JP4616490B2 - Cvt用プーリーへのめっき方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材とアルミニウムやアルミニウム合金との組み合わせからなるCVT用プーリーの表面にめっきを施す方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鋼材と他の金属とを溶接、嵌合、あるいは、鋳ぐるみ等により一体化して組み合わせた種々の異種金属構造体が使用されており、このような異種金属構造体の中には、例えば、CVT用プーリーのように、表面にめっきを施して所望の金属薄膜を備えたものがある。
【0003】
従来、鋼材とアルミニウム合金からなるCVT用プーリーに対して、ニッケルめっきを施す場合、鋼材に対するめっき工程と、アルミニウム合金に対するめっき工程とを、それぞれ別個に行っていた。すなわち、まず、CVT用プーリーの鋼材部分に樹脂等によりマスクを形成し、その後、アルミニウム合金部分に脱脂処理、エッチング処理、スマット(脱脂処理やエッチング処理により表面に生じた黒色異物)除去処理を行う。次いで、アルミニウム合金部分に、第1亜鉛置換→硝酸剥離→第2亜鉛置換という、亜鉛置換処理を2回行う、いわゆるダブルジンケート処理が施され、緻密な亜鉛置換被膜を形成した後、ニッケルイオンを含む浴内において無電解めっきにより、アルミニウム合金部分にニッケルめっきが施される。次に、鋼材部分のマスクを除去し、アルミニウム合金部分に樹脂等によりマスクを形成し、その後、鋼材部分に脱脂処理、エッチング処理、スマット除去処理を行う。次いで、ニッケルイオンを含む浴内において無電解めっきにより、鋼材部分にニッケルめっきが施される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような方法では、アルミニウム合金部分と鋼材部分とに別個にめっきを施すため、各部分毎にマスクを形成したり、めっきの前処理を行う必要があり、作業効率的に不利であった。さらに、アルミニウム合金部分と鋼材部分とに別個に形成された表面めっき層の境界での密着性が低く、表面めっき層のふくれや、剥がれが生じるという問題もあった。
【0005】
このような問題を解消するために、マスクを形成することなく、アルミニウム合金部分と鋼材部分とに同時にめっきを施すことが考えられるが、同じ処理によりアルミニウム合金部分と鋼材部分の双方に対して適切な前処理を行うことが困難であるため、アルミニウム合金部分に主眼をおいた前処理、および、鋼材部分に主眼をおいた前処理の一方、あるいは、双方の前処理を行うことになる。
【0006】
しかし、例えば、アルミニウム合金部分に主眼をおいた前処理を行う場合、上記のダブルジンケート処理で、アルミニウム合金部分に形成した亜鉛置換被膜の除去に使用される酸性溶液によって鋼材部分が腐蝕されスマットが生成する。このため、後工程においてめっきを施しても、鋼材部分におけるめっき層の密着性が低いという問題があった。また、鋼材部分に生成したスマットを除去しても、上記のアルミニウム合金部分に主眼をおいた前処理では、鋼材部分の前処理が不十分であり、鋼材部分におけるめっき層の密着性が低いものであった。
一方、鋼材部分に主眼をおいた前処理では、ジンケート処理を行なわないため、アルミニウム合金部分におけるめっき層の密着性が低いという問題があった。
【0007】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、鋼材とアルミニウムまたはアルミニウム合金との組み合わせからなるCVT用プーリーの表面に、高い密着性で表面めっき層を形成する簡便なめっき方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、鋼材からなるシャフト部分と、アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金からなるプーリー部分と、を含むCVT用プーリーへのめっき方法において、CVT用プーリーに対してエッチング処理を施す工程と、前記CVT用プーリーに対して亜鉛置換被膜を成膜するジンケート処理を施す工程と、銅イオン濃度が1〜20g/dm 3 の範囲であるめっき液により下地めっき層を形成する工程と、前記下地めっき層上に所望の表面めっき層を形成する工程と、を含むような構成とした。
【0009】
また、本発明のCVT用プーリーへのめっき方法は、前記ジンケート処理が、第1の亜鉛置換被膜を形成し、剥離液を用いて該亜鉛置換被膜を剥離した後、第2の亜鉛置換被膜を形成するものであり、前記剥離液によって鋼材に生じたスマットを除去する鋼材スマット除去処理工程を含むような構成とした。
【0010】
また、本発明のCVT用プーリーへのめっき方法は、エッチング処理を施す工程とジンケート処理を施す工程との間に、スマット除去処理を施す工程を含むような構成とした。
【0011】
また、本発明のCVT用プーリーへのめっき方法は、前記表面めっき層はニッケル、ニッケル合金、および、クロムのいずれかにより形成されるような構成とした。
【0012】
さらに、本発明のCVT用プーリーへのめっき方法は、前記下地めっき層の形成が電解めっきにより行なわれ、前記表面めっき層の形成が電解めっき、あるいは、無電解めっきにより行なわれるような構成とした。
上記のような本発明では、下地めっき層はCVT用プーリーを構成する鋼材とアルミニウムやアルミニウム合金上の亜鉛置換被膜に高い密着性で形成され、かつ、CVT用プーリーの表面を均質化させ、この下地めっき層に対して高い密着性をもつ表面めっき層は、CVT用プーリーに対する密着性も良好なものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の最適な実施形態について説明する。
本発明のCVT用プーリーへのめっき方法は、鋼材と、アルミニウムやアルミニウム合金との組み合わせ構造体であるCVT用プーリーに対してエッチング処理を施す工程と、このCVT用プーリーに対して亜鉛置換被膜を成膜するジンケート処理を施す工程と、鋼材と置換反応を起しにくいめっき液により下地めっき層を形成する工程と、この下地めっき層上に所望の表面めっき層を形成する工程と、を含むものである。
【0014】
エッチング処理は、後工程においてCVT用プーリーの表面に形成される亜鉛置換被膜、下地めっき層の密着性を良好なものとするために、CVT用プーリーの表面を粗面化する処理であり、例えば、エッチング液を用いたウエットエッチングにより行なわれる。ウエットエッチングは、エッチング液内にCVT用プーリーを浸漬することにより、あるいは、CVT用プーリーにエッチング液を塗布、噴霧することにより行なわれる。エッチング液としては、例えば、5〜100g/dm3の濃度に調整された水酸化ナトリウム等の強アルカリ性溶液を使用することができる。エッチング処理時におけるエッチング処理液の温度(処理温度)や、エッチング液とCVT用プーリーとの接触時間は、金属材料の組成や達成すべき粗面化状態等に応じて適宜設定でき、例えば、処理温度は常温(25℃)〜80℃程度、接触時間は数秒〜数十秒程度とされる。
尚、エッチング処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存するエッチング液等を除去すべく、CVT用プーリーを水洗することが好ましい。
【0015】
ジンケート処理は、CVT用プーリーを構成するアルミニウムあるいはアルミニウム合金上に、亜鉛を置換させてムラのない緻密な亜鉛置換被膜を均一に成膜し、アルミニウム酸化物による下地めっき層の密着性低下を防止するための前処理である。使用する亜鉛置換処理液は、従来公知の亜鉛置換処理液を用いることができ、例えば、水酸化ナトリウムと酸化亜鉛の混合液、あるいは、この混合液にシアン化ナトリウムや酒石酸ナトリウムカリウム、塩化鉄等を加えたアルカリ性溶液等が使用される。
【0016】
ジンケート処理における亜鉛置換処理液の温度(処理温度)、浸漬時間等は、必要とされる亜鉛の置換量等によって適宜設定され、例えば、処理温度は常温(25℃)〜50℃程度、浸漬時間は10〜120秒程度とされる。
尚、ジンケート処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存する亜鉛置換処理液等を除去すべく、CVT用プーリーを水洗することが好ましい。
【0017】
本発明では、ジンケート処理を、亜鉛置換を2回行う(第1亜鉛置換→剥離→第2亜鉛置換)、いわゆるダブルジンケート処理としてもよい。ダブルジンケート処理を行うことにより、一段の亜鉛置換処理(シングルジンケート処理)では得られないより緻密な亜鉛置換被膜を得ることができ、良好なめっき外観および密着強度が得られる。ダブルジンケート処理において、第1の亜鉛置換被膜を剥離するための剥離液は、希硝酸、希硫酸等の剥離液を使用することができ、例えば、67.5%硝酸を10〜50体積%で含有した硝酸水溶液を使用することができる。また、剥離時の温度(処理温度)や、剥離液とCVT用プーリーとの接触時間は適宜設定でき、例えば、処理温度は10〜25℃程度、接触時間は5〜60秒程度とされる。
【0018】
本発明では、上記のようなダブルジンケート処理を行った場合、剥離液によって鋼材に生じたスマットを除去する鋼材スマット除去処理工程を含むものとする。この鋼材スマット除去処理は、ダブルジンケート処理工程において鋼材部分に生じたスマットを除去し、後工程で形成される下地めっき層と鋼材との密着性を良好なものとするために行なわれる。スマット除去の方法としては、超音波を併用した水洗やPR電解処理等が挙げられる。
【0019】
超音波を併用した水洗の処理条件は、スマットの発生量等に応じて適宜設定できるが、例えば、水洗水の温度は常温(25℃)〜60℃程度、処理時間は30秒〜15分程度、超音波の周波数は30〜100kHz程度とすることができる。
【0020】
また、PR電解処理は、電解液内にCVT用プーリーを一方の電極として浸漬した状態において、他方の電極との間に流れる電流の方向を周期的に変化させることにより行なわれる。この場合、電解液としては、例えば、炭酸塩とグルコン酸塩およびEDTA塩の少なくとも一方との混合液、あるいは、この混合液にシアン化ナトリウムをさらに加えたアルカリ性溶液が使用される。また、PR電解処理での電解液温度(処理温度)、電解時間(CVT用プーリーが陽極とされる時間と陰極とされる時間の割り振り)等は、スマットの発生量等に応じて適宜設定でき、例えば、処理温度は常温(25℃)〜60℃程度、電解時間はCVT用プーリーが陽極とされる時間を6〜10秒および陰極とされる時間を2〜5秒としたものを1サイクルとして、計30秒〜5分程度とすることができる。このとき、CVT用プーリーを流れる電流の密度は、5〜10A/dm2程度とされる。
尚、鋼材スマット除去処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存する処理液等を除去すべく、CVT用プーリーを水洗することが好ましい。
【0021】
下地めっき層の形成工程は、後工程において形成される表面めっき層の密着性を良好なものとし、かつ、CVT用プーリーの表面を均質化するために行なわれる。すなわち、CVT用プーリー上に直接めっきすれば、密着性の低い金属であっても、下地めっき層を構成する金属の種類を適宜選択することにより、密着性の良好な表面めっき層を形成することができるようになる。下地めっき層の形成は、鋼材と置換反応を起しにくいめっき液、例えば、1〜20g/dm3程度の銅イオンを含むめっき液内に、CVT用プーリーを陰極として浸漬し、電解めっきにより行なわれる。下地めっき層は、CVT用プーリーの鋼材上、および、亜鉛置換被膜上に形成され、その厚みは、下地めっき層の金属材質、後工程で形成される表面めっき層の金属材質、CVT用プーリーの形状等を考慮して設定することができ、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。また、下地めっき層を形成する電解めっき条件は、形成する下地めっき層の厚み等により適宜設定されるが、厚み5μm程度の銅めっき層を形成する場合、めっき液の温度は数十℃程度、CVT用プーリーに流す電流の密度は0.5〜数A/dm2程度、めっき時間は数十分程度に設定される。
尚、下地めっき層の形成が終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存するめっき液等を除去すべく、CVT用プーリーを水洗することが好ましい。
【0022】
表面めっき層を形成する工程は、無電解めっき、あるいは、電解めっきにより行なわれる。
無電解めっきにより表面めっき層を形成する場合、予め触媒化処理を行う。この触媒化処理は、めっき成分を還元析出させるための触媒をCVT用プーリーの表面に付着させるものであり、例えば、パラジウム等の還元触媒を、静電気的な力によってCVT用プーリーの表面に付着させたり、置換反応によりCVT用プーリーの表面に付着させる。尚、無電解めっき液中にジメチルアミンボラン等の還元剤を含有したり、CVT用プーリーの表面に直接Fe等を接触させることにより、触媒化処理を省略することもできる。
【0023】
無電解めっきは、例えば、ニッケル等のめっきすべき金属のイオンを含有するめっき液内にCVT用プーリーを浸漬することにより行なわれる。この無電解めっきにより、下地めっき層上に、パラジウム等の還元触媒により還元されたニッケル等が析出・成長し、表面めっき層が形成される。めっき液は、めっきすべき金属イオンを含有する公知のめっき液を使用することができ、その組成は特に制限されない。また、表面めっき層の厚みは、CVT用プーリーに対して付与すべき特性に応じて適宜設定でき、例えば、5〜15μm程度である。無電解めっき液の温度や浸漬時間は、形成すべき表面めっき層の厚み等により決定され、例えば、10μmのニッケルめっき層を形成する場合には、4〜5g/dm3程度のニッケルイオンを含むめっき液を、80〜90℃程度に加熱し、このめっき液内にCVT用プーリーを40〜60分間程度浸漬すればよい。
【0024】
電解めっきにより表面めっき層を形成する場合、ニッケルやクロム等のめっきすべき金属のイオン、例えば、ニッケルイオンを60〜90g/dm3程度で含むめっき液内に、CVT用プーリーを陰極として浸漬し、通電することにより行なわれる。表面めっき層は、下地めっき層上に形成され、その厚みは、CVT用プーリーに対して付与すべき特性に応じて適宜設定でき、例えば、5〜15μm程度である。また、表面めっき層を形成する電解めっき条件は、形成する表面めっき層の厚み等により適宜設定されるが、厚み10μm程度のニッケルめっき層を形成する場合、めっき液の温度は40〜70℃程度、CVT用プーリーに流す電流の密度は1〜12A/dm2程度、めっき時間は5〜50分程度に設定される。
尚、本発明では、上記のエッチング処理の前に、脱脂処理を行ったり、エッチング処理とジンケート処理の間にスマット除去処理を行ってもよい。
【0025】
脱脂処理は、CVT用プーリーの表面に付着した油脂性の汚れ等を除去するための処理であり、所定の脱脂液内にCVT用プーリーを浸漬し、あるいは、脱脂液をCVT用プーリーに塗布、噴霧することにより行なわれる。脱脂液としては、例えば、有機溶剤、エマルジョン脱脂液、弱アルカリ性脱脂液等が使用される。有機溶剤としては、例えば、トリクロルエチレン、パークロルエチレン等が挙げられ、エマルジョン脱脂液としては、例えば、ケロシン等が挙げられ、弱アルカリ性脱脂液としては、例えば、珪酸塩水溶液に界面活性剤を添加したもの等が挙げられるが、特に弱アルカリ性脱脂液が好ましく使用される。また、脱脂処理時における脱脂液の温度(処理温度)や、脱脂液とCVT用プーリーとの接触時間は、CVT用プーリーの汚れの程度や使用する脱脂液の種類等に応じて適宜設定でき、例えば、処理温度は常温(25℃)〜80℃程度、接触時間は数秒〜数分程度とされる。
尚、脱脂処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存する脱脂液等を除去すべく、CVT用プーリーを水洗することが好ましい。
【0026】
スマット除去処理は、脱脂処理やエッチング処理により、CVT用プーリーを構成するアルミニウムあるいはアルミニウム合金部分の表面に付着したスマットの除去を目的として行なわれる処理であり、例えば、スマット除去液内にCVT用プーリーを浸漬し、あるいは、スマット除去液をCVT用プーリーに塗布、噴霧することにより行なわれる。スマット除去液としては、フッ化物系の混酸の希釈液、例えば、硝酸と硫酸と水とを2:1:1(容積比)程度で混合したものに、フッ化物を50〜200g/dm3程度添加したものが挙げられる。スマット除去処理時におけるスマット除去液の温度(処理温度)や、スマット除去液とCVT用プーリーとの接触時間は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金部分におけるスマットの発生量等に応じて適宜設定でき、例えば、処理温度は常温(25℃)程度、接触時間は数秒〜数十秒程度とされる。
尚、スマット除去処理を終了した後には、CVT用プーリーの表面に残存するスマット除去液等を排除すべく、CVT用プーリーを水洗することが好ましい。
【0027】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
【0028】
[実施例1]
まず、図1に示されるような構造のCVT用プーリーを準備した。このCVT用プーリー1は、鋼材からなる長さ約250mm、最大径30mmのシャフト部2と、直径が約200mmである円盤形状のアルミニウム合金製のプーリー部分3とを一体化したものである。尚、鋼材の材質はSCr420材であり、アルミニウム合金の材質はAC4B材であった。
【0029】
次に、上記のCVT用プーリーに、以下の脱脂処理、エッチング処理、スマット除去処理、ジンケート処理、下地めっき処理、触媒化処理、表面めっき処理を順次施した。
(脱脂処理)
アルミニウム用脱脂剤(メルテックス(株)製アルミニウムクリーナー NE−6)を60g/dm3の濃度となるように蒸留水に溶解させて調製した脱脂液を70℃に保持し、この脱脂液内にCVT用プーリーを5分間浸漬し、その後、水洗した。
【0030】
(エッチング処理)
アルミニウム用エッチング剤(メルテックス(株)製エッチアルム14)を45g/dm3の濃度となるように蒸留水に溶解させて調製したエッチング液を60℃に保持し、このエッチング液内にCVT用プーリーを30秒間浸漬し、その後、水洗した。
【0031】
(スマット除去処理)
硝酸と硫酸と蒸留水を容積比で2:1:1で混合したものに、アルミニウム用スマット除去剤(メルテックス(株)製アクタン70)を120g/dm3の濃度となるように添加して調製したスマット除去液を25℃に保持し、このスマット除去液内にCVT用プーリーを30秒間浸漬し、その後、水洗した。
【0032】
(ジンケート処理)
蒸留水にメルテックス(株)製アルモンENを200mL/Lの濃度で添加し、さらに、メルテックス(株)製アルモンENアディティブを20mL/Lの濃度で添加して、亜鉛置換処理液を調製した。この亜鉛置換処理液を25℃に保持してCVT用プーリーを30秒間浸漬して亜鉛置換を行い、水洗した。
【0033】
(下地めっき処理)
銅イオン濃度が4g/dm3である銅電解めっき液(メルテックス(株)製メルカパー CF−2100)を30℃に保持し、このめっき液内にCVT用プーリーを陰極として浸漬し、CVT用プーリーに対して1A/dm2の電流密度で電流を25分間流して下地めっき層を形成し、その後、水洗した。
【0034】
(触媒化処理)
無電解ニッケルめっき用の触媒付与剤(メルテックス(株)製エンプレート イニシエーター852)30cm3、および、蒸留水970cm3を混合して触媒化処理液を調製し、この触媒化処理液を22℃に保持してCVT用プーリーを4分間浸漬し、その後、水洗した。
【0035】
(表面めっき処理)
ニッケルイオン濃度が4.8g/dm3であるニッケル−リン無電解めっき液(メルテックス(株)製メルプレート NI−4990)を90℃に保持し、このめっき液内にCVT用プーリーを45分間浸漬して表面めっき層を形成し、その後、水洗した。
【0036】
上述のように各処理を施したCVT用プーリーについて、ニッケルめっき層の形成状態を顕微鏡により観察した結果、CVT用プーリー全体に均一にニッケルめっき層が形成されていた。また、このCVT用プーリーを400℃で1時間加熱した後、水冷するといった剥離試験を行ったところ、ニッケルめっき層にふくれや、剥がれが生じることなく、良好な密着性を示した。
【0037】
[実施例2]
ジンケート処理を、下記に示す2回の亜鉛置換処理を行うダブルジンケート処理とし、ダブルジンケート処理後に下記に示す鋼材スマット除去処理を行った他は、実施例1と同様の処理を施して、CVT用プーリーにニッケルめっき層を形成した。
【0038】
(ダブルジンケート処理)
蒸留水にメルテックス(株)製アルモンENを200mL/Lの濃度で添加し、さらに、メルテックス(株)製アルモンENアディティブを20mL/Lの濃度で添加して、亜鉛置換処理液を調製した。この亜鉛置換処理液を25℃に保持してCVT用プーリーを30秒間浸漬して第1亜鉛置換を行い、水洗した。次に、67.5%硝酸を30体積%で含有する水溶液を25℃に保持し、この硝酸水溶液内にCVT用プーリーを5秒間浸漬して亜鉛置換被膜を除去し、水洗した。その後、上記の亜鉛置換処理液を25℃に保持してCVT用プーリーを30秒間浸漬して第2亜鉛置換を行い、水洗した。
【0039】
(鋼材スマット除去処理)
蒸留水を25℃に保持し、この蒸留水に超音波を併用しながらCVT用プーリーを5分間浸漬してスマットを除去し、水洗した。
上述のように各処理を施したCVT用プーリーについて、ニッケルめっき層の形成状態を顕微鏡により観察した結果、CVT用プーリー全体に均一にニッケルめっき層が形成されていた。また、このCVT用プーリーを400℃で1時間加熱した後、水冷するといった剥離試験を行ったところ、ニッケルめっき層にふくれや、剥がれが生じることなく、良好な密着性を示した。
【0040】
[比較例1]
下地めっき層を形成しない他は、実施例1と同様にして各処理を施し、CVT用プーリーにニッケルめっき層を形成した。
上述のように各処理を施したCVT用プーリーについて、ニッケルめっき層の形成状態を顕微鏡により観察した結果、CVT用プーリーのシャフト部(鋼材部分)のニッケルめっき層にふくれがみられた。また、このCVT用プーリーを400℃で1時間加熱した後、水冷するといった剥離試験を行ったところ、CVT用プーリーのシャフト部(鋼材部分)において、ニッケルめっき層にふくれや、剥がれが生じた。
【0041】
[比較例2]
ダブルジンケート処理後の鋼材スマット除去処理を省略した他は、実施例2と同様にして各処理を施し、CVT用プーリーにニッケルめっき層を形成した。
上述のように各処理を施したCVT用プーリーについて、ニッケルめっき層の形成状態を顕微鏡により観察した結果、CVT用プーリーのシャフト部(鋼材部分)のニッケルめっき層にふくれがみられた。また、このCVT用プーリーを400℃で1時間加熱した後、水冷するといった剥離試験を行ったところ、CVT用プーリーのシャフト部(鋼材部分)において、ニッケルめっき層のふくれや、剥がれが生じた。
【0042】
[実施例3]
鋼材として、材質がS45C材である鋼材を使用した他は、実施例1と同様の構成でCVT用プーリーを作製した。
このCVT用プーリーについて、実施例2と同様の各処理を施して、CVT用プーリーにニッケルめっき層を形成した。
上述のように各処理を施したCVT用プーリーについて、ニッケルめっき層の形成状態を顕微鏡により観察した結果、CVT用プーリー全体に均一にニッケルめっき層が形成されていた。また、このCVT用プーリーを400℃で1時間加熱した後、水冷するといった剥離試験を行ったところ、ニッケルめっき層にふくれや、剥がれが生じることなく、良好な密着性を示した。
【0043】
[比較例3]
ダブルジンケート処理後の鋼材スマット除去処理を省略した他は、実施例3と同様にして各処理を施し、CVT用プーリーにニッケルめっき層を形成した。
上述のように各処理を施したCVT用プーリーについて、ニッケルめっき層の形成状態を顕微鏡により観察した結果、CVT用プーリーのシャフト部(鋼材部分)のニッケルめっき層にふくれがみられた。また、このCVT用プーリーを400℃で1時間加熱した後、水冷するといった剥離試験を行ったところ、CVT用プーリーのシャフト部(鋼材部分)で、ニッケルめっき層のふくれや、剥がれが生じた。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、何れの工程においても、CVT用プーリーをなす鋼材とアルミニウムやアルミニウム合金との双方に対して同時に処理を施すので、作業効率が極めて高いものであり、また、CVT用プーリーを構成する鋼材上に形成された下地めっき層、および、亜鉛置換被膜を介してアルミニウムやアルミニウム合金上に形成された下地めっき層は、高い密着性を示し、かつ、CVT用プーリーの表面を均質化させるので、この下地めっき層上に形成された表面めっき層は、CVT用プーリーに対し高い密着性をもつ。さらに、ジンケート処理を施す工程を、第1の亜鉛置換被膜を形成し、この亜鉛置換被膜を剥離した後、第2の亜鉛置換被膜を形成するような、いわゆるダブルジンケート処理とすることにより、鋼材部分にスマットが発生しても、その後の鋼材スマット除去処理によりスマットが除去されるため、下地めっき層と鋼材との密着性が高く、したがって、表面めっき層と鋼材との密着性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において使用したCVT用プーリーを示す図である。
【符号の説明】
1…CVT用プーリー
2…シャフト部(鋼材部分)
3…プーリー部(アルミニウム合金部分)
Claims (5)
- 鋼材からなるシャフト部分と、アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金からなるプーリー部分と、を含むCVT用プーリーへのめっき方法において、
CVT用プーリーに対してエッチング処理を施す工程と、
前記CVT用プーリーに対して亜鉛置換被膜を成膜するジンケート処理を施す工程と、
銅イオン濃度が1〜20g/dm 3 の範囲であるめっき液により下地めっき層を形成する工程と、
前記下地めっき層上に所望の表面めっき層を形成する工程と、を含むことを特徴とするCVT用プーリーへのめっき方法。 - 前記ジンケート処理は、第1の亜鉛置換被膜を形成し、剥離液を用いて該亜鉛置換被膜を剥離した後、第2の亜鉛置換被膜を形成するものであり、前記剥離液によって鋼材に生じたスマットを除去する鋼材スマット除去処理工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のCVT用プーリーへのめっき方法。
- エッチング処理を施す工程とジンケート処理を施す工程との間に、スマット除去処理を施す工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のCVT用プーリーへのめっき方法。
- 前記表面めっき層はニッケル、ニッケル合金、および、クロムのいずれかにより形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のCVT用プーリーへのめっき方法。
- 前記下地めっき層の形成は、電解めっきにより行なわれ、前記表面めっき層の形成は、電解めっき、あるいは、無電解めっきにより行なわれることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のCVT用プーリーへのめっき方法。
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