JP4617787B2 - 汚水処理システム - Google Patents
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Description
従来の汚泥処理システムにおける汚泥減量化法については、返送汚泥の一部をオゾン処理等を利用した汚泥改質装置で汚泥を改質することにより生物分解性を高め、それを再び生物反応槽に戻すことによって汚泥中の有機物を生物酸化し、余剰汚泥量を減量させている(例えば、特許文献1参照)。
図3は従来の汚水処理システムを示す説明図である。
図3において、1は汚水、2は生物反応槽、3は酸素供給ブロワ、4は最終沈殿池、5は処理水、6は汚泥、7は汚泥改質装置、8は水質シミュレータ、9は制御装置、10はデータ蓄積装置である。S1は、生物反応槽2の各種の水質を検出するセンサである。
有機物を含む汚水1は、生物反応槽2で酸素供給ブロワ3から酸素が供給されることにより微生物処理された後、最終沈殿池4で固液分離され処理水5が得られる。沈降した汚泥6は引き抜かれて再度、生物反応槽2に返送されるが、このとき返送汚泥の一部をオゾンによる汚泥改質装置7で処理した後、生物反応槽2に戻すといった操作を行う。この折、活性汚泥中のMLSS成分は大部分が生物由来の有機物であることから、酸化力の強いオゾンにより生物体を構成する細胞壁や細胞膜が破壊され、細胞中から有機酸や糖などが放出される。こうした作用により汚泥は易生物分解性となり、生物反応槽2に戻ると無機物にまで分解され汚泥がなくなるといったものである。
このときのオゾン発生量あるいは処理汚泥量などの汚泥改質装置における運転操作量は、経験的なデータのみに基づいて設定されている。
このように、従来の汚水処理システムにおける汚泥減量化法は、オゾンなどを利用した汚泥改質装置の導入により返送汚泥の一部を易生物分解性に改質して余剰汚泥量を減量化するものである。
また、生物反応槽における処理効率を向上し、安定した処理水質を得るために、槽の設計値や酸素供給ブロワの運転条件を最適に設定するためのツールとして水質シミュレータを活用したシステムも考案されている。
(例えば、特許文献2参照)。
汚泥減量操作を行わない汚水処理システムにおいて、一般には、生物反応槽における酸素供給ブロワから供給される酸素量は過剰に設定されているため、処理水質は比較的良好に安定しているものの、エネルギー消費量の無駄が生じていることが多い。
一方、汚泥改質装置を導入し、余剰汚泥量を大幅に減量する操作条件とした場合は、必要酸素消費量の増加により酸素量が不足し、処理水のCODやリン濃度の上昇、あるいは硝化反応に障害が生じて処理水質が低下するといった状況を招く場合がある。この場合、
・汚泥改質装置の運転操作量を適正値に制御する
・酸素供給運転操作量を適正値に制御する
・酸素供給ブロワの性能を向上させる
などの操作を行う必要がある。
このように状況の変化に応じて、汚泥改質装置や酸素供給ブロワの運転操作量を適切に制御する必要があるが、従来の汚水処理システムでは、経時変化や汚泥改質装置と酸素供給ブロワの運転操作量により生じる生物反応槽内での微生物の挙動が把握されていない。このため、いずれかの運転操作量を主体とした制御しか行われておらず、前述したように、余剰汚泥量を大幅に減量する操作により処理水質が低下したり、逆に酸素供給ブロワの運転量が過剰になるような事態を招くという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、処理水水質を向上し、あるいは低下させることなく、水質や水量、水温等の状況変化に応じて余剰汚泥の減量化の運転条件を適切に設定するとともに、そのときの酸素供給ブロワの運転操作量をも最適化して自動運転できる汚水処理システムを提供するものである。
請求項1に記載の発明は、沈降などの簡単な物理操作で固形物を分離する最初沈殿池から構成される一次処理工程と、溶解性の汚濁物質を微生物によって吸着・分離する生物反応槽、活性汚泥を沈降分離する最終沈殿池、沈降分離された沈殿汚泥の一部を再度生物反応槽に返送する返送汚泥ラインから構成される二次処理工程と、前記生物反応槽に酸素を供給する酸素供給ブロワと、返送汚泥の一部を物理・化学的手段により改質する汚泥改質装置と、前記酸素供給ブロワと前記汚泥改質装置の運転量を制御する制御装置と、前記生物反応槽の生物反応プロセスの挙動を定量的に表現する活性汚泥モデルを用いて水質を計算する水質シミュレータと、少なくとも前記一次処理工程および前記二次処理工程から汚水処理の制御パラメータに必要な水質データをサンプリングして蓄積するデータ蓄積装置とからなる汚水処理システムにおいて、前記汚泥改質装置により易生物分解性化処理されて前記生物反応槽に返送される汚泥について、前記活性汚泥モデルに定義される有機物分画に基づく易生物分解性有機物データを前記水質シミュレータに取込み、前記水質シミュレータによって処理水の水質シミュレーションを行い、易生物分解性汚泥量の増大によって前記処理水の水質が低下しないように、前記汚泥改質装置の運転操作量の制御を行なうものである。
また、請求項2に記載の発明は、沈降などの簡単な物理操作で固形物を分離する最初沈殿池から構成される一次処理工程と、溶解性の汚濁物質を微生物によって吸着・分離する生物反応槽、活性汚泥を沈降分離する最終沈殿池、沈降分離された沈殿汚泥の一部を再度生物反応槽に返送する返送汚泥ラインから構成される二次処理工程と、前記生物反応槽に酸素を供給する酸素供給ブロワと、 返送汚泥の一部を物理・化学的手段により改質する汚泥改質装置と、前記酸素供給ブロワと前記汚泥改質装置の運転量を制御する制御装置と、前記生物反応槽の生物反応プロセスの挙動を定量的に表現する活性汚泥モデルを用いて水質を計算する水質シミュレータと、少なくとも前記一次処理工程および前記二次処理工程から汚水処理の制御パラメータに必要な水質データをサンプリングして蓄積するデータ蓄積装置とからなる汚水処理システムにおいて、前記汚泥改質装置で易生物分解性化処理されて前記生物反応槽に返送される汚泥について、前記活性汚泥モデルに定義される有機物分画に基づく易生物分解性有機物データを、前記水質シミュレータに取込み、前記水質シミュレータによって処理水の水質シミュレーションを行い、易生物分解性汚泥量の増大または水中の酸素量の低下によって前記処理水の水質が低下しないように、前記酸素供給ブロワと前記汚泥改質装置の相互の運転電力あるいは汚泥排出量から最少汚水処理コストを算出し、その算出結果に基づいて、前記酸素供給ブロワの送風量及び前記汚泥改質装置の運転操作量の制御を行なうものである。
また、請求項3に記載の発明によれば、汚泥を改質するために最も効率的な手法を、化
学的、物理的あるいは物理化学的な手法から選択または組み合わせることによって、さらに効率的に汚水処理システムを運用することが可能となる。
図1は、本発明の汚水処理システムを示す説明図である。S2は易生物分解性有機物検出センサである。その他の符号は従来技術と同じであるため、説明を省略する。図2は、図1における汚泥改質装置7の詳細を示す説明図である。図2において、71は汚泥改質槽、72はオゾン発生手段、73は超音波発生手段である。
本発明が特許文献1と異なる部分は、データ蓄積装置10による取得データと水質シミュレータ8の水質計算結果に基づき、制御装置9を介して汚泥改質装置7と酸素供給ブロワ3の運転量を制御するように構成した点である。
水質シミュレータ8は活性汚泥モデルを利用して水質を計算するソフトウェアであり、活性汚泥モデルとは生物反応槽2での微生物反応をモデルを使って表現したモデルである。本実施例における水質シミュレータ8には国際水学会 (IWA) から提示されている活性汚泥モデル No.2d を採用している。本活性汚泥モデルは、定性的に理解されている生物反応プロセスの挙動を定量的に表現できる上に、複数の事象が同時に進行する場においても、その事象の原理に基づいた生物反応プロセス全体の挙動を予測できるようになっている。
その予測計算に用いる式は10数個あり、その一つを例示すると、例えば硝酸態窒素濃度の計算はつぎの式を用いて行われる。
ここで、
NO3(i):i時点の対象タンクの硝酸態窒素濃度(gN/m3)
NO3(i)R:i時点の対象タンクの化学反応による変化量を考慮に入れた硝酸態窒素濃度(gN/m3)
NO3(i)in:i時点の対象タンクに流入する硝酸態窒素濃度(gN/m3)
NO3(i)out:i時点の対象タンクから流出する硝酸態窒素濃度(gN/m3)
V:対象タンクの体積(m3)
Qin:対象タンクへ流入する量(m3/h)
Qout:対象タンクから流出する量(m3/h)
T:対象タンクから流入・流出するステップ時間(h)
i:シミュレーションステップ(h)
但し各変数は次のように計算される。
但し、
ΔNO3(i):i時点の対象タンクで増殖・減少した硝酸態窒素(gN/m3)
SDF:易分解性有機物を利用した脱窒量(gCOD/(m3d))
SDA:発酵生成物を利用した脱窒量(gCOD/(m3d))
Growth:硝化菌の増殖量(gCOD/m3d )
SF:易分解性有機物濃度(gCOD/m3)
SA:発酵生成物濃度(gCOD/m3)
XAUT:硝化菌濃度(gCOD/m3)
uH:基質の最大増殖速度(1/d)
ηNO3:硝酸性窒素濃度の無酸素状態の加水分解による減少係数(-)
uAUT:硝化菌の最大増殖速度(1/d)
KA:発酵生成物濃度飽和係数(gO2/m3)
KO2:酸素飽和係数(gO2/m3)
KF:易分解性基質増殖飽和係数(gCOD/m3)
KNO3:硝酸性窒素飽和係数(gN/m3) 注)このシミュレーションでは亜硝酸性窒素と硝酸性窒素を同じ物質として扱う。
KNH4:アンモニア飽和係数(gN/m3)
KP:リン酸性リン酸飽和係数(gP/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XH:非リン除去従属栄養微生物(gCOD/m3)
データ蓄積装置から入力される分析データ
SO2:溶存酸素濃度(gO2/m3)
SNH4:溶解性のアンモニア濃度(gN/m3)
SNO3:溶解性の硝酸性窒素濃度(gN/m3)
SPO4:無機溶解性リン酸性リン濃度(gP/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
を含む反応速度式から構成されている。また生物反応槽2に入ってくる有機物を微生物による反応のしやすさで分類した水質成分に振り分けることを分画といい、本反応速度式は、下表に示す6つの有機物分画で定義されている。
本水質シミュレータ8を用いて、生物反応槽2や汚泥の返送ラインに設置したデータ蓄積装置10で得られたCODMnやDO(溶存酸素濃度)値などをもとに計算することにより、窒素やりん成分等の除去率を高い精度で予測することができる。また、生物反応槽2での酸素収支から必要酸素量を求めることができるため、これらの計算値に基づいて、汚泥改質装置7と酸素供給ブロワ3の最適な運転操作量を求め、制御装置9を介してフィードバック制御を行うことができる。
つぎに、動作について説明する。
最終沈殿池から引き抜かれて生物反応槽2に返送する汚泥の一部を汚泥改質装置7に導入し、化学的手法、物理的手法あるいは物理化学的手法により汚泥を易生物分解性化する。このとき化学的手法としてはオゾン、アルカリ、酸化剤など、物理的手法としては好熱細菌、超音波、高回転ディスク、ミル破砕、高圧ホモジナイザーなど、生物的手法としては酵素など、物理化学的手法では超臨界化などがある。また、それぞれの手法を組み合わせることにより汚泥改質の高効率化を図ることができる。例えば、オゾンと超音波を組み合わせることによりオゾンの強い酸化力と、超音波キャビテーションによる汚泥の粉砕やオゾンガス気泡の微細化との相乗効果が生じ、オゾンと汚泥の反応効率の向上が実現できる。このときの汚泥改質装置7における運転操作因子は汚泥改質装置7に導入する処理汚泥量に起因するポンプの出力や、オゾン発生量や超音波出力量に起因する電源の電圧、電流、周波数などである。易生物分解性となった汚泥は返送汚泥とともに再度生物反応槽2に戻されて生物分解されて無機化される。
生物反応槽2では酸素供給ブロワ3により水中に酸素が供給されて好気性処理が行われている。水中の酸素量が微生物の活動における酸素要求量に対して満たされている場合は良好な処理水水質が安定して得られる傾向にあるが、酸素供給ブロワ3の運転量が過剰となり、エネルギー消費の無駄が生じることが多い。一方、汚泥改質装置7の運転操作量を過大にした場合、易生物分解性汚泥量の増大により水中の酸素量が低下して生物反応に障害が生じ、処理水水質は悪化傾向となる。この他にも生物反応槽2では様々な状況の変化により複雑な生物反応が生じているため、汚泥改質装置7と酸素供給ブロワ3の運転操作量を適切に調整することが困難である。
そこで、生物反応槽2のCOD、BOD、TOC、DO、MLSS、りん、窒素、水温、水量の中から状況に応じて必要な水質データをデータ蓄積装置10により取得して水質シミュレータ8に入力し、水質が低下せず汚泥を最大限減量化するための最適な運転値を算出する。算出した結果は制御装置9を介して汚泥改質装置7の運転操作因子と酸素供給ブロワ3の電動機の一方あるいは双方に必要な運転操作量が指令され、以上のようなフィードバック制御系が構築される。
このように、データ蓄積装置10の取得データを基に水質シミュレータ8で生物反応槽2内微生物の挙動に基づく反応速度を計算し、制御装置9を介して汚泥改質装置7あるいは酸素供給ブロワ3の運転操作量に反映させることにより、処理水水質を向上し、あるいは低下させることなく、余剰汚泥の減量化の最適な運用を実現することができる。さらには最小運転コストの運転操作条件を導き出し制御することも可能である。
すなわち、省エネによるCO2排出量の削減、ならびに汚泥排出量の削減に貢献することができる。
すなわち、好気性処理を行う酸素供給ブロワの電力量の低減や、微生物処理に伴い発生する汚泥最終処分量の減量化により、低環境負荷あるいは最小コストで運転管理するシステムとして適用することができる。
2 生物反応槽
3 酸素供給ブロワ
4 最終沈殿池
5 処理水
6 汚泥
7 汚泥改質装置
71 汚泥改質槽
72 オゾン発生手段
73 超音波発生手段
8 水質シミュレータ
9 制御装置
10 データ蓄積装置
S1 各種水質センサ
S2 易生物分解性有機物検出センサ
Claims (2)
- 沈降などの簡単な物理操作で固形物を分離する最初沈殿池から構成される一次処理工程と、溶解性の汚濁物質を微生物によって吸着・分離する生物反応槽、活性汚泥を沈降分離する最終沈殿池、沈降分離された沈殿汚泥の一部を再度生物反応槽に返送する返送汚泥ラインから構成される二次処理工程と、前記生物反応槽に酸素を供給する酸素供給ブロワと、返送汚泥の一部を物理・化学的手段により改質する汚泥改質装置と、前記酸素供給ブロワと前記汚泥改質装置の運転量を制御する制御装置と、前記生物反応槽の生物反応プロセスの挙動を定量的に表現する活性汚泥モデルを用いて水質を計算する水質シミュレータと、少なくとも前記一次処理工程および前記二次処理工程から汚水処理の制御パラメータに必要な水質データをサンプリングして蓄積するデータ蓄積装置とからなる汚水処理システムにおいて、
前記汚泥改質装置により易生物分解性化処理されて前記生物反応槽に返送される汚泥について、前記活性汚泥モデルに定義される有機物分画に基づく易生物分解性有機物データを前記水質シミュレータに取込み、前記水質シミュレータによって処理水の水質シミュレーションを行い、易生物分解性汚泥量の増大によって前記処理水の水質が低下しないように、前記汚泥改質装置の運転操作量の制御を行なうことを特徴とする汚水処理システム。 - 沈降などの簡単な物理操作で固形物を分離する最初沈殿池から構成される一次処理工程と、溶解性の汚濁物質を微生物によって吸着・分離する生物反応槽、活性汚泥を沈降分離する最終沈殿池、沈降分離された沈殿汚泥の一部を再度生物反応槽に返送する返送汚泥ラインから構成される二次処理工程と、前記生物反応槽に酸素を供給する酸素供給ブロワと、 返送汚泥の一部を物理・化学的手段により改質する汚泥改質装置と、前記酸素供給ブロワと前記汚泥改質装置の運転量を制御する制御装置と、前記生物反応槽の生物反応プロセスの挙動を定量的に表現する活性汚泥モデルを用いて水質を計算する水質シミュレータと、少なくとも前記一次処理工程および前記二次処理工程から汚水処理の制御パラメータに必要な水質データをサンプリングして蓄積するデータ蓄積装置とからなる汚水処理システムにおいて、
前記汚泥改質装置で易生物分解性化処理されて前記生物反応槽に返送される汚泥について、前記活性汚泥モデルに定義される有機物分画に基づく易生物分解性有機物データを、前記水質シミュレータに取込み、前記水質シミュレータによって処理水の水質シミュレーションを行い、易生物分解性汚泥量の増大または水中の酸素量の低下によって前記処理水の水質が低下しないように、前記酸素供給ブロワと前記汚泥改質装置の相互の運転電力あるいは汚泥排出量から最少汚水処理コストを算出し、その算出結果に基づいて、前記酸素供給ブロワの送風量及び前記汚泥改質装置の運転操作量の制御を行なうことを特徴とする汚水処理システム。
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