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JP4618150B2 - 水素エンジンの制御装置 - Google Patents
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JP4618150B2 - 水素エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水素エンジンの制御装置に関するものである。
従来から、水素ガスを燃料とした水素エンジンが知られている。この水素エンジンにおいては、水素ガスの性質上、ガソリンエンジンとは異なる様々な問題があり、その1つに、プリイグニッションがある。プリイグニッションとは、水素ガスと空気との混合気が、燃焼室内の高温部や残留ガスや高温浮遊物質等に接触した場合にそれらが着火源となって着火して、点火プラグによる点火前に混合気が爆発してしまう現象であり、水素の点火エネルギが小さく、着火しやすいことが原因である。プリイグニッションが発生すると、圧縮行程の初期(吸気ポートがまだ少し開いている状態)に燃焼ガスが吸気ポートに流れ、次のサイクルで燃料が噴射されるとバックファイヤが生じてしまうこともある。このプリイグニッションは水素濃度が高くなるほど発生する危険性も高くなるため、空燃比をリッチ化することが難しく、その結果、出力を上げることができない。
そのため、水素エンジンにおいては、このプリイグニッションを考慮したエンジン制御が従来より行われてきている。例えば、特許文献1では、低出力運転時にはNOx低減のため吸気行程中に水素を直噴供給して燃焼を行い、高出力運転時にはプリイグニッション防止のために該吸気行程中に供給した水素が燃焼しているときにさらに燃料を直噴供給して燃焼を行うようにした水素エンジンが開示されている。
特開平07−133731号公報
ところで、前記特許文献1に開示された水素エンジンにおける水素の供給は、吸気行程中に水素を供給する吸気行程供給を基本としている。吸気行程中に水素と空気とを混合すると、水素が気体燃料であるためにエンジンの体積効率が低下してしまい、出力が低下するという問題がある。一般に、エンジン回転速度が低い低回転速度領域では体積効率が悪いため、該低回転速度領域で吸気行程供給を行うと、体積効率がますます低下してしまう。このように、特許文献1に開示された水素エンジンでは、出力性能が十分に改善されていない。
そこで、この体積効率の低下を解決するために、水素を圧縮行程中に燃焼室内に供給する圧縮行程供給が考えられる。しかしながら、この圧縮行程供給では、水素と空気との混合(ミキシング)が不十分となって燃焼室内の水素が塊状化し易くなり、水素が塊状化して局所的に水素濃度が濃い部分では、プリイグニッションが発生し易くなる。そのため、圧縮行程供給では、体積効率は向上するものの、空燃比をあまりリッチ化させることができず、出力性能を十分に改善させることができない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリイグニッションを抑制しつつ、水素エンジンの出力性能を向上させることにある。
本発明は、圧縮行程中に水素を供給する圧縮行程供給と、吸気行程中に水素を供給する吸気行程供給と、排気ガスを吸気系に還流させる排気ガス再循環とをエンジン回転速度に応じて使い分けることによって、プリイグニッションを抑制しつつ出力トルクを向上させるようにしたものである。
具体的には、第1の発明は、水素を供給する水素供給手段と、該水素供給手段に吸気行程中に水素を供給させる吸気行程供給と該水素供給手段に圧縮行程中に水素を供給させる圧縮行程供給とを切換及び併用して水素の供給タイミングを制御する制御手段とを備えた水素エンジンの制御装置である。そして、排気ガスを吸気系に還流させる排気ガス還流手段をさらに備え、前記制御手段は、エンジン回転速度が所定の第1回転速度未満の第1エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記圧縮行程供給を行わせると共に、前記排気ガス還流手段に排気ガスを吸気系に還流させ、エンジン回転速度が前記第1回転速度以上且つ、該第1回転速度よりも速い所定の第2回転速度未満の第2エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記吸気行程供給及び前記圧縮工程供給を行わせると共に、前記排気ガス還流手段に排気ガスを吸気系に還流させ、エンジン回転速度が前記第2回転速度以上の第3エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記吸気行程供給及び前記圧縮行程供給を行わせ、前記第2エンジン運転状態における前記排気ガス還流手段による前記吸気系への排気ガスの還流は、所定の高負荷領域でのみ行われ且つ、そのときに還流される排気ガスの量は前記第1エンジン運転状態において還流される排気ガスの量よりも少ないものとする。
前記第1エンジン運転状態では、エンジン回転速度が遅いため、そもそも体積効率が低い。そこで、前記圧縮行程供給により水素を供給することによって、体積効率を向上させることができ、出力を向上させることができる。
ところが、前記圧縮行程供給では水素が塊状化する虞があり、かかる場合には、プリイグニッションが発生し易くなる虞がある。そこで、前記排気ガス還流手段で排気ガスを吸気系に還流させることによって、燃焼温度を低下させ、その結果、燃焼室内の温度上昇を抑制して、プリイグニッションを抑制することができる。こうしてプリイグニッションを抑制することができると、その分、空燃比をリッチ化することができ、出力をさらに向上させることができる。尚、排気ガスを還流することによって、燃焼温度を低下させて、NOx排出量を抑制することができる。
こうして、第1エンジン運転状態では、排気ガスの還流を行うことによって燃焼温度を低下させてプリイグニッションを抑制すると共に、圧縮行程供給によって出力を向上させることができる。
前記第2エンジン運転状態では、前記第1エンジン運転状態よりもエンジン回転速度が速くなるため、水素が供給されてから点火されるまでの時間が短くなる。そうすると、圧縮行程供給によって供給された水素のミキシングが悪化する。そこで、第2エンジン運転状態においては、前記圧縮行程供給だけでなく前記吸気行程供給を併用している。吸気行程供給を行うと、供給された水素は吸気行程中に空気と十分に混ざり合うため、ミキシングか改善されてプリイグニッションを抑制することができる。それに加えて、前記第1エンジン運転状態と同様に排気ガスの還流を行うことによって、プリイグニッションをさらに抑制することができる。こうして、プリイグニッションを抑制することができると、その分、空燃比をリッチ化することができ出力を向上させることができる。
また、前記圧縮行程供給も併用しているため、体積効率を向上させることで出力をさらに向上させることができる。
こうして、第2エンジン運転状態では、吸気行程供給によってミキシングを改善させ且つ排気ガスを還流によって燃焼温度を低下させてプリイグニッションを抑制すると共に、圧縮行程供給によって出力を向上させることができる。
前記第3エンジン運転状態においては、エンジン回転速度が相対的に速く燃焼ガスが高温となるため、前記排気ガス還流手段による排気ガスの還流を行うと、燃焼室内がかえって高温となり、プリイグニッションが発生しやすい環境となってしまう。また、エンジン回転速度が速い状態では、排気ガスを還流すると空気充填効率が大きく低下して、出力が低下する虞がある。そこで、該排気ガス還流手段による排気ガスの還流を停止することによって、前記弊害を防止することができる。そして、水素の供給は前記吸気行程供給と圧縮行程供給とを併用して行う。こうすることで、前記第2エンジン運転状態と同様に、吸気行程供給によって水素と空気とのミキシングを改善させてプリイグニッションを抑制することができると共に、圧縮行程供給によって出力を向上させることができる。
こうして、第3エンジン運転状態では、排気ガスの還流を停止することによって燃焼室内の温度上昇及び空気充填効率の低下を防止し且つ、吸気行程供給によってミキシングを改善させてプリイグニッションを抑制すると共に、圧縮行程供給によって出力を向上させることができる。
このように、前記吸気行程供給、圧縮行程供給及び排気ガスの還流をエンジン回転速度に応じて使い分けることによって、前記各エンジン運転状態においてプリイグニッションを抑制しつつ、出力を向上させることができる。
また、排気ガスの還流量は多すぎると空気充填効率に悪影響を与える場合もある。そこで、前記第2エンジン運転状態においては、前記吸気行程供給によってプリイグニッションが或る程度抑制されているため、プリイグニッションの危険性が低い相対的に負荷が低い低負荷領域では、排気ガスの還流を行わず、空気充填効率を向上させている。そして、第2エンジン運転状態におけるプリイグニッションの危険性が高い相対的に負荷が高い高負荷状態においては、吸気行程供給と圧縮行程供給との併用だけでなく、前記排気ガス還流手段による排気ガスの還流を行うことによって、プリイグニッションを確実に抑制することができる。ただし、このときの排気ガスの還流量は、第1エンジン運転状態における排気ガスの還流量よりも少ないため、空気充填効率に与える影響を可及的に低減して、出力の低下を防止することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、エンジン回転速度が前記第2回転速度よりも速い所定の第3回転速度以上の第4エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記吸気行程供給だけを行わせるものとする。
前記の構成の場合、エンジン回転速度が前記第3回転速度以上の前記第4エンジン運転状態が設定され、この第4エンジン運転状態においては、前記吸気行程供給だけが行われる。つまり、第4エンジン運転状態ではエンジン回転速度が相対的に速いため、圧縮行程中に水素を供給する前記圧縮行程供給では、水素が燃焼室内で十分に混合されない虞があり、ミキシング不良に起因するプリイグニッションの危険性が高まる。そこで、前記圧縮行程供給を行わずに、前記吸気行程供給だけで水素を供給することによって、ミキシングを改善させて、プリイグニッションを抑制することができる
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第3エンジン運転状態における前記吸気行程供給と前記圧縮行程供給との分配割合をエンジン回転速度及びエンジン負荷の少なくとも一方が高いほど該吸気行程供給の割合が高くなるようにするものとする。
前記の構成の場合、エンジン回転速度及びエンジン負荷が高くなるほど、空燃比をリッチ化せざるを得ず、また燃焼温度も上昇するため、プリイグニッションの危険性は高まる。そこで、エンジン回転速度及びエンジン負荷が高くなるほど、ミキシングが良好な前記吸気行程供給の割合を高めることによって、プリイグニッションを確実に抑制することができる。
の発明は、第1又は第2の発明において、前記水素供給手段は、前記燃焼室内に直接、水素を噴射供給する直噴供給手段であるものとする。
前記の構成の場合、前記直噴供給手段による水素の供給タイミングを変えることによって、前記吸気行程供給と圧縮行程供給とを実現することができる。
の発明は、第1又は第2の発明において、前記水素供給手段は、吸気通路に水素を噴射することで前記燃焼室内に水素を供給する通路内供給手段と、前記燃焼室内に直接、水素を噴射供給する直噴供給手段とを有し、前記制御手段は、前記吸気行程供給を前記通路内供給手段に行わせると共に、前記圧縮行程供給を前記直噴供給手段に行わせるものとする。
前記の構成の場合、前記吸気行程供給において前記通路内供給手段によって吸気通路内に供給された水素は、燃焼室に供給されるまでに距離及び時間があるため、十分にミキシングされる。そのため、プリイグニッションを確実に抑制することができる。
の発明は、第2の発明において、前記水素供給手段は、前記燃焼室内に直接、水素を噴射供給する直噴供給手段と、吸気通路に水素を噴射することで前記燃焼室内に水素を供給する通路内供給手段とを有し、前記制御手段は、前記吸気行程供給のうち、前記第2及び第3エンジン運転状態における該吸気行程供給を前記通路内供給手段に行わせる一方、前記第4エンジン運転状態における該吸気行程供給を前記直噴供給手段及び前記通路内供給手段の両方に行わせると共に、前記圧縮行程供給を前記直噴供給手段に行わせるものとする。
前記の構成の場合、前記第2及び第3エンジン運転状態においては、前記通路内供給手段によって前記吸気行程供給が行われるため、水素と空気とを十分にミキシングすることができる。一方、前記第4エンジン運転状態においては、ミキシングを改善させるべく前記圧縮行程供給を行わないため、体積効率が高いという圧縮行程供給の効果を享受できなくなる。そこで、ミキシングに優れる前記通路内供給手段だけで前記吸気行程供給を行うのではなく、前記直噴供給手段による前記吸気行程供給も併用する。前記直噴供給手段による前記吸気行程供給は、前記通路内供給手段による前記吸気行程供給よりも体積効率が高いため、前記直噴供給手段による前記吸気行程供給を併用することによって、プリイグニッションを確実に抑制しつつ、出力を可及的に向上させることができる。
本発明によれば、エンジン回転速度が前記第1回転速度未満の第1エンジン運転状態においては、前記圧縮行程供給による体積効率の向上によって出力を向上させつつ、排気ガスの還流による燃焼温度の低下によってプリイグニッションを抑制して出力をさらに向上させることができる。また、エンジン回転速度が前記第1回転速度以上且つ前記第2回転速度未満の第2エンジン運転状態においては、前記圧縮行程供給による体積効率の向上によって出力を向上させつつ、前記吸気行程供給によるミキシングの改善と排気ガスの還流による燃焼温度の低下とによってプリイグニッションを抑制して出力をさらに向上させることができる。さらに、エンジン回転速度が前記第2回転速度以上の第3エンジン運転状態においては、前記圧縮行程供給による体積効率の向上によって出力を向上させつつ、前記吸気行程供給によるミキシングの改善と排気ガスの還流の停止による燃焼室内温度上昇の防止によってプリイグニッションを抑制して出力をさらに向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明に係る水素エンジンの制御装置を採用したエンジンの概略図を示す。符号1はロータリーエンジンであり、このロータリーエンジン1は、自動車等の車両に搭載されたものであって、燃料として水素を使用する。
上記ロータリーエンジン1は、トロコイド内周面を有する繭状のロータハウジングとサイドハウジングとにより囲まれてなるロータ収容室(以下、気筒という)11に概略三角形状のロータ12が収容されて構成されており、そのロータ12の外周側に3つの作動室(燃焼室)が区画されている。このロータリーエンジン1は、図示は省略するが、2つのロータハウジングを3つのサイドハウジングの間に挟み込むようにして一体化し、その間に形成される2つの気筒11(図1では、そのうちの1つの気筒11のみを図示)にそれぞれロータ12を収容した2ロータタイプのものである。
上記各ロータ12は、該ロータ12外周の3つの頂部にそれぞれ配設されたシール部が各々ロータハウジングのトロコイド内周面に当接した状態でエキセントリックシャフト13の周りを自転しながら、該エキセントリックシャフト13の軸心の周りに公転するようになっている。そして、ロータ12が1回転する間に、該ロータ12の各頂部間にそれぞれ形成された作動室が周方向に移動しながら、吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程を行い、これにより発生する回転力がロータ12を介してエキセントリックシャフト13から出力される。
また、上記各気筒11には、吸気行程にある作動室に連通するように吸気通路2が連通していると共に、排気行程にある作動室に連通するように排気通路3が連通している。吸気通路2は、上流側では1つであるが、下流側では、2つに分岐してそれぞれ上記各気筒11の作動室に連通している。また、排気通路3は、上流側では、各気筒11の作動室にそれぞれ連通して2つ設けられているが、下流側では、1つに合流されている。
上記吸気通路2の上記分岐部よりも上流側においては、上流側から下流側に向かって順に、少なくとも、吸気通路2へ吸入される空気(吸気)を浄化するエアクリーナ21、吸気通路2内に吸入される吸気流量を検出するエアフローセンサ22、ステッピングモータ等のアクチュエータにより駆動されて該吸気通路2の断面積(弁開度)を調節するスロットル弁23が配設されている。これら吸気通路2、エアクリーナ21、エアフローセンサ22及びスロットル弁23等によって吸気系が構成される。
上記排気通路3の上記合流部よりも下流側には、少なくとも、排気ガスを浄化するための排気浄化触媒としての三元触媒31が配設されている。これら排気通路3及び三元触媒31等によって排気系が構成される。
そして、上記吸気通路2における上記分岐部よりも上流側であって且つスロットル弁23よりも下流側の部分と、排気通路3における上記合流部よりも下流側であって且つ三元触媒31よりも上流側の部分とは、EGR通路4によって接続されており、このEGR通路4により、吸気系に排気ガスの一部がEGRガスとして還流されるようになっている。このEGR通路4には、上流側から下流側に向かって順に、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ41と、吸気通路2に還流するEGRガスの量を調整するEGR弁42とが配設されている。上記EGR通路4、EGRクーラ41、EGR弁42は、エンジン1の吸気系に該エンジン1の排気ガスを還流させる排気ガス還流手段を構成する。
上記ロータリーエンジン1の各気筒11には、図示省略の水素タンクから供給された水素を燃焼室内に直接噴射する2つの直噴インジェクタ14a、14bがそれぞれ設けられており、各気筒11に設けられた2つの直噴インジェクタ14a、14bはそれぞれ、ロータハウジングの長軸近傍において、水素を噴射する噴孔が燃焼室内に臨むように配置されている(尚、図1では、2つの直噴インジェクタ14a、14bがエキセントリックシャフト13の周方向に並んで配置されているが、これは説明の便宜上であり、正確にはエキセントリックシャフト13の軸方向に並んで配置されている)。これら直噴インジェクタ14a、14bが設けられた位置は、吸気行程から圧縮行程まで作動室に開口するような位置に該当する。これら直噴インジェクタ14a、14bには、水素タンク(図示省略)から燃料供給通路を介して水素ガスが供給されるようになっている。また、各直噴インジェクタ14a(14b)には、タイミング弁が内設されており、噴射する水素ガスの量を自由にコントロール可能となっている。そして、これら2つの直噴インジェクタのうち、一方の直噴インジェクタ14aは吸気行程中に水素を噴射する吸気行程用直噴インジェクタであり、他方の直噴インジェクタ14bは圧縮行程中に水素を直噴する圧縮行程用直噴インジェクタである。
また、上記ロータリーエンジン1の吸気通路2の分岐部よりも下流側には、前述の水素タンクから供給された水素を吸気通路2内に噴射する通路内インジェクタ15が配設されている。この通路内インジェクタ15には、上記直噴インジェクタ14a、14bと同様に、水素タンクから燃料供給通路を介して水素ガスが供給されると共に、内設されたタイミング弁によって噴射する水素ガスの量を自由にコントロール可能となっている。そして、通路内インジェクタ15は、吸気行程中に吸気通路2内に水素を噴射して、該吸気通路2を介して燃焼室内に水素を供給するようになっている。
つまり、上記ロータリーエンジン1は、吸気行程中に水素を供給する吸気行程供給を行う水素供給手段として吸気行程用直噴インジェクタ14aと通路内インジェクタ15とを有し、圧縮行程中に水素を供給する圧縮行程供給を行う水素供給手段として圧縮行程用直噴インジェクタ14bを有する。
ここで、各供給方式についてさらに説明すると、前記吸気行程供給は、吸気行程中に水素を供給するため、水素が燃焼室内に吸い込まれる空気と混ざり易くミキシングが良い一方、吸い込まれる空気が減少して体積効率が低い。尚、同じ吸気行程供給用のインジェクタではあるが、吸気行程用直噴インジェクタ14aは通路内インジェクタ15に比べて体積効率の点で優れ、通路内インジェクタ15は吸気行程用直噴インジェクタ14aに比べてミキシングの点で優れている。
また、前記圧縮行程供給は、圧縮行程中に水素を供給するため、体積効率が高い一方、点火までの時間が短く且つ混合気の流動が吸気行程ほど大きくないため、ミキシングが悪い。
上記ロータリーエンジン1の各気筒11には、それぞれ2つの点火プラグ16、16が設けられており、この2つの点火プラグ16、16はそれぞれ、ロータハウジングの短軸近傍に配設されている。
そして、上記ロータリーエンジン1には、該ロータリーエンジン1の運転状態を制御するパワートレインコントロールモジュール(以下、PCMという)5が設けられている。このPCM5には、少なくとも、ロータリーエンジン1のエンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサ61と、前記エアフローセンサ22とからの入力信号が入力され、少なくとも上記各インジェクタ14a、14b、15、スロットル弁23、点火プラグ16、16及びEGR弁42に制御信号を出力して、これらを作動制御するようになっている。すなわち、PCM5は、後述する燃料噴射制御に基づいて、インジェクタ14a、14b、15の中から使用するインジェクタを選択すると共に、選択したインジェクタにロータ12の回転位置に応じて所定のタイミングで所定量の水素を噴射させる。つまり、PCM5が水素の供給タイミングを制御する制御手段を構成する。また、PCM5は、アクセル開度センサ(図示省略)の出力信号に応じてスロットル弁23の開度を調整する。さらに、PCM5は、ロータ12の回転位置に応じて所定のタイミングで各点火プラグ16に点火させる。さらにまた、PCM5は、エンジン運転状態に応じてEGR弁42を制御して吸気系に還流させるEGRガス量を調整する。
以下に、PCM5による燃料供給制御について、図2のフローチャート及び図3の燃料供給仕様マップを用いて説明する。図3の燃料供給仕様マップは、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じて設定された、使用するインジェクタと排気ガスの還流の有無とを示すマップである。尚、図3中の曲線は、以下の燃料供給制御によって達成された、本実施形態に係るロータリーエンジン1の最大出力トルクである。
まず、ステップS1において、エンジン回転速度センサ61により検出されたエンジン回転速度Nが、所定の第1回転速度n1未満か、第1回転速度n1以上且つ所定の第2回転速度n2(n2>n1)未満か、第2回転速度n2以上且つ所定の第3回転速度n3(n3>n2)未満か、第3回転速度n3以上かを判定する。
そして、エンジン回転速度Nが第1回転速度n1未満の場合(以下、第1エンジン運転状態という)は、ステップS2において、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによって圧縮行程供給を行うと共に、排気ガスの還流を行う(図3中の領域I)。ただし、低負荷領域においては、プリイグニッションの危険性が低いため、排気ガスの還流は行わず、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる水素供給のみ行う(図3中の領域I’)。
具体的には、PCM5は、エアフローセンサ22の検出値に基づいて空気過剰率λが1.0以下となるように水素の供給量を決定して、圧縮行程用直噴インジェクタ14bに圧縮行程供給をさせると共に、エンジン回転速度センサ61及びエアフローセンサ22の検出値に基づいて還流させる排気ガスの還流量を決定して、それに応じてEGR弁42を制御する。尚、エアフローセンサ22の検出値により算出されたエンジン負荷が所定値よりも小さい低負荷領域の場合は、出力がそれほど必要ではないので、空燃比をリーン化して、空気過剰率λが1.8となるように水素の供給量を決定すると共に排気ガスの還流を停止している。尚、エンジン回転速度が所定値以下のアイドリング状態(領域ID)においては、空気過剰率λが1.8となるように水素の供給量を決定すると共に、排気ガスの還流を停止している。
第1エンジン運転状態(領域I)は低回転領域であってもともと体積効率が低いが、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給を行うことによって体積効率を向上させて出力を向上させることができる。しかしながら、圧縮行程供給を行うと、水素が塊状化し易く、プリイグニッションの危険性が高まる。そこで、排気ガスの還流を行うことによって燃焼温度を抑制し、その結果、気筒11内の温度を抑制することで、プリイグニッションの発生を抑制することができる。もちろん、排気ガスの還流によりNOx排出量を抑制することができる。こうして、プリイグニッションの発生を抑制できると、その分だけ空燃比をリッチ化させることができ、出力を向上させることができる。結果として、本実施形態においては、空気過剰率λが1.0以下となる程度までリッチ化させることができる。
エンジン回転速度Nが第1回転速度n1以上且つ第2回転速度n2未満の場合(以下、第2エンジン運転状態という)は、ステップS3において、エアフローセンサ22の検出値に基づいてエンジン負荷を算出し、算出されたエンジン負荷が、エンジン回転速度毎に予め設定された所定値よりも大きいか否かを判定する。そして、エンジン負荷が所定値よりも大きい場合には高負荷状態であるとしてステップS4へ進む一方、エンジン負荷が所定値以下の場合は低負荷状態としてステップS5へ進む。
つまり、第2エンジン運転状態であって且つ高負荷状態(図3中の領域II)である場合には、ステップS4において、通路内インジェクタ15によって吸気行程供給を行うと共に圧縮行程用直噴インジェクタ14bによって圧縮行程供給を行う。さらに、排気ガスの還流を行う。一方、第2エンジン運転状態であって且つ低負荷状態(図3中の領域II’)である場合には、ステップS5において、通路内インジェクタ15によって吸気行程供給を行うと共に、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによって圧縮行程供給を行う。尚、低負荷状態では、空燃比をあまりリッチ化させる必要がないためプリイグニッションの危険性が低い。そのため、排気ガスの還流は行わない。
第2エンジン運転状態(領域II、II’)は、中回転領域であり、排気ガスを多量に還流させると、空気充填効率が低下し出力が低下してしまう。そこで、前記吸気行程供給を行うことによってプリイグニッションを抑制する。そして、プリイグニッションの危険性が高い高負荷領域でのみ、排気ガスの還流を行っている。
具体的には、PCM5は、エアフローセンサ22の検出値に基づいて、空気過剰率λが1.1〜1.3(高負荷領域)又は1.5〜1.6(低負荷領域)となるように水素の供給量を決定して、決定された供給量を通路内インジェクタ15と圧縮行程用直噴インジェクタ14bとに1:1の割合で分配して、それぞれに吸気行程供給又は圧縮行程供給を行わせる。高負荷領域の場合には、それと共に、エンジン回転速度センサ61及びエアフローセンサ22の検出値に基づいて還流させる排気ガスの還流量を決定して、それに応じてEGR弁42を制御する。ただし、還流される排気ガスの量は、第1エンジン運転状態における排気ガスの還流量よりも少なく設定されている。一方、低負荷領域の場合には、排気ガスの還流を行わない。
こうして、通路内インジェクタ15で吸気行程供給を行うことによって、水素と空気とのミキシングが改善されてプリイグニッションを抑制することができる。また、空燃比をリッチ化せざるを得ずプリイグニッションの危険性が高まる高負荷状態(領域II)においては、排気ガスの還流を行うことによって、プリイグニッションをさらに抑制することができる。ただし、還流される排気ガスの量は、第1エンジン運転状態と比較して、少量であるため、空気充填効率に大きな影響を与えることはない。尚、プリイグニッションの危険性が低い低負荷状態(領域II')においては、排気ガスの還流を停止することによって空気充填効率を向上させている。こうして、プリイグニッションを抑制することができれば、その分だけ出力を向上させることができる。さらに、水素の供給を圧縮行程用直噴インジェクタ14bで圧縮行程中に行うことによって体積効率を向上させることができるため、このことによっても出力を向上させることができる。結果として、本実施形態においては、プリイグニッションを抑制することで、空気過剰率λを高負荷領域(領域II)では1.1〜1.3までリッチ化させることができる。尚、低負荷領域(領域II’)では、排気ガスの還流を行っていないが、空気過剰率λを1.5〜1.6までリッチ化させることができる。
エンジン回転速度Nが第2回転速度n2以上且つ第3回転速度n3未満の場合(以下、第3エンジン運転状態という)は、ステップS5において、通路内インジェクタ15によって吸気行程供給を行うと共に、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによって圧縮行程供給を行う(図3中の領域III)。このとき、前記第2エンジン運転状態におけるステップS5とは異なり、エンジン回転速度及びエンジン負荷の少なくとも一方が高いほど吸気行程用直噴インジェクタ14aによる水素供給の割合を高くしている。尚、排気ガスの還流は行わない。
具体的には、PCM5が、エアフローセンサ22の検出値に基づいて、空気過剰率λが1.4〜1.6となるように水素の供給量を決定する。そして、決定された水素供給量をエンジン回転速度N及びエンジン負荷Tに基づいて通路内インジェクタ15と圧縮行程用直噴インジェクタ14bとに分配する。本実施形態においては、第3エンジン運転状態を4つの領域に分割して、予め各領域ごとに分配割合を決めている。すなわち、通路内インジェクタ15と圧縮行程用直噴インジェクタ14bと分配割合を、低回転且つ低負荷領域(a)では5:5に、低回転且つ高負荷領域(b)及び高回転且つ低負荷領域(c)では6:4に、高回転且つ高負荷領域(d)では7:3に設定している。この分配割合に従って、通路内インジェクタ15と圧縮行程用直噴インジェクタ14bとにそれぞれ水素を供給させる。
第3エンジン運転状態(領域III)は、高回転領域であり、排気ガスが高温となるため、排気ガスを還流させるとかえって燃焼室の温度を上昇させ、プリイグニッションが発生し易い環境にしてしまう。また、エンジン回転速度が速い状態では、排気ガスを還流させると、空気充填効率が大きく低下してしまう。つまり、排気ガスの還流を停止することによって、前記排気ガスの還流による悪影響を防止することができる。そして、通路内インジェクタ15による吸気行程供給を行うことによって、プリイグニッションを抑制することができる。また、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給を併用することによって、体積効率を向上させて出力を向上させることができる。さらに、エンジン回転速度及びエンジン負荷が高くなるほどプリイグニッションの危険性が高まるため、前述の如く、通路内インジェクタ15と圧縮行程用直噴インジェクタ14bとの分配割合を変更することによって、プリイグニッションを確実に抑制することができる。こうして、プリイグニッションを抑制することができれば、その分だけ出力を向上させることができる。結果として、本実施形態においては、プリイグニッションを抑えることで、空気過剰率λを1.4〜1.6までリッチ化させることができる。
エンジン回転速度Nが第3回転速度n3以上の場合(以下、第4エンジン運転状態という)は、ステップS6において、通路内インジェクタ15と吸気行程用直噴インジェクタ14aとを併用して吸気行程供給を行う(図3中の領域IV)。尚、排気ガスの還流は行わない。
具体的には、PCM5は、エアフローセンサ22の検出値に基づいて、空気過剰率λが1.4〜1.6となるように水素の供給量を決定して、決定された供給量を通路内インジェクタ15と吸気行程用直噴インジェクタ14aとに1:1の割合で分配して、それぞれに吸気行程供給を行わせる。
第4エンジン運転状態(領域IV)は、第3エンジン運転状態よりも高回転領域であり、各行程の期間が短いため、圧縮行程に水素を供給すると水素が非常に塊状化し易い。そこで、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給を停止して、通路内インジェクタ15及び吸気行程用直噴インジェクタ14aで吸気行程供給を行うことによって、ミキシングを改善して、プリイグニッションを抑制することができる。また、吸気行程供給を行うにしても、通路内インジェクタ15のみでなく、相対的に体積効率の点で優れる吸気行程用直噴インジェクタ14aも用いることによって、プリイグニッションの抑制だけでなく、体積効率を向上させて出力を向上させることもできる。こうして、プリイグニッションを抑制することができれば、その分だけ出力を向上させることができる。結果として、本実施形態においては、プリイグニッションを抑えることで、空気過剰率λを1.4〜1.6までリッチ化させることができる。
したがって、本実施形態によれば、エンジン回転速度に応じて、吸気行程用直噴インジェクタ14a、圧縮行程用直噴インジェクタ14b及び通路内インジェクタ15を使い分けると共に、排気ガスの還流の有無を切り換えることによって、プリイグニッションを抑制することができると共に、出力を向上させることができる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。すなわち、前記実施形態では、吸気行程用直噴インジェクタ14a、圧縮行程用直噴インジェクタ14b及び通路内インジェクタ15の3つのインジェクタを備えているが、これに限られるものではない。つまり、前記吸気行程供給と圧縮行程供給とを行える構成であれば、インジェクタの個数、種類は任意に設定できる。例えば、圧縮行程用直噴インジェクタ14bと通路内インジェクタ15とだけの構成でもよく、吸気行程用直噴インジェクタ14aと圧縮行程用直噴インジェクタ14bとだけの構成でもよい。また、圧縮行程用と吸気行程用とで2つの直噴インジェクタを用いるのではなく、1つの直噴インジェクタのみで構成し、該直噴インジェクタの噴射タイミングを制御して吸気行程供給と圧縮行程供給とを行わせるようにしてもよい。そして、第1エンジン運転状態では、圧縮行程供給と排気ガスの還流とを行い、第2エンジン運転状態では、吸気行程供給と圧縮行程供給と排気ガスの還流(高負荷領域のみ)とを行い、第3エンジン運転状態では、吸気行程供給と圧縮行程供給とを行い、第4エンジン運転状態では、吸気行程供給を行うように構成すればよい。そうすることで、プリインジェクションを抑制しつつ、出力を向上させることができる。
つまり、圧縮行程用直噴インジェクタ14bと通路内インジェクタ15とだけの構成の場合は、第1エンジン運転状態では、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給と排気ガスの還流とを行い、第2エンジン運転状態では、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給と通路内インジェクタ15による吸気行程供給と排気ガスの還流(高負荷領域のみ)とを行い、第3エンジン運転状態では、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給と通路内インジェクタ15による吸気行程供給とを行い、第4エンジン運転状態では、通路内インジェクタ15のみによる吸気行程供給(又は圧縮行程用直噴インジェクタ14bに吸気行程中に燃料噴射させて、該圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる吸気行程供給を併用)を行えばよい。
また、吸気行程用直噴インジェクタ14aと圧縮行程用直噴インジェクタ14bとだけの構成の場合は、第1エンジン運転状態では、圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給と排気ガスの還流とを行い、第2エンジン運転状態では、吸気行程用直噴インジェクタ14aによる吸気行程供給と圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給と排気ガスの還流(高負荷領域のみ)とを行い、第3エンジン運転状態では、吸気行程用直噴インジェクタ14aによる吸気行程供給と圧縮行程用直噴インジェクタ14bによる圧縮行程供給とを行い、第4エンジン運転状態では、吸気行程用直噴インジェクタ14aによる吸気行程供給を行うようにすればよい。尚、前述の通り、吸気行程用直噴インジェクタ14aと圧縮行程用直噴インジェクタ14bとの2つのインジェクタで構成するのではなく、1つの直噴インジェクタに吸気行程と圧縮行程とでそれぞれ水素を噴射させるように構成して、該1つの直噴インジェクタで、吸気行程供給と圧縮行程供給とを行ってもよい。
さらに、前記実施形態では、エンジン回転速度に応じて第1エンジン運転状態から第4エンジン運転状態までの4つの状態(領域)に分けて、使用するインジェクタや排気ガスの還流の有無を設定しているが、これに限られるものではない。つまり、少なくとも、圧縮行程供給と排気ガスの還流とを行う第1エンジン運転状態と、吸気行程供給と圧縮行程供給と排気ガスの還流(高負荷領域のみ)とを行う第2エンジン運転状態と、吸気行程供給と圧縮行程供給とを行う第3エンジン運転状態とに分ければよい。このとき、前記第4エンジン運転状態は、第3エンジン運転状態に含まれることになり、エンジン回転速度が第3回転速度n3以上であれば、吸気行程供給と圧縮行程供給とを行うようにすればよい。
また、前記実施形態では、第2エンジン運転状態において、排気ガスの還流の有無を負荷状態に応じて設定しているが、これに限られるものではなく、第2エンジン運転状態における全領域において排気ガスを還流させるようにしてもよい。かかる構成であっても、吸気行程供給と排気ガスの還流とによってプリイグニッションを抑制することができると共に、圧縮行程供給によって出力を向上させることができる。ただし、還流する排気ガスの量は、第1エンジン運転状態における排気ガスの還流量よりも少量であることが好ましい。こうすることで、空気充填効率の低下を抑制することができる。
さらに、前記実施形態では、第3エンジン運転状態において、吸気行程供給と圧縮行程供給との分配割合をエンジン回転速度及びエンジン負荷に応じて変えているが、これに限られるものではなく、一律の分配割合で吸気行程供給と圧縮行程供給とを行うようにしてもよい。かかる構成であっても、吸気行程供給とによってプリイグニッションを抑制することができると共に、圧縮行程供給によって出力を向上させることができる。
さらにまた、前記第2エンジン運転状態から第4エンジン運転状態における吸気行程供給と圧縮行程供給との分配割合は、前記の割合に限られるものではなく、エンジンの運転状態、プリイグニッション、出力等を考慮して、任意の割合を採用することができる。
また、前記実施形態では、本発明をロータリーエンジンに適用した場合について説明したが、これに限られるものではなく、レシプロエンジンに適用することもできる。
以上説明したように、本発明は、プリイグニッションを抑制しつつ、出力の向上を図ることができるため、水素エンジンについて有用である。
本発明の実施形態に係るロータリーエンジンを示す概略図である。 燃料供給制御を示すフローチャートである。 使用するインジェクタ及び排気の還流を有無についての仕様を示すマップである。
14a 吸気行程用直噴インジェクタ(水素供給手段、直噴供給手段)
14b 圧縮行程用直噴インジェクタ(水素供給手段、直噴供給手段)
15 通路内インジェクタ(水素供給手段、通路内供給手段)
4 EGR通路(排気ガス還流手段)
41 EGRクーラ(排気ガス還流手段)
42 EGR弁(排気ガス還流手段)
5 PCM(制御手段)

Claims (6)

  1. 水素を供給する水素供給手段と、該水素供給手段に吸気行程中に水素を供給させる吸気行程供給と該水素供給手段に圧縮行程中に水素を供給させる圧縮行程供給とを切換及び併用して水素の供給タイミングを制御する制御手段とを備えた水素エンジンの制御装置であって、
    排気ガスを吸気系に還流させる排気ガス還流手段をさらに備え、
    前記制御手段は、
    エンジン回転速度が所定の第1回転速度未満の第1エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記圧縮行程供給を行わせると共に、前記排気ガス還流手段に排気ガスを吸気系に還流させ、
    エンジン回転速度が前記第1回転速度以上且つ、該第1回転速度よりも速い所定の第2回転速度未満の第2エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記吸気行程供給及び前記圧縮工程供給を行わせると共に、前記排気ガス還流手段に排気ガスを吸気系に還流させ、
    エンジン回転速度が前記第2回転速度以上の第3エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記吸気行程供給及び前記圧縮行程供給を行わせ
    前記第2エンジン運転状態における前記排気ガス還流手段による前記吸気系への排気ガスの還流は、所定の高負荷領域でのみ行われ且つ、そのときに還流される排気ガスの量は前記第1エンジン運転状態において還流される排気ガスの量よりも少ないことを特徴とする水素エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載の水素エンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、エンジン回転速度が前記第2回転速度よりも速い所定の第3回転速度以上の第4エンジン運転状態においては、前記水素供給手段に前記吸気行程供給だけを行わせることを特徴とする水素エンジンの制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の水素エンジンの制御装置において、
    前記第3エンジン運転状態における前記吸気行程供給と前記圧縮行程供給との分配割合をエンジン回転速度及びエンジン負荷の少なくとも一方が高いほど該吸気行程供給の割合が高くなるようにすることを特徴とする水素エンジンの制御装置。
  4. 請求項1又は2に記載の水素エンジンの制御装置において、
    前記水素供給手段は、前記燃焼室内に直接、水素を噴射供給する直噴供給手段であることを特徴とする水素エンジンの制御装置。
  5. 請求項1又は2に記載の水素エンジンの制御装置において、
    前記水素供給手段は、吸気通路に水素を噴射することで前記燃焼室内に水素を供給する通路内供給手段と、前記燃焼室内に直接、水素を噴射供給する直噴供給手段とを有し、
    前記制御手段は、前記吸気行程供給を前記通路内供給手段に行わせると共に、前記圧縮行程供給を前記直噴供給手段に行わせることを特徴とする水素エンジンの制御装置。
  6. 請求項2に記載の水素エンジンの制御装置において、
    前記水素供給手段は、前記燃焼室内に直接、水素を噴射供給する直噴供給手段と、吸気通路に水素を噴射することで前記燃焼室内に水素を供給する通路内供給手段とを有し、
    前記制御手段は、
    前記吸気行程供給のうち、前記第2及び第3エンジン運転状態における該吸気行程供給を前記通路内供給手段に行わせる一方、前記第4エンジン運転状態における該吸気行程供給を前記直噴供給手段及び前記通路内供給手段の両方に行わせると共に、
    前記圧縮行程供給を前記直噴供給手段に行わせることを特徴とする水素エンジンの制御装置。
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