本発明の実施の形態を図1〜図7を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は基材に帯状フィルムを使用した場合の有機EL素子を作製する工程の一例を示す模式図である。
図中、2は有機EL素子を作製する製造装置を示す。製造装置2は、有機化合物層形成工程3と、陰極層形成工程4と、断裁工程5と、可撓性封止部材貼合工程6と、回収工程7とを有している。
有機化合物層形成工程3は、帯状可撓性支持体の供給部301と、帯状可撓性支持体の洗浄表面改質処理部302と、第1塗布・乾燥部303と、第1加熱処理部304と、第2除電処理部305と、第2塗布・乾燥部306と、第2加熱処理部307と、第3除電処理部308と、第1回収部309とを有している。
供給部301では、ガスバリア膜と第1電極を含む陽極層とがこの順番で既に形成された帯状可撓性支持体A301aが巻き芯に巻取られロール状態で供給される様になっている。
洗浄表面改質処理部302は、有機化合物層形成用塗布液を塗布する前に供給部301から送られてきた帯状可撓性支持体A301bの陽極層(不図示)表面を洗浄改質する洗浄表面改質処理手段302aと、第1除電処理手段302bとを有している。
第1塗布・乾燥部303は、帯状可撓性支持体A301bを保持するバックアップロール303aと、バックアップロール303aに保持された帯状可撓性支持体A301bに第1有機化合物層形成用塗布液を塗布する第1湿式塗布機303bと、帯状可撓性支持体A301b上の陽極層(不図示)上に形成された第1有機化合物層301cの溶媒を除去する第1乾燥装置303cとを有している。304は第1加熱処理部を示す。
305は、形成された第1有機化合物層301cの除電を行う第2除電処理手段を示す。尚、本図では第1有機化合物層形成用塗布液とは正孔輸送層形成用塗布液を指し、第1有機化合物層301cとは正孔輸送層を指す。
第2塗布・乾燥部306は、バックアップロール306aに保持された第1有機化合物層(正孔輸送層)301cを有する帯状可撓性支持体に第2有機化合物層形成用塗布液を塗布する第2湿式塗布機306bと、第1有機化合物層(正孔輸送層)301c上に形成された第2有機化合物層301dを乾燥する第2乾燥装置306cとを有している。尚、本図では第2有機化合物層形成用塗布液とは発光層形成用塗布液を指し、第2有機化合物層301dとは発光層を指す。
307は第2加熱処理部を示し、第2加熱処理部307は第1加熱処理部304と同じ構成をしており、第1有機化合物層(正孔輸送層)301c上に形成された、第2有機化合物層(発光層)301dを帯状可撓性支持体の裏面側から裏面伝熱方式で加熱する様になっている。
308は、形成された第2有機化合物層(発光層)301eの除電を行う第3除電処理手段を示す。第2乾燥装置306cは第1乾燥装置303cと同じ構造を有している。第1除電処理手段302bと、第2除電処理手段305と、第3除電処理手段308とは同じであってもよい。
本図では、塗布・乾燥部として第1塗布・乾燥部303と、第2塗布・乾燥部304との2ユニットを有する場合を示しているが、必要に応じて増加することが可能となっている。
陰極層形成工程4は、材料の供給部401と、第1陰極層形成部402と、第2陰極層形成部403と、第2巻取り部404とを有しており、供給部401から回収部404迄が減圧条件下で連続的に行われる様になっている。
供給部401では、製造装置3で作製された、帯状可撓性支持体上に、陽極と、正孔輸送層と、有機化合物層(発光層)とが形成され、巻き芯に巻取られたロール状の帯状可撓性支持体B301fが供給される。
供給部401から巻き出された有機化合物層(発光層)を有する帯状可撓性支持体B301fの有機化合物層(発光層)上に第1陰極層形成部402で電子注入層301gが形成される。402aは蒸着装置を示し、402bは蒸発源容器を示す。
第2陰極層形成部403では、第1陰極層形成部402で形成された電子注入層301g上に第2電極の陰極層301hが形成される。403aは蒸着装置を示し、403bは蒸発源容器を示す。第2陰極層形成部403で第2電極の陰極層301hが形成さた帯状可撓性支持体C301iは回収部404で巻き芯に巻取られロール状の帯状可撓性支持体C301jとなる。
断裁工程5はロール状の帯状可撓性支持体C301jの供給部501と、ロール状の帯状可撓性支持体C301jから枚葉に断裁する打ち抜き断裁装置502と、枚葉に断裁された第2電極の陰極層301hが形成された枚葉可撓性支持体D301kを回収部503と、打ち抜き断裁後の帯状可撓性支持体C301jを回収する回収部504とを有している。
可撓性封止部材貼合工程6は、枚葉可撓性支持体D301k上に液状シール剤を塗設する液状シール剤塗設装置601と、陰極層301hが形成された枚葉シート状の可撓性支持体D301k上に枚葉シート状可撓性封止部材602aを積重する積重装置602と、積重した枚葉シート状可撓性封止部材を貼合する封止部材貼合装置603とを有している。可撓性封止部材貼合工程6に関しては図5〜図7で詳細に説明する。尚、可撓性封止部材貼合工程6の前に保護層を形成する保護層形成工程(不図示)を設けても構わない。
尚、本図では第2電極の陰極層301hが形成されたロール状の帯状可撓性支持体C301jを可撓性封止部材貼合工程の前で枚葉シートに断裁し、第2電極の陰極層301hが形成された枚葉可撓性支持体D301kとした後、枚葉可撓性支持体D301k毎に枚葉シート状の可撓性封止部材を貼合する場合を示しているが、帯状可撓性封止部材を使用し、第2電極の陰極層301hが形成された帯状可撓性支持体D301iに帯状可撓性封止部材を貼合した後、枚葉シート状に断裁する方法であっても構わない。
図2は枚葉シート状基板を使用した有機EL素子の製造方法の模式図である。
図中、8は製造装置を示す。801は枚葉シート状基板801aを工程に供給する供給部を示す。802は供給部801から供給された枚葉シート状基板801aの表面に第1電極が蒸着される前に、蒸着性をよくするために枚葉シート状基板801aの表面を清掃するための基板洗浄処理装置を示す。
803は洗浄処理が終了した枚葉シート状基板801a上に第1電極を形成する第1陽極層形成部を示し、803aは蒸着装置を示し、803bは蒸発源容器を示す。
804は第1電極が形成された枚葉シート状基板801bの第1電極の外部取り出し電極となる一部を除いて第1電極上に正孔輸送層を形成する正孔輸送層形成部を示し、804aは蒸着装置を示し、804bは蒸発源容器を示す。
805は正孔輸送層が形成された枚葉シート状基板801cの正孔輸送層上に発光層を形成する発光層形成部示し、805aは蒸着装置を示し、805bは蒸発源容器を示す。
806は発光層が形成された枚葉シート状基板801dの発光層上に電子注入層を形成する電子注入層形成部を示し、406aは蒸着装置を示し、806bは蒸発源容器を示す。
807は電子注入層が形成された枚葉シート状基板801eの電子注入層上に第1電極と直交する状態に第2電極を形成する第2電極形成部を示し、807aは蒸着装置を示し、807bは蒸発源容器を示す。尚、第2電極形成部807の後に、保護層を形成する保護層形成工程(不図示)を設けても構わない。
808は第2電極が形成された枚葉シート状基板801fの上に可撓性封止部材を貼合する可撓性封止部材貼合工程を示す。可撓性封止部材を貼合することで有機EL素子9が出来上がる。可撓性封止部材貼合工程808は第2電極が形成された枚葉シート状基板801fに液状シール剤を塗設する液状シール剤塗設装置808aと、液状シール剤が塗設された枚葉シート状基板801f上に枚葉シート状可撓性封止部材を積重する枚葉シート状可撓性封止部材積重装置808bと、積重した枚葉シート状可撓性封止部材を枚葉シート状基板801fの第2電極上に貼合する封止部材貼合装置808cとを有している。809は有機EL素子9を回収する回収部を示す。貼合装置808cは図1に示した封止部材貼合装置603と同じものの使用が可能である。
尚、本図では液状シール剤を枚葉シート状基板801fに塗設した場合を示しているが、液状シール剤の塗設は枚葉シート状可撓性封止部材808b1側であってもよく、又、枚葉シート状基板801fと枚葉シート状可撓性封止部材808b1の両方であってもよく、必要に応じて選択が可能である。
図1、図2に示される封止部材貼合工程の後に、液状シール剤の硬化処理工程を別に設けてもよいし、封止部材貼合装置603に組み込んでもよい。硬化処理工程は使用する液状シール剤の種類(例えば熱硬化型シール剤、紫外線硬化型シール剤等)に合わせ適宜選択することが可能である。
図1、図2に示される有機EL素子を作製する工程で有機化合物層形成用塗布液を塗布する前に行われる洗浄表面改質処理としては、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置等が挙げられる。低圧水銀ランプによる洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、波長184.2nmの低圧水銀ランプを、照射強度5〜20mW/cm2で、距離5〜15mmで照射し洗浄表面改質処理を行う条件が挙げられる。プラズマ洗浄装置による洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、大気圧プラズマが好適に使用される。洗浄条件としてはアルゴンガスに酸素1〜5体積%含有ガスを用い、周波数100KHz〜150MHz、電圧10V〜10KV、照射距離5〜20mmで洗浄表面改質処理を行う条件が挙げられる。
図1に示される有機EL素子を作製する工程で行われる除電処理手段としては、光照射方式とコロナ放電式等が挙げられ、これらの中から必要に応じて適宜選択使用することが可能である。光照射式は微弱X線、コロナ放電式はコロナ放電により空気イオンを生成する。この空気イオンは、帯電物体に引き寄せられて反対極性の電荷を補い、静電気を中和する。コロナ放電による除電器、軟X線による除電器が利用可能である。第1除電処理手段により、基材の帯電除去が図られるため、ゴミの付着や絶縁破壊が防止されるため、素子の歩留まりの向上が図られる。
図1、図2に示される蒸着装置としては、特に限定はなく、例えばスパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることが出来、必要に応じて選択して使用することが可能である。
図3は図2に示される第2電極までが形成された基板に液状シール剤を塗設した状態を示す概略平面図である。図3の(a)は図2に示される第2電極までが形成された基板の概略平面図である。図3の(b)は図3の(a)に示される第2電極までが形成された基板の発光領域に液状シール剤を塗設した状態を示す概略平面図である。図3の(c)は図3の(a)に示される第2電極までが形成された基板の発光領域の周囲に液状シール剤を塗設した状態を示す概略平面図である。
図中、801fは第2電極までが形成された枚葉シート状基板を示す。801f1は枚葉シート状基板上に形成された第1電極を示し、801f2は発光層を含む有機化合物層(不図示)上に形成された第2電極を示す。801f3は発光層を含む有機化合物層等を有する発光領域(図中の太線で囲まれた範囲)を示す。801f4は発光領域801f3のに塗設された液状シール剤を示す。801f5は発光領域の周囲に塗設された液状シール剤を示す。
本発明で拡散禁止領域とは可撓性封止部材を貼合するとき、塗設された液状シール剤の広がり(拡散)により液状シール剤が付着することで故障の原因になる領域を言う。例えば、図3の(b)の場合、可撓性封止部材が液状シール剤を塗設された発光領域上に貼合されるのであるが、そのときの拡散禁止領域としては、外部取り出し電極である第1電極801f1と、第2電極801f2とが挙げられる。図3の(c)の場合、可撓性封止部材が発光領域を含め、液状シール剤を塗設された発光領域の周囲上に貼合されるのであるが、そのときの拡散禁止領域としては、外部取り出し電極である第1電極801f1と、第2電極801f2と、発光領域801f3とが挙げられる。
液状シール剤を塗設する方法は特に限定はなく、例えばスプレー方式、押し出しノズル方式、スクリーン印刷方式等通常のシール剤の塗設に使用されている方法が挙げられる。使用する液状シール剤の粘度は、塗設均一性、貼合圧着時のシール剤塗れ広がり性等を考慮し、40Pa・s〜400Pa・sであることが好ましい。
本発明に係わる液状シール剤としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型シール剤剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等のシール剤剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)等のシール剤剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂シール剤剤を挙げることが出来る。尚、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化出来るものが好ましい。又、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。液状シール剤には必要に応じてフィラーを添加することが好ましい。フィラーの添加量としては、接着力を考慮し、5〜70体積%が好ましい。又、添加するフィラーの大きさは、接着力、貼合圧着後のシール剤厚み等を考慮し、1μm〜100μmが好ましい。添加するフィラーの種類としては特に限定はなく、例えばソーダガラス、無アルカリガラス或いはシリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアや酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。可撓性封止部材の貼合に関しては図6、図7で説明する。
尚、図3の(b)で示される様に発光領域に液状シール剤を塗設する場合、予め発光領域内の第2電極上に保護層(不図示)を形成しておいても構わない。
保護層とは、第2電極と有機層を被覆し、支持基盤と接する形で無機物、有機物の層を形成し第2電極と有機層を保護する層を指す。この場合、保護層を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることが出来る。更に保護層の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることが出来る。
図4は図2に示す製造装置に使用されている封止部材貼合装置の概略図である。図4の(a)は図2に示す製造装置に使用されている封止部材貼合装置の概略斜視図である。図4の(b)は図4の(a)のA−A′に沿った概略断面図である。
図中、808cは封止部材貼合装置を示す。封止部材貼合装置808cは第2電極が形成された枚葉シート状基板801f(図2を参照)の発光領域に塗設された液状シール剤上に可撓性封止部材を貼合するための第1圧着部材808c1と、第2圧着部材808c2と、第1圧着部材808c1と第2圧着部材808c2とを取り付けた上型808c3と、上型808c3を上下方向(図中の矢印方向)への作動を可能にする4本のガイドポスト808c4を有する下型808c5とを有している。
第1圧着部材808c1は、上型808c3に取り付けられた4本のリニヤーガイド808c6に取り付けられている。808c61は封止部材を貼合する際、第1圧着部材808c1で液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するための弾性部材のバネを示す。
下型808c5は封止部材を貼合する際、第2電極までが形成された枚葉シート状基板を吸引固定するための複数の吸引孔(不図示)と、吸引ポンプ(不図示)に繋がった吸引管(不図示)とを有していることが好ましい。
808c8は上型808c3をガイドポスト808c4に沿って上下方向(図中の矢印方向)へ作動させるための駆動源を示す。808c9は上型808c3の上面808c31に配設された取り付け部材を示し、駆動軸808c7が取り付けられている。
本図に示される封止部材貼合装置808cは図3の(b)に示される様に液状シール剤が塗設されている場合に使用される。第1圧着部材808c1で液状シール剤の拡散禁止領域である発光領域周囲を圧着保持し、第2圧着部材808c2で液状シール剤が塗設された発光領域を圧着する様になっている。尚、第2電極が形成された枚葉シート状基板801f(図2を参照)の発光領域には、予め保護層(不図示)が形成されていても構わない。
図5は図2に示す製造装置に使用されている他の方式の封止部材貼合装置の概略図である。図4の(a)は図2に示す製造装置に使用されている他の方式の封止部材貼合装置の概略斜視図である。図4の(b)は図4の(a)のA−A′に沿った概略断面図である。
図中、808′cは封止部材貼合装置を示す。封止部材貼合装置808′cは第2電極が形成された枚葉シート状基板801f(図2を参照)の発光領域の周囲に塗設された液状シール剤上に可撓性封止部材を貼合するための第1圧着部材808′c1と、第2圧着部材808′c2と、第1圧着部材808′c1と第2圧着部材808′c2とを取り付けた上型808′c3と、上型808′c3を上下方向(図中の矢印方向)への作動を可能にする4本のガイドポスト808′c4を有する下型808′c5とを有している。
第1圧着部材808′c1は、上型808′c3に取り付けられた4本のリニヤーガイド808′c6に取り付けられている。808′c61は封止部材を貼合する際、第1圧着部材808′c1で液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するための弾性部材のバネを示す。
下型808′c5は封止部材を貼合する際、第2電極までが形成された枚葉シート状基板を吸引固定するための複数の吸引孔(不図示)と、吸引ポンプ(不図示)に繋がった吸引管(不図示)とを有していることが好ましい。
808′c8は上型808′c3をガイドポスト808′c4に沿って上下方向(図中の矢印方向)へ作動させるための駆動源を示す。808′c9は上型808′c3の上面808′c31に配設された取り付け部材を示し、駆動軸808′c7が取り付けられている。
本図に示される封止部材貼合装置808′cは図3の(c)に示される様に液状シール剤が塗設されている場合に使用される。第1圧着部材808′c1で液状シール剤の拡散禁止領域である発光領域を圧着保持し、第2圧着部材808′c2で液状シール剤が塗設された発光領域の周囲を圧着する様になっている。
図6は図4に示す封止部材貼合装置を使用し、図3に示される第2電極が形成された枚葉シート状基板の発光領域に塗設された液状シール剤上に可撓性封止部材を貼合する状態を示す概略部分断面図である。
図中、11は発光領域に塗設された液状シール剤の上に積重された可撓性封止部材を示す。可撓性封止部材を貼合するとき、第1圧着部材808c1は液状シール剤の拡散禁止領域(発光領域の周囲)を圧着保持し、第2圧着部材808c2で発光領域に塗設された液状シール剤の上の可撓性封止部材を圧着する状態となっている。この状態は、図5に示す封止部材貼合装置を使用しても同じである。すなわち、可撓性封止部材を貼合するとき、第1圧着部材808′c1は液状シール剤の拡散禁止領域(発光領域)を圧着保持し、第2圧着部材808′c2で発光領域の周囲に塗設された液状シール剤の上の可撓性封止部材を圧着する状態となっている。
液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持する第1圧着部材のヤング率は、密着性やシール剤の塗れ広がり防止、可撓性封止部材への傷付き防止等を考慮し、1×10-3GPa〜80GPaであることが好ましい。
液状シール剤の上の可撓性封止部材を圧着する第2圧着部材のヤング率は、密着性や均一圧着性、可撓性封止部材への傷付き防止等を考慮し、1×10-3GPa〜80GPaであることが好ましい。
可撓性封止部材を貼合するとき、液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持する第1圧着部材の面圧は、密着性やシール剤の塗れ広がり防止、可撓性封止部材への傷付き防止等を考慮し、1×10-2MPa〜10MPaであることが好ましい。
有機EL素子を表示装置として製品化する際に必要とするガスバリア性を確保するために、
可撓性封止部材の水蒸気透過度は、0.01g/m2・day以下であることが好ましく、且つ酸素透過度は、0.01ml/m2・day・atm以下であることが好ましい。水分透過度はJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値であり、酸素透過度はJIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値である。
可撓性封止部材のヤング率は、可撓性封止部材と第1圧着部材、第2圧着部材との密着性やシール剤の塗れ広がり防止等を考慮し、1×10-3GPa〜80GPaであり、厚みが10μm〜500μmであることが好ましい。
可撓性封止部材の貼合は、封止工程環境内に存在する酸素や水分による影響、貼合部内への気泡混入防止、気泡混入によるシールの剤拡散、貼合後大気圧に戻した際の外圧によるシール剤の拡散等を考慮し、10Pa〜1×10-4Paの減圧条件で行われることが好ましい。
本発明に使用する可撓性封止部材としてはポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、アクリル、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等の可撓性のある樹脂フィルムからなる支持体へ蒸着法やコーティング法でバリア層を形成した材料又はバリア層として金属箔を用いた材料が挙げられる。バリア層としては、例えばIn、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物を蒸着した材料が挙げられる。又、金属箔の材料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料を用いることが出来るが、加工性やコストの面でアルミニウムが好ましい。膜厚は、1〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度が望ましい。又、製造時の取り扱いを容易にするために、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのフィルムを予めラミネートしておいてもよい。又、樹脂フィルムの他にステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなる金属フィルムも使用することが可能である。
図7は図4に示される封止部材貼合装置を使用して、図3に示される第2電極が形成された枚葉シート状基板の発光領域に塗設された液状シール剤上に可撓性封止部材を貼合するまでの概略フロー図である。
S1では、封止部材貼合装置808cと図3の(b)に示される様に発光領域801f3に液状シール剤801f4が塗設された第2電極が形成された枚葉シート状基板801fとが準備される。
S2では、枚葉シート状基板801fの液状シール剤801f4が塗設された上に可撓性封止部材11を積重する。このとき、使用する可撓性封止部材11の大きさは枚葉シート状基板801fの大きさと同じであることが好ましい。可撓性封止部材11を積重した状態で、封止部材貼合装置808cの下型808c5の上面808c51の指定の位置に枚葉シート状基板801fを載置する。尚、下型808c5に吸引機構が備えてあれば指定の位置に載置した後、吸引固定することが好ましい。
S3では、上型808c3が駆動機構808c8(図4を参照)により下げられ(図中の矢印方向)、第1圧着部材808c1で液状シール剤の拡散禁止領域である発光領域周囲を圧着保持した状態とする。
S4では、更に上型808c3が駆動機構808c8(図4を参照)により下げられ(図中の矢印方向)、第2圧着部材808c2で液状シール剤が塗設されている発光領域を面圧1×10-2MPa〜10MPaの範囲で圧着する。上型808c3が更に下げられることで、第1圧着部材808c1による液状シール剤の拡散禁止領域である発光領域周囲を圧着保持が完全となり、液状シール剤が塗設されている発光領域を圧着することで広がる(拡散する)液状シール剤の範囲が規制され、第1電極、第2電極及び発光領域周囲への不要の付着が防止することが可能となる。第2圧着部材808c2で圧着することで撓性封止部材は一次貼合した状態となる。この後、硬化処理することで撓性封止部材の貼合が完了する。又、S4は10Pa〜1×10-4Paの減圧条件で行うことが好ましい。
尚、硬化処理は別工程で行ってもよいし、封止部材貼合装置808cの第2圧着部材808c2に硬化処理機能を持たせる方法で合ってもよい。例えば液状シール剤が熱硬化型の場合は、第2圧着部材808c2に加熱する機構を備え圧着した状態で加熱する方法であってもよい。又、紫外線硬化型の場合は、第2圧着部材808c2を紫外線透過可能材料にし、紫外線を照射する方法であってもよい。
図5に示される封止部材貼合装置808′cを使用し、図3の(c)に示される様に液状シール剤801f4が塗設された第2電極が形成された枚葉シート状基板801fの場合も液状シール剤の拡散禁止領域が発光領域となり、圧着する箇所が発光領域周囲になるだけで本図と同じフローで撓性封止部材の貼合は可能となる。
図1、図2に示す製造装置を使用し有機EL素子を製造する際、第2電極までが形成された基板の発光領域上に可撓性封止部材を貼合するのに図4〜図7に示す可撓性封止部材貼合装置を使用し貼合することで次の効果が得られる。
1)圧着時に拡散禁止領域内への液状シール剤の広がり(拡散)を防止することで、有機EL素子の品質安定化が可能となった。
2)拡散禁止領域である外部電極へのシール剤拡散が防止され、電極接地不良等の問題が回避可能となった。
3)拡散禁止領域である発光領域へのシール剤拡散が防止され、発光領域を形成する有機層等とシール剤とのコンタミを防止することが出来、発光不良等の問題が回避可能となった。
4)シール剤の塗れ広がり防止を目的とした防護壁等の設置が必要なくなり、有機EL素子の構成が簡素になるためコストダウンが可能となった。
以下、本発明に係る有機EL素子を構成しているガスバリア層、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、第2電極、封止層等に付き説明する。
本発明に係わる基板としては、枚葉基板、帯状可撓性基板が挙げられる。枚葉基板としては、透明ガラス板、シート状透明樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。帯状可撓性基板としては、透明樹脂フィルムが挙げられ、枚葉基板と同じ樹脂フィルムが使用可能である。
基板として透明樹脂フィルムを使用する場合、樹脂フィルムの表面にはガスバリア膜が必要に応じて形成されることが好ましい。ガスバリア膜としては無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m2・day・atm以下であることが好ましい。更には、酸素透過度10-3ml/m2/day以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることが出来る。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることが出来るが、特開2004−68143号に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
第1電極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In2O3・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
第1電極と発光層又は正孔輸送層の間、正孔注入層(陽極バッファー層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に詳細に記載されている。陽極バッファー層(正孔注入層)に使用する材料の一例としては、特開2000−160328号公報に記載されている材料が挙げられる。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することが出来るが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。又、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することが出来る。
又、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂p型正孔輸送材料を用いることも出来る。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。又、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号、特開2000−196140号、特開2001−102175号、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の有機EL素子を作製することが出来るため好ましい。
本発明において、発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、又各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。本発明においては、少なくとも一つの青発光層が、全発光層中最も陽極に近い位置に設けられていることが好ましい。又、発光層を4層以上設ける場合には、陽極に近い順から、例えば青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層のように青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。発光層を多層にすることで白色素子の作製が可能である。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nm〜5μm、好ましくは2〜200nmの範囲で選ばれる。更に10〜20nmの範囲にあるのが好ましい。膜厚を20nm以下にすると電圧面のみならず、駆動電流に対する発光色の安定性が向上する効果があり好ましい。個々の発光層の膜厚は、好ましくは2〜100nmの範囲で選ばれ、2〜20nmの範囲にあるのが更に好ましい。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はないが、3発光層中、青発光層(複数層ある場合はその総和)が最も厚いことが好ましい。
発光層は発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある発光スペクトルの異なる少なくとも3層以上の層を含む。3層以上であれば、特に制限はない。4層より多い場合には、同一の発光スペクトルを有する層が複数層あってもよい。発光極大波長が430〜480nmにある層を青発光層、510〜550nmにある層を緑発光層、600〜640nmの範囲にある層を赤発光層と言う。又、前記の極大波長を維持する範囲において、各発光層には複数の発光性化合物を混合してもよい。例えば、青発光層に、極大波長430〜480nmの青発光性化合物と、同510〜550nmの緑発光性化合物を混合して用いてもよい。
発光層の材料として使用する有機発光材料は、(a)電荷の注入機能、すなわち、電界印加時に陽極或いは正孔注入層から正孔を注入することが出来、陰極或いは電子注入層から電子を注入することが出来る機能、(b)輸送機能、すなわち、注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能、及び(c)発光機能、すなわち、電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光に繋げる機能、の3つの機能を併せもつものであれば特に限定はない。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物を用いることが出来る。上記の蛍光増白剤の具体例としては、ベンゾオキサゾール系では、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾオリル]スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−α,α−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等が挙げられる。ベンゾチアゾール系では、2,2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げられ、ベンゾイミダゾール系では、2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等が挙げられる。更に、他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971),第628〜637頁及び第640頁に列挙されている。
又、上記のスチリルベンゼン系化合物の具体例としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等が挙げられる。
更に、上述した蛍光増白剤及びスチリルベンゼン系化合物以外にも、例えば、12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、国際公開公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.,vol 58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、芳香族ジメチリディン系化合物が挙げられる。芳香族ジメチリディン系化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4’−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、及びこれらの誘導体が挙げられる。又、上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
その他、上述した有機発光材料をホストとし、当該ホストに青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系或いは前記ホストと同様の蛍光色素をドープした化合物も、有機発光材料として好適である。有機発光材料として前記の化合物を用いた場合には、青色から緑色の発光(発光色はドーパントの種類によって異なる)を高効率で得ることが出来る。前記化合物の材料であるホストの具体例としては、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料(特に好ましくは、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)が挙げられ、前記化合物の材料であるドーパントの具体例としては、ジフェニルアミノビニルアリレーン(特に好ましくは、例えば、N,N−ジフェニルアミノビフェニルベンゼンや4,4’−ビス[2−[4−(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェニル)が挙げられる。
発光層には、発光層の発光効率を高くするために公知のホスト化合物と公知のリン光性化合物(リン光発光性化合物とも言う)を含有することが好ましい。
ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。ホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することが出来る。又、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることが出来る。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用も出来る。
これらのホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載の化合物が挙げられる。
複数の発光層を有する場合、これら各層のホスト化合物の50質量%以上が同一の化合物であることが、有機層全体に渡って均質な膜性状を得やすいことから好ましく、更にはホスト化合物のリン光発光エネルギーが2.9eV以上であることが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得る上で有利となることからより好ましい。リン光発光エネルギーとは、ホスト化合物を基板上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定し、そのリン光発光の0−0バンドのピークエネルギーを言う。
ホスト化合物は、有機EL素子の経時での劣化(輝度低下、膜性状の劣化)、光源としての市場ニーズ等を考慮し、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。すなわち、輝度と耐久性の両方を満足するためには、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。Tgは、更に好ましくは100℃以上である。
リン光性化合物(リン光発光性化合物)とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。先に説明したホスト化合物と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機EL素子とすることが出来る。
本発明に係るリン光性化合物は、リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定出来る。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定出来るが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上出来ャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、何れの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。リン光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族−10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることが出来る。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当て嵌めたときの色で決定される。
本発明で言うところの白色素子とは、2℃視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931 表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.07の領域内にあることを言う。
電子注入層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。電子注入層(陰極バッファー層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
他に発光層側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることが出来、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来る。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることが出来る。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることが出来る。又、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来るし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることが出来る。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
又、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することが出来るため好ましい。
第2電極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することが出来る。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の第1電極(陽極)又は第2電極(陰極)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
又、第2電極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、第1電極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極(陰極)を作製することが出来、これを応用することで第1電極(陽極)と第2電極(陰極)の両方が透
過性を有する素子を作製することが出来る。
本発明に係わる有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
又、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
本発明に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために以下に示す方法を併用することが好ましい。有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことが出来ないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)。基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。又、更に1.35以下であることが好ましい。低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。全反射を起こす界面もしくは何れかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることが出来る性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることが出来ない光を、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
更に、本発明に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために、基板の光取り出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、或いは、所謂集光シートと組合せることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることが出来る。マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大き過ぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。この様なシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることが出来る。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。又、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
実施例1
一つのドットの大きさが2mm×2mmで、7ドット×10ドットの合計70ドット(発光領域)で構成される有機EL素子を、図2に示す製造装置で、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、第2電極、封止層を基板上にこの順で形成した有機EL素子を作製した。
(基板の準備)
基板として厚さ1.1mm、幅40mm、長さ60mmのソーダ石灰ガラスを準備した。尚、ソーダ石灰ガラスの全面には、酸やアルカリから保護するためのシリカコートしたものを使用した。
(第1電極の形成)
準備したガラス基板を波長184.2nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm2で、距離12mmで照射し洗浄を行った。この後、図4に示す第1電極形成気相堆積装置を使用し、5×10-4Paの真空下にてインジウムチンオキシド(ITO)を使用し、準備したガラス基板の堆積膜形成領域(第1電極形成領域)に、幅2mm、長さ50mm、間隔2mm、厚さ150nm、7列のパターン化した第1電極を形成した。
(正孔輸送層の形成)
第1電極が形成されたガラス基板を使用し、5×10-4Paの真空下にて正孔輸送層形成気相堆積装置で正孔輸送層形成用材料としてN,N′−ジフェニル−N,N′−m−トリル4,4′−ジアミノ−1,1′−ビフェニル(以下、TPD)を使用し、ガラス基板上に形成された第1電極の一方の端部を除き第1電極の上に、蒸着(気相堆積)した。
(発光層の形成)
正孔輸送層が形成された各ガラス基板を使用し、正孔輸送層の上に第1電極のパターンに合わせ、発光層形成用材料としてAlq3を使用し、5×10-4Paの真空下にて発光層形成気相堆積装置で蒸着した。
(電子輸送層の形成)
発光層が形成されたガラス基板を使用し、発光層を含め正孔輸送層が形成された領域に、電子輸送層形成用材料としてLiFを使用し、5×10-4Paの真空下にて電子輸送層形成気相堆積装置でLiFを蒸着した。
(第2電極の形成)
電子輸送層が形成されたガラス基板を使用し、電子輸送層の上に第1電極と直交する方向で、第2電極形成用材料としてAlを使用し、5×10-4Paの真空下にて第2電極形成気相堆積装置で蒸着し、基板Aとした。尚、形成した第2電極は、幅2mm、長さ35mm、間隔2mm、厚さ150nm、10列のパターンとした。
(封止膜の形成)
第2電極が形成されたガラス基板Aを使用し、第2電極の端部を除き第2電極が形成された領域に、封止膜形成用材料として酸化珪素を使用し、5×10-4Paの真空下にて封止膜形成気相堆積装置で酸化珪素を蒸着し基板Bとした。保護層の厚さは300nmとした。
(液状シール剤の塗設)
準備した基板Aと、基板Bを用い、液状シール剤として紫外線硬化型のThreeBond3124C (株)スリーボンド製を使用し、塗設場所を表1に示す様に変えて塗設を行い、液状シール剤塗設済みガラス基板を作製し、No.1−1〜1−4とした。液状シール剤の粘度は270Pa・sであった。
であった。
(可撓性封止部材の準備)
基材/バリア層の構成からなる可撓性封止部材を準備した。
基材:厚さ100μmのPETフィルムを使用した。
バリア層:バリア材として酸化珪素を使用し、蒸着で厚さ500nmとした。
尚、JIS−Z−0208に準じて測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・24hrs・90%RHであった。又、ヤング率は6GPaであった。
(可撓性封止部材の貼合)
準備した可撓性封止部材を準備した液状シール剤塗設済みガラス基板No.1−1〜1−4に図4、図5に示す可撓性封止部材貼合装置を用い、図7に示すフロー図に従って可撓性封止部材の貼合を行い有機EL素子とし、試料No.101〜104とした。
可撓性封止部材貼合装置の第1圧着部材のヤング率は1×10-2GPa、第2圧着部材のヤング率は70GPaとした。
又、貼合時、図4に示す可撓性封止部材貼合装置を用い、液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するときの第1圧着部材の面圧は0.1MPa、液状シール剤の塗設領域を圧着するときの第2圧着部材の面圧は0.05MPaとした。図5に示す可撓性封止部材貼合装置を用い液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するときの第1圧着部材の面圧は0.1MPa、液状シール剤の塗設領域を圧着するときの第2圧着部材の面圧は0.05MPaとした。貼合するときの環境は1×10-2Paの減圧条件に設定された真空チャンバー内で行った。
(評価)
作製した各試料No.101〜104に付き、発光割合を以下に示す試験方法により実施した。以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。
発光割合の試験方法
定電圧電源を用いて、有機EL素子の1ドットに直流5Vを印加し、発光の有無を目視にて観察した。70ドット(発光領域)全てにおいて測定を行い、発光したドットの数から発光割合を算出した。
発光割合の評価ランク
◎:9割以上が均一に発光している
○:8割以上が均一に発光している
△:7割以上が均一に発光している
×:7割未満しか均一に発光していない
本発明の有効性が確認された。
実施例2
実施例1と同じ材料を使用し、同じ構成の有機EL素子を作製した。
(第2電極までを形成したガラス基板の作製)
実施例1と同じ材料を使用し、同じ方法条件で第2電極までを形成したガラス基板を作製した。
(液状シール剤の塗設)
準備した第2電極までを形成したガラス基板に、紫外線硬化型の液状シール剤(ThreeBond3124C (株)スリーボンド製)を図3の(c)に示す様に発光領域の周囲に塗設し液状シール剤塗設済みガラス基板を作製した。液状シール剤の粘度は、270Pa・sであった。尚、液状シール剤は発光領域の周囲に厚さ300μm、幅500μmになるように塗設した。
(可撓性封止部材の準備)
基材/バリア層の構成からなる可撓性封止部材を準備した。
基材:厚さ100μmのPETフィルムを使用した。
バリア層:バリア材として酸化珪素を使用し、蒸着で厚さ500nmとした。
尚、JIS−Z−0208に準じて測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・24hrs・90%RHであった。又、ヤング率は6GPaであった。
(可撓性封止部材の貼合)
準備した可撓性封止部材を準備した液状シール剤塗設済みガラス基板に図4に示す可撓性封止部材貼合装置の、第1圧着部材のヤング率と、第2圧着部材のヤング率を表3に示すように変え、図7に示すフロー図に従って可撓性封止部材の貼合を行い有機EL素子とし、試料No.201〜210とした。又、貼合時、液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するときの第1圧着部材の面圧は0.1MPa、液状シール剤の塗設領域を圧着するときの第2圧着部材の面圧は0.05MPaとした。貼合するときの環境は1×10-2Paの減圧条件に設定された真空チャンバー内で行った。
(評価)
作製した各試料No.201〜210に付き、発光割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
本発明の有効性が確認された。
実施例3
実施例1と同じ材料を使用し、同じ構成の有機EL素子を作製した。
(第2電極までを形成したガラス基板の作製)
実施例1と同じ材料を使用し、同じ方法条件で第2電極までを形成したガラス基板を作製した。
(液状シール剤の塗設)
準備した第2電極までを形成したガラス基板に、紫外線硬化型の液状シール剤(ThreeBond3124C (株)スリーボンド製)を図3の(c)に示す様に発光領域の周囲に塗設し液状シール剤塗設済みガラス基板を作製した。液状シール剤の粘度は、270Pa・sであった。尚、液状シール剤は発光領域の周囲に厚さ300μm、幅500μmになるように塗設した。
(可撓性封止部材の準備)
基材/バリア層の構成からなる可撓性封止部材を準備した。
基材:厚さ100μmのPETフィルムを使用した。
バリア層:バリア材として酸化珪素を使用し、蒸着で厚さ500nmとした。
尚、JIS−Z−0208に準じて測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・24hrs・90%RHであった。又、ヤング率は6GPaであった。
(可撓性封止部材の貼合)
準備した可撓性封止部材を準備した液状シール剤塗設済みガラス基板に図4に示す可撓性封止部材貼合装置を使用し、可撓性封止部材を貼合するときの液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するときの第1圧着部材の面圧と、液状シール剤の塗設領域を圧着するときの第2圧着部材の面圧を表4に示すように変え、図7に示すフロー図に従って可撓性封止部材の貼合を行い有機EL素子とし、試料No.301〜310とした。
尚、第1圧着部材のヤング率を1×10-2GPa、第2圧着部材のヤング率を70GPaとした。貼合するときの環境は1×10-2Paの減圧条件に設定された真空チャンバー内で行った。
(評価)
作製した各試料No.301〜310に付き、発光ムラを実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
本発明の有効性が確認された。
実施例4
実施例1と同じ材料を使用し、同じ構成の有機EL素子を作製した。
(第2電極までを形成したガラス基板の作製)
実施例1と同じ材料を使用し、同じ方法条件で第2電極までを形成したガラス基板を作製した。
(液状シール剤の塗設)
準備した第2電極までを形成したガラス基板に、紫外線硬化型の液状シール剤(ThreeBond3124C (株)スリーボンド製)を図3の(c)に示す様に発光領域の周囲に塗設し液状シール剤塗設済みガラス基板を作製した。液状シール剤の粘度は、270Pa・sであった。尚、液状シール剤は発光領域の周囲に厚さ300μm、幅500μmになるように塗設した。
(可撓性封止部材の準備)
基材/バリア層の構成からなり、表5に示す様にヤング率と厚みを変えた可撓性封止部材を準備し、No.4−1〜4−10とした。又、JIS−Z−0208に準じて測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・24hrs・90%RHであった。
基材:厚さ100μmのPETフィルムを使用した。
バリア層:バリア材として酸化珪素使用し蒸着で厚さ500nmで形成した。
(可撓性封止部材の貼合)
準備した可撓性封止部材No.4−1〜4−10を準備した液状シール剤塗設済みガラス基板に図4に示す可撓性封止部材貼合装置を使用し、図7に示すフロー図に従って可撓性封止部材の貼合を行い有機EL素子とし、試料No.401〜410とした。尚、第1圧着部材のヤング率を1×10-2GPa、第2圧着部材のヤング率を70GPaとした。可撓性封止部材を貼合するときの液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するときの第1圧着部材の面圧を、0.1MPa、液状シール剤の塗設領域を圧着するときの第2圧着部材の面圧を0.05MPaとした。貼合するときの環境は1×10-2Paの減圧条件に設定された真空チャンバー内で行った。
(評価)
作製した各試料No.401〜410に付き、発光割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
本発明の有効性が確認された。
実施例5
実施例1と同じ材料を使用し、同じ構成の有機EL素子を作製した。
(第2電極までを形成したガラス基板の作製)
実施例1と同じ材料を使用し、同じ方法条件で第2電極までを形成したガラス基板を作製した。
(液状シール剤の塗設)
準備した第2電極までを形成したガラス基板に、紫外線硬化型の液状シール剤(ThreeBond3124C (株)スリーボンド製)を図3の(c)に示す様に発光領域の周囲に塗設し液状シール剤塗設済みガラス基板を作製した。液状シール剤の粘度は、270Pa・sであった。尚、液状シール剤は発光領域の周囲に厚さ300μm、幅500μmになるように塗設した。
(可撓性封止部材の準備)
基材/バリア層の構成からなる可撓性封止部材を準備した。
基材:100μmのPETフィルムを使用した。
バリア層:バリア材として酸化珪素を使用し蒸着で厚さ500nmとした。
尚、JIS−Z−0208に準じて測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・24hrs・90%RHであった。又、ヤング率は6GPaであった。
(可撓性封止部材の貼合)
準備した可撓性封止部材を準備した液状シール剤塗設済みガラス基板に図4に示す可撓性封止部材貼合装置を使用し、表6に示す様に減圧条件下で、図7に示すフロー図に従って可撓性封止部材の貼合を行い有機EL素子とし、試料No.501〜510とした。尚、第1圧着部材のヤング率を1×10-2GPa、第2圧着部材のヤング率を70GPaとした。可撓性封止部材を貼合するときの液状シール剤の拡散禁止領域を圧着保持するときの第1圧着部材の面圧を、0.1MPa、液状シール剤の塗設領域を圧着するときの第2圧着部材の面圧を0.05MPaとした。
(評価)
作製した各試料No.501〜510に付き、発光割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。
本発明の有効性が確認された。