図1はエンジンの燃料供給方法の実施に直接使用するエンジンの燃料供給装置の概略構成図を示している。図2はクランクシャフトにより駆動されるアクチュエータとしてのポンプ駆動カム12(板カム)の平面図、図3は高圧燃料ポンプ11の作用を示すための波形図である。
図1において、エンジンの燃料供給装置は、燃料タンク1と、フィードポンプ2と、高圧燃料ポンプ11と、コモンレール(フュエルギャラリー)21と、燃料噴射弁とを主に備える。
フィードポンプ2は電動モータ3により駆動され、燃料タンク1内の燃料を燃料供給通路8へと圧送する。フィードポンプ2の上流側、下流側にはそれぞれ燃料フィルタ4、5が設けられている。また、フィードポンプ2の吐出圧力が一定圧力以上とならないようにするため、燃料供給通路8より分岐して燃料タンク1に戻るリターン通路9に低圧プレッシャレギュレータ6が設けられている。
フィードポンプ2からの吐出燃料は、燃料供給通路8を介して、高圧燃料ポンプ11に供給される。燃料供給通路8には燃料圧力の脈動を抑制するためのダンパ10が設けられている。
高圧燃料ポンプ11の構成(公知でない)について説明すると、高圧燃料ポンプ11は、クランクシャフトにより駆動されるアクチュエータとしてのポンプ駆動カム12(板カム)、このポンプ駆動カム12により駆動されるプランジャポンプ14、常閉の吸入チェックバルブ15、常閉の吐出チェックバルブ16、制御ソレノイド17からなっている。上記のプランジャポンプ14は、さらに、シリンダ14aと、ポンプ駆動カム12の周面を従動して図で上下方向に往復動する一つのプランジャ14bと、このプランジャ14bとシリンダ14aにより区画される高圧室14cと、プランジャ14bをカム12の周面に向けて付勢するスプリング14dと、高圧室14cの燃料を燃料タンク1に戻すスピル通路18とからなるものである。
上記のポンプ駆動カム12は、図2に示したように、180度離れた左右の対向位置にベースサークルより盛り上がるリフト部をそれぞれ有しており、ポンプ駆動カム12が図2において時計方向に回転するとして、図2に示す左右いずれかの最大リフト位置よりベースサークルへと降りてくるとき、スプリング14dがプランジャ14bをカム12の方向に付勢するため、プランジャ14bが図1において下方に移動する。さらにポンプ駆動カム12が回転し、今度はベースサークルを離れて180度離れた反対側のもう一つの最大リフト位置に向けて上昇するとき、プランジャ14bがスプリング14dの付勢力に抗し図1において上方に移動する。
図3は高圧燃料ポンプ11の動作をモデルで示している。いま、プランジャ14bが最高リフト位置にあるt1のタイミングで吸入チェックバルブ15を開くと共に、プランジャ14bを最高リフト位置より最低リフト位置となるt2のタイミングまで下降するとき、高圧室14cにフィードポンプ2からの低圧燃料が吸入される。つまり、t1よりt2までの区間が高圧燃料ポンプ11の吸入行程である。
t2よりプランジャ14bが最高リフト位置に向けて上昇するが、このとき、制御ソレノイド17がスピル通路18を開放しているため、高圧室14cの燃料はスピル通路18を介して燃料タンク1に戻されるだけであり、高圧室14cの燃料がコモンレール21へと圧送されることはない。
プランジャ14bが上昇して、t3のタイミングで制御ソレノイド17がスピル通路18を閉塞すると、このt3のタイミングよりプランジャ14bが最高リフト位置に達するt4のタイミングまでの区間で、高圧室14cの燃料圧力が上昇して吐出チェックバルブ16が開かれ、高圧の燃料がオリフィス19を介してコモンレール21へと供給される。つまり、t2よりt3までの区間が高圧燃料ポンプ11のスピル行程、t3よりt4までの区間が高圧燃料ポンプ11の吐出行程である。そして、t1からt4までの区間における一連の動作がひとまとまりであり、t4のタイミング以降は、このひとまとまりの動作が繰り返される。
制御ソレノイド17がスピル通路18を閉塞するタイミング(t3のタイミング)を早めるほど高圧燃料ポンプ11の吐出量が増し、この逆に制御ソレノイド17がスピル通路18を閉じるタイミングを遅くするほど高圧燃料ポンプ11の吐出量が減るのであり、制御ソレノイド17がスピル通路18を閉じるタイミングを進角側あるいは遅角側へと制御することにより高圧燃料ポンプ11の吐出量を制御できる。
図1に戻り、上記のポンプ駆動カム12は吸気バルブ用カムシャフト13に一体に設けられており、この吸気バルブ用カムシャフト13の前端に固定されるカムスプロケットと、図示しないクランクシャフトの前端に固定されるクランクスプロケットとにチェーンあるいはベルトが掛け回されており、吸気バルブ用カムシャフト13はクランクシャフトにより間接的に駆動される。
コモンレール21の後端には安全弁22を備えている。実際のコモンレール燃料圧力が許容圧力を超えるときには、この安全弁22が開いてコモンレール21内の高圧燃料の一部を燃料タンク1へと戻す。
コモンレール21に蓄えられた高圧燃料は各気筒の高圧燃料噴射弁に分配される。図1には4気筒エンジンの場合を示しており、4つの高圧燃料噴射弁31A、31B、31C、31Dにコモンレール21に蓄えられた高圧燃料が作用している。
各気筒の点火タイミングに従い、所定のタイミングで燃料噴射弁31A〜31Dを開くと、その開かれた燃料噴射弁を有する気筒の燃焼室に燃料が供給される。また、所定量の燃料が燃料噴射弁より消失することで、コモンレール燃料圧力が低下する。
このため、エンジンコントローラ41では、エンジン負荷と回転速度に応じたコモンレール21の目標燃料圧力をマップとして予め持っており、燃料圧力センサ42により検出される実際のコモンレール燃料圧力が、そのときのエンジンの負荷と回転速度に応じた目標燃料圧力と一致するように、制御ソレノイド17を介して高圧燃料ポンプ11の吐出量を制御する。例えば、実際のコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力より低いときには制御ソレノイド17がスピル通路18を閉塞するタイミングを早めて高圧燃料ポンプ11の吐出量を増やし実際のコモンレール燃料圧力を上昇させて目標燃料圧力に近づける。この逆に、実際のコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力より高いときには制御ソレノイド17がスピル通路18を閉塞するタイミングを遅くして高圧燃料ポンプ11の吐出量を減らし実際のコモンレール燃料圧力を下降させて目標燃料圧力に近づける。
また、エンジンコントローラ41では、エアフローセンサ45により検出される吸入空気流量Qaとエンジン回転速度Neとに基づいて基本噴射パルス幅Tpを算出すると共に、燃料圧力センサ42により検出される実際のコモンレール燃料圧力に基づいて燃圧補正係数KINJを算出し、この燃圧補正係数KINJを基本噴射パルス幅Tpに乗算して(基本噴射パルス幅Tpを補正)、各燃料噴射弁31A〜31Dに与える燃料噴射パルス幅Tiを算出し、所定の燃料噴射タイミングとなったとき、この燃料噴射パルス幅Tiの期間だけ燃料噴射弁31A〜31Dを気筒別に開いて各気筒に燃料を供給する。
上記の燃圧補正係数KINJは図16のように与えられる。コモンレール燃料圧力基準値のとき1.0であり、実際のコモンレール燃料圧力がコモンレール燃料圧力基準値より高くなるほど1.0より小さくなり、この逆に実際のコモンレール燃料圧力がコモンレール燃料圧力基準値より低くなるほど1.0より大きくなる。
実際のコモンレール燃料圧力がコモンレール燃料圧力基準値より高い場合に燃圧補正係数KINJに1.0より小さな正の値を与えているのは、次の理由からである。すなわち、燃料噴射量は、基本噴射パルス幅Tpが同じであればコモンレール燃料圧力が高くなるほど、またコモンレール燃料圧力が同じであれば基本噴射パルス幅Tpが大きくなるほど多くなる。コモンレール燃料圧力基準値に対して要求燃料量が供給されるように基本噴射パルス幅Tpを定めた場合に、実際のコモンレール燃料圧力がこのコモンレール燃料圧力基準値より高くなったときにも同じ基本噴射パルス幅Tpを与えたのでは、コモンレール燃料圧力基準値より燃料圧力が高い分だけ燃料量の供給が多すぎることとなる。そこで、実際のコモンレール燃料圧力がコモンレール燃料圧力基準値より高くなったときには燃圧補正係数KINJに1.0より小さな正の値を与えて基本噴射パルス幅Tpを減量補正し、これによって実際のコモンレール燃料圧力がコモンレール燃料圧力基準値より高くなったときにも、要求燃料量を超える燃料が供給されないようにするためである。
同様に実際のコモンレール燃料圧力がコモンレール燃料圧力基準値より低い場合に燃圧補正係数KINJに1.0より大きな正の値を与えているのも、実際のコモンレール燃料圧力がコモンレール燃料圧力基準値より低くなったときにも、要求燃料量を下回る燃料が供給されないようにするためである。
さて、本実施形態では、上記の高圧燃料噴射弁31A〜31Dを各気筒の燃焼室に臨ませて設けており、低負荷運転領域において気筒毎に圧縮行程噴射を行って成層燃焼を行わせ燃料消費を低減するように図っている。
一方、燃料噴射終了タイミングを固定とすれば、この固定の燃料噴射終了タイミングより、要求燃料量に応じた所定の燃料噴射パルス幅Ti(=Tp×KINJ)をそのときのエンジン回転速度を用いてクランク角区間に換算した値だけ進角側のクランク角位置が燃料噴射開始タイミングとなる。このため、実際の燃料噴射開始タイミングが訪れる前に予め燃料噴射時期計算タイミングを定めて燃料噴射開始タイミングの計算を行っている。つまり、燃料噴射時期計算タイミングと、実際の燃料噴射開始タイミングとの間には時間的なズレがある。
このように、燃料噴射時期計算タイミングと、実際の燃料噴射開始タイミングとの間に時間的なズレがあると、実際の燃料噴射量に過不足が生じて、運転性や排気エミッション、燃費を悪くすることがある。
これを図4を参照して説明すると、図4はエンジン暖機完了後にアクセルペダルを踏み込んで加速を行ったときに吸入空気流量Qa、有効噴射パルス幅Te、コモンレール燃料圧力の加重平均値AVEPF、燃料噴射パルスがどうなるかをモデルで示している。
図4において、仮にRef信号の入力タイミングが吸気弁閉時期IVC(吸気行程の終了タイミング)に一致しているとすると、吸気弁閉時期においてシリンダに流入する空気量が確定するので、この吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tecを用いれば、コモンレール燃料圧力基準値における燃料噴射噴射パルス幅Tiを次式により求めることができる。
Ti=Tec+Ts …(1)
ただし、Ts:無効噴射パルス幅、
実際にはコモンレール燃料圧力は一定ではなく、上記高圧燃料ポンプ11の作動に伴い脈動が生じるので、燃料圧力センサ42により検出される実際のコモンレール燃料圧力の加重平均値AVEPFを2ms毎に演算しているのであるが、それでもこの加重平均値AVEPFは大きく変動している。このため、Ref信号の入力タイミング(燃料噴射時期計算タイミング)であるt14において、このタイミングでのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefから、Ref信号の入力タイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefに対する燃圧補正係数KINJrefを求め、このRef信号の入力タイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefに対する燃圧補正係数KINJrefで上記の吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tecを補正した、
Tiref=Tec×KINJref+Ts …(2)
の式によりRef信号の入力タイミングにおける燃料噴射パルス幅Tirefを演算し、予め定めている第1の燃料噴射終了タイミング(固定)であるt16を基準として、このRef信号の入力タイミングにおける燃料噴射パルス幅Tirefをそのときのエンジン回転速度Neを用いてクランク角区間に換算した値だけ進角側のクランク角位置(t15)を燃料噴射開始タイミングITstとして計算し、この燃料噴射開始タイミングITst(t15)から第1の燃料噴射終了タイミング(t16)までの期間、燃料噴射弁を開いている。
この場合に、燃料噴射開始タイミング(t15)のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjがRef信号の入力タイミング(t14)のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefより所定値ΔPだけ低下するとすれば、上記(2)式の燃料噴射パルス幅Tirefに基づいて得られる燃料噴射開始タイミングITstでは、実際の燃料噴射量が少なくなり、望みの加速性が得られなくなるのである。
ただし、図4はあくまでモデルであり、Ref信号の入力タイミングより燃料噴射開始タイミングまでの期間でコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFは、実際には上昇する。このRef信号の入力タイミング後のコモンレール燃料圧力加重平均値の上昇について図5をさらに参照して説明すると、図5は横軸をクランク角とした高圧燃料ポンプ14のプランジャリフトを示している。吸気バルブ用カムシャフト13はクランクシャフトが2回転してやっと1回転すること、かつポンプ駆動カム12は1回転の間に2回リフトするから、結果的に、プランジャリフトの1周期はクランク角でちょうど360°になる。いま、簡単のため、1番気筒の圧縮上死点位置でプランジャリフトがゼロになるようにポンプ駆動カム12を吸気バルブ用カムシャフト13上に設定してあるとし、1番気筒のRef信号が圧縮上死点よりクランク角で110°前のt3のタイミングで立ち上がるものとして考える。4気筒エンジンの点火順序を1−3−4−2とすれば、1番気筒の1つ前の気筒は2番気筒であり、この2番気筒のRef信号は1番気筒のRef信号よりもさらに180°前のt1のタイミングで立ち上がる。
一方、1番気筒の噴射タイミングは、1番気筒のRef信号の立ち上がり(t3)よりも遅れたt4のクランク角で、また2番気筒の噴射タイミングは、2番気筒のRef信号の立ち上がり(t1)よりも遅れたt2のクランク角であるとする。
3番気筒、4番気筒については、プランジャリフトが360°進角側にずれた位置において、3番気筒、4番気筒のRef信号が2番気筒、1番気筒のRef信号の位置にくるし、3番気筒、4の噴射タイミングが2番気筒、1番気筒のRef信号の立ち上がりよりも遅れたt2、t4のクランク角にくるので、これら3番気筒、4番気筒についてのRef信号、噴射タイミングを図5の括弧書きで示している。
この場合に、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒、つまり2番気筒(または3番気筒)では、2番気筒のRef信号の立ち上がりタイミング(t1)でのコモンレール燃料圧力(あるいはその加重平均値)よりも、2番気筒の噴射タイミング(t2)でのコモンレール燃料圧力のほうがそのタイミング差の分だけ上昇している。
このようにRef信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒(2番気筒と3番気筒)において、Ref信号の立ち上がりタイミング(料噴射時期計算タイミング)より燃料噴射開始タイミングまでの期間中にコモンレール燃料圧力が上昇(変化)する場合に、Ref信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefを用いて燃料噴射量を算出し、そのRef信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefを用いた燃料噴射量を燃料噴射開始タイミングで供給しようとしたのでは、Ref信号の立ち上がりタイミングからのコモンレール燃料圧力加重平均値の上昇代ΔPの分だけ実際の燃料噴射量が多くなってしまい、燃費や排気エミッションが悪くなることが考えられる。つまり、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒においてRef信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefを用いたのでは、燃料噴射量を精度良く算出できないのである。
そこで本実施形態では、吸気弁閉時期の有効噴射パルス幅Tecを算出し、燃料噴射タイミング前の燃料噴射時期計算タイミングでこの燃料噴射時期計算タイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefと、前記算出した吸気弁閉時期の有効噴射パルス幅Tecとに基づいて燃料噴射タイミング(燃料噴射開始タイミングITst)を計算し、この計算した燃料噴射タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjを算出し、この算出した燃料噴射タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjと、前記算出した吸気弁閉時期の有効噴射パルス幅Tecとに基づいて、燃料噴射タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射量を算出し、この算出した燃料噴射タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射量が、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒である2番気筒または3番気筒に供給されるように、前記計算した燃料噴射タイミングが訪れたとき、2番気筒または3番気筒の燃料噴射弁を開く。
詳細には、図4において右側のt14が2番気筒のRef信号の立ち上がりタイミングであるとすると、燃料噴射開始タイミングのt15において、燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjと、前記算出した吸気弁閉時期の有効噴射パルス幅Tecとに基づいて、燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射パルス幅Tiinjを算出し、燃料噴射開始タイミングであるt15を基準として、この燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射パルス幅Tiinjをそのときのエンジン回転速度Neを用いてクランク角区間ANGCRK2に換算した値だけ遅角側のクランク角位置(t17)を第2の燃料噴射終了タイミングITend2として計算し、燃料噴射開始タイミングITst(t15)からこの第2の燃料噴射終了タイミングITend2(t17)までの期間、2番気筒の燃料噴射弁を開く。本実施形態では、図4最下段に示したように2番気筒の噴射パルスが燃料圧力低下代ΔPの分だけ長くなって2番気筒への実際の燃料噴射量が増すのであり、これにより、2番気筒への燃料噴射量が不足することがなくなる。
なお、第2の燃料噴射終了タイミング(t17)が第1の燃料噴射終了タイミング(t16)より遅角側にくるのは、、図4に示しているように、Ref信号の立ち上がりタイミング(t14)より燃料噴射開始タイミング(t15)のほうがコモンレール燃料圧力加重平均値が下降する場合であり、図5で説明したように、Ref信号の立ち上がりタイミングより燃料噴射開始タイミングのほうがコモンレール燃料圧力加重平均値が上昇する場合には第2の燃料噴射終了タイミングITend2は第1の燃料噴射終了タイミングITend1より進角側にくることはいうまでもない。
エンジンコントローラ41より実行されるこの制御を以下のフローチャートに従って詳述する。
図6は有効噴射パルス幅Te[ms](有効噴射量)を演算するためのもので、10ms毎に実行する。
ステップ1ではエアフローセンサ45により検出される吸入空気流量Qa[kg/s]を読み込み、ステップ2ではこの吸入空気流量Qaとエンジン回転速度Ne[rpm]とを用いて、次式により、1燃焼当たりの吸入空気量に対応する基本噴射パルス幅RTp[ms]を算出する。
RTp=K×Qa/Ne …(3)
ただし、K:定数[ms/kg]、
この基本噴射パルス幅RTpの燃料により定常時であればほぼ理論空燃比の混合気が得られる。
ステップ3ではこの基本噴射パルス幅RTpに、吸入空気のマニホールド充填遅れ分の遅れ処理を施して、つまり次式によりシリンダ空気量に対応する基本噴射パルス幅Tp[ms]を算出する。
Tp=RTp×Fload+Tp(前回値)×(1−Fload)
…(4)
ただし、Fload :加重平均係数(0<K1<1)、
Tp(前回値):Tpの前回値、
過渡時、例えば加速時に基本噴射パルス幅RTpがステップ的に増加したとき(4)式の基本噴射パルス幅TpはこのRTpのステップ変化に対して遅れて応答する。
ステップ4では、シリンダ空気量に対応する基本燃料噴射パルス幅Tpに各種の補正を施して、つまり次式により有効噴射パルス幅Te[ms]を算出する。
Te=Tp×KTR×Tfbya×(α+αm−1)×2 …(5)
ただし、KTR :過渡補正係数[無名数]、
Tfbya:目標当量比[無名数]、
α :空燃比フィードバック補正係数[無名数]、
αm :空燃比学習値[無名数]、
(5)式の過渡補正量KTR、目標当量比Tfbya、空燃比フィードバック補正係数α、空燃比学習値αmはすべて公知である。簡単に説明しておくと、過渡補正係数KTRは、例えば加速時に1.0より大きくなり、減速時に1.0より小さな正の値になる。目標当量比Tfbyは成層燃焼時に1.0より小さい正の値であり、均質燃焼時になると1.0へと切換わる。空燃比フィードバック補正係数αは排気通路に設けた三元触媒を最適に働かせるためいわゆるウインドウに空燃比を収めるための値である。
図7は吸気弁閉時期IVCの有効噴射パルス幅Tecを算出するためのもので、各気筒の吸気弁閉時期IVCに実行する。
可変動弁機構を備えないエンジンでは吸気弁閉時期IVCは一定値であり、予めわかっているためクランク角センサ(43、44)により検出される実際のクランク角が各気筒の吸気弁閉時期IVCと一致するタイミングで図7のフローを実行する。一方、可変動弁機構を備えるエンジンでは運転条件により吸気弁閉時期IVCが変化する。ただし、運転条件に応じてどのような吸気弁閉時期IVCに設定するかは予めわかっているので、クランク角センサにより検出される実際のクランク角が運転条件に応じて変化するそのときの吸気弁閉時期IVCと一致するタイミングで図7のフローを実行すればよい。
ステップ11では図6により演算されている有効噴射パルス幅Teを読み込み、その有効噴射パルス幅Teをステップ12において吸気弁閉時期の有効噴射パルス幅Tec[ms]に移す。
これは、シリンダ空気量は吸気弁が開いている間は定まらず吸気弁が閉じたタイミング(つまり吸気弁閉時期IVC)で確定するため、図7のフローにより、この確定したシリンダ空気量に対応する有効噴射パルス幅Tecを算出するようにしたものである。
図8はコモンレール燃料圧力の加重平均値AVEPFを算出するためのもので、2ms毎に実行する。
ステップ21では燃料圧力センサ42により検出される実際のコモンレール燃料圧力Pf[MPa]を読み込み、ステップ22でこの実際のコモンレール燃料圧力Pfに基づいてコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPF[MPa]を次式により算出する。
AVEPF=Pf×K1+AVEPF(前回値)×(1−K1)
…(6)
ただし、K1 :加重平均係数(0<K1<1)、
AVEPF(前回値):AVEPFの前回値、
(6)式は、実際のコモンレール燃料圧力の脈動を均すものである。(6)式右辺のAVEPF(前回値)の初期値としては、エンジン始動時に実際のコモンレール燃料圧力Pfを入れておけばよい。
図9は燃料噴射開始タイミング(燃料噴射タイミング)を計算するためのもので、各気筒のRef信号の立ち上がりタイミング毎に実行する。つまり、Ref信号の立ち上がりタイミングが燃料噴射時期計算タイミングである。Ref信号は、クランクシャフトポジションセンサ43からの信号とカムシャフトポジションセンサ44からの信号とから算出される、各気筒についてのクランク角基準位置の信号である。
ステップ31では、図7により算出されている吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tec、図8により算出されているコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFを読み込み、このとき読み込んだコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFをAVEPFrefに移す。つまりAVEPFrefは、Ref信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値を表す。
ステップ32ではこのRef信号の立ち上がりタイミングにおけるコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefから図11を内容とするテーブルを検索することにより、Ref信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値に対する燃圧補正係数KINJrefを算出し、ステップ33でこのRef信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値に対する燃圧補正係数KINJrefを、吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tecに乗算する(補正する)ことにより、つまり次式によりRef信号の立ち上がりタイミングにおける燃料噴射パルス幅Tiref[ms]を算出する。
Tiref=Tec×KINJref+Ts …(7)
ただし、Ts:無効噴射パルス幅、
(7)式の無効噴射パルス幅Tsは燃料噴射弁の応答遅れ(無駄時間)に対応する値で、バッテリ電圧に応じた値である。
ステップ34では、このRef信号の立ち上がりタイミングにおける燃料噴射パルス幅Tirefをそのときのエンジン回転速度Neを用いてクランク角区間ANGCRK1[deg]に換算し、ステップ35で第1の燃料噴射終了タイミングITend1[deg BTDC]からこの換算したクランク角区間ANGCRK1だけ進角側のクランク角位置を燃料噴射開始タイミングITst[deg BTDC]として算出する。
圧縮行程後期に予め設定している第1の燃料噴射終了タイミングITend1は各気筒の圧縮上死点(TDC)から進角側に計測したクランク角(固定値)であるため、燃料噴射開始タイミングITStも各気筒の圧縮上死点から進角側に計測したクランク角になる。
ステップ36ではこのようにして計算した燃料噴射開始タイミングITstを出力レジスタに移す。
図10は上記第1の燃料噴射終了タイミングITend1とは別に第2の燃料噴射終了タイミングITend2を計算するためのもので、図9により計算している各気筒の燃料噴射開始タイミングITstの直前のクランク角毎に実行する。
燃料噴射終了タイミングを、予め設定されている第1の値であるITend1から第2の値であるITend2へと再設定するのは、燃料噴射時期計算タイミングより燃料噴射タイミングまでのコモンレール燃料圧力加重平均値の上昇代ΔPを考慮するものある。すなわち、図5で前述したように、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒(2番気筒と3番気筒)では、燃料噴射時期計算タイミングより燃料噴射開始タイミングのほうがコモンレール燃料圧力加重平均値が高いため、第1の燃料噴射終了タイミングITend1まで燃料を供給をしたのでは燃料過多となってしまうので、燃料過多とならない第2の燃料噴射終了タイミングITend2を計算する必要がある。
一方、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの下降側にある気筒(1番気筒と4番気筒)では、燃料噴射時期計算タイミングと燃料噴射開始タイミングとでコモンレール燃料圧力加重平均値が同じであるので、図10のフローは不要である。
ただし、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの下降側にある気筒(1番気筒と4番気筒)についても図10のフローにより第2の燃料噴射終了タイミングITend2を計算させることはかまわない。このときには第2の燃料噴射終了タイミングITend2は第1の燃料噴射終了タイミングITend1と一致するだけである。
ここでは、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒(2番気筒と3番気筒)についてだけ図10のフローを実行する場合で述べると、図10のフローは、図9により計算している各気筒の燃料噴射開始タイミングITstの直前のクランク角が2番気筒または3番気筒のものである場合に限って実行する。
ステップ41では、図7により算出されている吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tec、図8により算出されているコモンレール燃料圧力加重平均値AVETFを読み込み、このとき読み込んだコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFをAVEPFinjに移す。つまりAVEPFinjは、燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値を表す。
ステップ42ではこの燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjから図11を内容とするテーブルを検索することにより、燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値に対する燃圧補正係数KINJinjを算出し、ステップ43でこの燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値に対する燃圧補正係数KINJinjを、吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tecに乗算する(補正する)ことにより、つまり次式により燃料噴射開始タイミング直前における燃料噴射パルス幅Tiinj[ms]を算出する。
Tiinj=Tec×KINJinj+Ts …(8)
ただし、Ts:無効噴射パルス幅、
ステップ44では、この燃料噴射開始タイミング直前における燃料噴射パルス幅Tiinjをそのときのエンジン回転速度Neを用いてクランク角区間ANGCRK2[deg]に換算し、ステップ45で燃料噴射開始タイミングITst[deg BTDC]からこの換算したクランク角区間ANGCRK2だけ遅角側のクランク角位置を第2の燃料噴射終了タイミングITst2[deg BTDC]として算出する。
この場合、図5によればRef信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefより燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値値AVEPFinjのほうが大きいことより、図11によればRef信号の立ち上がりタイミングでの燃圧補正係数KINJrefより燃料噴射開始タイミング直前での燃圧補正係数KINJinjのほうが小さくなる。このため、Ref信号の立ち上がりタイミングより燃料噴射開始タイミングまでの期間に運転条件が変化しなければ、Ref信号の立ち上がりタイミングにおける燃料噴射パルス幅Tirefより噴射開始タイミング直前における燃料噴射パルス幅Tiinjのほうが小さくなり、従って換算されるクランク角区間についてもRef信号の立ち上がりタイミングでの値より燃料噴射開始タイミングでの値のほうが小さくなる(ANGCRK1>ANGCRK2)。この結果、第2の燃料噴射終了タイミングITend2は第1の燃料噴射終了タイミングITend1より進角側にくる。
一方、図4に示したように、Ref信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefより燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値値AVEPFinjのほうが小さいときには第2の燃料噴射終了タイミングITend2が第1の燃料噴射終了タイミングITend1より遅角側にくるので、第2番気筒または第3番気筒については第1の燃料噴射終了タイミングITend1は余裕を持って進角側に設定しておかなればならない。
ステップ46ではこのようにして計算した燃料噴射終了タイミングITend2を出力レジスタに移す。
図示しない燃料噴射を実行するフローでは、各気筒の燃料噴射開始タイミングITst毎に、その燃料噴射開始タイミングが2番気筒または3番気筒のものであるか否かを判断し、2番気筒または3番気筒の燃料噴射開始タイミングであれば、出力レジスタに移されている燃料噴射開始タイミングITstと、第2の燃料噴射終了タイミングITend2とを用い、燃料噴射開始タイミングITstを起点として第2の燃料噴射終了タイミングITend2までの期間、2番気筒または3番気筒の燃料噴射弁を開弁する(圧縮行程噴射を行う)。
一方、燃料噴射開始タイミングITstが2番気筒または3番気筒のものでなく、1番気筒または4番気筒の燃料噴射開始タイミングであるときには、出力レジスタに移されている燃料噴射開始タイミングITstと、第1の燃料噴射終了タイミングITend1とを用い、燃料噴射開始タイミングITstを起点として第1の燃料噴射終了タイミングITend1までの期間、1番気筒または4番気筒の燃料噴射弁を開弁する(圧縮行程噴射を行う)。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、吸気弁閉時期の有効噴射パルス幅Tecを算出し(図7のステップ11、12)、燃料噴射タイミング前の燃料噴射時期計算タイミングで燃料噴射開始タイミングITStを計算し(図9のステップ35)、この計算した燃料噴射開始タイミングITst直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjを算出し(図10のステップ41)、この算出した燃料噴射開始タイミング直前の燃料圧力加重平均値AVEPFinjと、前記算出した吸気弁閉時期の有効噴射パルス幅Tecとに基づいて、燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射パルス幅Tiinj(燃料噴射量)を算出し(図10のステップ43)、この算出した燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射パルス幅Tiinjの燃料(燃料噴射量)が、2番気筒または3番気筒に供給されるように、前記計算した燃料噴射タイミングITStが訪れたとき2番気筒または3番気筒の燃料噴射弁を開く(図9のステップ36、図10のステップ46)ようにしたので、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒(2番気筒と3番気筒)においてRef信号の立ち上がりタイミング(燃料噴射時期計算タイミング)より燃料噴射タイミング(ITst)までの期間中にコモンレール燃料圧力加重平均値(燃料噴射弁に作用する燃料圧力)が上昇(変化)する場合においても、2番気筒または3番気筒に対して燃料噴射量を過不足無く供給できることになった。
図12、図13、図14、図15は第2実施形態で、それぞれ第1実施形態の図6、図7、図9、図10と置き換わるものである。図12、図13、図14、図15において図6、図7、図9、図10と同一部分には同一のステップ番号をつけている。
第1実施形態との違いを主に説明すると、まず図12においてステップ51ではエアフローセンサ45により検出される吸入空気流量Qaに、吸入空気のマニホールド充填遅れ分の遅れ処理を施して、つまり次式によりシリンダ空気流量Qcyl[kg/s]を算出する。
Qcyl=Qa×Fload+Qcyl(前回値)×(1−Fload)
…(9)
ただし、Fload :加重平均係数(0<K1<1)、
Qcyl(前回値):Qcylの前回値、
シリンダ空気流量の演算方法はこれに限られるものでなく公知の演算方法により求められるものでよい。
図13は吸気弁閉時期IVCのシリンダ空気流量Qcを算出するためのもので、各気筒の吸気弁閉時期IVCに実行する。
ステップ61では図12により演算されているシリンダ空気流量Qcylを読み込み、そのシリンダ空気流量Qcylをステップ62において吸気弁閉時期のシリンダ空気流量Qc[kg/s]に移す。
これは、シリンダ空気量は吸気弁が開いている間は定まらず吸気弁が閉じたタイミング(つまり吸気弁閉時期IVC)で確定されるため、図13のフローにより、この確定したシリンダ空気量を算出するようにしたものである。
図14ではステップ71において図13により算出されている吸気弁閉時期におけるシリンダ空気流量Qc、図8により算出されているコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFを読み込む。
ステップ72ではこの吸気弁閉時期におけるシリンダ空気流量Qcとエンジン回転速度Ne[rpm]とを用いて、次式により、吸気弁閉時期のシリンダ空気量Qcに対応する基本噴射パルス幅Tpc[ms]を算出する。
Tpc=K×Qc/Ne …(10)
ただし、K:定数[ms/kg]、
ステップ73ではこの吸気弁閉時期のシリンダ空気量Qcに対応する基本燃料噴射パルス幅Tpcに各種の補正を施して、つまり次式により吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tec[ms]を算出する。
Tec=Tpc×KTR×Tfbya×(α+αm−1)×2…(11)
ただし、KTR :過渡補正係数[無名数]、
Tfbya:目標当量比[無名数]、
α :空燃比フィードバック補正係数[無名数]、
αm :空燃比学習値[無名数]、
ステップ33では、図9のステップ33と同じに、Ref信号の立ち上がりタイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefに対する燃圧補正係数KINJrefを、この吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tecに乗算する(補正する)ことにより、つまり上記の(7)式によりRef信号の立ち上がりタイミングにおける燃料噴射パルス幅Tiref[ms]を算出する。
次に、図15ではステップ81において図13により算出されている吸気弁閉時期におけるシリンダ空気流量Qc、図8により算出されているコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFを読み込む。
ステップ82ではこの吸気弁閉時期におけるシリンダ空気流量Qcとエンジン回転速度Ne[rpm]とを用いて、上記の(10)式により、吸気弁閉時期のシリンダ空気量Qcに対応する基本噴射パルス幅Tpc[ms]を算出する。
ステップ83ではこの吸気弁閉時期のシリンダ空気量Qcに対応する基本燃料噴射パルス幅Tpcに各種の補正を施して、つまり上記の(11)式により吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tec[ms]を算出する。
ステップ43では、図10のステップ43と同じに、燃料噴射開始タイミングITst直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃圧補正係数KINJinjを、この吸気弁閉時期における有効噴射パルス幅Tecに乗算する(補正する)ことにより、つまり上記の(8)式により燃料噴射開始タイミング直前における燃料噴射パルス幅Tiinj[ms]を算出する。
このように第2実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、吸気弁閉時期のシリンダ空気量Qcを算出し(図13のステップ61、62)、燃料噴射タイミング前の燃料噴射時期計算タイミングで燃料噴射開始タイミングITStを計算し(図14のステップ35)、この計算した燃料噴射開始タイミングITst直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjを算出し(図15のステップ81)、この算出した燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjと、前記算出した吸気弁閉時期のシリンダ空気量Qcとに基づいて、燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射パルス幅Tiinj(燃料噴射量)を算出し(図15のステップ43)、この算出した燃料噴射開始タイミング直前のコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFinjに対する燃料噴射パルス幅Tiinjの燃料(燃料噴射量)が、2番気筒または3番気筒に供給されるように、前記計算した燃料噴射タイミングITStが訪れたとき2番気筒または3番気筒の燃料噴射弁を開く(図14のステップ36、図15のステップ46)ようにしたので、第1実施形態と同じに、Ref信号の立ち上がりタイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒(2番気筒と3番気筒)においてRef信号の立ち上がりタイミング(燃料噴射時期計算タイミング)より燃料噴射タイミング(ITst)までの期間中にコモンレール燃料圧力加重平均値(燃料噴射弁に作用する燃料圧力)が上昇(変化)する場合においても、2番気筒または3番気筒に対して燃料噴射量を過不足無く供給できる。
実施形態では、コモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFで説明したが、このコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFに代えて実際のコモンレール燃料圧力Pfを用いることができる。
実施形態では、燃料噴射時期計算タイミングをRef信号の立ち上がりタイミングとする場合で説明したが、燃料噴射時期計算タイミングをRef信号の立ち下がりタイミングとする場合でもかまわない。さらに、Ref信号のタイミングに限定されるものでない。要は、燃料噴射タイミングより時間的に前の所定のクランク角を燃料噴射時期計算タイミングとして設けているものに対しては本発明の適用がある。
実施形態では、吸気バルブ用カムシャフトにポンプ駆動カム12を設け、このポンプ駆動カムにより高圧燃料ポンプを駆動する場合で説明したが、この構成に限定されるものでない。例えば、高圧燃料ポンプは斜板式のものでもよいし、排気バルブ用カムシャフトにポンプ駆動カム12を設けてもかまわない。さらに、ポンプ駆動カムはカムシャフト以外のシャフトにも設け得る。また、コモンレールを備えることも必須でない。
実施形態では、燃料噴射開始タイミング前の燃料噴射時期計算タイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefと、吸気弁閉時期のシリンダ空気量Qcまたは有効噴射量Tecとに基づいて、燃料噴射時期計算タイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefに対する燃料噴射量(Tiref)を算出し、この燃料噴射時期計算タイミングのコモンレール燃料圧力加重平均値AVEPFrefに対する燃料噴射量(Tiref)と予め設定している第1の燃料噴射終了タイミングITend1とから燃料噴射開始タイミングITStを計算する場合で説明したが、燃料噴射時期計算タイミングと燃料噴射タイミングとがプランジャリフトの上昇側にある気筒(2番気筒と3番気筒)については燃料噴射開始タイミングITStを予め定めた固定値としてもかまわない。
実施形態では、エンジンの燃料供給方法を説明したが、エンジンの燃料供給装置としては、クランクシャフトにより駆動されるアクチュエータと、このアクチュエータにより駆動される高圧の燃料を吐出する高圧燃料ポンプと、圧縮行程にある所定の燃料噴射タイミングで開いて、この高圧燃料ポンプからの高圧燃料をエンジンに供給する燃料噴射弁とを備えるエンジンの燃料供給装置において、吸気弁閉時期のシリンダ空気量または有効噴射量を算出するシリンダ空気量・有効噴射量算出手段と、前記燃料噴射弁に作用する前記燃料噴射タイミング直前の燃料圧力を算出する燃料噴射タイミング直前燃料圧力算出手段と、この算出した燃料噴射タイミング直前の燃料圧力と、前記算出した吸気弁閉時期のシリンダ空気量または有効噴射量とに基づいて、燃料噴射タイミング直前の燃料圧力に対する燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、この算出した燃料噴射タイミング直前の燃料圧力に対する燃料噴射量が供給されるように前記燃料噴射タイミングが訪れたとき前記燃料噴射弁を開く燃料噴射弁開閉手段とを備えるエンジンの燃料供給装置が考えられる(請求項4に記載の発明)。また、クランクシャフトにより駆動されるポンプ駆動カムと、このポンプ駆動カムにより駆動されるポンププランジャが上昇する行程で高圧燃料を吐出し、このポンププランジャが下降する行程で一定の燃料圧力を保持する高圧燃料ポンプと、圧縮行程にある所定の燃料噴射タイミングで開いて、この高圧燃料ポンプからの高圧燃料をエンジンの燃焼室に供給する燃料噴射弁とを備えるエンジンの燃料供給装置において、吸気弁閉時期のシリンダ空気量または有効噴射量を算出するシリンダ空気量・有効噴射量算出手段と、前記燃料噴射弁に作用する前記燃料噴射タイミング直前の燃料圧力を算出する燃料噴射タイミング直前燃料圧力算出手段と、この算出した燃料噴射タイミング直前の燃料圧力と、前記算出した吸気弁閉時期のシリンダ空気量または有効噴射量とに基づいて、燃料噴射タイミング直前の燃料圧力に対する燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、この算出した燃料噴射タイミング直前の燃料圧力に対する燃料噴射量が供給されるように前記計算した燃料噴射タイミングが訪れたとき前記燃料噴射弁を開く燃料噴射弁開閉手段とを備えるエンジンの燃料供給装置が考えられる(請求項5に記載の発明)。
請求項1、2のシリンダ空気量・有効噴射量算出処理手順の機能は図13のステップ61、62、図7のステップ11、12により、燃料噴射タイミング直前燃料圧力算出処理手順の機能は図15のステップ81、図10のステップ41により、燃料噴射量算出処理手順の機能は図15のステップ43、図10のステップ43により、燃料噴射弁開閉処理手順の機能は図14のステップ36及び図15のステップ46、図9のステップ36及び図10のステップ46によりそれぞれ果たされている。
請求項4、5のシリンダ空気量・有効噴射量算出手段の機能は図13のステップ61、62、図7のステップ11、12により、燃料噴射タイミング直前燃料圧力算出手段の機能は図15のステップ81、図10のステップ41により、燃料噴射量算出手段の機能は図15のステップ43、図10のステップ43により、燃料噴射弁開閉手段の機能は図14のステップ36及び図15のステップ46、図9のステップ36及び図10のステップ46によりそれぞれ果たされている。