JP4622366B2 - ポリベンザゾール系フィルムおよびその製造法 - Google Patents
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以上の方法はいずれも、剛直性高分子の溶液(厳密な意味での溶液としてではなく、溶液と称するものである。以下同じ)が光学的異方性すなわち液晶性を示す高濃度領域で加工時のせん断粘度が比較的低くなる特性に着目したものであるが、光学的異方性を示す溶液で製膜すると、フィルムの長手方向(MD、フィルムの流れ方向、マシンダイレクション)および幅方向(TD、MDと直角の方向、トランスバースダイレクション)方向の機械的物性のバランスをとるのが難しい。力学特性のバランスに関する問題を解決する方法として、ダイ押出しまでを光学的異方性相で実施し、ダイ押出し後は組成変化若しくは温度変化により光学的等方相へ相転移させる製膜方式が開示されている(特許文献2参照)。ところが、光学的に異方性を示すポリベンザゾール系溶液をダイ押出しすると、押出されたシート表面はその液晶性に由来し発生すると考えられる著しい荒れが観察される。また、光学的に異方性を有するポリベンザゾール溶液を支持体上に流延し、その後光学的に等方性を示す状態に変化させることにより得られる、高弾性率かつ適度な伸度を示すポリベンザゾール系フィルムが開示されている(特許文献3参照)。
この点についての検討は全くなされておらず、従来開示されているポリベンザゾールフィルムは表面に粗いフィブリル状の突起を有し実用的な磁気テープとして使用することは難しかった。これに対する改良も試みられてはいるが、表面平滑性の良好なフィルムは得られていないのが現状である(特許文献4、5参照)。
(1)長手方向および幅方向の引張弾性率≧10.0GPa、
(2)長手方向および幅方向の引張破断強度≧350MPa、
(3)長手方向および幅方向の引張破断伸度≧10%、
(4)0.85≦(幅方向の引張弾性率)/(長手方向の引張弾性率)≦1.20、
(5)0.85≦(幅方向の引張破断強度)/(長手方向の引張破断強度)≦1.20、
(6)0.85≦(幅方向の引張破断伸度)/(長手方向の引張破断伸度)≦1.20。
また本発明は、光学的に異方性のポリベンザゾール系溶液からコア層を形成し、該コア層の両表面に微粒子をポリベンザゾール系ポリマーに対して0.20〜2.00質量%含有した光学的に等方性であるポリベンザゾール系溶液からスキン層を積層形成する工程を含むことを特徴とするポリベンザゾール系フィルムの製造法であり、より好ましくは、光学的に異方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液のポリマー濃度が8.0〜16.0質量%、光学的に等方性ポリベンザゾール系ポリマー溶液の濃度が0.5から5質量%である前記のポリベンザゾール系フィルムの製造法である。
本発明でスキン層形成のために用いられるポリベンザゾール溶液には、ポリベンザゾールのポリリン酸溶液に対して不活性な微粒子を含有させる必要がある。不活性な微粒子はポリベンザゾールに対し0.20〜2.0質量%以下の範囲で含有させることが必要である。不活性な微粒子の含有量が0.20質量%未満であると例えば磁気テープに加工した時の走行性が低下し好ましくない。一方2.0質量%を超えると磁気記録特性が低下するので好ましくない。不活性な微粒子としては、シリカ、シリカアルミナなどの無機微粒子や架橋有機高分子微粒子などが好適である。
(1)長手方向および幅方向の引張弾性率≧10.0GPa、
(2)長手方向および幅方向の引張破断強度≧350MPa、
(3)長手方向および幅方向の引張破断伸度≧10%、
(4)0.85≦(幅方向の引張弾性率)/(長手方向の引張弾性率)≦1.20、
(5)0.85≦(幅方向の引張破断強度)/(長手方向の引張破断強度)≦1.20、
(6)0.85≦(幅方向の引張破断伸度)/(長手方向の引張破断伸度)≦1.20。
SRaが3nmより小さい場合は、フィルムを巻き取る作業性や磁気テープにした時の走行性、ガイドロールに対する耐摩耗性などが不足する。一方、SRaが50nm以上の時は、磁気テープやフレキシブルディスクにした時に電磁変換特性が不十分となる。高密度記録用の磁気記録基材として使用する場合のフィルム(基材フィルムとのいう)のSRaは20nm以下が好ましい。また、フィルム表面の1μm以上の突起が10個/mm2以上の時は、磁気テープやフレキシブルディスクにした時に信号欠陥が生じるので好ましくない。特に高記録密度用の磁気記録基材として使用する場合は1個/mm2以下である必要がある。3次元平均表面粗さ(SRa)と1μm以上の粗大突起数を本発明の範囲にするためには、該不活性微粒子の粒径分布と添加量、分散方法を適切なものを用いるとともに、延伸や凝固の条件も適切に選ぶ必要がある。また、異物の混入の防止措置と混入した異物の除去する対策を行うことが望ましい。
本発明の微粒子を含有するポリベンザゾール系フィルムに微粒子を含有しないポリベンザゾール系フィルム層を積層することもできる。
本発明における、コア層とスキン層とは同一のポリベンザゾール系ポリマーを使用してもよく、異なるポリベンザゾール系ポリマーを使用してもよい。ポリベンザゾール系ポリマーにおける、ポリオキサゾール系ポリマー、ポリチアゾール系ポリマー、ポリイミダゾール系ポリマーの中から選んだ一種のポリベンザゾール系ポリマーの異方性溶液からコア層を、ポリベンザゾール系ポリマーにおける、ポリオキサゾール系ポリマー、ポリチアゾール系ポリマー、ポリイミダゾール系ポリマーの中から選んだ一種のポリベンザゾール系ポリマーの等方性溶液からスキン層を積層し、本発明のポリベンザゾール系フィルムとすることが出来る。
1.極限粘度
メタンスルホン酸を溶媒として、0.5g/lの濃度に調整したポリマー溶液の粘度をオストワルド粘度計を用いて30℃恒温槽中で測定し、算出した。
溶液をスライドガラス上にのせ、カバーガラスで挟み薄く伸ばしたものを、偏光顕微鏡を用いた直交ニコル下の観察することにより行った。サンプルステージを回転させても暗視野であり、ドメイン構造が観察されない場合を、光学的に等方性な溶液であると判断した。サンプルステージを回転させることによって暗視野から明視野に変化するドメイン構造が観察される場合、光学的に異方性な溶液であると判断した。
微粒子を島津製作所(株)製遠心沈降式粒度分布計SA−CP4を用いて重量平均粒子径を計算することで求めた。
4.引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所(株)製オートグラフ(R)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を求めた。
フィルム表面を触針式3次元表面粗さ計(SE−3AK、株式会社小坂研究所製)を用いて、針の半径2μm、荷重30mgfの条件下に、フィルムの機械方向にカットオフ値0.25mm測定長1mmにわたって測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを3次元粗さ解析装置(SPA−11)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。そして解析装置に3次元平均表面粗さSRaを計算させた。
フィルム表面にアルミニウムを薄く蒸着した後、Nache社製二光束干渉顕微鏡を用い、400倍で1mm2の面積を観察し、突起高さ対応してできる干渉縞をもつ突起を数えた。
7.フィルムの動摩擦係数
20℃、65RH%における動摩擦係数を、ASTM−D1894に準じて測定した。動摩擦係数が0.8以下のフィルムは、滑り性が良好で、作業性に優れる。
幅10mm長さ1mに裁断したポリベンザゾールフィルムの両端リードフィルムは接続し、プラスチック性ピンに張力100gf、巻き付け角90度、走行速度150m/分で摩擦させつつ走行させた後、ポリベンザゾールフィルム部の摩擦面にアルミニウムを蒸着して表面の傷の量を実体顕微鏡で観察して、以下の様にランク分けした。
優:傷が全く認められない。
良:かすかに傷が認められるが、極めて微量である。
可:少量の傷が認められる。
不可:多量の傷が認められる。
(1)微粒子含有ポリマー溶液(溶液(A))の作製
1バッチ当たり116質量%のポリリン酸43.86kgに窒素気流下、五酸化二リン14.49kgを加えた後、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩9.10kg、及び、平均粒径2μmにまで微粉化したテレフタル酸7.10kg、及び日本触媒化学工業製の平均粒径200nmの単分散球状シリカ微粒子250gを加え、80℃で槽型反応器内で、撹拌混合した。さらに150℃で10時間加熱混合した後、200℃に加熱した2軸押し出し機を用いて重合し、公称目開き50μmフィルターを通してポリパラフェニレンベンゾオキサゾール(PBO)の14質量%溶液を得た。ポリマー溶液の色は黄色であり、メタンスルホン酸溶液で測定した極限粘度は27dl/gであった。
単分散球状シリカを添加しない以外は(1)と同様の方法で、微粒子無添加PBO溶液を得た。得られた溶液の極限粘度は27dl/gであった。
(3)光学的に等方性なポリマー溶液
溶液(A)と溶液(B)を質量比1/3で混合し、ポリリン酸を加えて希釈し、PBO濃度1.0質量%の製膜用ポリマー溶液(溶液(C))を調製した。更に別途溶液(A)と溶液(B)を質量比1/1で混合しポリリン酸を加えて希釈し、PBO濃度1.0質量%の製膜用ポリマー溶液(溶液(D))を調製した。溶液(C)及び溶液(D)はいずれも光学的に等方性を示した。
マルチマニホールド方式の2種3層積層Tダイ式押出機を用い、コア層に溶液(B)、スキン層に溶液(C)とした積層PBOフィルム前駆体を作製し、0.30m/分の速さで引き取りつつ、20℃の凝固水槽に導入した。凝固水槽中での滞留時間は約2分とし、凝固した積層PBOフィルムは0.31m/分で巻き上げた。さたに凝固させたフィルムを十分に水洗した後にテンターで両端を把持しつつ150℃で30秒間熱固定して厚み5.0μmのPBOフィルムを得た。この際、完成した積層フィルムの全体厚みが約5.0μm、コア層の厚みが2.5μmになるよう、各種溶液の吐出量とリップギャップを調整した。尚、押出し時の溶液温度は170℃となるように設定した。
コア層の厚みを1.3μmとした以外は実施例1と同様の方法で厚み4.9μmの積層PBOフィルムを得た。
スキン層のポリマー溶液を溶液(D)とした以外は実施例1と同様の方法で厚み5.0μm、コア層の厚みが2.5μmの積層PBOフィルムを得た。
溶液(B)をポリリン酸で希釈しPBO濃度1.0質量%溶液(溶液(E))を作製した。この溶液は光学的に等方性であった。この溶液(E)をスキン層とした以外は実施例1と同様の方法で厚み5.0μm、コア層の厚みが2.5μmの積層PBOフィルムを得た。
溶液(A)をポリリン酸で希釈しPBO濃度1.0質量%溶液(溶液(F))を作製した。この溶液は光学的に等方性であった。この溶液(F)をスキン層とした以外は実施例1と同様の方法で厚み5.0μm、コア層の厚みが2.5μmの積層PBOフィルムを得た。
コア層の厚みを4.5μmとした以外は実施例1と同様の方法で厚さ5.0μmの積層PBOフィルムを作製した。この際、Tダイから押出されたPBOフィルム前駆体の表面は著しい表面荒れが観察された。このため、三次元表面粗さは測定していない。
コア層の厚みを1.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で厚さ4.9μmの積層PBOフィルムを作製した。
溶液(A)と溶液(B)を質量比1/3した溶液(溶液(C’))を作製した。溶液(C’)のみを用いて厚み5.2μmのPBOフィルムを作製した。尚、比較例3と比較しフィルムの表面荒れは改善されたが、三次元表面粗さを評価するレベルにはないと判断しSRaは測定していない。
上述の各実施例と各比較例で得たフィルムを評価した結果を表1に示す。
Claims (5)
- 偏光顕微鏡を用いた直交クロスニコル下での観察で溶液試料を回転させて暗視野から明視野に変化するドメイン構造が観察される光学的に異方性のポリベンザゾール系溶液から形成したコア層と該コア層の両表面に微粒子をポリベンザゾール系ポリマーに対して0.20〜2.00質量%含有した偏光顕微鏡を用いた直交クロスニコル下での観察で溶液試料を回転させても暗視野でありドメイン構造が観察されない光学的に等方性であるポリベンザゾール系溶液から形成したスキン層とで構成され、コア層の厚みがフィルム全厚みの25〜75%であることを特徴とするポリベンザゾール系フィルム。
- ポリベンザゾールがポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールであり、下式(1)〜(6)の全てを満たす請求項1記載のポリベンザゾール系フィルム。
(1)長手方向および幅方向の引張弾性率≧10.0GPa、
(2)長手方向および幅方向の引張破断強度≧350MPa、
(3)長手方向および幅方向の引張破断伸度≧10%、
(4)0.85≦(幅方向の引張弾性率)/(長手方向の引張弾性率)≦1.20、
(5)0.85≦(幅方向の引張破断強度)/(長手方向の引張破断強度)≦1.20、
(6)0.85≦(幅方向の引張破断伸度)/(長手方向の引張破断伸度)≦1.20。 - フィルム表面の少なくとも一方面の3次元平均粗さSRaが5nm以上かつ50nm以下であり、1μm以上の粗大突起が10個/mm2以下であることを特徴とする請求項1、2記載のポリベンザゾール系フィルム。
- 偏光顕微鏡を用いた直交クロスニコル下での観察で溶液試料を回転させて暗視野から明視野に変化するドメイン構造が観察される光学的に異方性のポリベンザゾール系溶液からコア層を形成し、該コア層の両表面に微粒子をポリベンザゾール系ポリマーに対して0.20〜2.00質量%含有した偏光顕微鏡を用いた直交クロスニコル下での観察で溶液試料を回転させても暗視野でありドメイン構造が観察されない光学的に等方性であるポリベンザゾール系溶液からスキン層を積層形成する工程を含むことを特徴とするポリベンザゾール系フィルムの製造法。
- 光学的に異方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液のポリマー濃度が8.0〜16.0質量%、光学的に等方性ポリベンザゾール系ポリマー溶液の濃度が0.5から5質量%である請求項4に記載の積層ポリベンザゾール系フィルムの製造法。
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