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JP4617815B2 - トンネルの延焼防止装置 - Google Patents
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本発明は、トンネルの延焼防止装置に係り、特にトンネル内を通過する車両の移動を妨げることなく、トンネル内の火災発生源を他の箇所から仕切ることができるようにした構造に関する。
道路トンネルで事故などにより火災が発生した場合において、これまで提案されてきた延焼防止対策としては、散水方式が提案されている。この散水方式は、微細な水粒子を噴霧することにより煙り並びに輻射熱を低減する方法であるが、この散水方式では次に述べる技術課題があった。
(1)散水された水が火災時の熱により蒸発し、充満した水蒸気により視界が妨げられる。
(2)車から漏れ出たガソリンなどの液体燃料が散水された水により拡散するおそれがある。
(3)トンネル火災では、火災の継続時間が長くなりがちであるが、火災の継続中は散水を継続する必要があるため、散水量が多く、水をため込んでおくためのタンク容量や、これに付随する消火システムも極めて大がかりになる。
これに対し、トンネル本坑を分断して火災規模を抑制するための延焼防止区画を形成することがもっとも効果的な方法であり、例えば下記特許文献1,2がある。
まず、特許文献1の区画装置は、トンネルの空間をその長さ方向に沿って区画するとともに、各区画の境界部に火災発生を感知してトンネル内に降下してトンネル内を各区画毎に遮断する不燃性壁部材を設置したものである。
また、特許文献2記載のトンネル内火災の消火方法及び消火設備にあっては、遮断のための手段としてウオーターカーテンを使用し、これによって区画された火災発生箇所を粉末消火剤で消火するものである。
特開平9−271526号公報 特開2003−746号公報
しかしながら、特許文献1の装置では、車両走行中に壁部材が下降した場合、走行車両がこれに衝突するおそれがある。また、特許文献2の方法では、散水により区画壁を形成するものであるから、前記(1)、(2)の課題が依然として生ずるものとなる。
本発明は、係る課題を解決するものであり、その目的は、火災発生によりトンネル内を防火壁により区画した場合でも車両の通過を可能としたトンネルの延焼防止装置を提供するものである。
前記目的を達成するため、本発明は、トンネルの天井部内壁に応じた断面の天蓋形状であって所定長さの開閉ユニットと、トンネルの天井部に一端が固定され、かつ吊下状態でトンネルの長手方向を仕切る防火壁体を構成する可撓性の耐火クロスからなる複数の仕切幕とを備え、前記開閉ユニットの下部には、路面上を走行可能な台車が設けられており、前記台車の定位置で前記各仕切幕が開閉ユニットの天蓋上面に設置されてトンネル内通路を開き、前記台車が前記路面上を前記定位置から移動することにより、前記各仕切幕が天井面より吊下し、トンネル内通路を仕切ることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1において、前記開閉ユニット及び仕切幕の組がトンネル内長手方向適宜間隔で複数箇所配置され、トンネル内における火災発生源の前後を他の箇所から仕切るようにしたことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2において、隣合う前記各仕切幕の固定端がトンネルの天井部の前後にずらされて位置し、各仕切幕が幅方向に重畳した状態で吊下されることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、仕切幕によって仕切られる区画の近傍にあって、前記トンネルの内壁面に排煙用の開口部を設けことを特徴とするものである。
以上により、本発明では、火災発生が検知されると、直ちに開閉ユニットが定位置より移動し、これに応じて仕切幕がトンネル天井面より吊り降ろされ、防火壁を形成する。仕切幕は可撓性があり、個々に軽量であるため、火災発生源に近い車両であっても、この仕切幕を押しのけながら待避することができるため、火災発生源からの類焼も防止できる。
請求項2に記載の発明では、トンネル長さが長く、かつトンネルの中央近傍で火災が発生した場合に、この火災発生区画のみ他の区画から仕切ることによって最小の区画で火災発生源を他の区画から切離すことができる。
請求項3の発明では、仕切幕が吊下された状態で、隙間なく防火壁を形成することができる。
請求項4の発明では、火災初期の段階で煙の拡散防止を図ることができ、視界を良好に保つことができ、その後の消火活動を迅速に行うことができる。
以下、本発明の最良の実施の形態に付添付図面を参照して説明する。図1〜図4は本発明の第1実施形態を示す。
図において、底部を路面2としたアーチ型断面の道路トンネル1における天井部の防火区画位置には、天井部に一端固定され、他端側を自由端とした複数の仕切幕3が配置されている。各仕切幕3は通常状態ではこれの直下に配置された開閉ユニット4の天蓋部にほぼ平行に保持され、車両5の通過を可能とさせている。
前記仕切幕3は、シリカクロスなどの素材からなる柔軟かつ耐火性に富むクロスから構成され、またその固定端3aは隣合う仕切幕3同士で前後に僅かにずらされ、かつその幅方向に重畳した状態に配置されている。
前記開閉ユニット4はトンネル1の断面と相似形となる略半円弧状断面であって、その下部における前後両側には路面2上を走行可能な台車6が配置され、トンネル1内に設けた図示しない火災検知センサの出力を受けて、図1中矢印のごとく移動する結果、天蓋部に設置されている各仕切幕3を相対的に繰出して吊下させるためのもので、天蓋部の軒端には前記各仕切幕3をスムーズに繰出しガイドするためのローラ7が設けられている。
したがって、開閉ユニット4の移動により、図2に示すごとく仕切幕3が天井部から路面2まで吊り降ろされた状態では、隣合う各仕切幕3は前後に重畳した状態に吊下されて、隙間のない一体的な防火壁8が形成され、この防火壁8によってトンネル1内を前後気密に区画する。
なお、以上の各仕切幕3は軽量、かつ柔軟な素材であるため、図2に示すごとく、防火壁8の形成後も路面2上を走行する車両5は、各仕切幕3を押しのけ、防火壁8によって仕切られた区画内外を移動可能となっている。
前記台車6は、通常は、図1の定位置にロックされ、仕切幕3を開閉ユニット4の天蓋上面に保持する。そして火災発生が検知されると、ロックが掛け外され、適宜な動力機構により、矢印方向に移動し、仕切幕3が吊下仕切った位置で停止する。なお、動力機構としては、例えば矢印方向に下り勾配を形成しておくことにより、ロックのみを掛け外し、自然慣性により移動させても良いし、バネ圧などを利用しても良い。更にはモータ動力などを用いてもよい。前2つの方式の場合、現状位置に復帰させる場合には牽引車などによる牽引により元位置に復帰させる。またモータ動力の場合には、正逆転により移動を行えばよい。
また、この開閉ユニット4の後部天井面には防煙のための垂壁9が配置されている。そして、前記開閉ユニット4の後退位置近傍におけるトンネル1の内壁面に横流換気方式の排煙用開口部を設けることが望ましい。垂壁9は、図3に示すように、大型の電光掲示板を兼用することが好ましく、その下部にはフラッシュライト10が配置され、火災が前方で発生すると「火災発生:止れ」などという電光表示とともに、フラッシュライト10が点灯し、緊急事態を運転者に告知することができる。他の表示バリエーションとしては、図4(a)に示すように「この先渋滞:注意」、あるいは(b)に示すように「この先事故:注意」などの表示に変化させることも可能であり、いずれもフラッシュライト10の点灯とともに表示することで、運転者に注意を喚起することができる。
また以上のトンネル1の長さが長い場合には、前記前記開閉ユニット4及び仕切幕3の組がトンネル内の長手方向複数箇所に配置され、トンネル内における火災発生源の前後を他の箇所から仕切るようにすることで、最小の区画で火災発生源を他の区画から隔離することができる。
次に、以上の構成における火災発生時の動作を図5(a)〜(d)を用いて説明する。この例では、開閉ユニット4の後退位置近傍において、トンネル1の内壁面には前述の横流換気方式の排煙用開口部11が設けられていることを前提としている。
(a)において、所定車間距離を置いて走行している複数の車両5のうち区画近傍における最後尾の車両5’に火災が発生し、その煙がトンネル1の天井部に漂った状態であって、この火災に気づいた運転者が車両を停止させた状態を示している。
そして、この熱及び煙により火災検知センサが検出すると、この検知出力により開閉ユニット6が矢印方向に後退し、これによって、(b)に示すように、仕切幕3が吊降ろされる。(b)において、車列の先頭車両5は仕切幕3で仕切られる範囲外であるため、そのままその走行速度を保ちつつ火災現場から遠ざかることができる。また、二列目の車両5の屋根には(c)に示すように、吊り降ろされた仕切幕3が接触するが、ある程度の速度に落して徐行すれば、仕切幕3を突破して区画外に待避できる。
さらに、3列目の車両5も同様にして突破でき、(d)に示すように、防火壁8の形成後は、火災発生車両5’のみ防火壁8で仕切られる区画内に残置される。この火災発生車両5’から降りた乗客乗員も同様にして仕切幕3を押しのけて徒歩で区画外に避難できる。
以上の一連の経過中に、前記垂壁9に設けた電光表示及びフラッシュライト10が点灯し、火災発生車両5’に後続車両に火災発生を警告し、注意を喚起する。更に換気機能が作用して、排煙用開口部11を通じて発生した煙を吸引し、温度を下げると同時に、スプリンクラーなどによる初期消火作用がなされる。
また、爆発性の火災が発生した場合においても、その爆風により仕切幕3を撓ませつつトンネル外に排出することができるため、爆圧による決定的な内部破壊も防止できる。
なお、トンネル1が長大である場合には、以上の開閉ユニット4及び仕切幕3の組をトンネル1内の長手方向で複数箇所配置することで、トンネル内1における火災発生車両5’の前後のみを他の箇所から仕切ることができ、これによって火災発生範囲及び排気、消火動作範囲を更に限定できる。
図6は、本発明の第2実施形態を示す。図において、前記第1実施形態と同一箇所には同一符号を用いて説明する。図において、トンネル1の天井部には軸流排気方式のファン20を備えており、(a)に示すように、火災発生により、開閉ユニット4の移動により、仕切幕3が降下し、(b)に示すように、防火壁8を形成する。これと同時に、ファン20が回転駆動し、火災発生車両5’から発生した煙をファン20に収束させ、下流側に向けて排気するようになっている。
一般に、道路トンネル1内には、排気ガス排出用の複数のファン20が設けられており、この排煙は各ファン20を逓伝されてトンネルの下流側開口部より順次外部に排気されることになり、火災に伴って発生した煙はトンネル内に滞留することがないため、火災時における見通しを十分に確保できることになる。
なお、上記各実施形態においては、断面アーチ型のトンネルに適用した場合を示したが、断面矩形状のトンネルにも適用できることは勿論である。
本発明の第1実施形態によるトンネルの延焼防止装置を示す側断面図である。 図1のA−A線における正断面図である。 図1のB矢視における断面図である。 (a),(b)は図3における表示バリエーションを示す説明図である。 (a)〜(d)は同実施形態における火災発生時の動作説明図である。 (a),(b)は第2実施形態における火災発生時の動作説明図である。
符号の説明
1 トンネル
2 路面
3 仕切幕
4 開閉ユニット
5,5’車両(5’火災発生車両)
6 台車
8 防火壁
9 垂壁

Claims (4)

  1. トンネルの天井部内壁に応じた断面の天蓋形状であって所定長さの開閉ユニットと、トンネルの天井部に一端が固定され、かつ吊下状態でトンネルの長手方向を仕切る防火壁体を構成する可撓性の耐火クロスからなる複数の仕切幕とを備え、
    前記開閉ユニットの下部には、路面上を走行可能な台車が設けられており、
    前記台車の定位置で前記各仕切幕が開閉ユニットの天蓋上面に設置されてトンネル内通路を開き、
    前記台車が前記路面上を前記定位置から移動することにより、前記各仕切幕が天井面より吊下し、トンネル内通路を仕切ることを特徴とするトンネルの延焼防止装置。
  2. 請求項1において、前記開閉ユニット及び仕切幕の組がトンネル内長手方向複数箇所に配置され、トンネル内における火災発生源の前後を他の箇所から仕切るようにしたことを特徴とするトンネルの延焼防止装置。
  3. 請求項1または2において、隣合う前記各仕切幕の固定端がトンネルの天井部の前後にずらされて位置し、各仕切幕が幅方向に重畳した状態で吊下されることを特徴とするトンネルの延焼防止装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記仕切幕によって仕切られる区画の近傍にあって、前記トンネルの内壁面に排煙用の開口部を設けことを特徴とするトンネルの延焼防止装置。
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