JP4616465B2 - 領域検出方法及び超音波画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は領域検出方法及び超音波画像処理装置に関し、特に腫瘍などの組織の輪郭の自動検出に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、生体への超音波の送受波により超音波画像を形成する装置である。超音波画像としては、二次元断層像としてのBモード画像が周知である。そのようなBモード画像を観察することによって疾病の診断がなされる。
【0003】
従来において、例えば、腫瘍の大きさを計測する場合、Bモード画像上において腫瘍の両端にマニュアル操作によってマーカーが設定される。これにより、腫瘍の大きさが自動計測される。また、腫瘍の輪郭に沿ってマニュアルでトレースを行えば、腫瘍の形状を自動計測することも可能である。このような計測は超音波診断装置上において実行される場合の他、超音波画像データをコンピュータなどの外部の画像処理装置へ転送し、その画像処理装置上において実現される場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、従来においては、画像上における微妙な輝度差などを頼りとして、肉眼で対象組織の大きさが把握され、それに基づいてマニュアル操作を行うことによって計測が遂行されていたため、煩雑であるとともに、計測精度が保証されないという問題があった。
【0005】
なお、このような領域検出に関しては、超音波画像に限らず、他の医療画像 (X線画像、CT画像など)においても同様の問題を指摘でき、またそれ以外の画像解析においても同様に指摘できる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、煩雑なマニュアル操作を行うことなく対象領域の検出を行うことにある。
【0007】
本発明の他の目的は、迅速かつ比較的精度良く対象組織の領域を検出することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、画像データ上において、対象領域の内部に設定される原点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する初期探索工程と、前記初期探索工程に引き続いて、探索終了条件が満たされるまで繰り返し実行される工程であって、前記画像データ上において、前記対象領域の内部に設定される交点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する詳細探索工程と、を含む領域検出方法であって、前記初期探索工程は、前記対象領域の内部に原点を設定する第1工程と、前記原点からX方向及びY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第2工程と、交点設定条件が満たされる場合に、前記原点と前記境界点との間の区間内に交点を設定する第3工程と、を含み、前記詳細探索工程は、X方向の探索により設定された交点については当該交点からY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、Y方向の探索により設定された交点については当該交点からX方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第4工程と、前記交点設定条件が満たされる場合に、前記第4工程で利用された交点とそれを利用して設定された境界点との間の区間内に新たに交点を設定する第5工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、初期探索工程において、まず、対象領域の内部に手動で又は自動的に原点が設定されると、その原点を通過する仮想的な探索ライン(探索経路)として、Xライン及びYラインが設定される。各ライン上において、原点から遠ざかる両方向へ境界が探索される。すなわち、基本的には、原点から上下左右方向に境界探索が同時又は順番になされる。各方向で輪郭が判定されて境界点が設定されると、交点設定条件を満たす場合に、原点とその境界点との間の区間内に交点が設定される。
【0010】
次に、詳細探索工程においては、既に設定された交点を通過する直交ラインとしてのXラインあるいはYラインが設定され、それぞれのライン上において上記同様に輪郭の探索がなされ、輪郭上に境界点が設定される。境界点が設定されると、交点設定条件を満たす場合において、その境界点とその探索出発点となった交点との間の区間内に新しく交点が設定される。そして、このような工程が探索終了条件が満たされるまで繰り返されると、対象領域の輪郭上に複数の境界点が設定されることになり、後述する面積演算などの各種演算を行うことが可能となる。
【0011】
上記構成においては、X方向及びY方向に沿って探索を行えるので、自由方向に探索を行う場合に比べてその方向設定が簡易であり、また、過去の探索結果から認定された交点を次の探索の基礎(出発点)にすることができるので、能率的な探索を行える。
【0012】
あるライン上において境界点が設定された場合、当該ライン上において設定する交点の個数は複数であってもよい。また、ラインごと且つ方向ごとに順番に探索を行うようにしてもよいが、並列処理できる部分については同時進行で処理を行うようにしてもよい。
【0013】
上記の画像処理手法は特にノイズが多く含まれるという特質をもった超音波画像に適用されるのが望ましいが、他の医療画像あるいはその他の画像に適用することも可能である。
【0014】
超音波画像に上記手法を適用する場合、Bモード画像そのものを処理対象としてもよいが、一般的に設けられている対数圧縮前の画像データに対して、あるいは、輪郭強調処理がなされた画像データに対して、上記処理を適用するようにしてもよい。いわゆる送受波座標系(R,θ)に従って入力されるエコーデータに対して、表示座標系(X,Y)への変換前に上記処理を適用するようにしてもよい。もちろん、Bモード画像以外の他の超音波画像、例えば二次元血流画像(ドプラ画像)などに対して上記処理を適用するようにしてもよい。
【0015】
上記処理は実質的にはソフトウエアにより実現されるが、その機能の全部又は一部をハードウエアによって実現するようにしてもよい。
【0016】
(2)望ましくは、前記交点設定条件には、前記区間の大きさが所定値以上である条件が含まれる。この構成によれば、交点の不必要な設定を避けることができ、一定の検出精度を維持しつつ効率的な探索を行える。
【0017】
望ましくは、前記交点設定条件には、新しく設定しようとする交点を中心とした所定範囲内に原点、境界点及び既に設定された交点が存在しない条件が含まれる。この構成によれば、上記同様に、交点の過密設定を避けることができる。
【0018】
望ましくは、前記交点設定条件を境界検出精度に応じて変更する。本発明においては、交点の設定個数あるいは交点間隔が検出精度を左右するため、交点設定条件の変更をもって検出精度を調整するものである。
【0019】
望ましくは、前記探索終了条件には、交点の演算回数が一定値に到達した条件が含まれる。上記の通り交点の設定回数(あるいは探索演算回数)は境界の検出精度を左右する。
【0020】
望ましくは、前記輪郭判定に当たっては、前記原点を中心とした第1範囲内に存在するデータに基づいて演算された参照値と、輪郭判定対象とする対象点を中心とした第2範囲内に存在するデータに基づいて演算された対象値と、が比較され、前記参照値と前記対象値の差分が判定閾値を越える場合に当該対象点が境界点と判定される。
【0021】
上記構成によれば、原点又は対象点に加えてその周囲のデータも考慮できるので、判定精度を高めることができる。原点は一般に対象領域の中心付近あるいは主要部に位置決めされるため、その周囲は当該領域を代表する値をもっている確率が高いため、原点を中心とした比較的広い範囲内のデータを参照して参照値を演算すれば、その値をより的確に設定することが可能となる。これに対して、対象値を求める際にあまり広い範囲を参照すると、位置特定が曖昧になったり境界がかえって不明瞭になったりする可能性がある。よって、望ましくは、前記第1範囲よりも前記第2範囲の方が小さい領域である。
【0022】
望ましくは、前記画像データについてのヒストグラムを作成し、そのヒストグラムに基づいて前記判定閾値が設定される。この構成によれば、実データを基礎として的確に判定閾値を自動設定できるという利点がある。
【0023】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明は、画像データ上において、対象領域の内部に設定される原点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する初期探索手段と、前記画像データ上において、前記対象領域の内部に設定された交点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する詳細探索手段と、前記複数の境界点を連結することにより前記領域の輪郭に沿った近似図形を生成する近似手段と、前記近似図形の面積を演算する面積演算手段と、を含む超音波画像処理装置であって、前記初期探索手段は、前記対象領域の内部に原点を設定する手段と、前記原点を通過するXライン及びYラインを設定する手段と、前記原点を通過するXライン及びYラインに沿って輪郭判定を順次実行し、前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する手段と、交点設定条件が満たされる場合に、前記原点と前記境界点との間の区間内に交点を設定する手段と、を含み、前記詳細探索手段は、Xライン上に設定された交点については当該交点を通過するYラインを設定し、Yライン上に設定された交点については当該交点を通過するXラインを設定する手段と、前記交点を通過するXライン又はYラインに沿って輪郭判定を順次実行し、前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する手段と、前記交点設定条件が満たされる場合に、交点とそれに基づいて設定された境界点との間の区間内に新たに交点を設定する手段と、を含むことを特徴とする。
【0024】
望ましくは、前記近似図形の面積に基づいて当該近似図形が適正か否かを判定する手段を含む。この場合、例えば、近似図形の面積からその予測周囲長さが理論的に推定され、近似図形の実周囲長さと予測周囲長さとのズレから近似の的確さを判断できる。
【0025】
望ましくは、Xライン相互間の距離及びYライン相互間の距離がそれぞれ一定値となるように交点が設定される。この構成によれば、各ラインによって囲まれる基本図形が大きさ既知の四角形になる。周縁部についてはライン間の形状が台形又は三角形となる。但し、それらの図形の頂点の座標は既知となるので、それらの図形の面積を個別的に求めることは容易である。望ましくは、前記一定値を設定する手段を含む。
【0026】
望ましくは、前記面積演算手段は、前記近似図形内部におけるXライン及びYラインで囲まれる複数の四角形の個数を演算することにより主要部面積を演算する手段と、前記近似図形内部の周縁に存在する複数の台形又は三角形の面積を個別的に演算してそれらを加算することにより周縁部面積を演算する手段と、前記主要部面積及び前記周縁部面積を加算することにより前記近似図形の面積を演算する手段と、を含む。
【0027】
望ましくは、前記面積演算手段は、前記近似図形の内部に存在する画素数を演算することにより前記近似図形の面積を演算する。
【0028】
(3)また、本発明は、コンピュータ上で実行されるプログラムであって、当該プログラムは、画像データ上において、対象領域の内部に設定される原点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する初期探索工程と、前記初期工程に引き続いて、探索終了条件が満たされるまで繰り返し実行される工程であって、前記画像データ上において、前記対象領域の内部に設定される交点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する詳細探索工程と、を実行し、前記初期探索工程は、前記対象領域の内部に原点を設定する第1工程と、前記原点からX方向及びY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第2工程と、交点設定条件が満たされる場合に、前記原点と前記境界点との間の区間内に交点を設定する第3工程と、を含み、前記詳細探索工程は、X方向の探索により設定された交点については当該交点からY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、Y方向の探索により設定された交点については当該交点からX方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第4工程と、前記交点設定条件が満たされる場合に、前記第4工程で利用された交点とそれを利用して設定された境界点との間の区間内に新たに交点を設定する第5工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0029】
上記プログラムは、コンピュータ内の記憶装置(例えばハードディスク、主記憶)内に格納され、あるいは、必要に応じてCD−ROMなどの可搬媒体に格納される。それらのプログラム記憶媒体も本発明の実施態様に含まれる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1には、本発明に係る超音波画像処理装置の要部構成がブロック図として示されている。この超音波画像処理装置は、超音波診断装置内に組み込まれる装置であり、あるいは、超音波診断装置から出力された画像データを処理するコンピュータなどである。この超音波画像処理装置は以下に詳述するように生体内の臓器などの境界を検出する機能を有している。
【0032】
図1において、フレームメモリ10には、例えばBモード画像データなどが1フレーム分格納される。超音波画像データとしてはBモード画像データの他に二次元血流画像データなどであってもよい。
【0033】
領域検出部12は、ユーザーによって領域検出の対象とされた対象領域の輪郭を検出する機能を有している。その場合において、その検出に関する条件などは入力設定部16によってユーザー設定される。面積演算部14は、領域検出部12によって検出された領域の面積を演算する機能を有している。このように演算された面積の情報は必要に応じて表示器に表示され、あるいは他の演算で利用される。
【0034】
図1において、符号18によって囲まれる領域検出部12及び面積演算部14は、例えばCPU及びプログラムなどによって構成される。入力設定部16は、例えばキーボードやトラックボールなどの入力デバイスなどによって構成される。
【0035】
図2〜図5には、本実施形態に係る領域検出方法の概念が示されている。
【0036】
図2において、例えばBモード画像上において対象領域を包含するようにROI(関心領域)102が設定される。ここで、符号100は対象領域の外縁としての境界(輪郭)を示しており、この境界100は図2に示す例では閉ループを構成している。
【0037】
図2に示すROI102は、以下に説明する境界の探索に当たっての外縁を規定するものであるが、必要に応じてROI102を設ければよい。ちなみに、このROI102は、本実施形態において、後述するヒストグラムを作成する対象としても機能している。
【0038】
境界100の内部にユーザーによってあるいは自動的に探索出発点としての原点#0が設定される。この原点#0を出発点として設定されるX方向あるいはY方向に沿ったライン(探索ライン)上において境界100の検出が実行される。
【0039】
詳述すると、まず、原点#0を通過するX方向に沿ったラインX0とY方向に沿ったラインY0とが設定され、原点#0から各ラインの両側方向に順番に境界検出が実行される。この場合においては、上下(あるいは左右)の各方向ごとに順番に境界検出を行ってもよいが、もちろん並列処理可能な限りにおいて各方向について同時に境界検出を行うようにしてもよい。
【0040】
図3には、境界検出の具体的手法が概念図として示されている。原点#0を中心とした一定の範囲A内において各データが参照され、例えばその平均値が演算される。この平均値は参照値R(基準値R)とされる。境界検出を行う場合には、原点#0から例えば上方向に1ステップずつ対象点108がシフトされ、各位置において対象点108を中心とした一定の範囲B内のデータが参照され、それらの平均値が演算される。そして、その平均値が対象値Oとされる。この場合、参照値Rと対象値Oとの差分が所定の閾値Tよりも大きいか否かが判断され、その差分が所定の閾値Tよりも大きい場合には当該対象点108が境界100上にあるものとして境界判定を行う。このような境界検出が各ライン上に沿って逐次的に実行され、各ライン上において境界点が求まることになる。
【0041】
図2に戻って、例えば原点#0を通過するラインY0に沿って上方への境界検出を行う場合においては(S1参照)、上記のような参照値Rと対象値Tとの比較が順番に実行され、境界判定条件を満たした時点で当該対象値の位置が境界点*1とされる。
【0042】
そして、原点#0と境界点*1との間の区間上において次の探索の出発点をなす交点#1が設定される。図2に示す例では、原点#0から一定距離隔てた位置に交点#1が設定されているが、後述するように、当該区間内において複数の交点を同時に設定するようにしてもよい。図2に示す例では、説明簡略化のため、当該区間内において1つの交点のみが設定される場合が示されている。以上と同様の境界探索がラインY0に沿った下方向へ実行され(S2参照)、これにより境界点*2が認定され、その区間内に交点#2が設定される。同様に、ラインX0上における右方向及び左方向についてもそれぞれ境界点*3,*4が特定され、それぞれの区間内に交点#3,#4が設定される。
【0043】
以上のように交点が設定されると、その交点を通過する直交ラインが次の探索ラインとして設定される。具体的に説明すると、交点#1については、それが設定された基礎となったラインがY方向に沿ったラインY0であり、当該ラインY0に直交し、かつ交点#1を通過するラインが設定される。そして当該ライン上において、上述したように、右方向及び左方向に沿ってそれぞれ境界検出が実行され(S5及びS6参照)、これにより境界点*5,*6が設定され、さらに各区間内において、所定の交点設定条件に基づいて交点#5,#6が設定されることになる。
【0044】
本実施形態においては、新しく交点を設定しようとする場合には、当該交点から所定の範囲内に既に設定された交点、原点あるいは境界点が存在しないという交点設定条件が定められている。本実施形態では、それにしたがって交点#1を通過するX方向に沿ったライン上において、新たな交点#5,#6が設定されている。これにより、過度に交点が密集してしまい演算量が著しく増大してしまう問題を未然に防止することが可能である。
【0045】
もちろん、交点設定条件としては各種の条件を付すことが可能であり、例えば新しく交点を設定しようとする場合に当該交点の近傍にすでに設定された交点が存在するか否かのみを判断基準とするようにしてもよい。
【0046】
図2において、S6〜S11に示すように、順次設定される交点について上述した境界探索を順次実行することにより、さらに交点#7〜#10が設定され、それに伴って境界100上に境界点*7〜*12が設定されることになる。
【0047】
最終的には、交点の設定が所定値に到達した段階で、あるいは新たに交点を設定することができなくなった段階で、境界抽出が完了し、次に、図5に示すように、各境界点を相互に連結することによって境界100を近似する多角形図形が生成される。この場合においては、ある境界点から隣接する境界点までをラインで結ぶ場合に最短距離となる条件及び1回だけ使用する条件を満たすように境界点の連結処理が実行される。
【0048】
このように近似図形が生成されると、図5に示すように、その近似図形の内部の面積が演算される。具体的には、例えば近似図形104の内部に属する画素数をカウントすることによってその面積が演算され、あるいはより演算を簡易化するために、規格化された正方形の個数nをカウントし、その個数に正方形の面積Qを乗算して主要部分の面積を求め、その一方において、周辺部分に存在する台形あるいは三角形の各図形の面積Rの積算値を演算して周縁部面積とし、主要部分の面積と周縁部の面積とを加算することによって近似図形の面積Sを求めるようにしてもよい。ちなみに、台形の面積を求める場合には、それを長方形と三角形に分離してそれぞれについて個別的に面積を求めた後に加算するようにしてもよいし、台形の面積を求める演算式に各座標データを当てはめるようにしてもよい。
【0049】
図4に示す実施形態においては、境界探索において特定された区間上に複数の交点を一度に設定可能な手法の例が示されている。例えばS1で示すように、原点#0から上方に境界探索を行うと、境界点*1が求められ、原点#0と境界点*1との間の区間の大きさに応じて1又は複数の交点が設定される。図4に示す例では、当該区間が比較的大きな範囲を有するため、3つの交点#1〜#3が設定されている。これと同様に、原点#0から他方へ境界探索を行った場合には、境界点*2が設定され、また交点#4,#5が設定されている。したがって、このような手法によると、一回の境界探索により、より多くの交点が求められ、各交点に対応して一度に多数の探索用のラインX1〜X6,Y1〜Y8が設定されることになる。
【0050】
例えば、ある交点の座標が(120,65)で、Y上方向へ境界探索で見つかった境界点の座標が(90,65)であった場合においては、区間の大きさは30となる。あらかじめ探索の精度を例えば20(交点までの最低距離に相当する)と設定しておいた場合には、Y方向に沿った区間の大きさ30は、30=k×20+10=1×20+10となる。新たに設定する交点の座標を(基礎となった交点の座標−n×差分/(k+m))とすれば、120−30/(1+1)となり、(105,65)と求まる。ここで、mは余りがあった場合に1とし、それ以外には0とする。そして、nは自然数でn=1,2,・・・,R+m−1である。例えば検索の精度を10としておいた場合には、差分は30=3×10となるので、次の交点の座標として(100,65)(110,65)の2点が得られることになる。すなわち、区間の大きさに応じて1点又は2点あるいはそれ以上の交点が同時に設定される。
【0051】
本実施形態においては、図3に示す原点#0を中心とした一定の領域Aの方が対象点108を中心とした一定の領域Bよりも大きく設定される。単に原点#0と対象点108の値を比較するのではなく、このように領域から求められる値を相互に対比するのは、画像中の雑音やスペックルなどを考慮したものである。この場合において、原点#0は一般に対象領域内における代表的な位置に設定され、その周辺におけるデータの値もその領域内を代表する値である確率が高い。一方、領域Bはラインに沿って移動するものであり、その範囲があまりに大きいと境界検出精度が逆に低下してしまう可能性もあるので、領域Aが大きく領域Bについては小さく設定されている。なお、各ライン上において逐次的に領域判定を行う場合において、各ステップの刻み幅は任意に設定することが可能であり、例えば面積演算精度などに応じて所望の値とするのが望ましい。
【0052】
本実施形態においては、図3に示す領域A,Bのそれぞれについて平均値演算が行われ、それによって参照値R及び対象値Oが求められていたが、例えばメディアンフィルタなどの公知の手法を利用して中央値として参照値Rや対象値Oなどを求めるようにしてもよく、それ以外の手法を利用してもよい。
【0053】
なお、領域Aは例えば10×10ピクセルの大きさとすることが望ましく、領域Bは5×5ピクセルの大きさとするのが望ましい。
【0054】
次に、図6〜図9を用いて本実施形態に係る領域検出方法の各工程について詳述する。
【0055】
まず、図6において、S101では、閾値Tの設定方法がユーザー選択される。閾値Tがユーザーによって指定される場合には、S102において図1に示した入力設定部16などを利用してユーザーにより閾値Tの値が直接入力される。
【0056】
一方、閾値Tの自動設定が選択されると、S103において、図2に示したROI102がユーザーによって設定される。もちろんそのROIの設定を自動化するようにしてもよい。また、ROIの形状は問わないがそれが対称形を有するものであれば、その形状の中心点を原点#0とみなすようにしてもよい。
【0057】
S104では、ROI102内に存在するピクセルのデータが参照され、それによりヒストグラムが作成される。そして、S105では、そのヒストグラムにおける分散あるいは標準偏差が演算され、S106ではそのように演算された分散あるいは標準偏差に基づいて閾値Tが自動的に演算される。例えば、分散が大きい場合には、一般に領域内外における輝度差が比較的大きいと考えられるので閾値Tを大きくし、逆の場合には閾値Tを小さくするのが望ましい。
【0058】
以上のように閾値Tが設定されると、S107では、領域内の中心近傍に原点#0が設定される。その設定を自動化するようにしてもよい。S108では、原点#0を中心とする一定領域A内のデータが参照され、ユーザー指定あるいは自動指定される演算方法に従って参照値Rが演算される。演算方法としては例えば平均値演算や中央値抽出演算などを挙げることができる。その指定を自動化する場合には装置の動作条件や診断科目などに応じて自動指定を行えばよい。
【0059】
S109では、原点#0を通過するX方向のライン及びY方向のラインが自動的に設定される。それらのラインは初期探索で利用される探索ラインに相当するものである。
【0060】
図7には領域検出及び交点の設定に関するフローチャートが示されている。この図7に示す一連の工程は原点を通過するライン及び交点を通過するラインのそれぞれにおいて領域検出を行う場合に共通のものである。
【0061】
S201では、探索終了条件を満足しているか否かが判断される。図8にはその条件が具体例として示されており、例えば交点の演算回数が所定回数以上になった場合には探索終了条件を満足するものとして図9に示す処理に移行する。これと同様に、S302で示すように、全ての交点演算が完結し、新しい交点を設定できなくなった場合には、上記同様に、処理が図9に示す一連の工程に移行する。
【0062】
図7に戻って、S202では、現在注目しているラインに沿って原点あるいは交点から1ステップずつ対象点を移動させる。ここで、そのステップの刻みについてはユーザー設定させるか自動設定するようにすればよい。S203では、定められた対象点についてそれを中心とした一定範囲内のデータが参照され、それらのデータに基づいて対象値Oが演算される。この場合の対象値Oの演算方法は上述したS108と同様にユーザー設定させるかあるいは自動設定するようにする。
【0063】
S204では、S108で演算された参照値RとS203で演算された対象値Oの差分が演算され、その差分が閾値Tを超えるものであるか否かが判断される。差分が閾値Tよりも小さければ、S205においてエラー判定がなされ、エラーでなければ上述したS202以降の工程が繰り返し実行される。すなわち当該ラインに沿って1ステップずつ境界判定がなされていくことになる。S205では、対象点がROI102の外縁に到達したか否か、あるいは演算上で何らかの問題が生じたか否かが判断されており、エラーと判断された場合にはS206においてエラー処理が実行される。S204において境界であると判断された場合には、S207で当該対象点を境界点として認定する。この境界点の座標はメモリ上に登録される。これは各交点の座標についても同様である。S208では、交点設定条件を満足するか否かが判断される。本実施形態においては、2つの交点設定条件が定められている。第1条件は区間の大きさが所定値以上であるという条件であり、第2条件は新しく設定しようとする交点を中心とした一定範囲内に既に設定された交点、境界点、あるいは原点が存在しないという条件である。もちろん、交点設定条件としては各種のものを設定可能である。
【0064】
S208において交点設定条件、本実施形態では、S301及びS302が満足されなければ、処理がS201に移行し、上述した各工程が繰り返し実行される。すなわち、次のラインあるいは次の方向について上記の処理がなされることになる。一方、S208において交点設定条件を満足すると判断された場合には、S209において、注目しているライン上において交点が実際に設定される。この場合においては、図2に示したように、出発点となった原点あるいは交点から一定距離隔てた位置として、あるいは当該区間を区間の大きさに応じて所定の大きさに分割した位置として1又は複数の交点が設定される。この場合において、ユーザーにより検出精度としての分解能を指定するようにしてもよい。一般に、その分解能を高めると交点数が多くなり演算量が増大する。S210では、現在交点が存在するライン上に直交する方向に沿って新たにラインが設定される。そして、処理がS201へ移行する。
【0065】
S201の探索終了条件が満足されると、処理が図9に示すフローチャートへ移行する。
【0066】
S401では、図5に示したように、それまでに設定された複数の境界点を相互に連結させる処理が実行される。その場合においては、ある境界点から最短の境界点を連結するようにし、しかも1回連結された境界点は他の境界点から連結されない条件を課するのが望ましい。このようにすると、境界を模擬する多角形図形としての近似図形が生成されることになる。
【0067】
S402では、当該近似図形における実際の周辺の長さすなわち境界点を連結した各線の長さの総和が演算される。S403では、上述した手法を利用して近似図形の内部の面積Sが演算される。この場合においては、例えば近似図形内のピクセル数をカウントするようにしてもよいし、あるいは図5に示すように主要部分と周辺部分とで別々の演算手法を適用してそれらの加算値をもって面積Sとしてもよい。
【0068】
S404では、境界が円形であると仮定した場合における周囲の長さCが推定される。具体的には、面積Sから周囲の推定長さCが求められる。S405では、そのような推定長さCとS402で演算された実際の長さとが比較され、それらの相違が所定値以内であれば連結処理が適正であったとしてこの処理は終了する。一方、S405で不適正であると判断された場合にはS406でエラー処理が実行される。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、煩雑なマニュアル操作を行うことなく対象領域の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波画像処理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施形態に係る領域検出方法の概念を示す概念図である。
【図3】 参照値Rと対象値Oの算出方法を説明するための図である。
【図4】 領域検出方法の他の例を示す図である。
【図5】 面積演算の方法を説明するための図である。
【図6】 本実施形態に係る領域検出方法の内容を示すフローチャートである。
【図7】 本実施形態に係る領域検出方法の内容を示すフローチャートである。
【図8】 本実施形態に係る領域検出方法の内容を示すフローチャートである。
【図9】 本実施形態に係る領域検出方法の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 フレームメモリ、12 領域検出部、14 面積演算部、16 入力設定部、100 境界、102 ROI(関心領域)108 対象点。
Claims (15)
- 画像データ上において、対象領域の内部に設定される原点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する初期探索工程と、
前記初期探索工程に引き続いて、探索終了条件が満たされるまで繰り返し実行される工程であって、前記画像データ上において、前記対象領域の内部に設定される交点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する詳細探索工程と、
を含む領域検出方法であって、
前記初期探索工程は、
前記対象領域の内部に原点を設定する第1工程と、
前記原点からX方向及びY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第2工程と、
交点設定条件が満たされる場合に、前記原点と前記境界点との間の区間内に交点を設定する第3工程と、
を含み、
前記詳細探索工程は、
X方向の探索により設定された交点については当該交点からY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、Y方向の探索により設定された交点については当該交点からX方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第4工程と、
前記交点設定条件が満たされる場合に、前記第4工程で利用された交点とそれを利用して設定された境界点との間の区間内に新たに交点を設定する第5工程と、
を含むことを特徴とする領域検出方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記交点設定条件には、前記区間の大きさが所定値以上である条件が含まれることを特徴とする領域検出方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記交点設定条件には、新しく設定しようとする交点を中心とした所定範囲内に原点、境界点及び既に設定された交点が存在しない条件が含まれることを特徴とする領域検出方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記交点設定条件を境界検出精度に応じて変更することを特徴とする領域検出方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記探索終了条件には、交点の演算回数が一定値に到達した条件が含まれることを特徴とする領域検出方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記輪郭判定に当たっては、前記原点を中心とした第1範囲内に存在するデータに基づいて演算された参照値と、輪郭判定対象とする対象点を中心とした第2範囲内に存在するデータに基づいて演算された対象値と、が比較され、前記参照値と前記対象値の差分が判定閾値を越える場合に当該対象点が境界点と判定されることを特徴とする領域検出方法。 - 請求項6記載の方法において、
前記第1範囲よりも前記第2範囲の方が小さい領域であることを特徴とする領域検出方法。 - 請求項6記載の方法において、
前記画像データについてのヒストグラムを作成し、そのヒストグラムに基づいて前記判定閾値が設定されることを特徴とする領域検出方法。 - 画像データ上において、対象領域の内部に設定される原点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する初期探索手段と、
前記画像データ上において、前記対象領域の内部に設定された交点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する詳細探索手段と、
前記複数の境界点を連結することにより前記領域の輪郭に沿った近似図形を生成する近似手段と、
前記近似図形の面積を演算する面積演算手段と、
を含む超音波画像処理装置であって、
前記初期探索手段は、
前記対象領域の内部に原点を設定する手段と、
前記原点を通過するXライン及びYラインを設定する手段と、
前記原点を通過するXライン及びYラインに沿って輪郭判定を順次実行し、前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する手段と、
交点設定条件が満たされる場合に、前記原点と前記境界点との間の区間内に交点を設定する手段と、
を含み、
前記詳細探索手段は、
Xライン上に設定された交点については当該交点を通過するYラインを設定し、Yライン上に設定された交点については当該交点を通過するXラインを設定する手段と、
前記交点を通過するXライン又はYラインに沿って輪郭判定を順次実行し、前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する手段と、
前記交点設定条件が満たされる場合に、交点とそれに基づいて設定された境界点との間の区間内に新たに交点を設定する手段と、
を含むことを特徴とする超音波画像処理装置。 - 請求項9記載の装置において、
前記近似図形の面積に基づいて当該近似図形が適正か否かを判定する手段を含むことを特徴とする超音波画像処理装置。 - 請求項9記載の装置において、
Xライン相互間の距離及びYライン相互間の距離がそれぞれ一定値となるように交点が設定されることを特徴とする超音波画像処理装置。 - 請求項11記載の装置において、
前記一定値を設定する手段を含むことを特徴とする超音波画像処理装置。 - 請求項11記載の装置において、
前記面積演算手段は、
前記近似図形内部におけるXライン及びYラインで囲まれる複数の四角形の個数を演算することにより主要部面積を演算する手段と、
前記近似図形内部の周縁に存在する複数の台形又は三角形の面積を個別的に演算してそれらを加算することにより周縁部面積を演算する手段と、
前記主要部面積及び前記周縁部面積を加算することにより前記近似図形の面積を演算する手段と、
を含むことを特徴とする超音波画像処理装置。 - 請求項9記載の装置において、
前記面積演算手段は、前記近似図形の内部に存在する画素数を演算することにより前記近似図形の面積を演算することを特徴とする超音波画像処理装置。 - コンピュータ上で実行されるプログラムを記憶した記録媒体であって、
当該プログラムは、
画像データ上において、対象領域の内部に設定される原点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する初期探索工程と、
前記初期工程に引き続いて、探索終了条件が満たされるまで繰り返し実行される工程であって、前記画像データ上において、前記対象領域の内部に設定される交点を出発点として、前記対象領域の輪郭を探索する詳細探索工程と、
を実行し、
前記初期探索工程は、
前記対象領域の内部に原点を設定する第1工程と、
前記原点からX方向及びY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第2工程と、
交点設定条件が満たされる場合に、前記原点と前記境界点との間の区間内に交点を設定する第3工程と、
を含み、
前記詳細探索工程は、
X方向の探索により設定された交点については当該交点からY方向に沿って輪郭判定を順次実行し、Y方向の探索により設定された交点については当該交点からX方向に沿って輪郭判定を順次実行し、これにより前記対象領域の輪郭上に境界点を設定する第4工程と、
前記交点設定条件が満たされる場合に、前記第4工程で利用された交点とそれを利用して設定された境界点との間の区間内に新たに交点を設定する第5工程と、
を含む、
ことを特徴とする記録媒体。
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