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JP4615293B2 - 防蟻性を有する発泡成形体の製造方法及び防蟻性を有する発泡成形体並びに断熱施工方法 - Google Patents
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JP4615293B2 - 防蟻性を有する発泡成形体の製造方法及び防蟻性を有する発泡成形体並びに断熱施工方法 - Google Patents

防蟻性を有する発泡成形体の製造方法及び防蟻性を有する発泡成形体並びに断熱施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、建築物の断熱材、保温材等として使用される防蟻性を有する発泡成形体の製造方法、及び防蟻性を有する発泡成形体、並びに該防蟻性を有する発泡成形体を用いた断熱施工方法に関するものである。
従来より、防蟻性を有する発泡成形体は存在する。
かかる防蟻性を有する発泡成形体の製造方法としては、発泡成形体の表面に防蟻剤又は防蟻剤を有効成分とする防蟻性液体を塗布し、その成形体表面に防蟻性膜を形成する方法が知られている。
なお、本明細書においては、防蟻性を有する発泡成形体とは、白蟻に対して殺虫性を示す又は/及び忌避性を示す薬剤(本明細書においては防蟻剤或いは防蟻性液体という。)を発泡成形体に含有、含浸、付着、或いは被覆等することにより、白蟻に対する殺虫性能又は/及び忌避性能が付与された又は向上された発泡成形体をいう。
しかし、上記の方法では、発泡成形体の表面のみしか防蟻性を付与することができず、その表面を白蟻によって侵食された場合には、もはや防蟻効果は無く、内部に蟻道や巣等を造られてしまう憂いがあった。また、発泡成形体の表面に防蟻性液体を塗布するにあたって、刷毛などによる塗布作業は長時間かかるという問題を、吹き付け塗装は歩留まりが悪く経済的ではないという問題を有していた。さらに被塗装物が複雑な形状を有する場合、細部まで塗布が困難になるという問題も有していた。
そこで、上記のような問題を回避するため、発泡成形体を成形する前の段階、すなわち予備発泡粒子の段階でその表面に防蟻剤としてのホウ酸化合物を被覆し、該ホウ酸化合物を被覆した予備発泡粒子を用いて、防蟻性を有する発泡成形体を製造する方法も考えられている(例えば、特許文献1等)。
特開平3−202528号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されたように、ホウ酸化合物を予備発泡粒子の表面に被覆する際、単に粉末状、或いは水溶液状でホウ酸化合物を予備発泡粒子の表面に付着させた場合には、その後の該予備発泡粒子の成形工程において、ホウ酸化合物が予備発泡粒子の表面から容易に離脱してしまい、発泡成形体に残存するホウ酸化合物の含有量が著しく低下し、充分な防蟻性能を有する発泡成形体が得られないと言う問題があった。
本発明は、上述した背景技術が有する課題に鑑み成されたものであって、その目的は、予備発泡粒子の段階でその表面に被覆させたホウ酸化合物を、該予備発泡粒子を使用しての成形工程中においてホウ酸化合物を極力離脱させることなく、高い防蟻性能を有する発泡成形体を得ることにある。
本発明者等は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、予備発泡粒子の段階でその表面に被覆させたホウ酸化合物は、該予備発泡粒子の成形工程中、特に、予備発泡粒子間の空気を除去する予備加熱工程、さらには減圧状態で行う減圧放冷工程において多くのホウ酸化合物が離脱してしまうこと、及び、少なくとも一方の板面付近に多くのホウ酸化合物が含有されていれば、そのホウ酸化合物が多く含有されている板面側を建築物の外側に向けて断熱施工して用いることにより、高い防蟻性能を発揮できる発泡成形体となることに着目し、本発明を完成させた。
すなわち、請求項1の本発明は、表面にホウ酸化合物を被覆させた予備発泡粒子を成形型内に充填し、加熱工程、冷却工程を経て所定形状の防蟻性を有する発泡成形体を製造する方法において、上記加熱工程を、一方加熱と逆一方加熱からなる予備加熱工程と、両面加熱からなる本加熱工程とし、前記予備加熱工程の内、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも5割以上長くしたことを特徴としている。
また、請求項2の本発明は、上記請求項1の発明において、上記冷却工程を、水による水冷工程と減圧状態とする減圧放冷工程とし、前記減圧放冷工程の時間を300秒以内としたことを特徴としている。
さらに、請求項3の本発明は、上記請求項1の発明において、上記冷却工程を、水による水冷工程と減圧状態としない放冷工程のみとしたことを特徴としている。
また、請求項4の本発明は、表面にホウ酸化合物を被覆させた予備発泡粒子を型内成形して得られた板状の防蟻性を有する発泡成形体において、上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも10以上多いことを特徴としている。
また、請求項5の本発明は、上記請求項4の発明において、上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも20以上多いことを特徴としている。
さらに、請求項6の本発明は、上記請求項4の発明において、上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも60以上多いことを特徴としている。
また、請求項7の本発明は、上記請求項4乃至6の何れかに記載の防蟻性を有する発泡成形体を、該発泡成形体のホウ酸化合物の含有量が多い板面部側を建築物の外側に向けて断熱施工することを特徴としている。
上記した請求項1の本発明によれば、通常であれば略同一時間に設定される一方加熱と逆一方加熱の時間を、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも5割以上長く設定したため、後に行う逆一方加熱時におけるホウ酸化合物の移動及び離脱が抑えられ、全体としてホウ酸化合物の残存量が多いと共に、一方加熱面側よりも逆一方加熱面側に多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体が得られる。
これにより、逆一方加熱面側、すなわちホウ酸化合物の含有量が高い板面側を、建築物の外側に向けて当該建築物に対して断熱施工して用いることにより、高い防蟻性能を発揮できる発泡成形体となる。
また、上記した請求項2の本発明によれば、上記した請求項1の発明に加え、減圧放冷工程の時間を300秒以内と短いものとしたため、減圧状態とする吸引によって発泡成形体の表面付近から吸引除去されるホウ酸化合物が減少し、全体としてより多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体が得られると共に、一方加熱面側よりも逆一方加熱面側により多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体が得られる。
さらに、上記した請求項3の本発明によれば、上記した請求項1の発明に加え、冷却工程を、水による水冷工程と減圧状態としない放冷工程のみとしたため、冷却工程において発泡成形体の表面付近からホウ酸化合物が吸引除去されることがなく、全体としてさらに多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体が得られると共に、一方加熱面側よりも逆一方加熱面側に更に多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体が得られる。
また、上記した請求項4の本発明によれば、発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも10以上多いため、該ホウ酸化合物の含有量が高い板面部側を建築物の外側に向けて当該建築物に対して断熱施工して用いることにより、高い防蟻性能を期待できる。
さらに、上記した請求項5の本発明によれば、発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも20以上多いため、該ホウ酸化合物の含有量が高い板面部側を建築物の外側に向けて当該建築物に対して断熱施工して用いることにより、より高い防蟻性能を期待できる。
さらに、上記した請求項6の本発明によれば、発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも60以上多いため、該ホウ酸化合物の含有量が高い板面部側を建築物の外側に向けて当該建築物に対して断熱施工して用いることにより、さらに高い防蟻性能を期待できる。
また、上記した請求項7の本発明によれば、上記防蟻性を有する発泡成形体を、該発泡成形体のホウ酸化合物の含有量が多い板面部側を建築物の外側に向けて断熱施工するので、白蟻が侵入してくるであろう板面部側に多くのホウ酸化合物が含有されている結果、断熱材である発泡成形体は白蟻の侵入をも効果的に抑制できる。
以下、上記した本発明に係る防蟻性を有する発泡成形体の製造方法、及び防蟻性を有する発泡成形体、並びに該防蟻性を有する発泡成形体を用いた断熱施工方法の実施の形態を、図面等を示して詳細に説明する。
本発明において使用する予備発泡粒子としては、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の予備発泡粒子を用いることができるが、中でも、安価であり、低密度でも強度が大きいポリスチレン樹脂の予備発泡粒子が好ましい。
また、本発明に用いる防蟻剤としてのホウ酸化合物は、白蟻に対する殺虫性を有するが人体に与える毒性は少ないことから好ましく、該ホウ酸化合物としては、従来から防蟻剤として知られているホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩や、ホウ酸エステル等が好適に使用できる。このホウ酸化合物は、粉末状でも使用できるが、水溶液状として添加した方が好ましい。
予備発泡粒子に上記ホウ酸化合物を被覆させる方法としては、予備発泡粒子を製造する予備発泡機に、原料ビーズ(発泡剤を含有する発泡性の未発泡粒子)と共にホウ酸化合物を添加し、原料ビーズを予備発泡させると共に、その表面にホウ酸化合物を被覆させる、或いは、例えば流動層乾燥装置を用い、予備発泡後の粒子を空中に浮遊させながら、その予備発泡粒子にホウ酸化合物を噴霧し、表面にホウ酸化合物を被覆させる方法等、公知の種々の方法が採用できる。
表面にホウ酸化合物を被覆させた予備発泡粒子を用い、本発明に係る防蟻性を有する発泡成形体を製造するにあたっては、例えば図1に示した如き成形機1が用いられる。
この成形機1は、移動金型1aと、固定金型1bとを有し、移動金型1aは、移動フレーム2と、該移動フレーム2に取付けられた雄型3とから構成され、固定金型1bは、固定フレーム4と、該固定フレーム4に取付けられた雌型5とから構成されている。
上記雄型3、雌型5には、それぞれキャビティー6内に充填された予備発泡粒子を加熱するために、チャンバー7a(またはチャンバー7b)からキャビティー6へと連通する多数の蒸気孔8が穿設されている。
また、上記移動フレーム2及び固定フレーム4には、おのおのチャンバー7a,7bに連通する状態で、加熱蒸気を導入する蒸気導入管9a,9bが接続され、また、冷却水を導入する水導入管10a,10bが接続されている。また、各々のフレーム2,3の下端には、ドレイン管11a,11bが接続されている。
また、上記固定フレーム4には、キャビティー6内に予備発泡粒子を充填するための充填ガン12が取付けられ、移動フレーム2には、該移動フレーム2を移動させるための駆動軸13が取付けられている。
本発明の防蟻性を有する発泡成形体は、上記成形機1のキャビティー6内に、充填ガン12によって表面にホウ酸化合物を被覆させた予備発泡粒子を充填し、加熱工程、冷却工程を経て製造される。
上記加熱工程は、蒸気導入管9a,9bより加熱蒸気をチャンバー7a,7b内に導入することによりなされるが、これには、一方加熱と逆一方加熱からなる予備加熱工程と、両面加熱からなる本加熱工程とがある。予備加熱工程は、予備発泡粒子を予熱することと、キャビティー6内に充填された予備発泡粒子間から空気を除去することを目的としてなされるものであり、先ず、予備発泡粒子をキャビティー6内に充填後、例えばドレイン管11aのバルブ(バルブは図示せず)を閉じ、ドレイン管11bのバルブ(バルブは図示せず)を開けたままで、移動金型1a側のチャンバー7a内に蒸気導入管9aより加熱蒸気を導入し、キャビティー6内に充填された予備発泡粒子間を通過させ、固定金型1b側のチャンバー7bを通過させ、ドレイン管11bへ加熱蒸気を流出させる一方加熱を行い、続いて、ドレイン管11bのバルブを閉じ、ドレイン管11aのバルブを開けてから、固定金型1b側のチャンバー7b内に蒸気導入管9bより加熱蒸気を導入し、キャビティー6内に充填された予備発泡粒子間を通過させ、移動金型1a側のチャンバー7aを通過させ、ドレイン管11aへ加熱蒸気を流出させる逆一方加熱を行う。
通常、上記一方加熱と逆一方加熱とは、略同一の時間に設定されるが、本発明に係る製造方法においては、先に行う一方加熱の時間を、後に行う逆一方加熱の時間よりも5割以上、好ましくは8割以上、より好ましくは10割以上長く設定する。すなわち、後に行う逆一方加熱の時間を10秒に設定した場合には、先に行う一方加熱の時間は15秒以上、好ましくは18秒以上、より好ましくは20秒以上に設定することを意味する。
なお、先に行う一方加熱の時間をあまり長くとりすぎると、成形サイクルが長くなってしまうため、通常は、先に行う一方加熱の時間は、後に行う逆一方加熱の時間よりも20割長く設定することを上限とする。また、先に行う一方加熱の具体的な時間としては、得ようとする発泡成形体の大きさによっても異なるが、通常は12〜40秒である。
上記のように、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも長く設定することにより、先に行う一方加熱によって、予備発泡粒子の表面に被覆されたホウ酸化合物は逆一方加熱側、すなわち固定金型1b側に多く移動すると共に、一方加熱側、すなわち移動金型1a側の予備発泡粒子は長い予備加熱によって発泡し、若干融着が生じた状態となる。そして、その後に行われる逆一方加熱によって、ホウ酸化合物は上記とは逆方向、すなわち移動金型1a側に移動することとなるが、その時間は短く、また移動金型1a側の予備発泡粒子は先に行われた一方加熱によって若干融着が生じた状態となっているため、ホウ酸化合物は移動金型1a側には移動し難く、固定金型1b側に多くのホウ酸化合物が存在する状態となる。
なお、先に行う一方加熱を、固定金型1b側から行うとした場合には、上記の一方加熱側と逆一方加熱側は、一方加熱側が固定金型1b側となり、逆一方加熱側は移動金型1a側となる。
続いて、移動金型1a、固定金型1bに接続されたドレイン管11a,11bのバルブを共に閉じ、チャンバー7a,7b内にそれぞれの蒸気導入管9a,9bより加熱蒸気を導入し、所定圧力で所定時間、両面加熱からなる本加熱工程を行う。この本加熱工程により、キャビティー6内に充填された予備発泡粒子は発泡・融着し、キャビティー6の空間の形状に倣った形状に成形される。
続いて、冷却工程を行う。この冷却工程は、水による水冷工程と減圧状態とする減圧放冷工程とを行う場合と、水による水冷工程と減圧状態としない放冷工程とを行う場合とがある。
水による水冷工程は、移動金型1a側のドレイン管11aのバルブ、及び固定金型1b側のドレイン管11bのバルブを開き、水導入管10a,10bよりチャンバー13a、13b内におのおの冷却水を導入することにより行う。この水による水冷工程は、極力短いことが、金型1a,1bを冷し過ぎないことから好ましいが、本発明においては、後に記述するように減圧放冷工程を所定時間以内とする、或いは減圧状態としない放冷工程とするため、通常の水冷工程の時間よりも若干長く設定する必要がある。
上記水による水冷工程の後、減圧状態とする減圧放冷工程、或いは減圧状態としない放冷工程を行う。
減圧状態とする減圧放冷工程は、水冷工程のために開けた上記ドレイン管11a,11bのバルブを再び閉じ、チャンバー13a,13bに連通する図示しない配管を介して、真空ポンプによってチャンバー13a,13b内の空気を吸引し、チャンバー13a,13b内を所定の真空度とした状態で、成形体を放冷させる工程である。この減圧放冷工程は、冷却工程の時間短縮に有効な工程ではあるが、チャンバー13a,13b内の空気の吸引と共に、発泡成形体の表層付近に存在するホウ酸化合物をも吸引除去してしまうため、本発明に係る製造方法においては、該減圧放冷工程の時間を300秒以内、好ましくは250秒以内、より好ましくは220秒以内(但し、0は含まない)に設定する。これにより、減圧状態とする吸引によって発泡成形体の表面付近から吸引除去されるホウ酸化合物が減少し、多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体が得られる。
また、減圧状態としない放冷工程は、ドレイン管11a,11bのバルブを開けたままの状態とし、発泡成形体を成形機1内において大気圧下において自然放冷する工程である。この減圧状態としない放冷工程は、発泡成形体からホウ酸化合物を吸引除去することがないため、さらに多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体が得られる。
上記加熱工程及び冷却工程を経て製造された本発明に係る発泡成形体は、全体として多くのホウ酸化合物が残存し、且つ一方の板面側に多くのホウ酸化合物が残存した発泡成形体となる。
すなわち、加熱工程を、一方加熱と逆一方加熱からなる予備加熱工程と、両面加熱からなる本加熱工程とし、前記予備加熱工程の内、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも5割以上長く設定した製造方法とした場合には、少なくとも発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量〔(重量割合)以下、同様〕が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも10以上多い発泡成形体が製造できる。
また、上記先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも5割以上長く設定すると共に、冷却工程を、水による水冷工程と減圧状態とする減圧放冷工程とし、前記減圧放冷工程の時間を300秒以内とした製造方法とした場合には、少なくとも発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも20以上多い発泡成形体が製造できる。
さらに、上記先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも5割以上長く設定すると共に、冷却工程を、水による水冷工程と減圧状態としない放冷工程のみとした製造方法とした場合には、少なくとも発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも60以上多い発泡成形体が製造できる。
発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも10以上多いことが有利とされる理由は、例えば全体としてホウ酸化合物の含有量が同一の発泡成形体であっても、一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも多い発泡成形体である場合には、該発泡成形体のホウ酸化合物の含有量が多い板面部側を建築物の外側に向けて断熱施工することにより、建築物の外部(外側)から侵入してくる白蟻に対し、より発泡成形体へ蟻道を形成させ難くすることができ、含有量が多い板面部側の含有量が多いほどその効果は高まると考えられるためである。そのため、上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも20以上多いことは好ましく、60以上であることはより好ましく、上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量の60〜150多いことは更に好ましい。
なお、上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも10以上多いとは、上記他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が1000重量ppm(以下、単に「ppm」と記す。)である場合、上記一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量が1100ppm以上であることを意味する。
また、本発明においては、ホウ酸化合物の含有量が多い板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)は、防蟻性能向上のためには多いに越したことはなく、少なくとも3000ppmであることが好ましく、少なくとも3400ppmであることがより好ましく、少なくとも3800ppmであることが更に好ましく、少なくとも4500ppmであることが特に好ましく、少なくとも5000ppmであることが最も好ましい。なお、その上限としては、通常は15000ppmである。
また、ホウ酸化合物の含有量が少ない板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)も、防蟻性能向上のためには多いに越したことはなく、少なくとも2800ppmであることが好ましく、少なくとも3000ppmであることがより好ましく、少なくとも3100ppmであることが更に好ましく、少なくとも3200ppmであることが特に好ましく、少なくとも3300ppmであることが最も好ましい。なお、その上限としては、通常は8000ppmである。
また、上記発泡成形体の中心部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)も、防蟻性能向上のためには多いに越したことはなく、少なくとも3500ppmであることが好ましく、少なくとも4000ppmであることがより好ましく、少なくとも4200ppmであることが更に好ましく、少なくとも4400ppmであることが特に好ましく、少なくとも4600ppmであることが最も好ましい。なお、その上限としては、通常は10000ppmである。
また、発泡成形体のホウ酸化合物の含有量(重量割合)の平均値(両板面部におけるホウ酸化合物の各含有量と発泡成形体の中心部の含有量の相加平均値)も、防蟻性能向上のためには多いに越したことはなく、少なくとも3000ppmであることが好ましく、少なくとも3500ppmであることがより好ましく、少なくとも3800ppmであることが更に好ましく、少なくとも4000ppmであることが特に好ましく、少なくとも4500ppmであることが最も好ましい。なお、その上限としては通常は10000ppmである。
ここで、上記発泡成形体のホウ酸化合物の含有量は、発泡成形体から切り出した測定片を550℃で2時間蒸焼して残った灰分(残渣)の重量割合(ppm)と、ホウ酸化合物を被覆しなかった場合の発泡成形体の同灰分(残渣)の重量割合(ppm)の差をもって代用される。
また、発泡成形体の板面部とは、板状の発泡成形体の最も大きな2表面を対象とし、各表面と、各表面から0.5cmの深さの間の部分を意味する。また、発泡成形体の中心部とは、板状の発泡成形体の最も大きな2表面間の中央(板の厚み方向の中央)を厚み方向の中央とする厚み0.5cmの部分を意味する。
ホウ酸化合物の含有量の指標である上記灰分の測定にあたっては、上記したそれぞれの部位より、任意の異なる位置から3つの測定片(1測定片の重量は1.0〜1.4gとする)を切り出し、それぞれ灰分を測定し、各部位における3つの測定結果の相加平均値をもって各板面部、及び中心部の灰分の重量割合とする。
各板面部の測定片の切り出しは、図2に示すように、発泡成形体の板面を長手方向を3等分する位置でその板面を3つに分割したと仮定したときの3つの分割板面のそれぞれの中央部が含まれる位置で行なわれる。通常は、3つの分割板面のそれぞれの中央部と、各分割面の中央部を一致させ、且つ各分割面と相似形状に(但し、厚み0.5cm、1測定片の重量が1.0〜1.4gとなる形状に)切り出される(図2のa,b,cの位置)。また、発泡成形体の中心部の測定片の切り出しは、図2のa,b,cの位置にて、板状の発泡成形体の最も大きな2表面間の中央(板の厚み方向の中央)を厚み方向の中央とし、かつ各分割面と相似形状に(但し、厚み0.5cm、1測定片の重量が1.0〜1.4gとなる形状に)切り出される。
また、本発明に係る防蟻性を有する発泡成形体は板状である。発泡成形体が板状であると建築物の断熱施工が容易であるために好ましく、特に直方体形状の板体であると建築物の断熱施工が非常に容易となる。
本発明に係る防蟻性を有する発泡成形体を用いて建築物の断熱施工をする場合には、ホウ酸化合物の含有量が多い板面部側を建築物の外側に向けて断熱施工する。その際、例えば木造建築物の布基礎の垂直壁を形成する部分の外側に位置するように施工されることが防蟻性の面で最も効果的である。布基礎以外の断熱施工部位としては、例えば、木造建築物の軸組みや枠組みの外側が挙げられる。
−予備発泡粒子及びホウ酸化合物の被覆−
発泡性ポリスチレン樹脂粒子(株式会社ジェイエスピー製:スチロダイアJFN200)を、予備発泡機(ダイセン工業株式会社製:DYH1000)を用いて20g/Lの嵩密度に予備発泡した。この予備発泡時に、ホウ酸ナトリウム(Na2813・4H2O)水溶液(22%濃度)を添加し、予備発泡粒子の表面に、ホウ酸ナトリウムを約23000〜25000ppmとなる量被覆させた。
−発泡成形体の製造−
成形機(ダイセン工業株式会社製:VS−1300)を用い、成形品寸法910×425×68mmの板状成形体2個取りの金型内に、上記予備発泡粒子を充填し、水蒸気による加熱工程、冷却工程を経て発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の乾燥後の見かけ密度は、約20.5g/Lであった。
成形条件は、表1に示した種々条件で行った。
Figure 0004615293
−ホウ酸化合物含有量の測定−
得られた発泡成形体について、図2に示した上記a,b,cの位置より、それぞれ各板面部及び中心部の測定片(1測定片の形状は、発泡成形体の長手方向に5.7cm、その長手方向と直交する方向に8cm、厚み0.5cmの直方体形状であり、1測定片の重量は1.1〜1.2gであった。)をサンプリングし、ホウ酸化合物含有量を下記の方法で計測した。
a:使用器機
1) 秤 :0.1mgまで測定できるもの
2) ルツボ:灰分測定用磁性ルツボ(容量30ml程度)
3) 乾燥機:サンプル減容用
4) アルミカップ:サンプル減容時使用(容量100ml程度)
5) 電気炉:磁性ルツボ蒸焼用
6) デシケータ:ルツボ、サンプルを恒量まで保管
7) 塩酸:灰分測定後のルツボ洗浄用
b:測定方法
(1) 測定片重量を秤にて計測し、1.0〜1.4gであることを確認
(2) アルミカップに測定片を入れ、乾燥機で150℃,1時間減容処理
(3) デシケータで1日放置
(4) ルツボの重量を0.1mgまで測定(重量WO)
(5) 測定片をルツボに入れ、0.1mgまで測定(重量W1)
(6) このルツボを電気炉で550℃,2時間蒸焼処理
(7) 蒸焼後冷却し、ルツボをデシケータで1日放置
(8) 1日後、ルツボの重量を0.1mgまで測定(重量W2)
c:ホウ酸化合物含有量計算方法
i ) 測定片重量:W3=W1−W0
ii ) 灰分重量:W4=W2−W0
iii) 灰分量:K=(W4/W3)×1000000(ppm)
iv ) ホウ酸化合物含有量:ホウ酸化合物含有量=(K−400)(ppm)
なお、iv)の式中400(ppm)は、予備発泡粒子にホウ酸ナトリウムを被覆しない以外は同様にして成形して得た発泡成形体の灰分量である。また、本実施例で使用されたホウ酸ナトリウム(Na2813・4H2O)1モルは、550℃,2時間蒸焼処理の結果として8BO3の形態に変化しているものと思われ、iv)におけるホウ酸化合物含有量は、その8BO3としての含有量を測定しているものと思われる。
−成形条件とホウ酸化合物含有量−
各成形条件で得られた発泡成形体についての、各位置からサンプリングした測定片のホウ酸化合物含有量の計測結果を、表2に示す。また、図面化したものを、図3に示す。
なお、表2及び図3において、各々の計測値は、図2の測定片のサンプリング位置のa,b,cの各測定片の平均値を示した。
Figure 0004615293
−結果−
実施例1は、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも10割長くした結果、一方加熱と逆一方加熱の時間を同一とした通常の予備加熱工程を実施した比較例に比して、多くのホウ酸化合物を残すことができ、また逆一方加熱面側板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、一方加熱面側板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも15強も多い発泡成形体を製造することができた。
また、実施例2は、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも12割強長くし、かつ、水冷時間を長くし、減圧放冷時間を200秒と短くした結果、一方加熱と逆一方加熱の時間を同一とし、また水冷時間を最小限とし、減圧放冷時間を400秒と長くとった通常の予備加熱工程及び冷却工程を実施した比較例に比して、より多くのホウ酸化合物を残すことができ、また逆一方加熱面側板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、一方加熱面側板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも23強も多い発泡成形体を製造することができた。
さらに、実施例3は、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも10割長くし、かつ、水冷時間をさらに長くし、減圧状態することなく放冷した結果、一方加熱と逆一方加熱の時間を同一とし、また水冷時間を最小限とし、減圧放冷時間を400秒と長くとった通常の予備加熱工程及び冷却工程を実施した比較例に比して、さらに多くのホウ酸化合物を残すことができ、また逆一方加熱面側板面部におけるホウ酸化合物の含有量が、一方加熱面側板面部におけるホウ酸化合物の含有量よりも81強も多い発泡成形体を製造することができた。
本発明に係る防蟻性を有する発泡成形体を製造する成形機の一例を示した概念的な断面図である。 ホウ酸化合物含有量の測定片のサンプリング位置を示した発泡成形体の概念的な斜視図である。 発泡成形体の各部位のホウ酸化合物含有量を示した図である。
符号の説明
1 成形機
1a 移動金型
1b 固定金型
2 移動フレーム
3 雄型
4 固定フレーム
5 雌型
6 キャビティー
7a チャンバー
7b チャンバー
8 蒸気孔
9a 蒸気導入管
9b 蒸気導入管
10a 水導入管
10b 水導入管
11a ドレイン管
11b ドレイン管
12 充填ガン
13 駆動軸

Claims (7)

  1. 表面にホウ酸化合物を被覆させた予備発泡粒子を成形型内に充填し、加熱工程、冷却工程を経て所定形状の防蟻性を有する発泡成形体を製造する方法において、上記加熱工程を、一方加熱と逆一方加熱からなる予備加熱工程と、両面加熱からなる本加熱工程とし、前記予備加熱工程の内、先に行う一方加熱の時間を後に行う逆一方加熱の時間よりも5割以上長くしたことを特徴とする、防蟻性を有する発泡成形体の製造方法。
  2. 上記冷却工程を、水による水冷工程と減圧状態とする減圧放冷工程とし、前記減圧放冷工程の時間を300秒以内としたことを特徴とする、請求項1に記載の防蟻性を有する発泡成形体の製造方法。
  3. 上記冷却工程を、水による水冷工程と減圧状態としない放冷工程のみとしたことを特徴とする、請求項1に記載の防蟻性を有する発泡成形体の製造方法。
  4. 表面にホウ酸化合物を被覆させた予備発泡粒子を型内成形して得られた板状の防蟻性を有する発泡成形体において、上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも10以上多いことを特徴とする、防蟻性を有する発泡成形体。
  5. 上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも20以上多いことを特徴とする、請求項4に記載の防蟻性を有する発泡成形体。
  6. 上記発泡成形体の一方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)が、他方の板面部におけるホウ酸化合物の含有量(重量割合)よりも60以上多いことを特徴とする、請求項4に記載の防蟻性を有する発泡成形体。
  7. 請求項4乃至6の何れかに記載の防蟻性を有する発泡成形体を、該発泡成形体のホウ酸化合物の含有量が多い板面部側を建築物の外側に向けて断熱施工することを特徴とする、断熱施工方法。
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