシウムである。
スクラロースとともに用いられる上記各種塩として、より好ましくはクエン酸三ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸三カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、乳酸カルシウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム及びイノシン酸ナトリウムである。
上記各種塩は1種単独で用いられても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
ハードキャンディーにスクラロースとともに配合する上記各種物質の配合割合は、当該物質の種類によって異なり一概に規定することはできないが、例えば、上記物質としてクエン酸三ナトリウム又は乳酸カルシウムを用いる場合、ハードキャンディー100重量部に対して0.001重量部以上の割合で用いることができる。好ましくは0.005重量部以上、さらに好ましくは0.02重量部以上である。上限値は特定の物質自体の味の影響など他の要因から制約されるものの、本発明の効果の観点からは特に制限はない。スクラロースの配合量は、キャンディーに所望の甘味を付与する観点からはハードキャンディー100重量部に対して概ね0.001〜0.2重量部の割合を挙げることができる。
なお、本発明のハードキャンディーは、スクラロースと上記各種の物質の少なくとも1種を必須成分として含有するものであれば特に制限されず、他成分として、各種の糖質や一般にハードキャンディーに配合される食品添加物、例えば香料(精油を含む)、色素等を配合することもできる。
本発明のハードキャンディーは、その中にスクラロースと上記物質が共存状態にあればよく、製造工程におけるスクラロースと上記物質の配合時期や配合方法は特に制限されるものではない。好ましくは、スクラロースの配合前に上記物質を予め配合するか、両者を同時に配合することによって、常にスクラロースが上記物質と共存状態にあるようにするのが望ましい。なお、上記物質は、ハードキャンディーの原料を加熱処理する際に該原料に含まれていればよく、その添加時期を問わない。ただし、使用する物質によっては、煮詰め工程で褐変することがあるので、褐変化が好ましくないハードキャンディーの製造には、上記物質を煮詰め工程後に添加することが好ましい。また、上記物質は、そのもの自体をハードキャンディーの原料に添加する方法のほか、乳製品や果汁などの上記物質を含有する食品素材を上記原料に配合する方法を採ることもできる。
本発明のハードキャンディは、上記の点を除いて、一般的にハードキャンディーの製造に使用される通常の方法を用いて製造することができる。具体的には、砂糖、水飴、各種糖アルコールなどの任意の糖質を水に混合溶解して、常温または減圧下で水分含量が概ね3%以下になるまで煮詰め、生地の充填や成形に必要な流動性が得られる高温状態を保持しながら、スクラロース及び上記物質の少なくとも1種、また必要に応じて各種の酸味料、香料及び色素等の副原料を添加混合し、容器などの型に充填して成形し、冷却固化する方法が例示される。なお、ハードキャンディーの生地について充填や成形に必要な流動性が得られる温度は、概ね100〜160℃である。生地を型に充填し成形する方法も常法に従って行うことができ、具体的にはデポジット法やスタンピング法を用いることができる。
なお、スクラロースの添加は、たとえば25%などの任意濃度に調整した水溶液により行うことが望ましい。また、酸性、特にpH2〜5を示すハードキャンディーのpH調整も常法に従って行うことができる。特に酸性のハードキャンディーでは、スクラロースに上記物質を共存させることによって、顕著にスクラロースの熱安定性を向上させることができ、本発明は特に酸性のハードキャンディーに有用である。
本発明によれば、ハードキャンディーの製造に必須の工程である高温加熱条件下での煮詰処理の下でも、上記物質存在下でのスクラロースの熱安定性に基づいて甘味の低減や着色などといった現象が生じず、良質なスクラロース含有ハードキャンディーを提供することができる。また本発明によれば、スクラロースに上記物質を共存させることによって特に酸性域でのスクラロースの熱安定性を顕著に改善し向上させることができるため、本発明のスクラロース含有組成物は、特に酸性のハードキャンディーの甘味料として有利に用いられる。
III.スクラロースの熱安定性向上方法
前述するように、上記特定の物質は、スクラロースと共存させることによって、高温条件下、水分含量の少ない条件または低pH条件等の苛酷条件下での加熱や加温状態での長期保存などによって生じる、スクラロースの甘味(甘味度・甘味質)の低下や着色(褐変化、黒変化)といった不都合な現象を有意に抑制することができる。
即ち、本発明は上記各種の物質について、スクラロースの熱安定性向上剤としての新たな用途を提供するものである。また、本発明は上記の物質の少なくとも1種とスクラロースを共存させることからなる、スクラロースの熱安定性向上方法を提供するものである。
なお、スクラロースの熱安定性が向上する結果、加熱処理や加温状態での保存時に生じる着色(褐変化、黒変化)が抑制されることから、本発明の上記熱安定性向上剤及び熱安定性向上方法は、着色抑制剤(褐変・黒変防止剤)及び着色抑制方法(褐変・黒変防止方法)と規定することもできる。
すなわち、本発明は、別の局面から、前述する各種の物質について、スクラロースの着色抑制剤(褐変・黒変防止剤)としての新たな用途を提供するものであり、また上記の物質の少なくとも1種とスクラロースを共存させることからなるスクラロースの着色抑制方法(褐変・黒変防止方法)を提供するものである。
熱安定性向上剤としてスクラロースと共存させる物質は、前述する各種物質であれば特に制限されずこれらを任意に使用することができるが、中でも好ましくはプリン塩基を構成成分とする化合物(ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはその塩)、有機リン酸化合物、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ酸塩、含硫黄化合物、サポニン、有機酸、有機酸塩、無機塩及びアミノ酸類である。これらは1種単独で用いられても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。また上記塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられるが、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩が好ましい。より具体的にはイノシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウム、フィチン酸カルシウム、乳酸カルシウム、メチオニン、アルギニン塩酸塩、グリチルリチン、グルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムを挙げることができる。
本発明の熱安定化効果を奏するための上記物質のスクラロースに対する使用割合は、特に制限されないがスクラロース1重量部に対して0.0001重量部以上、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であればよく、上限値は用いる物質自体の味の影響など他の要因から制限されるものの、本発明の効果を奏する観点からは特に制限はされない。
また着色抑制剤としてスクラロースと共存させる物質についても、前述する各種物質であれば特に制限されずこれらを任意に使用することができる。中でも好ましくはプリン塩基を構成成分とする化合物(ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはその塩)、有機リン酸化合物、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ酸塩、含硫黄化合物、サポニン、有機酸、有機酸塩、無機塩及びアミノ酸類である。これらは1種単独で用いられても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。また上記塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられるが、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩が好ましい。より具体的にはイノシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウム、フィチン酸カルシウム、乳酸カルシウム、メチオニン、アルギニン塩酸塩、グリチルリチン、グルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムを挙げることができる。
本発明の着色抑制効果を奏するための上記物質のスクラロースに対する配合割合は、特に制限されないがスクラロース1重量部に対して0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であればよく、上限値は用いる物質自体の味の影響など他の要因から制限されるものの、本発明の効果を奏する観点からは特に制限はない。
前記熱安定化方法も着色抑制方法も、スクラロースと上記物質との共存態様や共存させる方法は特に制限されず、例えばスクラロースと上記物質の粉体同士を混合して粉体混合物とする方法、スクラロースの粉末又は顆粒に上記物質の少なくとも1種を含有する溶液を噴霧する方法、逆に上記物質を含有する溶液をスクラロースの粉末又は顆粒に噴霧する方法、スクラロースと上記物質を混合して溶液中に分散させてスラリー状に調製した後、押し出し造粒する方法、及びスクラロースと上記各物質を混合溶解した溶液を乾燥する方法のほか、食品等の製造工程において食品原料にスクラロースと上記物質を別個もしくは同時に添加配合する方法などを挙げることができる。
熱安定化及び着色抑制化の対象とするスクラロースは、その形態やその存在態様を特に制限されないが、前述するスクラロースの性質に鑑みれば、例えば固体状態など、水分含量の少ない状態下(例えば水分含量20重量%以下、特に15重量%以下)に置かれうるスクラロース、または低pH条件下に置かれ得るスクラロース、その他苛酷な加熱条件下に置かれうるスクラロース、加温状態での長期保存状態に置かれ得るスクラロースなどを好適に挙げることができる。
本発明によれば、上記の特定の物質をスクラロースと共存させることによって、スクラロースの熱安定性をより一層向上させて、スクラロースそのものでは不安定で甘味の劣下や着色が生じていた固体状態下や低pH条件下での加熱処理、苛酷な条件下での加熱処理などに対しても十分な熱耐性を付与することができる。
IV.スクラロースの甘味向上方法
上記特定の物質は、スクラロースに熱安定性(熱耐性)を付与するだけでなく、スクラロースに配合することによって、スクラロースの甘味度を相乗的に向上させ、また甘味質を一層改善させる効果をも奏するものである。
本発明は上記各種の物質について、スクラロースの甘味向上剤としての新たな用途を提供するものであり、また、上記の物質の少なくとも1種とスクラロースを共存させることからなるスクラロースの甘味向上方法を提供するものである。
甘味向上剤としてスクラロースと共存させる物質についても、前述する各種物質であれば特に制限されずこれらを任意に使用することができる。中でも好ましくはプリン塩基を構成成分とする化合物(ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはその塩)、有機リン酸化合物、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ酸塩、含硫黄化合物、サポニン、有機酸、有機酸塩、無機塩及びアミノ酸類である。これらは1種単独で用いられても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。また上記塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられるが、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩が好ましい。より具体的にはイノシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウム、フィチン酸カルシウム、乳酸カルシウム、メチオニン、アルギニン塩酸塩、グリチルリチン、グルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムを挙げることができる。
本発明の甘味向上効果を奏するための上記物質のスクラロースに対する配合割合は、特に制限されないがスクラロース1重量部に対して0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であればよく、上限値は用いる物質自体の味の影響など他の要因から制限されるものの、本発明の効果を奏する観点からは特に制限はない。
スクラロースと上記物質との共存態様や共存させる方法は特に制限されず、例えばスクラロースと上記物質の粉体同士を混合して粉体混合物とする方法、スクラロースの粉末又は顆粒に上記物質の少なくとも1種を含有する溶液を噴霧する方法、逆に上記物質を含有する溶液をスクラロースの粉末又は顆粒に噴霧する方法、スクラロースと上記物質を混合して溶液中に分散させてスラリー状に調製した後、押し出し造粒する方法、及びスクラロースと上記各物質を混合溶解した溶液を乾燥する方法のほか、食品等の製造工程において食品原料にスクラロースと上記物質を別個もしくは同時に添加配合する方法などを挙げることができる。
甘味向上の対象とするスクラロースは、その形態やその存在態様を特に制限されず、固体状(粉末、顆粒、固形)、液状、半固体状などを広く挙げることができる。
本発明によれば、上記の特定の物質をスクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味度を相乗的に向上させて、また甘味質をより一層優れたものにすることができる。従って、スクラロースとこれらの物質を含有する組成物は、甘味質の優れた高甘味度甘味料として有用である。
実 施 例
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例において特に言及しない限り、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を意味する。また各処方中の各成分の配合割合は、特に言及しない限り、重量部で示すものとする。
実施例1
スクラロース(粉体)1部にイノシン酸ナトリウム(粉体)を<表−1>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部に調製し、粉末状のスクラロース含有組成物を得た(粉体混合物)。次いで、この組成物を120℃のオーブン(パーフェクトオーブン:タバイ(株)製)で1時間加熱した。得られたスクラロース含有組成物の甘味を調べて、スクラロースの熱安定性を評価した。また比較としてイノシン酸ナトリウムを配合しないでスクラロースとデキストリンからなる組成物についても同様に熱安定性を評価した。
なおスクラロースの熱安定性は、テスト試料(スクラロース含有組成物)をスクラロース含量に応じて適度の濃度になるように水で希釈し、その水溶液の甘味の強度および質を20名のパネラーが官能試験することにより評価した。評価は、各テスト試料の加熱処理前(未加熱処理)のものをコントロールとして、その甘味度および甘味質に対する加熱後の変化を下記の基準に従って、テスト試料毎に得点を付けることによって行った(以下の特記なき実施例において同じ)。
その結果、イノシン酸ナトリウム無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、イノシン酸ナトリウムを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにイノシン酸ナトリウムを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例2
スクラロース(粉体)1部にグアニル酸ナトリウム、アデニル酸ナトリウム、シチジル酸ナトリウムまたはウリジル酸ナトリウム(全で粉末状)をそれぞれ0.1部添加し、デキストリンで計100部に調製し、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱した。得られたスクラロース含有組成物について、実施例1と同様にして甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。また比較として、上記のヌクレオチド塩を配合しないでスクラロースとデキストリンからなる組成物についても同様に熱安定性を評価した(無添加)。結果を<表−2>に示す。
その結果、ヌクレオチド塩無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、グアニル酸ナトリウム、アデニル酸ナトリウム、シチジル酸ナトリウムまたはウリジル酸ナトリウムを添加することによりその低下が顕著に抑制できた。
実施例1及び2の結果から、イノシン酸、グアニル酸、アデニル酸、シチジル酸及びウリジル酸のナトリウム塩などのヌクレオチドの塩は、スクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例3
スクラロース(粉体)1部にヒポキサンチン、イノシンまたはイノシン酸ナトリウム(全て粉末状)をそれぞれ0.1部添加し、デキストリンで計100部になるように調製してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、次いで実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。また比較として、上記のヒポキサンチン等の物質を配合しない組成物(比較1)、及び上記物質に代えて核酸を構成する糖(リボース)を配合する組成物(比較2)について同様に熱安定性を評価した。結果を<表−3>に示す。
その結果、無添加の場合(比較1)には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下し、また核酸構成糖であるリボースを配合してもその低下を抑制することはできなかった(比較2)。しかし、核酸のプリン塩基成分であるヒポキサンチンやプリン塩基を有するヌクレオシドであるイノシンやヌクレオチドであるイノシン酸のナトリウム塩を添加した場合には、その低下が顕著に抑制できた。この結果から、核酸の塩基成分やそれを含むヌクレオシドおよびヌクレオチドにスクラロースに対する顕著な安定化作用があることが示された。
実施例4
スクラロース(粉体)1部にイノシン酸ナトリウム(粉体)0.1部を添加し、デキストリンで計100部となるように調製し、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は前記粉体混合物を水に溶かし噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は前記粉体混合物を水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)。なお比較のためイノシン酸ナトリウムを含まないスクラロース含有組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1に従って、得られたスクラロース含有組成物の甘味を調べて、スクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−4>に示す。
その結果、イノシン酸ナトリウムを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例5
パラチニット100部、水30部、スクラロース0.2部及びイノシン酸ナトリウム0.016部を混合して調製した糖液を150℃で煮詰め、ハードキャンディー(本発明品)をつくった。また比較のため、イノシン酸ナトリウムを配合しない以外は上記と同様にしてハードキャンディー(比較品)を作成した。得られた各キャンディーを水にて固形分50重量%となるように希釈溶解した精液の甘味(強さ、質)を、上記糖液処方においてイノシン酸ナトリウムを除いた成分を同様に配合して水にて50重量%になるように調製した糖液(非加熱)の甘味をコントロールとして比較して、イノシン酸ナトリウムのスクラロースに対する熱安定化作用を評価した。結果を<表−5>に示す。
イノシン酸ナトリウムを添加しないで調製したハードキャンデー(比較品)は、甘味の強さ質ともに有意な低下が認められたのに対し、イノシン酸ナトリウムを添加して調製した本発明のハードキャンデーは加熱による甘味の劣下がなく極めて良好な甘味を維持していた。この結果から、これからヌクレオチドの塩であるイノシン酸ナトリウムをスクラロースと共存させることによって、水分含量の少ない状態での極度の加熱においてもスクラロースを安定化でき、良好な甘味(強さ・質)を維持できることが示された。
実施例6
薄力粉100部、還元水飴45部、重炭酸ナトリウム0.6部、マーガリン50部、卵黄10部、香料0.4部及びスクラロース0.02部からなる組成物に、グアニル酸ナトリウムを0.002部添加、混合し、得られた生地を伸ばしてオーブンで170℃、40分間焼成し、本発明のクッキー(本発明品)を得た。また比較のため、グアニル酸ナトリウムを配合しない以外は上記と同様にしてクッキー(比較品)をつくった。得られたグアニル酸ナトリウムを配合したクッキー(本発明品)の甘味の強さ、質を評価点5としてグアニル酸ナトリウムを配合しないクッキー(比較品)の甘味の強さ、質を評価して、グアニル酸ナトリウムのスクラロースに対する熱安定化作用を評価した。結果を<表−6>に示す。
グアニル酸ナトリウムを添加しないで調製したクッキーは、甘味の強さ質ともに低下が認められたのに対し、グアニル酸ナトリウムを添加して調製した本発明のクッキーは所期の良好な甘味を有しており、熱安定性に優れていることがわかった。
実施例7
スクラロース(粉体)1部にクエルシトリン(粉体)を<表−7>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いで、この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−7>に合わせて示す。
その結果、クエルシトリン無添加の場合は加熱によってスクラロースの甘味が強さ質とともに有意に低下したが、クエルシトリンを添加するとその低下は有意に抑制できた。この結果からスクラロースにクエルシトリンを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さ質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例8
スクラロース(粉体)にメチルヘスペリジン、赤キャベツ色素(フラボノイド系色素)、及びビートレッド(ベタシアニン系色素)(以上全て粉体)をそれぞれ0.1部づつ添加し、デキストリンで計100部となるように調製してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−8>に示す。
その結果、無添加の場合は加熱によって甘味が強さ質ともに有意に低下したが、メチルヘスペリジン、赤キャベツ色素またはビートレッドを添加した場合には、その低下が有意に抑制できた。
実施例7及び8の結果から、クエルシトリン、メチルヘスペリジン及び赤キャベツ色素等のフラボノイド及びフラボノイド配糖体、並びにビートレッド(べタシアニン系色素)は、スクラロースの甘味を強さ質ともに安定化させる作用(熱安定化作用、熱耐性作用)があることがわかった。
実施例9
スクラロース(粉体)1部にミリシトリン(粉体)0.1部を添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かし噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、また残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)。なお、比較としてミリシトリンを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1に従って、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果<表−9>に示す。
その結果、ミリシトリンを配合することとによって、製法に関わらずスクラロース含有組成物の甘味は強さ質ともに加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例10
スクラロース(粉体)1部にタンニン酸(粉体)を表−10に示す割合で添加し、デキストリンで計100部に調製して、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−10>に示す。
その結果、タンニン酸無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、タンニン酸を添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにタンニン酸を共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例11
スクラロース1部(粉体)に没食子酸またはコーヒー酸(いずれも粉体)をそれぞれ0.1部添加し、デキストリンで計100部となるように調製しスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−11>に示す。
その結果、無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、没食子酸またはコーヒー酸を添加することによってその低下が顕著に抑制できた。
実施例10と11の結果から、タンニン酸、没食子酸及びコーヒー酸等のポリフェノールには、スクラロースの甘味を強さ質ともに安定化させる作用があることがわかった。
実施例12
スクラロース(粉体)1部に没食子酸(粉体)0.1部を添加し、デキストリンで計100部となるように調製し、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かし噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)。なお比較として没食子酸を含まない以外は上記と同様にしてスクラロース含有組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べて、スクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−12>に示す。
その結果、没食子酸を配合することによって、製法に関わらず、スクラロースの甘味は強さ質ともに加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製されたスクラロース含有組成物は、より優れた熱安定性を有していた。
実施例13
スクラロース(粉体)1部にフィチン酸ナトリウム(粉体)を表−13に示す割合で添加し、デキストリンで計100部に調製し、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いで、この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べて、スクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−13>に示す。
その結果、フィチン酸ナトリウム無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、フィチン酸ナトリウムを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにフィチン酸ナトリウムを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例14
スクラロース(粉体)1部にグリセロリン酸ナトリウム(粉体)またはリボフラビンリン酸エステルナトリウム(粉体)をそれぞれ0.1部添加し、デキストリンで計100部に調製し、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−14>に示す。
その結果、無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、グリセロリン酸ナトリウムまたはリボフラビンリン酸エステルナトリウムを添加することによりその低下が顕著に抑制できた。
実施例13及び14の結果から、フィチン酸、グリセロリン酸及びリボフラビンリン酸エステルのナトリウム塩などの有機リン酸化合物を、スクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例15
スクラロース(粉体)1部にグリセロリン酸ナトリウム(粉体)0.1部を添加し、デキストリンで計100部に調製し、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かし噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)。なお比較としてグリセロリン酸ナトリウムを含まないスクラロース含有組成物を作成した(粉体混合物)。これら組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べて、スクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−15>に示す。
その結果、グリセロリン酸ナトリウムを配合することによって、製法に関わらず、スクラロースの甘味は強さ質ともに加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製されたスクラロース含有組成物は、より優れた熱安定性を有していた。
実施例16
スクラロース(粉体)1部にグルタチオン、システイン又はインジゴカルミン(いずれも粉体)をそれぞれ0.1部添加し、デキストリンで計100部に調製してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−16>に示す。
その結果、無添加の場合は加熱によって甘味が強さ質ともに有意に低下したが、グルタチオン、システイン又はインジゴカルミンを添加すると、その低下が有意に抑制できた。
実施例17
スクラロース(粉体)1部にメチオニン(粉体)0.1部添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合)とし、他の一部は水に溶かし噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)。なお比較のためメチオニンを含まないスクラロース含有組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−17>に示す。
その結果、メチオニンを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例16及び17の結果から、グルタチオン、システイン、インジゴカルミン及びメチオニン等の含硫黄化合物は、スクラロースの甘味を強さ質ともに安定化させる作用(熱安定化作用、熱耐性作用)があることがわかった。
実施例18
スクラロース(粉体)1部に乳酸カルシウム(粉体)を表−18に示す割合で添加し、デキストリンで計100部としてスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いで、この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べて、スクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−18>に示す。
その結果、乳酸カルシウム無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、乳酸カルシウムを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースに乳酸カルシウムを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例19
スクラロース(粉体)1部にグルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウム(いずれも粉体)をそれぞれ0.1部添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にしてその甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−19>に示す。
その結果、無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸又はクエン酸のナトリウム塩を添加することによりその低下が顕著に抑制できた。
実施例18及び19の結果から、乳酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸及びクエン酸のなどのヒドロキシ酸の塩を、スクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例20
スクラロース1部に乳酸ナトリウム0.1部添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かし噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)。なお比較のため乳酸ナトリウムを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−20>に示す。
その結果、乳酸カルシウムを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例21
スクラロース1部にセサモールを<表−21>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−21>に示す。
その結果、セサモール無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、セサモールを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにセサモールを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例22
スクラロース(粉体)1部にセサミン又はセサミノール(いずれも粉体)をそれぞれ0.1部添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−22>に示す。
その結果、無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、セサミン又はセサミノールを添加することによりその低下が顕著に抑制できた。
実施例21及び22の結果から、セサモール、セサミン又はセサミノールなどのリグナンを、スクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例23
スクラロース1部にカロチン(粉体)を<表−23>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−23>に示す。
その結果、カロチン無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、カロチンを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにカロチンを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例24
スクラロース(粉体)1部にリコピン又はクチナシ黄色素(いずれも粉体)を0.1部添加し、デキストリンで計100部としスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−24>に示す。
その結果、無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、リコピン又はクチナシ黄色素を添加することによりその低下が顕著に抑制できた。
実施例23及び24の結果から、カロチン、リコピン及びクチナシ黄色素等のカロテノイド及びその配糖体を、スクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例25
スクラロース(粉体)1部にカロチン(粉体)0.1部を添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かして噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)を得た。なお比較としてカロチンを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−25>に示す。
その結果、カロチンを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例26
スクラロース1部にdl−α−トコフェロール粉末製剤(デキストリンを基材として含量50%となるように調整されたもの;三栄源エフエフアイ(株)製)を<表−26>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−26>に示す。
その結果、トコフェロール無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、トコフェロールを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにトコフェロールを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例27
スクラロース(粉体)1部にd−β−トコフェロール又はd−γ−トコフェロールの粉末製剤(いずれもデキストリンを基材として含量50%となるように調整されたもの;三栄源エフエフアイ(株)製)を0.1部添加し、デキストリンで計100部としスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−27>に示す。
その結果、無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、β−トコフェロール又はγ−トコフェロールを添加することによりその低下が顕著に抑制できた。
実施例26及び27の結果から、α−、β−及びγ−トコフェロール等のトコフェロールを、スクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例28
スクラロース(粉体)1部にdl−トコフェロール酢酸エステル粉末製剤(デキストリンを基材として含量50%となるように調整されたもの;;三栄源エフエフアイ(株)製))0.1部を添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かして噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)を得た。なお比較としてトコフェロールを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を表−28に示す。
その結果、トコフェロールを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例29
スクラロース(粉体)1部にグリチルリチン(粉体)を<表−29>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−29>に示す。
その結果、グリチルリチン無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、グリチルリチンを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにサポニンであるグリチルリチンを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例30
スクラロース(粉体)1部にコハク酸ナトリウム(粉体)を<表−30>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−30>に示す。
その結果、コハク酸ナトリウム無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、コハク酸ナトリウムを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにコハク酸ナトリウムを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例31
スクラロース(粉体)1部に酢酸ナトリウム又はフマル酸ナトリウム(いずれも粉体)を0.1部添加し、デキストリンで計100部としスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を120℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を表−31に示す。
その結果、無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、酢酸ナトリウム又はフマル酸ナトリウムを添加することによりその低下が顕著に抑制できた。
実施例30及び31の結果から、コハク酸、酢酸及びフマル酸等の有機酸のナトリウム塩をスクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例32
スクラロース(粉体)1部に酢酸ナトリウム(粉体)0.1部を添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かして噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)を得た。なお比較として酢酸ナトリウムを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を表−32に示す。
その結果、酢酸ナトリウムを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例33
スクラロース(粉体)1部にリン酸2ナトリウム(粉体)0.05部を添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かして噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)を得た。なお比較として酢酸ナトリウムを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−33>に示す。
その結果、無機酸塩であるリン酸2ナトリウムを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例34
スクラロース(粉体)1部にアルギニン塩酸塩(粉体)0.05部を添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かして噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)を得た。なお比較として酢酸ナトリウムを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を130℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を表−34に示す。
その結果、アミノ酸塩であるアルギニン塩酸塩を配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例35
<表−35>に示すように、スクラロース(粉体)10部にリン酸2ナトリウム(粉体)0.5部を添加し、これにアルギニン塩酸塩またはイノシン酸ナトリウム(いずも粉体)をそれぞれ0.5部配合し、パラチニットで計100部としてスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。これらの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。また比較として、スクラロースとパラチニットからなる組成物についても同様にして熱安定性を評価した。結果を<表−35>に示す。
その結果、パラチニットだけの配合では加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、リン酸2ナトリウムを添加することによりその低下が有意に抑制できた。またこのリン酸2ナトリウムのスクラロースに対する熱安定化作用は、アルギニン塩酸塩またはイノシン酸ナトリウムの併用によって増強され、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例36
スクラロース(粉体)1部にカフェイン(粉体)を<表−36>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−36>に示す。
その結果、カフェイン無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、カフェインを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにカフェインを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例37
スクラロース(粉体)1部にニコチンアミド(粉体)0.1部を添加し、デキストリンで計100部とし、粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。この組成物を3つに分け、一部はそのままスクラロース含有組成物(粉体混合物)とし、他の一部は水に溶かして噴霧乾燥し(噴霧乾燥物)、残りの一部は水に溶かしドラムドライで乾燥した(ドラムドライ物)を得た。なお比較としてニコチンアミドを含まない組成物を作成した(粉体混合物)。これらの組成物を110℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−37>に示す。
その結果、ニコチンアミドを配合することによって、製法に関わらずスクラロースの甘味は強さ質共に加熱による低下が有意に抑制され、加熱に対して極めて高い安定性(耐性)を示した。その中でも噴霧乾燥法やドラムドライ法で調製したスクラロース含有組成物はよりすぐれた熱安定性を有していた。
実施例36及び37の結果から、カフェイン及びニコチンアミド等の塩基性物質をスクラロースと共存させることによって、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例38
<表−38>に示すように、スクラロース(粉体)10部にニコチンアミド(粉体)1部を添加し、これに乳酸カルシウムまたはイノシン酸ナトリウム(いずも粉体)をそれぞれ1部配合し、パラチニットで計100部としてスクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。これらの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。また比較として、スクラロースとパラチニットからなる組成物についても同様にして熱安定性を評価した。結果を<表−38>に示す。
その結果、パラチニットだけの配合では加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、ニコチンアミドを添加することによりその低下が有意に抑制できた。またこのニコチンアミドのスクラロースに対する熱安定化作用は、乳酸カルシウムまたはイノシン酸ナトリウムの併用によって増強され、スクラロースの甘味を強さ質ともに顕著に安定化できることが示された。
実施例39
スクラロース(粉体)1部にEDTA2ナトリウム(粉体)を<表−39>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−39>に示す。
その結果、EDTA2ナトリウム無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、EDTA2ナトリウムを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにEDTA2ナトリウム等のキレート剤を共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示唆された。
実施例40
スクラロース(粉体)1部にメラノイジン(粉体)を<表−40>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−40>に示す。
その結果、メラノイジン無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、メラノイジンを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにメラノイジンを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例41
スクラロース(粉体)1部にグルコレダクトン(粉体)を<表−41>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−41>に示す。
その結果、グルコレダクトン無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、グルコレダクトンを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにグルコレダクトン等のレダクトンを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示唆された。
実施例42
スクラロース(粉体)1部にホスファチジルコリン(粉体)を<表−42>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−42>に示す。
その結果、ホスファチジルコリン無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、ホスファチジルコリンを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにホスファチジルコリン等のリン脂質を共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示唆された。
実施例43
スクラロース(粉体)1部にブチルヒドロキシアニソール(BHA)(粉体)を<表−43>に示す割合で添加し、デキストリンで計100部とし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を100℃のオーブン中で1時間加熱し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−43>に示す。
その結果、BHA無添加の場合には加熱によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、BHAを添加するとその低下が有意に抑制できた。この結果からスクラロースにBHAを共存させることによって、スクラロースの甘味が強さと質ともに顕著に安定化することが示された。
実施例44
<表−44>に示すように没食子酸(5部)、乳酸カルシウム(5部)をそれぞれ単独および併用(計10部)してスクラロース1部に添加し、デキストリンで計100部にし、スクラロース含有組成物(粉体混合物)を得た。次いでこの組成物を40℃で6ヶ月間保存し、実施例1と同様にして、その甘味を調べてスクラロースの保存安定性を評価した。結果を<表−44>に示す。
無添加の配合、40℃下6ヶ月間の保存によってスクラロースの甘味が強さ質ともに有意に低下したが、没食子酸または乳酸カルシウムを添加することによりその低下が有意に抑制できた。また両者を併用することによって、スクラロースの甘味を強さ質ともにより一層安定化できることが示された。
実施例45
スクラロース(粉体)1部に対して、<表−45>に示す割合でイノシン酸ナトリウム、蛋白加水分解物、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸または塩化ナトリウム(いずれも粉体)をそれぞれ粉体混合してスクラロース含有組成物(粉体混合物)を調製した。これをそれぞれポリエチレン製の袋に15gずつとり、60℃で保管して外観変化を観察した。なお、比較としてスクラロース単独についても同様に試験した。結果を<表−45>に併せて示す。
この結果からわかるように、スクラロース単品は60℃の保存3日後にすでに着色し、6日後には顕著に着色したが、本発明の製剤は保存6日後でも有意に着色が抑えられていた。このことからスクラロースは、イノシン酸ナトリウム、蛋白加水分解物、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸または塩化ナトリウムを併用することによって安定性が向上し、加温時の長期保存によっても着色を有意に抑制できることが示された。
なお、スクラロース単品及び上記各種の組成物を25℃で12日間保管した場合は、いずれも着色は認められなかった。
実施例46 ハードキャンディー
パラチニット100部と水30部を攪拌混合し、減圧下(真空圧14.6kPa)で150℃に加熱しながら煮詰めた後、減圧を止め、スクラロース0.1部と<表−46>に示す各物質0.02部を添加混合し、加熱しながら常圧140℃にて保持した。かかる糖液を0分,10分,20分,30分及び60分経過毎にサンプリングし、ディスク状の型に充填成型して1個3gのハードキャンディーを調製した。これらの各ハードキャンディーについて甘味の強度及び質を20名のパネラーにより官能試験してもらい、スクラロースの熱安定性を評価した。尚、熱安定性評価は、上記の140℃保持0分経過のキャンディーをコントロールとしてその甘味(強度、質)を5として、その甘味との差を下記に示す基準に従って評価した。なお、各コントロール間には味覚上の差はなかった。結果を<表−46>に示す。尚、<表−46>中に示す/は、「甘味の強度/甘味の質」を意味する。
この結果から、スクラロースの上記物質を併用することにより、140℃というきわめて過酷な高温下でも、スクラロースの甘味の強度、質ともにその減少が抑えられ、スクラロースの熱安定性が大幅に上昇したことが判った。その中でも、クエン酸三ナトリウムが顕著に熱安定性向上効果を示すことが判った。
実施例47 酸性ハードキャンディー
実施例46において最も効果の高かったクエン酸三ナトリウムを用いて酸性のハードキャンディーを調製し、スクラロースの酸性下での熱安定性を評価した。具体的には、まずパラチニット100部と水30部を攪拌混合し、減圧下(真空圧14.6kPa)で150℃に加熱しながら煮詰めた後、減圧を止め、140℃まで冷却し、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムをこの順で表−47に示す割合で添加し、攪拌溶解した。次いで、これにスクラロース0.03部を添加し攪拌溶解した後、常圧で加熱しながら140℃に保持した。かかる糖液を10分、30分、60分経過毎にサンプリングし、ディスク状の型に充填成型して1個3gのハードキャンディを調製した。これらの各ハードキャンディーについて甘味の強度及び質を実施例46と同様にして官能試験し、スクラロースの熱安定性を評価した。結果を<表−47>に示す。
この結果から、酸性のハードキャンディにおいて、クエン酸三ナトリウムの併用により、140℃というきわめて過酷な高温下でも、スクラロースの甘味の強度、質ともにその減少が最小限に抑えられ、スクラロースの熱安定性が大幅に上昇することが判った。
実施例48 ハーブキャンディー
煮詰めて全量100部とする。
上記成分1〜4に成分9を加え、減圧煮詰器にて真空圧14.6kPaで150℃まで煮詰めた後、成分5〜8を混合し、加熱しながら150℃に保持しながら型に充填し、冷却して成型し、ハーブキャンディを調製した。
上記製造工程において、全成分を混合した糖液を150℃に保持しながらその全てを型に充填し終わるのに30分を要したが、充填開始直後に得られたハーブキャンディーと充填終了直前に得られたハーブキャンディーは、甘味の強度及び甘味質いずれも差が認められず、良好な風味を有していた。また、得られたハーブキャンディは30℃で1年間保存後も調製直後のハーブキャンディーと変わらぬ甘味(強度及び質)と風味を有していた。
実施例49 アップルキャンディ(pH2.6)
煮詰めて全量100部とする。
上記成分1〜4に成分10を加えて常圧190℃で煮詰めた後、140℃まで冷却し、次いで成分5〜9を加えて、加熱しながら140℃に保持しながら型に充填し、成型、冷却してアップルキャンディ(pH2.6)を調製した。
上記製造工程において、全成分を混合した糖液を140℃に保持しながらその全てを型に充填し終わるのに45分を要したが、充填開始直後に得られたアップルキャンディーと充填終了時に得られたアップルキャンディーは、甘味の強度及び甘味質いずれも差が認められず、良好な風味を有していた。また、得られたアップルキャンディは40℃で1年間保存後も調製直後のアップルキャンディーと変わらぬ甘味(強度及び質)と風味を有していた。
更に、上記処方の乳酸カルシウムに代えて5倍濃縮リンゴ果汁2部を添加した以外は上記と同様にしてアップルキャンディーを調製したが、乳酸カルシウム添加品と同様の甘味の強度及び甘味質の維持効果があった。
実施例50 オレンジ果汁入り飲料
まず、水にネイティブジェランガムとペクチンとを加え、80℃で10分間攪拌し、その中にオレンジ香料以外をすべて加え、93℃まで加熱しながら攪拌し、オレンジ香料を加えて均一に攪拌した後、容器に充填して、オレンジ果汁入り飲料を得た。なお、濃縮バレンシアオレンジ果汁(ブリックス55°)はあらかじめヘスペリジナーゼ処理をしてヘスペリジンを分解除去したものを用いた。
産業上の利用可能性
本発明は、それ自体可食性製品として、また種々の可食性製品への配合に用いるために有用な安定な形態のスクラロースを提供するものである。具体的には本発明は、特定の物質を併用することによってスクラロースの熱安定性、並びに甘味度及び甘味質が一層向上してなるスクラロース含有組成物に関する。本発明によれば、スクラロースに一層の熱安定性を付与することにより、水分含量の少ない状態、低pH条件下または苛酷な条件下等での加熱処理や長期保存によって生じるスクラロースの甘味の低減や着色などの不都合な現象を防止することができる。従って、本発明は、スクラロースの安定化を図ることによってスクラロースをより一層取り扱い易いものとするものであり、その結果、スクラロースはそれ自体卓上甘味料として、また製造、保管及び流通段階において予測できない広範囲の環境下におかれ得る、食品(飲料を含む)やその他経口組成物(医薬品、医薬部外品など)等の多種多様の可食性製品の甘味料として、その使用態様がより一層拡大されるものである。
Claims (5)
- イノシン、ヒポキサンチン、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有し、かつ当該化合物とスクラロースが粉体混合されてなるものである、スクラロース製剤。
- イノシン、ヒポキサンチン、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、スクラロースに対する熱安定性向上剤としての使用であって、当該化合物とスクラロースを粉体混合するものである、使用。
- スクラロースを、イノシン、ヒポキサンチン、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と粉体混合することからなる、スクラロースの熱安定性を向上させる方法。
- イノシン、ヒポキサンチン、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、スクラロースの甘味の向上剤としての使用であって、当該化合物とスクラロースを粉体混合するものである、使用。
- スクラロースを、イノシン、ヒポキサンチン、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と粉体混合することからなる、スクラロースの甘味の向上方法。
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